集団的自衛権行使 安倍首相、再検討を指示

http://mainichi.jp/opinion/news/20130209ddm003010025000c.htmlより、
クローズアップ2013:安保法制懇 集団的自衛権、地ならし 公明慎重、出口見えず
毎日新聞 2013年02月09日 東京朝刊

 集団的自衛権の行使容認などを検討する安倍晋三首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が8日、第2次安倍内閣としては初めての会合を首相官邸で開いた。第1次内閣の07年に設置したが自らの退陣で棚上げ状態だっただけに、首相は集団的自衛権の行使容認など具体的な成果に結びつけたい意向だ。ただ、連立政権を組む公明党には慎重論が根強く、早期に結論を出す見通しは立っていない。【朝日弘行、青木純】

 首相は会合の冒頭、「日米安保体制の最も効果的な運用を含め、わが国が何をなすべきか再び議論してほしい」と述べ、集団的自衛権の行使を容認し、日米同盟の強化につなげたい思惑をにじませた。1時間近い会合に最後まで同席した。
 集団的自衛権の行使は、外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)創設と並んで首相がこだわるテーマ。この時期に安保法制懇を再スタートさせたのは、7月の参院選後をにらみ、「安倍カラー」を打ち出す地ならしをする狙いがある。今月下旬に予定されるオバマ米大統領との首脳会談でも、集団的自衛権行使に向けた議論を加速する方針を伝える考えだ。
 安保法制懇のメンバーは第1次内閣からそのまま引き継ぎ、首相の気心の知れた顔ぶれがそろった。前回は、集団的自衛権の見直しを憲法解釈の変更で行うよう提言する報告書をまとめたが、首相の退陣で議論は頓挫。懇談会の柳井俊二座長は会合終了後、記者団に「集団的自衛権行使を容認する基本的な理念を再確認した」と述べ、今回も同様の提言をまとめるとみられる。
 だが、公明党は日本の領域外での武力行使につながる集団的自衛権の行使容認に一貫して慎重姿勢を示している。山口那津男代表は7日、日本外国特派員協会での記者会見で、集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈への支持を表明。「(見直しの)道筋は示されていないし、合意もできていない」とけん制した。
 一方、集団的自衛権に関する米国の姿勢も変化の兆しがある。第1次安倍内閣当時には、この問題は、アジア地域の安全保障を巡って同盟関係をさらに強固にする狙いがあった。しかし、中国が軍事的に台頭する中、米国としても、中国への過度な刺激は避けたいのが本音。日本政府関係者は「米国にとって、日中衝突の泥沼に引き込まれるのは悪夢だろう」と語る。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130209ddm003010025000c2.htmlより、
 政府内には「議論するだけなら公明党との調整は必要ない」(首相周辺)との見方もあるが、参院選で与党が過半数を制するには公明党の協力が不可欠。安保法制懇が参院選前に議論を深めるのは難しい状況だ。会合では議論のスケジュールは示されず、菅義偉官房長官は8日の記者会見で、「議論は長引くと思う」と語った。

 ◇「安保環境は変化」 4類型に追加も
 政権に復帰した自民党は昨年末の衆院選公約で、集団的自衛権の行使を可能とし、国家安全保障基本法を制定すると主張した。菅義偉官房長官は8日の記者会見で「我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、ふさわしい対応を検討してもらいたい」と指摘。東シナ海における中国軍の活動活発化や、北朝鮮による長距離弾道ミサイルの発射成功などを踏まえ、前回の報告書を発展させる必要性を強調した。
 懇談会が08年6月にまとめた前回の報告書は、自衛隊の活動を拡大するために憲法解釈の変更が必要になるケースとして、(1)公海上で米軍艦船が攻撃された際に、自衛隊艦船が反撃(2)米国を狙った弾道ミサイルを、自衛隊のミサイル防衛システムで迎撃(3)国連平和維持活動(PKO)参加中、攻撃を受けた他国軍隊を救援するための武器使用(4)戦闘地域における他国軍への後方支援−−の4類型を挙げた。
 米国との集団的自衛権の行使容認にかかわるのは、(1)と(2)で、首相は就任前から「日米の船が航行中、攻撃された米国の船を助けなかったら、日米同盟は終わる」と繰り返し強調してきた。
 懇談会の議論では情勢の変化を踏まえ、4類型で現状に対応できるかどうかを再検討する「プラスアルファ」(政府高官)が主眼になりそうだ。例えば(1)では、米軍と自衛隊の艦船が至近距離で活動するケースは実際は少ない。政府関係者は「日米の船の距離が50キロ、100キロ離れていた場合にどうするのかは議論が必要」と指摘する。
 国際協力活動の強化の観点から、防衛省幹部は「PKOで他国の軍隊と同じことができれば」と、(3)への期待を語る。首相は憲法改正にも強い意欲を示し、憲法解釈の変更をテコにいずれ改憲を進める意図がある、との見方も強い。
 ただ、懇談会の結論が出た後には、実際に憲法解釈を変更する政府全体の大きな議論が控えている。首相周辺は「懇談会でOKだから解釈変更が認められる、という簡単な話ではない」と語る。憲法解釈の変更には内閣法制局との協議が必要で、難航する可能性を指摘した。

 ◇「安保法制懇」メンバー
岩間陽子(政策研究大学院大教授)
岡崎久彦(岡崎研究所所長)
葛西敬之(JR東海会長)
http://mainichi.jp/opinion/news/20130209ddm003010025000c3.htmlより、
北岡伸一(国際大学長)
坂元一哉(大阪大大学院教授)
佐瀬昌盛(防衛大名誉教授)
佐藤謙 (元防衛事務次官)
田中明彦(国際協力機構理事長)
中西寛 (京都大大学院教授)
西修  (駒沢大名誉教授)
西元徹也(元統合幕僚会議議長)
村瀬信也(上智大教授)
柳井俊二(元外務事務次官)
=敬称略

 ■ことば
 ◇集団的自衛権
 自国が攻撃を受けていなくても、自国と密接な協力関係にある他国が攻撃を受けた際、それを実力で阻止できる権利。国連憲章が認めており、日本と同盟関係にある米国は、日本が攻撃された場合に集団的自衛権を行使して共同防衛にあたる。日本政府は憲法9条の解釈で認められる武力行使を「自衛のための必要最小限度」とし、米国が攻撃されても集団的自衛権を行使することは「許されない」としている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013020800780より、
有識者懇、集団的自衛権の議論再開=安倍首相、日米同盟強化狙う

 政府は8日夕、首相官邸で、集団的自衛権の行使容認に向けた検討を行う有識者懇談会を開いた。席上、安倍晋三首相は「日米安全保障体制の最も効果的な運用も含め、わが国が何をなすべきかを改めて議論すべく懇談会を立ち上げた」と表明。日米同盟強化に向け、「行使は認められない」とする政府の憲法解釈の見直しなどについて議論を求めた。
 懇談会は、首相が第1次安倍内閣で設置したもので、第2次内閣発足後は初の開催。座長の柳井俊二元駐米大使は、福田内閣当時の2008年6月にまとめた報告書について説明した。報告書は、(1)公海上での米艦防護(2)米国を標的とした弾道ミサイルの迎撃-で集団的自衛権の行使を認めることなどを提言している。
 首相は懇談会で、「北朝鮮やイランの核開発の動き、地球的規模のパワーシフトが顕著となり、東シナ海や南シナ海の情勢も変化している。日米同盟の責任はますます重たくなっている」と指摘し、同盟強化には追加的な検討が必要との考えを強調。柳井氏は終了後、「テロやサイバー攻撃など新たな脅威への対応も考えなければならない」と記者団に語った。
 ただ、集団的自衛権行使への公明党の反対などを考慮し、首相は結論を夏の参院選後に先送りする考えとみられる。菅義偉官房長官は8日の記者会見で「議論は長引くだろう」との見方を示し、柳井氏は提言取りまとめの時期について「各委員と相談して決めたい」と明言を避けた。
 懇談会の正式名称は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」。メンバーは第1次内閣当時と同じで、柳井氏や座長代理の北岡伸一国際大学長ら専門家を中心に13人で構成する。(2013/02/08-21:24)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130208/k10015403291000.htmlより、
首相 集団的自衛権で再検討を指示
2月8日 20時27分

安倍総理大臣は、歴代の政府が憲法解釈上、許されないとしている、集団的自衛権の行使を巡り、第1次安倍内閣で設けた有識者懇談会を5年ぶりに再開し、安全保障環境の変化を踏まえ、容認する具体的な類型などを改めて検討するよう指示しました。
この懇談会は、安倍総理大臣が第1次安倍内閣で設けたもので、退陣後の平成20年に、公海上で共同行動を取っているアメリカ軍の艦船が攻撃された場合やアメリカに向かう可能性のある弾道ミサイルを撃墜する場合について、憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにすべきだなどとする、報告書をまとめたあと、中断していました。
8日夜、5年ぶりに再開された懇談会には、座長を務める柳井俊二元アメリカ大使ら11人の有識者が出席し、安倍総理大臣に当時の報告書を手渡しました。
懇談会で安倍総理大臣は、「わが国を取り巻く安全保障環境は大きく変化しており、北朝鮮やイランによる核拡散の動きは止まらず、東シナ海や南シナ海の情勢も変化している」と指摘しました。
そのうえで、「日米同盟の責任は、ますます重たくなっており、平和の創造に対する日本の協力も問われている。日米安保体制の最も効果的な運用を含め、わが国が何をすべきか、再び議論してほしい」と述べ、安全保障環境の変化を踏まえ、容認する具体的な類型などを改めて検討するよう指示しました。

新たな脅威も検討
有識者懇談会の座長を務める柳井俊二元アメリカ大使は、記者団に対し、「これまで検討した類型は、いずれも国家による脅威にどう対処するのかということだったが、テロやサイバーテロなど新たな脅威があるほか、昔からある脅威も厳しさを増している。そうしたことも含めて検討していく」と述べました。
菅官房長官は、記者会見で、「平成19年の第1次安倍内閣の際に懇談会が設置されたが、当時とはかなり状況も変わっている。いわゆる『4類型』だけでいいのかどうかも含めて議論になり、たぶん議論は長引くだろうと思う」と述べました。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013020801001951.htmlより、
憲法解釈の変更提言へ 安保懇が議論再開
2013年2月8日 20時15分

 安倍晋三首相は8日、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の見直しに向け「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を再び立ち上げ、初会合を官邸で開いた。同じ顔触れの懇談会は2008年の最終報告書で、公海上で共同活動する自衛隊が米艦船を防護する場合などに集団的自衛権行使を容認する必要があると指摘し、憲法解釈の変更を提言した。安全保障環境の変化を踏まえるが、同じ方向性の結論が出る見通しだ。
 首相は会合で「日米同盟の責任は重くなっている。安保体制の最も効果的な運用を含めて何をなすべきか議論してほしい」と要請。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013020800556より、
集団的自衛権、解釈堅持を=公明代表

 公明党の山口那津男代表は8日、都内で講演し、集団的自衛権の行使について「政府は、憲法上必要最小限度の武力行使を超えるもので、認めないという考え方できた。これを支持したい」と述べ、従来の憲法解釈を堅持すべきだとの考えを改めて示した。
 集団的自衛権の行使容認に向けた政府の有識者懇談会再開に関しても「時代の状況の変化もある。いろんな側面から検討していく必要がある。時間をかけて議論していくことが重要だ」と、慎重な対応を求めた。(2013/02/08-14:46)

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