名目は緊急経済対策 実質は夏の参院選対策

http://mainichi.jp/opinion/news/20130116k0000m070109000c.htmlより、
社説:大型補正予算 「負担は後で」は無責任
毎日新聞 2013年01月16日 02時32分

 この政権は財政再建に取り組む気があるのか。そう問わずにはいられない12年度補正予算である。緊急経済対策の実施などに必要な予算措置だが、財源の約6割を借金に頼ったため、今年度の新規国債発行額は、44兆円の目標を8兆円も超過した。将来の返済負担がまた増える。
 財政再建を「中長期的にはしっかりやる」と安倍政権は主張する。だが、借金を大胆に上積みする政権が、どうしたら数年後の再建目標を達成できるのか、不可思議だ。
 財政再建への真剣さを疑う代表例が、70〜74歳の高齢者が病院の窓口で負担する割合を1割から2割に引き上げる措置の凍結継続だろう。補正予算には、4月から1年据え置くための費用として、約2000億円が計上された。
 現役世代の負担と高齢者の受益とのバランスを改善させるため、70代前半の負担増を決めたのは自公政権である。06年のことで、08年4月から実施することになっていた。それが07年の参院選惨敗を受け、高齢者の反発を恐れた当時の政権が施行直前になって凍結を決めたのだ。以来、1年限りの「特例措置」が毎年、繰り返されてきた。
 これで6回目である。政府がまとめた緊急経済対策の中で、負担増見送りは「安心できる医療体制構築」の項目にある。いつから法律通りの2割とするかについては、「早期に結論を得る」とあるだけだ。
 次善の策も検討された。新たに70歳になる人から2割を適用し、5年かけて対象者すべてを2割負担とする案である。これなら69歳時の3割負担より重くならず、抵抗も小さいだろうと考えられた。
 だが安倍政権は、それさえ採用しなかった。減税や補助金といったアメは参院選前、負担増はその後で、というのでは、あまりにも無責任で不誠実だ。来年4月には消費税率の引き上げも予定されるが、「負担が重なる」として再度、先送りとならないだろうか。そうこうするうち、受益者人口が増え、若い世代の負担はますます膨らむ。安心の医療体制とは到底言い難い。
 安倍政権は財政再建にも取り組むと言う。基礎的財政収支を20年度に黒字化するといった目標は維持したいとしている。しかし、自ら決めた高齢者医療の負担増すら実施できずに、どうして7年先の高い目標が達成できるというのだろう。
 達成に自信があるなら、6月の「骨太の方針」を待たず、13年度予算の編成に合わせ、具体的な財政再建工程を示すべきだ。過去2番目の大規模補正予算を、発足から約2週間で決められた政権だ。できないはずはない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130114/plc13011403160003-n1.htmより、
産経新聞【主張】高齢者医療 いつまで「優遇」するのか
2013.1.14 03:16 (1/2ページ)

 高齢者への「過度な優遇」を廃さなければ、社会保障制度は早晩維持できなくなるだろう。
 安倍晋三政権が、70~74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げを見送り、来年度も1割に据え置く特例措置の継続を決めたことは、危機感が欠如していると言わざるを得ない。
 夏の参院選で高齢有権者の反発を避けたいとの思惑があったようだが、高齢者にも支払い能力に応じて負担してもらう仕組みに改めなければならないことは分かっていたはずだ。痛みを伴う政策から逃げず、国民に理解を求めていくことこそ、政権与党の取るべき姿勢ではなかったのか。
 社会保障改革で政府・与党の最大の使命は、高齢化で急速に増え続ける年金、医療・介護費用の抑制に道筋をつけることだ。据え置きには約2千億円が必要とされ、改革逆行もはなはだしい。
 そもそも、2割への引き上げは小泉純一郎政権時の医療制度改革関連法で平成20年に実施が決まっていた宿題だ。今回の据え置きは政府・与党の判断だけで決定された。新政権による社会保障費への切り込みに向けた試金石でもあっただけに、極めて残念だ。
 懸念されるのは、高齢者への過度の配慮を続けることで、若い世代の不公平感が強まることだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130114/plc13011403160003-n2.htmより、
2013.1.14 03:16 (2/2ページ)
 高齢者の医療費は本人の負担以外に、勤労世代の保険料や税金で支えられている。高齢者の窓口負担を抑えれば、それだけ若い世代へのしわ寄せが大きくなる。
 既に高齢者医療への巨額な支出によってサラリーマンの健康保険は財政が悪化した。保険料引き上げを余儀なくされ、解散に追い込まれる健保組合も相次いでいる。「取りやすいところから取る」といった安易な負担の押しつけは直ちにやめるべきだ。
 若い世代に年金支給開始年齢引き上げなど将来の負担増や給付抑制を求めるにも、現在の高齢者にも分担を求めなければ、到底理解は得られまい。勤労世代の負担も限界に達しつつある。社会保障改革を成功させるには、全ての世代が少しずつ我慢し、譲り合いの精神を持つことが不可欠だ。
 社会保障制度改革国民会議の議論もまもなく再開される。
 安倍首相には、選挙が近付くたびに痛みを伴う改革を先送りしてきた「大衆迎合」の政治と決別する覚悟をみせてもらいたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.htmlより、
朝日新聞 社説 2013年1月13日(日)付
成長戦略―経済連携と規制改革こそ

 安倍政権の経済政策が動き出した。
 首相は、大胆な金融緩和と機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」にたとえる。
 「民主党政権は(日本経済のパイを)平等に分配していくことから入った。その前にパイを大きくしないと、等しく貧乏になるだけ」(甘利経済再生相)と、政策の転換が鮮明だ。
 確かに、パイが小さいままでは雇用も所得も増えない。成長で税収を伸ばさないと、増税だけでは財政再建も難しい。
 とはいえ、これまでのところ、日本銀行に圧力をかけて金融緩和を強化する「一の矢」、大型の補正予算を組んで財政支出を拡大する「二の矢」ばかりが目立つ。
 どちらも、反対する業界団体はなく、手をつけやすい。
 ただ、基本的には経済を下支えしたり、一時的に刺激したりする政策であり、国の財政難を考えれば危ういカンフル剤でもある。

■カギ握る「三の矢」
 日本経済が持続的に拡大していくには、「三の矢」の成長戦略がカギを握る。
 柱は、貿易や投資など海外とのパイプを太くする経済連携の強化と、国内のさまざまな規制・制度の改革だ。
 一見すると無関係に見えるこの二つの課題は、根っこでは太く結びついている。
 海外との経済連携交渉ではモノの関税引き下げに関心が集まるが、実態は異なる。金融や電気通信などのサービス分野、投資の促進と保護、競争政策、電子商取引、知的財産など交渉の対象は幅広い。さまざまな規制や制度の見直しを伴う。
 日本の企業が海外で活動しやすくするとともに、国内で規制・制度改革を進め、海外勢を引き込む。それが同時に、日本勢の国内での事業を後押しする。経済連携と規制・制度改革は一体なのだ。
 安倍政権がまとめた緊急経済対策は海外連携戦略に触れておらず、こうした視点がすっぽりと抜け落ちている。要である環太平洋経済連携協定(TPP)に対し、自民党内で反対が強いことに配慮したのだろう。
 TPPは対象分野が20を超え、中身も野心的だ。日本がTPPに関心を示すと、中国・韓国両国や欧州連合(EU)が日本との交渉に動き出した。
 だが、国内では特に農業や食の安全、医療・介護など社会保障分野への悪影響を心配する声が大きく、農協や医師会などの団体が反対の先頭に立つ。
 もともと農業は後継者不足や耕作放棄地の増加、社会保障は高齢化に伴う医療・介護費の膨張などの課題に直面する。その一方で国民のニーズは大きく、規制・制度改革でも焦点になってきた。
 国民生活の「安全・安心」にかかわる分野だけに、むやみに規制を緩和すればよいわけではない。経済活性化だけでなく、多角的に功罪を検討することは当然だ。が、それを口実に、関係団体と監督官庁が既得権を守ってきたことも事実である。

■国民参加の議論を
 日本経済の再生を真剣に目指すなら、現状から一歩踏み出さねばならない。
 まずはTPPへの交渉参加を表明すべきだ。当事者となり、各国の要求など正確な情報をつかむ。それをもとにわが国の利害を交渉に反映しつつ、国民生活への影響を探り、参加の是非を見極める。
 並行して、国民のために守るべき規制・制度と、権益維持の弊害が目立つ規制・制度の仕分けを進めることが必要だ。
 安倍政権は日本経済再生本部のもとに産業競争力会議をもうけ、民主党政権が廃止した規制改革会議も復活させる。いずれも学者や企業経営者が加わり、関係省庁の閣僚と向き合う。
 民間の知恵と発想を起点に、具体策に踏み込めるか。どの閣僚が業界と省庁の権益維持に走っているか、改革を自社の利権につなげようとする経営者がいないか。
 議事録の公表はもちろん、会議自体をオープンにして議論に国民を巻き込みたい。

■手元資金を生かせ
 経済界には、企業が自ら道を切り開き、成長の担い手となる気概を求める。
 緊急経済対策には、補助金や優遇税制、政策金融機関による出資など、「官」が呼び水となる仕掛けが目白押しだ。
 しかし、企業全体では推計で200兆円に迫る手元資金がある。民が官に頼ってリスク減らしにいそしむばかりでは、経済成長などおぼつかない。
 安倍政権の政策はひとまず期待を集め、円安と株高で経済は明るさを増した。しかし、三の矢を放たなければ、低成長下の物価・金利上昇と財政の一段の悪化という最悪の展開すら招きかねない。
 首相は、そのことを強く自覚してほしい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年1月12日(土)付
高齢者医療―国民はなめられている

 どうやら有権者は、なめられているようだ。
 安倍政権が、70~74歳の医療費の窓口負担を当面、1割に据え置くことを決めた。いつ法律通りの2割にするか、その決定は今夏の参院選後まで棚上げする見通しだ。
 ねじれ国会解消のため、自公で参院の過半数を獲得するのが政権の最優先課題。「負担増」のようなマイナス材料は極力、少なくしたい。参院選を無事に乗り切れば、すぐに引き上げの議論を始めればよい。
 そんな見え見えの選挙戦術が通用すると高をくくっているのだろうか。
 2割負担とする法律をつくったのは小泉政権の時だ。08年度に実施するはずだったが、高齢者の反発を恐れた自公政権が特例的に1割に据え置いた(一定所得以上の人は3割)。その後も民主党政権を含め、据え置いたままだ。
 1割を維持するのにかかる費用は年約2千億円。これを13年度も当面続けるため、安倍政権は「緊急経済対策」の補正予算案に計上する。
 すでに支出は1兆円に迫る。その多くは、後世代へのツケ回しである。苦し紛れの制度いじりが禍根を残す典型例だ。
 さすがに自民党内からも異論が出ている。いつまでも貴重な税財源を投じ続けるわけにはいかない。2千億円は次世代のために使った方がよい――。実に真っ当な感覚だ。
 しかも、引き上げを後ろにずらすほど、物価下落時に据え置いていた年金額の引き下げ(今年10月から)や、消費増税(来年4月)と重なってくる。
 野党から「選挙後に決めるのはだまし討ちだ」などと攻撃されるより、安倍政権に勢いがあるうちにさっさと決めておいた方が得策だろうに。
 そもそも、「負担増」といっても、想定されている引き上げ方法では、個々人の負担が増えるわけではない。
 新たに70歳になる人から順番に2割にしていくからだ。69歳までの窓口負担は3割なので、負担軽減の程度が今よりはせばまるというだけである。いま1割の人はそのままだ。
 この程度のことも真正面から説けないで、与党としての責任を果たせるのか。
 民主党政権を経て、有権者は社会保障に魔法の杖がないことを学んだ。厳しい財政事情のもと、高齢者にも相応の負担を求めざるをえないことへの理解は広がっているはずだ。
 そこを信頼しないでは、あるべき社会保障の姿は描けない。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130112/fnc13011203120000-n1.htmより、
産経新聞【主張】緊急経済対策 景気浮揚へ迅速な実行を
2013.1.12 03:12

 安倍晋三内閣は最優先課題とする「経済再生」の第1弾として緊急経済対策を閣議決定した。
 国の直接的な財政支出で約10兆3千億円、地方負担や民間支出を含む総事業費で20兆円超とリーマン危機時を除き過去最大規模の経済対策だ。
 即効性を重視した、公共事業や成長分野への投資促進などで、2%の国内総生産(GDP)押し上げ効果を見込む。当面の景気刺激策としては評価できる。積極的な財政出動をスピード感を持って実行し、早期の景気回復を実現してほしい。
 来年4月に予定する消費税増税は、今年4~6月期のGDP成長率などの景気動向で判断する。景気が悪ければ、増税は難しくなり、安定的な社会保障財源の確保、財政再建にも支障を来す。時間はあまりない。
 財政出動と同時に金融緩和と成長戦略も打ち出し、増税の環境整備に全力をあげる必要がある。
 安倍首相は記者会見で、「(民主党政権が進めた)縮小均衡の再配分から成長による富の創出へと大胆な転換を図る」と強調した。景気刺激で企業収益を高め、雇用や個人所得の増加など経済全体の底上げにつなげてもらいたい。
 公共事業では、被災地の道路や農業施設の復旧、トンネルや橋梁(きょうりょう)など老朽インフラの点検・補修などに、4兆円近くを投じる。
 笹子トンネル天井板崩落にみられるように、高度成長期以降にできたインフラの劣化は深刻だ。大規模災害に備える点でも、その維持・強化は不可欠だ。事業は早期に執行する必要がある。
 ばらまきに陥らぬように、事業の厳選も怠ってはならない。
 企業の省エネ技術支援や電気自動車の普及などにも約3兆円を振り向けて、民間投資の呼び水となる官民ファンドも創設する。
 公共事業の効果は短期に終わりかねない。民間投資を促す成長戦略の前倒しも検討すべきだ。
 日銀に対しても「積極的な金融緩和を強く期待する」と注文を付けた。2%の物価上昇目標の設定など、政府と緊密に連携した金融政策が問われる。
 安倍首相は「基礎的財政収支の黒字化も目指す」と財政規律の重要性も指摘した。国債価格の暴落で長期金利が急上昇すれば、予算編成に悪影響を与えかねない。持続可能な財政は経済再生の基盤であることを忘れてはならない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013011202000149.htmlより、
東京新聞【社説】緊急経済対策 石が混じっていないか
2013年1月12日

 「強い経済」を掲げた安倍政権の第一歩となる緊急経済対策が決まった。“史上最大規模”をうたうが、官の肥大化につながるような予算や中長期的な財政健全化の道筋など不透明な部分もある。
 安倍晋三首相は記者会見で「先行き懸念に対し、強力なてこ入れをするため思い切った規模にした」と強調した。事業規模約二十兆円、国の財政支出約十兆円は、リーマン・ショック後を除けば最大で「次元が違う経済対策」と説明している。
 十五年以上も続いてきたデフレから早期に脱却するには「2%の物価目標」を目指す金融政策への転換を実現するとともに、財政出動がある程度大きな規模になるのは否定しない。国が支出を拡大して需要を創り出し、雇用や消費を下支えする考えは共有する。
 しかし、厳しい財政事情を直視すれば、大胆といえど無駄や非効率な支出が許される余裕はない。にもかかわらず、大規模予算に乗じたかのような公共事業の拡大や、「官民ファンド」の創設がめじろ押しなのはどういうことか。
 「企業再生支援機構の地域経済活性化支援機構への改組・機能拡充」「イノベーション強化のためのファンド創設」「良質な不動産形成のための官民ファンド創設」「農林漁業成長産業化ファンドの拡充」…成長戦略を官民ファンドが担うといわんばかりである。
 これでは「官民連携」の名の下に、天下りなど官の利権拡大と、民業圧迫が起きかねない。企業でリスクを背負いきれない資源開発などの分野や民間投資の呼び水になるなら存在意義はある。
 だが、公的資金で「ゾンビ企業」を延命させたり、企業再生支援機構による日本航空の救済例のように公正な競争環境をゆがめる弊害も大きい。省益優先ばかりで経営感覚も欠ける官僚任せでは「成長による富の創出」など看板倒れにならないか。
 忘れてならないのは、一時的な財政拡張がやむを得ないとしても中長期的な財政規律は保たねばならないはずだ。安倍首相は「財政の重要な指標である基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を中期的に目指す」との姿勢を強調したが、その具体的な道筋は示していない。
 景気対策や経済成長で税収が増えれば望ましいが、“玉石混交”の対策でシナリオ通りにいくのだろうか。「強い経済」の実現には、財政健全化と経済成長が欠かせない両輪である。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50534300S3A110C1EA1000/より、
日経新聞 社説 公共事業頼みの経済対策で終わらせるな
2013/1/12付

 政府が事業規模20兆円を超える緊急経済対策をまとめた。停滞が続く景気を下支えし、日本経済の再生につなげるのが狙いだ。実質国内総生産(GDP)の押し上げ効果は2%程度を見込む。
 企業の設備投資や研究開発を促す施策には意味がある。だが防災などの名を借りた旧来型の公共事業が多いのは気になる。一時的なカンフル剤だけに頼らず、本格的な成長戦略を急ぐべきだ。
 今回の経済対策は(1)復興・防災(2)成長による富の創出(3)暮らしの安心・地域活性化――という3本の柱で構成する。これらの財政支出を盛り込んだ13.1兆円の2012年度補正予算案を編成し、5.2兆円の国債を増発する。
 今の日本が重視すべきなのは、新たな産業や技術の育成につながる施策だ。電気自動車の普及に欠かせない充電拠点の整備や、iPS細胞を使った再生医療研究に予算を投じるのは理解できる。設備投資や給与を増やす企業を税制面で支援するのもいいだろう。
 問題は国費の半分を占める公共事業の妥当性である。東日本大震災からの復興や老朽化したインフラの更新に一定の投資が必要なのは確かだが、不要不急の事業も紛れ込んでいるようにみえる。
 補修や耐震強化を急いだ方がいい道路、橋、学校などをしっかりと選別できるのか。農林水産業や地域経済の活性化に、これだけの予算が本当に要るのか。そんな疑問を抱かずにはいられない。
 70~74歳の医療費の窓口負担割合を本来の2割に引き上げず、1割に据え置く予算を計上したのも納得できない。「これが経済対策か」と首をかしげたくなるような経費もあちこちにみられる。
 今夏の参院選に勝ちたい自民・公明両党や、民主党政権下で予算を削減された中央省庁が、無駄な支出を膨らませるのでは財政規律を保てない。これでは13年度予算案の中身まで心配になる。
 成長と財政再建の両立なくして、真の経済再生はおぼつかない。安倍政権は14年度からの消費増税をあてにするだけでなく、歳出の抑制にも本腰を入れるべきだ。
 公共事業には景気対策としての即効性はあっても、持続力は乏しい。日本経済の成長力を高めるには、企業や個人の活力を引き出す環境づくりが欠かせない。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加や法人税減税を柱とする成長戦略を早急に打ち出してほしい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130112k0000m070126000c.htmlより、
社説:緊急経済対策 見えない再生への効果
毎日新聞 2013年01月12日 02時32分

 政府が総額10.3兆円の「緊急経済対策」を閣議決定した。第2次安倍政権が発足してわずか2週間余りのスピード策定だ。政府は「これまでと次元の異なるレベル」と意義を強調するが、過去の自民党政権下で実施した景気浮揚策をさらに膨らませた、といった感が否めない。
 対策は「3分野」を重点化したという。(1)復興・防災対策(2)成長による富の創出(3)暮らしの安心・地域活性化−−である。「バラマキ」批判を意識したのかもしれないが、果たして「重点」と呼べるのか。
 実情は、こうした旗の下に従来型の予算要求項目が多数ちりばめられているというものだ。例えば「安心の確保」という目的で防衛装備品の調達が盛り込まれ、「生活空間の質向上」といううたい文句で都市公園の整備などが含まれている。イノシシやシカなどから農作物を守る金網などに補助金を出すといった支出もある。なぜ「日本経済再生に向けた緊急経済対策」になるのかと疑いたくなるものが少なくない。
 だが何より気がかりなのは実質4.7兆円の公共投資だ。12年度1年分に匹敵する額を補正予算で新たに追加する形である。被災地復興は当然重点的に取り組む必要があるが、復興や防災・減災の名目で予算の無駄遣いが起きるようでは困る。
 産業支援のため、政府が民間とさまざまな基金(ファンド)を設立しようとしている点も、本当にそれが競争力強化につながるのか、民業の圧迫や既得権を与えることにつながらないか、疑問が残る。
 懸念されたことだが、規模ありきで編成を急いだため、吟味する余裕がなく、緊急性や効果が疑わしいものまで押し込んでしまった。省庁縦割りの総花的対策だ。財源は足りず、新たに5.2兆円もの借金(国債発行)をする。民主党政権下で何とか死守してきた新規国債の年間発行上限である44兆円はあっさりと破られてしまった。財政の悪化を許してまで実行する必要のある事業がどれくらい盛り込まれているのか、ぜひ国会で点検してもらいたい。
 経済対策には確かに、「これまでと異なる次元」が含まれる。日銀が「明確な物価目標」を定め積極的に金融緩和を行うよう促している点だ。日銀総裁が出席する経済財政諮問会議などを通じて、政府が追加緩和の要求を強める恐れがある。金融政策を決めるのは、法律で日銀の金融政策決定会合だと定められていることを十分尊重すべきだ。
 緊急経済対策を盛り込んだ12年度補正予算に続き、待ったなしで13年度予算の編成が本格化する。今度は質と財政規律に十分、配慮したものにしてほしい。

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