アーカイブ

日別アーカイブ: 2013年2月19日

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013021900834より、
同意人事ルールの合意文書全文

 今国会より、国会の同意を求める人事案件については、以下のような手順を経て行うこととする。
 1、衆参両院の議院運営委員会は、各院の議院運営委員会理事会において、政府よりそれぞれ同意人事案件の内示を受け、各院におけるこれまでの手続きを基本とし、各党・各会派の意向を踏まえ、各院において手続きを行う。
 なお、同意人事案件の内示は、両院の議院運営委員会理事会において同時に行うものとする。
 2、従来から所信聴取対象とされている候補者については、引き続き各院において所信を聴取することとし、所信聴取の具体的な手続きについては、各院の議院運営委員会理事会において協議する。
 (所信聴取対象者)
 ・人事院人事官(3人)
 ・会計検査院検査官(3人)
 ・公正取引委員会委員長
 ・原子力規制委員会委員長
 ・日本銀行総裁および副総裁(3人)
 3、上記の手続きを踏まえ、衆参両院の議院運営委員会は、本会議に同意人事案件を上程し、各院としての結論を得る。
 4、上記1の同意人事案件の内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底を図ることを政府に求める。また、人事案件内示前に人事案が報道された場合、内示後、政府に対し情報漏えいがなかったか否かを調査させ、各院の議院運営委員会理事会に報告させるものとする。
(2013/02/19-20:17)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013021900542より、
与野党、事前報道ルール廃止で合意=政府、日銀総裁の人選急ぐ

 与野党は19日、国会内で国対委員長会談を開き、国会同意人事の手続きについて、事前に報じられた人事案は原則として提示を受け付けないとした現行ルールを廃止することで合意した。これを受け、政府は白川方明日銀総裁の後任人事案を安倍晋三首相が訪米から帰国する24日の週に国会に提示する方針で、人選作業を加速させる。
 与野党は、自民、民主両党が18日にまとめた案を踏襲し、現行ルールの廃止に伴う新たなルール創設で合意した。事前報道があった場合でも、人事案提示を受け、その後に政府に情報漏えいがなかったかを調査、報告させる。
 衆参両院の議院運営委員会理事会への正式提示に先立ち、両院議運委の代表者でつくる「合同会議」に内示していた手続きも廃止。また、日銀総裁など4機関10人の所信聴取の対象に、原子力規制委員会委員長を加えた。
 与野党合意を受け、両院の議運委員長が新ルールへの移行を申し合わせた。
 菅義偉官房長官は19日の記者会見で、ルール見直しについて「与野党に(正式提示前に)自由に相談できる環境が整う」と評価した。
 現行ルールは2007年、民主党の西岡武夫参院議運委員長(当時)が人事案の事前報道に反発し、衆院側と申し合わせた。しかし、このルールが乱用され、人事案の国会同意が滞る事態が続出。自民、公明両党は日銀総裁人事で混乱を避ける狙いから、見直しを主張していた。(2013/02/19-18:31)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013021901001665.htmlより、
同意人事の事前報道ルール撤廃 与野党が合意
2013年2月19日 17時57分

 与野党は19日の国対委員長会談で、国会の同意が必要な政府人事案が事前報道された場合には提示を認めないとのルールを撤廃することで合意した。「情報管理の徹底を政府に求める」との努力義務に緩和する。政府が月内に国会へ提示する日銀の正副総裁人事案から新ルールが適用される。
 事前報道があった場合、政府が情報漏えいの有無を調査し、衆参両院の議院運営委員会理事会に報告することも義務付けた。合意に基づき、衆院の佐田玄一郎、参院の岩城光英両議運委員長が申し合わせ文書に調印した。(共同)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130219/k10015624061000.htmlより、
国会同意人事手続き 事前報道で新合意
2月19日 17時21分

与野党の国会対策委員長らが会談し、国会の同意が必要な人事案が事前に報道された場合の手続きについて、「政府の提示を原則として受け付けない」とする従来の合意を撤廃し、「国会への提示後に政府に調査させ、両院の議院運営委員会の理事会に報告させる」とした新たな合意を結びました。
国会の同意が必要な人事案を巡っては、事前に報道された場合、国会審議が形骸化しかねないなどとして、衆参両院の合意で、政府からの提示を原則として受け付けないことになっていました。
これについて、与党側は、重要な人事の停滞につながっているとして、日銀の白川総裁の後任人事を巡るやり取りもにらみ、野党側に見直しを呼びかけ、19日、自民・公明両党と民主党など野党9党の国会対策委員長らが会談し、詰めの協議を行いました。
その結果、これまでの合意を撤廃したうえで、▽人事案の提示まで、あらゆる過程で情報管理の徹底を図ることを政府に求め、▽事前に報道された場合、人事案の提示後に、政府に情報漏えいがなかったか調査させ、衆参両院の議院運営委員会の理事会に報告させる、とした新たな合意を結びました。
一方、会談では、日本維新の会やみんなの党が「専門性の高い人事案件については、議院運営委員会に限らず、人事案の内容と関係のある委員会で所信を聴取することも検討すべきだ」などと主張し、引き続き与野党で協議することになりました。
会談のあと、自民党の鴨下国会対策委員長は、記者団に対し「事前に報道されたら、有無を言わさず人事がキャンセルされるという、これまでのルールは合理的ではなく、各党に理性的な判断をしてもらった。これで、新たな同意人事の案を提示する環境が整った」と述べました。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51601990R10C13A2PE8000/より、
日経新聞 社説 同意人事を政争の具にするな
2013/2/11付

 国会運営の手順を政争の具にするのはやめてもらいたい。任命の際に国会同意が必要な公正取引委員会の委員長人事などを巡り、民主党が政府から人選案の提示を受けるのを拒否した。話も聞かずに門前払いするのは民主主義の否定であり、許されない。
 民主党の言い分は「公取委員長候補の名前が新聞に出た」というものだ。国会は2007年に当時の西岡武夫参院議院運営委員長が主導して「事前報道された同意人事の提示は受け付けない」と申し合わせた。
 政府はマスコミに候補名を故意に漏らして国民に既成事実だと思わせ、野党の反対を無力化しようとたくらんでいる。西岡氏はそう信じていたようだ。
 新聞が重要人事を取材し、いち早く報じるのは国民の知る権利に応えるためだ。政府のお先棒を担いでいるわけではない。事前報道の有無で人選が左右されるのは筋が通らない。
 民主党は与党だった昨年、自ら仕組みの見直しを提唱した。与野党は今回の通常国会召集に際して西岡ルール撤廃で原則合意した。
 それなのに、新聞報道を機に民主党が受け付け拒否に逆戻りしたのだから、与党はもちろん、民主党内にも戸惑う声が少なくない。
 民主党の輿石東参院議員会長は夏の参院選をにらみ、安倍政権との対決機運をあおっている。党利党略をむき出しにした戦略が有権者の理解を得られるとは思えない。指導力を発揮できない海江田万里代表の責任は重大である。
 公取委員長などの人事が滞ることで、政府は3月19日までに決めなければならない日銀総裁・副総裁の人選案の提示に慎重にならざるを得なくなった。5年前のように総裁が一時不在となれば、金融政策に空白が生じかねない。
 与野党は一刻も早く国会同意人事の審査に関する新たな仕組みを確立すべきだ。主要政党の幹部のほとんどが与党経験があるのに、こんな旧態依然たる国会運営しかできないのか。慨嘆に堪えない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130209/stt13020903200001-n1.htmより、
産経新聞【主張】参院民主党 「何でも反対」に戻ったか
2013.2.9 03:20 (1/2ページ)

 民主党は、3年余に及んだ政権与党の経験から何も学んでこなかったようだ。
 公正取引委員会委員長に、杉本和行元財務事務次官を充てるとした政府の人事案提示を拒否し、衆参両院の議院運営委員会理事会を途中退席したことだ。
 公取委員長は昨年9月から空席が続いている。これ以上の混乱が許されないことは、政権を担った政党ならば十二分に承知しているはずである。
 国会攻防を有利に運ぶために何でも反対する「抵抗野党」では通用しない。即刻、政府提案を受け入れ、空席解消に責任を果たすべきである。
 事前に報道された人事案の国会提示を認めないとする与野党の申し合わせルールに抵触するというのが拒否の理由だが、全く理屈になっていない。
 政権当時の民主党が原子力規制委員会の人事をめぐって、ルール見直しを求めたことを忘れてもらっては困る。杉本氏を候補とすることも、民主党政権当時からの既定路線ではなかったのか。
 そもそも、「事前報道ルール」に意味を見いだせない。国会同意人事の対象ポストは、国民生活と深く関わり、影響も大きい。その情報をいち早く国民に知らせ、判断材料を提供することは報道機関の重要な役割だ。それを否定するようなルールの方こそ、廃止されるべきである。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130209/stt13020903200001-n2.htmより、
2013.2.9 03:20 (2/2ページ)
 人事案提示への拒否には、輿石東参院議員会長の意向が働いたとされる。民主党は参院第一党であり、衆参ねじれ国会において安倍晋三政権を揺さぶる材料にしたいとの思惑もあろう。
 だが、多くの有権者は「決められない政治」に愛想を尽かしている。先の衆院選で民主党が惨敗したのも、党内がまとまらず課題先送りを続けてきたからだ。
 民主党の「何でも反対」路線は公取委員長人事だけでない。
 憲法改正をめぐる国会の議論も妨害している。参院憲法審査会は6日に幹事懇談会を予定していたが、民主党が直前にキャンセルしたため、延期された。衆院側でも7日に行われた日程調整で開催に反対した。
 輿石氏はいつまで同じ愚を繰り返すつもりなのか。海江田万里代表ら党執行部が輿石氏の「暴走」をこのまま許したならば、党の再生はないと言わざるを得ない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130209k0000m070126000c.htmlより、
社説:国会同意人事 民主の対応にあきれる
毎日新聞 2013年02月09日 02時30分

 国民からどんな目でみられているか、まったく分かっていないのではないか。もちろん、国会の同意を必要とする人事案件をめぐる民主党の対応である。
 経過はこうだ。安倍内閣は8日、公正取引委員会の委員長に杉本和行元財務事務次官をあてるなど14機関41人の人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した。ところが杉本氏の人事案が、一部新聞に提示前に報じられたことから、民主党は「事前に報道された人事案は認めない」というルールを盾に提示を拒否し、理事会を途中で退席したという。杉本氏が適任かどうかの判断以前の問題だというわけだ。
 今国会が始まった後、民主党はいったんはこのルールの撤廃に柔軟姿勢を示していたが、結局、国会同意人事案件を国会駆け引きの材料に再び使い始めたということだろう。あきれるような対応というほかない。
 「事前報道ルール」は衆参ねじれ国会となった07年に設けられた。メディアの事前報道で人事が既成事実となり、同意人事が形骸化しかねないとの理由だった。しかし、ルール決定当時から私たちが強く批判してきたように、どう考えてもこのルールはまったくおかしなものだ。
 そもそも事前に報道されたかどうかはその人事が適切かどうかにまったく関係がない。むしろ、その人物が適任かどうか、与野党がきちんと判断するという国会同意の趣旨をないがしろにするものだろう。
 事前報道されれば認めないという発想自体、報道の自由に照らしても問題だ。
 衆参のねじれ状態に、この奇妙なルールが重なり、政府の人事案件は国会の手続きが進まず、国会停滞の一因となっている。とりわけ民主党政権で国会同意人事は滞り、今度の通常国会では100人以上の処理を迫られている。こうした責任を重視したからこそ、民主党も一時、ルールの撤廃に傾いたはずだ。
 一転してルール温存に転じた今回の対応は、輿石東参院議員会長が主導したとされ、与党主導の国会運営となることを輿石氏は警戒したとの見方がある。だが、こんなルールを頼りにしなければ安倍内閣に立ち向かえないのでは情けない限りだ。
 民主党は政権を手放したら、何でも反対の抵抗野党に舞い戻るというのか。それでは国民の失望感は増すばかりだろう。
 党内でも輿石氏の対応には批判が出ているという。今後、日銀総裁人事も控えている。民主党は拒否方針を撤回し、ルールはすみやかに撤廃すべきだ。そして人事案は是々非々で判断するというあたり前の原則に立ち返るべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年2月7日(木)付
国会同意人事―悪しきルールは撤廃を

 人事案が報道されたら、その人は受け付けない。国会の同意が法律で義務づけられた政府の人事をめぐる「悪(あ)しきルール」が当面続くことになった。
 廃止に柔軟な姿勢だった民主党が、態度を翻したためだ。
 総選挙での惨敗からわずか1カ月半で、早くも「抵抗野党」に戻ってしまったのか。
 民主党は考えを改め、ルールの撤廃に歩み寄るべきだ。
 このルールができたのは「ねじれ国会」になった07年。参院議院運営委員長についた民主党の故西岡武夫氏が主導した。
 こんなふうに説明された。
 政府側が意図的に人事案を漏らして報道されれば、世間は既成事実と受け止める。それでは国会審議が形骸化する――。
 いかにももっともらしいが、これはおかしな理屈である。
 メディアが人事案を取材し、報道するのは、それが国民の知る権利に応えるものだからだ。一方、国会同意の目的は、国家機関の重要な人事について、資質や識見から適格性を判断することだ。事前報道があったかどうかは何の関係もない。
 だからこそ、民主党政権だった昨夏には、原子力規制委員の人事については適用しないと民主、自民両党で確認したのではなかったか。
 なのに野党に転落した途端、政権を揺さぶる武器はやっぱり手放せないということなら、ご都合主義もはなはだしい。
 このルールを盾に、民主党は前回の自民党政権の手足を縛った。政権交代後、こんどは民主党がしっぺ返しを食った。
 やられたらやり返す足の引っ張り合いを、いつまで続けるつもりなのか。
 焦点の日銀正副総裁をふくめ、今国会では100人以上の同意人事の処理が迫られる。公正取引委員会委員長、会計検査院検査官ら、民主党政権のときから欠員が補充されないままで、実務に支障を来している人事もある。
 これほど大量の人事が滞っているのは、民主党政権の先送りのせいにほかならない。その反省はどうなったのか。「決められない政治」への国民の厳しい視線を、もう忘れたのか。
 そもそも、いまの「ねじれ国会」では、野党がこぞって不適格だと判断すれば参院で白紙に戻すことができる。
 国会で十分に所信を聴き、さまざまな観点から人物の適格性を吟味する。
 事前報道にこだわるより、国会の場でしっかり判断する審議のあり方を考えることこそ建設的ではないか。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130207/plc13020703310005-n1.htmより、
産経新聞【主張】「事前報道」 無用のルール即撤廃せよ
2013.2.7 03:30 (1/2ページ)

 いつまで無用のルールに固執するのか。撤廃がほぼ決まっていた国会同意人事の事前報道ルールが、参院民主党の反対で一転存続することになった。ルール存続には意味を見いだせない。直ちに撤廃すべきだ。
 衆参両院の承認が必要な国会同意人事では平成19年以降、新聞などで事前に報道された人事案は国会提示を認めないとの与野党間の申し合わせが適用されている。
 きっかけはNHK経営委員などの人事案が事前報道され、参院で多数派だった当時野党の民主党が「国会審議が形骸化する」と提示を拒否したことだ。後に参院議長を務めた民主党の西岡武夫参院議院運営委員長が中心になって「事前報道ルール」をまとめた。
 当初から「報道規制だ」との反対意見はあった。国会同意人事の対象は、日銀総裁・副総裁や公正取引委員会委員長などだ。国民生活と深くかかわり、影響も大きい。その情報を一刻も早く国民に伝え、判断材料を提供するのは報道の重要な役割である。
 事前報道ルールは、その否定にほかならない。一部の政治家などが意に沿わぬ人事案を意図的に漏らして葬り去ることもできる。
 実際に日銀審議委員など事前報道を理由に提示が見送られたり、情報漏れを恐れて関係者との調整を慎重に進めるあまり、国会提示が遅れ、人事が停滞したりした。こうした反省を踏まえたのが、今回のルール撤廃の動きだった。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130207/plc13020703310005-n2.htmより、
2013.2.7 03:30 (2/2ページ)
 理解できないのが、参院民主党の意図だ。「政権交代したら全部ルールが変わるのか」との声があるというが、理由にならない。なおも参院で第一党の民主党が駆け引きに使おうとしているのなら、筋違いも甚だしいし、そんな意見を受け入れた自民党の対応にも首をかしげざるを得ない。
 白川方明日銀総裁が4月8日の任期満了を待たず、副総裁任期の3月19日に辞任すると表明した。総裁人事案は前回、参院で相次いで否決され、総裁が3週間空席となった。その結果生じた副総裁任期とのずれを解消するのが主な目的だ。いわば5年前の政治の混乱のツケを払わされた形である。
 総裁の辞意表明で、後任総裁選びは加速するが、このままでは事前報道ルールが適用される。参院民主党は今回も日銀総裁人事を政争の具にするつもりなのか。ルール撤廃を遅らせてはならない。

広告

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013021900373より、
ハーグ条約、5月にも承認=自公了承、海外の支援態勢課題

 自民、公明両党は19日、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約の承認案と関連法案を了承した。政府は3月中旬に閣議決定。民主党も賛成する方向で、同条約は5月にも国会で承認される見通しだ。条約加盟後は、親権などをめぐり、日本人が海外の裁判で争うケースが増加するとみられ、在外公館における支援態勢の整備などが課題となる。
 ハーグ条約は、離婚した親が無断で子を国外に連れ去った場合、元の居住国に戻し、親権などを決定すると規定。条約加盟後、日本人が配偶者の了承を得ずに子と帰国したら、親権をめぐり裁判となる可能性がある。
 19日の自民党外交・法務合同部会では「日本人が海外で裁判を争うのは容易ではない」(中堅)と指摘する声が出たが、政府は弁護士や通訳などをあっせんする拠点を各国に整備し、対応する方針。
 また、自公両党内の論議では、夫による家庭内暴力(DV)に遭った日本人女性が子と共に帰国した後、同条約によって子の返還請求を受ける事例への懸念も出た。これに対し、外務省当局者は「『子が暴力を受ける恐れ』がある場合、返還拒否の要件が定めてある」と説明した。
 子の返還をめぐる国内での審理は、東京、大阪の家庭裁判所2カ所のみで行われることから、「地方住民には大きな負担」とも指摘される。法務省側は「審理を集中させ、事件処理のノウハウを蓄積していく」と強調するが、自民党内からは「2カ所では不十分」(若手)との不満も出ている。(2013/02/19-19:05)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013021901002046.htmlより、
公明もハーグ条約了承 5月にも国会承認へ
2013年2月19日 18時56分

 公明党は19日午後の政調全体会議で、国際結婚が破綻した夫婦間で子どもの奪い合いが起きた際のルールを定めたハーグ条約の承認案と関連法案を了承した。自民党は午前に党内手続きを終えており、与党政策責任者会議で今国会中の承認を目指す方針を確認した。民主党も賛成するとみられ、5月にも国会で承認される方向だ。
 ハーグ条約への加盟は米国が強く求めており、与党は安倍晋三首相の訪米をにらんで了承手続きを急いでいた。首相はオバマ米大統領との会談で、条約加盟見通しをアピールする。(共同)

38tp://www3.nhk.or.jp/news/html/20130219/k10015626741000.htmlより、
自公 ハーグ条約承認と関連法案了承
2月19日 18時37分

今週行われる日米首脳会談を前にアメリカなどが早期加盟を求めている、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」について、自民・公明の両党の政務調査会長は、条約の承認と関連法案を了承し、政府は来月にも条約の承認案と法案を国会に提出する見通しになりました。
「ハーグ条約」は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ずに子どもを国外に連れ出すことを認めず、承認を得ずに出国した場合には、子どもをそれまでにいた国に戻す手続きを定めています。
現在89か国が加盟しており、アメリカなどが、日本に対して早期加盟を求めています。
これについて、自民党の外交・法務合同部会が開かれ、出席者からは「条約加盟後、離婚した親は、子どもの親権などを巡って海外で裁判に臨むケースが増えるので、支援態勢をしっかり整えるべきだ」などといった意見も出されましたが、反対意見はなく、条約の承認と関連法案が了承されました。
条約の承認案と関連法案は、このあと開かれた自民・公明両党の政務調査会長による会談で了承され、政府は、来月にも国会に提出する見通しになりました。
安倍総理大臣は、現地時間の22日にワシントンで行われるアメリカのオバマ大統領との首脳会談で、今の国会での条約の承認と関連法案の成立を目指す考えを伝えることにしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130218/k10015583771000.htmlより、
ハーグ条約対応で支援拠点を整備へ
2月18日 4時11分

安倍政権がアメリカの期待も踏まえ加盟を目指している、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」について、加盟が実現すれば、日本人が海外で裁判に臨む機会が増えるとみられることから、政府は、各国に日本語で弁護士のあっせんなどのサービスを受けられる拠点を整備していく方針です。
ハーグ条約は、国際結婚が破綻した際などに、相手の承認を得ないで子どもを国外に連れ出すことを認めず、承認を得ずに出国した場合は、子どもがそれまでいた国に戻す手続きを定めたものです。
この条約を巡っては、アメリカから日本人の親が子どもを連れ帰ってトラブルになるケースが相次いだことなどを背景にアメリカ政府が日本の早期加盟を求めていて、安倍総理大臣は、今週行われる日米首脳会談で、与党内の調整を進めて加盟に必要な法案の今の国会での成立を目指す考えを伝えることにしています。
加盟が実現すれば、相手の承認を得ずに子どもを連れ帰った日本人が、子どもの親権などを巡って海外で裁判に臨む機会が増えるとみられます。
このため政府は、各国に日本語で弁護士や通訳のあっせんや、その国の裁判制度を理解するためのカウンセリングなどのサービスを受けられる拠点を整備していく方針を固めました。
こうした拠点は、現在、アメリカのニューヨークとロサンゼルスにありますが、政府は、アメリカの拠点を増やしたうえで、アジアやヨーロッパにも順次設けていきたいとしています。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013021401001853.htmlより、
日本もハーグ条約加盟へ 5月にも国会承認
2013年2月14日 20時02分

 自民、公明両党は14日、国際結婚が破綻した夫婦間で子どもの奪い合いが起きた際のルールを定めたハーグ条約の承認案と関連法案を、それぞれ19日に了承する方針を固めた。民主党は野田政権が同様の法案を国会提出した経緯から賛成する方向で、承認案などは5月にも国会承認される見通しとなった。安倍晋三首相は今月下旬のオバマ米大統領との会談で加盟への手続き進展を伝える。
 ハーグ条約への加盟を求める声は米議会で強く、日米間の懸案となっていた。首相は対米関係重視の具体的な行動と説明する考えだ。
 主要国(G8)で日本だけがハーグ条約未加盟。(共同)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013021400889より、
ハーグ条約、今国会承認へ=自公、来週にも了承

 国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約が、今国会で承認される見通しとなった。自民、公明両党は、来週にも党内手続きを終えることを目指しており、政府は、同条約承認案と関連法案を3月にも国会に提出する方針。
 同条約承認案などの扱いについて、自民党執行部は19日に外交・法務合同部会を経て、総務会で了承を得たい考え。公明党は19日の政調全体会議で了承する運びとなっている。
 当初、自民、公明両党では、条約加盟をめぐり、党内の取りまとめが難航することも予想されていた。しかし、米国が日本政府に条約加盟を強く求め、安倍晋三首相が来週の日米首脳会談を控えて早期の条約加盟に強い意欲を示していることから、与党としても党内手続きを急ぐことにした。
 民主党も、野田政権が同じ条約承認案などを国会に提出した経緯があり、賛成する方針。同党幹部は「反対しにくい」としている。(2013/02/14-19:42)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130214/k10015516231000.htmlより、
米大使 ハーグ条約加盟を要請
2月14日 15時3分

アメリカのルース駐日大使は、衆議院の河井外務委員長を訪ね、国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」について、日本も早期に加盟する必要があるとして、今の国会で必要な法案を成立させるよう要請しました。
この中でルース駐日大使は、「当時の菅内閣が『ハーグ条約』への加盟を決めて以降も、アメリカから日本に16人の子どもが連れ去られているし、日本からも外国に連れ去られたケースがあると聞いている」と指摘しました。そのうえでルース大使は、「取り扱いを間違って、今の国会で、加盟に必要な法案が継続審議になれば、日米関係が深刻な事態に陥るような重要な案件だ。1日も早く成立させてもらいたい」と要請しました。
これに対し、衆議院の河井外務委員長は、「最優先で審議したい。ことし6月のG8サミット=主要国首脳会議までに成立させられるよう全力を尽くしたい」と述べ、理解を求めました。
外務省によりますと、アメリカの駐日大使が、国会の常任委員長に対して、直接、こうした要請を行うのは異例のことだということで、来週、ワシントンで行われる日米首脳会談を前に、アメリカ政府の強い意向を伝えるねらいがあるものとみられます。

http://mainichi.jp/select/news/20130214k0000m010114000c.htmlより、
ハーグ条約:加盟へ 国会で5月にも承認
毎日新聞 2013年(最終更新 02月14日 08時08分)

 国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」の加盟が今国会で承認される見通しとなった。自民党は同条約承認案と関連法案を来週にも了承する方針で、一部に異論が出ていた公明党も同意する方向。政府は近く条約承認案と関連法案を国会に提出し、13年度当初予算案成立後の5月にも承認されるとみられる。
 自民党外交・法務合同部会は13日、ハーグ条約承認案と関連法案の対応を協議した。党内では、配偶者暴力(DV)に遭った日本人の母が子供を連れて帰国した場合の対応などを巡り慎重論も浮上。しかし、会合では大きな反対論は出ず、来週の次回会合で国会提出を了承することを確認した。
 一方、公明党の山口那津男代表は12日の記者会見で「基本的には政府・与党で条約承認と国内法を成立させる立場で臨むべきだ」と加盟を容認する考えを示した。党内には女性議員を中心に条約加盟への慎重論があったものの、19日の政調全体会議で条約承認案などを了承する方向だ。
 国際結婚と離婚の増加に伴い、一方の親が国境を越えて子を不法に連れ去る問題が多発している。日本に対し、子の連れ去り事案を最も多く提起しているのは米国で、12年9月現在で81件に上る。このため、米国は日本政府にハーグ条約への加盟を強く求めてきた。
 民主党の野田前政権は昨年の通常国会に条約承認案と関連法案を提出したが、11月の衆院解散で廃案になっていた。安倍政権は民主党政権の案を踏襲する方針で、民主党も賛成に回るとみられる。
 首相は13日の衆院予算委員会で「ハーグ条約は我が国にも重要だ。(日本へ)子供をつれて帰ってくる人がいるが、逆の場合もあり、ルール作りはプラスになる」と強調した。来週に開かれる日米首脳会談で早期加盟の意向をオバマ大統領に直接伝える方針だ。【横田愛】

 【ことば】ハーグ条約
 国際結婚が破綻した夫婦の一方が無断で子供(16歳未満)を国外に連れ去り、もう一方が返還を求めた場合、原則として子を元の国に返し、どちらが養育するかを決めると定めた条約。親権の確定は元々住んでいた国で行われることが望ましいとの考え方に基づく。欧米など89カ国が加盟(1月現在)し、日本はG8で唯一の未加盟国。ただ日本国内では、配偶者暴力(DV)被害や虐待を受け、帰国した日本人配偶者・子が安易に元の国に戻されることなどを懸念する意見もある。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013021000081より、
「ハーグ」承認、曲折も=自公が調整着手、根強い慎重論

 国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約。政府は今国会での承認に向け、自民、公明両党との調整を急ぐ。米側が日本の条約加盟を求めていることを受け、安倍晋三首相は今月下旬に行われる日米首脳会談で早期加盟の意向を伝える方針。ただ、両党には慎重論が根強く、曲折も予想される。
 「国際結婚が増加した現在、ハーグ条約はわが国にとっても重要だ。早期締結を目指す」。首相は1月31日、各党代表質問が行われた衆院本会議で、今国会での条約承認に強い意欲を示した。
 ハーグ条約は、1983年に発効した多国間条約。国際結婚が破綻し、片方の親が無断で子どもを国外に連れ出した際、原則として元の国に子どもを戻すよう加盟国に求める内容だ。親権は、元いた国の裁判で決着させるべきだとの考えによる。家庭内暴力などを理由に、連れ戻すことが子どもの利益にかなわないと裁判所が判断すれば、返還を拒否することもできる。
 主要8カ国(G8)で未加盟は日本だけで、外務省は「日本の加盟が遅れれば米国以外からも批判されかねない」(幹部)と懸念する。政府は「ハーグは国家的事業だ」(首相周辺)と位置付け、6月に英国で開かれるG8首脳会議までに、条約承認と関連する国内法の整備に道筋を付けたい考え。
 自民党は13日から外交・法務合同部会で党内手続きを開始、月内の了承取り付けを目指す。公明党も14日に着手する予定だが、それぞれの党内手続きは難航する可能性がある。離婚後も共同親権を維持する欧米各国と、母親に単独親権を与えることの多い日本とでは制度上の隔たりが大きいことに加え、議員一人ひとりの家族観が影響するからだ。
 自民党中堅は「新人も増えたし、党内でハーグ条約が重要との認識が十分浸透しているとは言えない」と指摘。公明党からも「配偶者間暴力(DV)被害者から話を聞いた議員には、条約加盟を懸念する意見もある」(幹部)との声も上がる。(2013/02/10-14:29)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130210/k10015420271000.htmlより、
「ハーグ条約」早期加盟 首脳会談で伝達へ
2月10日 5時53分

安倍総理大臣は、今月下旬に行われるアメリカのオバマ大統領との首脳会談で、アメリカが強く求めている国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」への早期の加盟に向けて、今の国会で必要な法案の成立を目指す考えを伝え、理解を求めることにしています。
「ハーグ条約」は、国際結婚が破綻した場合などに、相手の承認を得ずに子どもを国外に連れ出すことを認めず、承認を得ずに出国した場合には、子どもがそれまでにいた国に戻す手続きを定めたものです。
現在89か国が加盟しており、アメリカなどは日本人の親が無断で子どもを連れ帰ってトラブルになるケースが相次いだことから日本に早期加盟を求めてきました。
政府は去年、当時の民主党政権が加盟に必要な関連法案を国会に提出したものの、衆議院の解散・総選挙に伴って廃案となっています。
これについて安倍総理大臣は、今月下旬にワシントンで行われるオバマ大統領との初めての日米首脳会談でハーグ条約の問題を取り上げ、条約への早期の加盟に向けて今の国会で必要な法案の成立を目指す考えを伝え、理解を求めることにしています。
政府は、来月にも法案を国会に提出したいとしており、与党内では安倍総理大臣のアメリカ訪問に先立って、今週から議論が始まる見通しです。
安倍総理大臣としては、アメリカ側が強く求めている条約への早期加盟を目指す姿勢を明確に示すことで、オバマ大統領との信頼関係を深めたいというねらいもあるものとみられます。

http://mainichi.jp/select/news/20130207k0000e010139000c.htmlより、
ハーグ条約:首相、加盟急ぐ…国際結婚破綻、子の扱い
毎日新聞 2013年(最終更新 02月07日 10時25分)

 安倍政権は、国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」への早期加盟へ向け、与党内の調整を本格化させる。自民党は13日の外交・法務合同部門会議で党内手続きの協議を始め、条約承認案と関連法案の今国会成立を目指す。米政府は日本に加盟を強く求めており、2月下旬の日米首脳会談で、早期加盟を目指す政府方針を安倍晋三首相からオバマ大統領に伝えたい考えだ。

 ◇訪米の「成果」狙い
 ハーグ条約をめぐっては、民主党の野田政権が昨年3月、条約承認案と国内手続きを定めた関連法案を閣議決定し、国会提出した。関連法案は、日本に連れ帰られた子を条約に基づいて元の国に返還するかどうかを決める手続きを東京・大阪の2家裁で行うと規定。裁判所が返還を拒否できる事情として、児童虐待や配偶者暴力(DV)の恐れがある場合を挙げていた。
 しかし、与野党の対立激化で審議は進まず、11月の衆院解散に伴って廃案となった。安倍首相は1月31日の衆院本会議で「国際結婚が増加した現在、条約の締結は重要だ。早期締結を目指す」と表明。法案の再提出に向けた準備を外務、法務両省に指示した。
 米側ではハーグ条約への関心はきわめて高く、政権再交代後の安倍政権にも加盟を強く求めている。国際結婚に伴う離婚の増加もあり、一方の親が国境を越えて子供を連れ出して誘拐罪に問われるなどのトラブルが多発。国際問題化しているためだ。1月18日の日米外相会談でクリントン米国務長官(当時)は岸田文雄外相に早期加盟を改めて要請した。
 一方で、日米首脳会談での「成果」演出に向けた日米の事前調整が難航。日本の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加や、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で大きな進展が見込めない中、米外交筋は「ハーグ条約ぐらい何とかならないのか」と日本側に圧力をかけている。
 ただ、与党に復帰したばかりの自民党内には条約加盟への慎重論も根強い。DVに遭った日本人の母親がやむなく子供を連れて帰国した場合などへの配慮が不十分との指摘が出ているほか、保守派の間では「家族の問題に国が介入すべきでない」との声もある。
http://mainichi.jp/select/news/20130207k0000e010139000c2.htmlより、
 また、公明党もDV被害者を重視する立場から女性議員を中心に条約加盟への懸念が出ている。6日に党のプロジェクトチームが非公式会合を開いたが、党幹部は「安倍さんが訪米の『お土産』で結論を出すということは絶対ない」と慎重な検討を求めている。
 このため日米首脳会談の前に与党側の手続きは終わらず、首脳会談では安倍首相が加盟に積極姿勢を示すにとどまる見通し。自民党幹部は「議論の開始で加盟に向けた姿勢は強調できる」とするが、今夏の参院選を控えて国会会期を延長しづらい事情もあり、今国会中に加盟が実現するかは予断を許さない状況だ。【横田愛】

 ◇民主の法案踏襲へ
 安倍首相が1月の衆院本会議で「早期締結を目指す」と表明したことを受け、谷垣禎一法相は今月5日の閣議後記者会見で「条約の重要性も考え、早期に成立させたいということで提出の準備をしている」と法案再提出に意欲を見せた。また、野田政権が提出した法案と「そんなに基本が変わることはないと思う」とも発言。法案はほぼ維持された形で再提出され、施行前の事案については適用されない見通しだ。
 ただし、法案の内容については、条約加盟に賛成する立場と、反対する立場の双方からいくつかの点で問題点が指摘されている。
 その一つは、外国人の配偶者との結婚が破綻した日本人が、相手方に無断で子供を母国に連れ帰った場合、条約の原則通りに子供を離婚前に暮らしていた国にいったん戻すかどうかを、東京家裁か大阪家裁で判断するとしている点だ。
 これについて、法案を支持する関係者は「実際に国内で扱う事案は年間30件程度と想定され、特定の裁判所で手続きの仕方を蓄積し、確実な運用をしたほうが良い」との立場。これに対し、「例えば国際結婚の多い沖縄の人が当事者になった場合、大阪まで出向くのは負担。より多くの裁判所で実施できるようにすべきだ」と指摘する専門家もいる。
 また、法案では、裁判所が子供の返還拒否を考慮できる事情として「日本人親子が外国人の親の元に戻った場合、外国人の親が子供を虐待したり、日本人配偶者に暴力をふるうおそれがある」ケースなどを明記している。
http://mainichi.jp/select/news/20130207k0000e010139000c3.htmlより、
 この点については「『おそれ』をどう判断するのか。DV被害者らが本当に守られるのか」と懸念する意見がある。一方で、「返還拒否が幅広く認められた場合、『離婚前に暮らしていた国に子供をいったん戻す』ことを原則とする条約の趣旨に背くことになる」との指摘もある。
 法案が再提出された場合、こういった当事者や関係者の意見にどう応えるかが議論の焦点となりそうだ。【伊藤一郎】

 ◇ハーグ条約◇
 国際結婚が破綻した夫婦の子(16歳未満)の扱いを定めた条約。どちらか一方の親が子を無断で国外(A国)に連れ去り、もう一方が返還を求めた場合、A国政府は原則、元の国に子を戻す協力をすると定めている。子の親権の確定は元々住んでいた国で行うのが望ましいという考えに基づくもので、欧米を中心に89カ国(1月現在)が加盟している。日本政府に対し、子の連れ去り事案を最も多く提起しているのは米政府で、11年12月現在84件に上っている。

http://www.nnn.co.jp/rondan/ryoudan/index.htmlより、
一刀両断 -小林 節-
安倍首相は正直に主張すべきだ
日本海新聞 2013/2/19の紙面より

 昨年末の総選挙で大勝し、異例の再登板を果たした安倍首相だが、前回の失敗に懲りたとかで、「安全運転」を続けていると言われている。そして7月の参院選で勝利して捻(ねじ)れを解消してから、持論の政策を主張し、実現するつもりだと言われている。

 しかし、そのとおりだとしたら、それは、政治の手法としては正しくない。

 安倍首相の持論である、憲法改正、安全保障の強化、教育改革…という政策自体は、私は、巨視的に見て正しいと思う。同時に、自由な社会である以上、異論は多々あるだろう。そして、首相の主張にも、部分的に説得力のない点はあると思われる。

 前回失敗した原因は、提案が熟していなかったことと、その点での首相の説明が不十分だったことに、首相自身の健康不安が重なったことであろう。つまり、「正直に持論を語った」から失敗したのではない。

 今の首相の姿勢は、まるで、今、持論を語ったら、批判されて、参院選で敗北し、何もできなくなってしまう。だから持論を控えて(隠して)、参院選で絶対多数を確保してから「押し切ろう」と言っているように見える。しかし、それはおかしい。

 すでに持論を率直に語って総選挙で勝利した以上、やはり、続けて持論を語ってそれで参院選を勝利することが筋であろう。

 私は、首相の主張は、大筋正しいし、それで世論はついて来ると思う。

 まず、憲法改正については、批判者が意図的に強調するほどの「極右」ではなく、むしろ、世界の常識にかなった程度の憲法論である。ただ、主張の一部に、憲法の本質について誤解しているのでは?と思われる点もある。しかし、それもわが国の論壇でよくある誤解の類で、論争の中で修正してもらえると思う。

 また、安全保障に関する首相の持論も、まさに国際政治の常識を語っただけのもので、だからこそ、首相は堂々と論じて総選挙で勝利できたのではないか。

 さらに、現実に崩壊してしまっている今の教育を改革しようという首相の持論も正論であり、世論の支持を得られるものであろう。
(慶大教授・弁護士)

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51871990Z10C13A2EA1000/より、
日経新聞 社説 安倍首相にTPP決断を迫る米欧連携
2013/2/19付

 米国と欧州連合(EU)が幅広い経済連携を目指して、自由貿易協定(FTA)交渉を始めることになった。安倍政権は、米欧が急接近する理由と日本やアジアへの影響を正しく読み取り、民主党政権下で停滞していた通商政策を立て直さなければならない。
 日本にとっては、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加が待ったなしになる。次世代の通商のルールづくりが米欧の主導で進めば、日本に不利な仕組みが出来上がりかねない。環大西洋の動きに合わせて、環太平洋でも日米を軸に連携を急ぐ必要がある。
 米欧間の貿易自由化の構想は、1990年代から何度も浮上したが、実現には至らなかった。それぞれ守りたい分野で関税を残しているほか、安全や環境をめぐる技術基準や投資規制など、米欧の制度の隔たりが大きいためだ。
 違う仕組みで動く2つの巨大経済圏を統合する交渉は、容易ではない。実現には痛みを伴う構造改革が必要となり、米欧ともに域内の政治コストは大きい。それだけに、構想を実行に移せる政治指導者は、これまでは現れなかった。
 痛みを覚悟で両者が交渉に踏み切るのは、経済成長の活路を自由貿易に見いだしているからだ。ユーロ危機に伴う緊縮財政で、欧州は内需の成長が見込めない。リーマン・ショックの後遺症が残る米国は輸出への期待が大きい。
 世界経済を支える柱である先進国として、米欧は必死に成長を模索している。その危機感を日本は共有しているだろうか。
 今週訪米する安倍晋三首相は日米首脳会談で、TPP交渉の過程で関税撤廃に例外品目を設ける可能性を探るという。経済大国の政治指導者が語る通商政策として、いかにも小さいのではないか。
 FTA締結で環大西洋の貿易・投資を増やすだけでなく、米欧の関心は、成長力が旺盛な東アジアにも向いている。米欧には環大西洋の連携をテコに、アジア各国に自由化を促す狙いもある。
 とりわけ自国の利益を優先する中国を国際ルールの枠組みに取り込む努力は、日米欧が協調して取り組むべき課題であるはずだ。中国も加盟する世界貿易機関(WTO)協定は、導入から20年近くたち時代遅れとなりつつある。新しい通商秩序を築く時が来ている。
 TPPはその次世代のルールの土台となる可能性が大きい。早急な交渉参加が日本の責任である。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130217/fnc13021703140000-n1.htmより、
産経新聞【主張】TPP交渉 決断し「新しい自民」示せ
2013.2.17 03:12

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加問題で、いま問われているのは、安倍晋三首相自身のリーダーシップなのである。
 首相は、ワシントンで22日(現地時間)に行うオバマ米大統領との初の首脳会談に合わせて交渉参加を決断し、「新しい自民党」を国民に示す必要がある。
 懸念されるのは首脳会談を前にした自民党の動きだ。党の外交・経済連携調査会がTPPに関する基本方針をまとめたが、これは米国側が「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する」とした昨年末の衆院選公約堅持を改めて確認したものだ。
 だが、これは票と既得権益で特定業界と結びついた、いわゆる族議員が幅をきかせた、かつての自民党ともダブる。それが国内改革を滞らせてきた側面もある。こうした状況が続けば、内実に乏しい「新しい自民党」に失望する有権者も少なからず出てこよう。
 首相も首脳会談では米国の感触を探るにとどめる構えのようだ。「聖域の設定」が可能と判断した場合の交渉参加にも含みを持たせているが、7月の参院選に向け、農業団体や日本医師会などへの配慮が発言ににじむ。首相としてあまりにも消極的ではないか。
 首脳会談の最大の眼目は、民主党政権下で亀裂が入った日米関係の修復と強化だ。TPPはオバマ大統領が一般教書演説で「交渉妥結をめざす」と明言するほど力を入れるテーマなのだ。
 TPPは、中国の動きが活発化するアジア太平洋地域の経済秩序形成のカギとなる。中国をにらんだ場合、日本にも大きなメリットがあることを忘れてはならない。首相が目指す脱デフレにも、アジアの活力を取り込み、成長戦略の柱とする国内の規制改革を進めるてこになり得る。
 政府の規制改革会議では、保険外診療を併用する混合診療の拡大や、農業への参入規制緩和などが議論される。医師会や農業団体の反発は必至だ。それらに抗せないのなら、金融緩和や財政出動で一時的に景気は浮揚しても、日本再生という大きな目的は、とうてい達成できまい。
 TPP参加の前段階である交渉に加わるかどうかの議論でさえ、特定団体への配慮で立ち往生するようでは、安倍政権の成長戦略の先行きは危うい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年2月15日(金)付
TPP交渉―主体的に関わってこそ

 米国と欧州連合(EU)が、自由貿易協定(FTA)に向けて協議を始める。
 世界貿易機関(WTO)を舞台にした多国間交渉が暗礁に乗り上げた後、さまざまな国や地域が、FTAや、より幅広い経済連携協定(EPA)の交渉を進めている。
 合わせて世界の国内総生産の5割を占める米国とEUの動きは、通商ルール作りを両者が主導し、「世界標準」を決めてしまおうという狙いだろう。
 世界3位の経済大国として、海外との通商を基盤に発展してきた国として、日本はこの流れにどうかかわっていけるか。
 EUとの間では、近くEPA交渉に入る。米国と向き合う場は、環太平洋経済連携協定(TPP)である。
 まもなく日米首脳会談が開かれる。絶好の機会ではないか。安倍首相は交渉への参加を表明すべきだ。
 当事者となってTPPの実態をつかみ、わが国の利害を反映させる。農産物などの関税引き下げに加え、サービスや投資など20を超える交渉分野全体で利害得失を見極め、実際に加わるかどうかを決める。
 これが基本だ。恐らく、首相もわかっているのだろう。
 ところが、総選挙で自民党が掲げた「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」という公約に沿って、オバマ米大統領との会談で自ら感触を得た上で判断する、と繰り返している。
 農協はTPPに猛反対している。夏の参院選で農業票を失いたくない。オバマ氏から何らかの発言を引き出し、農業関係者への説明に使いたい――。首相の狙いはこんなところか。
 TPPは、関税交渉では「全ての品目を対象にする」のが原則だ。ただ、「完全撤廃」とは限らない。
 当の米国が、豪州と締結したFTAで砂糖の輸入関税を残すことになっているのを踏まえ、「TPPでは再交渉しない」としているのが好例だ。
 昨年秋からTPP交渉に加わったカナダは鶏肉や乳製品の農家を関税などで保護している。かつてこの仕組みの維持を前提に交渉への参加を模索したが果たせず、「すべてを交渉のテーブルに乗せるが、譲歩すると約束したわけではない」との姿勢に転じ、認められたという。
 交渉の現状を見すえつつ、あとは自らの交渉力次第、ということである。
 首相は、オバマ氏の言質を取ろうと躍起になるより、新たなルール作りに主体的にかかわっていくべきではないか。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130215k0000m070119000c.htmlより、
社説:TPP交渉 参加を決断する時だ
毎日新聞 2013年02月15日 02時31分

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加に向け、残された時間が少なくなってきた。政府与党内では、参加の是非を巡る綱引きが続くが、決断が遅れるほどTPPの貿易・投資ルールに日本の意向を反映しにくくなる。
 安倍晋三首相は、今月下旬に予定されるオバマ米大統領との首脳会談で参加の意向を示すべく、リーダーシップを発揮すべきだ。
 自民党の外交・経済連携調査会は、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する」という「基本方針」をまとめた。衆院選の公約を再確認する内容だが、交渉参加の余地を残したことで、参加表明に向けた環境整備がわずかに進んだ格好だ。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、成長戦略を「三本の矢」のひとつに位置づけている。経済が成長するには、日本の企業や事業者の活躍の場を潜在力豊かなアジア太平洋地域に拡大する必要がある。そこでの貿易や投資のルールを決めるTPP交渉への参加は、「アベノミクス」のためにも不可欠といえる。
 もっとも党内には、農業団体などの意向を反映した強い反対論がある。7月の参院選を不利にしたくないとの思惑から、決断の先送りを求める声も根強い。
 しかし、それでは時間切れになりかねない。米国はじめ交渉に参加している11カ国は、今後、3、5、9月に会合を重ね、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPP協定に基本合意することを目指している。
 今回の日米首脳会談後に日本が交渉参加を表明したとしても、米国には新しい参加国を認める手続きに議会が90日以上かけるルールがあるため、交渉のチャンスは9月の1回しかない。参院選後にずれ込めば、その機会も失われることになる。
 もちろん、基本合意が遅れる可能性はある。与党内には、それを見越した「決断先送り論」もある。しかし、それは無責任に過ぎる。
 オバマ大統領は先日の一般教書演説で、「TPP交渉を完了する」と表明した。一般教書演説に「TPP」の言葉が盛り込まれたのは初めてで、合意に向けた大統領の強い意欲の表れといえるだろう。楽観的な「先送り論」は、協定に日本の主張を反映させる機会を奪い、国益を損なうことになりかねない。
 安倍首相は日米首脳会談で、「聖域」の余地が認められるかどうかの感触を探る意向だという。しかし、「聖域」を守るためにも早く参加し、交渉力を発揮すべきではないか。「アベノミクス」を掲げる首相の政治決断を期待したい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51378590V00C13A2EA1000/より、
日経新聞 社説 TPP交渉参加を決断し成長戦略の柱に
2013/2/5付

 安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」は、3本目の矢である成長戦略が最も重要だ。日本経済の成長を支える柱は、日本企業と日本人の活動の舞台を広げる貿易自由化である。そのためには環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に一日も早く加わる必要がある。
 自民党内には交渉参加への反対論が根強い。農業団体や医師会など、政界に影響力が強い勢力の反対運動が続いている。党内の議論は、夏の参院選で不利になりたくないとの見方に傾きがちだ。
 だが日本経済の再生は待った無しである。通商を含む外交政策は政府の決定で進めるのが筋だ。得票を気にして揺れる党内の議論に委ねず、首相自身が政策的観点から決断し、実現に向けて強い指導力を発揮しなければならない。
 2月後半の日米首脳会談での参加表明が、日本が交渉に間に合うぎりぎりの期限となるだろう。日本が参加を表明しても、すぐには交渉に入れず、米国内の手続きに最短3カ月かかるからだ。
 現在11カ国のTPP交渉国は、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での大枠合意を目指している。今後の交渉は3月、5月、9月に開かれるが、仮に安倍首相が2月に参加を表明しても、合流できるのは早くて9月の会合からとなる。
 もし参院選まで先送りすれば、9月合流も不可能となり、APECにも間に合わない。11カ国によるTPP交渉が目標通り年内に妥結するとは限らないが、日本が不在のまま、次世代の通商秩序のひな型となる協定の骨格が固まってしまう恐れが大きい。
 昨年までの民主党政権の最大の問題は、関税撤廃に不安を抱く国内農家に対し、有効な対策を示せなかったことだ。過渡的な支援策や競争力を高める新しい農政シナリオを描かない限り、農業側はTPP反対の声を高めるだけだ。
 従来と同じ方法で手厚い保護を続けても、日本の農業の衰退は止まらない。安倍首相は、力強い成長を目指して、産業競争力会議と規制改革会議を立ち上げた。その意志を貫き、農業改革からも逃げずに真正面から取り組むべきだ。
 安倍首相は農業再生の戦略策定を国内で明確に指示し、日米首脳会談でTPP交渉に参加する意志を伝えるべきだ。参院選まで難題を先送りするなら、国民と金融市場の「アベノミクス」への期待は一気にしぼむだろう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130202/plc13020203070004-n1.htmより、
産経新聞【主張】TPPと自民党 交渉参加を前提に議論を
2013.2.2 03:07 (1/2ページ)

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への対応をめぐり自民党が近く外交・経済連携調査会での論議を始め、2月下旬の安倍晋三首相の訪米までに提言をまとめるという。
 懸念されるのは、党内に交渉参加への反対論が根強い中で首相の手足を縛るような提言になることだ。日本の参加を期待するオバマ大統領との首脳会談にも悪影響を与えかねない。
 こうした党側の圧力に、首相の腰が定まっていないことも問題だ。首相はテレビ番組で「参院選前に方向性を示したい」と述べた2日後には国会で「時期は決めていない」と修正した。
 農協など支持団体の意向を背景とした反対一辺倒の議論がまかり通るなら、難しい調整を乗り越えて国益を守るべき政府・与党の責務は果たせない。
 昨年の衆院選で、農協側の政治組織は、TPP参加阻止に合意した候補160人を推薦したが、その9割は自民党だ。すでに参院選を見据えて「与党内での反対勢力拡大」の方針を決め、支援した議員らにクギを刺している。
 参院選勝利という課題があるのだろうが、首相には、特定の支持団体に重要政策の決定を左右される古い政治の構図を断ち切れるかどうかの覚悟が問われている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130202/plc13020203070004-n2.htmより、
2013.2.2 03:07 (2/2ページ)
 参加国が関税や市場参入の障害となる規制などを撤廃し、自由貿易圏形成をめざすTPPへの参加は、日本がアジア太平洋地域の成長力を取り込む上で不可欠だ。
 これは「脱デフレ三本の矢」の1つとして規制緩和・撤廃を柱とする成長戦略を掲げる首相の経済政策と軌を一にする。他の2本の矢の金融政策と財政政策が好発進した後だけに極めて重要だ。
 自民党の議論で前提とすべきは、あくまでも「交渉参加」だ。そのうえで、TPPから日本が得られるプラスを最大にし、マイナスを最小に抑える農業政策などの具体策を練ることこそ必要だ。農地の集約化や農業への企業参入といった規制緩和推進など「攻めの農業」への転換も急務だ。
 参加によるデメリットなど、入り口の議論にばかり時間を費やしていては、結論先送りの口実にしているとみられよう。米国などは今秋の基本合意を目指し交渉を先行させている。このままだと、日本は結局、「蚊帳の外」で終わりかねない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130109/plc13010903080008-n1.htmより、
産経新聞【主張】TPP参加 首相の指導力が問われる
2013.1.9 03:08

 新年早々、安倍晋三首相の指導力が問われる事態を迎えている。
 首相の訪米は、2期目の就任式などを控えたオバマ大統領の日程上、難しいとされ、2月にずれ込んだ。問題は、日米首脳会談の焦点となる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加反対論が自民党内で再燃していることである。
 首相は反対派を説得して党内をとりまとめるべきだ。訪米前に参加方針を決断しなければ、同盟の危機は乗り越えられない。
 TPPには、自由貿易や民主主義を掲げる国々を結集させる戦略的意味がある。対抗する中国は米国抜きの枠組みを画策している。さらに尖閣諸島周辺の領海侵犯を繰り返す中国に対しては、「日米同盟の強化」で対応することが安倍政権の最優先課題だ。
 安保と貿易・経済上の意義を併せ持つTPP交渉への積極参加は、首脳会談を成功させる不可欠の要件である。「強い経済を取り戻す」という使命を果たす上でも極めて重要だ。
 首相と大統領は12月の電話会談で、訪米時にTPP問題を率直に話し合うことで合意した。安保と経済の両輪でアジア太平洋戦略を推進したい大統領が、日本の参加表明を待望していることは間違いあるまい。
 自民党は政権公約で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対」としたが、首相は昨年末に「前提条件が変われば、当然参加ということも検討の視野に入ってくる」と踏み込んだ。
 これを踏まえて高市早苗政調会長は6日に「交渉に参加しながら守るべき国益は守る、条件が合わなかったら脱退する選択肢もゼロではない」と発言した。当然なのに党内から直ちに異論が出た。
 細田博之幹事長代行は「あらかじめギロチンに首を差し出すようなことはすべきでない」と、関税撤廃の例外品目を確保せずに参加することに反対した。国益確保に全力を挙げるのは当然だが、交渉にも参加しないでいて例外は勝ち取れるのだろうか。
 反対論の背後では、有力な支持団体の農協、医師会が「国内農業や国民皆保険制度の崩壊につながる」と参加阻止を唱えている。
 参院選勝利は政権を安定させるための最大目標だ。だが、選挙支援目当てに過度な配慮で国益を損なっては本末転倒となる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20121231k0000m070058000c.htmlより、
社説:TPP参加 首脳会談で意思明確に
毎日新聞 2012年12月31日 02時30分

 来年1月に予定される日米首脳会談で、日本の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加問題が主要議題になりそうだ。安倍晋三首相は会談で交渉参加の意思を明確に示し、国内経済の活性化と日米同盟の強化を追求すべきだ。
 米国は日本の参加を強く望んでいる。しかし、安倍首相は組閣後の会見で「国益を守れるか、総合的に検討していく」と述べるにとどまった。自民党の石破茂幹事長は、7月の参院選までに党の方針を決める考えを示した。首脳会談での参加表明には慎重な姿勢がうかがえる。
 新政権に参加をためらわせている最大の要因は、農業界の強い反発だ。総選挙で農業票を得るため、「TPP反対」を訴えた自民党の衆院議員は少なくない。
 しかし、交渉参加を遅らせることは、「国益」に反する。TPP交渉には米大陸やアジア太平洋の11カ国が参加し、さらに拡大する勢いだ。これらの国々との貿易・投資が国益に欠かせないことは明らかだろう。
 貿易・投資のルールを決める交渉は来年中に、正念場を迎える見通しだ。日本の主張を反映させるために残された時間は、あまりない。
 確かに、国民の間にTPP参加への不安があることは否めない。「コメ農家が壊滅する」「食の安全が脅かされる」「医療格差が広がり、弱者が切り捨てられる」といった心配が、その代表例だろう。政府はそうした不安を解消するため、国民に対して説明を尽くすべきだ。
 そもそも、「最善の国益」を求めて交渉するのが政府の職責である。守るべき「聖域」は、交渉の中で勝ち取らなければならない。そのためにも、ルールが固まる前に交渉に参加する必要がある。最悪の事態を想定し、交渉参加を先延ばしするのは本末転倒といえる。
 それでも、関税化をめぐる交渉次第では、国内農業に影響が出る可能性はあるだろう。しかし、国内で維持すべき産品に関しては、所得補償の工夫で保護する手立てがある。国際競争力を高めるための構造改革も急がなければならない。
 第2次安倍内閣で農相に就任した林芳正氏は、農水族ではない。農業界とのしがらみがないだけに、思いきった取り組みを期待したい。林農相は早速、ばらまきとの批判がある戸別所得補償制度の見直しを表明した。農業強化策を早急に打ち出し、交渉参加の環境を整えてほしい。
 アジア太平洋地域では、TPP以外にも日中韓自由貿易協定(FTA)など複数の経済連携の取り組みが進む。そうした交渉を主導していくためにも、TPPに参加することで発言力を高める必要がある。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130219/biz13021903180008-n1.htmより、
産経新聞【主張】春闘と賃上げ 経営者の「覚悟」が必要だ
2013.2.19 03:17 (1/2ページ)

 春闘本番だが、経営側が賃上げに対して慎重なのが気がかりだ。安倍晋三首相が経済団体トップと会い賃上げを要請したものの、経済界は「最終的には個々の企業判断」として前向きな回答を示さなかった。
 従業員の賃金が増えない限り、個人消費の回復にはつながらない。業績が改善している企業の経営者は、積極的にボーナスを含めた賃上げに応じる姿勢を見せてほしい。それが、デフレ脱却の一歩にもつながるはずだ。
 今春闘に臨む経団連の基本方針は「ベースアップ(ベア)を実施する余地はなく、定期昇給の実施が主要な論点になる」と定昇の凍結などもあり得るとする厳しい立場だ。円高修正で業績が改善している企業でも、ボーナスの積み増し交渉にとどまっている。
 輸出企業の経営者からみれば、円安になっても海外需要が不透明な中で、どこまで自社の業績が回復するか確信が持てないのだろう。まして日本国内を中心とするサービス業などは、人件費の増加につながる賃上げには踏み切りたくないのが本音だ。
 しかし、名目賃金は平成9年以来、下落傾向が続いている。世界景気の回復と円安によって企業業績が回復した16~19年当時も、賃金はほとんど上がらなかった。雇用確保を優先し、賃上げに労使とも消極的だったためだ。消費者が景気回復を実感できなかったのは当然である。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130219/biz13021903180008-n2.htmより、
2013.2.19 03:17 (2/2ページ)
 安倍首相が経営者に積極的な賃上げを求めたのも、この時の思いがあるからではないか。
 大胆な金融緩和と積極的な財政出動、それに成長戦略の「三本の矢」でデフレ脱却を図るアベノミクスは、国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費が回復しなければ実現できない。
 個人消費の動向の鍵を握るのが賃上げだ。中小企業などでは余裕のない面もあるだろうが、経営者には「日本経済の再生」という大きな観点でこたえてほしい。
 労組にも注文しておきたい。企業収益を継続して高めるための雇用制度の改革への協力だ。
 賃上げ確保のためには、収益を安定して向上させねばならない。硬直的な人事や賃金制度を排し、若年者の雇用増が不可欠だ。正社員の厳しい解雇規制の緩和も課題となる。労組側にも経営側と同じ覚悟が求められる。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013021802000138.htmlより、
東京新聞【社説】企業と賃上げ 中間層復活の役割担え
2013年2月18日

 安倍晋三首相が経団連などに賃金を引き上げるよう求めた。労働者の懐を温めてデフレから脱却することが狙いだ。企業には所得増→内需拡大→企業業績好転の好循環を引き寄せる重い役割がある。
 ボーナスなど、すべての給与を合わせた二〇一二年の給与総額(月平均)は前年比0・6%減の三十一万四千二百三十六円で、一九九〇年以降の最低水準。ピーク時の九七年に比べ約五万七千円も減っている。
 厚生労働省の調査結果であり、懐の寂しさを象徴する数字といえる。十年以上にもわたって名目賃金が下がり続けているのは、先進国の中では日本だけだ。消費が縮んでデフレ・低成長が常態化するのも当然と言わざるを得ない。
 家計の年収の分布は六百五十万円台以上が減って、六百万円台以下が増える低層化が著しい。消費性向の高い中間層がすっかり傷んでしまった。中間層とは「自ら働いて、人間らしい生活を営める所得層」を指すが、深刻なのはその中間層だけにとどまらない。
 生活保護世帯の中で大幅に増えたのは母子世帯などではなく、就労可能層を含む「その他世帯」だ。三人に一人に膨らんだ非正規労働者を中心に、賃金を抑え込まれて食べていけなくなっている。これではデフレ脱却は望めない。
 安倍首相は経団連などに、業績が改善した企業から賃金を引き上げるよう要請した。賃上げは個別企業ごとに決めるべきものだが、デフレから抜け出すにはやむを得ないというべきだろう。
 その根っこにあるのが、現預金二百兆円をゆうに超える企業の内部留保だ。麻生太郎財務相も「企業は給料に配分せず、ため込んできた」と経済界に賃上げを迫っているが、経団連の米倉弘昌会長らは「景気がよくなれば」などと腰を引いている。今春闘も退職金などに反映される定期昇給やベースアップを拒み、一時金や賞与の増額で収拾を図りたいようだ。
 オバマ米大統領は一般教書演説で経済再生に向け中間層の底上げを最優先課題に掲げた。安倍首相も中間層復活を日本再生の原動力として明確に位置づけるべきだ。
 経団連は基本方針に「企業は雇用の維持・拡大を実現し、国民生活を豊かにする役割を果たしている」と明確に記している。ならば手元資金をため込む内向きの経営を排し、稼いだ富のうち労働者の取り分を示す労働分配率を引き上げる度量を示してほしい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130211k0000m070075000c.htmlより、
社説:13年春闘 働く人に希望を見せよ
毎日新聞 2013年02月11日 02時32分

 賃金は15年前から下がり続け、非正規雇用は全体の3分の1を占めるまでになった。春闘の存在感が薄くなったと言われて久しい。しかし、今年はデフレ脱却を目指す安倍政権の経済政策で企業業績に薄日が差し、連合は非正規社員の待遇改善を初めて前面に掲げての春闘だ。ちょっと期待してみたい。
 経営側の財布のひもが固いのは、日本の給与水準がすでに世界トップレベルで、賃上げは社会保険料も連動するため国際競争力の足を引っ張るとの考えが根強いからだ。円安・株高が続いたとしても具体的な成果が表れるのは先で、すぐに賃上げなどできないという。
 連合は今春闘で定期昇給の維持に加え、賃上げ・労働条件の改善として給与総額の1%を目安に配分を求めている。デフレ脱却には内需の6割を占める個人消費が増えなければならず、それには所得増が不可避だ。円安は輸出型産業には追い風だが、エネルギーや食料品は値上がりし、国民生活には打撃となる。物価だけ上がって賃金が置き去りにされたのではデフレ脱却など絵に描いた餅に終わる、というのだ。
 安倍晋三首相も「業績が改善している企業には報酬の引き上げを通じて所得の増加をお願いしていく」と踏み込み、日本銀行審議委員も「物価2%上昇を目指すには4%程度の賃金の伸びが必要」と語るなど、賃上げを求める声は強まっている。
 それでも経営側が慎重なのは、4月から雇用関係の改正法が相次いで施行され人件費増に対応する必要に迫られるからでもある。改正高年齢者雇用安定法では企業に希望者全員の65歳までの雇用確保が義務付けられる。また、改正労働契約法では非正規社員の通勤手当などをめぐる差別待遇禁止や無期雇用への転換が促されるようになる。少しくらい業績が改善しても賃上げする余裕はないというのが本音だろう。
 連合は大手と中小企業の格差是正、非正規の正社員化へのルールや昇給制度の明確化、社会保険適用拡大なども今春闘の重点要求項目に掲げた。大企業の正社員中心の連合が非正規の改善に本格的に取り組む意味は大きい。社会全体から見た優先課題はここだ。個人消費が拡大しないのは低賃金とともに将来不安から少ない収入を貯蓄に回しているからでもある。経営側も協力して非正規社員の改善に取り組むべきだ。
 これまで春闘をリードしてきた企業が国際競争で苦戦するのは分かるが、業績を伸ばしている企業まで横並びで賃金を抑制するのは納得できない。企業の内部留保はこの数年膨らみ続けてもいる。働く人に将来の希望を実感させてほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013020402000124.htmlより、
東京新聞【社説】春闘スタート 労使ともに発想変えよ
2013年2月4日

 デフレ脱却を掲げる安倍政権が積極的な経済政策を打ち出す中で、今年の春闘が始まった。物価上昇だけでなく賃金や雇用の改善も伴う望ましい景気回復に向け、労使が議論を深めてほしい。
 先進国で十年以上も平均賃金(名目)が下落基調にあるのは日本だけである。この間、企業は利益が出ても賃金を抑えてきた。それが消費市場を一段と縮め、企業の値下げ競争を激化させ、デフレと低成長が常態化している。
 連合は今春闘で「個人消費を拡大させるには賃上げが必要だ。それがデフレ脱却につながる」として、定期昇給とは別に、給与総額の1%引き上げを要求している。
 対する経団連は「雇用確保が最優先でベースアップの余地はない」と反論し、定昇すら「凍結や延期もあり得る」と強硬で、労使の主張に隔たりは大きい。
 ここ数年は「雇用か、賃金か」の二者択一を迫られ、労働側は賃下げを受け入れてきた。しかし、今春闘はそんな従来型の労使交渉から抜け出すべき時である。安倍晋三首相は緊急経済対策を発表した先月の会見で「企業収益を向上させ、雇用や賃金の拡大につなげたい。経営者にも協力いただきたい」と経営側に要請した。賃上げや雇用を増やした企業には法人税を軽減する制度もつくった。
 政府・日銀は2%のインフレ目標を決めており、物価上昇に賃上げや雇用の改善が続かないと国民生活は苦しくなるだけだ。そこで今春闘で議論すべきは、単年の賃上げ交渉に加え、企業の成長や業績拡大に向けた労使協調である。
 グローバル競争の激化を直視し、勝てる分野に事業を選択集中する。これまでは「社内失業」などを抱え、非効率な事業も温存させてきたが、教育訓練などで労働の有効活用や流動化に力を入れる。業績が好転すれば賃金を引き上げるルールも明確にする。
 四月に始まる希望者全員の六十五歳までの再雇用についても、労使は経営改善につながるよう知恵を絞ってほしい。
 旧態依然の春闘はほころびが目立つ。例えば、円高やアジア諸国の追い上げで国際競争力が落ちた金属・機械産業が相場形成をリードする方式はもはや限界であろう。
 正社員中心にも無理がある。働き手の三割以上となった非正規の待遇改善にもっと力を入れるべきだ。消費拡大など強い経済の実現には、非正規も含めた労働者全体の底上げが必要だからである。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130201/biz13020103140008-n1.htmより、
産経新聞【主張】春闘 デフレ脱却に労使連携を
2013.2.1 03:14

 春闘が事実上、開幕した。労働組合側が定期昇給を含めた賃上げを求め、経営側は雇用の維持を優先して賃上げに厳しい姿勢で臨む構図は今年も変わらない。
 業績格差が広がる中で、業界横並びでの賃上げが見込めないのは当然だ。しかし、経済再生を掲げる安倍晋三政権は、デフレからの脱却を最重要課題として位置付けている。そのためにも、個人消費を活性化させなければならない。
 業績が堅調で、賃上げできる余力のある企業まで消極的な姿勢にとどまるとすれば見逃せない。デフレ脱却に向け、労使で何ができるかを協議する「実のある交渉」を進めてほしい。
 連合は、毎年賃金が上がる定期昇給の維持や手当の増加などで「給与総額の1%アップ」を要求している。これに対し、経団連は雇用確保のためには各社の業績に応じ、定期昇給の実施延期や凍結などもあり得るとの立場だ。双方の隔たりは大きい。
 安倍政権が日銀と2%の物価上昇率目標を設定し、円高の是正や株価上昇が続くなど景気回復期待が高まっている。連合の古賀伸明会長が「デフレ脱却には賃金の引き上げが欠かせない」と強調するのも、こうした機運をとらえて経営側から賃上げ回答を引き出したいとの思惑からだろう。
 安倍首相も経営者に対し、賃上げで協力するよう期待している。来年度の税制改正大綱には、賃金や雇用を一定程度増やした企業に対する減税措置なども盛り込まれた。先行きの不透明感は拭えないが、経営者は従業員の士気を高めるためにもボーナスを含め適切な賃金配分に努めてもらいたい。
 一方で、企業の競争力を高めるには年功型賃金や人事の見直しに取り組む必要がある。女性や高齢者の活用も欠かせない。多様な働き方を導入することで生産性を高め、企業業績を向上させてほしい。これには、組合側の積極的な協力が不可欠だ。
 今年4月には、企業に希望者全員を65歳まで雇用することを義務づけた「改正高年齢者雇用安定法」が施行される。経団連は人件費の上昇を理由に中高年の賃金や新卒採用の抑制が必要としている。不毛な世代間対立を生まないためにも、労使は今回の春闘を独自の成長戦略を打ち出す契機とすべきである。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130219k0000m070102000c.htmlより、
社説:視点…還暦のテレビ=論説委員 重里徹也
毎日新聞 2013年02月19日 02時30分

 ◇顔が見える作り手を
 日本でテレビ放送が始まって今年2月で60年になった。
 このところ、「テレビ離れ」の声をよく聞くが、NHK放送文化研究所の調査では昨年11月の週平均1日当たりのテレビ視聴時間は3時間47分(録画含まず)。横ばいから漸減傾向とはいえ、日本人は相変わらず長時間、テレビを見ている。
 一方で、録画視聴が増えているのが近年の特徴だ。同研究所の調べでは、日常的にテレビ番組を録画再生して見ている人は40%にのぼる。若い世代で、この傾向は強かった。
 通信技術や受像機の発達など、取り巻く環境が大きく変化しているが、創造的な番組を制作するためには何が必要か。三つの論点を挙げたい。
 まず、人気のあるマンガやミステリーを原作にしたものが多く、テレビドラマからオリジナリティーが失われているのではないかといわれることだ。もちろん、優れた物語があるのなら、テレビが使うことは一向にかまわない。ただ、山田太一、倉本聰、向田邦子、市川森一の各氏らの仕事を思い返せば、テレビから独自の物語を生みだすこともぜひとも必要だろう。
 丹羽美之・東大准教授(メディア論)は「リーガル・ハイ」の古沢良太さんや「カーネーション」の渡辺あやさんを挙げ、「才能のある脚本家は出てきている。放送局がおおいに育ててほしい」と要望する。
 ドラマの作り手の顔が見えにくくなっているのではないか。個性的な作り手が求められるのはドラマに限らない。バラエティーにもドキュメンタリーにも、もっとほしいところだ。
 ネットとテレビの関係もしばしば論じられる。ツイッターなどの投稿を生かせば、視聴者の参加も容易で双方向の放送ができる。ただ、投稿にばかり目がいって、出演者の会話がはずまないならば、本末転倒だ。ネットに使われるのではなく、多くの投稿を活用して、ネットを使いこなすことが必要だ。
 テレビ番組への本格的な批評が求められているという意見もよく聞く。他の表現(文学や美術、演劇、音楽)と比べても、全く物足りない。批評のないジャンルは衰退するだろう。録画が盛んになった現在、すでに放送された番組への批評はますますニーズがあると考えられる。
 中身への批評がほしいと指摘するのは放送作家の石井彰さんだ。番組の面白さや深さ、美点や貧しさがもっと論じられるべきだろう。活字メディアもテレビ番組の批評を増やしたい。優れた番組を評することは、時代を語ることに通じるはずだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51275500S3A200C1EA1000/より、
日経新聞 社説 4Kテレビを成功させるには
2013/2/2付

 日本のテレビが放送開始60年を迎えた。白黒からカラー、ハイビジョンへと進化してきたが、総務省は還暦にあたり、「4K」と呼ばれる次世代放送を来年7月から始める方針を示した。しかし日本では地上デジタル放送への移行を終えたばかりであり、新技術導入には周到な準備が必要だ。
 4Kテレビはフルハイビジョンの4倍の解像度を持ち、水平画素数が約4000あることからそう呼ばれる。もともと2016年の放送開始を予定していたが、インターネットで視聴できるスマートテレビが登場したことなどにより、2年前倒しを決定した。
 4K放送は現在の地上波では送れないため、スカパーJSATが管理するCS放送の基盤を利用する。受信するには高精細の次世代テレビを新たに購入する必要がある。日本の家電メーカーは4K技術で世界に先行しており、新しいテレビ市場が期待されている。
 総務省は14年夏にブラジルで開かれるサッカーのワールドカップ(W杯)を4K中継する計画で、次世代放送を立ち上げるには格好の機会だと判断した。技術開発や推進母体の設立に向け、12年度補正予算で31億円を計上した。
 だが国内テレビ市場はデジタル化に向けた家電エコポイント制で需要が大幅に先食いされている。地デジ移行で空いた電波を使って始めた携帯向け放送も離陸していない。業績不振のメーカーには新放送は魅力的だが、視聴者の需要をどう喚起するかが問われる。
 海外では韓国が4Kの試験放送を始めており、技術の国際標準化やスマートテレビとの技術融合も重要だ。NHKはより高精細のスーパーハイビジョン放送を20年から始める計画だったが、総務省はそれも4年前倒しを求めており、放送局側の入念な準備が要る。
 ネットによる動画配信の普及で最近は若者などのテレビ離れが指摘される。4Kテレビを成功させるには、放送だけでなく、ネットと連動した魅力ある番組作りができる環境整備が求められる。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年2月1日(金)付
テレビ60年―世界で見られる番組を

 国内でテレビ放送が始まってから、2月1日で60年になる。
 若者のテレビ離れがいわれて久しい。だが、NHKの調査で国民全体では平日に平均3時間28分と、今も最も見られているメディアだという。
 テレビが放送される電波は周波数に限りがある公共財だ。国から免許を得て電波を使っている放送局には、それを役立たせる社会的な責任がある。
 だがチャンネルをかえても、毒舌のゲストやお笑い芸人、若いタレントがならぶ番組ばかりじゃないか。そんな不満が世間に広がっている。
 テレビ局の収入増につながる視聴率にあまりにとらわれる現状は、いびつと言うしかない。
 「視聴率と性別・年代別のターゲットに振り回されている」「(人気ものをそろえる)吉本興業のタレントを出演させないぐらいの決断をしないと、変わらない」
 評論家の言葉ではない。民放キー局の役員たちから漏れ出る本音だ。一方で、高齢の視聴者が多く、若者に見てもらいたいNHKには「民放化している」「番組の宣伝が多すぎる」という批判が根強い。
 一番見られているメディアとはいえ、調査会社によると、午後7~10時の総世帯視聴率(関東地区)は昨年、63・9%に減った。10軒に4軒近くは見ていない計算だ。
 茶の間で家族そろって同じ番組を見る。そんなかつての生活のあり方が様変わりした。本を読んだり、スポーツで汗を流したり。思い思いの時間をすごせるのは豊かさともいえる。
 日本が世界2位という新聞や雑誌、ゲーム、映画、音楽などのコンテンツ市場で、売り上げが最も多いのは地上テレビ番組だ。国内で満足していたテレビ局が番組輸出に力を入れだしたのは、広告収入が落ちこんだ最近になってだ。
 2010年度の番組輸出額は63億円で、うち半分近くをアニメが占める。国をあげて支援する韓国は05年に日本を逆転し、10年には165億円になった。
 日本の番組輸出で最近の成功例といわれるのが、80カ国・地域に販売されたTBSのドラマ「JIN―仁―」だ。日本で好評だった作品が、外国の視聴者に届く王道をいった。
 補正予算で、番組の海外への普及に前例のない170億円が計上された。字幕や吹き替えを半額ほど補助し、国をこえる共同制作を支援する。番組の輸出は日本への理解も増す。そんな番組を作る力をつけることが、質の向上にもつながる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130219k0000m070108000c.htmlより、
記者の目:個人情報保護法成立10年=青島顕
毎日新聞 2013年02月19日 00時00分

 ◇血の通った適用へ見直しを
 先月発生したアルジェリアでの人質事件で、日本政府は犠牲者の氏名を帰国まで発表しなかった。01年の米同時多発テロで長男が行方不明になった時、氏名公表に同意した東京都目黒区の住山一貞さん(75)は「私の時は名前が出るのが当然の流れだったが、個人情報の問題も出てきたからでしょうか」と話す。10年前の03年に個人情報保護法や関連法が成立してから、氏名に対する社会の見方が変化してきた。行政機関もそうだ。
 だが、その中に行き過ぎた対応事案はないだろうか。「守るべきものは何か」。その原点を確かめたい。

 ◇個人情報遮断で本人に不利益も
 昨年、東京都内の1人暮らしの友人が倒れたと聞いた。アパートを訪ねたが、隣人や大家も、救急搬送を要請した不動産業者も運ばれた病院さえ知らなかった。業者は「消防署に聞いても『個人情報だ』と教えてくれない」。東京消防庁は、都条例に沿って「本人の同意がなければ個人情報は原則として誰にも教えられない」との立場だった。
 年が明けて回復した本人と連絡がついたが、意思表示できない状態が続いていたらどうなっていただろう。本人もその点に懸念を示した。個人情報保護による情報遮断の間に、本人に不利益が及ぶ恐れはなかっただろうか。
 個人的な話だけではない。川崎市高津区の佐藤知也さん(81)は先月、「ご遺族を探すには最後の機会。このままでは平壌(北朝鮮)に眠る霊が浮かばれない」と厚生労働省の担当者に訴えた。佐藤さんは父親が平壌の日本人会の世話役だったため、郊外の墓地に眠る2421人の名簿を持っている。墓参希望者を探しているが、連絡が取れたのは20遺族程度。厚労省に引き揚げ者関係の名簿類の提供を求めたが、担当者は「この墓地の遺族情報を持っていないし、引き揚げの死亡者情報は遺族の心情を考慮して一般に公開しない」と言う。
 シベリア抑留を研究する富田武・成蹊大教授らは昨年、厚労省が保管する約51万人の抑留者の「登録簿」などの提供を求めたが、認められていない。登録簿には、ソ連の収容所係官が作成した抑留者名、住所、生年、家族構成などが載っている。抑留の実態解明に不可欠だが、厚労省は本人か遺族にしか渡していない。
 行政機関個人情報保護法は学術研究目的や特別の理由があれば行政保有情報の提供を認めているし、「個人情報」を「生存する個人に関する情報」と定義している。死亡者の登録簿を研究者に提供する法的支障はなさそうだが、同省は「死者であっても個人の情報は情報公開法上、第三者に開示できない」と、別の法令を基に主張する。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130219k0000m070108000c2.htmlより、
 実は、一連の法規ができる前の00年、厚労省は登録簿の情報の一部を「第三者」の村山常雄さん(87)=新潟県糸魚川市=に提供した。4年間抑留された村山さんは1人で死亡者名簿を作っていた。
 91年に来日したゴルバチョフソ連大統領(当時)が持参し、新聞に載った約3万人の名簿が知られていたが、片仮名表記のうえ間違いが多かった。収容所の係官が慣れない日本名を聞き取り、キリル文字で記録した名簿の音訳だったからだ。
 村山さんは死者への冒とくだと感じた。別のロシア政府提供資料に抑留者本人の署名があることを知り、「漢字氏名が分かるはず」として厚労省に提供を求めた。同省は「プライバシー保護の観点から閲覧許可はしていない」と渋ったが、意義を主張し続け、ようやく約3万人分の漢字氏名を確認させてもらったという。村山さんは個人情報保護法施行後の07年、漢字表記の3万2000人を含む死亡者名簿を出版した。「反対や非難は一つもなく、ご遺族ら数百人から支持と感謝の声をいただいた」という。
 一方、厚労省のホームページには今も片仮名の名簿が載る。同省業務課調査資料室は「片仮名名簿は新聞にも載った公知の事実だが、それ以外の個人の情報は公表できない」と説明する。

 ◇隠すことだけに意を向ける行政
 個人情報保護法や関連法の目的は、個人の権利利益の保護。だが、個人名を隠すことばかりに気を取られ、本質的な目的を忘れた対応がはびこっている気がしてならない。情報法に詳しい鈴木正朝新潟大教授は「名刺など名前の情報は隠される一方で、ポイントカードやネット上の売買を通じてプライバシー情報が他者に簡単に渡っている」と法の不備を指摘する。
 10年たった今、個人情報保護法と関連法は、血の通った見直しに取り組む時期だと感じる。(東京社会部)