「南方週末」事件 共産党が憲法より優先する国
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50534330S3A110C1EA1000/より、
日経新聞 社説 醜悪な中国のメディア統制
2013/1/12付
中国で習近平・共産党総書記をトップとする指導部が誕生してから、やがて2カ月。この国がどこに向かおうとしているのか、新指導部の一挙一動を世界が注視しているといっていい。広東省の有力週刊紙「南方週末」をめぐる騒動は、一つの試金石だろう。
発端は3日付の記事だ。もともとは憲法に基づく政治の実現を訴えていたが、記者たちが知らないうちに「中華民族の偉大な復興」というスローガンを唱える内容にすり替えられたという。
共産党政権にわりあい批判的な同紙に対し、メディア統制を担当する共産党の宣伝部門はしばしば干渉してきた。今回の記事すり替えはとりわけ粗暴で、掲載された記事には誤りも目立った。
記者たちがネットなどを通して抗議しストライキまで示唆したのは、我慢も限界に来たのだろう。一党独裁体制の下で異議の声を上げた彼らの勇気をたたえたい。
事情を知った一部の市民が言論の自由を訴えてデモをくり広げたのも、日ごろの情報統制への不満が表面化したといえる。
ネットの時代には情報統制が難しいことも、改めて浮き彫りになった。内外の関心の高まりもあって、当局は記者たちに一定の譲歩を示し事態は収束に向かいつつあるようだ。これを機に言論統制の撤廃に踏み出すよう望む。
ただ、楽観はできない。デモ参加者の一部を当局は拘束し、暴行を加えたとさえ伝えられる。共産党政権に近い新聞は言論統制を正当化する社説を掲載し、宣伝部門はこの社説の転載を他の新聞に指示して新たな反発を招いている。醜悪というよりほかはない。
別の事件も起きている。開明的な知識人が結集して発行している雑誌「炎黄春秋」のサイトが、閉鎖を余儀なくされたのだ。
就任して間もなく、習総書記は「共産党は憲法と法律の範囲内で活動すべきだ」と呼び掛けた。そして中国の憲法は言論の自由を明記している。習総書記と共産党政権の言行一致が問われている。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年1月10日(木)付
中国の検閲―言論の自由とめられぬ
共産党による一党独裁が続く中国で、言論の自由を求める声が強まっている。
処罰を恐れずに声を上げた記者たちの志や、市民の勇気に心から敬意を表したい。他方、それを抑えこもうとする中国当局の振る舞いは、強い非難に値する。自由を求める声は弾圧で消せるものではないことを、知るべきである。
発端は、広東省を拠点とする週刊新聞「南方週末」の新年特集号に掲載された記事が、多くの記者が知らぬうちに当局の指示で書き換えられたことだ。
怒った記者らが、もとの文章をインターネットで公開し、当局を批判した。賛同の声がうねりのように広がった。
支援はネット上にとどまらなかった。大勢の市民がこの新聞の本社前に集まり、当局に抗議した。デモが厳しく管理されている国で異例だ。
他のメディアにも、連帯する動きが出た。北京の「新京報」は、宣伝部の意向に沿った別の新聞の社説を転載することに、記者たちが抵抗した。
中国では、メディアは党や政府の代弁者と位置づけられている。当局による報道内容への介入は普段から行われてきた。それでも、今回の書き換えは記者たちの我慢の限度を超えたのだろう。
共産党中央の宣伝部は「海外の敵対勢力が介入している」として、引き締めを始めた。南方週末を支援した活動家が「国家政権転覆扇動罪」の疑いで拘束されたとの情報もある。
経済成長のかげで貧富の格差が急速に広がり、市民の間で不公平感は大きく膨らんでいる。共産党には、報道を統制しないと政権の足元が揺らぎかねないとの不安がある。
だが、短期的に引き締めの効果が出たとしても、ネットの発達で情報の量は激増し、自由な言論への欲求が強まることは押しとどめられまい。
習近平(シーチンピン)総書記は就任直後の12月に広東省を訪れ、改革開放に力を入れる姿勢を打ち出した。過度な接待を戒め、会議の簡素化を呼びかけるなど、党の体質を変えるよう求めてもいる。
「中国の夢 憲政の夢」。それが、南方週末の書き換え前の記事の題だった。
人治が横行し、法がおろそかにされがちな現状への批判と受け止められたようだ。だが憲法の重視も、習氏自身が強調していたことではないか。
今回の事態は、党の生き残りをかけて変化を訴える習氏の言動が本物なのか、うわべだけなのかを問いかけている。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130110/chn13011003130001-n1.htmより、
産経新聞【主張】中国の報道統制 「異様な社会」を直視せよ
2013.1.10 03:13 (1/2ページ)
中国広東省の週刊紙「南方週末」の年頭社説が、当局の指示で中国共産党賛美の内容にすり替えられた。
国内で抗議の声が上がり、同紙記者をはじめ大学教授、作家らが省党委宣伝部トップの辞任と謝罪を求めている。だが、中国当局は共産党機関紙、人民日報系の環球時報の社説を通じ、体制に歯向かう報道機関は「必ず敗者となる」と威圧で応じた。
中国憲法では「言論や集会・結社の自由」がうたわれている。それは空文にすぎず、実体を伴わないことが改めてさらけだされた。共産党一党独裁下では当然の帰結だが、こうした異様なやり方がまかり通っていることを日本は直視しなければならない。
米国務省報道官は「報道機関の検閲は、近代的な情報社会を築こうという中国の願望と相いれない」と指摘した。国際ジャーナリスト連盟も実態調査を要求した。中国当局は、これらの抗議に耳を傾けるべきだ。
中国の独りよがりの姿勢は枚挙にいとまがない。ノーベル平和賞を受けた民主活動家、劉暁波氏は国家政権転覆扇動罪で授賞式への出席が認められず、現在も服役中だ。「盲目の人権活動家」として知られる陳光誠氏は、家族とともに渡米した。一党独裁堅持のため思想も言論も弾圧する姿勢は、どれほどの大国となっても世界から尊敬されないだろう。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130110/chn13011003130001-n2.htmより、
2013.1.10 03:13 (2/2ページ)
南方週末の最初の原稿は「中国の夢、憲政の夢」と題し、腐敗対策として法治の重要性を訴えるものだったという。だが、すり替えられた社説からは憲政や民主、自由、平等などの表現が消え、「中華民族の偉大な復興実現」という習近平総書記の発言に極めて近い内容となっていた。
反日デモへの参加者に理性的な行動を求めていたが、この部分も削除されたという。
記者らの抗議声明では、同紙で書き換えさせられたり、掲載が認められなかったりした記事は昨年1年間で1034本に上った。事実なら、あきれるしかない。
中国共産党はあくまで言論統制を貫く構えだ。だが社説すり替えへの強い反発は、中国国内でも言論の自由への欲求が強くなったことを見せつけている。習新体制は、報道統制も官僚の腐敗や格差拡大などと並んで国民の大きな不満要因と思い知るべきだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013010902000134.htmlより、
東京新聞【社説】中国紙改ざん メディア 党の舌なのか
2013年1月9日
中国の週刊紙「南方週末」の記事差し替えに、記者たちが抗議デモに踏み切ったのは勇気ある行動だ。当局は安定を最優先に抑え込みに躍起だが、言論の自由の尊重こそが中国のためではないか。
掲載しようとしたのは憲法に基づく民主政治を訴える内容だという。それが、習近平総書記が唱える「中華民族の偉大な復興の夢」が柱の記事に差し替えられた。
中国の憲法は、公民に言論や出版の自由を認めている。だが、こうした記事改ざんと批判されても仕方のない事態が起こるのは、党中央宣伝部が新聞や出版などを検閲し、統制しているからだ。
党の指導が憲法よりも優先するのが現状である。それでは、言論や個人の自由はないに等しい。
メディア管理の総責任者である劉雲山・党政治局常務委員は、北京での会議で「メディアは党と政府の声をきちんと伝えないといけない」と、指示したという。
メディアを「党の喉と舌」である宣伝機関とする共産党の伝統的な考えであろう。そして、メディア統制の最大の目的は、社会の安定であるという。
だが、党や政府に都合の悪いニュースを伏せ、国営新華社通信の管制情報を各メディアが一斉に使うよう求めるような態度は、健全な国民の判断力を侮るものである。それでは、真の民主社会の進展は望めない。
党中央機関紙の人民日報はじめ党報と呼ばれる新聞に対し、愛読者が増えているのは一般の商業紙などである。なぜなら、汚職腐敗などの調査報道に強く、改革志向だからだ。南方週末もそうした自由な編集方針の週刊紙である。
言論や報道の自由が、民衆の利益を守るということに、多くの人たちが気づき始めているのだ。
ネット社会でもある。「網民」と呼ぶネット利用者は五億人近いという。堅固な検閲システムをくぐり抜け、当局の隠したい情報が一気に広がる社会でもある。
二〇〇三年に北京大助教授の「中央宣伝部を討伐せよ」という論文がネットで広がった。メディア統制の闇を暴き、海外で出版されたが、中国では禁書だ。
論文は「(前略)いずれも、この母国で自由に生活し、自由に表現し、自由に話す権利を持っている」と指摘していた。
言論を封殺するのではなく、その自由を尊重してこそ、真の大国への第一歩であろう。そうした選択が実は中国のためでもある。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130108/k10014662851000.htmlより、
中国紙記事書き換え 抗議続く
1月8日 18時53分
中国の新聞で、政治の民主化などを求める記事が地元当局によって書き換えられたとされる問題で、この新聞の本社前では8日も行われた抗議活動に警察官が出動し、規制に当たるなど、中国政府が抗議の広がりに神経をとがらせていることがうかがえます。
この問題は、中国南部・広東省の新聞「南方週末」が、政治の民主化などを求める記事を掲載しようとしたところ、地元当局の指示で記事を大幅に書き換えられたとして記者らが反発しているもので、7日広州市にある本社前では、およそ300人が抗議活動をしました。
これに続いて8日も同じ場所に集まった若者などおよそ100人が、菊の花を手向けるなどして当局への抗議の意思を示しました。
現場では、30人以上の警察官が出動し、参加者に新聞社の入り口から立ち退くよう命じたほか、報道関係者に対しても記者証の提示を求めるなど、規制に当たりました。
7日の抗議活動について、広東省の地元紙は一切伝えておらず、一部の新聞は、中国共産党系の新聞が冷静な対応を呼びかけた7日の社説をそのまま掲載しています。
これに対してインターネット上では、中国の若者に人気の作家が抗議活動を支持する声明を発表するなど、抗議の声が広がる一方、一部のサイトでは「南方週末」に関することばが検索できなくなっており、中国政府が抗議の広がりに神経をとがらせていることがうかがえます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130108/k10014647561000.htmlより、
“記事書き換え”米政府が中国を批判
1月8日 9時22分
中国で、新聞に掲載される予定だった民主化を求める記事が、地元当局によって書き換えられたとされる問題について、アメリカ政府は「検閲は中国が目指す近代的な社会と矛盾する」として中国側の対応を批判しました。
この問題は、中国の広東省に拠点を置く新聞「南方週末」が、政治の民主化や言論の自由などを求める記事の掲載を予定していたところ、地元当局の指示で大幅に書き換えられたとされるものです。
「南方週末」の記者らが反発する声明を発表したことから中国で波紋が広がっており、7日、広州市にある本社の前には300人以上の市民が集まり、「言論の自由が葬られた」として、菊の花を手向けて抗議の意思を示しました。
これについて、アメリカ国務省のヌーランド報道官は、7日、記者会見で「検閲は近代的で情報化が進んだ経済と社会を目指すという中国の意志とは矛盾するものだ」と述べて、中国側を批判しました。
そのうえで「現在、中国は言論の自由に取り組んでいるところだ。われわれは今回のことについても中国政府が関心を払うよう望んでいる」として、改善を求めました。
アメリカでは、今回の問題が中国の最高指導者に就任した習近平氏がこれから言論の自由についてどのような政策を取るのかをはかる試金石になるとみており、中国の対応に注目が高まっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130107/k10014639051000.htmlより、
中国紙記事書き換え 抗議活動
1月7日 19時13分
中国で新聞に掲載される予定だった、政治の民主化などを求める記事が、地元当局によって書き換えられたとして、この新聞の記者らが強く反発している問題で、広東省にある本社の前などで7日、抗議活動が行われ、習近平氏が最高指導者に就任してまもない今の時期に、この問題をきっかけに国内で動揺が広がることを当局は強く警戒しているものとみられます。
中国では、南部・広東省に拠点を置く新聞「南方週末」が、今月3日付けの新年号で、政治の民主化や言論の自由などを求める記事の掲載を予定していたところ、地元当局の指示で、記事の内容を大幅に書き換えられたとして、この新聞の記者らが反発する声明を発表するなど波紋が広がっています。広州市にある「南方週末」の本社前では、7日、記者たちを支援するなどとして300人を超える人たちが集まり、「言論の自由が葬られた」として、菊の花を手向けるパフォーマンスで抗議の意思を示していました。
周辺には30人以上の警察官などが出て警戒に当たり、菊の花を撤去して、参加者の一部と言い争いになる場面もありました。
抗議に訪れた大学生の男性は「真相に迫る報道が好きで、新年の特別記事には特に期待していました。政府の、圧力への不満を表明したいと思って来ました」と話していました。
抗議活動は、北京にある「南方週末」の支社の前でも行われ、10数人の人たちがプラカードなどを持って集まりました。
この問題を巡っては、中国のインターネット上でも、記者を応援したり、言論の自由を求めたりする声が相次いで書き込まれていますが、ほとんどがすぐに削除されています。
中国共産党系の新聞は、7日付けの紙面で、関係者に対して冷静になるよう呼びかける異例の社説を掲載しており、習近平氏が最高指導者に就任してまもない今の時期に、この問題をきっかけに国内で動揺が広がることを、当局は強く警戒しているものとみられます。
「南方週末」とは
「南方週末」は、中国南部、広東省に拠点を置くメディアグループが毎週1回発行し、中国各地で販売されています。
官僚の汚職や社会の不正などについての独自取材で定評があり、都市部の若年層を中心に人気を集めています。
南方週末のホームページによりますと、近年、発行部数は年15%のペースで増え続け、現在は170万部を超えているということです。
中国国内で最も影響力のある新聞の1つとされ、2009年にオバマ大統領が中国を訪れた際には、アメリカ側が南方週末を選んで単独インタビューに応じています。
中国言論の自由は
中国では、言論の自由について、憲法の第35条で、「国民は、言論と出版の自由がある」と規定されています。
しかし、実際は、共産党の中央宣伝部が、国内メディアの伝え方を厳しく管理しています。
共産党中央宣伝部は、党や政府にとって好ましくない情報については、各メディアに対して、独自の取材をしないよう指示したり、新聞の発行停止の措置を取ったりすることがあります。
2006年には、共産党系の新聞が発行する「氷点週刊」が、国内の歴史教科書を批判する大学教授の論文を掲載したことで、中央宣伝部から一時、発行停止の処分を受け、編集長が解任されました。
この論文は、中学生の教科書について、清朝末期の義和団事件を例に挙げて、義和団を当時の帝国主義諸国に対する民族の抵抗運動とだけ位置づけるのではなく、略奪や虐殺にも関与した側面も指摘すべきだなどとして、当時、共産党が推し進めていた歴史教育を、客観的に見つめる必要があると主張しました。
一方、おととし7月、中国東部の浙江省で、高速鉄道どうしが衝突し、40人が死亡した事故では、中央宣伝部が事故に関する独自の記事を禁止する通達を出したにもかかわらず、政府の対応を痛烈に批判する報道が出たほか、紙面に掲載されなかった記事を、インターネット上に投稿する記者もおり、メディアと当局との間のせめぎ合いが目立つようになっています。
北京でも記者支持の動き
北京にある「南方週末」の支社にも、7日、記者たちに支持を表すため、花束やプラカードを手にした人たちが次々と駆けつけました。
30代の男性弁護士は「報道は政府に牛耳られてはならないし、市民には真実を知る自由があるということを、より多くの人々が知る機会だと思う。
当局は反省し、永遠に自分たちの思い通りになるわけではないことを知るべきだ」と話していました。
また、コラムニストの男性は「当局が直接、手を下して私たちの新聞を書き換えることはがまんならないし、物書きなら誰しも耐えられないことだ。
私は『南方週末』を支持しているし、もっと自由に中国を報道してほしい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130107/k10014623821000.htmlより、
中国 新聞記者スト呼びかけに強い警戒感
1月7日 12時8分
中国・広東省の新聞で、政治の民主化などを求めた記事が地元当局によって書き換えられたとして、この新聞の記者らが反発しストライキを呼びかけている問題で、中国共産党系の新聞は7日、冷静な対応を呼びかける異例の社説を掲載し、国内で動揺が広がることに強い警戒感を示しています。
中国では、南部・広東省の新聞、「南方週末」が、今月3日付けの新年号で、政治の民主化や言論の自由などを求める記事の掲載を予定していたところ、地元当局の指示で記事の内容を大幅に書き換えられたとして、この新聞の記者らが反発してストライキを呼びかけるなど、波紋が広がっています。これについて、中国共産党系の新聞、「環球時報」は、7日付けの紙面の中で、「騒ぎが収まるように協力してほしい」として、関係者に冷静な対応を求める異例の社説を掲載しました。
この中では、言論の自由について、「中国のすべてのメディアの発展は、中国の現実に即したものであるべきだ」として、一部の記者らが主張する報道の自由は、現状では認められないなどとしています。この問題を受けて、インターネット上では、当局を批判したり、当局に対する抗議活動が呼びかけられたりしていますが、ほとんどが削除されています。
ただ中国では、習近平氏が最高指導者に就任して間もないだけに、当局は、この問題をきっかけに、国内で動揺が広がることを強く警戒しているものとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130107/k10014618221000.htmlより、
記事書き換え 中国の新聞記者らが異例のスト表明
1月7日 4時19分
中国で、政治の民主化などを求めた新聞記事が地元当局によって書き換えられたとされる問題で、新聞社側が6日夜、記事の書き換えはなかったとする声明を出しました。
ところが、この声明に反発した記者たちがストライキを表明し、事態は異例の展開を見せています。
この問題は、中国南部・広東省の新聞、「南方週末」が、今月3日づけの新年号で「中国の夢、立憲政治の夢」と題し、政治の民主化や言論の自由などを求める記事を予定していたところ、地元当局の指示で「自由」や「民主」という言葉をすべて削除され、現状を肯定する内容に大幅に書き換えられたとインターネット上などで指摘されているものです。
これについて、「南方週末」は6日夜、「記事は編集者が共同で執筆したもので噂は事実ではない」と当局による書き換えを否定する声明をインターネット上で出しました。
ところが「南方週末」の記者や編集者およそ20人がこの声明に反発し、「声明は当局からの圧力によるものだ」として、問題の徹底調査を求めてストライキを表明し、事態は異例の展開をみせています。
「南方週末」は官僚の汚職や社会の不正を独自に取材した報道に定評があり、中国国内で最も影響力のある新聞のひとつですが関係者によりますと、ここ数年、当局による締め付けが強まってきていたということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130105/k10014596061000.htmlより、
民主化求める記事 中国当局が書き換え
1月5日 6時58分
中国の国内向けの新聞や雑誌が政治の民主化などを求める新年の記事を掲載しようとしたところ、当局に内容を書き換えるよう命じられるなどの例が相次いで指摘され、波紋が広がっています。
中国国内のメディア関係者によりますと、記事の書き換えを命じられたのは、中国南部・広東省の新聞「南方週末」です。
南方週末は、今月3日付けの新年号の冒頭で、「中国の夢、立憲政治の夢」と題し、政治の民主化や言論の自由などを求める記事を予定していましたが、地元当局によって、「われわれはいつの時代よりも夢に近づいている」などと、現状を肯定する内容に大幅に書き換えさせられ、「自由」や「民主」という言葉がすべて削除されたということです。
インターネット上には書き換え前のものとされる記事が出回っており、南方週末の元記者らも連名で、書き換えを命じたとされる当局の責任者の辞任と謝罪を求める公開書簡を発表するなど波紋が広がっています。
また、北京の雑誌「炎黄春秋」のウェブサイトも4日から閲覧できず、新年号で「政治の民主化は急務だ」とする記事内容が問題視されたためとみられています。
一方、国営の新華社通信は、4日に開かれた共産党の宣伝部門の会議で党と政府の声をさらに広めていく考えが示されたと伝え、当局による報道機関への統制は今後、より強まる可能性も出ています。