都知事選 猪瀬氏圧勝「老いる首都どう支える」

http://mainichi.jp/opinion/news/20121221k0000m070133000c.htmlより、
社説:新東京都知事 成熟へのビジョン示せ
毎日新聞 2012年12月21日 02時30分

 新しい東京都知事に猪瀬直樹前副知事が就任した。都では1995年以来、青島幸男、石原慎太郎両氏に続き3代目の「作家知事」である。
 選挙で獲得した434万票は、日本の選挙史上最多の個人得票だ。猪瀬氏はこれを「民意」と言う。
 総選挙と同日で投票率が上がり、石原票に加え、変化・改革を望む票も集まったとみられる。副知事5年半の実績と高知名度の氏が準備不足の他候補を寄せつけず「実質的に不戦勝」という評価もある。
 猪瀬氏の魅力は行動と表現の力であるに違いない。空前の票にもおごらず、堅実かつスピーディーな行政手腕を求めたい。
 まず速度を上げるべきは、30年以内に70%程度の確率で発生するとされる首都直下地震対策だ。
 東京は関東大震災、東京大空襲で火災に弱点をさらした。現在も木造家屋密集地改造は最重要課題だ。精密な帰宅困難対策や備蓄など、多様な課題とともに、トップのリーダーシップが強く問われる。
 福島原発事故以後の電力対策も喫緊の課題だ。猪瀬氏は国には任せておけないと、東京発の電力エネルギー改革を唱え、湾岸の老朽火力発電所を最新の天然ガス火力に置き換えるという。東電改革も進める。
 ただ、原発の再稼働や今後のあり方などについては、具体的な考え方は判然としない。しっかりした工程表のような裏づけがあってこそ語れるという考え方もあるだろう。
 だが、過去、原発電力の大消費地であり、それで繁栄を支えられた東京の首長として、その考えを語り、広く論議を促す意義は小さくない。
 2020年のオリンピック招致が実現すれば、そのころ東京は人口減、4人に1人は高齢者という時代に移る。先の東京大会(64年)では、経済成長の波に乗り都市改造、インフラ整備が進められ、その象徴が首都高速道路(首都高)だった。それが今半世紀を経て老朽化し、早急な抜本対策を必要としている。
 ハード面の再整備とともに、高齢社会に生きる人々の多様なライフスタイルに応じ、支える公助、共助の仕組みが必要だ。従来の「発展」より「成熟」が求められている。
 13年続いて今日の政策、制度に至る石原都政の洗い直しもすべきだ。例えば、巨額の公費を要し、行き詰まった新銀行東京問題などだ。説明責任は引き継がれている。
 猪瀬氏は、情報発信と意見受信のためソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用する。就任に際し、全局に指示した。
 双方向で行政が練りあげられるなら、新しい地方自治、行政のかたちが切り開かれる可能性がある。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2012年12月19日(水)付
猪瀬都政―老いる東京に備えを

 東京都知事に選ばれた猪瀬直樹氏は、史上最多の434万票を集めた。人も街も年を取る巨大都市の暮らしが託される。
 衆院選と重なったこともあって、投票率も前回より少し上がった。ただ、そのわりに論戦は盛り上がらなかった。
 主要候補の中で、きっぱり五輪招致に反対した人、原発推進を掲げた人はいなかった。経営難に陥った新銀行東京もすでに事業が縮小されている。いずれも大きな争点にならなかった。
 結局、13年続いた石原都政の継承にイエスかノーかがもっぱら争われた。
 猪瀬氏は副知事として石原慎太郎前知事を5年半支え、高齢化や首都直下地震への備えといった大きな課題を担ってきた。
 石原氏は高い人気の一方で、きわどい言動が物議を醸してもきた。それに比べると、猪瀬氏はより幅広い層が投票しやすかったのかもしれない。
 東京には、高度成長期に地方から働き手が集まった。
 繁栄を支えたその世代が年を取り、10年ほど後には都民の4人に1人が65歳以上という時代が来る。
 急ごしらえで広がった街も住民とともに年を取る。たとえば下水道は、20年後には全体の4割が耐用年数の50年を超える。
 都税収入は4年続けて減り、貯金にあたる基金の残高も4年前の半分に減る見通しだ。財政にかつてほど余裕がない中で街のつくりかえを迫られる。
 選挙戦のさなかに中央道でトンネル天井崩落事故が起きた。首都直下地震への備えも要る。猪瀬氏は街頭演説で「老朽インフラのつくりなおし、補強に取り組む」と訴えた。
 とりわけ難題は、使いはじめてから50年たつ首都高だ。道路のかけ替えなど大がかりな改修が避けられそうもなく、巨額の費用が見込まれる。
 いかに負担が小さく、現実的なプランを提案、実現するか。
 道路公団の民営化に携わった猪瀬氏はこの問題に詳しい。首都高会社の大株主である都のトップになった今、当事者としての実行力が問われる。
 電力の問題については、「古くなった東京湾岸の火力発電所を最新の天然ガス発電所にとりかえる」と強調した。民間の出資を募るという。
 「抽象的なシナリオでただ論争しているだけでは、現実的な対応はできない」。著書「解決する力」で猪瀬氏は、国のエネルギー戦略の議論を批判した。
 住民のための電力改革を実現するには、東京電力や企業と粘り強く交渉する力が要る。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121218/lcl12121803110000-n1.htmより、
産経新聞【主張】猪瀬都知事 柏崎稼働へ国と調整急げ
2012.12.18 03:11

 衆院選と同時に行われた東京都知事選で、前副知事の猪瀬直樹氏が過去最多の得票数で初当選した。猪瀬氏は「東京が日本沈没を防がなければならない」と抱負を述べた。猪瀬氏の大勝は、都民の多くが石原慎太郎前知事の都政の継続を望んだ結果といえる。
 東京の重要な課題の一つは、30年以内に70%の確率で起きるとされる首都直下地震に備え、首都機能をいかに守り、維持していくかだ。猪瀬氏は選挙期間中、民間企業の備蓄、木造密集地域の不燃化と耐震化、首都高速道路などインフラの老朽化対策などを訴えた。
 首都直下地震による損失は阪神大震災の10倍以上の112兆円と試算されている。証券市場や大企業が密集する東京の機能が停止すれば、世界的な金融不安の引き金にもなりかねない。
 500万人を超えるといわれる帰宅困難者対策や交通の混乱を防止するための強制的な職場待機など私権制限も、検討しておくべき課題だ。首相官邸や中央省庁など中枢機能の一部移転策やテロ対策も忘れてはならない。
 平時の首都機能を維持するための電力確保も重要課題である。猪瀬氏は「老朽火力発電所の更新」「東京電力の改革」などを訴えたが、それだけでは不十分だ。
 福島第1原発事故を機に、東電の原発はすべて停止した。現在、都内で消費される1700万キロワットもの電力を支えているのは火力発電所だ。運転開始から35年以上が経過した発電所もある。不具合も発生し、大規模停電を引き起こす懸念はぬぐえない。
 猪瀬氏は東電柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働について、明言を避けている。東電は実質国有化されたあとも都が株主として残っている。原発再稼働に向け、国との調整を急ぐべきだ。
 教育について、猪瀬氏は「国旗・国歌の尊重」を主張した以外、多くを語らなかった。石原前知事は4期13年半の間、都立高の学区全廃による高校活性化、「心の東京革命」による徳育の充実、国旗・国歌の指導徹底、歴史教育の改善などに取り組んだ。これらの教育改革をさらに進めてほしい。
 2020年東京五輪招致、石原都政の“負の遺産”とされる新銀行東京の再建、老人の孤独死防止などの課題も山積している。猪瀬氏の指導力に期待したい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012121802000133.htmlより、
東京新聞【社説】猪瀬氏圧勝 老いる首都どう支える
2012年12月18日

 十三年半ぶりに首都東京のリーダーが交代する。前知事石原慎太郎氏の右腕だった前副知事猪瀬直樹氏が舵(かじ)を取る。街も人も急速に老いていく時代にある。命と暮らしを守る経営戦略こそ問われる。
 勝利した猪瀬氏は「都民のみなさんの『改革をスピードアップしろ』という叱咤(しった)激励だと思う」と決意を語った。副知事時代からの仕事ぶりがお墨付きを得られたとの自信がにじみ出た言葉だった。
 例えば、東京電力の改革や東京メトロと都営地下鉄の一元化といった取り組みを挙げた。現場にじかに足を運ぶ行動力が支持された面もあるだろう。
 石原都政はどちらかといえば公共事業を中心とした景気の下支えに力点を置いてきた。高層ビルが立ち並ぶ大規模開発や羽田空港の国際化、三環状道路の整備、築地市場の移転などは象徴的だ。
 石原氏は自らが問題意識を抱いた分野を取り上げ、トップダウン方式で政策を遂行した。半ば力任せのような強気の姿勢が人気を集めてきたのかもしれない。
 その石原都政の継承か転換かが選挙の焦点だった。石原氏より禅譲を受けた形の猪瀬氏だが、思い切った転換を避けては通れまい。
 都税収入が減っている。リーマン・ショックを挟み、二〇〇七年度に五兆五千億円だったのが一一年度は四兆一千億円に落ち込んだ。五輪を招致できても、八年後の開催に支障が出ないか不安だ。
 都の予測では、ちょうど二〇年ごろには千三百万人余りの人口が減少に転じ、四人に一人が六十五歳以上の高齢者になる。その四人に一人は一人暮らしの見通しだ。
 強者が弱者に救いの手を差し伸べるだけでは間に合わない。弱者同士が互いに助け合わなければ成り立たない社会になる。生活の下支えがさらに緊急性を増す。
 これは日本の縮図である。医療や介護、福祉、雇用といったハードルをどう乗り越えるのか。東京モデルを示せるかが試される。
 老朽インフラの手当ても待ったなしだ。中央自動車道笹子トンネルの崩落が警鐘を鳴らした。ビルや住宅、道路、鉄道、橋や港まで首都直下地震への備えを兼ねた点検や改修が急務だ。
 多くの課題を抱えた首都を限られた財源でどう運営するのか。将来を見据えた知恵と工夫が要る。
 地域を熟知する区市町村への分権をもっと進める。神奈川や千葉、埼玉ともっと連携して“首都圏連合”として動く。縦横無尽の視点からの政策展開が大切だ。

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