きょうは「成人の日」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年1月14日(月)付
成人の日―レッテル貼りを超えて

 例年、きょうの社説は20歳へのメッセージを送ってきた。
 今年は新しい仲間を迎える大人社会の側に向けて書きたい。もちろん、自戒を込めて。
 新成人の世代は、あれこれとレッテルを貼られてきた。
 薄っぺらい教科書で学んだ、勉強不足のゆとり世代。
 内向き志向で、受け身。
 そう決めつけずに、少し冷静に見つめ直してみよう。
 全国大学生協連が毎年、2万人の学生を調査している。
 大学生活の重点を「勉学」と答える率は、80年代や90年代よりかなり高くなっている。授業に出るコマ数も、90年代の前半よりずいぶん増えた。「まじめ化」の傾向がある、という。
 「ゆとり批判に親や先生が焦り、むしろ勉強させられた」。新成人のひとりが言う。
 ゆとり教育は、始まるやいなや学力向上にかじが切られた。大学も出席を厳しく取るようになった。言われるほどに、「ゆとり」の実感はない。
 「内向き」はどうだろう。
 一例に挙げられるのは海外留学が5年続けて減ったことだ。とはいえ、バブル期に比べると倍の6万人に増えた。
 ボランティアの参加率は上の世代より低い。ただ、総務省の調査では、5年前と比べて率が最も伸びたのは20代前半だ。
 新成人は、小さいころからケータイやパソコンがあった。
 「だからリアルな人間関係が希薄になっている」とか、逆に「いつもケータイを気にして、友だち地獄に悩んでいる」とかとりざたされる。
 しかし、生協連をはじめ各種の調査結果を見ると、どちらもそうは言えない。東京学芸大の浅野智彦准教授はそう語る。
 大半は腹を割って話せる人がいるし、ケータイ依存が深まっているともとれない。つまり、世間の見方とデータの間にはギャップがある、という。
 ivote(アイ・ヴォート)という学生団体がある。様々な大学から25人が集まり、20代の投票率を上げる活動をしている。
 活動のひとつに、「居酒屋ivote」がある。国会や地方の議員を招いて、飲みながら議論する。「世代が違っても、目的意識が同じなら通じ合える。そう実感した」。20歳のメンバーが言っていた。
 「若者を『問題』としてみようとする大人の視線が、むしろ問題かもしれない」と浅野准教授は指摘している。
 私たち大人の側から世代の壁を築いてしまわないよう、胸に刻みたい。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130114/trd13011403550000-n1.htmより、
産経新聞【主張】成人の日 「日本は俺が創る」の志で
2013.1.14 03:14 (1/2ページ)

 今年の元日を20歳で迎えた新成人は122万人に上る。しかしこれは、第1次ベビーブーム世代が成人を迎えた昭和45年のほぼ半分でしかなく、総人口に占める割合も0・96%にすぎない。
 若者人口の減少は国力の衰退につながり、国は早急に手を打たねばならない。同時に、若者自身にも日本の次代を担っていこうとする自覚を促したい。
 先月の衆院選で投票所に足を運んだ新成人は、果たしてどれくらいいただろうか。
 詳細はまだ明らかになっていないが、明るい選挙推進協会によれば、平成5年から21年までの6回の衆院選における20歳代の投票率は、いずれも30%台、40%台で、60歳代(約77~84%)などに比べてすこぶる低い数字である。
 飲酒・喫煙の自由を得たことは喜んでも、選挙権を得たことの意義を心に刻む新成人は少ないのではなかろうか。雇用や景気に不安を感じ、時代の閉塞(へいそく)感を嘆くばかりで将来への希望も持たず、日本の未来についても当事者意識が希薄なように思われる。
 人口が少ない上に投票率が低いとなると、やがて社会の支え手となるであろう若者自身の意思が政治に反映されないことになる。例えば原発問題を考えてみよう。
 稼働をゼロにした場合に想定される産業の空洞化や雇用の縮小はほかでもない若者世代のこれからの生活を最も強く直撃する。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130114/trd13011403550000-n2.htmより、
2013.1.14 03:14 (2/2ページ)
 憲法問題も同様だ。現行憲法の施行は66年も前のことだ。新成人の祖父母もまだ若かったろうし、わが国でのテレビ放送も始まっていなかった。現在の国際情勢はその頃と大きく異なり、日本の領土・領海が近隣諸国の脅威にさらされ、資源エネルギーや食糧をめぐって国益がせめぎ合っている。憲法の条文が日本の防衛の妨げになっていることも明白になった。
 それでも現行憲法を墨守するのかどうか。日本の屋台骨を支えることになる今の若者にこそ真剣に考えてほしい。もはや傍観者であってはならない。夏には参院選もある。将来を託す一票を投じられるのは、大人に仲間入りして初めて味わえる幸せのはずだ。
 フランス皇帝、ナポレオン1世は言った。「状況? 何が状況だ。状況は俺がつくるのだ」
 現状に不満を並べるだけでは若者らしくない。大きな志で「強い日本」を創造してほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013011402000104.htmlより、
東京新聞【社説】成人の日に考える イマジン、次の二十年
2013年1月14日

 新成人、おめでとうございます。「大人」の看板を掲げる日。だからイマジン、想像してごらん。二十年先のあなたは、どんな世界で何していますか。
 二十年という時間に触った人がいます。名古屋市東区の「栗田看板舗」の仕事場で。
 時間とは、後ろへ過ぎ去っていくだけのものではなく、未来へ向かって降り積もるものなんだよと、修復を待つ一枚の古い看板が、語りかけてきた。
 ことし伊勢神宮は、二十年に一度の式年遷宮を迎えます。門前に店を構える和菓子の「赤福」は、それに合わせて本店の金看板を修復します。

◆二十年後を見てみたい
 三代目の栗田浩司さん(47)は今回初めて、この仕事を父親から引き継いだ。
 百二十年前に新調された看板は、縦一メートル、横三・八メートルのケヤキの一枚板。裏側を木と銅板で田の字形に補強したものです。
 老舗の誇りを静かに伝える文字通りの金看板も、地上で見れば微妙なゆがみやひずみが目立ち、無数の傷ができている。銅板の腐食も進んでいます。屋外で雨風や人目、カメラのレンズにさらされ続けた時間の堆積です。
 作業の手順を書き留めました。
 まずはじめに裏側の枠を取り外し、表に返して金箔(きんぱく)をはがします。表面の傷、割れ、膨れを一つずつパテで修正し、じっくりと磨きをかけて形を整える。
 次に、下塗りと上塗りを各二回。漆によく似てしかも乾きやすい、カシューの塗料を使います。これも、文字の曲線がより美しく見えるよう、ゆっくりと表面を研ぎながら。この下塗りが、出来栄えを左右する。
 その上に新しい金箔を張り、透明の樹脂塗料を施して表面を保護します。最後に裏面を補強し直して、約一カ月の作業は完了です。
 生まれ変わった金看板は、注文通り、暮れの二十五日に元の場所へ戻されて、大勢の初詣客を出迎えた。
 新年を迎え、栗田さんの心の内をふと不安がよぎります。
 「父の仕事は、二十年という時間に耐えた。自分のは…」。二十年の重さを知って、その上で、それを背負って働き続ける不安だろうか。
 しかし、その不安に勝るのが、職人の自負と想像力。「二十年後にどうなるか。自分の仕事を見続けるのも仕事です」
 栗田さんは、結局その日を楽しみにしています。

◆想像力が足りません
 それにしても、お伊勢さんはなぜ二十年に一度ずつ、引っ越しをなさるのか。
 かやぶき屋根の寿命とか、宮大工の技術を伝えるのに適当な長さだからとか、乾燥米の賞味期限という説もありました。正直よくわかりません。
 成年についても同じ。民法は「二十歳をもって、成年とする」(第四条)と定めています。ところが、世界的にはプエルトリコが十四歳、一般には十八歳で成年とみなされる場合が多く、「大人」の根拠はあいまいです。
 二十年という歳月は、日本人の遺伝子にあらかじめ刻み込まれた、未知のサイクルなのかもしれません。この不思議な節目の日、新成人の皆さんには、過ごしてきた時間の重さにしばし浸ってもらいたい。多くの人の愛情や喜怒哀楽がいっぱい詰まった時間の手触りを、まず確かめてもらいたい。
 そして想像してほしい。未来と呼ぶにはあまりに身近な次の二十年先に、あなたは何をしているか。何をしていたいのか。
 今私たちには、想像力が足りません。今日の天気が心配で、明日の予報ができません。為替や株価に気を取られ、次世代への投資ができません。
 例えば二十年という時間が起こす変化の力を信じずに、現在の物差しで未来を測り、あれもだめ、これもだめだと、できない理由ばかりを探して立ちすくんでいるようです。それがもし「大人」なら、見習わないでいただきたい。
 想像してごらん。二十年後、温室効果ガスを25%減らした地域のことを。想像してごらん、原発がゼロになった日本のことを。想像してごらん、戦争のない世界のことを。今皆さんに、できない理由がありますか。

◆時の流れに色あせず
 「イマジン」をつくったジョン・レノンは、こんな歌も歌っています。
 ♪戦争は止められるさ/もし君が望みさえすれば♪(ハッピー・クリスマス)
 想像してごらん。皆さんが今日掲げた「大人」という看板は、二十年先にも色あせてはいないだろうか。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50580640U3A110C1PE8000/より、
ソーシャル世代の生かし方
2013/1/14付

 今年の元日を20歳で迎えた新成人は122万人。団塊世代が20歳だった1970年ごろの半分だ。彼らを含め貴重な若い「人財」をどう育て、それぞれの場で活躍してもらうか。改めて考えたい。
 昨年の日本生産性本部の新入社員調査で、いまの会社に一生勤めたい人の割合が、入社直後の60%から秋には31%に減った。下げ幅としては過去最大だ。
 減り方が目立ち始めたのは4年前だ。「仕事を通じてかなえたい夢がある」人の割合も同じ傾向にある。若者の意欲を、余裕をなくした会社が受け止め切れていないのだとすれば、もったいない。
 「右肩下がり」の中で育ち、厳しい就職活動を経た世代は危機感が強く、自身の成長を急ぎ、目の前の仕事の意味を気にかける。
 後のキャリアにどうつながり、会社が社会でどう機能しているのか、きちんと説明する態勢を整えてはどうだろう。外国人など多様な社員を迎える準備にもなる。
 新世代を理解する鍵の一つがソーシャルという言葉だ。社交的、社会的を意味する。ネット上のソーシャルメディアで人とつながるのは古い世代より得意だ。社会問題をビジネスの手法で解決するソーシャルビジネスや、企業の社会貢献活動にも関心が高い。
 自社の組織文化で単色に染めるより、人脈形成の能力を生かし外の風を取り入れる方が本人も楽しく、前例なき挑戦を迫られる会社にも結果的に役立つ。社会貢献意識も高齢者ビジネスや途上国開拓など、本業の展開に生かせる。
 旅行会社のエイチ・アイ・エスは4年前からバングラデシュなどでの社会貢献活動を組み込んだツアーを始め、いまや人気商品だ。ダッカに支店も開いた。
 都心で農産物の青空市を開催するベンチャー。東日本大震災の被災地に移住する脱サラ組。若者のソーシャル志向を生かす新ビジネスや地域振興が増えている。
 企業は自社の社会的使命をもう一度自問してみてほしい。そこから若者に語る言葉が生まれる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130114k0000m070066000c.htmlより、
社説:成人の日 新たな関係を生きよう
毎日新聞 2013年01月14日 02時30分

 今月、20歳になる人気歌手、きゃりーぱみゅぱみゅさんのヒット曲「つけまつける」でとても印象的な一節があった。いつも同じ空だけれど、心の持ち方次第で見え方が変わってくるといった意味の歌詞だ。
 つけまつげで変身し、自信を取り戻して新しい世界を求めようと呼びかける。今の人間関係に苦しんでいるのなら、思い切って違う人とのつながりを求めようよ、と背中を押すようにも聞こえる。歌われているのは、密室状態に風穴を開けようとする切実な願望だろうか。
 「成人の日」を迎えた若者たちを祝福したい。今年の元日時点で20歳の新成人は前年と同じ122万人(総務省の推計)。3年連続で総人口の1%を割った。就職難は相変わらずだし、政治的主張がなかなか通らないもどかしさを感じている人も少なくないだろう。いらだちや虚無感を抱える人が多いのではないか。
 最近、気になるのは若者たちの自殺がしばしば報じられることだ。
 2011年の10〜20代の自殺者は3926人で前年より134人増えた(警察庁の調べ)。就職失敗が原因とされたのは150人と4年前の2.5倍に。重圧や不安に悩む若者はかなりの数になるだろう。これらには、狭い環境で追い込まれたように感じ、行き詰まってしまった結果という側面もあるのではないか。
 作家の平野啓一郎さんが近年、提唱しているのが「分人」という概念だ。聞きなれないが、「個人」に対置する言葉だ。内部に実体(本当の自分)があると思うと生きづらくなる。そうではなくて、他人との関係の中で、そのつど、変わりゆくものとして、関係の数だけ、自分がいると思えばいいというのだ(講談社現代新書「私とは何か 『個人』から『分人』へ」)。
 教室でいじめられている自分は、私の一部で、放課後は別の自分、家に帰れば、また別の自分がある。私とは、そういった「分人」の集合なのだ。新しい人間関係を誰かと結べば、また、別の分人ができる。そうやって、危機をしのいで、前向きに生きていけないだろうか。
 昨年、「セカ就」という言葉が聞かれた。「世界に向けた就職」の略語だ。本紙の連載「イマジン」ではインドネシアで働く若者たちが報告されていた。その国の経済成長に役立ち、必要とされ、生きがいを感じている姿が伝えられた。起業をめざす人もいる。新しい人間関係によって充実した人生を得た例だろう。
 社会が若者たちに閉塞(へいそく)感を与えている面はある。でも、息が詰まる状態に身を置き続ければ、呼吸が苦しくなるばかりだ。心の持ち方を変えて新しい関係を生きてほしい。

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