除染で手抜き・中抜き 「効果なし・税金の無駄遣い」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013012102000119.htmlより、
東京新聞【社説】国の除染事業 搾取の横行食い止めよ
2013年1月21日

 原発事故に伴う国の除染事業が悪質業者の食い物にされている実態が本紙の取材で浮かんだ。賃金を低く抑えられたり、経費の負担を強いられたり。現場の作業員を搾取する不条理は見過ごせない。
 福島県の旧警戒区域や旧計画的避難区域だった十一市町村で国直轄の除染作業が順次進められている。福島第一原発に比較的近く残留放射線量が高い地域だ。
 元請けのゼネコンを頂点に下請けや孫請け、零細業者や派遣、日雇い…と多様な雇用形態が支える。末端の作業員が不利益を被りやすい構造は原発事故現場での収束作業とそっくりだ。
 田村市でこんな理不尽な事例があった。例えば、日給一万六千円の約束のはずなのに宿泊代や食事代が差し引かれ、作業員に手渡されたのは一万一千円余り。
 このうち一万円は、被曝(ひばく)の危険があるとして国が作業員に支給している特殊勤務手当である。国が無償提供した宿舎にもかかわらず宿泊代を徴収していた。
 税金で賄われる手当を元手にして作業員を誘い、宿泊や食事の代金をつり上げて荒稼ぎする。そんな“悪徳商法”が横行しているとすれば許されない。
 発注元の国は業者を介さず作業員に手当を直接支払う方法を考えるべきだ。賃金の不当なピンハネにも目を光らせねばならない。
 作業員の放射線防護や安全管理の在り方を定めた国のルールを逸脱している事例もあった。
 例えば、業者は作業員を雇うときに健康診断を受けさせたり、機械や道具の扱い方を教えたりするよう義務づけられている。その経費は国が賄う仕組みとされる。
 ところが、健康診断や草刈り機講習にかかった費用を自己負担させられた作業員が多くいた。その場で支払わされたり、給料から天引きされたりして自腹を切らされていたわけだ。
 業者が国や作業員をだまして不当利得を上げているとすれば、もはや詐欺や横領といった犯罪行為というほかない。
 除染現場の放射線量や作業員の被曝線量を把握し、作業員に情報を伝える。内部被曝につながりかねない屋外での飲食や喫煙を禁じる。こんな健康管理のルールは有名無実化している。
 汚染の恐れがある作業後の作業服やマスク、長靴、ゴム手袋などの装備品はどう処理されているのかも気になる。作業員が安心して働け、除染の実効が上がるよう国はきちんと責任を果たすべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130121k0000m070080000c.htmlより、
社説:不適正除染 被災者への背信行為だ
毎日新聞 2013年01月21日 02時32分

 東京電力福島第1原発事故を受けて国が直轄で実施している福島県内の除染事業で、洗浄に使った水を回収せずに側溝へ流すなど不適正な処理事例が確認された。環境省が18日にまとめた報告によれば、少なくとも5件あり、うち3件については請負業者に改善を指示した。
 除染の枠組みを定めた放射性物質汚染対処特別措置法に違反する悪質な事例はなかったというが、一日でも早い帰還を望む被災住民にとって背信行為であることに違いはない。同省は、現場での監視・監督体制の強化や今後不適正な事例があった場合は政府全体で請負業者を指名停止処分とするなどの対策を示したが、速やかに実行に移すべきだ。
 不適切な行為が繰り返されれば、除染への信頼が失われ、福島の復興が遠のくことを、すべての関係者は肝に銘じてほしい。
 直轄除染の対象は、住民が避難している除染特別地域(旧警戒区域及び旧計画的避難区域)で、同県内11市町村にまたがる。放射線量が年間50ミリシーベルト以下の地域については、住宅や農地、道路や生活圏の森林(住宅などから20メートル程度)の除染を13年度末までに終わらせる計画だ。
 これほど大規模な除染事業は、世界的にも前例がない。実施計画が策定された9市町村に限っても対象面積は2万ヘクタールを大幅に超える。費用も膨大で、環境省が今年度分として発注済みの田村市など4市町村分で約340億円に達する。
 先行実施した除染モデル実証事業で一定の効果は確認されたものの、「通常の工事とは異なることも多く、国も事業者も作業員も、手探りの中で実施しているのが実態」(環境省除染適正化推進本部)だ。毎日新聞の取材に応じ、「大した効果は出ていない。僕たちから言わせたら税金の無駄遣い」と証言した現場の作業員もいる。現場は避難指示が出されている場所で、住民の目も届きにくい。不適切な事例は、確認された5件にとどまらないのではないか。
 再発防止のためには、監視の強化などに加え、当事者すべてが、ふるさとを追われた人々の気持ちに思いをはせる必要もあるだろう。
 住民の中には、巨額の費用を投じる除染計画の効果を疑問視し、移住や避難者への支援強化を求める根強い声があることも確かだ。
 こうした声に応えるためにも、政府は除染の進捗(しんちょく)状況をきちんと公開して透明性を確保するとともに、除染場所や手法によって放射線のレベルがどう変わったのかなど詳細なデータを蓄積し、効果や限界を検証すべきだ。ほとんど手つかずのままの森林の除染のあり方も、今後の大きな検討課題となるだろう。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013011100759より、
除染促進で連携確認=作業部会が初会合-政府

 政府は11日、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の除染作業に関するタスクフォース(作業部会)の初会合を都内で開いた。根本匠復興相と石原伸晃環境相のほか関係府省の幹部がメンバーで、除染作業促進へ各府省が連携する方針を確認した。
 根本復興相はあいさつで「各省庁が一丸となって除染を復興につなげていく」と強調した。また、石原環境相は「政治家や役人とかは関係なく、知見を集めていい政策を作っていきたい」と述べた。
 除染作業はこれまで環境省が担当してきたが、今後は復興相を中心にタスクフォースで関係府省との調整を図りながら進めることになった。タスクフォースでは、農業や林業の再生につながる除染方法や新たな技術の活用など、府省間にまたがるテーマを議論し、具体化を目指す。(2013/01/11-17:44)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011101001591.htmlより、
除染推進で省庁が連携 作業チームが初会合
2013年1月11日 15時22分

 政府は11日、東京電力福島第1原発事故で拡散した放射性物質の除染を効率的に進めるため、復興庁と環境省を中心に関係省庁が連携する作業チームの初会合を開いた。
 除染事業はこれまで環境省が全面的に担ってきたが、総合調整の機能を復興庁に持たせることで、農業や林業の再生など複数省庁にまたがる対策を除染と併せて進め、復興の加速につなげるのが狙い。新たな除染技術の実用化にも取り組む。
 会合で、根本匠復興相は「政府一丸となって除染をスピードアップし、復興につなげていきたい」とあいさつ。石原伸晃環境相は「知見を集めていい政策を作っていきたい」と述べた。(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011190070424.htmlより、
除染下請け 天引き横行 業者支払い日給1000円
2013年1月11日 07時05分

 東京電力福島第一原発事故に伴う国直轄の除染事業で、下請け業者が、作業員の日給から半ば強制的に宿泊代や食事代を天引きし、国が支給する危険手当の一万円のほかは、一日千円程度しか支払っていない実態が、作業員らへの取材で分かった。宿泊施設は、業者が国などから無料や安価で借りたもので、作業員から徴収した宿泊代のほとんどが業者の取り分と化す形となっていた。
 除染作業は放射性物質にさらされる危険があるため、国は作業員に一日一万円の危険手当を支払っている。ところが、この手当は除染を請け負う業者を通じて支払われており、そのことが不透明な給料支払いを生む温床になっていた。
 福島県田村市の除染現場の事例では、作業員の日給は、国が支払う危険手当の一万円に加え、福島県の最低賃金に近い約六千円を業者が日当として支払う二階建ての形を取っていた。
 見掛け上は、合わせて日給一万六千円となるが、宿泊代や食事代として四千五百~四千七百円を天引き。作業員が手にする額は一万千円強にまで目減りしてしまっていた。
 危険手当の財源は税金で、本来的には作業員に直接支払われるべき性質のお金。業者は事実上、一日わずか千円強で作業員を雇っていた形になる。
 業者のうまみになっているのが宿泊代や食事代。ある業者は、国から宿泊施設を無料で借りているのに、作業員に朝夕の食事込みで四千五百円で貸し付けていた。
 別の業者は、明細を示さず宿舎と食事付きで日当一万千円の条件で作業員を集めてきたが、危険手当が支給されることが作業員の間で広まり説明を求められると、危険手当を含む日給一万六千円から宿泊代三千七百円と食事代千円を差し引いたものだと説明した。
 このケースでは、作業員は一室四千円のバンガローに四、五人で宿泊。業者は宿泊費として計一万四千八百~一万八千五百円を集めており、四千円との差額が利ざやになっている。業者の関係者によると、食事も原価は三百円程度に抑えるようにしていたという。
 不透明な給料の実態のほか、雇用契約書を交わさず口約束だけの人も多かった。
 管轄する福島労働局の担当者は、こうした実態をある程度は把握し、改善指導もしているというが、田村市の現場以外でも同様の不透明な給料問題が起きていた。
 本紙の取材に対し、元請けゼネコンの広報室は「過去には危険手当がきちんと作業員にわたっていない例もあったが、きちんとわたるよう下請けへの指導を繰り返している。雇用条件などは法にのっとった契約になるよう個別に指導している」とコメント。下請け企業からは十日までに回答がなかった。

<危険手当> 環境省は福島事故に伴う除染で、国直轄の事業では被ばくの危険がある作業員に「特殊勤務手当」を支払っている。国家公務員が警戒区域に入るときの手当を目安に、1日1万円と決められた。一方、もっと危険性が高い福島第一原発で働く作業員に対しては、東京電力が放射線量など現場の状況に応じて危険手当を支払っているという。ただ、作業員には十分届いていないためか除染の危険手当の高さへの不満も出ている。
(東京新聞)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年1月9日(水)付
手抜き除染―改めて重い現実を見る

 東京電力福島第一原発の事故を受けた除染作業で、取り除いた土や枝葉、洗浄に使った水を回収せず、近くの川などに捨てる手抜き作業が横行していた。
 発覚したのは、第一原発に近くて放射線量が比較的高く、国の直轄で事業が始まった市町村でのことだ。
 避難指示解除の見通しがついて自宅に戻る準備を始めた人、帰宅をめざしてなお避難を続けている人たちの気持ちを傷つける、許されない行為である。
 発注元の環境省は、元請けのゼネコン任せなのが現状だ。人手の確保や作業を考えれば頼るしかないとしても、自治体や民間団体に協力を仰ぐなど、監視態勢を整えねばならない。
 除染手順を定めたマニュアルについて、作業員らには「守っていては工期に間にあわない」との声もあるという。
 担当会社は要求される内容を吟味して契約したはずである。
 それでも作業を始めてみたら線量が下がらない場所があったり、人手が足りず、ふやすと採算があわないという問題が生じたりしたのなら、きちんと発注側に訴えるべきだ。
 あらためて痛感するのは、原発事故がいかに広い範囲に、取り返しようのない汚染をおよぼしたかという現実である。
 事故前と全く同じ環境に戻すのは不可能だ。すべての地域で除染するのも現実的でない。
 地元の人たちの希望を大切にしつつ、どこをどれだけ除染していくか。
 たとえば、福島県域の7割を占める森林の除染については、方針が定まっていない。
 作業は家屋や農用地、道路などの生活空間を優先して始まった。隣接する森林については、ふちから20メートルが目安とされた。
 環境省の有識者検討会が昨夏「森林から流出する放射性物質はわずかで、全体を除染する必要性は乏しい」との研究報告に基づいて検討する考えを示し、これに福島県側が反発した経緯がある。
 「森林は住民の生活と密接に結びついている」「汚染された森林の近くで生活するストレスは大きい」という訴えはもっともだ。一方で、除染の限界を考えて、生活の再出発に直接つながる支援を求める声もある。
 かぎとなるのは客観的なデータだ。
 除染前と除染後で、どれだけ放射線量が下がったか。効果が大きいのはどのような方法か。どんな地形や植生だと下がりにくいか。各地の状況をまとめ、専門家をまじえて知識を深めてゆく必要がある。

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