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月別アーカイブ: 8月 2012

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012083100262より、
地方交付税、道府県は3分の1に=財源枯渇で、支出先送り-政府

 政府は31日午前の閣議で、2012年度予算の執行を抑制する方針を確認した。赤字国債発行に必要な特例公債法案の今国会成立は絶望的で、11月初旬に財源がほぼ底を突く異常事態に陥る。このため、地方交付税交付金の道府県分を3分の1に減額するなど、9月以降の支出を一部先送りする。政府の本格的な執行抑制は初めて。今後、最終調整を急ぎ、来週中に閣議決定する方針だ。
 安住淳財務相は記者会見で「このままでは財源枯渇は現実となる」と強調、執行抑制に理解を求めた。
 地方交付税は、9月4日に予定される4兆円強の支払いをひとまず延期。このうち、約2.1兆円の道府県向け支給額を3分の1に圧縮し、1.4兆円程度の支出を法案成立後に先送りする方向で、財務、総務両省が詰めの協議を行っている。(2012/08/31-13:05)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012083101001394.htmlより、
国立大交付金50%停止 公債法案未成立で
2012年8月31日 11時52分

 安住財務相は31日の閣議後の記者会見で、赤字国債の発行に必要な公債発行特例法案の今国会での成立が絶望的なことを受け、9月以降の2012年度予算執行の抑制策を発表した。国立大学法人と独立行政法人向けの運営費交付金を3カ月ごとに予算の50%を支払い停止し先送りにすることや、庁舎運営費などの行政経費を予算の50%以下に抑制することなどが柱。地方交付税の支払いも一部を当面延期する。
 政府が本格的な予算の節約に踏み切るのは初めて。財政は異例の事態になる。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120831/k10014676221000.htmlより、
“財源枯渇しかねない”予算執行を抑制
8月31日 11時34分

政府は、今年度予算の財源を確保するための「赤字国債発行法案」が成立する見通しが立たないことから、「財源の枯渇が現実のものとなりかねない」として、来月予定していた4兆円の地方交付税の支出を延期するなど、予算執行を抑制することを決めました。
今年度予算は、一般会計の総額90兆3000億円のうち38兆3000億円分を赤字国債で賄うことになっていますが、赤字国債発行法案の成立の見通しが立っておらず、財務省によりますと、このまま予算の執行を続けると、税収などの裏付けのある財源を10月から11月にかけて使い切る計算です。
このため政府は「今の国会中に法案が成立しなければ、財源が枯渇する懸念が現実のものとなりかねない」として、来月以降、予算執行を抑制することを決めました。
それによりますと、自治体の財源不足を補うため地方自治体に支給する地方交付税は、来月4日に予定されていたおよそ4兆円の支出をいったん延期します。
また、各省庁などの経費や国立大学への交付金、それに私学助成などは、支払いを半分以下に抑えるほか、財源確保のため一般会計から特別会計への繰り入れをできるだけ抑制するなどとしています。
政府は、引き続き法案の成立を働きかけていくことにしていますが、参議院で野田総理大臣への問責決議が可決されたことで法案の成立は極めて難しい情勢で、政府は国会の閉会に合わせて、こうした方針を閣議決定することにしています。
これについて安住財務大臣は閣議のあとの会見で、「このままいけば国民の生活、それを支える地方自治体の行政運営、国の行う事業などに支障が出てくるおそれがある。政治的に難しい状況であることは十分、認識しているが、国民の生活を守るためにも、この法案だけは与野党の合意で成立を図ってほしい」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120830/k10014663651000.htmlより、
財務 地方交付税の減額検討
8月30日 21時4分

安住財務大臣は、30日、地方6団体が出席した「国と地方の協議の場」で、今年度予算の執行に必要な「赤字国債発行法案」が今の国会で成立しない場合には、予算の執行を抑制するため、自治体の財源不足を補う地方交付税の一時的な減額などを検討する考えを示しました。
「赤字国債発行法案」は、参議院で野田総理大臣に対する問責決議が29日、可決され、今の国会での成立が見通せない状況で、政府は、このまま予算の執行を続ければ、財源が枯渇するおそれがあるとして、予算の執行を抑制する方針を固めています。
こうしたなか、30日、総理大臣官邸で開かれた「国と地方の協議の場」で、全国知事会の会長を務める京都府の山田知事は「地方交付税を抑制する場合は、特に財政基盤が弱い市町村に配慮してほしい」と要望しました。
これに対し、安住財務大臣は「地方交付税は金額が大きいので、予算の執行を抑制する対象にせざるをえない」と述べ、地方交付税の一時的な減額などを検討する考えを示しました。
また、川端総務大臣は「地方交付税は、地方の財源の2割を占めており、できるだけ工夫をして自治体の財政に影響が出ないよう配慮したい」と述べました。
このあと、山田知事は記者団に対し「赤字国債発行法案は政局的に扱われ、地方がものを言いづらい状況になっている。財政力の弱い自治体にしわ寄せがいかないよう与野党がしっかり話し合ってほしい」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120830/k10014658751000.htmlより、
輿石氏“規制委人事 首相の任命も”
8月30日 19時17分

民主党の輿石幹事長は記者会見で、政府が国会に提示した「原子力規制委員会」の人事案について、今の国会中に衆・参両院で同意が得られなかった場合には、法律の規定に基づいて野田総理大臣が委員を任命することで対応すべきだという考えを示しました。
来月発足させる方針の「原子力規制委員会」の人事案については、政府が先月、国会に提示しましたが、与野党双方から撤回を求める意見が出たことなどから、衆・参両院とも同意するかどうかの採決が行われていません。
これについて輿石幹事長は記者会見で、「国会で人事を決められなかった場合は、政府の責任で決めることができるというのが法律の中身だ。それも含めて判断すればいい」と述べ、今の国会の会期内に衆・参両院で同意が得られなかった場合には、法律の規定に基づいて野田総理大臣が委員を任命することで対応すべきだという考えを示しました。
「原子力規制委員会設置法」には、国会の閉会または衆議院の解散のために衆参両院の同意を得ることができないときは総理大臣が委員を任命することができるという規定があります。
ただ、その場合も、任命したあとに国会の同意を得なければならないと定められていることから、城島国会対策委員長は、記者団に対し「調整がつかなければ、総理大臣が任命することになるが、いずれにしても次の国会で同意が必要になる話であり、今国会中の同意を目指したい」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120830/k10014656831000.htmlより、
志位氏 “「増税連合」に痛打を与えた”
8月30日 18時32分

共産党の志位委員長は記者会見で、野田総理大臣に対する問責決議の可決について、「民主・自民・公明の3党による『増税連合』に痛打を与えることができた」としたうえで、野田総理大臣に対し速やかに衆議院を解散するよう求めていく考えを示しました。
この中で志位委員長は、共産党を含む野党7会派が提出した野田総理大臣に対する問責決議が、自民党も賛成して可決されたことについて、「非常に重要な成果だ。民主・自民・公明の3党による『増税連合』に痛打を与え、深刻な亀裂を作り出した。自民党は、消費税率の引き上げを進めておきながら、増税を批判する内容の問責決議に賛成し、自己破綻に陥った。公明党は、採決を欠席したことで、増税の急先ぽうである姿を示した」と指摘しました。
そのうえで志位氏は、「今の国会が閉会しても、問責決議の効力はなくならない。野田政権は『政治を変えてほしい』という政権交代に託した国民の願いを裏切るなど、国政を担う資格はなく、評価できる点は1つもない」と述べ、野田総理大臣に対し速やかに衆議院を解散するよう求めていく考えを示しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120830/k10014655571000.htmlより、
野党7党 衆議院でも採決に応じず
8月30日 17時46分

国民の生活が第一や共産党など、野党7党の国会対策委員長らが会談し、29日、参議院本会議で野田総理大臣に対する問責決議が可決されたことを受けて、衆議院でも政府が提出した法案や人事案の審議や採決には応じない方針を確認しました。
会談には、国民の生活が第一、共産党、新党きづな、社民党、みんなの党、新党大地・真民主、新党日本の野党7党の国会対策委員長らが出席し、29日、参議院本会議で野田総理大臣に対する問責決議が可決されたことを受けて、衆議院での対応を協議しました。
この中で出席者からは、「一般の閣僚ではなく、総理大臣に対する問責決議が可決された事実は重い」、「参議院での問責決議の可決は衆議院でも尊重すべきだ」といった意見が相次ぎました。
そして、野党7党として、政府が提出した法案や「原子力規制委員会」などの人事案については審議や採決には応じない方針を確認しました。
一方で、議員立法で提出された法案のうち、C型肝炎に感染した患者を救済するための法案など、与野党で合意する見込みがある法案については、必要性を判断したうえで審議や採決に応じることで一致しました。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012083001001551.htmlより、
新規国債は52・5兆円 20年度、借金依存続く
2012年8月30日 16時27分

 内閣府がまとめた「経済財政の中長期試算」で、2020年度の新規国債発行額が52兆5千億円に拡大すると見込んでいることが30日分かった。高齢化に伴う社会保障費の増加を消費税率引き上げで賄い切れないためだ。歳入の多くを借金に依存する構図は変わらず、財政再建へ険しい道のりが続く。
 基礎年金の国庫負担に充て消費税増税分で返済する「つなぎ国債」を含め、12年度は新たに46兆8千億円の国債を発行する予定。13年度と、消費税率を段階的に引き上げる14、15年度の新規発行は前年度より減るが、16年度からは再び増加に転じる見通し。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120830/k10014651291000.htmlより、
山口代表 “早期解散に踏み切るべき”
8月30日 15時10分

公明党の山口代表は党の中央幹事会で、野田総理大臣は、問責決議の可決を受けて衆議院の早期解散に踏み切るべきだという考えを示しました。
この中で山口代表は、29日の参議院本会議で野田総理大臣に対する問責決議が可決された際、公明党が採決を欠席したことについて、「国民の生活が第一などが提出した問責決議案は3党合意に基づく社会保障と税の一体改革を否定する内容で、到底賛同できなかったが、野田内閣の免責もできず、退席という行動を取った。ただ、与党側から『公明党は良識を示した』と言われるのは、はなはだ片腹痛い」と述べました。
そして山口代表は、「公明党も、野田総理大臣が問責決議に値するという評価は下している。衆議院の解散権を持っている野田総理大臣が、みずから『常在戦場』と言った意味は極めて大きく、近いうちに衆議院の解散・総選挙を決断せざるをえないと決意した証しだ」と述べ、野田総理大臣は衆議院の早期解散に踏み切るべきだという考えを示しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120830/k10014648521000.htmlより、
首相“法案成立へ野党に働きかけを”
8月30日 14時1分

野田総理大臣は、民主党の城島国会対策委員長と会談し、「問責決議が可決されたが、必要な法案の成立に向け、引き続き努力してほしい」と述べ、今の国会の会期内に赤字国債発行法案などを成立させることを目指し、野党側に働きかけを続けるよう指示しました。
会談で、城島国会対策委員長は、「まだ国会の会期が残るなか、問責決議が可決されたことは残念だ。ただ、赤字国債発行法案や衆議院の選挙制度を改革するための法案など、重要な法案の審議は粛々と進めていきたい」と述べました。
これに対し野田総理大臣は、「問責決議が可決されたが、必要な法案の成立に向け引き続き努力してほしい」と述べ、今の国会の会期内に赤字国債発行法案などを成立させることを目指し、野党側に働きかけを続けるよう指示しました。
会談のあと、城島氏は記者団に対し、「この時期に問責決議が可決されたことは、野田総理大臣も心外だと思う。参議院に送った赤字国債発行法案だけでなく、衆議院に残っている国家公務員制度改革関連法案など、必要な法案の審議は進めていきたい」と述べました。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012083001001200.htmlより、
財政赤字の半減目標は達成可能 消費増税と歳出抑制で
2012年8月30日 12時14分

 国と地方の財政の将来像を示す内閣府の「経済財政の中長期試算」が30日、分かった。消費税増税と歳出抑制の継続により、2015年度の国と地方の基礎的財政収支の赤字を国内総生産(GDP)比で10年度から半減させる財政健全化目標は達成できると明記。ただ20年度に収支を黒字化する目標には届かず、消費税で5・6%分に当たる15・4兆円の赤字と試算した。
 内閣府は試算を31日の閣議に提出する。試算は消費税率が10%では収支の黒字化が難しいことを示した。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012083000341より、
問責可決、早期解散を=公明代表

 公明党の山口那津男代表は30日午前の党中央幹事会で、野田佳彦首相に対する問責決議の可決に関し、「(民主、自民、公明の)3党合意は放棄されたという批判は全く当たらない」と指摘した。「(3党合意で)残るは『国民に近いうちに信を問う』ということだ。問責可決はその前提をつくるものだ」とも述べ、首相に早期の衆院解散を求めた。
 山口氏は、首相が29日に民主党の会合で「常在戦場で着々と(衆参両院の選挙)準備を進めてもらいたい」と述べたことに触れ、「解散権を持っている首相が自らの口で『常在戦場』と言った意味は極めて重い。近いうちに解散を決断せざるを得ないと自ら内心決意した証しだ」と語った。(2012/08/30-11:35)

http://mainichi.jp/select/news/20120830k0000m020109000c.htmlより、
予算:初の執行抑制へ…特例公債法案の成立困難
毎日新聞 2012年(最終更新 08月30日 07時01分)

 野田佳彦首相に対する問責決議が29日可決され、赤字国債発行に必要な特例公債法案の今国会での成立が困難になったことを受け、政府は9月から今年度予算の執行を抑制する方針を固めた。予算執行の抑制は初めてで、当面は自治体に配る地方交付税の支払い先送りなどで4兆〜5兆円の抑制を目指す。安住淳財務相が31日にも執行抑制案を示し、国民に理解を求める。国会空転で、消費増税に伴う低所得者対策の柱である「給付付き税額控除」導入に必要な共通番号(マイナンバー)法案も宙に浮き、与野党対立の激化が国民生活に影響を及ぼしかねない状況だ。【工藤昭久、清水憲司】

 ◇「マイナンバー」も宙に
 政府は今年度予算に盛り込んだ政策の資金的裏付けとなる一般会計歳入(90.3兆円)の約4割に当たる38.3兆円分の財源を赤字国債発行で賄う予定。財務省によると、特例公債法案が未成立なまま現行ペースの支出を続けると、10月には財源が底を突き、行政サービスの停止にもつながりかねない。このため、予算の一部執行を遅らせて、財源を節約することにした。

http://mainichi.jp/select/news/20120830k0000m020109000c2.htmlより、
 財務省はすでに、9月4日に自治体に配分する予定の地方交付税交付金(約4兆円)の支払い延期で総務省と調整中。自主財源が乏しく交付税への依存度が高い自治体については、行政サービスの停滞を避けるため、例外扱いすることも検討している。
 政府は特例法無しで発行が可能な建設国債を財源とする公共事業以外は、国庫支出を極力抑制したい考え。10月19日に約80億円の配分を予定する政党交付金や、国立大学法人向け補助金の配布先送りなども検討する。各省庁には出張費や物品費などの抑制を求める。
 ただ、生活保護費など予算執行を抑制すれば、深刻な影響が予想される政策については対象外とする方針。安住財務相は28日の記者会見で「国民生活に影響を与えないやり方を提案させていただく」と強調した。
 一方、国民1人ずつに番号を割り振り納税や社会保障の情報を一元管理する「マイナンバー法案」の成立見通しが立たないことは、消費増税の焦点の低所得者対策をめぐる議論を停滞させる恐れがある。

http://mainichi.jp/select/news/20120830k0000m020109000c3.htmlより、
 消費増税法の今国会成立では協調した民主、自民、公明3党は、15年10月の税率10%への引き上げ時の低所得者対策として、税金を還付したり現金を給付したりする「給付付き税額控除」か、食料品や新聞、書籍などの税率を低くする「軽減税率」を導入する方向で一致。一時は給付付き税額控除に不可欠なマイナンバー法案の今国会成立で歩み寄る兆しを見せたが、野田首相の問責可決で成立が見通せなくなった。
 民主党税制調査会は、給付付き税額控除の仕組みを活用し失業者に就労を促す「勤労税額控除」や、子育てを支援する「児童税額控除」も行う検討を始めたばかり。しかし、衆院解散・総選挙をにらむ自公は国民により分かりやすい軽減税率採用を求める姿勢を一段と強めると見られ、低所得者対策の行方は見通せない状況だ。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120830/k10014639081000.htmlより、
衆院解散 会期内せず秋以降に
8月30日 5時43分

国会は、野田総理大臣に対する問責決議が参議院で可決され、自民・公明両党は、衆議院の早期解散を迫ることにしていますが、野田総理大臣は、来月8日までの今の国会の会期内に解散はしない方針で、衆議院の解散は、ことし秋以降になる見通しです。
これを受けて当面の焦点は、来月の民主・自民両党の党首選挙の行方に移ります。
国会は、国民の生活が第一やみんなの党など野党7会派が提出した野田総理大臣に対する問責決議の採決が29日、参議院本会議で行われ、自民党も賛成して野党側の賛成多数で可決されました。
公明党は、消費税率引き上げに反対する問責決議には賛成できないとして、採決を欠席しました。
そして、自民・公明両党は、問責決議を受けた野田総理大臣の下では、基本的に国会審議に応じることはできないとして、今の国会だけでなく、秋に臨時国会が開かれても冒頭から審議に応じない構えで、野田総理大臣に衆議院の早期解散を迫っていくことにしています。
これに対し、野田総理大臣は、社会保障と税の一体改革関連法の成立を受けて、今後の社会保障制度の在り方を検討する「国民会議」の速やかな設置や国会議員の定数削減などにみずから道筋をつけたいとして、来月8日までの今の国会の会期内に衆議院は解散しない方針です。
さらに、野田総理大臣は、今年度予算の執行に必要な赤字国債発行法案や、1票の格差是正や定数削減など衆議院の選挙制度を改革するための法案などを秋の臨時国会で成立させたいとしていることから、衆議院の解散はことし秋以降になる見通しです。
ただ、今の国会で積み残されている課題のうち、政府が国会に示した「原子力規制委員会」の人事案や、参議院の1票の格差を是正するため選挙区の定員を4増4減する法案については、会期内に結論を得るべきだという意見もあり、与野党間で協議が行われる見通しです。
一方、野田総理大臣は、来月21日に行われる民主党の代表選挙を巡って、みずからのグループの幹部などに対し、政権公約として掲げる政策の具体的な検討作業に入るよう指示し、再選に向けた準備に入りました。
また、自民党内でも、谷垣総裁をはじめ、複数の議員が総裁選挙への立候補に意欲を示すなど動きが活発化しており、当面の焦点は、来月の民主・自民両党の党首選挙の行方に移ります。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120830/k10014638461000.htmlより、
政府 予算の執行抑制の方向で調整
8月30日 4時28分

今年度予算の執行に必要な「赤字国債発行法案」の今の国会での成立が難しくなったことを受け、政府は、このままでは財源が枯渇するおそれがあるとして、地方交付税の支給を、来月から一部減らすなど、予算の執行を抑制する方向で、調整を進めることになりました。
「赤字国債発行法案」は、29日、参議院で野田総理大臣に対する問責決議が可決され、今後、自民党や公明党が審議に応じない見通しになったことから、成立は極めて難しい状況です。
今年度予算のうち、赤字国債を発行しなくても税収などで財源の裏付けのある予算額は46兆1000億円ですが、財務省によりますと、今のまま予算執行を続ければ、早ければ10月にも歳出がこれを上回り、事実上、財源が枯渇するということです。
このため政府は、予算執行を抑制する方針を固め、来月、全国の地方自治体に支給する地方交付税およそ4兆円の減額や、政党交付金の支給を遅らせるほか、国立大学への交付金といった、いわゆる補助金を半減する方向で、調整を進めることになりました。
予算の執行抑制が実施されれば、戦後初めての異例の事態となります。
こうした方針は、31日にも、安住財務大臣が発表することにしていますが、政府としては、生活保護や年金など国民生活に直接、影響するものは、当面、予定通り支給するとしています。

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012082901024より、
予算執行4兆~5兆円抑制=重要法案先送り、対応に苦慮-政府

 野田佳彦首相に対する問責決議が29日可決され、赤字国債の発行に必要な特例公債法案の今国会成立は絶望的となった。2012年度予算が成立してから5カ月たっても、歳入の約42%に当たる38兆円超の赤字国債を発行できない異常事態だ。政府は財源の枯渇で行政サービスが滞る事態を回避するため、9月以降に予定される予算執行を4兆~5兆円程度抑制する方向で調整を急ぐ。
 特例公債法案が審議未了のまま廃案となった場合、政府は秋の臨時国会に再提出し、成立を目指す。成立までは、地方交付税の支払いや政党交付金、国立大学法人の運営費などの支給を遅らせて当座をしのぐことになる。(2012/08/29-21:09)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082901001737.htmlより、
政府、初めて予算執行抑制へ 赤字国債発行法案めど立たず
2012年8月29日 17時52分

 政府は29日、赤字国債の発行に必要な公債発行特例法案の成立のめどが立たないため、9月から2012年度予算の執行を抑制する方針を固めた。自治体に配る地方交付税の支払いを延期したり、政党交付金の支給額を減らしたりすることを検討。政府が本格的に執行抑制するのは初めてで、与野党対立が国民生活に影響を与えかねない異例の事態に発展する。
 安住淳財務相は29日、首相官邸で野田佳彦首相と会い、検討中の予算執行抑制策を説明した。安住氏は31日の閣議で具体的なメニューを示し、関係閣僚に協力を求める。(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012083102000137.htmlより、
東京新聞【社説】社会保障会議 抜本改革はやらぬのか
2012年8月31日

 野田佳彦首相への問責決議が参院で可決され、与野党の対立は決定的だ。年金や医療などの抜本改革を話し合う社会保障制度改革国民会議の設置はめどが立たない。これでは増税だけになる。
 改革をやる気があるのか。国会の体たらくを見ているとそう思わざるを得ない。今国会で取り組むべき最大の課題は社会保障と税の「一体」改革だったはずだ。
 政府・民主党は消費税を増税し、それを社会保障の財源に改革案を提示した。だが、消費税増税に一直線に突き進んだ姿勢とは対照的に、改革案は現行制度の手直しに終始した。社会保障制度の再構築に真剣に取り組む政治姿勢は、全く感じられなかった。
 野党からも年金などの将来像をしっかり示せと注文が付いた。政府はマニフェストに盛り込んだ最低保障年金制度などを提示したが、自民、公明両党が反発すると大幅に譲歩した。「ねじれ国会」の参院では、消費税増税法案可決に両党の協力が必要だからだ。
 社会保障の抜本改革は、増税法案協力と引き換えに国民会議を設置し一年以内に結論を出すことで自公両党と合意した。改革は先送りされた。
 さらに自公が首相の問責決議を提出・可決したことで、国民会議は設置すら見通しが立たなくなった。政局に明け暮れ社会保障改革は眼中にないようだ。民自公の三党合意は改革を口実にした増税だけが目的だったのではないか。
 国民から税や保険料としてお金を集め生活の安心を支えるために年金や医療、介護、子育て支援に分ける。これが社会保障の基本だが、だれから集めだれに分けるかには所得再分配の難しい判断が要る。だから党利党略を超えた政治主導が求められる。
 福祉国家のスウェーデンは年金改革の際、主要政党の代表者が参加する検討会を設置し議論した。その後、二度の政権交代を経験したが制度は政争の具になることはなかった。制度存続の危機感と解決するとの決意を政治の責任として各党が共有したからだ。
 社会保障は持続可能なものにしてこそ将来の安心につながる。どの政党が政権を担っても信頼される制度に改革する必要がある。だが、今国会の混乱ぶりからはそんな気概は見えない。
 国民会議の設置期限は一年しかない。このままでは増税だけに終わる。与野党は政治の責任をきっちり果たすべきだ。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120822/k10014452111000.htmlより、
民主 国民会議の早期設置確認
8月22日 13時6分

民主党は、22日に開かれた厚生労働部門会議で、今後の社会保障制度の在り方を検討する「社会保障制度改革国民会議」を早期に設置するため、自民・公明両党に協力を求めていくことを確認しました。
今後の社会保障制度の在り方を検討する「社会保障制度改革国民会議」を設置することを柱とした「社会保障制度改革推進法」が、22日に施行されたのを受け、政府・民主党は速やかに「国民会議」を設置し、議論に入りたいとしていますが、自民党が、衆議院選挙後に取り組むべき課題だなどとしているため、設置のめどは立っていません。
こうしたなか、22日に開かれた民主党の厚生労働部門会議で、出席者から「『国民会議』はきょうから1年以内に結論を出すことになっており、自民党のような悠長な話はしていられない。社会保障制度は政局抜きに議論すべきだ」などという意見が出されました。そして、「国民会議」の早期の設置に向け、自民・公明両党に協力を求めていくことを確認しました。また、部門会議では、来年度・平成25年度予算案の概算要求に関連して、高齢化の進展に伴って、社会保障費が増加する分は削減の対象とすべきではないという意見が出されました。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120820k0000m070089000c.htmlより、
社説:社会保障国民会議 もう政争の具にしない
毎日新聞 2012年08月20日 02時31分

 誰しも老後の生活は不安なものである。その不安をあおって政権批判をすれば国民には受けるだろう。しかし、現実的な代案や財源がなければ何も進まず、停滞の泥沼に引きずり込まれていくだけだ。この数年の政治がそうだった。
 税と社会保障の一体改革の3党合意で盛り込まれた「国民会議」は、とかく政争の具にされてきた社会保障改革を現実的に進める原動力となる可能性がある。もとは民主党の最低保障年金案を棚上げするために自民党側が出した助け舟とも言われているが、それぞれの党内事情を乗り越えてここまでたどり着いたのだ。大事に機能させたい。
 構想の下敷きは福田康夫政権下で08年に行われた「社会保障国民会議」だ。民間の有識者が集まり、年金・雇用、医療・介護・福祉、少子化とワーク・ライフ・バランスをテーマに分科会を設置した。詳細にデータを分析し、将来像を示しながら議論を収れんさせていった。
 それから4年が過ぎ、今は生活困窮や社会的孤立、若者の雇用危機、子育て支援などが大きな問題として浮上している。低無年金と生活保護、高齢者雇用と年金支給年齢など各制度は複雑に絡まり合っており、総合的な診断と処方箋が必要だ。財源問題も含めて社会保障を再検証し将来像を示す意義は大きい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120820k0000m070089000c2.htmlより、
 気になるのは設置時期と委員の構成だ。3党合意では国民会議の議論を経て1年以内に必要な措置を取ることになっているが、「近いうち」の解散の前に同会議を設置するかどうかで与野党の見解は分かれる。解散になればまた人気取りに走ることにならないか。財源の裏付けのない夢のようなマニフェストで選挙を戦って、その後に国民会議で現実的に話し合うことができるだろうか。
 委員は民間の有識者だけでなく「国会議員の兼務も妨げない」とされている。利害関係団体は除くとしても、各党の政策決定に直接つなげる意味では国会議員も議論に加わった方がいいのではないか。すでに議論が出尽くし政治決断をするだけという課題も少なくない。
 05年には衆参各党議員だけで年金問題を論議した「両院合同会議」が行われ、多岐にわたる年金の論点を煮詰めたこともある。この時は全体の見解をまとめるところまで行けなかったが、民自公が一致して消費増税を成立させた今なら違う展開になるのではないだろうか。
 少子高齢化と膨大な財政赤字を抱えた現状で社会保障の持続可能性を維持するには、消費増税だけでなく国民に不人気な制度改革もせざるを得ない。決められる政治をするために国民会議の役割に期待したい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2012年8月19日(日)付
社会保障改革―孫の顔を思い描けば

 年金生活を送る皆さん。
 お盆で、久しぶりに子どもや孫の顔をみて喜んだ方も多いのではないでしょうか。
 でも、子育て真っ最中の息子や娘から「いまの年金は高すぎる。私たちは損ばかり」とか、「病院に行ったら、窓口負担をもっと払って欲しい」と言われたら……。
 「私たちも苦労したし、保険料はちゃんと払った。年金や医療を受ける権利がある」とやり返したくもなる。険悪な雰囲気になるのは間違いありません。
 いま、日本社会はそんな難しい局面にあります。
 高齢者に厚く、現役世代に薄い日本の社会保障は、少子高齢化が進むなかで見直さざるをえません。世代間でどうバランスをとればいいのでしょう。
 国会で消費税の増税が決まった後、「社会保障の効率化や切り込みが不十分だ」という意見が目立っています。
 年金を引き下げたり、支給開始年齢を遅らせたりする。医療費では、1割に据え置いている70~74歳の窓口負担を法律通り2割にする。いずれも政府内で検討されたのに、法案には盛り込まれませんでした。
 政治家が、有権者としてパワーを持つ皆さんの反発を恐れているからです。物価が下がった時に据え置いた年金を本来の額に戻す法案すら、実質的な審議に入れないままです。
 年金額の引き下げや窓口負担増に敏感になるのは、よくわかります。もう自ら働いて稼ぐのは難しい。病院に通う回数も多くなりますから。
 しかし、子や孫の生活も考えてみましょう。リストラや給与削減、住宅ローンや教育費で苦しんでいないか。その割に税金や保険料の負担が重くないか。国の借金をこれ以上増やすと、孫の世代に大増税が必要になるのではないか――。
 「しょっちゅう、小遣いを渡している」だけでは、社会全体には広がりません。
 むろん、生活が苦しいお年寄りがいます。高齢者世帯の1割は貯蓄がゼロで、生活保護を受ける4割は高齢者世帯です。
 一方で、1割は3千万円以上の蓄えがあり、土地などの資産を持つ人も多いのです。
 裏返せば、年齢だけで一律に医療の窓口負担を軽くしたり、保険料を低くしたりすることは理屈に合いません。
 まずは自分たちの負担分を少しでも増やす。そのうえで、年齢にかかわらず所得と資産に応じて負担し、必要な給付は受けられるような制度にする。そう進むべきだと思いませんか。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120817/plc12081703060004-n1.htmより、
産経新聞【主張】社保国民会議 今国会で早く発足させよ
2012.8.17 03:06 (1/2ページ)

 民主、自民、公明3党には、難題が待っている。成立した社会保障・税一体改革関連法に基づき、社会保障費に切り込む具体策づくりを実行する「社会保障制度改革国民会議」を、今国会の会期中(9月8日)に発足させることだ。
 一体改革関連法は、「増税」を優先させた。社会保障制度の抜本改革については棚上げし、国民会議で議論して1年以内に法制上の措置を講じるとした。結果として、高齢化により膨らむ年金や医療、介護費用の抑制への道筋を付けるどころか、低所得者に過度に配慮するなど膨張を加速させる内容となった。
 消費税率引き上げが決まり、当面の社会保障費の安定財源確保にめどがついたとはいえ、高齢者を含め支払い能力に応じて負担する仕組みに改めなければ、制度は早晩維持できなくなる。
 関連法で先送りされた70~74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げや、デフレ下で年金額を下げる自動調整の仕組み、年金の支給開始年齢の引き上げなど、国民に痛みを求める改革から逃げるわけにはいかない。
 民主党が掲げる最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止なども検討課題となろうが、現実的な政策の議論にこそ時間を割くべきだ。政府・民主党は莫大(ばくだい)な費用を要するこれらの政策をただちに白紙撤回すべきである。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120817/plc12081703060004-n2.htmより、
2012.8.17 03:06 (2/2ページ)

 これら以上に心配なのは、自民、公明両党が早期の衆院解散を求める姿勢を強め、民主はこれに対抗するという政治の駆け引きに時間を取られ、国民会議の発足が後回しにされかねないことだ。
 そうでなくとも、社会保障の抜本改革には時間を要する。国民会議の始動が遅くなれば、1年以内の改革実現が遠のくばかりか、消費税増税前に中長期的な社会保障改革の全体像を示せない事態にも陥る。「衆院選後に、改めて仕切り直し」などということは、万が一にもあってはならない。
 繰り返すまでもないが、長いスパンで運営される社会保障制度は、政権交代のたびに変えるわけにはいかない。社会保障制度改革は政局と切り離した議論の場を常設する必要がある。
 野田佳彦首相はこのことを肝に銘じ、政権の責任で国民会議を発足させるべきだ。そしてそれが「超党派合意のモデル」となるなら、将来的な意義も大きい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2012年8月31日(金)付
エネルギー政策―原発ゼロの時期明示を

 原発への依存度を減らす新しいエネルギー戦略の策定が大詰めを迎えた。国民的議論のまとめを終え、週明けにも政治決定に向けた会合が開かれる。
 多様な手法による国民的議論は、「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会を望んでいる」と総括された。
 野田政権はこれを重く受け止め、原発をゼロにすることと、その実現時期の目標を明確に打ち出すべきだ。
 国民的議論のまとめでは、約8万9千件に達したパブリックコメントをはじめ、意見聴取会や各種団体から寄せられた声を集計し、意見の背景となる理由や問題意識を分類した。
 討論型世論調査といった新しい手法にも取り組んだ。全体の総括にあたっては、世論調査やコミュニケーションの専門家による第三者評価も受けた。
 手順には混乱や未熟さも見受けられたが、一つの課題に政治がここまで「民意のありか」を探ることに手間をかけ、「見える化」した例はないだろう。
 エネルギー政策はそれだけ重く、むずかしいテーマであり、だからこそ、今回得られた成果は、政権交代や党首の違いを超えて尊重すべきだ。
 もちろん、原発ゼロの実現には多くの課題があり、不確実な要素も多い。
 このため、政府内では「将来のゼロはうたうが、実現時期は明示しない」とする案も検討されているという。
 だが、あいまいな結論では、政治に対する国民の不信が募るだけだ。電力市場への投資意欲も高まらず、発電の新たな担い手や革新的なアイデアが育つ余地を狭めかねない。
 課題の克服度合いを確認しながらスピード調整する余地は残してもいいが、まずは目標時期を設けるべきだ。
 「過半が脱原発」の総括を裏返せば、「原発が要る」と考えている人が一定割合いると読み取れる。脱原発が望ましいが、電力不足や電気料金の高騰を招いては困ると考える人は少なくないだろう。
 政府の分析でも、原発ゼロへの不安や問題意識として、自然エネルギーや省エネの普及に対する実現性や、電気料金の値上げ・電力不足が雇用や経済に与える影響、福島の事故処理や核燃料の処分・廃炉作業を進めていくうえでの人材確保などの論点があげられた。
 政治決定の際には、こうした課題について、具体的なデータや取りうべき政策も、ていねいに説明し、理解を得る作業が不可欠だ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120831/plc12083103320004-n1.htmより、
産経新聞【主張】エネルギーと原発 世論で基本政策決めるな
2012.8.31 03:31 (1/2ページ)

 世論に耳を傾ける努力は大切だが、エネルギー問題のような国の基本政策が世論によって決められるルールを確立させてはならない。高度で冷静な政治判断こそが優先されるべきだ。
 2030年の原発比率など日本のエネルギー構成について、寄せられた国民の意見を分析した有識者による検証会合(座長・古川元久国家戦略相)が「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」とする見解をまとめた。
 この見解は、これから政府が着手する国の中・長期的なエネルギー問題と温暖化対策の方向性を定める「革新的エネルギー・環境戦略」の策定作業の本質に影響を及ぼしかねない内容だ。
 検証会合の見解を“お墨付き”として、デモに代表される反原発の時論に迎合し、「原発ゼロ」を軸とする新戦略の構築に傾斜するのは禁物だ。
 そうした迎合は、日本の発展に終止符を打つ行為に他ならない。国の存続と繁栄に安定したエネルギーが必須であることは、歴史が示す自明の理である。
 次の選挙で世論の逆風を受けるとしても、エネルギー安全保障の重要性を有権者に説いて、国の将来を確かなものにしてゆくことが、政治家の責務である。再生可能エネルギーの発電能力は、原発に比べると格段に小さく、不安定だからだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120831/plc12083103320004-n2.htmより、
2012.8.31 03:31 (2/2ページ)

 そもそも政府が実施した意見聴取会やパブリックコメント(意見公募)、討論型世論調査は、準備不足で問題点も多い。意見聴取会で電力会社の社員の意見表明の機会を奪ったことなどにより、脱原発派が勢いを得た感がある。
 政府の調査では、新聞社などによる世論調査より「原発ゼロ」の回答率が高い。政府の調査そのものが脱原発ムードを醸し出した可能性が疑われる現象だ。
 こうした不確かな調査をよりどころに、エネルギー計画の策定を急ぐのは短慮に過ぎよう。皮相的な原発の好悪論にとどまらず、原発をなくした場合の経済や文化への影響までを視野に入れた議論の深化が必要だ。
 有識者の検証では、20代以下の30%強が「原発維持」の意見であることが注目された。政府は約20年後のエネルギー構成を考えている。若い世代の意見に重みを置いて検討することも重要だ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012082402000119.htmlより、
東京新聞【社説】原発ゼロ 熟慮の民意が表れた
2012年8月24日

 二〇三〇年の原発比率をめぐる「国民的議論」の結果が出た。負担増を受け入れても安全を優先させたい「原発ゼロ」の民意が読み取れる。国民の覚悟の選択を、政府はただちに尊重すべきだ。
 これで「原発ゼロ」の声は無視できなくなったろう。野田政権が今後のエネルギー・環境戦略に反映させるとした国民的議論の結果が出そろった。意見公募(パブリックコメント)と、全国十一都市で開いた意見聴取会、さらに討論型世論調査である。
 これらの「国民的議論」は、三〇年の原発比率について「0%」「15%」「20~25%」の三つを選択肢とした。意見公募と意見聴取会の会場アンケートは、ともに八割以上が「0%」を支持した。
 とりわけ注目すべきは、国民同士の議論や専門家の話を聞き、その前後で意見が変化したかを調べる「討論型世論調査」の結果である。最多は「0%」支持で、討論前の32%から討論後は46%に大きく増えたのが特徴だ。
 事前の予想では、専門家の話を聞けば「原発ゼロ」支持は減るとの見方があったが、結果は逆だった。このことは「原発ゼロ」の選択が一時の感情などではなく、賛否多様な意見を踏まえ熟慮した末の決定を意味するものだろう。
 しかも、選択する上で何を最も重視するかとの問いには、「安全の確保」が80%強を占めた。原発維持派の大きな論拠である「電力の安定供給」(15%)や「発電費用」(2%)を圧倒したのは、電気料金が高くなったり省エネなど不便な生活をも引き受ける国民の覚悟の表れである。
 経済界は、脱原発では電力不足やそれに伴う企業の海外移転、失業増など経済が停滞すると主張している。これは、原発で稼いできた東芝、日立製作所や東京電力が中枢を占めてきた経団連の言い分である。枝野幸男経済産業相が「(原子力)依存度低下は経済のマイナスにつながらない」と反論したように、考慮すべき材料だが鵜呑(うの)みにすることはできない。
 低成長が定着し、大量生産・大量消費の時代はとうに過ぎ去り、国民の多くは省資源・省エネの暮らしを志向している。討論型世論調査でも、懸念される電力不足に対し、参加者の七割が「国民、産業とも省エネ余地がある」と、エネルギーを減らすライフスタイルへの転換を提案した。
 国民の重い選択を考えれば、政府が九月までに下す選択は「原発ゼロ」しかない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120824k0000m070145000c.htmlより、
社説:原発選択肢 道筋を示すのは政治だ
毎日新聞 2012年08月24日 02時31分

 2030年時点の原発比率をどれぐらいにするか。新たなエネルギー政策の決定に向け、政府が実施した複数の調査の結果がまとまった。全国11都市で開いた「意見聴取会」や「パブリックコメント」、「討論型世論調査(DP)」の結果で、いずれも、「原発比率ゼロ」の支持者がもっとも多い。
 これらの調査が「国民を代表する意見」といえるわけではない。意見聴取会やパブリックコメントは、積極的に考えを述べたい人の意見表明だ。DPは最初に無作為抽出で対象者を選んでいるが、討論に参加したのは希望者だ。偏りがあることは念頭におく必要がある。
 それでも、多様な方法で国民の意見を聞いたことを評価したい。野田佳彦首相が脱原発を訴える市民団体と面会したのもよい決断だった。「原発をゼロに」という国民の切なる希望をしっかり受け止めてほしい。
 その上で、大事なのは、なぜ、人々がそれぞれの選択肢を選んだのか、それぞれの調査の特徴を踏まえた上で中身をよく分析し、国民の考えを丁寧にくみ取ることだ。
 たとえばDPは、通常の世論調査と違い、「熟議」を経た民意を探るのが目的だ。小グループの討議と専門家への質問を経て、意見の変化をみるもので、「原発比率ゼロ」を支持する意見が増えた。「原発比率15%」の支持は減少した。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120824k0000m070145000c2.htmlより、
 準備期間が短く、討論資料や専門家の準備が不十分だったという問題はある。参加者の年齢層や性別に偏りもあった。それでも、討議と質問を経て、「原発ゼロ」の比率が増えたことには大きな意味がある。
 「15%」は、既存の原発に40年廃炉をあてはめた数字だ。政府は有力視してきたが、将来の原発ゼロをめざす途中経過なのか、原発維持の途中経過なのか、はっきりしない。人々は、こうしたあいまいなメッセージに不信感を抱いたのではないか。
 DPの分析では、原発比率の選択に当たり、電力の安定供給やコストなどに比べ、安全の確保に重きを置く傾向があることもわかった。政府は、この点もしっかり受け止めなくてはならない。
 これらの調査結果をどのように政策決定に生かしていくか。政府が今もってはっきりさせていないことも問題だ。民意の、どこを、どう受け止めたのか。原発を減らすに当たり、困難な課題をどう乗り越えるのか。責任ある政治として道筋をはっきり示さなくてはならない。
 DPの結果は、原発ゼロを採用した場合に、高コストを受け入れ、生活スタイルも変えるという、国民の覚悟を示しているという。政治も覚悟を決める時だ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2012年8月23日(木)付
首相との対話―開かれた政治の一歩に

 両者の溝は埋まらなかった。それでも意義は小さくない。
 首相官邸前で「脱原発」を求める抗議行動の主催者らが、きのう官邸内に招かれ、野田首相に会って抗議した。
 経済団体や労働組合に属さぬ「組織されない市民」が首相に直接訴えるのは異例だ。これまでの政治の意思決定の仕方や、政治文化を変える可能性をはらんでいる。評価したい。
 20分の予定は30分に延びた。だが、中身は平行線だった。
 主催者の市民らの要求は(1)大飯原発の再稼働中止(2)全原発を再稼働させない(3)全原発廃炉への政策転換(4)原子力規制委員会の人事案の白紙撤回、だ。
 主催者らは口々に訴えた。原発がとまっても電力は足りている。大飯には活断層の存在が疑われ、危険だ……。
 首相は、中長期的に原発依存を改めるとの政府方針を説明したが、それ以上の歩み寄りはなかった。「ほとんど承服しかねる」が、主催者らの返答だ。
 溝は深かった。
 それにしても、もっと時間をとり、首相の口から説明を尽くすべきだった。そうすれば、意義はより大きくなった。
 むろん、主催者たちは民意を広く代表するわけではない。抗議行動の場を提供しているが、参加者の代表とも言いがたい。
 しかし、面会の模様はネットで生中継され、数多くの市民がみた。それは、首相と市民とをつなぐ新たな回路の役割を果たしただろう。
 市民の抗議は、再稼働だけに向けられているわけではない。
 それを決めた意思決定の仕組みと、民意を代表すると想定されている間接民主主義の機能不全への異議申し立てだ。
 ものごとを政治家と既得権を持つ組織の代表や一部の専門家で決め、ふつうの市民はかかわりにくいのが、従来の「ムラ社会」型の意思決定の仕組みだ。
 典型が電力であり、「原子力ムラ」による政策決定だ。
 電力会社の利益が優先され、自分たちの安全が軽んじられるのではないか……。
 不信はそこに根ざしている。
 組織されない市民の声を、どう政策決定に組み込むか。エネルギー政策の意見を聞く討論型世論調査は試みのひとつだが、ほかにも様々な回路を開かなければならない。
 今回のような面会も、一回で終わらせず、次の機会を持つべきだ。今度は抗議だけに終わらせず、胸襟を開いた対話と呼べるものにしよう。
 これを、開かれた政治への一歩とすべきである。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120823/plc12082303130004-n1.htmより、
産経新聞【主張】原発政策 ブレずに再稼働を進めよ
2012.8.23 03:12 (1/2ページ)

 野田佳彦首相が反原発を掲げる市民団体メンバーとの面会で関西電力・大飯原発の再稼働について「国民生活への影響を踏まえて総合的に判断した」と述べ、即時停止を求める市民団体との議論は平行線をたどった。
 首相が安易な脱原発に与(くみ)する姿勢をみせなかったのは当然である。
 懸念されるのは、政府の世論調査などを受け、政府・民主党内でも「原発ゼロ」に傾く意見が目立つことだ。野田首相は大飯再稼働を主導した姿勢を貫き、2030年の原発比率も総合的な観点で政治決断しなければならない。
 首相官邸前でデモを続ける「首都圏反原発連合」メンバーとの面会は、菅直人前首相が仲介した。団体側は大飯原発即時停止や全原発の廃炉などを訴えた。
 野田首相は中長期的に脱原発依存に取り組む姿勢を示しつつ、大飯再稼働に理解を求めた。電力不足は今夏だけの問題ではない。首相は今後もブレることなく他原発の再稼働につなげてほしい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120823/plc12082303130004-n2.htmより、
2012.8.23 03:12 (2/2ページ)

 だが、政府がまとめた30年の原発比率をめぐる討論型世論調査結果によると、「0%」を支持した人が46・7%と最も多く、「15%」「20~25%」を合わせても約3割にとどまっている。
 全国で開いた意見聴取会では原発ゼロを求める人が7割に達し、意見公募では8割が即時原発ゼロを支持したという。原発への不安や電力会社への不信が根強いことをうかがわせる数字である。
 原発利用では安全性は最優先されるべきだ。不安や不信を払拭する安全対策を強めていく必要がある。同時に原発の必要性を丁寧に説明する取り組みも不可欠だ。
 「原発ゼロ」を選んだ人たちは現実を直視しているのだろうか。30年には、コストが高い太陽光や風力などの再生可能エネルギーを35%に高める必要があり、政府試算では、電気料金は現在に比べて最大2倍にはね上がる。そうなれば国民生活に影響が及び、日本企業の国際競争力も低下し、産業空洞化の加速で雇用も失われる。
 すでに原発停止で火力発電向け燃料輸入が急増し、22日に発表された7月の貿易赤字は過去最大を記録した。野田政権には国力の低下を回避する義務がある。
 原子力などのエネルギー政策は、安全保障を含めて国の将来を大きく左右する。一時のムードに流されてはならないのである。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012082302000121.htmlより、
東京新聞【社説】市民団体と面会 反原発の声受け止めよ
2012年8月23日

 野田佳彦首相が、毎金曜日夕方に官邸前での反原発デモを呼び掛けている「首都圏反原発連合」代表らと面会した。首相は反原発を訴える国民の「声」を受け止め、原発稼働の停止を決断すべきだ。
 首相が官邸で市民団体代表らと会うのは異例だという。約三十分で打ち切られ、主張は平行線に終わったが、首相が市民団体の意見を直接聴く場を持とうとしたことは率直に評価したい。その上で双方に注文がある。
 原発依存からの速やかな脱却はもはや国民の「声」である。
 共同通信社による直近の全国電話世論調査によると、二〇三〇年の原発比率「0%」を求める意見は最も多い42%と半数に迫る。
 政府の「討論型世論調査」でも三〇年の原発比率で「0%」を評価する人が46%と最も多く、この数字は討論を経て増えていったことが重要だ。「原発ゼロ」は原発事故後の一時の感情や、短慮や浅慮では決してないことを意味する。
 しかし、首相は明確な安全基準を欠いたまま、関西電力大飯原発3、4号機を再稼働させた。「国民の生活を守るため」という詭弁(きべん)が、国民を逆に不安にさせている矛盾になぜ気付かないのか。
 毎週末、多くの人が官邸前の抗議行動に足を運ぶのも、国民との約束や思いが政治に反映されず、代議制民主主義が機能不全に陥っているという危機感からだろう。
 原発なしでも節電など国民の努力で暑い夏を乗り切れそうなことは、今夏が証明している。
 首相は国民の声を真摯(しんし)に受け止め、再稼働させた大飯原発を停止させ、今後予定するほかの原発の再稼働も取りやめる。持続可能なエネルギー源の開発に力を注ぐ。消費税増税に費やすような政治的情熱はむしろ、エネルギー構造の改革にこそ振り向けるべきだ。
 市民団体の側にとっては、首相との面会はゴールではなく、通過点の一つにすぎない。
 原子力規制委員会の委員長と委員の人事案の撤回を求められた首相は「最終的には国会に判断いただく」と述べた。同意人事の可否を判断するのはもちろん、首相を選ぶのも、原発政策に関する法律をつくるのも国会だ。
 脱原発を揺るぎないものにするには官邸前のエネルギーを実際の投票行動につなげる必要がある。
 脱原発に無理解だったり、原発維持を画策しようとする経済界や官僚になびくような政党や議員が選ばれては、せっかくの民意の広がりも報われない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120831k0000m070111000c.htmlより、
社説:南海トラフ地震 正しく恐れて対策を
毎日新聞 2012年08月31日 02時32分

 東海から九州沖を震源域とする「南海トラフ巨大地震」について、国の二つの有識者会議が被害想定などを公表した。
 死者は最大で32万3000人、倒壊・焼失建物は238万棟に上る。死者の7割は津波によるものだ。また、死者想定は国が03年、東海・東南海・南海の3連動地震が起きた場合に出した数字の13倍にも及ぶ。
 被害の大きさに驚くが、対策をあきらめるようなことがあってはならない。避難や建物の耐震化など適切な減災対策によって、最悪ケースの死者は6万1000人に減らせるとの試算も併せて示された。
 想定は東日本大震災で得られたデータも踏まえた推計だ。ただし、「発生頻度は極めて低い」ことに留意すべきだ。有識者会議は「正しく恐れてほしい」と提言した。国、自治体、さらに住民一人一人がとるべき対策を着実に進めることが肝心だ。
 中川正春防災担当相は、南海トラフ地震に備えた特別措置法案を来年の通常国会に提出する方針を示した。現行の法制では、予知が可能とされている東海地震の強化地域に施設整備費などの補助が集中する。しかし、想定によれば、近畿や四国など広範囲で深刻な被害が生じる。地域によって必要な防災対策にばらつきがあってはならないのは当然だ。
 津波避難ビルを確保するために、建蔽(けんぺい)率の緩和を求める声もある。国は率先して財源確保や法整備に全力を挙げてもらいたい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120831k0000m070111000c2.htmlより、
 都道府県や市町村の役割も大切だ。地域によって必要な防災対策は異なる。高台に逃げるためにどう避難路を整備するのか。高台が遠い場合、既存のビルを含めて避難ビルの確保も必要だ。場合によっては、学校や医療施設、自治体庁舎などの移転や高層化も検討課題になる。
 東日本大震災後、多くの自治体が、災害対策基本法で作成が定められた地域防災計画の見直しを進めている。適切な避難はその柱となる。
 中央防災会議の専門調査会は昨年、津波対策の最終報告で「原則として歩いて5分程度で安全な場所に避難できるまちづくり」を提言した。だが、地形によっては徒歩避難は現実的でない。自動車利用を前提とした場合、どういった方法で交通渋滞が防げるのか。きめ細かい防災計画の策定を急ぐべきだ。
 宮城県で30日、震度5強の地震が起きた。日本は災害とは無縁でいられない。1日は防災の日だ。89年前のこの日、関東大震災が起きた。明日は各地で避難訓練などが行われるが、防災教育も含めて日ごろの備えが減災を可能にする。自分の身を最後に守るのは自分しかいない。自助の大切さも改めて肝に銘じたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2012年8月30日(木)付
南海トラフ―できることはある

 震度7の揺れが10県を襲う。最悪で東日本大震災の17倍の32万人が命を落とす。
 東海沖から九州沖を震源域とする、南海トラフ巨大地震の被害想定は、桁違いに大きい。
 起こりうる被害は重く見つめなくてはならない。
 ただ、これはあくまで千年に一度の地震と津波が起きたらという「最悪」の想定だ。
 数字だけを見て「とても逃げられない」とあきらめるのは、それこそ最悪だ。
 むしろ注目すべきは、すみやかな避難を徹底すれば、津波による死者を最大で8~9割減らせる、という指摘だ。
 政府は数十年に一度レベルの津波には防潮堤などのハードで備える方針だ。しかし、巨大地震の大津波を、海沿いに高々と防潮堤をめぐらせて防ごうというのは現実的ではない。
 長い目で見れば、まちづくりを根本から見直す必要が出てくる。市街地を内陸に移すかどうか、それにかかる社会的な費用を災害の頻度とあわせてどう計るか、という問題に向き合わねばならない。
 では、あした地震が来たら?
 それでもできることはある。それが「避難」というソフト面の対策だ。
 どうすれば、みんなが地震後ただちに安全な場所へ逃げられるか。大切なのは、それぞれの地域で避難計画を練ることだ。
 津波からの避難は、車は渋滞するので徒歩が原則だ。だが、東日本大震災では5割以上が車で逃げた。自力で歩けない家族や、高台が遠くて歩きでは間にあわない人もいる。どんな家庭や地区は車を使ってもよいか、地域で話し合ってゆるやかな合意を作っておきたい。
 浜松市は3月11日に津波避難訓練をし、歩けない人を車に乗せて何分で何キロ逃げられるかを検証した。渋滞につかまる想定でも試した。毎年続ける計画という。こうした実証は避難計画づくりだけでなく、住民の「ただちに逃げる」意識を高める役にも立つ。
 市町村は、高台への避難路など逃げるための備えを急ごう。高台に代わる避難ビルの指定は東日本大震災後の半年で倍に増えたが、まだ足りない。
 怖いのは津波だけではない。揺れによる建物倒壊でも数万人の死亡が見込まれる。しかし、これも住宅の耐震化率を今の8割から9割に上げることで、犠牲者を4割減らせるという。
 今できることを積み重ねる。
 それは、より現実的な「数十年に一度」レベルの地震への備えにもなる。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120830/dst12083003300002-n1.htmより、
産経新聞【主張】南海トラフ地震 「避難と耐震化」徹底せよ
2012.8.30 03:30 (1/2ページ)

 南海トラフ(浅い海溝)で起こりうる「最大級の巨大地震」の被害想定が公表された。最悪の場合の死者数は32万人という衝撃的な内容だが、過剰反応は禁物だ。
 地震の切迫度と、今回想定された超巨大地震・津波の発生確率は全く違うことを、まず理解しなければならない。
 想定された「最大クラスの地震・津波」は、従来の地震モデルに、科学的知見の範囲で考えられる限りの被害拡大要因を加えたもので、発生確率は極めて低い。
 一方、南海トラフに震源域が連なる東海・東南海・南海地震は、30年以内の発生確率がそれぞれ88%、70%程度、60%程度と切迫度が高まっている。両者を混同して「超巨大地震が近づいている」と思い込むと、かえって地震防災の支障にもなりかねない。
 今回の被害想定を、家庭や地域の防災にどう生かせばいいのか。最悪のケースとして巨大津波と強い揺れを念頭に置き、被害が拡大する要因を一つ一つ解消していく努力を続けることが大事だ。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120830/dst12083003300002-n2.htmより、
2012.8.30 03:30 (2/2ページ)

 最大で23万人に達する津波による犠牲者は、「強い揺れがきたら逃げる」という意識を住民一人一人が持つことで大幅に減らせる。「津波到達までの時間が短い」と住民の不安が増大した地域もあるが、緊急地震速報を最大限に活用し、高台への避難路を整備するなど早期避難の手立てを講じてもらいたい。
 また、8万2千人の犠牲者が想定される建物の倒壊に対しては、耐震化の推進と家具の固定を確実に実施することが肝要だ。
 日本列島に大きな被害を及ぼす地震のほとんどは、マグニチュード(M)8級の海溝型地震とM7級の内陸直下型地震だ。耐震化と津波からの避難という「ごく普通の地震・津波対策」を充実させることが、超巨大地震・津波が起こる万が一のケースでも減災につながることを再認識したい。
 一方、国の南海トラフ地震対策は抜本的な改革が必要だ。東海地震の直前予知を目指す大規模地震対策特別措置法(大震法)をはじめとする現行の対策は、東海地震と東南海・南海地震が切り離されている欠陥がある。
 中央防災会議の作業部会が提言する、3地震の同時発生やM9級超巨大地震に対応できる「特別法の制定」は大きな課題だ。早急に前進させてほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012083002000118.htmlより、
東京新聞【社説】南海トラフ地震 「最悪の想定」を胸に
2012年8月30日

 南海トラフと呼ばれる、浅い海溝沿いで起きる巨大地震の被害想定を政府が公表した。最悪のシナリオだと、三十二万人を超す犠牲者が出るという。住民を守る防災対策を早く再構築すべきだ。
 駿河湾から四国沖に延びる、浅い海溝のことを南海トラフと呼ぶ。この海溝型の巨大地震はマグニチュード(M)9クラスと予想され、津波が関東から九州にかけての太平洋沿岸部に押し寄せる。東海・東南海・南海の三連動地震だ。
 内閣府の中央防災会議が公表した被害想定は、想像を絶する。東海地方が大きく被災するケースだと、冬の深夜に毎秒八メートルの風が吹いていると、最悪三十二万三千人の死者が出るという。近畿地方のケースは、約二十七万五千人とはじき出されている。津波による犠牲者が多いとされる。
 二〇〇三年にも同会議は、三連動地震の被害想定を出しているが、犠牲者数は最大で約二万五千人だった。今回の推計値は、十三倍以上にも跳ね上がった。
 震源域を陸側に近い方にも広げたため、津波到達時間などが早まった。マグニチュードも8・7から9・1へと引き上げ、津波の高さも大きくなったからだ。東日本大震災の被害が想定外で、その“反省”を踏まえた結果だろう。
 人的被害は最少の想定では、東海地方で約八万人、近畿地方で約五万人と大きな幅がある。どんな地震動かも分からず、M9クラスの巨大地震の発生確率は低いかもしれない。
 ただし、名古屋などの大都市圏が襲われれば、被害が深刻化するのは間違いない。
 地盤の液状化や建物倒壊、浸水、火災、帰宅難民など、さまざまな複合災害が待ち受ける。最悪の事態を回避する防護策はあるはずだ。それぞれの地域で、防災計画の見直しは必至だ。
 防潮堤や水門が機能しないと、犠牲者数は二万三千人も増えるとも指摘されている。ハード面の点検は不可欠といえる。
 ソフト面の重要さも、むろん東日本大震災の教訓だ。住民の立場で、どう避難し、行動すべきなのか、指針を示す必要がある。自宅や勤め先、そのルートに潜む危険を事前に把握すれば、被害の程度は大幅に減らすことができる。その周知徹底が必要だ。
 巨大地震はいつか来る。自分で守るしかないかもしれない。「最悪の想定」を胸に、備えも心構えも万全を期したい。

http://www.nnn.co.jp/rondan/tisin/index.htmlより、
温故知新 -賀茂川耕助-
富の格差広げる政府課税
日本海新聞 2012/08/30の紙面より

 この8月、日本証券業協会と東証は全国の証券会社50社を集め、社内の法人情報の管理体制について自主点検を行うよう要請したという。大手証券会社が公募増資をめぐるインサイダー事件で情報漏えいに関与したことが相次いで発覚したためだ。

寄生虫のようなもの
 また政府も、インサイダー取引規制を強化し、現行では処罰規定がないインサイダー情報の提供者に罰則を設けることなど再発防止策を法律に反映させるという。資金調達のために企業が新株を発行すると、1株当たりの価値が希薄化して株価が下がる。内部情報を使って「空売り」をして注文を出し、下がった後に買い戻すことで不正な利益が得られるのだ。しかしインサイダー取引に限らず、製品やサービスを提供して社会に貢献するのではなく、株や、いわゆる「金融商品」で金もうけをすることは、社会にとって寄生虫のようなものだと私は思っている。

 昭和の時代、日本では人々が銀行に貯蓄をし、企業は銀行から資金を調達した。しかし金融規制緩和によって株式市場から資金調達ができるようになってから、企業にとって株価が顧客や社員よりも大切な指標となった。株価を左右する株主が重要視するのは企業の長期的な経営ではなく、短期的にいかに高い利益をもたらしてくれるかだ。過去に発行された株の売買は、何も生み出さず、社会に貢献もしないばくちに等しい行為だが、それが証券取引所で行われてる株取引の99%を占める。

 インサイダー取引などの不正で人々が不信感を持ち、ばくち行為を止めて正直に働いて社会に貢献してお金を手にするようになればむしろそのほうがよいと私は思う。リストラや生産拠点を海外へ移すなど、日本の雇用状況を悪化させているのも企業が株価を上げるためである。利益追求が商売の目標になると、利益は相対的なものであり、その追求に終わりはない。いつも犠牲になるのは労働者や国民生活の安定なのだ。

株の売買に課税を
 しかし、そのようなばくちのやる気を損ねるもっと良い方法は株の売買に課税することである。日本の証券取引所で売買された金額は過去10年平均で年418兆円にもなる。株の売り買いに各1%ずつ合計2%課税すればそれだけで8・36兆円の税収となる。これだけで、現在の消費税税収の6割に当たる収入が国庫に入るのだ。

 野田政権は消費税を倍にしようとしているが、どうか考えてみてほしい。国民の誰もが生きていくために必要な、衣食住にかかる買い物に10%も税金をかけようとする政府が、なぜ、株の売買に1%の税金をかけることができないのか。その理由は、食べ物はどんなに貧しい人でも買うが、株を買うのは一部の、それも政治家を買収できる金持ちだからではないだろうか。また、株の譲渡益税は均一10%である。つまり株で1億円もうけても税金は10%だが、労働によって1億円の収入を得れば、所得税は累進税なので10%よりずっと多く税金を払わないとならない。

 日本政府が格差をなくしたいのなら、ばくちや不労所得、つまり社会に貢献しないものへ高く課税し、経済を支える資本投資や所得、もちろん消費税などへの課税を少なくするべきだ。しかし政府が実際にしているのは、富の格差を広げることばかりなのである。
(評論家)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2012年8月30日(木)付
野田首相問責―無節操もきわまった

 苦い現実に向き合い、不人気な政策でも与野党が歩み寄って前に進める。社会保障と税の一体改革をめぐる民主、自民、公明の3党合意は、そんな政治への一歩にみえた。
 それが一転して全面対決に逆戻りである。
 野田首相の問責決議がきのうの参院本会議で可決された。自民党など野党側は今後の法案審議を拒否し、国会は来月8日の会期末まで空転する。
 一体改革の設計も、予算執行に必要な赤字国債法案も、原発の安全を担う原子力規制委員会の人事も、道筋のつかないままの政争である。
 政治の無責任、無節操ぶりにあきれるほかはない。
 とくに驚くべきは自民党の対応だ。国民の生活が第一などが提出し、自民党が賛成した決議は問責の理由として「国民の多くは今も消費増税法に反対」と明記。民・自・公の3党協議で決める手法についても「議会制民主主義が守られていない」と批判している。
 これでは自民党の自己否定にほかならない。
 公明党は「一体改革を否定する内容で賛同できない」と採決を退席した。こちらの方が筋が通っている。
 自民党がそうまでして問責決議を急いだのは、政権を揺さぶることで一刻も早く衆院解散に追い込みたいとの思惑からだ。
 だが、みずから進めた消費増税を否定する問責に賛成するというのでは、政策より解散が優先なのだと告白するようなものではないか。
 党利党略を優先するという点では、民主党も同じだ。
 支持率低迷に苦しむ民主党としては解散を先送りしたい。衆院の定数見直し問題で、民主党は自民党の反対する法案を衆院で強行採決した。一票の格差是正が実現して、解散の環境が整うのを防ぐためと勘ぐられても仕方あるまい。
 こんな不毛な対立を続けていても、国民に何の益もない。
 自民党は、解散を勝ち取れば政権に復帰できるかもしれないが、自公は参院で過半数を持たず衆参のねじれは続く。今あしざまにののしっている民主党と、そのとき手を組めるのか。
 一方、民主党政権は、解散先送りで政権を延命できても、自民党の協力がなければ政策を実現できない。
 ともに党首選を9月に控え、議員心理におもねって政治を停滞させているとすれば、こんな愚かしいことはない。
 政治家はみずから墓穴を掘っていることがわからないのか。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120830/stt12083003310000-n1.htmより、
産経新聞【主張】首相問責可決 この体たらくに終止符を
2012.8.30 03:30 (1/2ページ)

 参院本会議での野田佳彦首相に対する問責決議が、「反消費税増税」を掲げて中小野党7会派の提出した決議案に自民党が乗っかるかたちで可決された。
 ほんの20日前、自民党は社会保障・税一体改革を実現するため与野党協力の枠組みを構築したのに、この決議に賛成するのは自己否定でしかない。公明党は反発して棄権した。
 政権与党である民主党も、問責可決の事態を回避する努力を見せなかった。
 大幅な議席減を恐れて解散を先送りさせたい民主党と、解散に追い込むポーズはとっておきたい自民党の谷垣禎一総裁らの思惑が優先された格好だ。
 主要政党が国民そっちのけで政局の駆け引きに奔走する、国会の体たらくがさらけ出された。与野党とも国民の政治不信を甘くみており、「決められない政治」に戻ったことは極めて問題だ。
 決議内容は民主、自民、公明の3党による国会運営などを取り上げ、野田首相に加え自公両党にも批判の矛先を向けている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120830/stt12083003310000-n2.htmより、
2012.8.30 03:30 (2/2ページ)

 消費税増税法の採決時には、自民党は中小野党の首相問責決議案を採決せず、同じく中小野党が衆院に提出した内閣不信任決議案の採決では欠席した。
 自民党が今回取った行動は、問責決議の理由などどうでもよく、とにかく可決しておきたいという党利党略に基づく行動であることを自ら認めたようなものだ。
 問題は、実際に解散を迫る効力も乏しい問責決議の可決に固執したことが、日本の危機克服に必要な与野党の枠組みの破壊につながりかねないことにある。
 問責決議により、通常国会は会期が9月8日まで残っているのに法案審議は事実上、行われない。今回も問責に先立ち、海上保安官に離島での警察権を認めることを盛り込んだ改正海上保安庁法などを成立させた。
 赤字国債発行に必要な特例公債法案は成立していない。原子力規制委員会の同意人事も残されている。一票の格差をめぐる違憲状態の解消に必要な衆院小選挙区の「0増5減」も実現していない。歩み寄りができないなら、早期解散して国民の信を問うべきだ。
 国民の支持も得られないような問責決議に突っ込み、自らの業績を否定した谷垣総裁の責任を問わざるを得ない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012083002000119.htmlより、
東京新聞【社説】国会「閉会」へ 政治責任なぜ果たさぬ
2012年8月30日

 首相問責決議可決を受け、国会は会期末を待たずに閉会状態となる。衆院「一票の格差」是正など処理すべき重要法案を棚上げしての職場放棄だ。与野党ともに政治の責任を果たしたとは言えない。
 自民、公明両党と、それ以外の野党七会派が別々に参院に提出した野田佳彦首相問責決議案は七会派案が可決された。各野党は今後、政府提出法案などの審議には応じない方針で、国会は八日までの会期を一週間以上残したまま、事実上閉会する。
 首相問責決議には内閣不信任決議案と違い法的根拠はない。首相が内閣総辞職や衆院解散の要求を受け入れないからといって、野党側が審議拒否などで国会を混乱させる対応は本来好ましくない。
 しかし、首相は二〇〇九年衆院選の民主党マニフェストにはない消費税増税を強行し、明確な安全基準を欠いたまま関西電力大飯原発3、4号機を再稼働させた。
 内閣不信任にも値する状況だ。首相は問責決議を重く受け止め、内閣総辞職か、「一票の格差」解消を速やかに実現した上で、衆院解散に踏み切るべきた。野党側も格差是正には協力すべきである。
 今国会は結局、消費税増税法が先に成立しただけであった。
 「一体」であったはずの社会保障制度の抜本改革は先送りされ、改革案を検討する「社会保障制度改革国民会議」の設置も見送られた。政府や国会の無駄削減も口先だけで実現されていない。民主党ばかりか増税に協力した自民、公明両党の責任も重大だ。
 ただ、政権与党として民主党の責任はより重い。お盆休み明けの終盤国会の運営は強引にすぎた。
 民主党は、赤字国債を発行するための公債発行特例法案と、小選挙区定数を「〇増五減」し、比例代表定数を四十減らして一部に連用制を導入する公職選挙法改正の同党案の衆院採決を強行した。
 野党の反発で成立しないことを見越して、歳入不足で国民生活に影響が出たり、衆院を解散できない状況が続く責任を野党側に押し付ける。政権与党としてあまりにも姑息(こそく)ではないのか。
 国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関である。国民のために法律をつくることが仕事だ。それを放棄しては国会議員の責務を果たしたことにならない。
 なぜこのような状況に陥ることが回避できずに放置されたのか。指導力を発揮したとは言い難い横路孝弘衆院議長の責任もこの際、厳しく追及されるべきである。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120830k0000m070102000c.htmlより、
社説:首相問責可決 責任放棄し幕引きとは
毎日新聞 2012年08月30日 02時31分

 無責任のきわみである。野田佳彦首相に対する問責決議が参院本会議で野党の賛成多数で可決された。野党は一部案件を除き参院で審議を拒否する構えで、通常国会は空転したまま事実上、閉幕しそうな状況だ。
 民主、自民両党とも筋の通らぬ強硬策に訴えたあげくの混乱だが、実態は違憲状態である衆院の「1票の格差」など懸案を放り出し、国会の幕引きを図る茶番劇に等しい。「決めない政治」に逆戻りした首相と谷垣禎一自民党総裁の責任感を疑う。
 どっちもどっちと言わざるを得ない攻防だ。
 民主党は喫緊の課題である「1票の格差」是正に生煮えの選挙制度改革案などもあえて抱き合わせ、衆院通過を強行した。衆院解散の先送りを狙い、野党を挑発することで格差是正をつぶそうとしたのである。
 「待ってました」とばかりに自民は反応した。確かに民主のやり口は非難すべきだが、首相問責決議案の提出は筋違いで、矛盾している。
 谷垣氏は民自公3党首による「近いうちに国民に信を問う」合意をたてに、首相は今国会で衆院解散に踏み切るべきだと対決姿勢を強めた。両氏にどんなやりとりがあったかは不明だが文言上、「今国会解散」の約束と解するには無理がある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120830k0000m070102000c2.htmlより、
 しかも、谷垣氏は首相と協力し、消費増税を実現したばかりである。増税を批判し問責決議案を提出していた中小野党案との調整が難航、自民は結局同調したが、公明は棄権に回った。これでは谷垣氏の自己否定とすら取られかねない。
 「1票の格差」を放置して国会を閉じれば、それこそ解散先送りを図る民主党の思うツボだろう。法的に裏づけのない問責決議を審議拒否戦術などの道具にそもそも使うべきでない。問責決議で絶縁状を突きつけたからといって、早期解散が保証されるというわけでもあるまい。
 結局、非難合戦のどさくさにまぎれて党首選びに突入する体裁を民自両党首が取り繕おうとしているのが実態ではないか。赤字国債を発行するための特例公債法案など懸案を決着させる責任感が首相と谷垣氏に感じられない。「決める政治」はどうしたのか。
 中国、韓国など近隣諸国と緊張が高まる中で混乱が好ましくないことも言うまでもない。わざわざ隙(すき)をみせ、国益を損なうと言っても過言ではあるまい。
 民主からは問責決議を受けて「『近いうちに解散』は白紙だ」との無責任な発言が早くも聞こえてくる。
 増税問題を決着し「決める政治」を示したはずの国会がこんな終わり方でいいのか。まだ会期は1週間以上ある。2大政党の両党首の見識が問われる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120829/stt12082903460002-n1.htmより、
産経新聞【主張】自民党 大義なき問責でよいのか
2012.8.29 03:46 (1/2ページ)

 この問責決議案に大義があるのだろうか。
 自民党は28日夕、公明党と共同で、野田佳彦首相に対する問責決議案を参院に提出した。
 谷垣禎一総裁は、問責決議案の可決によって特例公債法案の成立を困難にし、野田政権を解散に追い込もうという戦略を描いている。しかし、問責決議に法的拘束力はなく、野田首相はすでに今国会中の解散を見送る考えを示唆している。
 特例公債法案が成立しなければ今年度予算の執行に障害が生じ、国民生活や経済に影響が出る。政権奪還を目指す責任政党が、政局の駆け引きのためにこうした重要法案を「人質」にとるようなやり方は国民に理解されない。
 そもそも、問責の理由も不明確だ。谷垣氏は「内政、外交の両面で国政を進めていくことは限界にきている」と会見で説明したが、野田政権の具体的にどこを指すのか説得力を欠く。
 野田政権は自民、公明両党と協力して消費税増税法成立という実績を残した。竹島や尖閣問題への対応でも問題はあったものの、問責に値するほどの落ち度といえるのか。これでは何のための問責なのか、大半の人は首をかしげるだろう。
 何とも分かりづらいのは、消費税法では民主党と協力したにもかかわらず、同法が成立するや否や、手のひらを返したように野田政権批判に転じたことだ。
 与党が衆院選挙制度改革関連法案を単独採決するなど、野党に挑発的姿勢をとったことへの反発もあるのだろう。それでも、政権を担える政党としての信頼の重みをかみしめてほしい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120829/stt12082903460002-n2.htmより、
2012.8.29 03:46 (2/2ページ)

 問責決議で失われるものは大きい。消費税増税でみられたような民主、自民、公明3党による危機克服の枠組みが消滅する。
 さらに、与党内からは野田首相と谷垣氏の間で交わされた「近いうちに国民の信を問う」という約束も破棄されるとの見方が出ている。結果として、解散そのものが遠のく可能性もある。
 いま、日本は領土・主権問題で中韓両国と緊迫した状況にある。3党の「決められる政治」の枠組みを残しておくことこそが国益にかなうのではないのか。自民党もこの枠組みを活用すべきだ。
 参院自民党は、国益と国民の利益を守るために問責の採決が適切かどうか考え直してほしい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2012年8月28日(火)付
国会の迷走―幼稚さにあぜんとする

 国会会期末まで2週間を切ったというのに、2大政党の常軌を逸したふるまいが続く。
 民主党がきょう、赤字国債発行法案と衆院選挙制度改革法案の衆院採決を強行する構えだ。
 自民党はこれに反発し、あす野田首相に対する問責決議案を参院に出すという。
 そうなれば国会は空転する。両法案をはじめ、多くの法案や条約が成立しなくなる。
 なのに2大政党は、衆院解散の時期をめぐる政局の駆け引きばかりに精を出している。
 まるで駄々っ子どうしのけんかのような幼稚さだが、うんざりしてばかりもいられない。
 2大政党に、改めて強く求める。互いに頭を冷やし、一歩ずつ歩み寄る。政治を前に進めるには、それしかない。
 まず、民主党に対してだ。
 衆院選挙制度改革法案で、自民党の小選挙区「0増5減」法案を受け入れることだ。
 民主党の案は生煮えだ。小選挙区、比例代表、連用制の三つの制度が混在する、複雑怪奇、理念不明なしろものである。
 これを無理やり参院に送っても、野党としては否決するか廃案にするしかないだろう。
 わざと無理筋の案を出し、解散を阻むことが狙いなのか。それは違うというなら、多くの野党が同意する「0増5減」の自民党案を受け入れるべきだ。
 その代わり、自民党は赤字国債発行法案に賛成すべきだ。
 自民党は予算に反対した。だから予算と一体の法案にも反対が筋だ、という理屈は分かる。
 だが、この法案が成立しなければ、今年度当初予算90兆円のうち44兆円の財源の裏付けがなくなる。国民のくらしや日本経済への影響は甚大だ。
 政権批判は当然だが、政権を追い込むために国民生活を人質にとるやり方に大義はない。
 もう一つ、自民党は首相への問責決議も断念すべきだ。
 谷垣総裁は首相と「近いうち」の解散で合意したが、時期の明示は引き出せなかった。なのに今になって「今国会中に解散しないなら問責だ」という主張は説得力を欠く。
 自民党には、竹島や尖閣問題での不手際を問責の理由にあげる声もある。だが、一連の領土外交で問責に値するほどの非が首相にあったとは思えない。
 そもそも参院での問責決議には、衆院での内閣不信任とは異なり、法律上の根拠がない。それをテコに首相に解散や退陣を迫る政治は終わりにしよう。
 2大政党は幹事長会談や党首会談などあらゆる手立てを尽くし、接点をみいだすべきだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120828/stt12082803180001-n1.htmより、
産経新聞【主張】衆院選挙法可決 「党利党略」優先に呆れる
2012.8.28 03:18 (1/2ページ)

 民主党は早期解散に応じたくない。自民党は解散を強く迫った形を作りたい。こんな党利党略の思惑が透けてみえる対立の構図といえる。
 民主党が27日、自ら提出した衆院小選挙区の「0増5減」や比例代表への連用制の一部導入などの選挙制度改革関連法案を、野党欠席のまま衆院政治倫理・公選法改正特別委員会で可決したことだ。
 すでに可決済みの特例公債法案とともに、28日の衆院本会議で採決の方針だ。自民党はこれに反発し、野田佳彦首相に対する問責決議案を公明党と共同提出する。
 先週来、懸念されてきた展開であり、社会保障・税一体改革を進めた民主、自民、公明の与野党の枠組みを破壊するものにほかならない。それなのに、事態回避への努力はみられず、与野党幹事長会談さえ開かれなかった。
 選挙制度改革や定数是正などは民主主義の土俵作りといえる。法案の採決を強行した民主党の姿勢は厳しく批判される。
 しかも、一票の格差をめぐる「違憲状態」などの解消に必要な「0増5減」を今国会で先行処理することさえ絶望的になった。
 民主党は自民党が審議に応じないことを「0増5減すら実行する意思がないのではないか」などと批判している。
 だが、そもそも民主党案は仕組みが複雑な上に、少数政党に意図的に議席を多く配分する連用制の一部導入を含むなど、大きな問題がある。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120828/stt12082803180001-n2.htmより、
2012.8.28 03:18 (2/2ページ)

 与党が多数を持たない参院での可決・成立は望めない。比例代表定数の40削減とともに、民主党が実施へのポーズを強調していると受け取られてもやむを得ない。
 おかしいのは、民主、自民両党が重要案件を残したまま、会期が9月8日まである通常国会をこの一両日で事実上終わらせようとしていることだ。
 参院で多数を握る野党側にとって、問責決議案は政権与党攻撃の有力な武器だ。だが、政権の担い手を期待される主要政党が、政局の駆け引きのために乱用することの弊害は極めて大きい。
 野党を挑発して問責決議案を出させようとしているといえる民主党の姿勢は問題だ。
 自民党も、今回の問責決議案の可決が危機の克服にかなう与野党の枠組みを無にする重大さを改めて考えてもらいたい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120828k0000m070117000c.htmlより、
社説:終盤国会混乱 目に余る解散恐怖症
毎日新聞 2012年08月28日 02時32分

 何も動かない国会にわざわざ戻ろうというのだろうか。
 民主党が27日の衆院特別委員会で同党が提出した衆院選挙制度改革関連法案を強行可決した。自民党などはこれに反発し、近く野田佳彦首相に対する問責決議案を参院に提出する方針という。決議が可決されれば国会は空転したまま来月8日の会期末を迎える可能性が大きい。
 ここにきての混乱の大きな責任は民主党側にある。政権与党として何かを進めようという意志が感じられない。いや、むしろ、何も決めたくないようにさえ見えるからだ。
 民主党が野党欠席の中、強行可決した案は、衆院の「1票の格差」是正のため小選挙区を「0増5減」すると同時に、衆院比例定数を40削減し、選挙制度も変更し比例代表の一部に連用制を導入する内容だ。
 消費増税が決まる中、定数削減により議員自らも身を削るという姿勢が間違っているとはいわない。しかし、再三指摘してきたように定数削減と選挙制度変更が与野党で容易にまとまらないのは民主党も承知しているはずだ。法案が衆院を通過しても与野党逆転の参院で可決・成立する可能性はまずない。
 一方で1票の格差是正のための立法措置を怠って今回、衆院選に突入した場合、司法が後に選挙は無効だとする判決を下す可能性がある。格差是正は事実上、解散するための前提となっている現状がある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120828k0000m070117000c2.htmlより、
 ところが、野田首相と谷垣禎一自民党総裁が「近いうち解散」で合意したにもかかわらず、民主党議員には約3年間の政権運営を有権者に問う自信がよほどないのだろう。苦戦が予想される議員の間から漏れてくるのは「一日でも解散を先送りしたい」という声ばかりだ。
 そこで、まとまりそうもない案を出して決裂すれば、結果的に1票の格差も是正されず、解散は先送りできる−−輿石東幹事長ら民主党執行部は「解散封じ」を狙っているとしか思えない。問責決議案が可決されれば審議はストップしたまま今国会は終了するから、それも好都合だと考えているのではなかろうか。もはや違憲・違法状態を放置する国会の怠慢という次元を超えている。目に余る解散恐怖症といっていい。
 だが、まだ間に合う。民主党は成立の見込みがない独自案の衆院本会議での採決を見送り、今国会では緊急的な措置として自民党が主張している「0増5減」の先行実施案に歩み寄るべきだ。混乱のあおりで今年度の予算執行に必要な赤字国債を発行するための特例公債法案なども宙に浮く公算が大きい。野党と非難合戦をする前に民主党は政権与党の責任をまっとうすることだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120830ddm003040088000c.htmlより、
クローズアップ2012:南海トラフ地震(その1) 対策の効果も強調
毎日新聞 2012年08月30日 東京朝刊

 最大で東日本大震災の約17倍の死者・行方不明者が出る可能性を示した南海トラフ巨大地震の被害想定。今年3月末に最大34・4メートルという津波の高さ予想を公表した際、一部で「対策できない」といった諦めムードが出たことを教訓に、今回は想定を冷静に受け止めてもらうための努力が随所ににじむ。耐震化や早期の避難でどれだけ被害を減らせるかの「効果」を合わせて提示し、従来の防災対策を加速させることの重要性を強調した。【池田知広、八田浩輔】

 ◇津波死者、10分後避難…14万人減
 ◇圧死者、100%耐震化…3万人減
 「1000年単位で起こるような災害の防災対策を進めるのは財政的にも時間的にも大変厳しい。これまで自治体が進めてきた対策を着実に継続的に進めていただきたい」。29日の記者会見で、有識者らでつくる国の中央防災会議作業部会の河田恵昭(よしあき)・関西大教授(巨大災害)が話した。
 被害想定の公表に当たり、国は津波から素早く逃げたり建物を耐震化したりすることで被害を大幅に減らすことができると強調。想定上の死者は最大32万3000人だが、早期避難と耐震化などで6万1000人まで犠牲者を減らせるとした。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120830ddm003040088000c2.htmlより、
 最も大きいのは津波からの避難を始める時間だ。作業部会は、地震発生から5分(深夜の場合10分)後に避難を始める「直後避難」▽貴重品を持ち出すなどし、15分(同20分)後に避難を始める「用事後避難」▽津波を見てから逃げ出す「切迫避難」−−の割合をさまざまに組み合わせて推計。深夜の津波で20%の人々が10分以内に避難した結果、22万4000人が死亡すると想定したケースでは、全員が10分で避難すると8万5000人に減った。
 また、自治体が指定する鉄筋コンクリート造りの「津波避難ビル」を有効利用すると、更に5万2000人まで減った。
 83年に発生した日本海中部地震では、住民らに「日本海側は津波が来ない」との思い込みがあり、直後避難率は約20%と低かった。その結果、秋田県沿岸などを中心に津波で100人の犠牲者が出た。過去に津波被害を繰り返し、6割近くが直後避難した東日本大震災の被災地でも多くの人命が失われたことは、改めて津波の恐ろしさを物語る。
 建物の耐震化でも被害は大きく減る。81年の建築基準法改正による新耐震基準を満たした住宅は全国平均で79%(08年)。62万7000棟が揺れで全壊するとされた今回のケースでは、耐震化率を100%まで高めて計算すると2割弱の11万8000棟にまで減った。建物倒壊による死者も3万8000人から5800人と大幅に少なくなる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120830ddm003040088000c3.htmlより、
 家具の固定も効果があるとされた。家具の転倒防止対策の実施率は全国平均で26%(09年、内閣府調査)。倒れた家具の下敷きになるなどして死者3000人が発生するケースでは、100%固定すれば約7割減の900人となる計算だ。
 同会議は、想定の受け止め方について、悲観することなく▽強い揺れや長い揺れがあれば迅速に、主体的に避難する▽耐震補強、家具の固定を進める▽初期消火に全力を挙げる−−ことを要求。内閣府防災担当の藤山秀章参事官は「甚大な被害想定を前にただ『大変』と言うのではなく、対策が無駄ではないことをきちんと示す必要があった」と話す。

 ◇避難諦めない発表に腐心 津波高さ予想1メートル刻み/市町村別死者数示さず
 中川正春防災担当相は記者会見で「こうした数字を出して不安をあおるのは本意ではない。諦めるのではなく、犠牲者を限りなくゼロに近付けるための防災計画を作っていく出発点と受け止めてもらいたい」と強調した。これには理由がある。
 3月末、6都県23市町村で20メートル超などとする津波高が公表された際の地元の反応は、国の予想以上にネガティブだった。自治体から「過去の3倍近い予測で史実にも認めがたい。住民への説明段階で非常に厳しい立場に立っている」などと反発の声が上がり、国は急きょ、4月に沿岸自治体向け説明会を開くなど対応に追われた。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120830ddm003040088000c4.htmlより、
 それでも、住民には避難を諦めるような言動が出始める地域もあり、高知県では地下シェルター建設の議論さえ起こった。国は昨秋、東日本大震災が「想定外」だったことを教訓に「対策が困難だったとしても想定する」方針にかじを切ったが、住民らが受けた衝撃も想定以上だった。
 「前回は明らかに失敗した」と内閣府幹部は認める。3月の公表では、局所的に最高となる地点を各自治体の津波の高さとして小数第1位まで明示。これによって、その高さの津波が次の地震で必ず起こり沿岸全域を襲うとの誤解を招いた。
 このため、被害想定の作業に携わった有識者検討委員会の委員からは「条件によって幅が出る想定だと理解してもらうことが重要」などの意見が出され、「5メートル単位でよい」とする委員もいた。今回の予想津波高を1メートル単位としたのは、こうした意見を受けたものだ。また誤差が大きすぎるため市町村別の死者数も出さなかった。
 ただ対策を重ねても死者が6万人超と想定された事実は重い。河田教授は「防災・減災に特効薬はない。一つの対策では被害を激減できない。100年くらいかけて危険な場所に住むことを禁止するという制度が必要かもしれない。長期的、短期的にやるべき対策を分けて進めていく必要がある」と語った。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120830ddm002040081000c.htmlより、
クローズアップ2012:南海トラフ地震(その2止) 損失50兆円規模か 企業の中枢機能、集中
毎日新聞 2012年08月30日 東京朝刊

 南海トラフ巨大地震は、「太平洋ベルト地帯」と呼ばれる日本経済の中枢を直撃する。中部から近畿地方にかけては、自動車や電機メーカーの本社や主要工場が集積し、東名高速道路など日本の東西を結ぶ大動脈が貫く。物流やサプライチェーン(部品供給網)が寸断されれば、甚大な経済被害が生じそうだ。
 「(住宅や生産設備、社会インフラなどの)直接被害は、40兆〜50兆円規模になっても不思議ではない」。地震の経済被害に詳しい一橋大大学院の佐藤主光(もとひろ)教授は、南海トラフ巨大地震の被害をこう見積もる。内閣府は、東日本大震災の直接被害を16・9兆円と試算するが、同震災の被災地域の経済規模は、日本の国内総生産(GDP)の6%。これに対し、南海トラフの被災地域の経済はGDPの2割超を担う。
 影響は被災地の直接被害にとどまらない。近畿はパナソニックなどの家電大手、中部はトヨタ自動車などの本社や主要工場が集積。伊勢湾と大阪湾の沿岸地域には、製鉄所や化学コンビナートなどの生産拠点のほか、火力発電所や液化天然ガス(LNG)受け入れ基地などのエネルギー施設、自動車や航空機部品などを輸出する物流拠点がある。サプライチェーンの要である主要工場が被災して生産が滞れば、被災地外の多くの工場に影響が及ぶ。地震や津波で発電所や港湾の機能が失われれば、電力や物流などの社会インフラが広範にストップしかねない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120830ddm002040081000c2.htmlより、
 東日本大震災では、被災した工場や営業所に対して、東京などの本社から人材や物資を投入して復旧を進められた。しかし、南海トラフ巨大地震で本社の指揮系統が被災すれば、復旧が遅れる懸念がある。震災対策を進めるトヨタの幹部は「本社の被害が限定的でも、従業員が被災すれば復旧作業は大きく遅れる」と心配する。
 内閣府は経済被害の想定を今秋にも公表するが、「東日本大震災よりも、生産や物流への影響は大きくなる」(経済官庁幹部)との見方が強い。佐藤教授は「経済被害の軽減には、日本海側や北海道、九州に経済拠点を分散させる必要がある」と指摘する。【久田宏】