憲法96条見直し 「国民投票主義」の覚悟はあるか

http://mainichi.jp/opinion/news/20130111k0000m070122000c.htmlより、
社説:視点…憲法96条見直し 「国民投票主義」の覚悟は
毎日新聞 2013年01月11日 02時30分

 ◇「国民投票主義」の覚悟は=論説委員 人羅格
 安倍晋三首相は憲法改正への積極姿勢を示すにあたり、改正手続きを定める96条の見直しを最優先課題に挙げている。

 96条は「手続き」条項だけに単純に改正のハードルを下げる意味合いに取られがちだ。だが、実際には日本の民主主義のあり方にかかわる要素をはらむ課題であることが改憲、護憲派を通じてあまり意識されていないように思える。

 現在の改憲条項は衆参両院の総議員それぞれ3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を得なければならない。その厳重さは改憲の大きな歯止めとなってきた。

 自民党の改正案は国会提案に必要な各院の賛成を「総議員の過半数」に引き下げるものだ。同条項改正には日本維新の会も賛成している。国民理解が比較的得られそうな点も首相が優先する背景にはあるのだろう。

 自民案で96条改正が実現すれば改憲のハードルは確かに下がる。だが、国民投票で賛成が必要な事情は変わらない。厳密には「国民投票を実施するハードル」が下がるのである。

 たとえば、ある政権の与党が重視する課題を憲法に盛り込みたい場合、国会の通常の法律制定と同じ程度の「数」さえあれば、国民投票に持ち込める。

 投票で可決が見込めるのは多くの場合、国民の共感度が高いテーマだろう。ちなみに毎日新聞の世論調査では、改憲で期待度が一貫して目立って高い項目は首相公選制導入だ。国民投票が容易になれば、両院のあり方、地方制度など統治機構改革が加速するとみる関係者は多い。

 時の与党がどんな政策を優先するかは未知数だ。一時の民主党政権下のような国会であればさしずめ「脱原発依存条項」が提案されるかもしれない。

 憲法改正に国民投票を密接にリンクさせる例は主要国では少数派だ。国民投票による改憲制度を持つフランス、イタリアは国会の議決のみによる改憲も可能で、むしろこちらが主流だ。ひんぱんな投票の活用で知られるのは直接民主主義的手法が浸透するスイスである。改憲に国民投票を必須とし、かつ提案のハードルも低くするという自民案はある意味でユニークだ。

 そう考えると、96条問題の本質は「国のかたちをどこまで直接民主制的に決めていくか」の議論ではないか。今後、いずれかの形で国民投票的手法が政治に浸透する流れは避けられないだろう。一方で、普段は自治体の住民投票ひとつにも目くじらをたてているような多くの国会議員に本当にその覚悟があるのかな、とも思う。

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