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月別アーカイブ: 6月 2012

http://mainichi.jp/opinion/news/20120630ddm002070039000c.htmlより、
近聞遠見:「パーシャル連合」のあと=岩見隆夫
毎日新聞 2012年06月30日 東京朝刊

 軋(きし)みを残しながらも、野田政権は消費増税法案の第1関門を越した。賛否はともかく、政治を先に進めたのである。

 民主党内の大量造反はこれほどの大テーマだから避けがたいことで、驚くには当たらない。ただ、反対票は離党届を出してから投ずるべきだった。政治家がルール順守と潔さを欠いている典型例だ。

 ところで、消費税だけが政治ではない。騒動のなか、野田政権がどんな国づくりを目指しているのか、必ずしも明確でないことに改めて気づく。最初の所信表明演説(11年9月13日)を読み直してみる。野田佳彦首相は、

 「目の前の危機を乗り越え、国民の生活を守り、希望と誇りある日本を再生するために、今こそ、行政府も、立法府も、それぞれの役割を果たすべき時です」

 と訴えた。<希望と誇り>という平凡な言葉が何カ所か出てくる。野田政権の政治姿勢を示すスローガンと言っていい。

 言葉は平凡でも、それが迫力を持ち、国民の間に浸透することが大切だ。増税が、長い目でみて<希望と誇り>につながるのなら、野田はそれを雄弁に語るべきだった。いまからでも遅くない。

 5字スローガンは自民党政権時代から、慣例のようになっていた。最初は池田政権の<寛容と忍耐>である。60年安保騒動のあと、荒廃した世相のチェンジ・オブ・ペースを意図して、秘書官だった宮沢喜一が<寛容>、大平正芳が<忍耐>を発想したのは有名な話だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120630ddm002070039000c2.htmlより、
 その後、大阪万国博を念頭に置いた佐藤政権の<進歩と調和>、列島改造、日中復交を目指す田中政権の<決断と実行>、さらに三木政権の<対話と協調>、三木時代の激しい党内抗争を意識した福田政権の<協調と連帯>と続く。

 そして、大平政権の<信頼と合意>が登場する。大平首相は最初の記者会見(1978年12月)で、スローガンの意味を問われ、

 「政治と国民の間の距離をできるだけ短くしたい。一体になりたい。権力に手軽に頼る政治ではなく、国民と苦楽をともにするような政治にしたい」

 と述べた。大平イズムだ。

 あとの歴代は省略するが、野田はこれまで、19代も前の大平の気概に学びたい、と繰り返してきた。一般消費税導入をめぐる大平の執念と挫折が野田の念頭にあったと思われる。

 大平が失敗し竹下登元首相にバトンタッチしてから10年間の消費税導入ドラマは以前、当コラムにも書いた。その後、税率引き上げを細川護熙、菅直人両元首相が手がけようとするが入り口で失敗した。

 しかし、野田の挑戦は成功しかかっている。自民、公明との3党合意がそれを可能にした。ここにも、大平スローガンとの接点がある。<合意>は政治と国民だけでなく、政党関係も含まれていた。

 78年当時、すでに国会は与野党伯仲時代に入っている。大平首相はこう語っていた。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120630ddm002070039000c3.htmlより、
 「国会の運営においても、部分連合という形で一つ一つの問題についてパーシャリーに連合を組み、案件を仕上げていくよりほかに、現実的なやり方はないと考える。

 日本の政治地図は欧州よりも保守勢力が強く、そこに相当大きな中道勢力という重しがついている。いうなれば日本型で、比較的安定しておる」

 パーシャル連合論だ。三十数年を経て、野田のもとで民自公3党がそれを実地にやってみせた。大きなステップである。

 しかし、大平が言う日本型は揺らいでいる。野田は<消費税首相>だけに甘んじるのでなく、パーシャル連合を超えるダイナミックな将来像を描いてみせる時だ。(敬称略)=毎週土曜日掲載

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120630/stt12063003570002-n1.htmより、
産経新聞【主張】民主党 茶番劇いつまで続けるか
2012.6.30 03:56

 延々と続けられる茶番劇に、国民は怒りさえ覚えているのではないか。消費税増税法案の採決をめぐる民主党内の造反者処分問題である。
 輿石東幹事長が29日も小沢一郎元代表と会談を重ねたが、平行線で終わった。小沢氏は法案成立の方針が変わらない場合、離党する意向も示している。
 今国会成立に政治生命を懸ける野田佳彦首相との間で合意点を見つけることなど、最初から無理な話ではないか。
 首相は「幹事長にお任せ」ではなく、直ちに造反者の除名など厳しい処分を打ち出す必要がある。小沢氏や支持議員も筋を通して離党すべきだ。
 すみやかに混乱が収束されなければ、自民、公明両党と修正合意にこぎつけた「決める政治」も、再び後戻りすることになる。
 28日以降、3度にわたって行われた会談で、小沢氏は消費税増税法案の撤回を求めた。問題は輿石氏が民放番組で「よりよい法案に仕上げていくのが参院の使命だ」と語ったことだ。法案の再修正が、小沢氏らの離党をとどめる条件として浮上しているとも受け止められた。
 首相が即座に「再修正は常識的にあり得ない」と否定したのは当然のことだ。民主党の内輪もめを理由に、公党間の合意を見直すことなどあってはならない。
 輿石氏は「除名などしたら党はどんどん分裂という流れになる」と、造反者への厳しい処分に否定的な見解も示してきた。だが、処分を甘くしたからといって、消費税増税をめぐる党内の意見対立が解消されるわけではない。
 首相は自ら、処分の素案を輿石氏に示すとしている。しかし、厳しいものにはならないのではと、法案に賛成した若手議員らから反発を招いている。除名処分など、きちんとした決断ができなければ、首相の指導力はさらに低下してしまうだろう。
 事態収拾に手間取っている民主党政権に対し、修正合意の当事者である自民、公明両党が反発しているが、短絡的行動は禁物だ。
 輿石氏は週明けまで調整したいというが、いつまで続けるつもりか。首相は一刻も早くこの問題に決着をつけ、野党が求める衆参両院での予算委員会の開催などに応じ、関連法案の参院での審議入りを急がねばならない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120630k0000m070082000c.htmlより、
社説:離党問題の混迷 けじめ無き政党の醜態
毎日新聞 2012年06月30日 02時31分

 消費増税法案など一体改革法案の衆院採決で事実上分裂状態に陥った民主党で小沢一郎元代表らの離党をめぐりこの期に及んでなお、内向きな駆け引きが続いている。
 造反議員を除籍できない野田佳彦首相、さっさと離党しない小沢元代表、双方の締まりのなさにあきれる。歩み寄りの余地がないことは明らかだ。一日も早くたもとを分かつことが最低限の節度である。
 政権の命運がかかるテーマで大量造反が起きた重大さが首相も小沢元代表もよくわかっていないのではないか。そう、勘ぐってしまう。
 まず、解せないのが小沢元代表と輿石東幹事長の会談だ。造反議員の処分は首相と輿石氏に一任されている。本来は速やかに輿石氏が処分を伝え、小沢元代表らは離党など自らの決断を表明すべきだ。
 ところが、輿石氏は党を割らぬよう要請し、小沢元代表は法案の撤回を要求している。「処分する側が逆に右往左往している」との批判が党内から出るのは当然だ。
 増税法案に反対した小沢元代表らの主張は理解できない。一方で反対する以上は党を離れ活動すべきだと私たちは主張してきた。それが政党人のけじめと考えるためだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120630k0000m070082000c2.htmlより、
 小沢元代表は参院で法案が採決されれば「民主党の枠を超えて、直接国民に訴える」という。首相が増税法案を撤回することはあり得ず、小沢元代表が協力に転じる以外に接点はない。それを知りつつなぜ、輿石氏と協議を続けるのか。同調した議員にも離党に慎重論があり、世論の動向も読み切れず、時間かせぎをしているのが実態ではないか。
 党内には政党交付金の受け取りが可能な「分党」をめぐる交渉が主眼、との冷めた見方すらある。どれほどの覚悟で造反を主導したのかが問われよう。
 首相にも小沢元代表以上に責任がある。「厳正な処分」を強調していたが除籍処分をするような決意はあまり感じられない。
 小沢元代表らの大量離党をはずみに仮に今後衆院で少数与党に転落すれば、内閣不信任決議案の可決が現実味を帯びる。輿石氏が辞任したり、衆院解散を迫られる展開をおそれての弱腰とすれば、情けない。輿石氏に小沢元代表への対応を「お任せしたい」と言ったとされるが、信じがたい無責任さだ。増税に複雑な思いを抱きつつ賛成した議員にどう、説明する気なのか。
 こんな状況に自民党が不信感を募らすのも無理はない。3党合意をよそに民主党が勝手に法案再修正を小沢元代表に確約するような妥協など、断じてあってはならない。参院審議の環境整備を急ぐべきだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012062902000111.htmlより、
東京新聞【社説】分裂騒ぎの民主 国民への造反者は誰か
2012年6月29日

 小沢一郎民主党元代表が反対し、撤回を求めた消費税増税法案。野田佳彦首相は「造反」議員らの厳正な処分を表明したが、公約破りは首相の方だ。どちらが国民に対する造反かを見極めたい。
 二〇〇九年衆院選マニフェストを反故(ほご)にした首相が悪いのか、実現できない公約を作った小沢氏の責任がより重いのか。
 民主党内ばかりか自民、公明両党からも厳しい処分を求める声が相次ぐ小沢氏の方が分は悪そうだが、公約に期待して民主党に政権を託した有権者は、野田氏の方にこそ問題ありと言いたいのではなかろうか。
 有権者は「生活が第一」「官僚主導から政治主導へ」「税金の無駄遣い根絶」「緊密で対等な日米関係」など、自公時代とは違う政権の実現を目指して票を投じた。
 もちろんそれらは難題だ。官僚機構や既得権益層の厚い岩盤を穿(うが)つのは容易でない。だからこそ政権交代という権力構造の歴史的変化に実現を託したのではないか。
 民主党議員の多くは、それらの実現は難しいと言うが、どこまで死力を尽くしたのか。抵抗が強いが故に早々に諦め、増税路線になびいたと疑われても仕方がない。
 できない約束を作った方が悪いという指摘もある。実現困難だと決め付けるのは早計だが、仮にできない約束だとしても、それを掲げて選挙に勝ったのではないか。
 実現に努力するのは当然だし、できないと考えるなら、作成時に疑義を申し出るべきだった。納得できないのなら民主党以外から立候補すべきではなかったか。
 公約破りの消費税増税を正当化するのは信義に反する。
 小沢氏は、民主党を離れないように求めた輿石東幹事長に対し、消費税増税法案の撤回を求め、話し合いは平行線に終わった。
 両氏はきょうにも再会談するが小沢氏らが新党結成に踏み切れば民主党が歴史的役割を果たせずに瓦解(がかい)する。残念だが、国民との約束を守れないなら仕方がない。
 そうなれば、民主党は政権政党としての正統性を失う。首相は消費税増税法案成立を強行せず、衆院を早急に解散すべきだ。そのためにも違憲・違法状態にある衆院の「一票の格差」を是正する必要がある。
 民主党が提出した一部連用制の導入案は複雑で、解散先延ばしが目的と疑われかねない。選挙制度の抜本改革は次期衆院選以降の課題とし、今国会では「〇増五減」案の実現を急ぐべきだ。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012062900010より、
消費増税「より良い法案に」=3党合意の修正に含み-輿石氏

 民主党の輿石東幹事長は28日夜の日本テレビ番組で、消費増税関連法案の参院審議について「十分時間をかけて、丁寧に、より良い法案に仕上げていくのが参院の使命だ」と述べた。参院審議の過程で同法案をめぐる民主、自民、公明3党合意の修正に含みを残した発言で、自公両党が反発する可能性もある。
 また、「8月のお盆前までに成立させるか」と問われたのに対し、「私も野田佳彦首相も仲間も『一日も早く上げてもらいたい』と思っているが、そういくのかどうか」と述べた。(2012/06/29-00:40)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012062801043より、
小沢氏、結束固めに苦慮=「新党」判断を保留-民主

 民主党の小沢一郎元代表は28日、輿石東幹事長との2度に及ぶ会談を経ても、党にとどまるのか、集団離党して新党結成に進むのかの判断を保留した。新党を選択肢としながらも、結論をなお先送りするのは、小沢氏を支持するグループ内にもこの問題では温度差があるためだ。衆院解散時期が見通せない中、小沢氏はグループの結束固めに苦慮しそうだ。
 「民主党の原点を取り戻す可能性が小さくなったかもしれないが、もう一度努力する。不可能になったら次善の策を取る」。小沢氏は28日、輿石氏との会談に先立ち、消費増税関連法案の衆院本会議採決で反対した衆院議員と自らに近い参院議員の計約50人を前にこう語り、党残留と離党の両方の可能性に言及。その上で「私に任せてほしい」と一任を求めた。
 消費増税法案の衆院採決では、民主党から小沢氏を含め57人が反対した。このうち「新党予備軍」は小沢氏を含め43人。若手の間では新党結成への積極論が支配的だ。2009年衆院選で「追い風」を受けて初当選した議員らは党の支持率低迷に危機感を強めており、「次期衆院選は新党で」という声が絶えない。
 一方、予備軍の中には慎重論もある。解散時期の見極めが付かない段階で離党して新党を旗揚げしても、新味が薄れると懸念しているためだ。ある中堅議員は28日、小沢氏に「8月解散はない。離党すべきでない」と進言したが、小沢氏は黙っていたという。この議員は、先に同様の進言をした際に小沢氏が「解散はある」と反論していたことから、小沢氏も判断に迷っていると受け止めた。
 同日には、前原誠司政調会長に近い若手らが執行部に、過去の投票行動も踏まえて造反者への処分に差をつけるよう要請した。造反者を分断する狙いがありそうで、実際、小沢氏系議員からも「党員資格停止が(党代表選での投票権剥奪を意味する)3カ月なら離党も仕方ないが、1カ月なら代表選で勝負できる」(中堅)と、進退は処分次第との本音が漏れる。
 小沢氏がこの日、最終判断を見送ったことに対し、採決で反対票を投じた若手は「早く結論を出してほしい」と拍子抜けした表情で語った。小沢氏は29日も輿石氏と会談するが、側近は「あすには終わらない」としており、進路の定まらない状況は当面続く可能性もある。(2012/06/28-21:23)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120628/k10013190851000.htmlより、
輿石氏 “改めて小沢氏と会う”
6月28日 21時7分

民主党の小沢元代表と輿石幹事長は28日、2回にわたって会談し、このあと小沢氏は、記者団に対し、消費税率引き上げ法案をこのまま参議院でも採決するという方針を変えないのであれば、離党せざるを得ないという考えを伝えたことを明らかにしました。
一方、輿石氏は、野田総理大臣に会談の内容を報告し、29日にも改めて小沢氏と会う考えを伝えました。
民主党の小沢元代表と輿石幹事長の会談は、国会内の民主党の控え室で2回にわたって行われました。会談で輿石氏は、衆議院本会議での消費税率引き上げ法案などの採決で小沢氏らが反対したことを受けて、党の分裂という事態は避けたいとして小沢氏に協力を要請しました。
これに対し小沢氏は、今のまま法案を成立させることは認められないという考えを伝えました。
会談のあと小沢氏は記者団に対し「増税先行は国民への背信行為で納得できない。ぜひ撤回してほしいと申し上げた。このまま参議院でも法案を強行的に採決するならば、われわれは国民との約束をまず実現すべきだという思いを、民主党の枠を超えて直接、国民の皆さんに訴えなければならない状況になると申し上げた」と述べ、消費税率引き上げ法案をこのまま参議院でも採決するという方針を変えないのであれば、離党せざるをえないという考えを伝えたことを明らかにしました。
そして小沢氏は、「この話を受けて輿石幹事長が努力しているので、その結果にもよるが、あすにでも会談することになるかもしれない」と述べました。
一方、輿石氏は、総理大臣官邸で野田総理大臣と対応を協議しました。
このあと輿石氏は、記者団に対し、「野田総理大臣には、きょう小沢元代表と2度にわたって会談したことを報告した。私からは『結論は出ていない。私の方から小沢元代表に、あす、もう一度会えないかという話をした』という報告をした。そして、私から『小沢氏との対応は、そう時間をかけてもなかなか結論は出にくい。しかし、私に任せてもらえるか』という話をしたら、野田総理大臣は、『是非お任せしたい』ということだった」と述べました。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012062800619より、
小沢氏、増税撤回せねば離党=29日も輿石氏と会談

 民主党の小沢一郎元代表は28日午後、輿石東幹事長と国会内で2回にわたって会談した。消費増税法案の衆院採決で反対した小沢氏は会談後、記者団に「参院でも法案を強行的に採決するということになると、民主党の枠を超えて国民に訴えていかなければならない」と述べ、野田政権が増税方針を撤回しなければ離党する意向を表明した。
 小沢氏は29日も輿石氏と会談する見通し。小沢氏は記者団に「私との話を受け、輿石幹事長が鋭意努力している」とも語った。ただ、野田佳彦首相が「政治生命を懸ける」とした消費増税法案を取り下げる可能性はなく、民主党内の緊張は続きそうだ。
 一方、輿石氏は28日夜、首相官邸で首相に会談内容を報告。「小沢氏との会談は長時間かけてもなかなか結論は出にくいので、私に任せてもらえるか」と述べたのに対し、首相は「ぜひお任せしたい」と答えた。
 小沢氏は28日、輿石氏との会談で消費増税法案について「増税先行は国民への背信行為で納得できない。ぜひ撤回してほしい」と要求。輿石氏は、離党を思いとどまり、政権運営に協力するよう求めた。
 これに先立ち小沢氏は、衆院議員会館で自らを支持する衆参議員約50人と会合を開催。輿石氏との会談に関し「うまくいかなければ重大な決断をしなければならない」と述べ、不調に終わった場合は離党も辞さない構えを示した。
 また、小沢氏は同日夜、都内の日本料理店で森裕子前文部科学副大臣ら参院議員数人と会食。「輿石氏に最大の努力をしてもらっているが、いつまでも待てない」と述べた。(2012/06/28-20:54)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012062801001343.htmlより、
小沢氏、増税強行なら離党 輿石氏に通告
2012年6月28日 20時18分

 民主党の小沢一郎元代表は28日、輿石東幹事長と国会内で2回にわたり会談し、野田佳彦首相が消費税増税法案の成立を強行すれば離党する意向を通告した。これを受け輿石氏は首相を官邸に訪ね、対応を協議した。首相が増税法案を撤回するのは困難とみられ、党の分裂状態は決定的となった。小沢、輿石両氏は29日の再会談も調整する。
 会談で輿石氏は党の分裂回避を要請した。これに対し小沢氏は「ぜひ撤回してほしい」と要求。「参院でも増税法案を強行的に採決して成立させるなら、民主党の枠を超えて、われわれの思いを直接国民に訴えねばならない状態になる」と、離党を強く示唆した。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120628/k10013187761000.htmlより、
小沢氏 採決方針変えねば離党
6月28日 19時36分

民主党の小沢元代表と輿石幹事長は、28日、2回にわたって会談し、このあと小沢氏は、記者団に対し、消費税率引き上げ法案をこのまま参議院でも採決するという方針を変えないのであれば、離党せざるを得ないという考えを伝えたことを明らかにしたうえで、29日にも改めて会談するという見通しを示しました。
一方、輿石幹事長は、野田総理大臣と対応を協議しました。
民主党の小沢元代表と輿石幹事長の会談は、国会内の民主党の控え室で2回にわたって行われました。
会談で、輿石氏は、衆議院本会議での消費税率引き上げ法案などの採決で、小沢元代表らが反対したことを受けて、党の分裂という事態は避けたいとして、小沢氏に協力を要請しました。
これに対し、小沢氏は、今のまま法案を成立させることは認められないという考えを伝えました。
会談のあと小沢氏は記者団に対し、「増税先行は国民への背信行為で納得できない。ぜひ撤回してほしいと申し上げた。このまま参議院でも法案を強行的に採決するならばわれわれは、国民との約束を、まず実現すべきだという思いを民主党の枠を超えて直接、国民の皆さんに訴えなければならない状況になると申し上げた」と述べ、消費税率引き上げ法案をこのまま参議院でも採決するという方針を変えないのであれば、離党せざるを得ないという考えを伝えたことを明らかにしました。
そして、小沢氏は、「この話を受けて輿石幹事長が努力しているのでその結果にもよるが、あすにでも会談することになるかもしれない」と述べました。
一方、輿石氏は、総理大臣官邸で野田総理大臣と対応を協議しました。

輿石氏「総理はぜひ任せる」
民主党の輿石幹事長は、野田総理大臣と会談したあと、総理大臣官邸で記者団に対し、「野田総理大臣には、きょう小沢元代表と2度にわたって会談したことを報告した。わたしからは『結論は出ていない。わたしの方から、小沢元代表に、あすもう一度会えないかという話をした』という報告をした。そして、わたしから『小沢氏との対応は、そう時間をかけてもなかなか結論は出にくい。しかし、わたしに任せてもらえるか』という話をしたら、野田総理大臣は、『ぜひお任せしたい』ということだった」と述べました。
また、輿石氏は、29日の小沢氏との会談について「まだ、わからない。これから小沢氏にお願いしようと思っている」と述べました。
さらに、輿石氏は、記者団が「3党の修正合意を見直すのか」と質問したのに対し、「それは、どこから出ている話なのか」と述べました。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2012年6月28日(木)付
民主党の混乱―問題は「果たせぬ約束」

 マニフェストについて民主党が非難されるべきなのは「約束を果たさなかったから」ではない。「果たせない約束をしたから」である。
 分裂状態に陥った民主党で、小沢一郎元代表ら造反議員は野田政権の「公約違反」を批判する。政権交代につながった09年総選挙の公約に消費税増税はなかった。たしかに「国民に対する背信行為」のそしりは免れない。いずれ総選挙で国民の審判を仰がねばなるまい。
 だが、野田首相に「約束を果たせ」と言いつのる小沢氏らは財源の裏付けのない「果たせない約束」をつくった責任をどう考えるのか。
 もう一度、民主党の公約を見てみよう。
 月2万6千円の子ども手当を支給する。月7万円を最低保障する新年金制度を導入する。提供するサービスははっきり書いてある。一方、財源については「むだの削減」といった、あいまいな記述にとどまる。
 最低保障年金を実現するには、「10%」をはるかに上回る増税が必要になることも、それにもかかわらず多くの人の年金が減ることも書かれていない。
 「負担増なしに福祉国家を実現できる」と言わんばかりの公約だった。
 その公約づくりを党代表として主導したのは、ほかならぬ小沢氏だった。子ども手当の額を上積みさせ、「財源はなんぼでも出てくる」と言い続けた。
 現実には、子育て支援の充実も年金財政の安定も、増税なしには困難だ。だからこそ、3代の民主党政権が苦しみ続けたのではなかったか。
 小沢氏は何をしていたのか。「むだを省けば、増税なしに財源をつくれる」というなら、具体的にこのむだを省けと政権に迫ればいいではないか。増税を試みた菅政権にも野田政権にも、そんな説得の努力をしたとはついぞ聞かない。
 小沢氏自身、増税なしには社会保障の維持さえできないことはわかっているはずだ。だから、細川政権時代に7%の国民福祉税を導入しようとしたのではなかったのか。
 いまさら「反消費増税」の旗を振るのは、ご都合主義が過ぎる。にもかかわらず造反議員らは「反消費増税」を旗印にした新党づくりを公言している。執行部は厳しい処分で臨み、きっぱりとたもとを分かつべきだ。
 「果たせない約束」を掲げて政治を空転させることを繰り返してはならない。次の総選挙に向けて、政治が国民の信頼を回復する道はそれしかない。

http://mainichi.jp/select/news/20120628k0000m010076000c.htmlより、
民主党:亀裂は深まるばかり 処分問題が本格化も
毎日新聞 2012年(最終更新 06月28日 00時10分)

 民主党は27日、消費増税法案の衆院採決で造反した72人に対する処分問題の検討を本格化させたが、党の亀裂は深まるばかりだ。法案に賛成した議員らが造反者への厳しい処分を求めて野田佳彦首相に直談判に及ぶ一方、党分裂回避を優先する輿石東幹事長は除籍(除名)処分を見送る意向を改めて強調した。小沢一郎元代表のグループ議員は街頭で「増税は公約違反」と訴えた。事実上の分裂状態に陥った同党で、遠心力が強まっている。
 岸本周平氏や江端貴子氏ら法案に賛成した当選1回議員11人は27日、首相官邸に野田首相を訪ね、「重い決断で賛成した。反対者が同じ扱いはおかしい。厳正な処分をお願いしたい」と造反者への厳しい処分を申し入れた。
 岸本氏らは衆院一体改革特別委員会の委員。首相は「お疲れさまでした」と語るだけで、処分への言及は避けた。
 小沢グループは次期衆院選前の離党・新党を視野に、増税反対をアピールして支持獲得を目指している。賛成派議員はそのあおりで、強い逆風を受けかねない。渡部恒三元衆院副議長は27日の党常任幹事会で「50人も反対して結束と言えるのか。しっかり対応しないと党がなくなる」と警鐘を鳴らした。

http://mainichi.jp/select/news/20120628k0000m010076000c2.htmlより、
 小沢グループの東祥三衆院議員は東京都内で「処分問題と私たちの行動は別だ。(離党は)そんなに遠い未来ではない」と語った。グループ議員は、元代表から支持者への説明を指示されており、若手を中心に反増税の街頭活動を実施。元代表は国会内の事務所で情報収集に当たった。
 処分問題の実権を握る輿石氏は、26日の東京都内での講演で「除籍となれば党はどんどん分裂ということになる」と処分を党員資格停止以下とする考えを示した。過去の重要法案への造反はいずれも党員資格停止3カ月で、主流派には「3カ月未満の処分はありえない」(中堅議員)との認識が広がる。
 野田首相の代表任期は9月30日まで。党員資格停止3カ月となれば、9月中に行われる代表選の投票・立候補資格も奪われる。法案に反対しながら党残留を模索する小沢系の中堅議員は「2カ月以下でなければ代表選で投票できない。3カ月なら即離党だ」と息巻く。

http://mainichi.jp/select/news/20120628k0000m010076000c3.htmlより、
 輿石氏にとって悩ましいのは、処分問題が参院審議の行方に直結することだ。民主党の議席は104で、自民党(86)との差は18議席しかない。27日に元代表が「離党予備軍」を集めた会合には参院から森ゆうこ氏ら14人が出席。「20人離党すれば第1党の座を失い、議長を取られて(審議が)まひする」との危機感がある。
 輿石氏と元代表の28日の会談では処分問題も協議される見通し。「輿石さんはまだなんとかなると思っているのか」。元代表は側近議員にこう漏らし、妥協する考えのないことを強調した。【高橋恵子】

http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010098000c.htmlより、
本紙世論調査:消費増税 今国会成立「望まぬ」63%
毎日新聞 2012年(最終更新 06月28日 23時29分)

 毎日新聞の緊急全国世論調査で、税と社会保障の一体改革に関し、消費増税法案の今国会での成立を「望まない」と答えた人は63%に上り、「望む」は35%にとどまった。消費増税法案など一体改革関連法案は5月の大型連休明けから衆院特別委員会で120時間を超える審議を行い、26日に衆院で可決、参院に送付された。しかし、増税に対する国民の理解はまだ広がっていない。【鈴木直】
 消費増税法案は税率を14年4月に8%、15年10月に10%にまで段階的に引き上げる。今国会成立を「望む」と答えた人は民主支持層で63%、自民支持層で54%とそれぞれ過半数を占めた。一方、公明支持層は35%にとどまったほか、支持政党はないと答えた無党派層の「望む」は29%と低く、「望まない」が69%を占めている。

http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010098000c2.htmlより、
 一体改革関連法案を巡り、民主、自民、公明3党が衆院採決前に修正合意したことについては「評価する」39%で、「評価しない」は55%だった。増税法案の成立を望まないと答えた人のうち、19%が「評価する」と回答。支持政党別にみると、「評価する」と答えた人は民主支持層の70%、公明支持層の71%を占めたのに対し、自民支持層は57%にとどまる。無党派層は63%が「評価しない」と回答した。
 一方、政府が16日に関西電力大飯原子力発電所3・4号機(福井県おおい町)の再稼働を正式決定した判断について「支持する」と答えた人は41%で、「支持しない」が51%だった。5月の同様の調査で再稼働賛成との回答は31%で、正式決定を受けて容認派がやや増えた。
 今後、原子力発電所の再稼働を考える際に最優先すべきことを四つの選択肢から選んでもらったところ、「原発の安全性確保」が64%で最多だった。次いで「市民生活の混乱回避」が12%。「原発のある地元の意向」と「経済活動の混乱回避」はいずれも8%だった。

http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010098000c3.htmlより、
 政党支持率をみると、民主は前回調査(6月2、3日実施)の16%から10%に急落し、09年9月の政権交代後、最低となった。自民は17%(前回調査比2ポイント増)、公明、みんなはともに5%(同1ポイント増)。逆に無党派層は55%(同3ポイント増)に達し、民主党政権発足後、最大となった。

 ◇連用制 7割が「知らない」
 衆院選挙制度改革を巡り、民主党が一部導入しようとしている「小選挙区比例代表連用制」の仕組みについて、「知らない」と答えた人が33%に上った。「あまり知らない」(37%)を加えると計70%に達し、制度改正の中身が十分周知されていない。一方、「知っている」は4%、「少し知っている」も21%にとどまった。
 民主党案は(1)「1票の格差」是正のため、小選挙区を5県で1減する(2)比例代表(現行180)を40削減し、新たな定数140のうち、35を対象に連用制を導入するのが柱。連用制は小選挙区で獲得議席の少ない政党に優先的に比例代表の議席を割り振ることから、中小政党に有利とされている。民主党は18日、関連法案を単独で国会に提出した。【堀井恵里子】

http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010075000c.htmlより、
本紙世論調査:「新党の動き不支持」71%
毎日新聞 2012年(最終更新 06月28日 22時51分)

 毎日新聞は27、28日、税と社会保障の一体改革関連8法案が衆院で可決され、参院に送付されたことを受け、緊急の全国世論調査を実施した。採決で反対し、新党結成の構えを示している民主党の小沢一郎元代表の行動について「支持しない」が71%に達し、「支持する」(24%)を大きく上回った。元代表ら採決で造反した民主党所属議員に対し、党執行部が除名など厳しい処分をすべきかどうかについても「処分すべきだ」が57%を占めた。
 内閣支持率は28%で、今月2、3日の前回調査より3ポイント上昇した。不支持率は同1ポイント増の53%だった。
 民主党の造反議員に対し、「処分する必要はない」は34%にとどまり、民主支持層でも62%が厳しい処分を求めている。元代表の新党結成について、民主支持層の「支持しない」は82%に上り、「支持する」は16%。「支持政党はない」と回答した無党派層でも「支持しない」68%、「支持する」27%だった。

http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010075000c2.htmlより、
 一体改革関連法案が今国会で成立した場合、野田佳彦首相は衆院を解散すべきかどうかを聞いたところ、「解散すべきだ」が65%に上り、「解散する必要はない」は29%だった。支持政党別にみると、「解散すべきだ」は民主支持層で38%にとどまる一方、自民支持層では75%に上った。
 今、衆院選が行われた場合、比例代表でどの政党に投票するかとの設問で、民主党と回答したのは12%にとどまり、自民党の22%のほぼ半分となった。消費増税反対を掲げるみんなの党は10%。既成政党離れが進むなか、「その他の政党」と回答した人も22%を占めた。【堀井恵里子】

≪再掲≫
http://mainichi.jp/select/news/20120604k0000m010087000c.htmlより、
毎日世論調査:大飯再稼働「急ぐな」71%
毎日新聞 2012年(最終更新 06月04日 00時23分)

 毎日新聞は2、3両日、全国世論調査を実施した。政府が週内にも最終決定する関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について「急ぐ必要はない」と答えた人は71%に達し、「急ぐべきだ」の23%を大きく上回った。2030年時点での国内電力に占める原子力発電の割合を巡り、望ましい比率として「15%」を挙げた人が48%で最多。次いで「原発を0%にする」が25%に上り、国民の「脱原発志向」の高まりがうかがえる。
 野田内閣の支持率は5月の前回調査より2ポイント下がり、25%にとどまった。昨年9月の政権発足以来、過去最低を更新。一方、不支持率は2ポイント増えて、52%に達した。
 政府は2030年の総発電量に占める原子力発電の割合について「0%」「15%」「20〜25%」「数値を定めず市場の選択に任せる」の四つの選択肢を示している。東日本大震災前の10年度が26%だったことを示したうえで、どの選択肢が望ましいかを聞いたところ、「震災前に近い、20〜25%にする」はわずか7%。「数値目標を設けない」は15%だった。

http://mainichi.jp/select/news/20120604k0000m010093000c.htmlより、
毎日世論調査:「維新に投票」28% 次期衆院選比例
毎日新聞 2012年(最終更新 06月04日 00時00分)

 毎日新聞の全国世論調査で、橋下徹・大阪市長が率いる「大阪維新の会」が次期衆院選で候補者を立てた場合、比例代表の投票先を聞いたところ、維新が28%を占め、民主党(14%)、自民党(16%)を大きく上回った。地域別にみると、維新の支持は地元・近畿で41%に達したほか、九州や中国・四国で3割超。維新が政党不信の受け皿として、近畿だけでなく、全国レベルで浸透している現状が浮き彫りになった。
 維新は次期衆院選で全国規模の候補者擁立を目指し、3月に開講した政治塾に約2000人を集め、候補者養成を続けている。国政進出について「期待する」が61%に上り、「期待しない」の33%を大きく上回った。同じ設問で聞いた今年3、4両月調査でも「期待する」は6割を超えており、有権者の期待感を維持している。
 比例代表への投票先調査から、維新への期待度を地域別にみると、地元・近畿の以西で支持を広げている「西高東低」傾向がうかがえる。ただし、維新は北関東29%、南関東23%、東京22%の支持を集めるなど、各地域で民主、自民の2大政党を上回った。

http://mainichi.jp/select/news/20120604k0000m010094000c.htmlより、
毎日世論調査:首相と元代表「協力の必要ない」53%
毎日新聞 2012年(最終更新 06月03日 23時26分)

 毎日新聞の全国世論調査によると、野田佳彦首相と民主党の小沢一郎元代表の関係について「協力し合う必要はない」と答えた人が53%と過半数を占めた。「協力し合うべきだ」は39%にとどまった。「協力し合う必要はない」は民主支持層でも48%に上り、「協力し合うべきだ」(47%)と拮抗(きっこう)している。
 首相は3日、消費増税法案の今国会成立への協力を得るため、元代表と2度目の会談を行ったが、再び物別れに終わった。双方の溝は埋まらず、民主支持層にも元代表との決別はやむを得ないとの認識が広がっている。一方、増税法案の協力の条件として「小沢切り」を求めている自民支持層をみると、「協力し合う必要はない」は59%を占めた。【岡崎大輔】

http://www.nnn.co.jp/rondan/tisin/index.htmlより、
温故知新 -賀茂川耕助-
再稼働に代わる提案
日本海新聞 2012/06/28の紙面より

 大飯原発再稼働をめぐり世論が二分するなかで、野田首相やマスメディアは原発が再稼働しなければ電力が不足するとして、危険な原発を再稼働する必要があると主張している。現在は大飯原発についての議論だが、おそらくは、残りの停止中の原発もいずれは再稼働させるつもりではないかと思う。

 原発を再稼働させなければ電力が足りなくなるというその主張を裏付ける証拠を私は知らないし、むしろ足りているというデータを見つけるほうが簡単だ。電力消費量を調べてみると、今の日本の消費量は1989年と比べて30%も増えている。しかし人口は横ばいであり経済も失われた20年といわれるように停滞を続けている。

過剰な電力使用
 つまり89年から、日本人は過剰に電力を使ってきたということだ。一人当たりの使用量をみると、もっともエネルギーを浪費しているアメリカと比べると30%少ないが、他の国と比べて日本はどこよりも多く電力を使っている。アジア諸国と比べると5倍、ヨーロッパより70%、ドイツと比べると16%多い。ドイツは脱原発を発表している。政府が日本には原発が必要だというとき、それはこれからも他のどの国よりも多くの電力を使い続けることの表明なのだ。

 電力会社が再稼働したい理由、それは原発をやめると経営が破綻するからであろう。電力会社の資産の89%は原子力発電所設備と核燃料であり、再稼働しなければこれらの資産の価値はなくなってしまう。この問題を解決するために私が提案するのは、政府が原発と核燃料を買い取る方法だ。それは全部で約5兆円ほどであり、消費税税収の半分以下である。国民の福祉のために消費税を増税すると政府がいうなら、危険な原子力発電所を取り除くほどの福祉はないだろう。

電気料金に100%の税金
 その財源としては、電気料金に100%の税金をかけることを提案する。これによって電気の無駄遣いがなくなり、原発と核燃料を買い取る資金を調達できる。日本の電力消費は年間約16兆円なので100%課税すれば16兆円の税収となる。生活に必要な衣食住の消費税を10%にするのと、過剰に消費する電気料金を大幅に値上げするのと、どちらがましだろう。

 また私なら製造業は値上げしない。なぜなら製造業はすでに節電対策をとっているといわれているし、そのために製造拠点を海外に移転する理由を作らせることは日本の雇用に悪影響を及ぼすからだ。100%の税金は一般家庭と、小売、娯楽といった産業に課税する。そうすれば皆、電気を効率的に使って節電に励むであろう。

 製造業を除外すれば税収は約半分の8兆円となり、これを財源に政府は電力会社から原発と核燃料を買い上げ、翌年からは毎年その税収で原発を廃炉し、使用済み核燃料をできるだけ安全に保管する方法を模索していく。そして安全で、クリーンで、持続可能な方法で国民に電力を提供していくのだ。

 野田首相は国民生活のために原発を再稼働するという。しかし国民の生活よりも、福島の原発事故の教訓から、まずは国民の生命を守ること、それこそが首相の務めなのである。
(評論家)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2012年6月28日(木)付
東電国有化―まず企業風土を改めよ

 東京電力の実質国有化が、株主総会で正式に決まった。下河辺和彦会長、広瀬直己社長のもと、新体制による経営がスタートする。
 しかし、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働などを前提に、収支改善を目指す事業計画には無理がある。早晩、抜本的な見直しが避けられない。
 こうしたなかで、新生東電に求められるのは、原発事故の賠償を誠実に行うこと。そして、電力改革を先取りした事業再構築を進めることである。そのためには、企業風土の改革が不可欠だ。
 新しい東電はカンパニー制に移行し、火力発電や送配電を分社化する。東電に余力がないため、新規事業者やファンドとの共同運営をしやすくする。
 発送電の分離をはじめとする今後の電力改革を考えれば、望ましい体制だ。国費を入れる以上、効率化はもちろん、経費など部門ごとの情報公開も徹底しなければならない。
 なにより経営陣に自覚してほしいのは、国民が「東電は本当に変わるのか?」と刺すような目で見ていることだ。
 賠償交渉の遅れ、料金値上げでの不十分な説明、責任転嫁に終始する事故調査報告書――。事故から1年3カ月、東電の企業体質にはほとんど変化が見られない。
 民間の事故検証委員会も、事故に至る伏線として、独占に甘えた業界体質や縦割りの業務体制、トラブルを隠蔽(いんぺい)しがちな企業風土を指摘している。
 社員一人ひとりや個々の現場に、変化の芽がないわけではない。自己防衛に走る旧経営陣のもとでは身動きが取れなかったといえる。トップの姿勢、とりわけ東電内部から昇格した広瀬社長の責任は重い。
 新設される経営改革本部は、原子力損害賠償機構からの出向者と東電社員が半々、約30人の混成チームだ。志ある中堅や若手、外部の人材を登用し、改革の先頭に立たせてほしい。
 国は、東電にとって飛び抜けた大株主であり、巨額の資金提供者となる。一方で、原発を推進してきた当事者として共同責任も負う立場にある。
 賠償や除染などにかかる費用を考えれば、国が支援したお金を東電に長期にわたって返済させていく今の枠組みは虚構にすぎない。東電の温存は電力市場の活性化も阻害する。
 国は事故の後始末で国民負担が避けられない現実を直視し、東電処理の新たな枠組みづくりと電力改革に腰を据えて取り組まなければならない。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120628/biz12062803090006-n1.htmより、
産経新聞【主張】電力株主総会 「原発廃止」否決は当然だ
2012.6.28 03:09 (1/2ページ)

 東京電力や関西電力など電力9社の株主総会が開かれ、「脱原発」を求める一部株主からの提案はそろって否決された。安定的な電力供給を果たすには原発が不可欠との判断を下したものだ。一時的なムードに流されなかった株主の冷静な姿勢を評価したい。
 今年の電力株主総会は東京都や大阪市などの自治体が大株主として経営改革を迫る議案を提案して注目された。
 だが、自治体と電力会社に求められているのは、安定株主と地域経済の担い手という共存共栄の関係だ。いたずらに対立するのではなく、地域の発展などで建設的な議論を進めてほしい。
 関電の総会では「全原発廃止」を株主提案した大阪市の橋下徹市長自らが出席し、「新たなエネルギー供給体制を目指してほしい」と訴えた。大阪市は原発廃止までの時期限定の運転や国からの天下り受け入れ禁止も求めた。
 これに対し、関電は「今後、相当の原発が稼働しないと継続的な経営は難しい」と回答した。大飯原発3、4号機が順調に再稼働しても、今夏の関西圏の電力不足は解消されない。
 電力会社に対し家庭や企業への安定した電力供給を促すべき自治体首長が「原発ゼロ」を求めることは妥当だろうか。原発は国のエネルギー政策の根幹を占め、国の繁栄と安全に直結する。一自治体の判断だけでは解決しない問題だからだ。株主の多くが提案の否決に回ったのは当然だった。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120628/biz12062803090006-n2.htmより、
2012.6.28 03:09 (2/2ページ)

 東電の総会では、国から1兆円の資本注入を受けて実質国有化されることが正式に承認された。国有化を柱とする東電の総合特別事業計画では、経営基盤を安定化させるため、停止中の柏崎刈羽原発を来年度に一部再稼働させることも盛り込まれている。新たに筆頭株主となる政府は、再稼働を主導する重大な責任がある。
 建設的な提言もあった。筆頭株主の東京都を代表し、猪瀬直樹副知事は「顧客第一」を定款に掲げるよう求めた。提案は否決されたが、公的資金が投入される以上、顧客志向や経営の透明性向上は当然だ。資産売却など一段のリストラにも取り組まねばならない。
 全原発の停止で電力会社の経営は火力燃料費負担で圧迫されている。経営基盤の確立は安定した電力供給の要だ。そのためにも原発の再稼働は欠かせない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012062802000126.htmlより、
東京新聞【社説】電力株主総会 原発にしがみつくな
2012年6月28日

 東京電力など電力業界の株主総会で、個人株主が「脱原発」を提案した。否決はされたが、福島第一原発事故は脱原発の流れを勢いづけている。原発に頼らない社会への期待はかき消せない。
 東電の総会に出席した株主は約四千四百人。昨年を大きく下回ったが、原発への逆風が和らいだなどと安閑としてはいけない。
 新潟県に立地する柏崎刈羽原発七基の「稼働断念、すべて廃炉」を求める四百二人の提案は否決されたものの、脱原発提案は東電だけではない。
 関西電力の筆頭株主、大阪市は橋下徹市長自ら総会に出席し、関電保有の原発十一基の速やかな廃止などを求めた。中部電力では浜岡原発から十キロ圏に位置する静岡県牧之原市が「電源喪失リスクの高い原発を利用しない」などの株主提案に賛成した。いずれの提案も原発に頼らない社会に向けて、経営の転換を求める分厚い世論が後押ししたと受けとめるべきだ。
 福島第一原発の事故から間もなく一年四カ月。電力業界は「ポスト福島」をいかに描くのか。株主総会は、その入り口すら示さずに終わった。なぜ原発にこだわり、将来を語らないのか。電力業界の不誠実さに今さらながら驚く。
 関電の大飯原発は野田政権が再稼働を決めたが、東電の柏崎刈羽原発は地元の新潟県が「福島の徹底した事故分析がない限り再稼働に同意しない」と慎重姿勢を崩さないため、火力依存を継続せざるを得ないとの判断に傾いている。
 温暖化物質の二酸化炭素排出量を減らすため、石炭火力の発電効率を50%に引き上げるIGCC(石炭ガス化複合発電)を普及させたり、七月から全量買い取りが始まる風力や太陽光などの自然エネルギーを組み込んだ経営モデルを考えていないのだろうか。
 電力各社、とりわけ事故の当事者である東電は利害関係者が株主などにとどまらず、とてつもなく広がっている現実を知るべきだ。
 賠償費用などがかさんで経営が窮地に追い込まれた東電は公的資金の投入で救済される。国民の税金であり、今や国民すべてが利害関係者というべき存在だ。原発を「電力安定供給の重要な電源」と唱えるばかりで、国民に新たな経営モデルを示さなければ怠慢のそしりを免れない。
 野田佳彦首相が表明した脱原発依存を視野に入れ、事故から何を学び、何を今後の経営に生かすのか。それこそが電力会社が向き合うべき課題、責務のはずだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628k0000m070111000c.htmlより、
社説:電力株主総会 消費者本位への転換に
毎日新聞 2012年06月28日 02時32分

 東京電力など電力大手9社が、一斉に株主総会を開いた。実質国有化される東電や大飯原発を再稼働する関西電力などには、「脱原発」や「経営の透明化」を求める株主提案が出され、長時間にわたって激しい議論が交わされた。
 各社への株主提案は、いずれも受け入れられなかった。しかし、提案の背景には、電力大手に対する国民の不信感がある。各社は株主の声を謙虚に受け止め、経営改革に取り組む必要がある。
 東電の総会には、筆頭株主の東京都から猪瀬直樹副知事が出席し、一方的な値上げ要請を批判した上で、一層の合理化を要求した。都は「経営の透明性確保」「設備投資に競争原理の導入」なども提案した。
 東電は、福島第1原発の事故に伴う損害賠償への対応や電気料金の値上げなどをめぐって、「官僚的」「独善的」との批判を浴びてきた。都の提案は、そうした国民の声を代弁するものといえるだろう。
 しかし、金融機関などの主要株主が経営側を支持したため、提案はいずれも否決された。
 一方で、公的資金による1兆円の資本注入や経営陣の刷新は承認された。国民の負担で、再建に取り組むからには、地域独占にあぐらをかいた経営は許されない。
 迅速で正確な情報発信などで経営の透明性を高めたり、競争によって電気料金の抑制に努めたりすることは当然の責務だ。否決されたとはいえ、都の提案の精神を尊重し、消費者の利益に最大限配慮する経営を実現すべきだろう。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628k0000m070111000c2.htmlより、
 関電の総会には、筆頭株主である大阪市から橋下徹市長が出席した。同市は「速やかに全原発を廃止する」との項目を定款に盛り込むよう提案した。否決されたが、原発再稼働をめぐる質問が相次ぎ、総会は過去最長の5時間半あまりに及んだ。
 他の電力各社の総会でも「脱原発」を求める株主提案が出された。こうした提案は、福島第1原発の事故以降、国民の間で原発の安全性に対する不安や、原発を運営する電力大手への不信が募っていることの反映といえる。
 原子力政策に対する政府の方針が定まらないこともあって、そうした不安や不信は一段と高まっているようだ。各社とも、安全性の確保なくして原発再稼働は認められないことを改めて肝に銘じる必要がある。
 政府は現在、電力大手による地域独占に風穴を開けるための電力制度改革の検討を進めている。電力会社の改革は急務といえる。各社は今回の総会で投げかけられた株主の問題提起を、消費者本位の経営に転換する契機として生かすべきだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012062802000125.htmlより、
東京新聞【社説】検事不起訴 身内に甘すぎる処分だ
2012年6月28日

 小沢一郎民主党元代表が強制起訴された陸山会事件で、虚偽捜査報告書を作成した検事を検察当局は不起訴とした。明らかなねつ造文書だ。これでは身内に甘すぎて、検察改革の信用も失墜する。
 「記憶が混同した」「故意ではなかった」などの検事の釈明が、一般の国民にはとても通用するとは思えない。それほどでたらめな内容の捜査報告書である。
 検察審査会が小沢元代表を起訴相当と議決した後、小沢元代表の元秘書石川知裕議員を東京地検の田代政弘検事が再聴取した。石川議員はICレコーダーで録音したため、虚偽の全容が明らかになった。
 石川議員が「検事から『議員なのにうそをついたら選挙民を裏切ることになる』と言われたのが効いた」と述べたと報告書に書かれているが、やりとりは架空だった。むしろ報告書の大半は、検事の“作文”だ。ねつ造に等しい。
 田代検事らが虚偽有印公文書作成などの容疑で告発されたが、検察当局は刑事責任を問えないと、検事全員を不起訴処分とした。身内に甘すぎる判断と言わざるを得ない。田代検事は石川議員が逮捕された際に取り調べたが、三カ月も前の記憶が混同したと言っても、国民は誰も信じはしまい。
 問題は当時の佐久間達哉特捜部長ら幹部にも濃厚にある。別の報告書は佐久間氏自ら作成した。自分が自分に対して報告するという、でたらめもまかり通っていた。しかも、報告書のほとんどは小沢元代表が陸山会事件に深く関与していたことを示す内容だ。
 そもそも検察審に検事が出向くのは、小沢元代表を不起訴にした説明をするためだ。それなのに元代表に不利な記述部分に下線を引くなどして強調したのは、市民の判断を誤らせる。小沢元代表が強制起訴されたのは、検察の詐術的な手法のせいではないか。
 田代氏は減給、佐久間氏らは戒告などの行政処分を受けたが、あまりに軽すぎる。そもそも同僚の検事に対して、適正な捜査を尽くしたかどうかも不明だ。検察審制度を恣意(しい)的に利用したとみられているのに、最高検は「誘導する意図があったとは認められない」という報告書を作成した。
 これでは検察改革で新設された監察指導部が、組織として自己弁護に終始している。この問題が検察審で審査されても、検事側に有利な書類ばかり提出されよう。市民が適正にチェックできない事態を招かないか、心配だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628k0000m070110000c.htmlより、
社説:虚偽記載処分 検察改革はまだ途上
毎日新聞 2012年06月28日 02時30分

 小沢一郎・民主党元代表の政治資金規正法違反事件に絡み、東京地検特捜部作成の捜査報告書に虚偽の記載がされていた問題で、関係者の刑事処分と懲戒処分が公表された。
 虚偽有印公文書作成容疑などで告発されていた作成者の田代政弘検事、作成を指示していた佐久間達哉・元特捜部長らについて、検察当局は不起訴処分とした。
 一連の経緯を振り返ってみたい。検察審査会は10年4月、陸山会事件で地検が不起訴とした元代表について「起訴相当」とする最初の議決をした。それを受け、元秘書で衆院議員、石川知裕被告に対する田代検事による再聴取が翌月、行われた。その後、田代検事が、元代表の事件関与を認めた石川被告とのやりとりについて実際にはない文言を記載した報告書を作り、2度目の審査会に提出した。そして、議決を経て元代表は強制起訴されたのである。
 元代表側は検察が審査会を誘導したと公判で強く批判した。また、元代表に無罪を言い渡した4月の東京地裁判決は、事実に反する内容の報告書が作られたと認定し、経緯の調査を検察に求めていた。
 27日に検察が公表した調査結果では、確かに報告書に不正確な記載はあったが、他の取り調べ時などで同趣旨のやりとりはあったと結論づけた。従って、田代検事が思い違いをしていた可能性は否定できず、故意性の認定は難しいというものだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628k0000m070110000c2.htmlより、
 事件処理を巡り、小川敏夫前法相が検察の捜査姿勢に疑念を持ち、指揮権の発動を計画したことを明らかにした。「公益の代表者」である検察が身内に甘い処分をすることが許されないのは言うまでもない。
 一方で、捜査や公訴提起が「法と証拠」に基づくのは刑事裁判のルールだ。検察審査会への申し立てがあれば、今回の処分の是非について市民目線でチェックを受ける。検察はこれまで以上に分かりやすい説明を心がけねばならない。
 調査では、検事と上司の意思疎通が不十分だったことなどを指摘し、審査会の目を曇らせないための具体策も盛り込んだ。
 また、人事上の処分として、田代検事を減給6月とした。当時の検事正や佐久間元部長ら上司4人の監督責任も問うたのは当然だ。
 大阪地検特捜部の証拠改ざん事件以後、検察に対する国民の目は厳しい。捜査や公訴提起はもちろん、再審裁判への対応など、検察権の行使は、個人の「基本的人権」と真っ正面からぶつかり得る。それだけに、個々の職員の自覚はもちろん、組織として落ち着いた適切な対応を取る体制が求められる。検察改革の原点を改めてかみしめてもらいたい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120610/plc12061003040002-n1.htmより、
産経新聞【主張】「指揮権」発言 民主党の体質に問題あり
2012.6.10 03:04 (1/2ページ)

 民主党政権下での法相は、現在の滝実法相で実に7人目となる。司法を軽んじる姿勢が、この人数にも表れているのではないか。
 小川敏夫前法相は退任会見で、陸山会事件をめぐる虚偽捜査報告書問題について、検察の捜査が消極的だとして指揮権発動を首相に相談していたことを明らかにした。
 指揮権は検察庁法14条に規定されている権限で、法相は検事総長に対し、個別捜査や起訴、不起訴の判断について指示を出すことができる。実際に発動されたのは昭和29年4月、造船疑獄で検察が自由党の佐藤栄作幹事長(当時)の逮捕を求めたのに対し、当時の犬養健法相が逮捕見送りを指示した1例だけだ。
 捜査は中止されたが、世論の反発を招いて法相も辞任した。それだけ重く、歴代法相が慎重な姿勢を示してきた権限である。そうした歴史も踏まえず、小川氏の発言は軽率のそしりを免れない。
 小川氏だけではない。滝法相も指揮権発動について「条文にある以上いざとなるとあり得るという姿勢は崩したくない」と語った。法相当時の千葉景子氏も「指揮権という権限があるから(発動も)あり得る」と述べた。
 小沢一郎元代表の秘書逮捕を受けて民主党が設置した西松建設の違法献金事件に関する第三者委員会は平成21年6月、報告書で「指揮権を発動する選択肢もあり得た」と指摘していた。一連の指揮権発言は、この報告書の延長上にあるとみられても仕方がない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120610/plc12061003040002-n2.htmより、
2012.6.10 03:04 (2/2ページ)

 滝法相はさらに、検察審査会の強制起訴制度についても見直しが必要と述べている。小沢元代表の事件との関係を否定しても、誰もそうは受け取れない。
 民主党政権は、指揮権を行使すべきケースをはき違えているのではないか。
 一昨年の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件では、本来なら起訴されて当然の中国人船長を、那覇地検が「今後の日中関係を考慮」したとして釈放した。当時の仙谷由人官房長官は「地検の判断を諒(りょう)とする」、柳田稔法相は「指揮権を行使した事実はない」と述べた。
 いわば政治判断を検察に押しつけたのだが、いっそこのとき、指揮権を発動し、内閣の意思で船長を釈放し帰国させたことを国民に明らかにして、その責めも負うべきだった。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012060801001882.htmlより、
前法相、首相止めても指揮権発動 陸山会事件の虚偽捜査報告書で
2012年6月8日 17時55分

 陸山会事件をめぐる虚偽捜査報告書問題で検事総長への指揮権発動を野田佳彦首相に相談し、了承されなかったことを明らかにした小川敏夫前法相が8日、共同通信のインタビューに応じ「首相にもう一度会い、止められても発動するつもりだった」と話した。
 今月5日に首相と面会する予定だったが、4日の内閣改造で再任されなかったため実現しなかった。
 小川氏によると、初めて首相に相談したのは5月11日。首相は驚いた様子で「時期尚早」との趣旨の発言をした。小川氏は「やるなら早くやらないといけないと思った」と振り返った。(共同)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2012年6月6日(水)付
法相の指揮権―見識欠く危うい発言だ

 いかにも軽い。積みかさねてきた議論を無視した、見識を欠く発言というほかない。
 内閣改造で法相を退いた小川敏夫氏が「指揮権の発動を決意したが、首相の了承を得られなかった」と語った。小沢一郎・民主党元代表の政治資金事件に関連して、事実と違う捜査報告書をつくった検事を起訴するよう、検事総長に命じることを考えたのだろうか。
 この検事への処分の当否は、法務・検察当局の調査結果の公表をまって考えたい。現時点での問題は、政治の世界に身をおく法相と、司法権と密接不可分な関係にある検察権との関係をどうとらえるかだ。
 法相は個々の事件の処理については、検事総長を通じてのみ指揮できる。検察の独善をおさえて民主的なコントロールの下におくとともに、政治の都合で捜査が左右されるのを防ぐために設けられた規定だ。
 私たちは指揮権の発動を頭から否定するものではない。尖閣諸島沖事件のときも、外交などすぐれて政治的な問題に重大な影響をあたえる場合、内閣として判断をすることはありうる、ただしその場合は国民にしっかり説明し、評価を仰がなければならない――と主張した。
 逆にいえば、検察の任務をこえたそのような複雑・微妙な事情がからむときに、例外的に発動されるべきものである。
 今回はどうか。
 小川氏は「検察が身内に甘い形で幕引きすれば、信頼回復はならない」と考えたという。認識は共有するが、そのことと法相が捜査について具体的に命じることとは別である。
 起訴権限は検察のためにある道具ではない。起訴、不起訴はあくまでも証拠に基づいて判断されなければならない。
 そして不起訴処分がおかしいかどうかは、国民から選ばれた検察審査会の場で、やはり証拠に基づいてチェックされる。ほかにも、公務員の職権乱用行為をめぐって被害者などからの請求をうけ、裁判所が裁判にかけるかを決める制度もある。
 「身内に甘い幕引き」があれば、こうした仕組みのなかでただすのが筋で、法相の思惑による介入は厳に慎むべきだ。
 人々が検察に向ける不信感に乗じる形で、政治があれこれ口を出し、それを当たり前と受けとめる空気が醸し出されることを、私たちは恐れる。
 政治と検察が緊張感をもって適切な均衡を保たなければ、民主主義を支える土台はむしばまれていく。国民は、そんな事態を望んではいない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012060602000130.htmlより、
東京新聞【社説】指揮権発言 軽視せずに公正捜査を
2012年6月6日

 検事の虚偽捜査報告書の作成問題で、小川敏夫前法相は検事総長への指揮権発動を考えたと公言した。検察は「身内に甘い」との指摘もあり、発言は軽視できない。公正な徹底捜査に務めるべきだ。
 検察庁法一四条に定めた法相の指揮権は、検察を民主的に統制する手段である。検察が独断に走り、ファッショ化した場合、それを止めることができない。そのため、国民に選ばれ、信任された内閣の法相にチェックする機能を持たせていると解釈されている。
 指揮権は検事総長に対してのみ発動されるが、その法相判断は正当でなければならず、国民が支持しない場合、内閣は命取りになる。実際に指揮権が振るわれたのは、一九五四年の造船疑獄のときだけとされ、内閣は総辞職に追い込まれた。
 小川氏が法相退任の会見で問題にしたのは、検事が作成した陸山会事件の虚偽捜査報告書だ。「適当に幕引きすれば、国民の信頼を得られないのではないかと心配した」「指揮権発動を考えたが、野田佳彦首相の了承を得られず、残念だ」などと述べた。
 検察捜査は公平公正で、政治に左右されてはならないのは当然だ。法相が捜査の現場を直接指揮できない仕組みになっているのは、政治の側からの不当な圧力を排除するためだ。
 それゆえ、法相の指揮権発動は軽々しいものであってはならない。今回、捜査の報告も受けておらず、証拠を見たわけでもない小川氏が、「指揮権」を口にしたのは不適当といえる。不当な圧力に当たりかねないからだ。
 ただし、このケースは、虚偽の捜査報告書を作成した検事の刑事処分について、検察当局が捜査中の事件である。身内が身内を調べている。「検察が内部のことについて消極的な場合に、積極的にさせるのは法務大臣の本来の姿ではないか」という小川氏の言葉は、検察組織に対する不信感を表している。自分の発言が、国民の支持を得られるとの政治的発言だろう。検察は常に公正でないと、政治からの介入の口実を与えてしまう。
 裁判官や検察官、弁護士の経験を持つ人物の計算した発言としても、検察当局は自らへの戒めとすべきだ。検事や幹部らへの徹底捜査は当然のことだ。「処分が身内に甘い」と国民が受け止めれば、検察審査会で厳しい判定が下されるシステムにもなっている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120606k0000m070106000c.htmlより、
社説:指揮権発動発言 あまりにも軽すぎる
毎日新聞 2012年(最終更新 06月06日 02時30分)

 発言の背景や経緯を振り返ると、あまりにも軽すぎないか。
 小川敏夫前法相が、陸山会事件の捜査報告書に検事が虚偽の記載をしていた問題に絡み「指揮権の発動を決意したが、総理の了承を得られなかった」と退任会見で述べたのだ。
 野田佳彦首相との詳しいやり取りや具体的な指揮内容については明言していないが、会見での発言に照らすと、担当した検事の起訴を促す狙いがあったとみられる。
 法相の指揮権は検察庁法に規定され、「個々の事件の取り調べや処分については検事総長のみを指揮することができる」と定められる。
 検察の暴走や行き過ぎに歯止めをかける一方で、捜査現場への不当な政治介入を防ぐのが目的だ。
 過去の発動は、1954年の造船疑獄事件の1例だけだ。この際、強い批判を浴びて、当時の犬養健法相は辞任した。内閣を揺るがしかねないほどの強い副作用があるだけに、歴代の法相は極めて抑制的に指揮権の行使と向き合ってきたのだ。
 もちろん、法律に定められた法相の権利であり、検討するのは自由だ。前法相が会見で主張した「国民の検察への信頼が損なわれている時に、検察が身内に甘い形で幕引きすると信頼は回復できない」「検察が内部の事件で消極的なら、積極ならしめるのが法相の本来の姿だ」との考え方も理解できないではない。
 では、それだけの準備をし、覚悟を持って臨んだのか。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120606k0000m070106000c2.htmlより、
 捜査報告書の虚偽記載問題は、告発を受けて検察が捜査中だ。検察幹部によると、刑事処分やそれに伴う関係者の懲戒処分について、これまでのところ前法相に報告は上がっていなかったようだ。ならば、検察当局の報告を待つなり、自ら説明を求めるのが筋だろう。「不起訴の方針」といった報道が先行したのは確かだが、証拠の内容も精査せずに捜査が不十分だとは決めつけられまい。
 さらに、国益や国家の安全に関わる重大事件ならばともかく、検事の捜査報告書虚偽記載という事案が、指揮権を発動するのに妥当なのか。
 国民が参加する検察審査会には、強制起訴の権限が加わった。証拠があるのに身内に甘い処分をすれば、審査会が厳しく検察をチェックする。大仰に「伝家の宝刀」を抜かずに、そうした制度上の役割に期待することは考慮しなかったのだろうか。
 前法相は、退任会見で突然、発動しなかった指揮権について発言し、首相が拒んだ経緯も明かした。こうした姿勢も一方的で、後味の悪さを残した。民主党政権では法相交代が続き、滝実法相で7人目だ。検察との緊張感を持ちつつも、まず腰を据えて政策に取り組んでほしい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628ddm003020148000c.htmlより、
クローズアップ2012:電力9社、株主総会 五里霧中、募る不満
毎日新聞 2012年06月28日 東京朝刊

 ◇東電再建、出足つまずき 値上げ審査、原発事故賠償…
 東京電力、関西電力など電力9社が27日、一斉に株主総会を開いた。東電は実質国有化を正式に決定したが、株主からは経営の先行きを不安視する声が相次いだ。関西電力の総会では橋下徹大阪市長が乗り込み、説明の不十分さを指弾。東電、関電ともに経営の先行きが見えないことへの株主の不満が一気に噴き出した。【和田憲二、高橋慶浩、林由紀子、茶谷亮】

 「何年たったら復配するのか」「株主も被害者だ」。東電の株主総会では、会場の株主から壇上の経営陣に激しい怒号が飛んだ。
 福島第1原発事故後の東電株価はつるべ落としの状態だった。1兆円の公的資本受け入れで1株あたりの価値はさらに薄まり、株価の動向が上向く兆しはない。東電は黒字化目標達成の前提として、電気料金値上げや柏崎刈羽原発の再稼働などを挙げているが、世論の反発は強い。経営はまさに五里霧中であることが大半の株主のいらだちの根っこにある。
 総会は勝俣恒久会長が福島第1原発事故で苦境に陥った経営への謝罪の言葉で始まった。勝俣会長は「『ゼロからの再出発』の覚悟で最大限努力する」と強調。資本注入で財務基盤を強化し、新経営陣による「新生東電」として経営再建と信頼回復に臨む姿勢を示した。
 しかし、再建への道のりは出足からつまずき気味だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628ddm003020148000c2.htmlより、
 政府が「脱原発依存」の方針を掲げる中、総会では一部の株主から柏崎刈羽原発の再稼働に反対する声や、即時廃炉などの提案が出された。同原発再稼働には地元自治体も慎重姿勢を崩していない。火力発電向け燃料費が経営に重くのしかかる中、同社は原発が1基稼働すれば年780億円のコスト削減につながると主張しているが、再稼働の見込みはたっておらず、経営再建に大きな打撃を与えかねない状況。
 7月からの家庭向け電気料金の値上げ申請に対しては、経済産業省の審査委員会で社員の給与水準や、事故を起こしていない福島第1原発5、6号機の扱いなどを巡って慎重な議論が続いており、値上げ実施は早くても8月以降にずれ込む見通しだ。
 一方、福島第1原発事故の賠償を巡る国と東電の綱引きも今後本格化する雲行きだ。広瀬直己新社長は、賠償や廃炉にかかる巨額の費用について「民間企業1社が負担するのは難しい」として国に一部負担を求めていく姿勢だ。この日の総会でも、「東電が責任を丸抱えするのはおかしい」「原発メーカーや政府の責任もなぜ問わないのか」などの意見の半面、別の立場の株主からは「福島第1原発事故は明らかに人災だ」として、賠償責任は東電が負うべきだとの声も上がった。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628ddm003020148000c3.htmlより、
 勝俣会長は、現行の原子力損害賠償法(原賠法)が定める免責条項を主張することも検討したと説明したうえで、「国ではなく被災者を相手に何年も裁判で争うのは非常に難しい」と判断した経緯を説明した。昨年8月に施行した東電の賠償支援の枠組みを定めた法律は、同法施行後1年をメドに原賠法を見直し、負担割合を決めるとしている。
 しかし、政府内には「国の原発政策の位置づけが定まらない中での議論は無意味」(政府関係者)との見方もあり、経営の先行きへの不透明感を高めている。

 ◇物言い始めた自治体 提案・質疑、経営に踏み込み
 東電、関電の株主総会に自治体トップが「物言う株主」として登場したことは、地域独占を続けてきた電力会社の経営にも微妙な影響を与えそうだ。
 東京・国立代々木競技場第1体育館で開かれた東電の株主総会に出席した東京都の猪瀬直樹副知事は、株主質問で顧客サービス重視などを定款に盛り込むよう要求。提案した4議案はいずれも否決されたが、賛成割合は約14〜21%(速報値)と株主から一定の支持を得た。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628ddm003020148000c4.htmlより、
 総会後には記者団の取材に応じ「電気料金値上げに関して説明を求めたが、常に情報を小出しにする」と批判のトーンを上げ、東電が保有する東京電力病院(東京都新宿区)が都の立ち入り検査で稼働率の低さを過去2回にわたり指摘され、現在も2割程度にとどまるのに資産売却の対象となっていないと指摘。「全然反省していない」と経営姿勢を糾弾した。
 一方、関電の株主総会は、さながら橋下市長の政治ショーだった。
 橋下氏は用意した紙を片手に「関西電力はこのままではつぶれてしまう」と切り出した。「脱原発」や「原発全廃」を直接訴えることは避けつつも、使用済み核燃料の処分場や原発に代わる電力供給体制が確立されていないことを列挙し、「衰退産業の道を歩んでいる」「将来リスクに対する説明が不十分」と訴えた。
 関電に株主提案することは、昨年11月の市長選での「公約」。「可及的速やかな全原発の廃止」など市が提案した10議案は、橋下氏の肝煎りで設置した「大阪府市エネルギー戦略会議」が中心になって練り上げた。
 しかし、市の株式保有率は約9%で、一部を共同提案した京都、神戸の両市を合わせても約13%どまり。定款変更を伴う議案の可決には3分の2以上の賛成が必要で、否決されることは織り込み済み。
 株主1人の質問持ち時間は3分間だが、橋下氏の質問は約4分間に及び、経営陣との質疑で自らの存在感をアピールする狙いは明白だった。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120628ddm003020148000c5.htmlより、
 退場する際にも、橋下氏は「答弁もれだ」「議事停止の動議です」などと大声を出し、他の株主から喝采とヤジを浴びた。
 橋下氏は総会後、「僕は中長期的なエネルギー政策を論じる『第2ステージ』に入ったと思っている」と満足げに語った。
 大阪市が提案した「速やかな全原発の廃止」への賛成率は約17%だったほか、神戸市と京都市が共同提案した「原発に依存しない電力供給体制の早期構築」提案は約22%の賛成を集めた。昨年の総会では市民グループが「脱原発」を株主提案したが、賛成率は3・9%にとどまっていた。

 ◇東電の総合特別事業計画骨子◇
・政府が1兆円の公的資本を注入し、議決権の50%超(実質3分の2以上)を取得
・下河辺新会長がリーダーの「経営改革本部会議」設置
・社外取締役が過半の「委員会設置会社」に移行
・家庭向け電気料金を10.28%値上げ。柏崎刈羽原発の13年度中の再稼働を前提
・10年間で3兆3650億円規模のコスト削減
・取引先金融機関に1兆円の追加融資要請
・14年3月期に最終損益を黒字化
・燃料・火力、送配電、小売り部門を社内分社化
・液化天然ガスを他社と共同調達
・火力発電所の設備更新に外部資本を活用