邦人救出 安倍首相、自衛隊法改正で調整を指示
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013020402000123.htmlより、
東京新聞【社説】邦人輸送見直し 武器緩和は方向が違う
2013年2月4日
政府・与党はアルジェリア人質事件をきっかけに海外からの邦人輸送を定めた自衛隊法改正の検討をしている。邦人救出や武器使用基準の緩和に踏み込むとすれば、議論の方向がずれていないか。
政府は被害者帰国のため航空自衛隊の政府専用機をアルジェリアへ派遣した。自衛隊法で規定された邦人輸送は自衛隊機のほか、自衛隊の艦艇やヘリコプターも使用できるが、いずれも「輸送」であり、「救出」ではない。
政府は関係省庁の局長級による検証委員会を立ち上げ、自民党は自衛隊法の見直しに入った。
たたき台となるのは、自民党が野党だった二〇一〇年、現防衛相の小野寺五典氏らが国会提出した同法改正案だ。
この案では陸上輸送を加え、現行法では正当防衛・緊急避難に限定される武器使用基準を「合理的に必要とされる限度」に緩めて「救出」の色彩を強めている。
当該国にとって、国の玄関である空港や港へ自衛隊を受け入れるのと、内側の領土で自衛隊が活動するのとでは重みがまるで違う。武装した自衛隊が動き回る事態を軍や警察を持つ主権国家が歓迎するはずがない。現にアルジェリア政府は米英の軍事支援の申し出を拒否した。
改正案でさらに問題なのは、任務遂行のための武器使用を認めていることだ。輸送途中で妨害を受けた場合、相手が丸腰でも発砲できるようになる。
自民党は国連平和維持活動(PKO)に派遣された自衛隊が他国部隊を救出する「駆けつけ警護」を認めるべきだと主張しており、ひとたび武器使用基準が緩和されればPKO論議に波及する。海外での武力行使を禁じた憲法九条の解釈変更につながりかねない。
現行法でも自衛隊の保護下に入った邦人や外国人を守るための発砲は認めており、空港や港での活動としては十分といえる。
これまでも政府は紛争地からの帰国や政情不安な国への渡航自粛を呼びかけてきた。今後、求められるのは情報収集力を強化して、危機管理体制を整えることにある。危険が察知できれば、邦人の早期帰国につながる。
米国やロシア、フィリピンなどは事あらば民間航空機をチャーターして、いち早く自国民を帰国させる。学ぶべき手法だろう。情報も土地勘もない外国に武装した自衛隊を送り込む「救出」論議が最優先であるはずがない。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130130/k10015181131000.htmlより、
首相 自衛隊法改正案提出で調整を指示
1月30日 23時39分
安倍総理大臣は、30日夜、総理大臣官邸で自民党の石破幹事長と会談し、アルジェリアで起きた人質事件を受けて、海外で緊急事態が起きた際に、自衛隊が日本人を救出できるようにする自衛隊法の改正案を、今の国会に提出できないか、公明党と調整するよう指示しました。
アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件を受けて、政府・与党は、海外で日本人の安全を確保する対策の強化を検討しており、自衛隊の活動の在り方をどう見直すかが、焦点の1つになっています。
これについて、安倍総理大臣は、石破幹事長との会談で、海外で緊急事態が起きた際に、自衛隊が日本人を救出できるように自衛隊法を改正する必要があるとして、改正案を、今の国会に提出できないか、公明党と調整するよう指示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130130/k10015161201000.htmlより、
自公 首相訪米前に補正予算案成立を
1月30日 12時59分
自民・公明両党の幹事長らが会談し、政府が31日に国会に提出する今年度の補正予算案について、2月下旬に予定されている安倍総理大臣のアメリカ訪問の前までに成立させる方針を確認しました。
自民・公明両党の幹事長と国会対策委員長が、30日午前、東京都内のホテルで会談し、今後の国会対応などを協議しました。
この中で自民党の石破幹事長は「まずは今年度の補正予算案と新年度予算案の早期成立を図る必要があり、特に補正予算案はできるだけ早い時期に成立させたい」と述べました。
そして政府が、安倍総理大臣とアメリカのオバマ大統領との日米首脳会談を、2月21日か22日にワシントンで行う方向で調整していることを踏まえ、安倍総理大臣がアメリカを訪問する前までに補正予算案を成立させる方針を確認しました。
一方、会談のあと、石破氏は記者団に対し、海外で緊急事態が起きた際、自衛隊が日本人の救出や輸送を行えるようにするための自衛隊法の改正について、「この法案だけのために国会が動いているわけではなく、提出の時期はいろいろなケースがある。まずは法案に対するさまざまな懸念を解消することが必要だ」と述べ、みずからが主張していた今の国会への改正案の提出にはこだわらない考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130130/k10015154871000.htmlより、
鴨下氏 自衛隊法改正は時間かけ議論を
1月30日 5時15分
自民党の鴨下国会対策委員長は記者会見で、アルジェリアの人質事件を受けて、政府・与党内で、海外で緊急事態が起きた際、自衛隊が日本人を救出できるよう自衛隊法を改正すべきだという意見が出ていることについて、今の国会での改正に慎重な考えを示しました。
アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件を受けて、政府・与党内からは、海外で緊急事態が起きた際に自衛隊が日本人を救出できるよう、自衛隊法を改正すべきだという意見が出ています。
これについて、自民党の鴨下国会対策委員長は記者会見で、「日本人の保護や輸送の在り方については冷静に議論していくべきだ。私が見通している国会日程の中には収まらない」と述べ、時間をかけて議論すべきだとして、今の国会で自衛隊法を改正することに慎重な考えを示しました。
また、鴨下氏は、政府が29日、衆参両院に事後承認を求めた原子力規制委員会の人事について、党内の一部に異論があるため、今後、党執行部で調整したうえで、賛否を決めることになるという見通しを示しました。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013012900599より、
自衛隊法改正を議論へ=人質事件検証委が初会合
政府は29日午後、首相官邸でアルジェリア人質事件の対応に関する検証委員会の初会合を開いた。安倍晋三首相はあいさつで「テロなどの緊急事態に備え平素から取るべき対策や、危機が発生した場合に在留邦人を保護するための対策を検討してほしい」と指示。菅義偉官房長官はこの後の記者会見で、海外の日本人保護・救出要件を緩和する自衛隊法改正について「当然検討の対象になる」と言明した。
検証委は菅長官をトップに、外務、警察、防衛、経済産業、法務の各省庁局長らで構成。2月末をめどに報告書をまとめる。自衛隊法改正のほか、在外公館に常駐する自衛官・警察官の拡充なども協議するが、事実関係は公表しない。
首相は初会合で事件の犠牲者に弔意を示し、「犠牲を無駄にしないため、海外で企業が安心して活動できるように今回の教訓を生かさなければならない」と述べた。
また菅長官は会見で、日本版NSC(国家安全保障会議)創設についても「あった方がよいと痛切に感じている。(創設に向けた)議論に今回の検証が反映されるだろう」と述べ、検証委で検討する必要があるとの認識を示した。(2013/01/29-19:15)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130127/k10015091411000.htmlより、
石破幹事長“TPPより農政改革優先を”
1月27日 13時39分
自民党の石破幹事長は山口県下関市で講演し、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、例外なき関税撤廃を前提とするかぎり、交渉参加には反対するとした党見解を改めて強調したうえで、農家の所得向上などを目指す農政改革に優先して取り組むべきだという考えを示しました。
この中で、自民党の石破幹事長はTPP=環太平洋パートナーシップ協定について、「『例外なき関税撤廃を前提とするかぎり、交渉参加には反対だ』という自民党の姿勢は全く変わらない」と述べました。そのうえで、石破氏は「TPPの話ばかりが農政だと言われるが、大事なことは、農家の所得が確保され、質の高い作物が作られ、後継者が確保され、その結果として食料自給率が向上することだ」と述べ、農政改革に優先して取り組むべきだという考えを示しました。
また、石破氏は、アルジェリアで起きた人質事件に関連して、「今の自衛隊法では、外国で紛争が起こっても、輸送の安全が確保された場合しか、自衛隊の航空機や艦船は助けに行けない。この矛盾に答えを出して、法律を見直していかなければならない」と述べ、自衛隊法の改正が必要だという考えを重ねて示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130127/k10015090291000.htmlより、
石破幹事長“自衛隊法改正案の提出を”
1月27日 11時57分
NHKの「日曜討論」で、アルジェリアの人質事件に関連して、自民党の石破幹事長が、海外で緊急事態が起きた際、自衛隊が日本人を救出できるようにする自衛隊法の改正案を通常国会に提出したいという考えを示したのに対し、民主党の細野幹事長は、政府の対応が万全だったのか、やや疑問だとして、国会論戦で検証する考えを示しました。
この中で、自民党の石破幹事長は「今回の事件では情報の錯そうがずいぶんと指摘された。政府内に情報共有のための部門として、日本版NSC=国家安全保障会議を作らなければならない。また、今の自衛隊法では日本人の救出ができない。国民の生命・財産を守るために、相手国の主権に十分、配慮したうえで、憲法の許す範囲でどこまでできるか、結論を出さなければならない」と述べ、28日に召集される通常国会に自衛隊法の改正案を提出したいという考えを示しました。
民主党の細野幹事長は「事件が発生した段階で、安倍総理大臣は外国訪問からもっと早く帰国すべきだったし、そのことも含めて政府の対応が万全だったのか、やや疑問だ。人質の安否が分からない段階では、政府をしっかり支えるという立場を維持してきたが、今後は、国会で政府の対応が適切だったのかを検証し、国民の命を守るために何が必要かを幅広く議論したい」と述べました。
日本維新の会の松野国会議員団幹事長は「今回は非常に情報が錯そうし、日本政府として情報がとれていたか、大きな問題だ。もう少し予算をつけて情報をきちんととれるようにすべきだし、日本に情報機関を作ることもタブー視せずに、しっかりとした態勢をまず作るべきだ」と述べました。
公明党の井上幹事長は「テロの未然防止という点での情報収集や分析、企業との連携を検証する必要がある。また、事件が起きたときの日本人の保護の在り方については、自衛隊法の改正も含めて、慎重な対応が必要だ。さらに、アフリカ外交をどう推進するのか、幅広く議論すべきだ」と述べました。
みんなの党の江田幹事長は「いきなり自衛隊法改正と言うが、今回の事態で自衛隊の陸上輸送などは関係なかった。一番重要なことは情報収集活動が完全だったかどうかだ。テロの背景である貧困問題にも対応することで、日本のイメージを改善すべきだ」と述べました。
生活の党の鈴木幹事長は「アフリカ地域の日本大使館に駐在武官が2名しかいないのは、大きな欠陥だ。日本人の安全を確保するための情報収集を、現地の商社やコンサルタント日本人会などに丸投げする状況がかいま見えるので、しっかりと検証すべきだ」と述べました。
共産党の市田書記局長は「テロリストを国際的な警察や司法の力によってきちんと捕まえて、司法の裁きで処罰することが何よりも大事だ。今回の事件を奇貨として、『何かあれば自衛隊を出す』というやり方は行うべきではない」と述べました。
社民党の又市幹事長は「事件の起きた地域の政情が不安定であることは分かっていたはずで、企業側が危険を冒してまで労働者を働かせることはあってはならない。事件をきっかけに、海外で紛争が起きた場合に自衛隊を派遣するのは行き過ぎだ」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130127/k10015086101000.htmlより、
自衛隊法改正は慎重に調整
1月27日 6時50分
アルジェリアで起きた人質事件を受けて、政府・与党内からは、海外で緊急事態が起きた際、自衛隊が陸上で日本人の救出や輸送を行えるようにするため、自衛隊法を改正すべきだという意見が出ていますが、一方で懸念もあり、慎重に調整が行われる見通しです。
アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件では、26日までに無事だった日本人7人と、亡くなった日本人10人全員の遺体が帰国しました。
今回の事件を受けて、政府・与党は、海外で日本人の安全を確保するための対策の強化を検討することにしており、この中では海外での自衛隊の活動のあり方をどう見直すかが焦点の1つになっています。
今の自衛隊法は海外で災害や騒乱などの緊急事態が起きた際、安全が確保されている場合に限り、自衛隊は航空機や船舶を派遣できると定めていて、陸上での活動は認めていません。
これについて、政府・与党内からは、今回の人質事件が空港や港から遠く離れた場所で起きたことなども踏まえ、自衛隊が陸上で日本人の救出や輸送を行えるようにするため、自衛隊法を改正すべきだという意見が出ています。
一方で、公明党からは「治安情勢が悪い地域での自衛隊の活動は憲法で禁じられた武力行使につながりかねない」として、自衛隊法の改正に懸念も出ていて、慎重に調整が行われる見通しです。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013012401048より、
邦人安全確保でPT=自公
自民、公明両党は24日の与党政策責任者会議で、在外邦人の安全確保に関するプロジェクトチームを設置することを決めた。来週にも初会合を開く。アルジェリア人質事件を踏まえ、自衛隊による邦人の救出・輸送の要件を緩和するための自衛隊法改正や在外公館の体制強化策を協議する。(2013/01/24-22:43)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013012200964より、
邦人救出、法改正にハードル=公明に慎重論も-アルジェリア人質事件
自民、公明両党は、アルジェリアでの人質事件を踏まえ、日本人が海外で動乱などに巻き込まれた場合の自衛隊による救出活動を拡大する検討に入る。自民党は武器使用の権限拡大を含む自衛隊法改正の実現を目指す。公明党の井上義久幹事長も法改正の検討には柔軟な姿勢を示したものの、党内には慎重論があり、実現は容易でない。
自衛隊法は、海外で緊急事態が発生した際、現地の安全が確保されている場合に限り、航空機か船舶による邦人輸送を認めている。しかし、空港や港湾までの陸上輸送は対象外。今回のように、事件現場から空港や港湾まで距離があるケースでは自衛隊は十分に活動ができない。
自民党は野党時代の2010年、(1)「安全確保」の要件を外す(2)陸上輸送を認める(3)武器使用権限を緩和する-ことを盛り込んだ自衛隊法改正案を提出しており、同党はこれを基本に改正論議を進める方針だ。
公明党はかねて武器使用権限の拡大には慎重な立場だが、多くの犠牲者が出た今回の事態を受け、井上幹事長は22日、法改正を検討する意向を示した。ただ、党内に法改正を容認する空気が広がっているわけではない。
22日の公明党幹部会では、自民党が想定する法改正について、海外での武力行使を禁じる憲法9条との整合性を懸念する意見が出た。
公明党内では「派遣先の国が混乱状態にある場合、入国の同意をどう取り付けるのか」「派遣先で他国の軍隊と協力すれば、憲法解釈で行使を禁じる集団的自衛権の問題に突き当たる」との指摘が出ており、各論に入れば難航が予想される。菅義偉官房長官も「しばらく時間がかかる」としており、28日召集の通常国会で与党協議がどこまで進むかは不透明だ。
「井上幹事長は『法改正を検討する』でなく『法改正を含め検討する』と言っただけだ。この問題は簡単ではない」。改正論議に盛り上がる自民党を横目に、安全保障政策に詳しい公明党議員は淡々と語った。(2013/01/22-21:16)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013012000221より、
邦人救出へ自衛隊派遣=法改正検討の意向-自民幹事長
自民党の石破茂幹事長は20日の記者会見で、アルジェリアでの人質事件を踏まえ、海外での動乱などに在外邦人が巻き込まれた場合、自衛隊による救出を可能にするための自衛隊法改正を検討する考えを示した。同党が野党時代の2010年にまとめた改正案を土台に、内容を詰める。自衛隊派遣は対象国の同意が必要となる上、武器使用基準をどうするかなど課題が多く、実現へのハードルは高いとみられる。
現行の自衛隊法は、現地の安全を確認した上で邦人を航空機か船舶で輸送することは可能としているが、乗せる場所までの陸上輸送や邦人警護のための自衛隊の武器使用など、救出に関する規定はない。
石破氏は「国民の生命と財産はいかなる地域でも守っていかないといけない。日本として何をしてもいいということではないが、検討がなお不十分な点がある」と、法整備の必要性を指摘。「(自民党として)単なる輸送でなく救出まで行い、武器使用を抑制的に行うことに配慮した法案はできている」と述べ、政府・与党内で調整を進める方針を示した。
石破氏は会見後、安倍晋三首相と首相公邸で会談した。「自衛隊法改正の話は出たか」との記者団の質問に、石破氏は「現状についての意見交換をした」と語った。
邦人救出のための自衛隊派遣をめぐっては、10年に菅直人首相(当時)が朝鮮半島有事を想定した協議を韓国側と開始したいとの意向を表明、波紋を広げたことがある。(2013/01/20-20:19)