まず憲法を読んでから議論すべきだ 小林節氏

http://www.nnn.co.jp/rondan/ryoudan/index.htmlより、
一刀両断 -小林 節-
まず憲法を読んでから議論すべきだ
日本海新聞 2013/1/22の紙面より

 最近、憲法(改正)を巡る議論が再び盛んになって来た。

 その背景としては、急速に覇権国家(軍国主義国家)化して来た中国が尖閣諸島を窺(うかが)っている現実が日米安保条約の実効化を促していることと、先年の東日本大震災の体験が「非常事態条項」の必要性を教えてくれたことに加えて、改憲が持論の安倍首相が政権に復帰したことがあるだろう。

 19日(土)に、京都で、日本青年会議所の自主憲法制定フォーラムにパネリストとして参加した。

 青年会議所は若き経済エリートの集団であるので、その組織としての主張は、自民党と同じ方向性のものであると言って良い。

 そのフォーラムで、同じくパネリストとして参加していた村田晃嗣・同志社大学教授(国際政治学者)の発言で、ひとつ、目から鱗(うろこ)が落ちる体験をした。

 それは、「改憲を論じる前に、まず現行の日本国憲法を読みなさい」ということであった。憲法学者である私などは、当然に、現行憲法は熟読しているし、他の人々、少なくとも改憲論議に参加している人々は憲法条文を読んでいると思い込んでいた。

 しかし、現実には、条文を読まずに憲法論議に参加している人が多いことを、今回、初めて実感できた。

 伝統的な改憲論者が強調する論拠のひとつに、現行憲法は、国民の権利ばかりを保障し国民の義務を規定していないため、現在のように利己的な人々が溢(あふ)れる世の中になってしまった…というものがある。

 しかし、現行憲法の12条は「国民は、これ(人権)を濫用(らんよう)してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」と明記している。続けて13条も「国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、…、最大の尊重を必要とする」と明記している。

 従って、上述の改憲論者の主張は、何よりも、現行憲法を正しく実施することで解決できる事である。

 やはり、改憲論の最大の論点は9条であろう。つまり、戦争を放棄し軍隊の保持を禁じている憲法の下で、自衛「戦争」を予定した自衛隊という名の「軍隊」を保持している現実をどう評価するか?であり、改憲派も護憲派も、言葉の遊びを止(や)めて、誠実に議論に参加すべきである。
(慶大教授・弁護士)

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