日米首脳会談 TPPなおハードル

http://mainichi.jp/select/news/20130224k0000m010053000c.htmlより、
TPP:関税に「聖域」代償も…交渉参加へ
毎日新聞 2013年(最終更新 02月24日 09時21分)

 【ワシントン坂口裕彦、横田愛、小倉祥徳】安倍晋三首相は22日午後(日本時間23日午前)、オバマ米大統領との首脳会談後に記者会見し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加について「なるべく早い時期に決断したい」と表明した。帰国後の25日、「一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束することを求められるものではない」との共同声明の内容を自民、公明両党に説明し、早期参加に向けた調整を本格化させる。ただ、自民党内では反対論も根強く、米国との事前協議とあわせてハードルはなお高い。

 ◇共同声明、直前まで応酬
 ホワイトハウスで行われた約1時間50分の会談の中、TPPは後半の昼食会で議論された。これに先立ち首相は、祖父の岸信介元首相が初訪米時にアイゼンハワー大統領(当時)とゴルフをしたことにちなみ、日本製のパターをオバマ氏に贈った。「ゲット・イン・ザ・ホール(カップに入れ)」と願いを込めながら手渡した首相は、自ら「イエス・ウイ・キャン」とオバマ氏のキャッチフレーズを持ち出し場をなごませた。
 自民党は昨年末の衆院選で「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対」を公約に掲げた。党内にTPP推進派と反対派が混在する中、首相が交渉参加に踏み出すには、米側に「関税撤廃に例外がある」ことを確認する必要があった。会談のヤマ場を前にした首相の機転に、周辺は「あれでうまく昼食会に入ることができた」と胸をなで下ろした。
 首相は会談で、TPPに関する自民党の公約を説明し、自動車や国民皆保険制度などに関する党の基本方針も伝えた。そのうえで、(1)日米両国ともに2国間貿易上のセンシティビティー(敏感な問題)が存在する(2)最終的な結果は交渉の中で決まる(3)一方的に全ての関税撤廃を約束することを求められない−−ことを提起し、オバマ氏も同意した。
 米側に「例外」を認めさせ、共同声明という形にすることに成功した首相。同行筋は「声明を発表できるかは前日まで分からなかった。オバマ政権は本当にギリギリ詰めてくるからね」と振り返る。
 だが、米側もしたたかだった。日米両政府が事前の折衝で準備したのはセンシティビティーを認めつつ、「最終的な結果は交渉の中で決まる」というところまでだった。

http://mainichi.jp/select/news/20130224k0000m010053000c2.htmlより、
 会談の結果、共同声明には「2国間協議を継続し、自動車や保険部門で残された懸案事項に対処する」ことが追加された。日本は「聖域」の存在を確認できた半面、市場開放では米国から「目に見える成果」を求められた形で、経済産業省幹部は「米国の市場開放圧力はやはり強い」と漏らした。参加の前提となる米国との事前協議で、自動車や保険を巡って調整に時間がかかる可能性もある。
 自民党の高市早苗政調会長は23日、党本部で記者会見し、「(TPPに関する)政権公約の肝について明確に方針が見えた」と述べ、首相が交渉参加を決断すれば支持する意向を示した。首相は判断を政府の「専権事項」として、与党から一任をとりつけたい考えだ。今夏に参院選を控えることから、首相は農業支援策も併せて検討する。
 公明党の山口那津男代表も23日、党本部で記者団に「聖域なき関税撤廃が金科玉条のように言われていたが、一定の柔軟性があることがはっきりした。今後は実質的な議論ができるようになった」と首相を後押しした。
 とはいえ、自民党内の意見集約は容易ではない。約230人が参加する「TPP参加の即時撤回を求める会」の森山裕会長は23日、「TPPが厳しい自由化を求めるものであることが確認された。さらに議論を深める必要がある」との談話を発表。衛藤征士郎党外交・経済連携調査会長も首相一任に疑問を呈した。
 石破茂幹事長は23日、青森市内で記者団に「丁寧に丁寧に党内の意見を反映させるべくこれから先、努力する。党内の意見をないがしろにすることはない」と語った。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130224ddm003010071000c.htmlより、
クローズアップ2013:日米首脳会談 TPPなおハードル
毎日新聞 2013年02月24日 東京朝刊

 政府は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加に向けて踏み出した。日米首脳会談での共同声明は、貿易自由化交渉に反対する勢力に配慮し、日本の交渉参加入りを優先させたものだが、日米間の交渉本格化はこれからだ。また、過去の自由化交渉で事実上、例外となってきた農業分野では、日本国内に強い反発がある。TPP交渉参加国は、年内の最終合意を目指しており、残された時間はわずかだ。【川口雅浩、丸山進、小倉祥徳、ワシントン平地修】

 ◇米、自動車開放迫る かんぽ拡大阻止も譲らず
 米国は当初、日本のTPP拡大交渉参加の条件として、自動車、保険、牛肉の3分野での市場開放や規制緩和などを求めてきた。このうち北米産牛肉の輸入規制は今月から緩和されたが、残りの自動車と保険は一段の対応を求める構えを崩しておらず、交渉参加のハードルはなお高い。
 首脳会談でまとめた共同声明は、安倍晋三首相がTPP交渉に参加しやすいように、「聖域なき関税撤廃」を前提としないことを約束する「アメ」を用意する一方、日本が自動車・保険の市場開放に取り組むという「ムチ」も忘れなかった。
 米国はこれまでの事前協議で、日本の自動車市場は独自の審査制度などがあり、米国車の輸出拡大の「非関税障壁」となっていると主張してきた。日本は、外国車向けに安全性や環境性能を検査する手続きを緩めることで米国の理解を得ようとしているが、米国の攻勢は収まりそうにない。
 米政府は、日本独特の車種である軽自動車に有利な自動車税の見直しなども要求。自家用の軽自動車なら年7200円だが、普通車なら最低2万9500円で、排気量に応じてさらに高くなる。こうした制度を背景に、日本の新車販売の3割超は軽自動車が占める。大型車の多い米国車には不利な市場だ。
 日本の政府関係者は「参加表明と市場開放はセットではない」と強調するが、フロマン米大統領副補佐官(国際経済担当)は首脳会談直前の21日の記者会見で、「(日本のTPP交渉参加は)自動車業界の市場開放が重要な前提となる」とけん制した。そもそも米自動車業界は、日本のTPP参加により、輸入車にかかる関税(乗用車2・5%、トラック25%)が撤廃され、日本車の輸入が増えることを警戒しており、日本参加のハードルを高めようとする圧力が強い。米国からは、日本に対し、一定台数の米国車を輸入する枠を設けるよう求める声も消えておらず、調整は難航しそうだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130224ddm003010071000c2.htmlより、
 保険分野では、米国はかねて、政府出資が残る日本郵政傘下のかんぽ生命保険の新規事業参入に懸念を示してきた。かんぽ生命は、医療保険やがん保険などへの参入を目指していたが、これは米国勢の得意分野。全国に販売網を巡らせ、“暗黙の政府保証”による低コストの資金調達が可能とされる日本郵政グループが参入すれば、米国勢が打撃を受けかねないというわけだ。
 昨年5月には、日本郵政の斎藤次郎社長(当時)が、TPP交渉に配慮して医療保険やがん保険などに参入しない方針を示した。それでも米国側は警戒姿勢を崩しておらず、同分野に参入しないことを法律で明記するなどの担保を求めている模様だ。ただ、日本郵政の事業に過度の制限を加えれば収益性の向上が見込めなくなり、政府が目指す株式上場にも支障が生じかねない。

 ◇農業団体は反発
 全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳(ばんざい)章会長は23日、「共同声明は全ての物品が交渉の対象で、関税や非関税障壁を撤廃すると確認しており、『聖域なき関税撤廃』を前提にしたものとしか理解できない」と、交渉参加に反対する談話を発表。「政府が拙速に交渉参加を判断すれば、国益を毀損(きそん)することにつながる」と、政府・与党をけん制した。
 コメや乳製品、小麦などの一部の農産品は、日本が参加した過去の貿易交渉でも自由化の例外だった。これまで13の国・地域と締結した自由貿易協定(FTA)では、全品目の1割近い約840品目の農林水産品で関税が維持されており、TPPでは、1%程度になると見られている。ある農林水産省幹部は「TPP交渉に参加した場合、高関税を維持している品目の市場開放は避けられそうにない」と身構える。
 同省の試算では、関税が撤廃された場合、安価な輸入品の影響で、コメの生産量は約4割減少する見通しだ。砂糖や小麦、でんぷんなどは国内生産が不可能になるとみられており、製粉メーカーや精糖メーカーなどの関連産業にも影響し、207万人の雇用が減るという。農林水産品の生産額は3兆4000億円減少すると試算する。自民党内で、約230人もの国会議員が反対派議連に名を連ねるのは、こんな背景があるためだ。
 安倍首相は18日の産業競争力会議で、「大胆な対策を講じたい」と述べ、農業分野を成長産業にする改革を行う考えを示した。民間議員が農業生産法人への出資規制を緩和・撤廃し企業の本格参入を認めるように求めるなど、農業の競争力強化に向け検討が進む。しかし即効性のある特効薬はないのが現状だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130224ddm003010071000c3.htmlより、
 農水省は、生産から加工、販売までを手がける農業事業者を支援する官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構」を今年2月に設立した。食品加工で農産物の付加価値を高め、農林水産物・食品の輸出額を現在の4000億円から1兆円へ伸ばす戦略を描く。
 過去の貿易自由化交渉では、生産者対策で多額の補助金などが予算措置されてきた。競争力のある「攻めの農業」を実現できなければ、政府内で農家への所得補償(直接支払い)など、新たな農業対策が議論になるのは避けられそうにない。

 ◇参院選視野、表明急ぐ 争点化や自民内分裂恐れ−−政府
 政府は安倍首相が帰国する週明けから、TPP交渉参加への反発が根強い自民党や公明党との調整に乗り出す構え。交渉参加を急ぐのは、7月の参院選への影響を減らそうという狙いもある。
 TPP交渉には、安い農産品の輸入急増を懸念する農業団体が猛反対し、その支持を受ける自民党内でも反発は強い。選挙日程が近づくほど拒否反応が高まり、自民が党内分裂する懸念すらある。早期に農業対策などを打ち出して、反対派の動きを鎮静化できれば、「交渉参加を選挙の争点から外せる」(政府関係者)との狙いもある。
 TPP交渉への日本参加については、米国、豪州、ニュージーランド以外の交渉参加国がすでに歓迎の意向を示している。米国は、新たな国との交渉開始には議会の了承を得る必要がある。議会に通告して結論が出るまで90日かかるため、日本が交渉参加できるのは早くても6月以降になる。
 豪州、ニュージーランドは、米国が日本の参加を認めれば、それに従うとみられている。交渉会合は今後3、5、9、12月に予定されており、日本が正式に参加表明するのは、9月の第18回交渉会合になりそうだ。
 交渉参加国は、10月にインドネシアで行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に各国首脳が集まる機会をとらえて大筋合意し、12月までに最終合意にこぎ着けることを目指している。早期に交渉参加することは、自国に有利なルールを決めるためにも不可欠だ。

 ◇TPP交渉をめぐる内外の日程
06年 5月  シンガポール、チリなど4カ国間で協定発効
10年 3月  米国、豪州など4カ国を加えた拡大交渉開始
   10月  菅直人首相(当時)、交渉参加検討を表明
11年11月  野田佳彦首相(当時)、交渉参加に向けた事前協議開始を表明
12年10月  カナダ、メキシコが交渉参加。参加国は11カ国に
13年 2月? 日本が交渉参加表明
    3月  シンガポールで第16回交渉会合
    5月  ペルーで第17回交渉会合
http://mainichi.jp/opinion/news/20130224ddm003010071000c4.htmlより、
    7月  参院選
    9月  第18回交渉会合。日本が正式参加?
   10月  APEC首脳会議(インドネシア)。TPP首脳会合で交渉大筋合意?
   12月  第19回交渉会合で妥結?

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