財政再建 北欧の大変身に学ぶ 福本容子氏

http://mainichi.jp/opinion/news/20130214k0000m070122000c.htmlより、
社説:視点:財政再建 北欧の大変身に学ぶ=福本容子
毎日新聞 2013年02月14日 02時30分

 欧州に財政の優等生国がある。単年度の赤字はほぼゼロ、国の借金残高も12年末推計で国内総生産(GDP)比49%とユーロ圏平均の100%や日本の214%よりはるかに少ない。リーマン・ショックからも、いち早く脱出し、好調を続けている。北欧のスウェーデンだ。
 ただ、いつも優等生だったわけではない。90年代前半には厳しい経済危機を体験した。深刻な不況と金融不安、債務危機に見舞われ、失業率は一時2桁に達した。最近のスペインのような窮状にあったという。
 どうやって大変身を遂げたのか。いきさつが、先月東京で開かれた国際シンポジウム「財政をめぐる選択−新たなルールか、それとも危機か」(財務省財務総合政策研究所・アジア開発銀行研究所共催、一橋大学・毎日新聞社協賛)で紹介された。
 危機に陥ったスウェーデンが採用したのは、高い財政健全化目標だった。93年にGDP比約12%と先進国で最悪水準だった財政赤字を97年までに3%以下、98年にはゼロにするものだ。また達成後は平均でGDP比1%の黒字確保をルールとした。
 その実現のため、3年先まで歳出の上限を議会で決めておく予算の枠組みを作り、改善が一過性のものに終わらないよう、財政を点検する有識者の委員会「財政政策評議会」を設立した。議会(1院制)の任期を3年から4年に延ばし、選挙に影響されにくくもした。そして、インフレ目標採用と同時に中央銀行に高い独立性を与えた。
 予想以上の成功を収めた秘訣(ひけつ)は、与野党問わず政治家が財政再建に本気になったことだ。短期間の急激な健全化は当然、増税や歳出削減による痛みを伴う。失業保険の給付額削減など社会保障にもメスを入れた。それを政治家が実行できた裏には、国民からの要請があった。「財政規律を重んじない政治家は有権者から見放された」。財政政策評議会のヨアキム・ソネガード事務局長の説明である。
 財政再建と同時に、長年先送りしてきた税制改革、年金改革、規制緩和も一気に進めた。危機を「改革の好機」(同事務局長)と最大限利用し、競争原理の働く経済に生まれ変わった。
 日本が試されているのは、厳しい経済危機が起こる前にスウェーデンのような改革を始められるかということだ。借金残高も国の規模も日本はスウェーデンの比ではない。つまり危機になってから「改革の好機」などと言える余裕は恐らくないのだ。その重大さを日本の政治家と国民がどれくらい早く、強く感じられるか、である。(論説委員)

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