日中関係 習総書記と会談「対話の機運を大切に」

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130127/plc13012703080003-n1.htmより、
産経新聞【主張】習・山口会談 恫喝の下では対話できぬ
2013.1.27 03:07

 中国共産党の習近平総書記が、訪中した公明党の山口那津男代表との会談で尖閣諸島をめぐる日中の対立に言及し、「対話と協議による解決が重要だ」などと語った。
 山口氏が安倍晋三首相の親書を手渡し、途絶えている日中首脳会談を提案すると、習氏は「ハイレベルの対話を真剣に検討したい」と応じた。
 関係改善の「意欲の表れ」(山口氏)といえなくはないが、習氏が「歴史の直視」との表現で歴史認識への「慎重な対応」を安倍政権に求め、首脳会談の実現に「環境整備が重要だ」と条件をつけたことは順序が違う。
 習政権が真摯(しんし)な対話と首脳会談を望んでいるなら、尖閣を海と空から威嚇する恫喝(どうかつ)をただちにやめるべきだろう。そうでなければ、「日中間に領土問題は存在しない」とする安倍政権は一方的に譲歩を迫られ、国益を失うことになりかねない。
 今回、習氏が強硬路線の転換をにじませたのは、クリントン米国務長官が「日本の施政権を害そうとする、いかなる一方的行為にも反対する」と警告したことが影響している。
 それは日米同盟を強化することが、日本にとって最優先課題であることを意味している。
 公明党はかつて日中国交正常化に向けた環境整備に尽力するなど、中国共産党とのパイプ役を務めてきた。その実績をテコに、山口氏は政権与党の党首として日中関係の改善で成果を挙げたかったのだろう。
 しかし、訪中前に尖閣問題で中国側が唱える「棚上げ論」に同調する発言をした山口氏は習氏との会談前日、王家瑞中央対外連絡部長からも「棚上げ論」を持ち出された。宣伝戦に利用された印象がぬぐえない。
 中国側は今月末、村山富市元首相らを招き、要人との会談を予定している。親中派とされる政治家と接触することによって日本の国内世論の懐柔を狙い、安倍政権を揺さぶる構えだろう。
 山口氏の訪中の間も、中国公船は尖閣周辺の接続水域への出入りを続けた。領海侵犯さえ常態化している。領空侵犯も起き、中国機に対する航空自衛隊の緊急発進は昨年4~12月で160回と過去最多となっている。
 話し合いの環境整備をすべきは、第一に中国側である。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年1月26日(土)付
習氏との会談―これを雪解けの一歩に

 中国を訪問していた公明党の山口那津男代表がきのう、習近平総書記と会談した。
 日本政府による尖閣諸島の国有化で関係が悪化して以来、中国共産党トップが日本の政党党首と会うのは初めてだ。小さな一歩にすぎないが、パイプがつながったことを歓迎する。
 山口氏は安倍首相の親書を手渡し、日中の首脳会談を呼びかけた。習氏も「ハイレベルの交流を真剣に検討したい」と応じた。習氏はそのための環境整備も求めており、にわかに実現するかどうかはわからない。
 とはいえ、習氏みずから意欲を示したのは前向きのサインと受けとめたい。ぜひ実現につなげてほしい。
 もちろん、首脳同士が会ったからといって、尖閣問題で溝を埋めることは望めまい。大切なのは、この問題を経済や文化など両国間の様々な交流に波及させないことだ。
 この点でも、習氏は「中日関係は特殊な時期に入っているが、国交正常化の歴史をさらに発展させなければならない」と語った。ならば、尖閣を理由に関係を停滞させないよう、言葉通りの対応を求める。
 山口氏は出発前、「将来の世代に解決を委ねることが、当面の不測の事態を避ける方法だ」と発言。中国側の主張に沿った、領有権の「棚上げ」論ではないかとの疑念を招いた。
 尖閣が日本の領土であることは間違いない。ただ、「領土問題は存在しない」という、日本政府の棒をのんだような対応ばかりでは、話し合いの糸口さえつかめなかったことも事実だ。
 両国のナショナリズムが沸き立つのを避けつつ、互いに知恵を出し合い、粘り強い対話を続けるしかあるまい。
 尖閣周辺には、連日のように中国の船舶や航空機が姿を見せている。私たちはこうした挑発行為をやめるよう再三求めてきたが、やむ気配はない。
 こんな状態が続けば、いつ偶発的な武力衝突が起きても不思議ではない。
 山口氏はやはり出発前、「この島に両国の軍用機が近づきあうことは不測の事態を招きかねない。お互い空に入らないとの合意に至ることも重要だ」と提起した。両政府間で衝突回避の具体策を早急に協議すべきだ。
 今回の訪中は、議員外交の意義を再認識させた。
 関係改善に向けて、あらゆるパイプを総動員する。そこでつかんだきっかけを逃さず、政府間の話し合いにつなげる。
 その積み重ねの中から、雪解けを図るしかあるまい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013012602000110.htmlより、
東京新聞【社説】習総書記が会談 対話の機運を大切に
2013年1月26日

 中国共産党の習近平総書記が訪中した公明党の山口那津男代表と会談したことは、対話再開に向けた一歩だといえる。粘り強く現実的な外交で、日中関係改善の糸口をぜひにも、つかんでほしい。
 日本政府が昨年九月、尖閣諸島を国有化したことに中国が反発し日中関係は国交正常化以降で最悪と言われる状態にあった。
 こうした事態になって以降、中国共産党トップが政権与党の党首と会談したのは初めてである。
 安倍政権の成立後、中国側は尖閣の国有化について「民主党政権の決定」として新政権との対話は拒まない姿勢を示していた。議員外交によってようやく実現した対話の機運を大切にしてほしい。
 安倍晋三首相は新政権スタート直後の会見では、靖国神社参拝を明言せず、選挙中に訴えてきた「尖閣諸島への公務員の常駐検討」の公約にも触れなかった。
 憲法問題などでタカ派色が批判される面はあるが、安倍政権は対中外交では冷静な対応で対話再開に道筋をつけたといえる。
 公明党は、中国で対日外交に影響力を持つ唐家〓元国務委員や程永華駐日大使らと太いパイプを持つ。日中関係を重視してきた実績も会談実現に弾みとなった。
 昨年末、北京に着任した木寺昌人・駐中国大使は「第一の任務は日中の友好関係を深め、広げることだ」と述べた。
 民主党政権時代は、与党政治家の対中パイプが細く、外交をバックアップする力に欠けていた。
 安倍首相は前に政権を担った二〇〇六年、「氷を砕く旅」として訪中し、戦略的互恵関係の構築で合意した実績がある。日中友好議連会長の高村正彦自民党副総裁も近くの訪中を検討している。
 政凍経冷とでも言えるような難局だけに、大いに政治の力を発揮し、隣国との関係を改善軌道に乗せてほしい。
 習総書記は尖閣問題で「対話と協議で解決していく努力が重要だ」と述べた。双方が歩みよる努力をすることに異論はない。民主党政権は「(一時棚上げという)約束は存在しない」と閣議決定し、政治の知恵といえる棚上げ論を否定した。
 日本に主権があることは疑いもない事実だが、国際社会で外交上の係争地と見られていることはそれも現実として否定できない。
 それらを踏まえ、何よりも武力紛争が起こらないよう、対話を進めることが肝要である。
 ※〓は王へんに旋

http://mainichi.jp/opinion/news/20130126k0000m070173000c.htmlより、
社説:山口・習近平会談 対立緩和につなげたい
毎日新聞 2013年01月26日 02時31分

 公明党の山口那津男代表が北京で習近平総書記と会談した。習氏は日中関係改善のためハイレベルの対話が重要だとして、安倍晋三首相との首脳会談に意欲を示した。
 昨年11月の総書記就任後、習氏が日本の与党幹部と会うのは山口氏が初めてだ。安倍政権にとっても発足後初の与党党首訪中である。山口氏は習氏に安倍首相からの親書を手渡した。事実上の首相特使といっていい。首脳会談の実現は安倍氏の希望とも合致する。トップ同士が早期に対話に乗り出し、尖閣諸島をめぐる対立の緩和につなげたい。
 尖閣諸島については、習総書記の前に山口氏と会った王家瑞(おうかずい)中央対外連絡部長が「前の世代が棚上げし、中日友好が保たれた。後々の世代に解決を託すこともある」と問題の棚上げに言及した。棚上げは72年の日中国交正常化や78年の日中平和友好条約交渉の際、周恩来首相やトウ小平氏がとった手法だ。日本政府は明確な棚上げ合意はないとしているが、当時の交渉にかかわった外務省OBは棚上げで首脳間の「暗黙の了解」があったと証言している。
 今回、中国側が再び棚上げを持ち出した真意ははっきりしない。そもそも92年の領海法制定で尖閣諸島を一方的に中国領とするなど、「棚上げ」了解を先に崩したのは中国の方である。そうした姿勢に日本が疑念を持つのは当然だ。再び棚上げを言うのなら、中国の対応が信頼できるものでなければなるまい。
 ただし、「尖閣は固有の領土」という日本の立場を維持する形であれば、改めて棚上げが可能かどうか、検討してみてもいいのではないか。中国は尖閣周辺への船舶や航空機の接近をやめる。日本も公務員の常駐や船だまりの設置といった措置をとらない。さらに知恵を出し合えば、ことを荒立てず局面を打開するきっかけになるかもしれない。
 このところ、アジアをめぐる外交が活発に動いている。クリントン米国務長官は尖閣について「日本の施政権を侵すあらゆる一方的な行動に反対する」と踏み込んだ発言で日本の立場を支持した。安倍氏は東南アジア諸国連合(ASEAN)訪問で、自由で安全な海洋のルール作りを外交の柱に据える考えを強調した。北朝鮮の事実上の長距離弾道ミサイル発射に対する国連安保理決議は、中国も含む全会一致で採択された。
 山口氏への中国側の対応も、こうした国際環境と無関係ではないだろう。いつまでも対立を続けることは日中両国とも望まないはずだ。尖閣で領土問題は存在しなくても、外交問題は存在する。機会を逃さず改善の糸口をつかむことは2人の首脳にしかできない決断である。

http://mainichi.jp/select/news/20130126ddm002030059000c.htmlより、
習・中国共産党総書記:首脳会談に前向き 右傾化路線、警戒も−−公明・山口代表と会談
毎日新聞 2013年01月26日 東京朝刊

 公明党の山口那津男代表と中国共産党の習近平総書記が25日、北京で会談し、山口氏が日中首脳会談の開催を提案したのに対し、習氏は「真剣に検討したい」と前向きな意向を表明した。昨年9月の沖縄県・尖閣諸島国有化以来、膠着(こうちゃく)していた日中関係にようやく対話ムードが出始めた。しかし、尖閣を巡る両国の主張は依然隔たりが大きいことに加え、安倍晋三首相の右傾化路線への警戒が中国にはあり、首脳会談実現の見通しは立っていない。
 会談では「戦略的互恵関係」の推進と、対話によって問題を解決する努力をしていくことで一致。習氏は「06年に中日関係改善に積極的な貢献をしたことを高く評価している」と安倍首相を持ち上げ、中国が主張する尖閣の領有権の「棚上げ論」には直接言及せず、日本側に配慮を示した。
 日中のハイレベル対話は昨年9月下旬の日中外相会談で途絶えており、安倍首相の就任後、政府・与党幹部と習氏の会談が実現したのは初めて。日本外務省は事務レベルで中国に冷静な対応を求めてきたが、中国は海洋監視船を尖閣周辺の日本領海に侵入させ、12月には初の領空侵犯を行うなど、事態はエスカレートしつつある。
 就任時に日米同盟を最重視すると宣言した安倍首相は、1月の初外遊ではインドネシアなど東南アジア3カ国を歴訪し、中国をけん制。一方、第1次政権で進めた日中の戦略的互恵関係の再構築を模索した。伝統的に中国と関係が良好な公明党の山口氏に親書を託し、関係改善の糸口をつかもうとした。
 日中の軍事衝突を懸念する米国は双方に緊張緩和を繰り返し呼びかけており、習氏が今回会談に応じたのはそのメッセージに呼応したとの見方もある。日本側は改善ムードをしぼませないために、日中友好議連会長の高村正彦自民党副総裁を首相特使として派遣することを検討しており、首脳会談への道筋をつけたい考えだ。
 だが、日中の主張の溝は深い。日本政府と足並みをそろえた山口氏は尖閣で領土問題の存在を認めなかった。習氏は首脳会談について「それに至る環境を整えることが重要だ」とくぎを刺し、「歴史を直視すれば未来に目を向けられる」と歴史問題にも言及して安倍首相をけん制した。【吉永康朗】

 ◇対日不信、依然根強く
http://mainichi.jp/select/news/20130126ddm002030059000c2.htmlより、
 【北京・工藤哲】習総書記は山口代表との会談で尖閣諸島や歴史問題の原則的立場を改めて強調した。習総書記は尖閣問題で譲歩しないことを明言したうえで、安倍首相の靖国神社参拝も暗にけん制した。習総書記が直接会談に応じたとはいえ、中国側の日本政府に対する不信感は依然根強く、中国側は慎重姿勢を崩していない。
 中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は25日の定例会見で「習総書記が『釣魚島問題の中国の立場は一貫しており明確だ。日本は歴史と現実を直視し、実際の行動によって問題解決をする方法を模索すべきだ』と述べた」と明らかにした。また安倍首相が託した親書の中身は「日中関係は最も重要な2国間関係の一つで、両国はアジア太平洋地域と世界の平和、発展のために共同の責任を負っている。私は大局に立ち、日中の戦略的互恵関係を前進させることを望む」との内容だったと述べた。
 中国側は昨年8月、胡錦濤(こきんとう)国家主席に宛てた野田佳彦首相(当時)の親書を山口壮副外相(同)を通じて受け取ったが、その直後に日本政府が尖閣諸島を国有化したため、不信感を払拭(ふっしょく)できていない。日中関係筋によると、山口代表が今回持参した親書も踏み込んだ内容とは言えず、中国側は「中身がなく、要人に会うための道具として『首相の親書』が利用されている」と受け止めているという。
 山口代表の日程調整の際も、王家瑞(おうかずい)党中央対外連絡部長との会談が一度はキャンセルされ、習氏との会談も直前まで固まらなかった。背景には、山口氏との会談がどれほど実利があるか、中国側もぎりぎりまで見極めていたとみられる。

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