米「財政の崖」交渉 世界が注視している

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013010200105より、
赤字削減へ「一つのステップ」=債務上限は議論余地なし-米大統領

 【ワシントン時事】オバマ米大統領は1日深夜、ホワイトハウスで記者会見し、「財政の崖」回避に関する法案が下院で可決されたことを受け、「議会に感謝する。法案に署名する」と述べた。その上で、法案は「一つのステップでしかない」とし、赤字削減に引き続き取り組む姿勢を示した。
 大統領は野党共和党側と幅広い合意を目指したが、「十分な支援と時間がなかった」と説明。法案の内容に関しては「2%の富裕層に対し増税し、中間層の増税を防ぐもの」と評価した。
 また、大統領は「財政赤字は依然大きい」と強調。共和党との今後の交渉について「妥協の余地はある」と語り、社会保障プログラム改革や歳出削減、税制改革などを課題に挙げた。
 債務上限引き上げ問題については、議会が拒否した場合の世界経済への悪影響は「財政の崖」を上回るとして、「議論はしない」と言明した。(2013/01/02-17:51)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130102/k10014555801000.htmlより、
“財政の崖”回避も課題を残す
1月2日 17時27分

アメリカのいわゆる財政の崖を避けるための協議で、議会上院に続き野党共和党が多数を占める議会下院も、中間所得層の減税継続や富裕層に対する増税などを盛り込んだ法案を可決しました。
財政の崖の影響は避けられましたが、オバマ政権が当初目指した包括的な財政赤字の削減策はまとまらず、課題を残しました。
アメリカで減税の終了と予算の強制削減が重なり、景気が悪化しかねない財政の崖を避けるため、議会下院は1日夜、法案の採決を行いました。
上院では、与党民主党に加え野党共和党の議員の多くが賛成にまわって法案を可決しましたが、下院では野党共和党の議員のおよそ3分の2が「法案には共和党が求める歳出削減が足りない」などとして反対しました。採決の結果、賛成257票、反対167票で法案は可決されました。
これにより、中間所得層に対する所得税の減税は恒久化され、焦点だった富裕層の増税はオバマ大統領の当初の提案より対象が絞られ年収45万ドル以上が対象となりました。
さらに、2日から予定されていた予算の大規模な強制削減については、2か月、実施が先送りされました。
財政の崖を巡る協議の決着は、政府や与党民主党と野党共和党が2か月間にわたり激しく対立した結果、減税が切れる期限の年末を越えましたが、減税の継続は1日から適用されるため、実質的な財政の崖の影響は避けられました。
しかし、オバマ政権が当初目指した社会保障の見直しなどを含む包括的な財政赤字の削減策はまとまらず、課題を残す結果になりました。

協議難航の背景は
アメリカのいわゆる「財政の崖」を避けるための協議が難航したのは、議会下院では野党共和党が多数派として主導権を握り、政府や与党民主党に真っ向から対立するという政治の「ねじれ」が起きているためです。
また、議会内でも、最近は共和党の保守化が進むとともに、民主党もリベラル化が加速するなど、それぞれがより極端な主張をする傾向が強まり、与野党間で妥協を図ることが難しくなっているという背景もあります。
特に共和党では、保守派の市民運動、ティーパーティーから支援を受け「小さな政府」を掲げて財政規律を重視する議員が影響力を強めており、中間所得層への手厚い政策などを訴えるオバマ政権や民主党との対立が深まっています。
さらに民主、共和の間に立って橋渡しの役割を果たしてきた中道寄りの共和党の大物議員がティーパーティーの支援を受けた候補者に敗れるなどして少なくなっていることも、両者の間の溝が広がる要因となっています。
今回は、ひとまず民主・共和の間で合意が図られたものの、来月末にかけては新たに政府の債務の上限を引き上げなければならない問題が控えています。上限の引き上げに際して、再び政府と共和党主導の議会下院との政治対立が避けられない情勢で、激しい駆け引きが続くことになります。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013010201000679.htmlより、
米「財政の崖」を回避 議会両院で法案可決
2013年1月2日 17時03分

 【ワシントン共同】米議会の上下両院は1日、減税失効と歳出の強制削減が年初に重なる「財政の崖」回避のための法案を、超党派の賛成多数で可決した。富裕層を対象に20年ぶりの増税に踏み切る一方、歳出の強制削減は開始を2カ月遅らせた。オバマ大統領が2日にも署名し、法が成立する。
 全世帯で増税となる「崖からの転落」の期限だった昨年末には間に合わなかったが、財政の急激な引き締めで経済に深刻な打撃が及ぶ事態は土壇場で解消された。
 オバマ大統領は、ホワイトハウスで演説し、「経済強化に向けた幅広い努力への一歩だ」と評価し、包括的な財政改革に意欲を示した。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013010200085より、
「崖」回避でも消費圧迫か=社会保障減税は打ち切り

 【ワシントン時事】米議会による「財政の崖」回避法案の可決で、景気への深刻な打撃が懸念された大規模な財政緊縮は回避できたものの、回復途上にある米経済への一定の影響は残ることとなった。与野党の妥協の結果、給与から天引きされる社会保障税の減税措置が打ち切られたためだ。米国の勤労世帯の平均とされる年収5万ドル(約435万円)の層で年間1000ドル(約8万7000円)程度の収入減となるとされ、景気のけん引役である個人消費を圧迫しそうだ。(2013/01/02-16:41)

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013010200042より、
米、「財政の崖」回避で決着=議会が法案可決、大統領署名へ-富裕層に増税

 【ワシントン時事】米下院は1日深夜、経済への打撃が懸念される「財政の崖」の回避法案を257対167の賛成多数で可決した。年収45万ドル(約3900万円)以下の世帯に対する所得税などの減税維持と、2日に予定されていた国防費を中心とした自動歳出削減の2カ月先送りなどが柱。上院は同日未明に可決しており、オバマ大統領の署名を経て成立する。
 これにより、米国民の99%近くは、年末でいったん失効状態に陥った減税措置の多くを回復。景気後退を引き起こすほどの急激な財政緊縮はようやく回避されることになった。
 オバマ大統領は、議会での法案可決を受けてホワイトハウスで声明を読み上げ、「公平な税負担こそ、米国の成長のあるべき姿だ」と強調した。当初主張した年収25万ドル超の富裕層に対する減税打ち切りは、共和党との妥協で45万ドル超に対象が狭められたが、所得税の実質的な増税はこの20年間で初めて。大統領が最後までこだわった富裕層増税の公約は守られた形だ。
 「財政の崖」をめぐる与野党協議は12月31日、バイデン副大統領と共和党のマコネル上院院内総務の協議で合意に達したが、時間切れで減税措置が失効。その後、民主党が過半数を握る上院で1日未明に89対8の大差で回避法案を可決し、共和党が多数派の下院でも民主党の大多数と共和党の一部の賛成で可決にこぎ着けた。
 回避法案では、富裕層を除く減税維持と自動歳出削減先送りのほか、長期失業者への保険給付の1年延長などが盛り込まれた。(2013/01/02-16:08)

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013010100075より、
米上院「財政の崖」回避策を可決=年収45万ドル以下減税維持-自動歳出削減は延期

 【ワシントン時事】米上院は1日未明、経済への打撃が懸念される「財政の崖」の回避法案を89対8の賛成多数で可決した。世帯年収45万ドル(約3900万円)以下の減税維持と、2日に予定されていた国防費を含む自動歳出削減の2カ月先送りなどが柱。1日正午(日本時間2日午前2時)に審議を再開する下院が法案を可決するかが焦点だ。
 「崖」回避が越年したため、昨年末が期限の減税措置は失効した。ただし、下院が法案を可決すれば失効が解除されるため、景気への大きな影響は避けられる見通し。
 オバマ大統領は声明を出し、上院による法案可決について「国にとって正しい行動だ」と称賛、下院にも速やかな法案可決を求めた。また、富裕層の増税は20年ぶりになると強調した。
 米メディアによると、法案には減税維持と自動歳出削減先送りのほか、失業保険給付の1年延長、富裕層を対象にしたキャピタルゲイン(有価証券売却益)と配当の税率引き上げが含まれる。
 一方、下院のベイナー議長(共和)は12月31日、「上院で法案が可決されれば、下院は審議する。受け入れるか修正するかは法案内容を見てから判断する」との声明を出した。下院は野党共和党が過半数を占め、強硬派の反発が予想されることから審議の動向は予断を許さない。(2013/01/01-19:55)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130101/k10014549171000.htmlより、
“財政の崖回避”の法案 上院で可決
1月1日 18時9分

アメリカの、いわゆる財政の崖を避けるための協議で、議会上院は、中間所得層の減税を継続し、年収45万ドル以上の富裕層の増税を盛り込んだ法案を、1日未明、可決し、ようやく事態の回避に向け道筋をつけました。
法案は、1日正午に審議を再開する、議会下院に送られることになります。
アメリカで、減税の終了と予算の強制削減が重なり、景気が悪化しかねない「財政の崖」を避けるための協議は、議会上院の与野党幹部とバイデン副大統領が、期限である先月31日の夜までかかって、妥協案の合意に達しました。
そして議会上院は、1日午前1時すぎ、法案の採決に臨み、賛成89票、反対8票の賛成多数で可決し、ようやく事態の回避に向け道筋をつけました。
可決された法案は、中間所得層に対する所得税の減税は続け、焦点となっていた富裕層の増税については、オバマ大統領の当初の提案よりも対象を絞り、年収45万ドル以上としています。
さらに、2日に予定される予算の強制削減については、2か月実施を先送りするとしています。
法案は、野党・共和党が多数を占める議会下院に送られ、下院は1日の正午に再開する本会議で採決を目指す見通しです。
「財政の崖」を避けるための協議は、結局、期限の先月31日中に決着できませんでしたが、期限が切れても中間所得層の税率が上がることがないようにする措置が、法案に盛り込まれています。

オバマ大統領“アメリカにとって正しい結論”
議会上院で法案が可決されたことを受けて、オバマ大統領は声明を発表し、「両党が合意した内容は、この20年間で初めて富裕層に応分の負担を求めるものだ」と高く評価しました。そのうえで、オバマ大統領は「民主党も共和党も望んでいたものすべてを手に入れたわけではないが、この合意はアメリカにとって正しい結論だ。下院は速やかにこの法案を可決するべきだ」と述べ、1日にも法案を審議する下院に対し、できるだけ早く可決するよう促しました。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013010101001209.htmlより、
「財政の崖」回避へ 米上院が法案可決
2013年1月1日 16時55分

 【ワシントン共同】米上院は1日未明(日本時間同日午後)、減税失効と歳出の強制削減が年初に重なる「財政の崖」の回避に向けた法案を、超党派の賛成多数で可決した。年収45万ドル(約3900万円)未満の世帯で減税を恒久化する一方、歳出の強制削減開始を2カ月遅らせる。下院でも同日以降に採決を予定している。
 全世帯で増税となる「崖からの転落」の期限だった昨年末には間に合わなかったものの、法が成立すれば経済に深刻な打撃が及ぶ事態は避けられる見通し。
 ただ税制改革や財政再建の包括策については合意を先送りしており、さらに与野党の厳しい交渉が続きそうだ。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130101/k10014546961000.htmlより、
財政の崖“上院合意”も決着は年明けへ
1月1日 12時13分

アメリカの、いわゆる財政の崖を避けるための協議で、議会上院の与野党幹部が、中間所得層の減税継続や富裕層の増税などの妥協案で合意したと、アメリカの主要メディアが伝えました。
上院は期限の31日中の採決を目指すとみられますが、議会下院は1日に審議を再開するため、最終的な決着は年明けに持ち越されることになりました。
アメリカで、減税の終了と予算の強制削減が重なり、景気が悪化しかねない、「財政の崖」を避けるための議会上院の協議は、31日の夜になって、ようやく与野党幹部とバイデン副大統領が妥協案で合意しました。
アメリカの主要メディアは、妥協案では、中間所得層に対する所得税の減税は続け、焦点となっていた富裕層の増税については、オバマ大統領の当初の提案よりも対象を絞り、年収45万ドル以上とすること、さらに、年明けに予定される予算の強制削減については、2か月実施を先送りすることで合意したと伝えています。
与党・民主党が多数を占める議会上院は、法案の審議に入り、31日中の可決を目指すとみられます。
しかし、野党・共和党が多数の議会下院は、上院の合意が遅れたことなどを考慮して、31日に法案は採決せず、1日に本会議を開くことを決めており、最終的な決着は年明けに持ち越されます。
このため、中間所得層を含めた減税はいったん打ち切られることになりますが、議会は、増税の影響が実質的に及ばないようにする法的な措置を取るなど、年明け後に対応を急ぐとみられます。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121231/k10014541061000.htmlより、
米“財政の崖”ぎりぎりの協議へ
12月31日 17時22分

アメリカのいわゆる「財政の崖」を避けるための協議は、富裕層に対する増税や歳出の削減策などを巡って与野党の折り合いがつかないまま期限の最終日となる31日を迎え、妥協案の合意に向けてぎりぎりの協議を続けることにしています。
アメリカで減税の終了と予算の強制削減が重なり、景気が悪化しかねない「財政の崖」を避けるため、議会上院の与野党幹部は妥協案の取りまとめに向け、調整を続けています。
与野党は、中間所得層の減税の継続では一致しているものの、与党・民主党が富裕層を対象に増税し、その税収を失業保険の支払いなどに充てると主張しているのに対し、野党・共和党は富裕層の増税は対象を絞り、歳出の削減を増やすよう求めるなど、折り合いがついていません。
協議に当たっている民主党のリード上院院内総務は、30日夕方、「与野党に依然、大きな意見の隔たりがある。しかし、まだ時間はあり、交渉を続ける」と述べ、期限最終日の31日も協議を続けると発表しました。
妥協案がまとまれば、議会上院は速やかに法案の審議に入り、下院も上院の動向を踏まえて対応するとみられ、期限の年内での合意に向けてぎりぎりの対応が続くことになります。
仮に妥協案の合意ができず、年明けから中間所得層を含めて増税となる場合について、オバマ大統領は30日に放送されたテレビのインタビューで、「年明けに始まる議会では、中間所得層への減税法案がまず審議される」と述べ、短い期間で減税を復活させて、影響を最小限に抑えるべきだという考えを示しています。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012123101001159.htmlより、
「財政の崖」回避へ交渉継続 米上院与野党、期限目前
2012年12月31日 09時02分

 【ワシントン共同】上院与野党トップは30日、減税失効と歳出の強制削減が年明けに重なる「財政の崖」を回避するための法案作成に向け、交渉を続けた。年末の期限を目前に、交渉は一進一退で31日にずれ込む可能性もある。
 解決できなければ、年明けに全世帯で増税となる「崖からの転落」を招くことになり、歳出の大規模な削減と合わせ、来年の米経済にとって深刻な打撃となる。
 上院の交渉では、中間所得層の減税延長や不動産を含む遺産税の増税回避、失業保険給付の延長などが論点。与党民主党のリード院内総務と野党共和党のマコネル院内総務が協議している。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121231/k10014537191000.htmlより、
米大統領 妥協案なくば金融に悪影響
12月31日 4時19分

アメリカのオバマ大統領は、いわゆる「財政の崖」の期限の年末が迫るなか、テレビ局のインタビューに応じ、議会幹部による妥協案がまとまらなかった場合、「明らかに金融市場に悪影響が及ぶ」と述べ、金融市場の混乱を避けるためにも民主・共和両党は妥協案の取りまとめに全力を挙げるべきだという考えを示しました。
アメリカで減税の終了と予算の削減が重なり景気が悪化しかねない「財政の崖」を避けるため、議会上院の与野党幹部は30日中に妥協案をまとめ審議に入ることを目指して協議を続けています。
こうしたなか、オバマ大統領はテレビ局のインタビューに応じ、「民主党も共和党も中間所得層への増税は避けたいと言っており、この点では合意可能だ。そうすれば最悪の結果は避けられる」と述べ、妥協案の取りまとめは可能だという見通しを示しました。
そのうえでオバマ大統領は、「もし年が明けてもこの問題が解決されていなければ、明らかに金融市場に悪影響が及ぶ」と述べ、金融市場の混乱を避けるためにも民主・共和両党は妥協案の取りまとめに全力を挙げるべきだという考えを示しました。
その一方で、オバマ大統領は与野党が妥協案の取りまとめに失敗した場合の対応について、「来月1日から中間所得層の税金が上がることになる。その場合は、来月4日に始まる議会で最初に審議されるのは中間所得層への減税法案になるだろう」と述べ、議会は年明けに中間所得層への減税法案を速やかに成立させる必要が出てくるという認識を示しました。

http://mainichi.jp/opinion/news/20121230k0000m070070000c.htmlより、
社説:米「財政の崖」交渉 世界が注視している
毎日新聞 2012年12月30日 02時31分

 財政の健全化策をめぐり、米ワシントンで期限ぎりぎりの攻防が続いている。年末までに議会で合意がみられなければ、年明け早々、大型減税の期限切れによる全世帯の実質増税と、大規模な歳出の一律削減が同時に米経済を襲う。「財政の崖」と呼ばれる緊急事態だ。
 時間不足で、抜本策の合意は絶望視されている。よくても難問先送りの部分決着となりそうだ。それでも、何も決められず越年という最悪の結末だけは回避してもらいたい。不安心理が広がり、米経済だけでなく、株式市場などを通じて負の影響が世界に及びかねない。
 期限間際にならないと交渉が妥結しないというのは珍しくないが、今回は明らかに、米国の「決められなくなった政治」を露呈した。
 4年連続で「財政赤字1兆ドル超」という米国の現状をみれば、歳入増と歳出削減の両方が必要であることは明白だ。ところが民主党は歳出削減に抵抗し、共和党は増税そのものに拒絶反応を示し続けた。一律の歳出削減が自動的に発動されそうなのも、両党がこれまで均衡のとれた削減策をまとめられなかった結果だ。
 増税については、中間所得層以下を巻き込まずに歳入増を図りたいオバマ大統領が、対象を年収25万ドル(約2100万円)超にする提案をした。「40万ドル超」まで譲歩する構えも見せたが、下院で多数派の共和党は、「100万ドル超」とした下院議長案すら受け入れなかった。
 だが共和党にしても、財政の崖を迎えれば、全所得層が増税され、大統領案をのむより悪い結果となる。民主党も同じだ。「25万ドル超」を「50万ドル超」まで引き上げたとしても、歳入の差額は年210億ドル(約1兆7800億円)程度とされる。
 妥協の余地はあるのに、政治的メンツと相手への不信感が妨げになり、崖っぷちまで追い込まれた。
 崖から落ち、株価が急落するような混乱や批判を招いても、互いに相手のせいにするつもりなのだろう。しかし、そうした状況下で勝者など存在せず、米国民も世界経済もすべてが道連れになり被害を受ける。
 交渉を年末ぎりぎりまでもつれこませた結果、すでに悪影響が米国の消費者心理などに表れている。政治対立をこれ以上続けた場合の代償は、経済面はもちろんだが、国民の政治不信や、世界における米国の地位低下にも及ぶだろう。自動的な歳出削減の半分は国防予算からなのだ。
 両党の指導者間で妥協が成立しても、法案が両院を通るまで予断を許さない。先送りされた課題も残るだろう。米国民と世界が注視している。オバマ大統領も両党のすべての議員も、それを心してほしい。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121229/k10014519131000.htmlより、
財政の崖 オバマ大統領“議会で妥協案を”
12月29日 8時14分

アメリカのいわゆる「財政の崖」の期限の年末が迫るなか、オバマ大統領は、28日、議会の上下両院の幹部と会談し、行き詰まった協議を打開するため、議会で妥協案をまとめるよう改めて要請しました。これを受け、議会上院の与野党幹部は、30日までに妥協案をまとめ、審議に入れるよう協議していくことで一致しました。
アメリカで、減税の終了と歳出削減が重なって景気が悪化しかねない「財政の崖」を避けるための、政府と議会の協議は、焦点の富裕層に対する増税を巡って妥協できないまま、期限の年末が迫っています。
こうしたなか、オバマ大統領は28日、ホワイトハウスに上下両院の与野党の幹部を招いて会談し、会談後記者会見したオバマ大統領は、「議会が今すぐ動けば問題は解決できる」と述べて、議会で妥協案をまとめるよう改めて要請しました。
また、妥協案をまとめられない場合は、オバマ大統領がすでに提案している中間所得層の減税の継続など最低限の内容を法案にして採決するよう求めました。
これを受け、与党・民主党が多数を占める議会上院の与野党の幹部2人は、30日までに妥協案をまとめて、議会で審議に入れるよう協議していくことで一致しました。
上下両院とも30日に本会議を開くことにしていますが、下院は野党・共和党が多数を占めており、「財政の崖」を回避できるか、期限ぎりぎりまで不透明な情勢が続きます。

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