TPP参加表明 「夏の参院選まで先送り」?

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51871990Z10C13A2EA1000/より、
日経新聞 社説 安倍首相にTPP決断を迫る米欧連携
2013/2/19付

 米国と欧州連合(EU)が幅広い経済連携を目指して、自由貿易協定(FTA)交渉を始めることになった。安倍政権は、米欧が急接近する理由と日本やアジアへの影響を正しく読み取り、民主党政権下で停滞していた通商政策を立て直さなければならない。
 日本にとっては、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加が待ったなしになる。次世代の通商のルールづくりが米欧の主導で進めば、日本に不利な仕組みが出来上がりかねない。環大西洋の動きに合わせて、環太平洋でも日米を軸に連携を急ぐ必要がある。
 米欧間の貿易自由化の構想は、1990年代から何度も浮上したが、実現には至らなかった。それぞれ守りたい分野で関税を残しているほか、安全や環境をめぐる技術基準や投資規制など、米欧の制度の隔たりが大きいためだ。
 違う仕組みで動く2つの巨大経済圏を統合する交渉は、容易ではない。実現には痛みを伴う構造改革が必要となり、米欧ともに域内の政治コストは大きい。それだけに、構想を実行に移せる政治指導者は、これまでは現れなかった。
 痛みを覚悟で両者が交渉に踏み切るのは、経済成長の活路を自由貿易に見いだしているからだ。ユーロ危機に伴う緊縮財政で、欧州は内需の成長が見込めない。リーマン・ショックの後遺症が残る米国は輸出への期待が大きい。
 世界経済を支える柱である先進国として、米欧は必死に成長を模索している。その危機感を日本は共有しているだろうか。
 今週訪米する安倍晋三首相は日米首脳会談で、TPP交渉の過程で関税撤廃に例外品目を設ける可能性を探るという。経済大国の政治指導者が語る通商政策として、いかにも小さいのではないか。
 FTA締結で環大西洋の貿易・投資を増やすだけでなく、米欧の関心は、成長力が旺盛な東アジアにも向いている。米欧には環大西洋の連携をテコに、アジア各国に自由化を促す狙いもある。
 とりわけ自国の利益を優先する中国を国際ルールの枠組みに取り込む努力は、日米欧が協調して取り組むべき課題であるはずだ。中国も加盟する世界貿易機関(WTO)協定は、導入から20年近くたち時代遅れとなりつつある。新しい通商秩序を築く時が来ている。
 TPPはその次世代のルールの土台となる可能性が大きい。早急な交渉参加が日本の責任である。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130217/fnc13021703140000-n1.htmより、
産経新聞【主張】TPP交渉 決断し「新しい自民」示せ
2013.2.17 03:12

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加問題で、いま問われているのは、安倍晋三首相自身のリーダーシップなのである。
 首相は、ワシントンで22日(現地時間)に行うオバマ米大統領との初の首脳会談に合わせて交渉参加を決断し、「新しい自民党」を国民に示す必要がある。
 懸念されるのは首脳会談を前にした自民党の動きだ。党の外交・経済連携調査会がTPPに関する基本方針をまとめたが、これは米国側が「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する」とした昨年末の衆院選公約堅持を改めて確認したものだ。
 だが、これは票と既得権益で特定業界と結びついた、いわゆる族議員が幅をきかせた、かつての自民党ともダブる。それが国内改革を滞らせてきた側面もある。こうした状況が続けば、内実に乏しい「新しい自民党」に失望する有権者も少なからず出てこよう。
 首相も首脳会談では米国の感触を探るにとどめる構えのようだ。「聖域の設定」が可能と判断した場合の交渉参加にも含みを持たせているが、7月の参院選に向け、農業団体や日本医師会などへの配慮が発言ににじむ。首相としてあまりにも消極的ではないか。
 首脳会談の最大の眼目は、民主党政権下で亀裂が入った日米関係の修復と強化だ。TPPはオバマ大統領が一般教書演説で「交渉妥結をめざす」と明言するほど力を入れるテーマなのだ。
 TPPは、中国の動きが活発化するアジア太平洋地域の経済秩序形成のカギとなる。中国をにらんだ場合、日本にも大きなメリットがあることを忘れてはならない。首相が目指す脱デフレにも、アジアの活力を取り込み、成長戦略の柱とする国内の規制改革を進めるてこになり得る。
 政府の規制改革会議では、保険外診療を併用する混合診療の拡大や、農業への参入規制緩和などが議論される。医師会や農業団体の反発は必至だ。それらに抗せないのなら、金融緩和や財政出動で一時的に景気は浮揚しても、日本再生という大きな目的は、とうてい達成できまい。
 TPP参加の前段階である交渉に加わるかどうかの議論でさえ、特定団体への配慮で立ち往生するようでは、安倍政権の成長戦略の先行きは危うい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年2月15日(金)付
TPP交渉―主体的に関わってこそ

 米国と欧州連合(EU)が、自由貿易協定(FTA)に向けて協議を始める。
 世界貿易機関(WTO)を舞台にした多国間交渉が暗礁に乗り上げた後、さまざまな国や地域が、FTAや、より幅広い経済連携協定(EPA)の交渉を進めている。
 合わせて世界の国内総生産の5割を占める米国とEUの動きは、通商ルール作りを両者が主導し、「世界標準」を決めてしまおうという狙いだろう。
 世界3位の経済大国として、海外との通商を基盤に発展してきた国として、日本はこの流れにどうかかわっていけるか。
 EUとの間では、近くEPA交渉に入る。米国と向き合う場は、環太平洋経済連携協定(TPP)である。
 まもなく日米首脳会談が開かれる。絶好の機会ではないか。安倍首相は交渉への参加を表明すべきだ。
 当事者となってTPPの実態をつかみ、わが国の利害を反映させる。農産物などの関税引き下げに加え、サービスや投資など20を超える交渉分野全体で利害得失を見極め、実際に加わるかどうかを決める。
 これが基本だ。恐らく、首相もわかっているのだろう。
 ところが、総選挙で自民党が掲げた「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」という公約に沿って、オバマ米大統領との会談で自ら感触を得た上で判断する、と繰り返している。
 農協はTPPに猛反対している。夏の参院選で農業票を失いたくない。オバマ氏から何らかの発言を引き出し、農業関係者への説明に使いたい――。首相の狙いはこんなところか。
 TPPは、関税交渉では「全ての品目を対象にする」のが原則だ。ただ、「完全撤廃」とは限らない。
 当の米国が、豪州と締結したFTAで砂糖の輸入関税を残すことになっているのを踏まえ、「TPPでは再交渉しない」としているのが好例だ。
 昨年秋からTPP交渉に加わったカナダは鶏肉や乳製品の農家を関税などで保護している。かつてこの仕組みの維持を前提に交渉への参加を模索したが果たせず、「すべてを交渉のテーブルに乗せるが、譲歩すると約束したわけではない」との姿勢に転じ、認められたという。
 交渉の現状を見すえつつ、あとは自らの交渉力次第、ということである。
 首相は、オバマ氏の言質を取ろうと躍起になるより、新たなルール作りに主体的にかかわっていくべきではないか。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130215k0000m070119000c.htmlより、
社説:TPP交渉 参加を決断する時だ
毎日新聞 2013年02月15日 02時31分

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加に向け、残された時間が少なくなってきた。政府与党内では、参加の是非を巡る綱引きが続くが、決断が遅れるほどTPPの貿易・投資ルールに日本の意向を反映しにくくなる。
 安倍晋三首相は、今月下旬に予定されるオバマ米大統領との首脳会談で参加の意向を示すべく、リーダーシップを発揮すべきだ。
 自民党の外交・経済連携調査会は、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する」という「基本方針」をまとめた。衆院選の公約を再確認する内容だが、交渉参加の余地を残したことで、参加表明に向けた環境整備がわずかに進んだ格好だ。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、成長戦略を「三本の矢」のひとつに位置づけている。経済が成長するには、日本の企業や事業者の活躍の場を潜在力豊かなアジア太平洋地域に拡大する必要がある。そこでの貿易や投資のルールを決めるTPP交渉への参加は、「アベノミクス」のためにも不可欠といえる。
 もっとも党内には、農業団体などの意向を反映した強い反対論がある。7月の参院選を不利にしたくないとの思惑から、決断の先送りを求める声も根強い。
 しかし、それでは時間切れになりかねない。米国はじめ交渉に参加している11カ国は、今後、3、5、9月に会合を重ね、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPP協定に基本合意することを目指している。
 今回の日米首脳会談後に日本が交渉参加を表明したとしても、米国には新しい参加国を認める手続きに議会が90日以上かけるルールがあるため、交渉のチャンスは9月の1回しかない。参院選後にずれ込めば、その機会も失われることになる。
 もちろん、基本合意が遅れる可能性はある。与党内には、それを見越した「決断先送り論」もある。しかし、それは無責任に過ぎる。
 オバマ大統領は先日の一般教書演説で、「TPP交渉を完了する」と表明した。一般教書演説に「TPP」の言葉が盛り込まれたのは初めてで、合意に向けた大統領の強い意欲の表れといえるだろう。楽観的な「先送り論」は、協定に日本の主張を反映させる機会を奪い、国益を損なうことになりかねない。
 安倍首相は日米首脳会談で、「聖域」の余地が認められるかどうかの感触を探る意向だという。しかし、「聖域」を守るためにも早く参加し、交渉力を発揮すべきではないか。「アベノミクス」を掲げる首相の政治決断を期待したい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51378590V00C13A2EA1000/より、
日経新聞 社説 TPP交渉参加を決断し成長戦略の柱に
2013/2/5付

 安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」は、3本目の矢である成長戦略が最も重要だ。日本経済の成長を支える柱は、日本企業と日本人の活動の舞台を広げる貿易自由化である。そのためには環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に一日も早く加わる必要がある。
 自民党内には交渉参加への反対論が根強い。農業団体や医師会など、政界に影響力が強い勢力の反対運動が続いている。党内の議論は、夏の参院選で不利になりたくないとの見方に傾きがちだ。
 だが日本経済の再生は待った無しである。通商を含む外交政策は政府の決定で進めるのが筋だ。得票を気にして揺れる党内の議論に委ねず、首相自身が政策的観点から決断し、実現に向けて強い指導力を発揮しなければならない。
 2月後半の日米首脳会談での参加表明が、日本が交渉に間に合うぎりぎりの期限となるだろう。日本が参加を表明しても、すぐには交渉に入れず、米国内の手続きに最短3カ月かかるからだ。
 現在11カ国のTPP交渉国は、10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での大枠合意を目指している。今後の交渉は3月、5月、9月に開かれるが、仮に安倍首相が2月に参加を表明しても、合流できるのは早くて9月の会合からとなる。
 もし参院選まで先送りすれば、9月合流も不可能となり、APECにも間に合わない。11カ国によるTPP交渉が目標通り年内に妥結するとは限らないが、日本が不在のまま、次世代の通商秩序のひな型となる協定の骨格が固まってしまう恐れが大きい。
 昨年までの民主党政権の最大の問題は、関税撤廃に不安を抱く国内農家に対し、有効な対策を示せなかったことだ。過渡的な支援策や競争力を高める新しい農政シナリオを描かない限り、農業側はTPP反対の声を高めるだけだ。
 従来と同じ方法で手厚い保護を続けても、日本の農業の衰退は止まらない。安倍首相は、力強い成長を目指して、産業競争力会議と規制改革会議を立ち上げた。その意志を貫き、農業改革からも逃げずに真正面から取り組むべきだ。
 安倍首相は農業再生の戦略策定を国内で明確に指示し、日米首脳会談でTPP交渉に参加する意志を伝えるべきだ。参院選まで難題を先送りするなら、国民と金融市場の「アベノミクス」への期待は一気にしぼむだろう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130202/plc13020203070004-n1.htmより、
産経新聞【主張】TPPと自民党 交渉参加を前提に議論を
2013.2.2 03:07 (1/2ページ)

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への対応をめぐり自民党が近く外交・経済連携調査会での論議を始め、2月下旬の安倍晋三首相の訪米までに提言をまとめるという。
 懸念されるのは、党内に交渉参加への反対論が根強い中で首相の手足を縛るような提言になることだ。日本の参加を期待するオバマ大統領との首脳会談にも悪影響を与えかねない。
 こうした党側の圧力に、首相の腰が定まっていないことも問題だ。首相はテレビ番組で「参院選前に方向性を示したい」と述べた2日後には国会で「時期は決めていない」と修正した。
 農協など支持団体の意向を背景とした反対一辺倒の議論がまかり通るなら、難しい調整を乗り越えて国益を守るべき政府・与党の責務は果たせない。
 昨年の衆院選で、農協側の政治組織は、TPP参加阻止に合意した候補160人を推薦したが、その9割は自民党だ。すでに参院選を見据えて「与党内での反対勢力拡大」の方針を決め、支援した議員らにクギを刺している。
 参院選勝利という課題があるのだろうが、首相には、特定の支持団体に重要政策の決定を左右される古い政治の構図を断ち切れるかどうかの覚悟が問われている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130202/plc13020203070004-n2.htmより、
2013.2.2 03:07 (2/2ページ)
 参加国が関税や市場参入の障害となる規制などを撤廃し、自由貿易圏形成をめざすTPPへの参加は、日本がアジア太平洋地域の成長力を取り込む上で不可欠だ。
 これは「脱デフレ三本の矢」の1つとして規制緩和・撤廃を柱とする成長戦略を掲げる首相の経済政策と軌を一にする。他の2本の矢の金融政策と財政政策が好発進した後だけに極めて重要だ。
 自民党の議論で前提とすべきは、あくまでも「交渉参加」だ。そのうえで、TPPから日本が得られるプラスを最大にし、マイナスを最小に抑える農業政策などの具体策を練ることこそ必要だ。農地の集約化や農業への企業参入といった規制緩和推進など「攻めの農業」への転換も急務だ。
 参加によるデメリットなど、入り口の議論にばかり時間を費やしていては、結論先送りの口実にしているとみられよう。米国などは今秋の基本合意を目指し交渉を先行させている。このままだと、日本は結局、「蚊帳の外」で終わりかねない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130109/plc13010903080008-n1.htmより、
産経新聞【主張】TPP参加 首相の指導力が問われる
2013.1.9 03:08

 新年早々、安倍晋三首相の指導力が問われる事態を迎えている。
 首相の訪米は、2期目の就任式などを控えたオバマ大統領の日程上、難しいとされ、2月にずれ込んだ。問題は、日米首脳会談の焦点となる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加反対論が自民党内で再燃していることである。
 首相は反対派を説得して党内をとりまとめるべきだ。訪米前に参加方針を決断しなければ、同盟の危機は乗り越えられない。
 TPPには、自由貿易や民主主義を掲げる国々を結集させる戦略的意味がある。対抗する中国は米国抜きの枠組みを画策している。さらに尖閣諸島周辺の領海侵犯を繰り返す中国に対しては、「日米同盟の強化」で対応することが安倍政権の最優先課題だ。
 安保と貿易・経済上の意義を併せ持つTPP交渉への積極参加は、首脳会談を成功させる不可欠の要件である。「強い経済を取り戻す」という使命を果たす上でも極めて重要だ。
 首相と大統領は12月の電話会談で、訪米時にTPP問題を率直に話し合うことで合意した。安保と経済の両輪でアジア太平洋戦略を推進したい大統領が、日本の参加表明を待望していることは間違いあるまい。
 自民党は政権公約で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対」としたが、首相は昨年末に「前提条件が変われば、当然参加ということも検討の視野に入ってくる」と踏み込んだ。
 これを踏まえて高市早苗政調会長は6日に「交渉に参加しながら守るべき国益は守る、条件が合わなかったら脱退する選択肢もゼロではない」と発言した。当然なのに党内から直ちに異論が出た。
 細田博之幹事長代行は「あらかじめギロチンに首を差し出すようなことはすべきでない」と、関税撤廃の例外品目を確保せずに参加することに反対した。国益確保に全力を挙げるのは当然だが、交渉にも参加しないでいて例外は勝ち取れるのだろうか。
 反対論の背後では、有力な支持団体の農協、医師会が「国内農業や国民皆保険制度の崩壊につながる」と参加阻止を唱えている。
 参院選勝利は政権を安定させるための最大目標だ。だが、選挙支援目当てに過度な配慮で国益を損なっては本末転倒となる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20121231k0000m070058000c.htmlより、
社説:TPP参加 首脳会談で意思明確に
毎日新聞 2012年12月31日 02時30分

 来年1月に予定される日米首脳会談で、日本の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加問題が主要議題になりそうだ。安倍晋三首相は会談で交渉参加の意思を明確に示し、国内経済の活性化と日米同盟の強化を追求すべきだ。
 米国は日本の参加を強く望んでいる。しかし、安倍首相は組閣後の会見で「国益を守れるか、総合的に検討していく」と述べるにとどまった。自民党の石破茂幹事長は、7月の参院選までに党の方針を決める考えを示した。首脳会談での参加表明には慎重な姿勢がうかがえる。
 新政権に参加をためらわせている最大の要因は、農業界の強い反発だ。総選挙で農業票を得るため、「TPP反対」を訴えた自民党の衆院議員は少なくない。
 しかし、交渉参加を遅らせることは、「国益」に反する。TPP交渉には米大陸やアジア太平洋の11カ国が参加し、さらに拡大する勢いだ。これらの国々との貿易・投資が国益に欠かせないことは明らかだろう。
 貿易・投資のルールを決める交渉は来年中に、正念場を迎える見通しだ。日本の主張を反映させるために残された時間は、あまりない。
 確かに、国民の間にTPP参加への不安があることは否めない。「コメ農家が壊滅する」「食の安全が脅かされる」「医療格差が広がり、弱者が切り捨てられる」といった心配が、その代表例だろう。政府はそうした不安を解消するため、国民に対して説明を尽くすべきだ。
 そもそも、「最善の国益」を求めて交渉するのが政府の職責である。守るべき「聖域」は、交渉の中で勝ち取らなければならない。そのためにも、ルールが固まる前に交渉に参加する必要がある。最悪の事態を想定し、交渉参加を先延ばしするのは本末転倒といえる。
 それでも、関税化をめぐる交渉次第では、国内農業に影響が出る可能性はあるだろう。しかし、国内で維持すべき産品に関しては、所得補償の工夫で保護する手立てがある。国際競争力を高めるための構造改革も急がなければならない。
 第2次安倍内閣で農相に就任した林芳正氏は、農水族ではない。農業界とのしがらみがないだけに、思いきった取り組みを期待したい。林農相は早速、ばらまきとの批判がある戸別所得補償制度の見直しを表明した。農業強化策を早急に打ち出し、交渉参加の環境を整えてほしい。
 アジア太平洋地域では、TPP以外にも日中韓自由貿易協定(FTA)など複数の経済連携の取り組みが進む。そうした交渉を主導していくためにも、TPPに参加することで発言力を高める必要がある。

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