今回も憲法9条が問われている 小林節氏

http://www.nnn.co.jp/rondan/ryoudan/index.htmlより、
一刀両断 -小林 節-
今回も憲法9条が問われている
日本海新聞 2013/1/29の紙面より

 私たち日本人が海外で戦乱に巻き込まれた場合に、現地の政府には、法的な義務として私たちを守ってくれる責任はない。本来、私たち日本人が地球上のどこにいようとも、日本人を保護する義務は日本国政府が負っている。

 自衛隊法84条の三には、「外国における災害騒乱その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送…を行うことができる」と規定されている。これは、一見、当たり前のことである。ところが、これには奇妙な条件が付いている。つまり、その条文中には、「当該輸送の安全…が確保されていると認めるときは」と明記されている。

 つまり、現実に戦乱に巻き込まれて危険だから助けに来て日本へ連れ帰ってほしいと望んでいる日本国民に対して、日本国は、「そこが安全だったら迎えに行ってあげる」と「約束」しているのである。こんなものは何の約束でも安心でもないことは自明である。

 これがアメリカなら、(もちろん、イギリスでもフランスでもドイツでも)戦闘部隊を乗せた軍の輸送機を送り込んで、自国民を保護・救出してくれることだろう。これが世界の常識である。

 わが国がこのように変な規定を置いている原因は憲法9条にある。

 憲法9条は、敗戦の反省の上に書かれたもので、条文上は「戦争」を放棄し「軍隊」の不保持を誓っている。

 しかし、わが国も独立主権国家の自然権としての「自隊権」は先天的に保持しており、それは国際法(国連憲章)上も明確に認められているので、9条の下でも「自衛」戦争を担う「自衛」隊の保持は許される…と政府は解釈し運用してきた。

 その上で、「自衛」を口実にして外国を「侵略」することがないようにという配慮から、海外で武力行使をしないという制約を自らに課してきた。

 だから、戦闘能力を持って海外へ出てはいけない自衛隊機である以上、危険な場所へ日本人を迎えには行けない…という矛盾に逢着(ほうちゃく)してしまう。

 他国を侵略しないという誓うことは当然としても、それと、国際国家日本が在外邦人の保護を実行することとは何も矛盾しないはずである。

 この機会に、まずは9条に関する政府解釈を変更し、次に9条の文言の整理(改正)を行うべきであろう。
(慶大教授・弁護士)

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