暴力団排除 「警察は全力で市民を守れ」

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121231/crm12123103000000-n1.htmより、
産経新聞【主張】特定暴力団の指定 健全な社会守る法整備を
2012.12.31 03:06

 北九州を中心に、暴力団によるとみられる無法な事件が続いている。
 暴力団同士の抗争事件だけではなく、その牙は、暴力団排除の標章を掲げた飲食店関係者ら一般社会にも向けられた。彼らは健全社会の敵である。あらゆる法令を駆使して排除すべきだ。
 福岡、山口両県の公安委員会は改正暴力団対策法に基づく「特定危険指定暴力団」に「工藤会」(北九州市)を指定した。福岡など九州4県も同法に基づく「特定抗争指定暴力団」に「道仁会」(福岡県久留米市)と「九州誠道会」(同県大牟田市)を指定した。指定は全国初だ。
 「特定危険」に指定された組織の組員が不当な要求をすれば、中止命令を経ずに逮捕できるなど、規制の強化が期待できる。
 だが、道仁会が「特定抗争」に指定されることが決まった20日夜、道仁会系事務所に手投げ弾とみられる爆発物が投げ込まれた。指定をあざ笑うかのような、やりたい放題の犯行である。9月には九州誠道会幹部が所有するビルに火炎瓶が投げ込まれ、福岡県警が道仁会系幹部を放火未遂などの容疑で逮捕していた。
 福岡県の暴力団排除条例に基づいて「暴力団員立入禁止」の標章を掲げた北九州市の飲食店では、経営者や女性従業員に対する殺人未遂事件やビルの不審火が相次いだ。「次はお前じゃ」といった脅迫電話も繰り返された。標章を外す店も増えている。
 警察庁は全国の警察から福岡県に応援を送り、暴力団の封じ込めに必死だが、十分な効果をあげているとは言い難い。
 福岡県の小川洋知事は暴対法の改正に加え、おとり捜査や通信傍受といった捜査手法の導入も国に求めてきた。新たな「武器」を与えなくては、警察の努力だけでは限界がある。暴力団の恐怖におののく一般人を守るための法整備を急ぎたい。
 一方、東京・六本木のクラブで客の男性が金属バットなどで武装した集団に襲われ死亡した事件では、暴走族「関東連合」のOBらが関与したとみられる。一昨年、歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが暴行された事件でも、別の元メンバーが逮捕された。
 「半グレ」とも呼ばれる暴力団組織に属さない、または境界があいまいな犯罪集団を法の網から逃さないための整備も急務だ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2012年12月28日(金)付
暴力団排除―福岡での無法を許すな

 暴力団による発砲や住民への襲撃が続く福岡県で、とくに凶悪な三つの「特定暴力団」が指定された。全国で初めてだ。
 これを暴力団を封ずる新しい手立てにし、警察は住民や企業を守らなくてはならない。
 特定暴力団の制度は、暴力団対策法の改正で定められた。以前からある「指定暴力団」のなかから、市民や企業を襲った前歴のある団体などを指定する。
 全国には22の指定暴力団がある。福岡県には全国で最も多い5団体が本部をおく。そのなかの工藤会を福岡、山口両県の公安委員会が「特定危険」の暴力団に指定した。道仁会と九州誠道会は福岡、佐賀、長崎、熊本4県の公安委が「特定抗争」の暴力団に指定した。
 新しい制度では、縄張りを中心とする区域を警戒区域と定める。その区域で、組員が飲食店に用心棒代などを要求したようなとき、それだけで犯罪とみなされる。指定区域で組事務所の新設や抗争相手へのつきまといなども禁止できる。どちらの場合も、違反した場合には直ちに逮捕できる。
 これまでの暴対法では、いったん中止を命令し、それに違反した場合にようやく摘発ができた。今後は、犯罪を早く止められるようになる。
 新しい仕組みが地域の安全に役立つためには、通報する住民の協力が欠かせない。
 住民は暴力団から報復される恐れを知りながら捜査に協力することになる。警察が守り抜かなくてはならない。
 福岡県内では昨年以降、22件の発砲事件が起きた。しかし、容疑者が逮捕されたのは3件だけだ。
 福岡県では今年、飲食店に組員の立ち入りを禁ずるステッカー(標章)を掲げる制度が始まった。その後、北九州市などで標章を使った飲食店主らが顔を切りつけられる事件や、店への不審火が相次いでおきた。このような住民への加害事件も未解決が多い。
 県警は、標章がなくても店に立ち入った組員を取り締まれるようにする暴力団排除条例の一部を改める検討をしている。その改正も急ぐけれど、不安な思いの飲食店主らを保護することは、さらに大切だ。
 20年前に指定暴力団の制度ができたときも注目されたが、決め手にならなかった。制度も大切だが、警察が確実に守ってくれるという信頼を保てなくては暴力団を抑えられない。
 凶暴な犯罪が続く福岡で、警察はまず、安全を取り戻す実績を示さなくてはならない。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121106/crm12110603070000-n1.htmより、
産経新聞【主張】改正暴対法 健全な社会への正念場だ
2012.11.6 03:07 (1/2ページ)

 改正暴力団対策法が施行された。暴力団で特に危険な組織を「特定危険指定暴力団」に指定し、組員が不当な要求をすれば、中止命令を経ずに逮捕できる直罰規定が盛り込まれた。
 改正暴対法が暴力団封じ込めの切り札として効力を発揮するためには、国民や企業の協力が欠かせない。協力者の保護が徹底されなくては、改正法は絵に描いた餅に終わる。反社会勢力との対決は、ここが正念場だ。
 「みかじめ料」などの不当要求を警察が把握するためには民間からの通報が必要だ。だが、暴力や報復の恐怖を克服して通報するには高いハードルがある。
 8月に暴力団排除条例に基づいて、「暴力団員立入禁止」の「標章」制度を始めた福岡県では、標章を掲げた飲食店が狙われる被害が続出している。
 特に北九州市では、経営者や女性従業員に対する殺人未遂事件やビルの不審火が相次ぎ、「次はお前の番だ」といった脅迫電話が100件以上、集中的にかかってくる。怖くないはずがない。標章を外す店も増えているという。
 警察庁は捜査員や機動隊を福岡県に派遣して態勢を強化しているが、一連の事件で検挙者はいない。身辺保護の対象は多く、警戒先は店の周辺から、自宅まで広げなくてはならない。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121106/crm12110603070000-n2.htmより、
2012.11.6 03:07 (2/2ページ)

 一方で、田中慶秋前法相が暴力団との交際を認めて辞任した。福岡県警では7月、捜査員が覚醒剤事件の家宅捜索情報を暴力団幹部に漏らしたとして地方公務員法違反罪などで起訴された。
 直接の恐怖にさらされている福岡県の住民が「本当に守ってもらえるのか」と不安に思うのも無理はない。それでも警察は、この戦いに勝たなくてはならない。
 警察が民間から信頼され、改正暴対法に基づく摘発の成果を重ねなくては、福岡県が陥っている事態は全国に広がる恐れがある。
 改正暴対法の施行を受け、福岡県の小川洋知事は「警察は改正法を駆使して県民の安全確保に努めてほしい」と語るとともに、おとり捜査や通信傍受といった捜査手法の導入を国に要望していく姿勢も示した。
 全国すべての都道府県で暴力団排除条例が施行されて1年が過ぎ、資金源の先細りから犯行の凶悪化が進む可能性もある。警察にも新たな捜査手法が必要だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20121003k0000m070140000c.htmlより、
社説:暴排条例1年 警察は全力で市民守れ
毎日新聞 2012年10月03日 02時30分

 全都道府県で暴力団排除条例が施行されて1日で1年がたった。
 各地の条例では、企業や自営業者らに暴力団への利益供与を禁止し、暴力団排除の推進などが市民の責務として規定されている。
 警察庁によると、今年8月までに113件の勧告が実施された。トラブル解決のために組員に用心棒代を支払ったり、暴力団事務所の水道代を肩代わりしていた会社の経営者や役員らが対象になった。また、暴力団排除特別強化地域で、暴力団幹部に用心棒代を払った飲食店店長が検挙された例もある。
 一方、取引先などが暴力団と関係があるのか判断が難しいとの声も聞かれる。警察は必要な情報提供をしたうえで、条例の趣旨を丁寧に説明する努力を粘り強く重ねるべきだ。
 暴力団排除活動の前提となるのが、「自分たちを守ってくれる」という市民の警察への信頼だろう。その屋台骨が大きく揺れている。
 北九州市で8月から先月にかけ、飲食店関係者が刃物を持った男に連続して4件襲われたのだ。
 いずれも、暴力団組員の立ち入りを禁止するステッカーを店に掲げる「標章制度」の対象地区の店関係者だという。その後、同市内では「また切りつけるぞ」との内容の脅迫電話が数十店にかかった。
 福岡県警は、地元の指定暴力団が関与しているとみて捜査している。短期間に連続して事件を起こし不安をあおる手口は卑劣極まりない。一刻も早い容疑者の逮捕に全力を尽くさねばならない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20121003k0000m070140000c2.htmlより、
 標章を張った店に暴力団員が来店した場合、福岡県暴力団排除条例に基づき、県公安委員会が中止命令を出せる。県警は、暴力団員の入店を断るきっかけになると飲食店側にアピールしていた。結果的に裏目に出て、経営者らが矢面に立たされているとの批判も出ている。
 これ以上、市民の犠牲が続いてはならない。県警の警部補が暴力団と癒着した贈収賄事件も摘発されたばかりだ。市民の信頼を失っては暴力団排除は望めない。そのためにも、警察が前に立つ覚悟が必要だ。
 福岡県警には、警視庁や他県警などから暴力団捜査に精通した捜査員らも多数投入された。保護対象者の範囲や警備体制についても見直し、警察の総力を挙げて再犯を阻止すべきなのは言うまでもない。
 凶暴化した組織を指定し、規制を強めることを柱とした改正暴力団対策法も前国会で成立し、今月施行される。市民や企業家らをターゲットにした襲撃事件が相次いだ福岡県の要望が法改正のきっかけになった。法に基づき、必要な指定や措置を迅速に行ってもらいたい。

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