原発依存の道選んだ日本 賀茂川耕助氏

http://www.nnn.co.jp/rondan/tisin/index.htmlより、
温故知新 -賀茂川耕助-
原発依存の道選んだ日本
日本海新聞 2013/1/24の紙面より

 自民党政権になってもう一つ明確になったことは、日本がこれからも原子力に依存する道を選んだということである。さらには「安全な原発インフラの輸出は今後も進めていく」と、海外へも積極的に原発を輸出する意向も示した。

原発と深い関係
 安倍首相は原子力発電所について「科学的安全基準のもとで再稼働を判断していく」とし、再稼働と新規建設を容認する姿勢を示している。経済財政諮問会議(議長・安倍首相)には原発推進企業のメンバーが並ぶ。自民党が日本の長期政権を握る間に、狭い日本の国土に原発が50数基と、アメリカ、フランスに続き世界第3位の原発大国となったのだから、たとえ福島原子力発電所が問題を起こしたからといって方針が急転換することを期待するほうが愚かかもしれない。それくらい自民党政権と原子力発電は深い関係にあるのだ。

 新しく造る原発について、安倍首相は、福島第1原発とは全然、違う(ものにする)と言ったというが、それはどんな原発になるのか。以前、トリウム原発の可能性について取り上げたことがあるが、危険性のより少ない代案として、トリウムからウランを得て利用する核燃料サイクルを推進する声があり、継続して私は情報を集めている。

節電による脱原発
 繰り返すが、私が日本がとるべき最善の道は節電による脱原発だということは変わらない。いくらトリウムが安全でも豊富な天然資源でも、これまでの進歩を支えてきた安くて豊富な石油資源なしに現代社会の維持運営は不可能だ。

 日本の学者の間でもトリウム原発については賛否が分かれているようであり、素人である私はどちらの意見が正しいか判断できない。それでも私がトリウム原発に関心があるのは、どんなに危険であっても原子力を推進したい人びとが日本を支配しているのなら、一気にゼロにするのではなく危険の少ないものへと時間をかけて移行していくことが現実的な解だと思うからだ。

 トリウム原発の開発は特に中国が熱心である。なぜならウランも化石燃料と同時期に枯渇が懸念されており、トリウムなら中国に豊富にあるからだ。またトリウム原発は小型化ができ、核廃棄物もいまの原子炉よりずっと少ないという。

プルトニウム保有国
 歴史を振り返れば、国家の盛衰は常に天然資源と関係があった。石油資源が減耗に向かっているからこそ、アメリカは危険な深海採掘をしたり石油産出国を支配している。IEA(国際エネルギー機関)の調査によれば、世界はエネルギーショックを避けるためには今後20年間で26兆ドルを投じなければならないともいわれている。その中で日本は何に予算を投じるべきなのだろうか。

 かつてアメリカは核兵器開発のためにトリウム原発の開発を見送ったと言われる。トリウム原発だと使用済み核燃料に核兵器の原料であるプルトニウムはほとんど含まれないからだ。戦後日本がウラン系の原子炉のみを造ってきたのもその一環で、現にいま日本は未利用のプルトニウムを世界のどの国よりも多く保有している。核兵器以外に用途のないプルトニウムをこれ以上作り続けることだけは止めなければいけない。
(評論家)

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