電力改革 発送電分離「後戻りは許されない」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130218k0000m070101000c.htmlより、
社説:電力制度改革 骨抜き許さぬ具体策を
毎日新聞 2013年02月18日 02時31分

 規制と独占から自由と競争への転換を目指す電力制度改革が、実現に向け一歩前進した。
 経済産業省の有識者会議による制度改革の報告書が、目標年次を示して電力小売りの全面自由化や大手電力会社の発電部門と送配電部門を分社化する「発送電分離」を明記したからだ。これらをサービス向上や料金抑制という成果につなげるため、具体的な制度設計に知恵を絞る必要がある。
 報告書は、家庭向けを含めた電力小売りの全面自由化については3年後に、発送電分離は5〜7年後に実施するとした。小売り自由化が実現すれば、一般家庭でも他地域の大手電力や新規参入する「新電力」から自由に電気を買えるようになる。電力会社間で競争が始まり、利用者の利便性が高まるはずだ。
 公正な競争のためには、大手電力が保有する送配電施設を各社が公平に使えなければならない。発送電分離は送配電施設の中立性を高め、公平性を確保するための手段だ。
 全面自由化は第1次安倍晋三政権時代に大手電力会社と自民党の抵抗で頓挫した経緯がある。大手電力に組織の変更を迫る発送電分離には、小売り自由化以上の抵抗がある。
 それだけに、目標年次を明示して実行を迫る今回の報告書は前進と評価できる。改革の内容は今後、順次法案化される見通しだが、与党審査などを通じて後戻りすることがあってはなるまい。
 もっとも、改革の実現には電力安定供給の確保、離島や過疎地での料金抑制といった課題が残る。それらを克服し、利用者にメリットをもたらすには周到な備えが必要だ。
 そこで、報告書に盛り込まれた二つの新設機関に注目したい。まず、電力需給を調整する「広域系統運用機関」だ。電力が余っている地域から不足している地域に送配電するよう電力会社間の調整を図るほか、全国的な送配電網の整備計画を作る。安定供給や設備の保全に欠かせない機能といえるだけに、大手電力に対する強い権限を担保するための法整備を求めたい。
 改革の実効性を確保するために設ける「規制機関」も重要だ。小売りの自由化、送配電部門の中立化、さらに電力卸市場の活性化が適正に機能しているかをチェックする。
 これまでの改革で、新規参入が進まなかったのは、市場の公平性を検証する機能が欠けていたからだ。立派な制度を作っても運用次第では骨抜きになる。官僚の天下り機関を増やすようでは話にならない。改革が「絵に描いた餅」に終わらないよう、新設する機関の組織や体制などを工夫してほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013021102000152.htmlより、
東京新聞【社説】電力制度改革 業界寄りと言われるな
2013年2月11日

 経済産業省の有識者委員会が電力制度改革の報告書をまとめた。家庭向けの小売り全面自由化、電力会社の発送電分離が柱だ。安倍政権は公平、公正な電気事業法の改正に後ずさりしてはならない。
 二〇一六年をめどに家庭も電力会社を選べる小売りの全面自由化に踏み切る。一八~二〇年に送配電部門を分社化し、すべての電力事業者に開放する。送配電の独立性、中立性を高めるため、全国の電力需給を調整する広域系統運用機関を設け、さらに発電や送配電、小売りの事業別免許制を導入して監督する。
 報告書の骨格だ。実現すれば電力会社の地域独占が撤廃され、公平な電力市場に近づく。先行して自由化された大企業向けの多くは独立系の特定規模電気事業者(PPS)などとの競争で一キロワット時当たり十一円前後に下がったが、家庭向けは二倍の二十三円台。東京電力の場合、利益の九割を小口が占め、公正さを著しく欠いている。
 小口も自由化すれば原価に利潤を上乗せする総括原価方式がおのずと消滅し、PPSとの競争で値下げが期待できる。東電管内の家庭が中部電力から購入したり、太陽光の電力を買うことも可能だ。
 広域系統運用機関も綿密な制度設計が欠かせない。「需給逼迫(ひっぱく)時の広域調整」「再生可能エネルギーの導入拡大」を果たす枠組みをどう築くのか。東電福島第一原発事故を境に供給不足が懸念されているが、PPSの供給量は現状では全体の3・5%。円滑な地域間融通に向けて、新規参入業者を増やす誘導策を用意すべきだろう。
 気掛かりは安倍政権のエネルギー政策の方向が見えないことだ。電力改革の検討は民主党政権の下で始まり、目指すべき日本の電力事業を「再生エネなどの分散型と電力会社を融合させた自由市場」と描いた。三〇年代を目標とする原発稼働ゼロを前提とした姿だ。
 安倍政権は脱原発を「非現実的」と見直しを表明した。原発の評価が決定的に違っては電力改革にも影響を及ぼさずにおかない。電力業界は送配電分社化などを「原発再稼働などを踏まえ判断すべきだ」と、政府に対し暗に先送りを迫っている。再生エネ普及には送電網への公平、かつ自由な接続が不可欠だが、自民党も電力業界の支援を受けているためか慎重論が根強い。
 電力改革は安倍政権にとりエネルギー関連の初の法改正だ。業界寄りとの疑念を招かぬよう、報告書の公平、公正を貫くべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年2月10日(日)付
発送電分離―後戻りは許されない

 経済産業省の有識者委員会が電力システム改革の報告書をまとめた。与党内での議論を経て、経産省は必要な改正法案を今国会に提出する。
 地域独占を撤廃し、家庭向け電力の販売自由化や電力市場の活性化を通じて、競争と新規参入を促す手立てが網羅されている。実施されれば抜本的な改革となる。
 なかでも、電力会社の発電部門と送配電部門を別会社にする「法的分離」を明記した意義は大きい。
 多様な電源を生かした効率的な電力ネットワークをつくるには、送電網の広域化・中立化が不可欠だ。長年、課題とされながら電力会社の抵抗でびくともしなかった分野である。
 「変革」の必要性をつきつけたのは、原発事故だ。電力会社が「安定供給のため」と主張してきた発送電一体・地域独占の仕組みが、実はひどく脆弱(ぜいじゃく)だったことが露呈した。
 後戻りは許されない。
 改革メニューには、送電網を束ね、必要な整備計画や需給を調整する広域連携機関と、これらを監視し、利用者側の視点に立って必要な是正を求める新たな規制機関の創設も盛り込まれている。
 中身が多岐にわたるため、改革は段階的に進められる。発送電分離の実施は、最終段階となる2018年以降になる見通しという。
 たしかに制度設計には一定の時間がかかるし、混乱を避けるためには順序を整理する必要もあろう。
 ただ、欧米ではすでに定着している制度も少なくない。日本に適した形へと手直しする必要はあるが、できるだけ前倒しで実施すべきだ。
 電力会社は今なお、技術的な難しさなどを理由に、発送電分離に強く抵抗している。
 工程表を明示するのはもちろん、後から骨抜きにされたり先送りされたりすることのないよう、法律上の手当てをしっかりしておくことが肝要だ。
 技術面でも、電力会社の言いなりにならないよう、中立的な検証・推進態勢をかためたい。必要なら、すでに分離が進んでいる海外から専門家を招いてもいいだろう。
 報告書は今後、与党審査を経る。税制改革で道路特定財源の復活を狙うなど、自民党には依然として利益誘導・業界優先の古い体質がくすぶる。往年の電力族が巻き返す機会はまだまだある。
 新しい経済のための新しい自民党を見せてもらいたい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130210/plc13021003170003-n1.htmより、
産経新聞【主張】電力市場改革 安定供給の確保が先決だ
2013.2.10 03:16 (1/2ページ)

 経済産業省の専門委員会が電力市場改革報告書案をまとめた。家庭でも電力会社を選べる全面自由化に加え、電力会社の発電部門と送電部門を分社化する「発送電分離」などを盛り込んだ。
 電力会社による地域独占を撤廃し、競争の促進で電気料金の引き下げを目指す。日本経済の活性化に向けて「国民に開かれた電力システムを実現する」という。
 規制緩和を通じて市場の競争を促す狙いは評価したい。だが、最大の問題は、電力の安定供給を確保していく道筋が示されていないことだ。まずは原発再稼働を通じて当面の電力不足を速やかに解消しなければ、改革も絵に描いた餅に終わってしまう。
 発送電分離で、電力の安定供給に支障が生じる恐れもある。電力は国の基盤を支えるインフラだけに慎重な制度設計を求めたい。
 報告書案は「電力市場改革を3段階で進める」とした。平成27年にも広域で電力需給を調整する中立機関を設立し、28年には電力小売りを全面的に自由化する。その上で30~32年に電力会社の発送電部門を分離するという。
 電力会社が保有する送配電網を広く開放することで、電力会社同士や新規参入企業との競争を促進し、料金引き下げや電源の多様化を図るのが狙いだ。電力会社に事実上の地域独占を認めてきた電力市場の大きな転換といえる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130210/plc13021003170003-n2.htmより、
2013.2.10 03:16 (2/2ページ)
 経産省は改革の実施時期を盛り込んだ電気事業法改正案を今国会に提出する方向だ。茂木敏充経産相も「国民の理解を得るために改革が必要だ」と意欲を示した。
 だが、福島原発事故以降、原発の大半が停止され、電力供給不足という根本的問題が解決されていない現実を忘れてはなるまい。
 電力が足りない中で自由化をしても本当の競争につながらない。逆に料金上昇を招く恐れもある。政府は何よりも安価で安定した電力供給確立を優先すべきだ。
 とくに発送電分離の影響は大きい。電力会社は発送電の一体運用できめ細かな電力供給に対応してきたからだ。落雷や台風による停電の早期復旧や電力危機時の緊急融通に弊害は起きないか。米国では自由化の後、送電網への投資削減で大規模停電が何度も起きた。そうした事例の検証も必要だ。
 電力の安定供給なしには、健全な競争もあり得ないことを政府は銘記してもらいたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51310370T00C13A2PE8000/より、
日経新聞 社説 競争通じて供給力高める「発送電分離」に
2013/2/3付

 電力市場の改革を議論してきた経済産業省の専門委員会が近く報告をまとめる。同委は電力会社の発電と送電部門を分離し、別会社にする案で大筋合意した。経産省は今国会に出す電気事業法改正案に、これを盛り込む考えだ。
 東日本大震災後、大半の原子力発電所が止まり、電力不足の長期化が見込まれる。私たちは電力市場に多様な企業の参入を促し、競争を通じて供給力を高める改革が不可欠だと訴えてきた。
 専門委の案のように、電力会社が事実上独占してきた送電網を開放し、「新電力」と呼ばれる事業者などがそれを借りて電気を送りやすくなれば、新規参入を後押しする。半世紀以上続いた「地域独占」を崩し、電力会社どうしの競争を求めた意義は大きい。
 忘れてならないのは、発送電分離はあくまでも手段であり、競争を通じて電気料金を下げ、安定供給を保つことが本来の目的であることだ。政府はそれを実現できるよう制度設計を詰めてほしい。
 まず重要なのは、新電力や自家発電設備をもつ企業などが送電網を平等、安価に使えることだ。これまで電力会社が送電網を一手に握ってきたため、新電力などがそれを借りて電気を送る「託送料」が高く、参入を阻んできた。
 経産省は発送電分離に伴い、全国規模で電気の需給を調整する新たな機関を設けるという。新機関は電力各社の送電部門の資産やコストを厳格に査定し、託送料を適正な水準に下げるべきだ。新電力などが対等に送電網を使えているか、監視することも重要だ。
 太陽光など自然エネルギーを目いっぱい増やし、災害時などに地域をまたいで電気を融通できるよう送電網の増設も欠かせない。
 電力会社の競争が増せば各社がコスト削減を優先し、必要な投資を控える恐れがある。送電網づくりの青写真を描き、投資を促す仕組みも必要になる。
 電力会社を持ち株会社方式で分割する案は、なお制度の詰めが要る。送電子会社の経営を親会社からどう分離するかや、社債の担保の扱いなどが不透明だ。茂木敏充経産相は、発送電分離は法改正案の付則に書き、詳細は今後詰めるという。議論を先送りするのでなく、着実な進展を求めたい。
 電力改革を通じて新たなビジネスや雇用を生み出す戦略についても、政府は産業競争力会議などでよく議論し、示してほしい。

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