防衛産業不正 三菱電機に返納金773億円

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2012年12月29日(土)付
防衛産業不正―奢りと甘えにメスを

 防衛・宇宙産業が抱える病巣の根深さに愕然(がくぜん)とする。
 この分野ではトップクラスの三菱電機による過大請求問題である。
 このほど発表された調査結果によると、防衛省や宇宙航空研究開発機構などに対する過大請求の総額は、記録をたどれるだけで子会社もふくめ374億円にのぼる。違約金や利息も合わせた返納金は773億円と過去最大になる見込みだ。
 不正の目的は、赤字部門へカネを回し、事業全体で利益と人員を確保することだったという。防衛省などが発注した情報収集衛星や防空システムなどの開発費、つまり税金が穴埋めに使われたのだ。
 不正は、防衛分野では遅くとも70年代から、宇宙分野でも92年には始まっていた。「工数」と呼ばれる作業量を水増しするやり方だ。幹部も承知のうえだったという。
 組織的、かつ長期にわたる不正には驚くしかない。
 同社は、経営管理や組織のあり方を見直し、再発防止を図るという。政府も監査や罰則を強化する。
 それらは当然だが、防衛産業での過大請求は今回でなんと20社目だ。過去には刑事事件として摘発されたケースもある。
 不正の温床となりがちな、業界特有の体質にメスを入れねば再発は防げまい。
 まず、技術が高度で特殊な面があり、代替できる企業が少ないことがある。そこからくる企業の奢(おご)り、官によるチェックの甘さはなかったか。
 実際、同社は指名停止中だった今年前半、1千億円を超える契約を防衛省と結んだ。防衛省は、代わりに調達できる企業がないためだというが、これでは全く罰になっていないと会計検査院が指摘したほどだ。
 宇宙分野でも、現在、国内で大型の実用衛星をつくれるのは事実上同社のみだ。
 赤字体質の背景には、安価な海外の衛星と競うために大幅な値引きが必要だったことがある、との指摘もある。
 防衛装備品では、開発経費は十分に支払われないのが慣例、との企業側の不満もある。適正価格の見極めも必要だろう。
 競争が少ない中で、どのようにして質の高さと低コストを実現し、健全な産業として成り立たせるのか。契約制度などもふくめて根本からの検証が欠かせない。
 そのためにも、今回の不正請求問題の全容を、官側の対応もあわせて解明することだ。これで打ち止めとしてはならない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012122202000107.htmlより、
三菱電機 水増し返納額773億円 防衛省などへ
東京新聞 2012年12月22日 朝刊

 三菱電機は二十一日、防衛装備品をめぐる水増し請求問題で、過大請求と違約金の防衛省などへの返納額が、延滞利息を含めた見積もりで計七百七十三億円になったと発表した。社内調査の結果、工事などの費用を実際よりも多く計上する不適切な会計処理が、防衛事業は一九七〇年代、宇宙事業は九〇年代初めには行われていた。
 記者会見した山西健一郎社長は「重大な反則行為があった。自ら発見できず是正できなかったことは誠に申し訳なく、深くおわびする」と述べた。責任を取って山西社長は役員報酬を六カ月分削減し、他の執行役は一カ月分削減する。
 三菱電機によると、問題は三菱電機本体と防衛省、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構、情報通信研究機構との契約で発生。三菱電機関連会社四社と防衛省との契約でも水増しがあった。
 一方、防衛省は二十一日、三菱電機の水増し請求額が約二百四十八億円に上ると明らかにした。防衛省への返納額は、九九年に過去最高の返納額だったNECの約三百十八億円を上回り、四百億~五百億円となる見通し。最終的な支払額の確定には今後一~二カ月かかる。
 防衛省は、水増し請求に対する罰則として水増し額の二倍としている違約金を、最大で四倍とする方向で検討していることを明らかにした。企業側が自ら不正を申告した場合は、違約金を水増し額と同額とすることも検討している。
 防衛省は、水増し請求はミサイルやレーダーなどの納入で行われていたとみている。水増し額は資料が残っていた二〇〇一年度以降の契約から算定したとしている。
 また防衛省は、三菱電機の関連会社四社でも計約六十九億円の水増し請求があったと公表した。

<三菱電機の水増し請求問題> 昨年、三菱電機関係者からの内部通報があり発覚。今年1月、同社は防衛省に対し不正があったことを認め、指名停止措置を受けた。作業にかかった人員や時間を付け替える方法で、1970年代以降続けられてきた。防衛装備品の製造では、コストの変動幅が大きいため、損益を平準化させようとしたことが背景にあるとみられる。同社をめぐっては今年、情報収集衛星の納入でも水増し請求が発覚した。

http://mainichi.jp/select/news/20121222mog00m020031000c.htmlより、
三菱電機:返納額773億円に 防衛省へ過大請求248億円
毎日新聞 2012年12月22日

 三菱電機が防衛・宇宙関連の経費を過大請求した問題で、同社は21日、過大請求額は防衛関連248億円、宇宙関連71億円の計319億円と発表した。子会社など関連4社を含めた合計は389億円。三菱電機は子会社3社分の違約金や延滞利息を含めた返納額は773億円になるとの見通しを明らかにした。同社は山西健一郎社長を役員報酬6カ月分の減給とし、山西社長は東京都内で記者会見し、陳謝した。
 子会社は▽三菱スペース・ソフトウエア▽三菱プレシジョン▽三菱電機特機システムの3社、関連会社は太洋無線(いずれも東京)。防衛省などによると、三菱電機は防衛省との中距離地対空誘導弾の納入契約や内閣衛星情報センターの情報収集衛星の開発、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との国際宇宙ステーションへ物資を運ぶ無人補給機を巡る契約などで、経費を水増ししていた。
 過大請求額として算定されたのは防衛分が契約資料が残っている01年度以降の2万500件。三菱電機単独の248億円は、防衛装備品を巡る過大請求としては98年に発覚したNECの264億円に次ぐ金額となった。
 防衛省は21日、違約金を現行の2倍から4倍に引き上げるなどの再発防止策を発表。内閣衛星情報センターやJAXAも同様の対策を取る。JAXAは不正を見抜けなかったとして、同日付で立川敬二理事長を訓告とするなど処分をした。【鈴木泰広、青島顕、野田武】

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201212/2012122100700より、
三菱電機、773億円返納へ=防衛装備品、衛星開発で水増し

 防衛装備品の調達をめぐり、三菱電機が過大請求を繰り返していた問題で、防衛省は21日、過払い金が248億円に上ると発表した。不正は内閣衛星情報センターが発注した情報収集衛星の開発などでも行われており、同社は違約金や延滞利息を合わせた返納額が総額773億円に上る見通しを示した。
 返納額は1998年に水増しが発覚したNECの318億円を上回り、過去最高となる見込み。防衛省は「容疑者の特定が困難」などの理由から刑事告訴は見送った。
 三菱電機の山西健一郎社長は記者会見を開き、「重大な反則行為を発見できず深くおわびする」と謝罪。自らを月例報酬6カ月分の減給とする処分を発表した。
 過払い金は、防衛省分が248億円、同センター、宇宙航空研究開発機構、情報通信研究機構が計71億円など。いずれも過払い金と同額か、2倍程度の額を違約金として求める方針で、最終確定には1~2カ月かかる。防衛省は返納後に指名停止を解除する。(2012/12/21-21:34)

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