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月別アーカイブ: 2月 2013

http://khgk.seesaa.net/article/335053587.htmlより、
「国本平和学習会」からのお知らせ

☆毎月第4木曜日に定例学習会を開催しています。
☆時間は、午後7時~午後8時(延長:午後9時まで)
ただし、2013年度より、当分の間、午後6時~午後7時に変更します。
☆学習教材として『日本国憲法』(童話屋、300円)と
 『あたらしい憲法のはなし』(童話屋、300円)を使用しています。
☆会場は「国本地区市民センター」です。所在は「検索」などで確認して下さい。
☆誰でも参加できます。(参加無料)
☆平和、文化、教育問題についての発言者、戦争体験の発表者を募集しています。
☆会員募集中です。(年会費:1000円)
☆ブログ:http://khgk.seesaa.net/

下記の通り、第102回学習会を開催します。

第102回学習会
日時:2013年3月28日(木) 午後6時~7時
会場:国本地区市民センター 2階 集会室
内容:戦争放棄を考える
1.教材学習
 『日本国憲法』 戦争の放棄(15頁)
 『あたらしい憲法のはなし』 戦争の放棄(31~34頁)
2.自由討論
3.その他

☆次回予定
第103回学習会
日時:2013年4月25日(木) 午後6時~7時
会場:国本地区市民センター 2階 集会室
内容:基本的人権を考える
1.教材学習
 『日本国憲法』 国民の権利及び義務(16~27頁)
 『あたらしい憲法のはなし』 基本的人権(35~40頁)
2.自由討論
3.その他

詳しくは、事務局(今井)まで、お問い合わせ下さい。
☆TEL:028-902-4200
☆FAX:028-902-4221
☆Email:05a21@goo.jp

☆学習教材について
「憲法を生かす会・栃木」のHPに、どちらも全文掲載されています。
http://www2.ucatv.ne.jp/~kenpou.snow/niken2.htm

また東京新聞のHPに、「試される憲法」が掲載されています。
【日本国憲法の誕生から60年。日本の“かたち”を決する、還暦を迎えた最高法規を改めようという動きが顕著になっています。これからの時代、憲法はどうあるべきなのでしょうか。不戦の誓いを掲げた9条を中心に、各分野の人たちが憲法を考え、語ります。】(2007年12月29日終了)
http://www.tokyo-np.co.jp/hold/2007/consti/

さらに「憲法を歩く 施行60年」が掲載されています。
【戦後最長の好景気を更新中と言われても、多くの働く人々にその実感はないだろう。国内企業全体の利益は昨年、史上最高を記録したが、その陰で困窮する労働者が急増している。「生存権」を保障した憲法は、その方策として「勤労の権利と義務」を掲げる。だが、労働環境の劣化は生存権すらも脅かしている。第四部では「貧困と労働」の現場を歩いた。】(2007年12月28日まで)
http://www.tokyo-np.co.jp/hold/2007/kenpou/

なお「はじめての憲法」逐条解説のHPは、
http://www009.upp.so-net.ne.jp/law/kenpou.html
あ な た は 憲 法 の 条 文 を 一 つ で も 知 っ て い ま す か ?
 戦後60余年を迎え、憲法改正について踏み込んだ議論がはじまっています。 性急な憲法改正への動きの中、その中心にいなければならないはずの国民が、どこにも見当たりません。憲法とは誰のためのものでしょうか? 戦争の放棄を誓った憲法前文や第9条をどう考えればよいのでしょうか? 日本国憲法は、いまも世界中の人々が求めてやまない理想をかかげています。憲法には何がきざまれ、それがどのような意味を持ち、私たちに何を語りかけているのでしょうか?
 当サイトでは、抽象的な憲法議論の紹介を中心とはせず、憲法の条文を一つ一つ紹介しながら、どのような意味や議論があるのかを、逐条解説の形で簡単に解説しています。まずは条文だけでも読んでみて下さい。連日報道される憲法改正の議論が、もっと身近で興味の持てるものになれば幸いです。

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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130228/k10015849971000.htmlより、
首相 「攻めの農政」「経済再生」を強調
2月28日 16時13分

安倍総理大臣は、衆参両院の本会議で施政方針演説を行い、農産品や食品の輸出拡大を目指す「攻めの農業政策」などを成長戦略に掲げて経済再生に取り組むことで働く人の所得を増やすことを目指す考えを強調しました。

日本経済再生への決意強調
この中で、安倍総理大臣は、東日本大震災からの復興を取り上げ「今を懸命に生きる人たちに復興を加速することで応えていかなければならない。若者たちが、『希望』に胸を膨らませることができる東北をつくりあげる」と述べ復興を推進していく決意を示しました。
そして安倍総理大臣は、経済政策について、「若者たちが『未来は明るい』と信じることができる、力強い日本経済を立て直すことが私たちの世代の責任だ。大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略の『三本の矢』を力強く射込む」と述べ、日本経済の再生に取り組む決意を強調しました。
そして、「健康的な日本食は、世界でブームを巻き起こしている。世界で豊かな人が増えれば増えるほど、人気が高まることは間違いない」と述べ、農産品や食品の輸出拡大を目指す「攻めの農業政策」を進めていく考えを示しました。

最先端の医療技術活用に技術革新推進を
さらにiPS細胞を利用した再生医療・創薬など、最先端の医療技術の活用や、イノベーション・技術革新を推進していく考えを示しました。
また、「活発でフェアな国際競争を確保するため、貿易や投資のルールを国際的に調和していかねばならない。日本はルールを『創る』国でありたい」と述べたうえで、TPP=環太平洋パートナーシップ協定については「今後、政府の責任において交渉参加について判断する」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は来年のソチオリンピックに向けてボブスレーの「そり」を開発する東京・大田区の中小企業を紹介したうえで「世界一を目指す気概を持った皆さんがいる限り日本はまだまだ成長できると確信している。今こそ世界一を目指していこうではありませんか。それは働く意欲のある人たちに仕事を創り、頑張る人たちの手取りを増やすことにほかなりません」と呼びかけました。
一方、安倍総理大臣は「原発事故の反省にたち原子力規制委員会の下で新たな安全文化をつくる」としたうえで「安全が確認された原発は再稼働する」と述べるとともに再生可能エネルギーの導入を最大限に進めて、原発依存度をできるかぎり低減させる考えを示しました。

沖縄の負担軽減に全力・北朝鮮には断固たる対応
そして、安倍総理大臣は外交・安全保障について、「アメリカのオバマ大統領との首脳会談で緊密な日米同盟は完全に復活した」と述べたうえで、「在日アメリカ軍の再編は日米合意に従って進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に全力で取り組む」と述べました。
また、中国や韓国との関係改善に取り組む姿勢を示すとともに、ロシアとの関係について「最も可能性に富んだ二国間関係のひとつだ」として年内に予定されているロシア訪問などを通じて関係強化に意欲を示しました。
そして北朝鮮について「核実験を強行したことは断じて容認できず、関係国と連携して断固たる対応を追求する。拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決に向けて具体的な行動を取るよう強く求める」と述べました。
さらに沖縄県の尖閣諸島を巡る中国の動きを念頭に、「わが国の領土・領海・領空や主権に対する挑発が続いており、安全保障環境は厳しさを増している」と指摘したうえで、イギリスのサッチャー元首相が1982年のフォークランド紛争を振り返って使ったことばを引用し、「『力の行使による現状変更』は何も正当化しないということを国際社会に訴えたい」と述べ、中国に強く自制を求めました。
そして最後に、安倍総理大臣は「われわれは『何のため』に国会議員を志したのか。政局に明け暮れたり、足の引っ張り合いをするためではなかったはずだ」と述べ、国会議員の定数削減や選挙制度改革に結論を出すことや、憲法改正に向けた議論を深めることを呼びかけました。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013022800501より、
施政方針演説全文

 【1・はじめに】
 「強い日本」。それをつくるのは、他の誰でもありません。私たち自身です。
 「一身独立して一国独立する」
 私たち自身が、誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で、自ら運命を切り開こうという意志を持たない限り、私たちの未来は開けません。
 日本は、今、幾つもの難しい課題を抱えています。しかし、くじけてはいけない。諦めてはいけません。
 私たち一人ひとりが、自ら立って前を向き、未来は明るいと信じて前進することが、私たちの次の、そのまた次の世代の日本人に、立派な国、強い国を残す唯一の道であります。
 「苦楽を与(とも)にするに若(し)かざるなり」
 一身の独立を唱えた福沢諭吉も、自立した個人を基礎としつつ、国民も、国家も、苦楽を共にすべきだと述べています。
 「共助」や「公助」の精神は、単にかわいそうな人を救うことではありません。
 懸命に生きる人同士が、苦楽を共にする仲間だからこそ、何かあれば助け合う。そのような精神であると考えます。
 【2・被災者の皆さんの強い自立心と復興の加速化】
 「みんなで声を掛け合って、励まし合っている」
 首相就任以来、私は、毎月、被災地を訪問し、避難生活を強いられている方々の声を直接伺ってまいりました。
 仮設住宅の厳しい環境の下でも、思いやりの心が、そこにはありました。自立して支え合おうとする気概を感じるのです。
 一方、個人の意志や努力だけではどうにもならない問題が、今なお立ちはだかっています。高台移転は、ようやく動き始めたものの、土地の買収や、さまざまな手続きにより、大幅な遅れが目立ちます。
 仮設住宅暮らしの長期化による、先の見えない不安。お年寄りの方からは、「時間がない」という悲痛なお話も伺いました。
 「どんなに小さくてもいいから、自分の家に住みたい」
 今を懸命に生きる人たちに、復興を加速することで、応えていかねばなりません。解決すべき課題は、地域ごとに異なりますが、復興庁が、現場主義を徹底し、課題を具体的に整理して、一つ一つ解決します。
 福島は、今も、原発事故による被害に苦しんでいます。子どもたちは、屋外で十分に遊ぶことすらできません。除染、風評被害の防止、早期帰還に、行政の縦割りを排し、全力を尽くすべきは当然です。しかし、私たちは、その先にある「希望」をつくらねばなりません。
 若者たちが、「希望」に胸を膨らませることができる東北を、私たちはつくり上げます。それこそが、真の復興です。
 既に、再生可能エネルギー産業や医療関連産業など、将来の成長産業が東北で芽吹きつつあります。復興をさらに強力に進めるため、復興予算19兆円枠を見直し、必要な財源を確保することとしました。(
 今年も、間もなく3月11日がやってきます。厳しく長い冬が続いた東北にも、もうすぐ春が訪れます。冬の寒さに耐えて、春に咲き誇る花のように、「新たな創造と可能性の地」としての東北を、皆さん、共につくり上げようではありませんか。
 【3・経済成長を成し遂げる意志と勇気】
 さて、日本経済の将来に、今の若者たちは「希望」を持てるでしょうか。
 若者たちが、「未来は明るい」と信じることができる、力強い日本経済を立て直すことが、私たちの世代の責任であります。
 「三本の矢」を、力強く、射込みます。大胆な金融政策であり、機動的な財政政策。そして、民間投資を喚起する成長戦略です。
 今までと同じやり方では、激変している国際経済に、立ち向かうことはできません。
 日本の経済成長は、世界を覆う大競争の荒波に、ためらうことなくこぎ出していく、私たちの意志と、それから勇気にかかっています。
 (世界のフロンティアへ羽ばたく)
 まさにそうした勇気を示し、遠くアルジェリアの砂漠で働いていた方々が、犠牲となりました。
 彼らに非業の死を遂げさせたテロリストたちの卑劣と非道を、わが国は決して許しません。テロの犠牲を繰り返さないため、何をなさねばならないかを検証し、具体的な対策を進めます。
 私が恐れていることは、今回の事件によって、日本人が、世界に羽ばたく意志と勇気を失うことです。
 世界の成長センターは、アジアから、中南米、アフリカへと広がっています。今回犠牲となった方々の志を無にしないためにも、海外の成長を日本に取り込むべく、世界のどこへでも、フロンティアに果敢に飛び込んでいかねばなりません。
 そのかばんに詰め込むべき魅力ある商品は、たくさんあります。
 健康的な日本食は、世界でブームを巻き起こしています。四季の移ろいの中で、きめ細やかに育てられた、日本の農産物。世界で豊かな人が増えれば増えるほど、人気が高まることは間違いありません。そのためにも、「攻めの農業政策」が必要です。日本は瑞穂の国です。息をのむほど美しい棚田の風景、伝統ある文化。若者たちが、こうした美しいふるさとを守り、未来に「希望」を持てる「強い農業」をつくってまいります。
 健康は、誰もが求める、世界共通のテーマです。日本発の技術であるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を利用した再生医療・創薬など、最先端の医療技術を積極的に活用して、世界に先駆けて健康長寿社会を目指します。世界に誇る国民皆保険制度が育んだ、わが国の医療技術とサービスに、さらに磨きを掛け、国際的な医療協力なども通じて、世界に積極的に展開してまいります。
 日本のコンテンツやファッション、文化・伝統の強みも、世界から注目されています。アニメなどのブームを一過性のものに終わらせることなく、世界の人たちを引き付ける観光立国を推進することに加え、「クール・ジャパン」を世界に誇るビジネスにしていきましょう。
 それから環境技術です。資源制約を抱える世界で、その解決策を、日本は持っています。ここにも、商機があります。最先端の技術で、世界の温暖化対策に貢献し、低炭素社会を創出していくというわが国の基本方針は不変です。
 詰め込むかばんの中身が、技術、サービス、知的財産など多様化する現代では、活発でフェアな国際競争を確保するため、貿易や投資のルールを国際的に調和していかねばなりません。
 わが国は、受け身であってはなりません。グローバルなレベルでも、地域レベルや2国間レベルでも、日本は、ルールを「待つ」のではなく、「つくる」国でありたいと考えます。
 アジア・太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を、戦略的に推進します。わが国の外交力を駆使して、守るべきものは守り、国益にかなう経済連携を進めます。
 TPP(環太平洋連携協定)については、「聖域なき関税撤廃」は、前提ではないことを、先般、オバマ大統領と直接会談し、確認いたしました。今後、政府の責任において、交渉参加について判断いたします。
 意欲のある全ての日本人が、世界の成長センターで、存分に活躍できる環境を整えます。
 (日本が世界の成長センターになる)
 一方で、日本から世界へという流れだけでなく、世界から日本に、優れた企業や人を集め、日本をもう一度成長センターにしていく気概も必要です。
 優れた人たちは、今、日本で能力を発揮したいと考えるでしょうか。
 日本での研究環境に満足できない研究者たちが、海外にどんどん流出しています。
 「世界で最もイノベーションに適した国」をつくり上げます。総合科学技術会議が、その司令塔です。大胆な規制改革を含め、世界中の研究者が日本に集まるような環境を整備します。
 その萌芽(ほうが)とも呼ぶべき「希望」に、私は、沖縄で出会いました。
 「非常に素晴らしい研究機会が与えられると考えて、沖縄にやってきた」
 アメリカから来たこの学生は、かつてハーバード大学やエール大学で研究に携わってきました。その上で、昨年開学した沖縄科学技術大学院大学で研究する道を選びました。
 最新の研究設備に加え、沖縄の美ら海(ちゅらうみ)に面した素晴らしい雰囲気の中で、世界中から卓越した教授陣と優秀な学生たちが集まりつつあります。沖縄の地に、世界一のイノベーション拠点を作り上げます。
 世界初の海洋メタンハイドレート産出試験、世界に冠たるロケット打ち上げ成功率、世界最先端の加速器技術への挑戦など、日本は、先端分野において、世界のイノベーションをけん引しています。
 将来の資源大国にもつながる海洋開発、安全保障や防災など幅広い活用が期待できる宇宙利用、テレワークや遠隔医療など社会に変革をもたらし得るIT活用。
 日本に「新たな可能性」をもたらすこれらのイノベーションを、省庁の縦割りを打破し、司令塔機能を強化して、力強く進めてまいります。
 世界の優れた企業は、日本に立地したいと考えるでしょうか。
 むしろ、わが国は、深刻な産業空洞化の課題に直面しています。
 長引くデフレからの早期脱却に加え、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。
 東京電力福島第1原発事故の反省に立ち、原子力規制委員会の下で、妥協することなく安全性を高める新たな安全文化をつくり上げます。その上で、安全が確認された原発は再稼働します。
 省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、できる限り原発依存度を低減させていきます。同時に、電力システムの抜本的な改革にも着手します。
 「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指します。
 「国際先端テスト」を導入し、聖域なき規制改革を進めます。企業活動を妨げる障害を、一つ一つ解消していきます。これが、新たな「規制改革会議」の使命です。
 行政や公務員制度の在り方も、これまでの改革の成果に加え、国際的な大競争時代への変化を捉え、改革します。公務員には、誇りと責任を持って、世界との競争に打ち勝つ国づくりを、それぞれの持ち場で能動的に進めるよう期待します。
 魅力あふれる地域をつくります。その鍵は、地域ごとの創意工夫を生かすための、地方分権改革です。大都市制度の改革をはじめ、地方に対する権限移譲や規制緩和を進めます。また、「地域の元気づくり」を応援します。
 (世界一を目指す気概)
 小さな町工場から、フェラーリやBMWに、果敢に挑戦している皆さんがいます。
 自動車ではありません。東京都大田区の中小企業を経営する細貝さんは、仲間と共に、ボブスレー競技用「そり」の国産化プロジェクトを立ち上げました。
 「世界最速のマシンをつくりたい」
 30社を超える町工場が、これまで培ってきた、ものづくりの力を結集して、来年のソチ五輪を目指し、世界に挑んでいます。
 高い技術と意欲を持つ中小企業・小規模事業者の挑戦を応援します。試作品開発や販路開拓など、新しいチャレンジを応援する仕組みを用意します。
 ひたすらに世界一を目指す気概。こういう皆さんがいる限り、日本はまだまだ成長できると、私は、確信しています。
 いま一度、申し上げます。皆さん、今こそ、世界一を目指していこうではありませんか。
 (家計のための経済成長)
 なぜ、私たちは、世界一を目指し、経済を成長させなければならないのか。
 それは、働く意欲のある人たちに仕事をつくり、頑張る人たちの手取りを増やすためにほかなりません。
 このため、私自身、可能な限り報酬の引き上げを行ってほしいと、産業界に直接要請しました。政府も、税制で、利益を従業員に還元する企業を応援します。
 既に、この方針にご賛同いただき、従業員の報酬引き上げを宣言する企業も現れています。うれしいことです。
 家計のやりくりは、大変なご苦労です。日々の暮らしを少しでも良くするために、私たちは、「強い経済」を取り戻します。
 【4・世界一安全・安心な国】
 経済だけではありません。さまざまなリスクにさらされる国民の生命と財産を、断固として守る、「強靱(きょうじん)な国づくり」も急務です。
 旅行で、仕事で、普段何気なく通るトンネルで、その事故は起きました。笹子トンネル事故です。
 私の育った時代、高速道路が次々と延びていく姿は、「成長する日本」の象徴でありました。しかし、あの頃できたインフラが、老いつつある。人の命まで奪った現実に、向き合わなければなりません。
 命を守るための「国土強靱化」が、焦眉の急です。首都直下地震や南海トラフ地震など、大規模な自然災害への備えも急がなければなりません。徹底した防災・減災対策、老朽化対策を進め、国民の安全を守ります。
 治安に対する信頼も欠かせません。ネット社会の脅威であるサイバー犯罪・サイバー攻撃や、平穏な暮らしを脅かす暴力団やテロリストなどへの対策・取り締まりを徹底します。
 悪質商法によるトラブルから、消費者を守らねばなりません。地方の相談窓口の充実や監視強化などによって、消費者の安全・安心を確保します。
 「世界一安心な国」「世界一安全な国、日本」をつくり上げます。
 【5・暮らしの不安に一つ一つ対応する政治】
 さて、今、この演説を聞く国民一人ひとりが、悩みや不安を抱えておられます。
 家計のやりくり、教育、子育て、介護。こうした不安に目を向け、一つ一つ対応することも、政治の使命です。
 「車座ふるさとトーク」を始めました。皆さんの声を直接お伺いするため、閣僚が、地方に足を運びます。一人ひとりの思いを、直接、具体的な政策につなげていきます。
 (子どもたちが主役の教育再生)
 子どもを持つ親は、常に子どもの教育に頭を悩ませています。
 いじめや体罰を背景に、子どもの尊い命が絶たれる事案が発生しています。「子どもの命は何としても守り抜く」との強い意志と責任感を、私たち大人が持って、直ちに行動に移さねばなりません。
 6年前に改正した教育基本法を踏まえ、現場での具体的な改革を進めます。まずは、先般、「教育再生実行会議」が取りまとめた、道徳教育の充実をはじめとする、いじめ対策の提言を実行します。
 教育現場で起きる問題に、的確で速やかな対応が行える体制を整えます。現行の教育委員会制度について、責任体制を明確にすることをはじめ、抜本的な改革に向けた検討を進めます。
 学力の向上も、公教育に求められる重要な役割です。世界トップレベルの学力を育むため、力ある教師を養成し、グローバル化に対応したカリキュラムなどを充実していきます。「大学力」は、国力そのものです。大学の強化なくして、わが国の発展はありません。世界トップレベルとなるよう、大学の在り方を見直します。
 私も、子どもの頃、野球選手や警察官などと、いろいろな「夢」を見ました。教育再生とは、子どもたちが、「夢」を実現する意志を持って、自分たちの道を歩んでいけるよう手助けするためのものにほかなりません。
 その主役は、子どもたちです。
 6・3・3・4制の見直しによる「平成の学制大改革」をはじめ、教育再生に向けた具体的な課題について、今後検討を進めます。
 (子育て・介護を支える社会)
 子育てに頑張るお父さんやお母さんが、育児を取るか仕事を取るかという二者択一を迫られている現実があります。
 待機児童の解消に向けて保育所の受け入れ児童数を拡大します。多様な保育ニーズに応えるためには、休日・夜間保育なども拡充していかねばなりません。放課後児童クラブを増設し、地域による子育て支援も力を入れてまいります。
 仕事との両立支援と併せ、仕事への復帰を応援します。両立支援に取り組む事業者への助成、マザーズハローワークの拡充に取り組みます。
 年老いた親の介護と仕事の両立にご苦労される方も、増えつつあります。
 介護と仕事も、両立しやすい社会をつくっていかねばなりません。まずは、その第一歩として、両立するための知識やノウハウを、働く方々や職場に周知して、さまざまな支援を受けられるようにします。地域のお年寄りの皆さんに、質が高く、必要な介護が行われる体制も整えます。
 全てを家庭に任せるのではなく、社会も共に子育てや介護を支えていきます。
 (女性が輝く日本)
 他方、家庭に専念して、子育てや介護に尽くしている方々もいらっしゃいます。皆さんのご苦労は、経済指標だけでは測れない、掛け替えのないものです。
 皆さんの社会での活躍が、日本の新たな活力を生み出すと信じます。皆さんが、いつでも仕事に復帰できるよう、トライアル雇用制度を活用するなど、再就職支援を実施します。
 仕事で活躍している女性も、家庭に専念している女性も、全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝けるような国づくりを進めます。皆さん、女性が輝く日本を、共につくり上げていこうではありませんか。
 (誰もが再チャレンジできる社会)
 老いも若きも、障害や病気を抱える方も、意欲があるならば、世のため人のために活躍できる機会をつくります。その先に、活力あふれる日本が待っています。
 個々の事情に応じた就労支援を、きめ細かく行います。「若者・女性活躍推進フォーラム」の場を通じて、さらなる課題を抽出し、具体策を検討していきます。
 一度の失敗で烙印(らくいん)が押され、「負け組」が固定化するような社会は、「頑張る人が報われる社会」とは言えません。何度でもチャレンジできる社会をつくり上げてまいります。
 (持続可能な社会保障制度の構築)
 しかし、どんなに意欲を持っていても、病気や加齢などにより、思い通りにならない方々がいらっしゃいます。
 こうした方々にも安心感を持っていただくため、持続可能な社会保障制度をつくらねばなりません。少子高齢化が進む中、安定財源を確保し、受益と負担の均衡が取れた制度を構築します。
 自助・自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人には、しっかりと援助の手を差し伸べます。自由民主党、公明党、民主党による3党間での協議の進展も踏まえ、社会保障制度改革国民会議においてご議論いただき、改革を具体化してまいります。
 国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)について、2015年度までに10年度に比べ赤字の対GDP比の半減、20年度までに黒字化、との財政健全化目標の実現を目指します。
 【6・原則に基づく外交・安全保障】
 さて、外交・安全保障について、お話しいたします。
 私の外交には、原則があります。先般のASEAN(東南アジア諸国連合)諸国訪問の際には対ASEAN外交の5原則を発表しましたが、私の外交は、「戦略的な外交」「普遍的価値を重視する外交」、そして国益を守る「主張する外交」が基本です。傷ついた日本外交を立て直し、世界における確固とした立ち位置を明確にしていきます。
 その基軸となるのは、やはり日米同盟です。
 開かれた海の下、世界最大の海洋国家である米国と、アジア最大の海洋民主主義国家である日本とが、パートナーを成すのは理の当然であり、不断の強化が必要です。
 先日のオバマ大統領との会談により、緊密な日米同盟は完全に復活いたしました。政治、経済、安全保障だけではなく、アジア・太平洋地域、さらには国際社会共通の課題に至るまで、同じ戦略意識を持ち、同じ目的を共有していることを確認したのであります。緊密な日米同盟の復活を内外に示し、世界の平和と安定のために、日米が手を携えて協力していくことを鮮明にすることができました。
 日米安保体制には、抑止力という大切な公共財があります。これを高めるために、わが国はさらなる役割を果たしてまいります。同時に、在日米軍再編には、現行の日米合意に従って進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に全力で取り組みます。特に、普天間飛行場の固定化はあってはなりません。沖縄の方々の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しながら、普天間飛行場の移設および嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めてまいります。
 北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。安保理決議にも明確に違反するものであり、厳重に抗議し、非難します。北朝鮮が平和と繁栄を求めるのであれば、このような挑発的な行動を取ることが何の利益にもならないことを理解させるべく、米国、韓国をはじめ、中国、ロシアといった関係国と連携して、断固たる対応を追求します。
 拉致問題については、全ての拉致被害者のご家族がご自身の手で肉親を抱き締める日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「対話と圧力」の方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保および即時帰国、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引き渡しの3点に向けて、全力を尽くします。
 拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決に向けて具体的な行動を取るよう、北朝鮮に強く求めます。
 尖閣諸島が日本固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も明白であり、そもそも解決すべき領有権の問題は存在しません。
 先般のわが国護衛艦に対する火器管制レーダー照射のような、事態をエスカレートさせる危険な行為は厳に慎むよう、強く自制を求めます。国際的なルールに従った行動が必要であります。
 同時に、日中関係は、最も重要な2国間関係の一つであり、個別の問題が関係全体に影響を及ぼさないようコントロールしていくとの「戦略的互恵関係」の原点に立ち戻るよう、求めてまいります。私の対話のドアは、常にオープンです。
 韓国は、自由や民主主義といった基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国です。朴槿恵新大統領の就任を心より歓迎いたします。日韓の間には、困難な問題もありますが、21世紀にふさわしい未来志向で重要なパートナーシップの構築を目指して協力していきます。
 もう一つの隣国であるロシアとの関係は、最も可能性に富んだ2国間関係の一つであります。本年に予定されているロシア訪問を、日ロ関係の発展に新たな弾みを与えるものとしたいと考えています。アジア・太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築すべく、日ロ関係全体の発展を図りながら、最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結すべく、腰を据えて取り組みます。
 緊密な日米関係を基軸として、オーストラリアやインド、ASEAN諸国などの海洋アジア諸国との連携を深めてまいります。G8(主要8カ国)、G20(20カ国・地域)やわが国で開催する第5回アフリカ開発会議(TICAD)などの国際的枠組みを通じ、貧困や開発といった国際社会に共通する課題の解決に向け、わが国は、世界の大国にふさわしい責任を果たしていきます。
 【7・今、そこにある危機】
 わが国の領土・領海・領空や主権に対する挑発が続いており、わが国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しております。
 先般、沖縄を訪問し、最前線で任務に当たっている、海上保安庁や警察、自衛隊の諸君を激励する機会を得ました。その真剣なまなざしと、みなぎる緊張感を目の当たりにしました。彼らを送り出してくれたご家族にも、感謝の念でいっぱいです。
 私は、彼らの先頭に立って、国民の生命・財産、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜く決意であります。
 11年ぶりに防衛関係費の増加を図ります。今後、防衛大綱を見直し、南西地域を含め、自衛隊の対応能力の向上に取り組んでまいります。
 わが国の外交・安全保障政策の司令塔となる「国家安全保障会議」の設置に向けた検討を本格化します。同時に、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」において、21世紀の国際情勢にふさわしいわが国の立ち位置を追求してまいります。
 危機にあって、大切なことは、大局を見失わないことです。
 わが国の国益は、万古不易です。わが国の存立基盤である「海」を、徹底してオープンなものとし、自由で平和なものとすることであります。
 「全世界にとっての基本的に重要な原則、すなわち何よりも国際法が力の行使に勝たなくてはならないという原則を守ろうとしていた」
 フォークランド紛争を振り返って、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相は、こう語りました。
 「海における法の支配」。私は、現代において、「力の行使による現状変更」は、何も正当化しないということを、国際社会に対して訴えたいと思います。
 安全保障の危機は、「他人ごと」ではありません。「今、そこにある危機」なのです。
 今、この瞬間も、海上保安庁や警察、自衛隊の諸君は、強い意志と忍耐力で任務に当たっています。荒波を恐れず、乱気流を乗り越え、極度の緊張感に耐え、強い誇りを持って任務を果たしています。皆さん、与野党を超えて、今、この場から、彼らに対し、感謝の意を表そうではありませんか。
 【8・おわりに】
 江戸時代の高名な学者である貝原益軒は、ボタンの花を大切に育てていました。ある日、外に出ていた間に、留守番の若者が、その花を折ってしまいました。怒られるのではないか、と心配する若者に対して、益軒は、こう述べて許したといいます。
 「自分がボタンを植えたのは、楽しむためで、怒るためではない」
 「何のため」にボタンを植えたのか、という初心を常に忘れず、そこに立ち戻ることによって、寛大な心を持つことができた益軒。
 私は、この議場にいる全ての国会議員の皆さんに、呼び掛けたいと思います。
 われわれは、「何のため」に、国会議員を志したのか。
 それは、「この国を良くしたい」「国民のために力を尽くしたい」、との思いからであって、間違っても、政局に明け暮れたり、足の引っ張り合いをするためではなかったはずです。
 全ては国家、国民のため、互いに寛容の心を持って、建設的な議論を行い、結果を出していくことが、私たち国会議員に課せられた使命であります。
 議員定数の削減や、選挙制度の見直しについても、各党各会派で話し合い、しっかりと結論を出していこうではありませんか。
 憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深めようではありませんか。
 政権与党である自由民主党と公明党が、政権運営に主たる責任を負っていることは言うまでもありません。その上で、私は、各党各会派の皆さんと丁寧な議論を積み重ね、合意を得る努力を進めてまいります。
 この議場にいらっしゃる皆さんには、ぜひとも国会議員となったときの熱い初心を思い出していただき、どうか建設的な議論を行っていただけますよう、最後にお願いして、私の施政方針演説といたします。
 ご清聴ありがとうございました。
(2013/02/28-13:51)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013022802000125.htmlより、
東京新聞【社説】いじめと道徳 心に成績をつけるのか
2013年2月28日

 いじめ対策として政府の教育再生実行会議がまとめた提言は、冒頭に道徳の教科化を掲げた。「良い子」でいることを競わせ、成績をつけるのか。いじめの現実に立ち向かう手だてこそ考えたい。
 安倍晋三首相に出された提言には多岐にわたる方策が盛り込まれた。例えば、いじめに対応するための法律を作る。学校は相談体制を整え、家庭や地域、警察と連携する。重大ないじめは第三者的組織が解決する。そんな具合だ。
 どれも目新しくはないが、地に足の着いた中身だ。すでに先取りしている自治体さえある。絶えず実効性を確かめつつ仕組みを向上させてほしい。
 とはいえ、筆頭に出てくる道徳を教科に格上げするという方策は、いじめの問題とどう結びつくのかよくわからない。いじめ自殺のあった大津市の中学校は道徳教育のモデル校だったではないか。
 小中学校では週一回程度の「道徳の時間」が設けられ、副読本の「心のノート」を使って授業が行われている。教科ではないから成績評価はなされていない。
 提言によれば、充実した道徳教育が行われるかどうかは学校や先生によって左右される。だから教材を見直して教科として位置づけ、指導方法を打ち出すという。
 もちろん、子どもが成長に応じて思いやりの気持ちや規範意識を身につけることは大切だ。社会の構成員として高い徳性を培うための教育そのものに異論はない。
 しかし、道徳が教科になれば検定教科書が用いられ、心のありようがテストされて順位づけされないか。国の価値観や考え方が押しつけられないか。心配になる。
 国語や社会、算数とは違い、道徳とは体系立てられた知識や技術を習得するものではない。子どもが学校や家庭、地域で褒められたり、叱られたりして考え、感じ取っていくものだろう。学校の道徳教育はその一助にすぎない。
 東日本大震災の光景を思い出してみよう。被災地では大きな暴動や略奪は見られず、人々は譲り合い、助け合って修羅場をくぐり抜けてきた。その姿は世界中に感動を与えた。日本の人々は道徳心をたっぷりと備えている。
 いじめる子の心は根っから荒(すさ)んでいるのか。家族崩壊や虐待、貧困、勉強疲れからストレスを抱え込んでいるかもしれない。背景事情に考えを巡らせる必要がある。
 大人の世界にもひどいいじめがある。道徳とは世代を超えて日々共に学び合うべきものだろう。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52231760Y3A220C1EA1000/より、
日経新聞 社説 疑問ぬぐえぬ道徳の教科化
2013/2/28付

 安倍晋三首相の肝煎りで発足した教育再生実行会議が、いじめ問題について提言をまとめた。新たな法律の制定や、学校・家庭・地域が一丸となった「責任のある体制」づくりなどを求めている。
 疑問をぬぐえないのは、道徳教育の「教科」化だ。第1次安倍内閣の教育再生会議も打ち出した提言だが、国が子どもの心の内面に踏み込むことに異論が出て実現は見送られた。それがいじめ対策の一環として再浮上したわけだ。
 学校での道徳教育は国語や算数などの教科とは別の位置づけで展開されてきた。成績をつけず、検定教科書も使わない。そのかわり「道徳の時間」だけでなく学校教育全体のなかで公徳心をはぐくむのが道徳教育にはふさわしい、というのが基本的な考え方である。
 こうしたかたちで定着している道徳教育を、いま、あえて教科化する意味はあるのか。
 提言は、現行のままでは学校や教員によって充実度に差があると指摘したうえで、「新たな枠組みによって教科化し、人間の強さ・弱さを見つめながら、理性によって自らをコントロールし、より良く生きるための基盤となる力を育てる」べきだと述べている。
 よくわからない説明である。かつて果たせなかった教科化を、こんどこそ実現させたいという思いが先走っていないだろうか。
 下村博文文部科学相は「成績評価にはなじまない」としながら「国として、どこでも使える教材をつくる」とも述べている。全国統一の教材で授業を行い、それに基づいた尺度で規範意識を測る。そんな展開が予想される。
 これでは道徳教育は窮屈な型にはまり、かえって矮小(わいしょう)化する。人間の心のひだに触れる道徳というものを上から押しつけたとしても、本当の効果は得られないだろう。教科化は弊害のほうが大きいのではないか。
 この問題は文科省での検討を経て、中央教育審議会でさらに議論を進めることになっている。よくよく慎重な取り扱いが必要だ。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130227/edc13022703310002-n1.htmより、
産経新聞【主張】教育再生 「熱血先生」の手足縛るな
2013.2.27 03:30 (1/2ページ)

 政府の「教育再生実行会議」が、いじめと体罰問題に関する提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。道徳を正式な教科にすることや、いじめ生徒への懲戒にも踏み込んだ内容を評価したい。
 一方、体罰問題については、やる気のある教員の手足まで縛ることのないよう、慎重に検討を重ねてほしい。
 提言はまず、学校や教員によって充実度にばらつきがあった「道徳」について、「他者への思いやりや規範意識を育むよう」新たな枠組みで教科化することを求めた。実現を急いでもらいたい。道徳が正式の教科ではない現状こそ、異常なのだといえる。
 いじめに向き合うため、学校や教育委員会には警察などとの連携協力態勢の整備を求め、重大な事案には第三者的機関が解決を図るとした。学校を「悪(あ)しき聖域」としないため、重要な提言だ。
 深刻ないじめの被害者を守るため、加害児童・生徒を出席停止にする措置の活用など、毅然(きぜん)とした対応も求めている。おざなりな対応は許されないということだ。
 体罰問題について提言は、国が部活動指導のガイドラインを策定することを求めた。懲戒として認められる対応と体罰の区別を明確に示すことも求めている。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130227/edc13022703310002-n2.htmより、
2013.2.27 03:30 (2/2ページ)
 気になるのは、自民党がまとめた「いじめ防止対策基本法案」の原案で、いじめを「児童・生徒に対して一定の人的関係にある者が行う心理的、物理的攻撃で、児童らが心身の苦痛を感じているもの」と定義したことだ。
 これでは、教員による懲戒、叱責も「いじめ」と解釈される。
 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の「体罰」は、明確な暴力であり、言語道断だ。では、大声での叱責は体罰なのか。罰としてグラウンドを走らせることは、いじめなのか。拡大解釈を際限なく許しては、学校や教員に毅然とした対応を求めた提言の趣旨とも矛盾することになる。
 産経新聞とフジニュースネットワークが先週末に行った世論調査では、教員やスポーツ指導者の体罰について、「一切認めるべきではない」の40・3%に対し、「場合によっては仕方がない」が57・9%と、大きく上回った。
 荒れる学校現場や陰湿ないじめ問題に対処するため、「厳しい先生」の存在は必要であると、多くの人は敏感に感じ取っている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130227k0000m070106000c.htmlより、
社説:いじめ体罰提言 今すぐできることから
毎日新聞 2013年02月27日 02時30分

 教育改革論議を進めている政府の教育再生実行会議が学校のいじめや体罰対策をまとめ、安倍晋三首相に第1次提言をした。
 学校が解決できないいじめの通報を受け、解決する第三者的な組織。道徳の教科化。対策法の制定。加害生徒への毅然(きぜん)とした対応や懲戒、警察との連携。体罰のない部活動に向けガイドライン策定−−。こうしたことなどを挙げる。
 政府がこの問題に強い懸念と危機意識を持ち、対応しようとするのは当然だろう。だが、今回を見る限りその提言は漠然として具体性に乏しく、実効性が見えてこない。
 例えば、いじめ対策と道徳の教科化の結びつきはわかりにくい。道徳教育は道徳の時間だけではなく、学校教育のすべてを通じて行われるものとされてきた。いじめの発生と、道徳が教科でないということの関連づけに飛躍はないだろうか。
 また教科となれば、評価や成績づけはどうするのか、そうしたことが道徳になじむのか、検定教科書は……とさまざまな課題が出てくる。
 肝心なのは、今すぐできることから速やかに、かつ着実に対策を進めることではないか。
 今回のいじめ対策論議の大きなきっかけになった大津市の中学生自殺問題で、詳細な検証をした第三者調査委員会の報告書は、問題の背景に教員の多忙を指摘した。
 校内での仕事に優先順位をつけて「選択と集中」で仕分けすることや行事の精選を挙げ、教育委員会には学校現場への依頼文書や事項の整理を行うよう求めている。これはただちに進められることではないか。
 書類づくりに追われ子供とじっくり向き合う時間がとれないということならば、本末転倒である。この「忙しすぎる先生」の問題は以前から指摘されてきた。また、教員のほかに専門スタッフを充実させることも有用だ。
 加害生徒の出席停止や必要に応じての警察との連携は、これまでも可能だった。
 それが必ずしも行われてこなかったのは、消極性や怠慢ゆえというだけでなく、その難しさや、ちゅうちょもある現場の苦悩にも目を向けるべきだろう。
 いじめは発生認知件数の統計はあるが、未然に、あるいは初めに芽を摘んだという、机上論ではない実践例はなかなか表に出ない。
 そうした体験や教訓を共有できる仕組みは作れないものか。
 教育再生実行会議は早速次のテーマ、教育委員会制度改革の論議に入った。これは「自治」という戦後学校教育制度の基本理念ともかかわってくるテーマでもある。
 熟議を望みたい。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013022201001298.htmlより、
いじめ対応に第三者組織を提言 教育会議の原案判明
2013年2月22日 11時12分

 政府の「教育再生実行会議」(座長・鎌田薫早稲田大総長)が取りまとめるいじめと体罰対策の提言原案が22日、分かった。いじめの通報を受けて対応の窓口となる第三者組織の設置が盛り込まれた。26日の次回会合で安倍晋三首相に提出する。
 原案では、いじめの早期発見を目的に、学校以外の第三者組織を設けて通報窓口とし、解決の役割を担わせることを要請した。規範意識を醸成するため、成績の点数評価が困難な道徳も教科に格上げできるよう「新たな枠組みの教科」にすることを求めた。
 また、いじめを定義づけて関係機関の連携を明確にする法律の制定を提言。(共同)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年2月22日(金)付
いじめ対策―学校支える人を増やせ

 「しっかりしろ」と学校や先生の尻をたたくだけでは、いじめは減らない。学校を外から支える仕組みを築くべきだ。
 教師らは、いじめを知りながら対策をとらなかった。大津のいじめ自殺事件の第三者委員会は、報告書でそう指摘した。
 そして、教師の負担を軽くする改革を提言している。
 「忙しい教員は、無意識のうちに問題を小さく見積もろうとする心理になる」のだ、と。
 日本の学校は英米に比べ、教師以外のスタッフが少ない。中教審でもそんな議論があった。
 教師が生徒指導や部活動、校務までを背負い、生徒にじっくり向きあう余裕に欠ける。
 では、どうするか。
 教員増もさることながら、外から学校を支えるサポーターを増やす政策を進めてほしい。
 先生とは違う目で子どもを見守る大人を入れる。視点を多様にすることで、問題を見過ごすリスクを小さくできる。
 たとえば、大津の報告書や教育再生実行会議の議論では、スクールソーシャルワーカーが取り上げられている。
 学校と家庭を橋渡しし、問題の解決に取りくむ。ケースによっては児童相談所など、校外の機関ともつなぐ。
 今はおもに不登校や虐待などの分野で活動しているが、いじめ問題では十分活用されていないし、全国でまだ千人ほどしかいない。増員が必要だ。
 ワーカーの有志らは「修復的対話」という手法を学校に広めるべく、今年、そのためのNPOを立ち上げようとしている。
 加害と被害の双方の生徒とその親、担任や校長らの話し合いを取りもち、早いうちに人間関係を改善する試みだ。
 東京都世田谷区は7月、いじめなどの通報と相談を受ける第三者機関をつくる。ここでも、調査員が当事者の間に入って双方の代弁者となり、話し合いを橋渡しする役割がうたわれているのは注目される。
 山口県下関市の「ガイダンスアドバイザー」も、外から学校を支える試みだ。数人の元教員や元警察官が学校を回り、目についたことを管理職や生徒指導の主任に伝えている。
 大津の報告書は、事件のあった中学校は道徳教育のモデル校だったとして、「道徳教育の限界も認識すべきだ」と記した。
 心の教育は大切だが、いま現場が求めているのは精神論より具体策だろう。
 いじめに気づき、早めに手を打てる確率を高める。そのために必要なマンパワーを手当てする。そこに力を注ぐべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130204k0000m070113000c.htmlより、
社説:教育再生 じっくり熟した論議を
毎日新聞 2013年02月04日 02時30分

 安倍晋三首相肝いりの「教育再生実行会議」が始動した。まず今月中に、喫緊のいじめ、体罰問題について論議し、対策基本法案に反映させるという。
 中途半端だった第1次安倍政権の「教育再生会議」の復活といえるだろう。いじめ、体罰の後は教育委員会、大学のあり方、6・3・3・4制の見直し、大学入試改革……と重量級のテーマが予定されている。
 それらの課題が建設的に論議されること自体有意義だろう。気になるのは、論議の場が分かれ、内容が重複しはしないかということだ。
 自民党は昨年、総裁直属の「教育再生実行本部」を設け、総選挙の政権公約である教育政策をまとめた。そして文部科学相の諮問機関・中央教育審議会(中教審)もある。
 実行本部が先行的な提起をし、実行会議はそれも踏まえながら政府方針を固め、具体化は中教審、という分担とされているが、論議分散の懸念はないのか。論ずべき内容もはっきり分けた方が合理的ではないか。
 また、並ぶテーマも順次手際よくスピーディーにという類いのものではない。例えば、基本的に単線構造である現行学校体系、6・3・3・4制の見直しは、戦後の学制を問い直すもので、「平成の学制大改革」をうたうほどのものにするにはよほど腹を据えてかかる必要がある。
 いずれのテーマも、過去論議され、関連する答申や報告も重ねられてきた。今回は当然それを踏まえたうえで行われようが、あれもこれもは難しい。論議を散漫にしかねない。
 例えば、私たちは教育改革の大きなテコとして、早く大学入試の抜本的改革を進めようと主張してきた。その改革は高校、中学校、小学校とさかのぼって授業内容を変えることになり、大学教育の質向上や多様化にもつながろう。
 教育、経済、文化など各分野から識者を集めた再生実行会議が、断片的な意見を寄せるだけでなく、練り上げ熟した論議をするためには、テーマはできるだけ絞った方がよい。
 古くは「第3の教育改革」をうたい、従来の学校体系の多様化などを提言した71年の中教審答申をはじめ、これまでに多くの審議会や会議などから改革提言がなされてきた。
 立ち消えになったり、消化不良に終わったりしたものも少なくない。振り返れば累々たるものがある。
 既存制度に立つ守旧的な反対が壁になったことも指摘されているが、何より国民の理解と協力を得ることが足りなかったのではないか。
 短兵急ではなく、影響力の大きなテーマについて、できることから着実に議論を進める。同時にそれを国民に発信することが肝要だ。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013011500796より、
教育再生会議担当室が発足=首相「日本に誇り持てるように」

 政府の「教育再生実行会議」の事務局となる担当室が15日発足し、安倍晋三首相と下村博文文部科学相が、文科省と同じ建物内にある執務室前で看板掛けを行った。首相は記者団に対し「教育は安倍政権というよりも日本国の最重要課題だ。子どもたちが将来に夢や希望を持て、日本に生まれたことに誇りを持てる教育をしっかりと行いたい」と意欲を語った。
 会議は、15日の閣議で首相官邸への設置が正式決定。首相がトップで、下村文科相や菅義偉官房長官ら政府関係者のほか、座長を務める鎌田薫早稲田大総長や作家の曽野綾子氏ら有識者15人で構成される。来週中に初会合を開き、月2回程度開催。いじめ対策や教育委員会制度改革などについて議論する。
 担当室は、文科省や法務、厚生労働、経済産業、警察の各省庁からの出向者ら16人体制でスタートした。(2013/01/15-18:43)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130115/k10014813851000.htmlより、
首相 教育再生会議の看板かけ
1月15日 18時30分

安倍総理大臣は、小学校から大学までの「6・3・3・4制」の見直しなどについて議論する「教育再生実行会議」の担当室に、看板をかけました。
政府は、自民党が政権公約で掲げた「教育の再生」に向けた具体策を検討するため、早稲田大学総長の鎌田薫氏ら有識者を委員に教育再生実行会議を設置し、来週初会合を開くことにしています。
これを前に、文部科学省には15日、およそ20人の職員で作る担当室が設けられ、安倍総理大臣と下村文部科学大臣が看板をかけました。
安倍総理大臣は記者団に対し、「教育は、安倍政権というよりも、日本国の最重要課題だ。子どもたちが将来に夢や希望を持ち、日本に生まれたことに誇りを持てるような教育をしっかりと行っていくための会議にしていきたい」と述べました。
教育再生実行会議では、現在の小学校から大学までの「6・3・3・4制」の見直しや教育委員会の抜本的な見直し、それにいじめを巡る問題などについて議論することにしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130115/k10014804551000.htmlより、
政府 教育再生実行会議設置へ
1月15日 14時11分

政府は15日の閣議で、現在の小学校から大学までの「6・3・3・4制」の見直しなどについて検討する「教育再生実行会議」を設置することを決め、安倍総理大臣は、内閣の重要課題として、全力で取り組む考えを示しました。
「教育再生実行会議」は、自民党が政権公約で掲げた「教育の再生」に向けた具体策を検討するために設けられ、安倍総理大臣をトップに、下村文部科学大臣ら関係閣僚のほか、早稲田大学総長の鎌田薫氏ら有識者が委員に内定しています。
安倍総理大臣は15日の閣議で、「内閣の最重要課題の1つとして、わが国の教育の立て直しに全力を挙げて取り組みたい」と述べました。
また、下村大臣は、「会議では、わが国の教育を取り巻く重要課題について精力的に議論をしてもらい、そのうえで、頂いた提言については速やかに実現するよう、全力を挙げて取り組みたい」と述べました。
「教育再生実行会議」では、現在の小学校から大学までの「6・3・3・4制」の見直しや教育委員会の抜本的な見直し、いじめを巡る問題などについて、議論することにしています。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013011500420より、
教育再生会議、来週初会合=設置を閣議決定-政府

 政府は15日の閣議で、首相官邸に「教育再生実行会議」を設置することを正式決定した。来週中に初会合を開き、いじめ対策や教育委員会制度の見直し、小学校6年、中学校3年などと定めた「6・3・3・4制」の学制改革などを議論する。安倍晋三首相は閣議で「内閣の最重要課題の一つとして、教育の立て直しに全力を挙げて取り組みたい」と表明した。
 同会議は首相をトップに下村博文文部科学相や菅義偉官房長官らが出席。有識者メンバーは座長を務める鎌田薫早稲田大総長のほか、佃和夫三菱重工業会長、作家の曽野綾子氏ら15人が就任する。月2回程度会合を開き、まず、いじめ対策について2月中にも提言をまとめる方針だ。(2013/01/15-12:50)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013011502000092.htmlより、
首相がこだわる教育、安全保障… 有識者会議次々に設立
東京新聞 2013年1月15日 朝刊

 安倍晋三首相は教育改革や集団的自衛権の行使、歴史認識の見直しなどの課題に関する有識者会議を続々と立ち上げる。思い入れのある政策について議論を繰り広げることで、実現に向け世論を盛り上げる狙いがある。ただ、安倍カラーが強い政策に対し、連立相手の公明党は慎重意見が根強い。首相は公明党との連携を優先し、結論は夏の参院選後に先送りする考えだ。(大杉はるか)
 有識者会議の中でも早々に始動するのが教育再生実行会議だ。十五日には事務局が設置される。
 第一次安倍政権の教育再生会議の名前を変え、メンバーも刷新した。「新しい歴史教科書をつくる会」の会長を務めた八木秀次高崎経済大教授や作家の曽野綾子氏ら保守色の強い人選が目立つ。
 首相が「政権の大きな方針の一つ」と明言している集団的自衛権については、新たな有識者会議を置く。第一次安倍政権で設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は安倍首相退陣後、後継の福田内閣に行使を容認する提言を報告した。安倍首相は自ら報告を受け直し、提言内容を新会議であらためて検討したい意向だ。
 過去のアジア諸国に対する植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」に代わる「安倍談話」についても、歴史学者などを集めた有識者会議を設けて検討する方針だ。
 いずれの会議も有識者は首相の意向に沿った人選になる見通し。会議が始まれば「安倍カラー」に沿った議論になりそうだ。
 安倍政権の保守化を警戒する公明党は、首相の動きをけん制している。山口那津男代表は集団的自衛権の行使容認について「領土、領空、領海の外で武力行使を認めることにつながる」と懸念を示した。
 首相は、政権を安定させるため、今夏の参院選で勝利し、ねじれを解消することを重視している。選挙協力する公明党との良好な関係は欠かせないため、会議の運営で公明党に配慮せざるを得ない。
 首相の慎重姿勢の背景には、世論への配慮もある。首相は「『この政権はちょっと問題がある』と思われるだけで参院選は大敗する危険がある。薄氷を踏む思いで臨まなければいけない」と話す。
 首相周辺は「本当にやりたいことは参院選に勝ってから」と、参院選までは有識者による議論で世論の動向をうかがう構えだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130228/plc13022803530005-n1.htmより、
産経新聞【主張】1票差で補正成立 さらに政策ごとの連携を
2013.2.28 03:53 (1/2ページ)

 今年度補正予算が成立した。早期執行で景気浮揚につなげてほしい。それとともに、衆参ねじれ下でも「参院否決」をはさまず予算成立が図られた点を評価したい。
 与党の自民、公明両党は参院過半数に16議席足りない。当初は民主党などの反対で参院否決後、両院協議会などの手続きが必要とみられていたが、本会議では1票差で可決された。
 日本維新の会や国民新党、新党改革に加え、離党届を提出済みの民主党議員やみどりの風の議員らが成立に動いたためだ。
 国民の利益を守る予算や法律なら野党でも賛成すべきだとの現実的判断が重なったのだろうが、支持できる行動だ。各党は政策ごとの連携を一層進めてほしい。
 成立した補正予算は、経済成長を通じてデフレ脱却を目指す「アベノミクス」の財政面での第1弾といえるものだ。景気浮揚の即効性が高いとされる公共事業を5兆円規模で盛り込んでおり、成果を確実に生み出すため、迅速な執行に全力を挙げねばならない。
 安倍晋三首相は財政出動と金融緩和、成長戦略を「三本の矢」と位置付けている。来年4月予定の消費税増税の実施は今秋、景気動向により最終判断する。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130228/plc13022803530005-n2.htmより、
2013.2.28 03:53 (2/2ページ)
 ただ、公共事業の景気効果は長く続かない。継続的成長につなげるには、規制緩和など民間活力を引き出す成長戦略も欠かせない。こうした点は、来年度予算案審議などを通じて与野党が引き続き論戦を展開する必要がある。
 野党の多くも補正予算の緊急性や必要性は認めていたが、採決時まで結果が読み切れないほど賛否は拮抗(きっこう)した。首相は「決められない政治から、決めることができる政治への一歩」と語った。
 新たな第三極勢力として登場した維新の会は、政権与党に是々非々で臨む方針を掲げ、早々と補正予算への賛成を決めた。
 民主党が、衆参ねじれという「武器」を手に審議引き延ばしで政府・与党に抵抗し、反対のための反対を行う従来の手法は国民から受け入れられないことを示している。憲法改正の発議要件緩和についても、自民、維新やみんなの党が協力する新たな枠組みの構築を求めたい。
 内外の危機を克服するため、政策の実現に取り組む姿を国民が注視していることを、与野党ともに肝に銘じるべきである。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130227k0000m070107000c.htmlより、
社説:補正予算成立 国会で政策連合を競え
毎日新聞 2013年02月27日 02時32分

 緊急経済対策を盛り込んだ総額13.1兆円の12年度補正予算が成立、安倍内閣は最初のハードルを越えた。参院本会議でも野党の一部が賛成に回るなど1票差で可決され、国会の構図変化を印象づけた。
 ねじれ国会の参院で民主党が決定権を握り抵抗するような戦術はもはや通用しない。与野党が多数派の形成を目指し政策連合を競い合う展開が今後、強まることは確実だ。とりわけ民主党には、早急に政策重視にかじを切るよう求めたい。
 安倍内閣の順調な滑り出しを象徴するような参院本会議採決だった。補正予算案にはみんなの党なども反対していたため参院での否決後、憲法の衆院優越の規定に従い成立すると当初はみられていた。
 ところが民主党の2参院議員が離党届を提出するなど参院の状況は変化している。日本維新の会など一部野党の協力を得たことなどで参院本会議では僅差ながら可決された。与党が政策ごとに野党と合意を形成する「部分連合」の大きな足がかりを得たといえよう。
 序盤国会で民主党は政策重視をアピールしきれなかった。国会同意人事をめぐり当然廃止すべき「事前報道ルール」にいったん固執して批判を浴びた。日銀総裁人事をめぐっても黒田東彦氏の起用方針が事前に報道されたことに民主党は不快感を示している。政策、人物本位で判断する姿勢をなぜ、明確に打ち出さないのか。
 今回の補正予算案採決では民主、みんな、生活、社民4党が公共事業費を削減する共同修正案を提出した。結局、否決されたが、政策別に連合し与党に対峙(たいじ)する取り組みを柱に据えるべきだ。
 追い風に乗る形の安倍内閣だが、国会で民主党も含めた合意を形成する努力を怠ってはならない。通常国会で13年度本予算案審議が次の焦点となると同時に、政府・与党は個人番号利用法案(マイナンバー法案)など多くの懸案を抱える。参院選を控え会期延長の余裕は乏しいうえ、政権再交代の影響で本予算案の審議入りが遅れるなど、日程は厳しい。与野党の活発な政策協議が欠かせない。
 安倍晋三首相による施政方針演説の中身が問われる。さきの所信表明演説は政策を総合的に説明する内容ではなかった。とりわけ、日米首脳会談で地ならしが進んだ環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については、参加意思を明確に表明すべきだ。
 こう着状態が続く日中関係など首相の見解が改めて注目されるテーマは多いはずだ。安倍内閣のビジョンを国民に語りかけ、与野党の論戦につなげてほしい。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130226/k10015796801000.htmlより、
補正予算が1票差で可決・成立
2月26日 18時20分

今年度の補正予算は26日の参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党に加えて、日本維新の会、国民新党、新党改革などの賛成多数で1票差で可決・成立しました。
緊急経済対策を柱とする13兆1000億円余りの今年度の補正予算案は、午前9時から開かれた参議院予算委員会で可決され、午後の参議院本会議に緊急上程されました。
各党の討論で、自民党は「今年度の補正予算案は切れ目なく経済対策を実施するためのもので、実質GDPを2%程度押し上げるとともに60万人の雇用の創出が見込まれ、大変な経済効果を発揮する。長らく低迷してきた経済活動を大きく転換し、回復に押し上げる大きな一歩になる」と述べました。
これに対し、民主党は「補正予算案に盛り込まれた5兆円を超える公共事業の財源は国債だ。新規の国債発行額が税収を上回るのが実態であり、財政健全化を犠牲にした補正予算案を認めるわけにはいかない。公共事業をばらまき国民の目をまやかす補正予算案には断固として反対する」と述べました。
このあと、採決が行われ、自民党、公明党、日本維新の会、国民新党、新党改革に加えて、みどりの風から4人と、民主党に離党届を提出した議員1人、それに無所属の議員3人が賛成しました。
また、民主党に離党届を提出した議員1人が欠席し、生活の党の議員1人が採決を棄権した結果、賛成117票、反対116票で1票差で可決・成立しました。
補正予算には、中央自動車道のトンネルでの事故を受けてトンネルや橋などの点検や補修を進める事業や、企業の設備投資を促すため省エネ機能を高めた設備を新たに導入する企業への補助事業などが盛り込まれています。
さらに、基礎年金の国の負担を維持する予算も計上されており、予算の総額は13兆1054億円にのぼっています。
今回の補正予算によって今年度の国の予算は一般会計の総額で100兆円を超え、これまでで3番目に大きい規模となります。
一方、補正予算案の採決に先だって、民主党、みんなの党、生活の党、社民党の野党4党が提出した公共事業費を2兆1000億円余り削減するなどとした修正案の採決が行われましたが、否決されました。

補正予算の内容は
成立した今年度の補正予算は総額で13兆1054億円。
安倍内閣が景気回復に向けた政策対応の第1弾と位置づける10兆円余りの緊急経済対策が柱になっています。
緊急経済対策は「復興・防災」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」の3つ分野を重点に多くの事業が盛り込まれています。
このうち「復興・防災」は3兆7889億円です。
東日本大震災の被災地の復興に欠かせないインフラの整備のほか、中央自動車道のトンネル事故をきっかけに、老朽化したトンネルや橋の点検や補修を進める事業などが含まれています。
次に、「成長による富の創出」には3兆1373億円で、「iPS細胞」など再生医療の実用化に向けた研究を支援する事業や企業の設備投資を促すため、省エネ機能の高い設備を導入する企業に補助金を支給する事業などが予算化されています。
さらに、「暮らしの安心・地域活性化」は3兆1024億円。
70歳から74歳までの医療費の窓口負担で、本来の2割負担への引き上げを当面、見送り、1割のまま据え置くほか、いじめの早期発見などのため全国の小中学校に配置しているスクールカウンセラーが児童・生徒の相談に応じる時間を増やすための予算などが盛り込まれています。
このほか、基礎年金の国の負担分を2分の1に維持するための予算として、2兆5842億円が計上されています。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013022600745より、
12年度補正が成立=参院、1票差で可決

 デフレ脱却に向けた緊急経済対策を盛り込んだ2012年度補正予算は26日の参院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。参院で与党は過半数割れしているが、採決では野党側の対応が分かれ、賛成票が反対票を1票上回った。日銀正副総裁人事案などをめぐる今後の国会攻防にも影響しそうだ。
 補正予算は、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の3本柱の一つである「機動的な財政政策」を裏付けるもので、総額は基礎年金の国庫負担分を含む13兆1054億円。老朽化したトンネルの点検、改修などの公共事業に予算を重点配分したほか、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った再生医療の実用化支援にも予算を計上した。
 採決では、与党と維新、国民新党、新党改革と与党系無所属などが賛成。民主、みんな、生活、共産、社民各党と野党系無所属などが反対に回った。賛成117票、反対116票だった。
 補正予算成立を受け、政府は28日に13年度予算案を提出する。同日に衆参両院で首相の施政方針演説など政府4演説を行いたい考え。各党代表質問を経て、国会は13年度予算案の実質審議に入る。(2013/02/26-17:53)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS26025_W3A220C1000000/より、
12年度補正予算が成立 参院、維新など賛成で可決
2013/2/26 16:59

 緊急経済対策を盛り込んだ総額約13兆1千億円の2012年度補正予算が26日午後、参院本会議で可決、成立した。補正予算としては09年度第1次補正に次ぐ過去2番目の規模。参院では野党が過半数を握るため、本会議で否決される可能性が指摘されていた。ただ自民、公明両党に加え、日本維新の会、新党改革などが賛成。参院で否決されても衆院の議決が優先する憲法の衆院優越規定を適用することなく、成立した。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130226/k10015788571000.htmlより、
補正予算案 26日中に成立の見通し
2月26日 12時32分

今年度の補正予算案は参議院予算委員会で採決が行われ、自民党と公明党などの賛成多数で可決されました。
このあと行われる参議院本会議の採決は、野党側の対応が分かれているため、結果は不透明な情勢ですが、仮に否決されても憲法の規定で衆議院の議決が優先されることから、補正予算案は26日中に成立する見通しです。
今年度の補正予算案は総額が13兆1054億円で、安倍内閣が景気回復に向けた政策対応の第一弾と位置づける10兆円余りの緊急経済対策を柱としています。
さらに、基礎年金の国の負担を維持するための予算も計上されています。
参議院予算委員会は26日、安倍総理大臣も出席して締めくくりの質疑が行われたあと、各党の賛成・反対の討論に続いて採決が行われ、自民・公明の両党に加え、日本維新の会、みどりの風、、新党改革が賛成し、補正予算案は賛成多数で可決されました。
一方、これに先立って、民主党、みんなの党、生活の党、社民党の野党4党が提出した公共事業費を2兆1000億円余り削減するなどとした修正案の採決が行われましたが、反対多数で否決されました。
補正予算案は、このあと開かれる参議院本会議に緊急上程され、採決されることになっています。
参議院本会議での採決は、野党側の対応が分かれているため結果は不透明な情勢ですが、仮に否決されても憲法の規定で衆議院の議決が優先されることから、補正予算案は26日中に成立する見通しです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130226/k10015781521000.htmlより、
補正予算 26日中に成立へ
2月26日 4時26分

今年度の補正予算案は26日の参議院本会議で採決が行われます。野党側の対応が分かれているため採決の結果は不透明な情勢ですが、仮に否決されても、憲法の規定で衆議院の議決が優先されることから、補正予算は、26日中に成立する見通しです。
緊急経済対策を柱とする13兆1000億円余りの今年度の補正予算案は、26日午前に開かれる参議院予算委員会で締めくくりの質疑と採決が行われ午後の参議院本会議に緊急上程されることになっています。
参議院では、野党側が多数を占めていますが、補正予算案については、自民・公明両党に加えて、野党側から、日本維新の会、国民新党、新党改革が賛成する見通しのほか、みどりの風や、無所属の議員などの中にも賛成する意向の議員がいます。
このため、参議院本会議の採決では賛成票と反対票がきっ抗することが予想され、採決の結果は不透明な情勢です。
ただ、仮に反対多数で否決されても、憲法の規定で、衆議院の議決が優先されることから、今年度の補正予算は、両院協議会などの手続きを経て、26日中に成立する見通しです。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年2月28日(木)付
消費増税―「益税」対策はどうした

 来春から予定される消費増税をめぐって、手つかずの課題がある。
 消費者が払った消費税の一部が税務署に納められず、業者の手元に残る「益税」問題だ。
 益税をなくす対策を講じないまま負担増を求めるのでは、納税者は納得しない。政権交代をはさんで消費増税に取り組む自民、公明、民主3党は肝に銘じてほしい。
 日本の消費税にあたる付加価値税を導入している欧州諸国では、モノやサービスの取引ごとに税率や税額を記したインボイスをやりとりしている。これなら取引をごまかしにくい。
 日本でも89年の消費税導入時にインボイス方式が検討されたが、請求書と帳簿を保存する方式に落ち着いた。税額は業者の計算に任せるやり方だ。
 業者の手間を省き、複数の取引を1枚の納品書で済ませることも少なくない日本の実情にも合わせたという。ただ、インボイスによって取引が税務署に細かく把握されることを嫌う業者への配慮もあった。
 商工業や中小企業の業界団体はインボイスに強く反対しているが、事務負担の軽減策を練りつつ導入を急ぐべきだ。
 自公両党は消費税率が10%になる15年10月を目標に、食料品などの税率を低く抑える軽減税率の導入を検討し始めた。消費税率が複数になれば、なおさらインボイスが必要になる。
 「デフレ下の競争激化で、中小の事業者は大手との取引にあたって消費増税分を転嫁できない」という不安があるなか、インボイスは転嫁をしやすくする効果も期待できるはずだ。
 益税を生む原因はほかにもある。業種ごとに決めた「みなし仕入れ率」を使って納税額を計算する簡易課税制度では、実際の仕入れ率とずれがあり、多くの業種で益税が生じている。
 売上高が一定額以下なら消費税を納めなくて済む免税点制度も、対象となる業者が消費税分を取っている場合がある。
 両制度とも段階的に縮小してきたが、まだ不十分だ。とりわけ、欧州主要国と比べて対象が広い簡易課税制度の見直しは不可欠である。
 消費税の申告漏れでは、経営に苦しむ中小事業者が消費税分を資金繰りに回している例が少なくない。
 だからと言って、益税を大目に見るのは筋が違う。人手不足やシステム投資の回避を理由にインボイス導入を先送りするのも本末転倒だ。
 税制にとって大事なのは、公平性と透明性である。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130117k0000m070182000c.htmlより、
社説:軽減税率 8%段階の導入めざせ
毎日新聞 2013年01月17日 02時31分

 自民、公明、民主の3党は2013年度税制改正をめぐる協議を開始した。消費税では低所得層対策の軽減税率の対象や導入時期が焦点だ。
 公明党は軽減税率の対象をコメや新聞などにしぼったうえで、8%段階から導入するよう求めている。これに対し自民党には、軽減税率の導入にはインボイスが必要であり、8%への引き上げが予定される14年4月には間に合わないとする意見が根強い。
 ここは踏み込むべきだ。公明党のいうように適用対象をしぼったうえで、8%段階から軽減税率を導入すべきである。消費増税への低所得層の不安と懸念は根強い。軽減税率の設計と導入を先送りすべきでない。
 社会保障の財源として重要性が高まる一方の消費税だ。この際は初めからきちんとした低所得層対策を組み込んでいくべきである。8%はまだ税率が1桁だから10%段階から軽減税率を導入すればよい。そういう議論も自民党内にはある。だが、8%と10%では2%しか違わない。10%論の根拠は薄弱だ。
 8%段階から軽減税率を導入するとなると、あわただしい作業になるのは事実だろう。しかし、日本の納税・徴税の現場力は非常に高い。間に合わせるのは可能であろう。単に面倒を回避したいという政治家心理で、税制改正の議論が集約されないことを願う。
 インボイスは商取引の各段階で税率や税額を記した書類を渡し納税額の計算を行う仕組みだ。欧州で広く行われており、軽減税率がスムーズに機能している理由という。
 ただ、欧州で付加価値税が始まったころと現在では、パソコンの普及など税額計算の環境に大きな相違がある。軽減税率はインボイスなしで可能という見方も有力だ。
 軽減税率については、その対象になる線引きが難しいことを理由に難色を示す意見もある。だが、欧州諸国の政治家にできて日本の政治家にできないということはないだろう。税はまさに政治そのものであり政治が本領を発揮すべき課題だ。
 欧州諸国は軽減税率に関して「基礎的食料」に加えて「知識」への重課をしないことを基本原則とする。どこでもだれでも容易に情報が入手できるようにする。それが民主主義の基本という考えだ。このため、ほとんどの国で新聞や書籍が軽減税率だ。米国各州や韓国でも同様だ。
 日本新聞協会のアンケートでは、8割超の人がおおむね軽減税率に賛成で、そのうち4分の3が新聞・書籍を対象にすることに肯定的だった。3党が各国の知恵と国内世論を踏まえ、国民から支持される消費税にまとめあげることを期待する。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130108/fnc13010803100000-n1.htmより、
産経新聞【主張】軽減税率 8%からの導入決断せよ
2013.1.8 03:10

 「経済再生」を掲げる安倍晋三政権の本格始動に伴い、来年4月に予定する消費税増税に向けた税制改正が重要な課題となっている。
 その焦点は、低所得者の家計負担を緩和するための対策だ。ばらまきの懸念が消えない現金給付に比べ、生活必需品などに絞って税負担を抑える軽減税率は透明性が高く、早期導入が望ましい。
 その意味で、公明党前代表の太田昭宏国土交通相が6日、対象を限定して8%段階からの軽減税率の導入を提唱したことは評価できる。政府は実効性ある対策の取りまとめを急いでもらいたい。
 自民、公明、民主3党で成立させた社会保障・税一体改革関連法では、来年4月に消費税率を現行5%から8%へ、平成27年10月に10%へ引き上げる。同時に低所得者対策を講じることを決め、そのための軽減税率についても「導入を検討する」と明記している。
 自公とも軽減税率の必要性では一致しているものの、公明党が8%からの導入を強く求めているのに対し、自民党は「10%段階から導入を目指すべきだ」との声が多い。対象の線引きが難しく、軽減対象を広げると税収が思うように確保できないとの懸念からだ。
 太田国交相は、税制改正に間に合わせるために「8%段階ではコメやみそ、しょうゆ、新聞などを対象にする」とし、10%に引き上げる際に対象品目をさらに広げる案を提唱した。与党税調で実現に向けた議論を深めてほしい。
 消費税にあたる付加価値税を早くから導入した欧州では標準税率は20%前後と高いが、低所得者対策で食料品など生活必需品への軽減税率が広く普及している。
 新聞に対する税率も、ドイツでは食料品と同じ7%だ。フランスでは食料品5・5%に比べ、新聞はさらに低い2・1%(医薬品と同率)に軽減されている。全体で5%以下が12カ国あり、このうち英国など4カ国は0%であるという事実にも注目したい。
 国民の「知る権利」にかかわる言論の多様性を確保し、活字文化を守るために「新聞への課税は慎重であるべきだ」という伝統による。知識への課税は活字文化を損なう恐れがあり、日本もこうした欧州の例に学んでほしい。
 消費税増税を円滑に実施するには、軽減税率の早期導入が不可欠であることを認識すべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130228k0000m070117000c.htmlより、
社説:イタリア総選挙 慢心への警鐘と捉えよ
毎日新聞 2013年02月28日 02時30分

 しばらく遠のいていた危機の足音が再び−−。混とんとした結果を生んだイタリアの総選挙は、浮かれ気味になっていた金融市場に、欧州の債務問題が依然として収束にほど遠いことを思い出させた。
 ベルルスコーニ前政権下で失墜した国家の信用回復を目指し、困難な改革を進めてきたモンティ暫定首相だったが、その中道勢力連合が大敗したのは何とも残念だ。モンティ氏は、もともと政治家ではなく経済学者、実務家だったが、緊縮財政を実行し、一時は危険水準にあった国債の利回りを大幅に好転させた。
 おかげで単一通貨ユーロの崩壊懸念は薄らいだが、皮肉なことに、これがイタリアの国民や政治家、欧州諸国の指導者らを慢心に導いたようである。有権者は改革に伴う痛みの緩和を求め、政治家は人気取りの政策になびき、ユーロ圏の指導者らも、危機感を緩めてしまった。その結果が今回の選挙だ。
 だが、緊縮財政を攻撃した新党「五つ星運動」の躍進を、反ユーロ、反改革の勝利と結論づけるのは誤りだ。イタリアでは、依然としてユーロ支持が高く、改革の必要性を認めている国民も少なくない。
 五つ星運動が予想以上の支持を得た原動力は、むしろ既成政党に対する有権者の不信と捉えた方がよい。国民に緊縮財政や構造改革を強いる一方で、不正やスキャンダルが絶えず、政治家自らが率先して痛みを受け入れようとしない現状への怒りをうまく吸収したのが五つ星運動といえる。インターネットを駆使して、「カネのかからない政治」の実現を訴え、特に若い世代から賛同を得た。
 政治への信頼なしに、国民に負担増や痛みが降りかかる改革は成功しないということを物語っている。
 選挙結果を受けて、新しい政権の枠組みがどうなるのか、予測するのは難しい。数カ月内に、再選挙となる可能性も低くないようである。それを視野に、各党が改革を更に緩めかねない人気取り策で競争するようでは、イタリア発ユーロ危機となって再び世界経済を混乱させよう。
 財政再建や労働市場改革などは、イタリアの将来のために先送りできない課題だ。これまでの路線から逆戻りすることなく、同時に政治の安定化、コスト削減につながる選挙改革、政治改革を実行していくしかない。
 イタリアでの選挙結果を受けて、スペインなど南欧諸国の国債利回りも久々に反騰したが、独仏をはじめとするユーロ加盟国は、慢心に対する警鐘と受け止めるべきだ。財政問題を抱えた国に緊縮を求めるだけでなく、ユーロ圏の財政統合など、単一通貨の信頼を高める歩みを加速させる必要がある。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年2月27日(水)付
イタリア選挙―借金と民主主義の相克

 イタリア政治が袋小路に入り込んでしまったかのようだ。下手をすれば、欧州発の金融危機が再燃しかねない。
 5年ぶりの総選挙で、民主党中心の政党連合が下院で勝利した。モンティ首相が進める財政緊縮と改革を引き継ぐという。
 しかし改革に反対する反緊縮派の諸政党が、上院で大きく議席を伸ばした。それにより、上院ではどの勢力も過半数を得ることができなかった。
 この国の問題は借金まみれの財政だ。市場は政治が再び混迷するとの見方から、動揺している。ここで財政再建が滞れば、不安は世界に広がりかねない。各政党は、最大限の努力で打開しなくてはならない。
 一昨年、ベルルスコーニ前首相と交代したモンティ氏は、政治家を含まない実務型内閣で立て直しを進め、国際金融市場から評価を受けた。だが国民に改革の意義を十分に示すことができず、批判にさらされた。
 今回、下院で勝利した民主党のベルサーニ書記長は新政権への意欲を見せている。しかし、この国では首相選びに上下両院の承認が必要だ。
 その上院では、反緊縮を訴えたベルルスコーニ氏の「自由の国民」と第1党を争っている。
 新首相を選ぶ見通しは立っていない。政党は根気よく話しあい、政権作りへの必要な妥協をまとめなければならない。
 第三の勢力として出現したのは、元コメディアンのグリッロ氏が率いる市民政党「五つ星運動」だ。国内を広く遊説して、左右の既成政党の特権と堕落ぶりを痛烈に批判した。
 ベルルスコーニ氏が減税による金のばらまきで国民の歓心を買おうとするのとは違い、五つ星運動は、インターネットを利用した政治参加やユーロの是非をめぐる国民投票を訴え、市民の共感を集めた。
 既成政党への市民の不信と怒りが、この新しい政党を後押ししたのだろう。しかし、新党が勢力を伸ばせば、政治が安定を取り戻すわけではない。
 市場の要求と選挙で示される民意が食い違いを見せることは少なくない。ギリシャやフランス、スペインでも緊縮を求める政党が批判にさらされた。
 国民に負担増を求めなければならない時代には、民主主義のあり方も常に刷新されなければならない。
 そのために政治家に求められるのは、政界の腐敗を正すことはむろん、失業や年金削減への国民の怒りの声から逃げず、財政の緊縮がなぜ必要なのかを誠実に説明することだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013022702000162.htmlより、
東京新聞【社説】イタリア総選挙 同じ失敗繰り返すのか
2013年2月27日

 イタリア総選挙は、モンティ政権の財政緊縮策に厳しい審判を下す結果となった。欧州信用不安再燃を回避するためにも、政治空白を長引かせるようなことがあってはならない。
 ギリシャに次いで財政危機に晒(さら)され国債金利が急騰、スペインと並び債務不履行の瀬戸際に追い込まれたのは僅(わず)か一年半ほど前だ。
 その危機を乗り切ったのは、政治家の経験がない国際金融のプロ、モンティ氏をあえて首相に迎え、党派性を超えた緊縮政策を敢行する政治意思を示したからだ。
 モンティ政権は、退職年齢や年金支給年齢の引き上げ、不動産増税などの財政再建政策を実行。欧州連合(EU)によるユーロ救済にも沿い、金融市場の信認回復に通じるものだったが、そのモンティ氏の中道連合は惨敗した。
 条件付きながら緊縮財政継続を掲げた民主党ベルサーニ書記長率いる中道左派連合は、僅差で下院の過半数を制する票を得たものの、上院では過半数獲得に至らず、安定政権への道は今後の連立交渉に委ねられることになった。
 買春事件や汚職疑惑など、醜聞まみれだったベルルスコーニ氏の中道右派連合は、財政緊縮策を批判し不動産税還付をうたうなど、大衆迎合的戦術で脱緊縮への庶民感情をとらえるのに成功した。
 明確な勝者がいたとすれば、コメディアンのグリッロ氏が率いる「五つ星運動」だろう。既成政治家への不満を吸い上げ、いきなり上下両院で第三勢力の地位を確保した。主要メディアに頼らずネット発信を基本とし、ユーロ圏離脱を問う国民投票、反腐敗、環境重視を掲げ若い世代、女性票を引きつけるパターンは、他の欧州諸国でも広がる傾向だ。
 欧州の金融危機は、新財政条約の合意、欧州安定メカニズム(ESM)発足などで一応の安定を回復しているが、加盟国で政治的混乱が深まれば、いつ国際的な信用不安の再燃につながってもおかしくない脆弱(ぜいじゃく)さを脱していない。
 ギリシャとユーロ圏第三位の経済大国イタリアでは、同じ政局の混乱でも持つ意味合いは全く違う。緊縮政策への批判を受け、EUは域内総生産(GDP)の1%相当を景気刺激にあてる政策でも合意しているはずだ。政党指導者には、欧州の観点に立った責任ある議論を望みたい。
 政治は政治家抜きで初めてまともに機能する-。不名誉な前例をイタリアがつくってはなるまい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52186680X20C13A2EA1000/より、
日経新聞 社説 イタリア再生に「ねじれ」の壁
2013/2/27付

 イタリア総選挙の結果、安定的な政権の誕生が絶望的となった。議会下院では、これまで通り緊縮財政と構造改革の継続を掲げる中道左派が過半数を確保したが、上院では改革路線に反対するベルルスコーニ前首相の中道右派が第1勢力となる見通しだ。
 日本にとっては、残念な結果といわざるを得ない。金融市場ではイタリアの改革が足踏みし、欧州の債務危機が再燃する懸念が高まっている。ユーロが売られたため大幅に円高が進み、株価も日米欧で大きな下げ幅を記録した。
 上下両院で結果が分かれて「ねじれ現象」が生じたのは、イタリアの特異な選挙制度が原因だ。下院は全国で、上院では州ごとに、得票率が第1位の政党にボーナス議席を与える仕組みがある。
 これはベルルスコーニ前首相が率いる前政権が、自陣を有利にするために導入した制度である。だが、結果的に極めて不安定な政治状況が生まれてしまった。これから首相の指名権を持つナポリターノ大統領が音頭をとり、連立協議を進めることになる。
 下院で過半数を占めた改革路線の中道左派が政権を樹立するためには、ベルルスコーニ前首相の中道右派との大連立が前提となる。緊縮財政をめぐり真っ向から対立する両陣営が協調できるかどうか、予断を許さない。連立交渉が不調に終われば再選挙となり、市場の不安は一段と高まるだろう。
 ユーロ危機の混乱の中で2011年11月に発足したモンティ政権は、痛みを伴う改革を進め、その結果、金融市場はかろうじて安定を取り戻した。その努力をここで無駄にしてはならない。連立協議で各党の指導者が、現実的で冷静な判断を下すことを期待したい。
 選挙の結果から、イタリア国民の「改革疲れ」が大きいことは明らかだ。経済再生と市場の信頼回復を果たすために、労働市場や年金制度などの改革は避けて通れないが、こうした構造改革と景気の刺激策を組み合わせる方策を工夫する必要がある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130227org00m010005000c.htmlより、
サンデー時評:高野悦子さんと「満州」のこと
2013年02月27日

 ◇岩見隆夫(いわみ・たかお=毎日新聞客員編集委員)
 最近は、

「よく亡くなりますなあ」

 というのがあいさつ代わりのようになってしまった。当コラムでもつい先日、そのことを書いたばかりだが、引き続き各界の知名士の方々があちらに旅立たれている。

 不順な天候などと因果関係があるのかどうか、なにしろ百年に一度の大規模な隕石落下が起きるご時世だから、何ごとにも驚かなくなっている。あの時、テレビスタジオにハガキ大の黒光りする隕石の現物を持参された国立天文台の渡部潤一副台長から、あとで、

「百万円で購入した」

 と聞かされ、びっくりした。隕石マーケットができているらしく、天から降ってきたものまで取引されている。

 テレビと言えば、とだんだん話がそれそうだが、昨年末から政治評論家の三宅久之さんと映画監督の大島渚さんが相つぎ亡くなられ、私はこのお二人とテレビ朝日系の情報番組〈やじうまワイド〉でコメンテーター仲間だったことがある。二十年くらい前になるだろう。特に大島さんとは四年ほどコンビを組んでいた。

 大島さん死去のあと、当時の番組スタッフ数人から電話がかかり、

「お久しぶりですが、大丈夫ですか」

 と同じことを聞く。八十二歳の三宅さん、八十歳の大島さんの次は順番からいったらあなただが、体調はいかが、と心配してくれているらしいのだ。

 人のことを悲しんでいるうちに、こちらの番が近づいている。しかし、八十歳で政党の党首に納まる人がいるし、先週、たまたまテレビ会社の企画で対談した中曽根康弘元首相は、ジョークを交えながらぶちまくられた。この五月で九十五歳である。恐れ入るほかない。

 寿命ばかりは人さまざまだから、別れが早いか遅いかはあまりこだわらない方がいいのだろう。とはいえ、縁のある人の他界はこたえる。岩波ホール総支配人の高野悦子さん(二月九日、大腸がんのため八十三歳で死去)がそうだった。

 高野さんが映画文化の向上に質の高い貢献をされたことは広く知られており、私などが云々することではないが、各紙の死亡記事を読むと、どれも出生については、

〈旧満州生まれ〉

 としか記されていない。その満州で私とは接点があった。最初にお会いした時に、当然のように大連生まれの私と満州が話題になった。次のようなやりとりだったと記憶している。

「満州はどちらです?」

 と私。

「大石橋(満鉄の機関区のあるところ)で生まれ、一カ月後に大連に引っ越しましたね」

「大連は?」

「鳴鶴台」

「えーっ、ぼくと同じだ。じゃあ、学校は嶺前小学校?」

「そう」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130227org00m010005000c2.htmlより、
 奇遇である。地図を書いて確かめ合うと、二人の自宅は数軒しか離れていない。だが、私が六歳年下だから、一緒に在学したことが多分なく、親同士はともかく、当時は面識がなかった。

 ◇二人で訪ねた母校と家 さようなら同郷の先輩
 高野さんの父上、高野與作さんは東大工学部土木工学科を卒業、国鉄に就職したが、すぐに満鉄に移ったという。やはり大連生まれで現・満鉄会常任理事の天野博之さんが昨年夏刊行した力作『満鉄特急「あじあ」の誕生』(原書房刊)によると、

〈特急列車「あじあ」運転の時に、高野は保線係主任として路線改良や線路曲線の緩和にあたった〉

 という。與作さんは広々とした満州の広野にあこがれ、戦後、新幹線のモデルになった〈あじあ〉号を走らせる線路の保線に若き日を捧げたのだった。高野さんは三女である。

 話が飛ぶが、成田−大連にANA(全日空)直行便が就航することになり、高野さんの仲介で私も一号機に便乗することになった。時期の記憶があやしく、ANA広報部に問い合わせると、一九八七年四月十六日の初飛行というから、二十六年も前、大連空港まで三時間ほどだった。

 団長格で当時、ANA相談役の岡崎嘉平太さん(二代目社長)が乗っておられた。国交正常化前の日中経済交流に尽力され、周恩来首相らとも親交が深かった方である。

 大連では、高野さんとまずかつての〈わが家〉を訪ねた。両方とも老朽がひどく、一部屋に一家族が詰め込みの生活をしている。敗戦から四十年以上も過ぎているのだから、スラム化は仕方ないとしても、わびしい思いをした。

 母校の嶺前小ではなつかしの校舎、教室などをパチパチカメラに収めた。ところが帰ろうとすると、兵隊が追いかけてきて、二人ともフィルム没収である。かつての母校は、軍の施設に使われていたらしかった。

 しかし、高野さんは精力的に動き、大連市長と面談して、大連での日本映画祭開催を約束したりしていた。後日実現し、満州在住経験のある俳優の森繁久彌さん、監督の山田洋次さんらが参加したと記憶している。

 大連訪問からさらに二十年を経た二〇〇六年十一月、東京・九段会館で〈満州引揚60周年記念の集い〉が催され、シンポジウムのパネラーに高野さん、山田さん、作家のなかにし礼さん、末席に私も加わったことがあった。コーディネーターは前日銀副総裁で作家の藤原作弥さんという顔ぶれである。

 この席で、高野さんは、

「父が、満鉄は四十年の歴史があるけれども、前半は先輩たちがつくり、育ててきた。我々はそれを引き継ぎ、葬式を出すことになった、と話すのを聞くたびに、やはり満州のことを思い出し、胸がキューンと痛むのです。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130227org00m010005000c3.htmlより、
 フランス留学中には、私はよく中国人に間違えられました。私が大柄だからかと思っていましたが、中国の悪口が出ると私がすぐ抗議するからだというのです。満州っ子には大和撫子と少し違ったところがあるのでしょうか」

 などと満州への思い入れを語っていた。話が尽きない。

<今週のひと言>
 二月、いい話なかった。
(サンデー毎日2013年3月10日号)