「静養ホームたまゆら」判決 高齢者の住まいに目を

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年1月20日(日)付
たまゆら判決―高齢者の住まいに目を

 被告を裁いて、それで落着という事件ではない。重い課題が突きつけられたままだ。
 今後、大都市圏で急増する低所得の高齢者たちは、どこで、どう暮らせばいいのか――。
 群馬県の「静養ホームたまゆら」から出火し、高齢の入居者10人が死亡した事件で、前橋地裁は施設を運営していた法人の元理事長に、執行猶予つきの禁錮刑を言いわたした。
 たまゆらは役所の要請で、生活保護を受けている認知症の患者らを安い料金で入居させていた。判決は、苦しい経営事情をくみつつ、実態は有料老人ホームであり、それに見合う防火管理の義務があったと述べた。
 具体的に警報器の設置や避難訓練、当直員の増員を挙げ、これらの費用をまかなうのは可能だったとした。他の同様の施設には教訓になるだろう。
 だが、対策が不十分なところを閉鎖すれば済むわけではない。お年寄りの行き場がなくなるからだ。
 厚生労働省は、高齢者が住みなれた地域で、医療や介護などのサービスを利用しながら暮らし続ける将来像を描く。
 厚生年金を受給できるような中間所得層向けには、「サービス付き高齢者向け住宅」などの基盤整備を進めている。
 ところが、低所得の高齢者の住まいは、政策的な空白地帯といえる。国や自治体は、本腰を入れて取り組むときだ。
 朝日新聞の調べでは、東京23区で生活保護を受けながら、都外の高齢者施設に入居している人は昨年10月で約1800人にのぼる。たまゆらの火災が起きた2009年の2・6倍だ。
 この流れはさらに強まる。
 高齢者住宅財団の推計によると、民間の借家に住み、生活支援や介護が必要な一人暮らしの高齢者は10年時点で全国に約17万8千人。25年には33万7千人まで増える。
 低年金で、貯金を使い果たせば生活保護に頼らざるをえない人たちが多い。
 住まいとケアが一体となった特別養護老人ホームは、建設費がかかることなどから大きく増やすのは難しい。公営住宅の数も限られ、特に高齢者向けの応募倍率はきわめて高い。
 ならば、増加傾向にある空き家を活用し、ゴミ出しなど日常生活を支援していくのも一案だ。低所得者が利用できる住宅手当が必要になろうが、生活保護に至る前に手助けすることで、かえって財政負担が抑えられる可能性がある。
 誰でも、住まいなしには人間的に生きられない。

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