アラブの春2年 「自由がみちる国造りを」

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51601960R10C13A2PE8000/より、
日経新聞 社説 アラブの安定へ国造りを粘り強く支えよ
2013/2/11付

 あれを春と呼んでよかったのか。民主化要求デモが長期独裁政権を相次いで倒した「アラブの春」から2年、アラブ諸国は安定にはほど遠い困難に直面している。
 民主化の歩みを止めてはならない。国際社会が新たな国造りを粘り強く支えていくことが必要だ。地域の混乱に乗じたテロや武器の拡散を防ぎ、安定を取り戻さなければならない。
 エジプトでは国民間の亀裂が広がっている。ムバラク前大統領の退陣後、イスラム組織出身のモルシ大統領が選挙で選ばれ、新憲法も承認された。しかし、大統領の手法に反発する世俗勢力などと治安部隊の衝突が続き、多数の死傷者が出ている。
 問題は国民が民主化の成果を実感できていないことだ。失業率は依然高く、通貨価値は急落している。経済危機打開のかぎを握る国際通貨基金(IMF)の支援も合意が遅れている。政治的な安定を欠くために、経済回復も遠のく悪循環に陥っている。
 一連の民主化運動のきっかけとなったチュニジアでも野党指導者の暗殺事件を受けて全土で抗議デモが発生した。暫定政権を主導するイスラム勢力と野党支持者の間で緊張が高まっている。
 混乱から抜け出すには、民主的な統治の枠組みをできるだけ早く整えることだ。国際社会は法制度や統治機構の整備に協力を続ける必要がある。雇用の創出や産業の育成につながる経済支援も欠かせない。日本も支える輪に積極的に加わらねばならない。
 気がかりなのはシリアの内戦の行方だ。6万人もの死者を出しながらアサド政権は強硬姿勢を崩さず、国際社会は有効な手を打てずにいる。イスラエルがシリア領内を空爆したとの情報もある。
 内戦が周辺国を巻き込む事態は避けなければならない。国際社会は内戦終結に向けた仲介努力をあきらめてはならない。
 混乱の広がりも心配だ。リビアのカダフィ政権の崩壊に伴い、大量の武器がマリやニジェールなど北・西部アフリカに流出し、これを手にしたイスラム武装勢力の活動が活発化している。
 日本人を含む多数の外国人が犠牲となったアルジェリアの人質事件は、拡散するテロの脅威を見せつけた。国際テロ集団の活動を封じ、武器の流出を阻止するには、国際社会が中東・アフリカ諸国と広く連携する必要がある。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年1月15日(火)付
アラブの春2年―自由がみちる国造りを

 アラブの春が中東で始まって2年になる。混乱は続くが、民主化への人々の歩みを、国際社会は息長く支援すべきだ。
 春は2011年1月、チュニジアの民衆がデモで大統領を亡命に追いこんで始まった。エジプト、リビアでも強権体制が倒れ、自由を求める人々の熱気に世界が息をのんだ。
 だが現状は決して、明るくはない。シリアで血みどろの内戦が続く。強権の体制を倒した国々でも革命勢力と旧勢力の対立が残る。イスラム勢力と世俗・リベラル派の確執もある。
 治安が定まらず、経済の回復も進まない。
 しかし、長年、軍や警察が民衆の不満を封じこんでいた体制が崩れた後に、新しい政治のルールや秩序を求め、葛藤が起こるのは当然のことである。
 各国で初めての民主的な選挙が行われ、エジプトでは新憲法も生まれた。民主化は進んでいる。この動きを評価したい。
 現地を訪ねてみると、かつては人々の意見を聞くことさえ出来なかった国に、自由の空気が満ちている。
 かけがえのない変化である。
 意見の対立が出るのも、表現の自由の証しだ。利害や考え方を異にする人々が、互いに主張し、政治や経済や社会の要求を出しあうことで、市民社会は豊かになる。それが始まった。
 革命後に政権を主導する勢力は、混乱を収めるために、反対意見を力で封じ込めるような政策をとってはならない。新たな強権を始めてはいけない。
 国際社会も、中東にうわべの安定を求めるのではなく、民主化や経済開発を長期的な視野に立って支援すべきだ。
 残念なことに、シリアで自由を求める反体制派の攻勢に対して、政権が化学兵器を使う懸念さえ指摘される。これ以上の犠牲を、何としても食い止めねばならない。内戦終結と民主化に向けた国際社会の本格的な調停が必要だ。
 民衆のデモをいまも力で抑える国々は、強権や権威主義的な体制の時代は終わったことを悟るべきだ。民主的な改革を真剣に進めなくてはならない。民衆の不満が噴き出すことは、避けられない。
 アラブの春の発端は、絶望したチュニジアの失業青年の焼身自殺だった。
 アラブ世界は平均年齢20代という若い社会だ。だが若者たちは失業や住宅難、結婚難に苦しむ。アラブの世界には長老支配の傾向があり、若者の政治参加は十分でない。若者が参画できる新しい国造りが求められる。

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