民主党大会 「再生するのは容易ではない」

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130225/stt13022503140001-n1.htmより、
産経新聞【主張】民主党 無責任な野党で終わるな
2013.2.25 03:13 (1/2ページ)

 野党に転落後、初めての民主党大会が開かれた。「二度と国民の信頼を裏切らない」と海江田万里代表は語ったが、決意を国民の心に届けるには目に見える形で党が変わらねばならない。
 この国をどうするかの明確なビジョンを掲げ、迷走を重ねた諸政策に決別し、転換を図るのが先決である。
 そのためには、党内融和を優先するあまり重要政策の決定を先送りしてしまう体質を正し、リーダーの下、「決めたことは守る」という当たり前の政党になることだ。でなければ、元の無責任な野党で終わってしまう。
 大会では、政権担当能力が欠けていたことを認める厳しい内容の衆院選総括を採択し、これまでなかった党綱領を決定した。
 問題は、憲法について綱領で「国民とともに未来志向の憲法を構想していく」と言及した一方、平和主義など現行憲法の「基本精神を具現化する」としたことだ。改憲と護憲の併記では、いったいどちらなのかわからない。
 象徴的な問題の解決を、党内のさまざまな意見に遠慮して先延ばしするのは変わらない。両院の憲法審査会などで、自民党と本格的な憲法論議を戦わせなければ、政権を担う政党に値しない。
 党の性格付けとして、「働く者」の立場で「既得権や癒着の構造と闘う」と強調した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130225/stt13022503140001-n2.htmより、
2013.2.25 03:13 (2/2ページ)
 だが民主党に対しては常々、日教組など特定労組への過度な依存体質のあることが批判されてきた。にもかかわらず、党大会で海江田氏が労組の選挙支援への感謝を繰り返したことは、転換への本気度を疑わせる。
 「外交の基軸である日米同盟の深化」を掲げ、自衛力の着実な整備で「国民の生命・財産、領土・領海を守る」と明記した。尖閣諸島を守る具体策を示すべきだ。
 「決められる政治」の端緒となった消費税増税の3党合意を進めることも党再生の第一歩だ。
 衆院選の壊滅的敗北から2カ月を経て、民主党の政党支持率は下げ止まらず、党大会直前には参院議員2人が離党届を出した。
 どん底の状況にもかかわらず政策そっちのけで現実路線を無視しては、日本維新の会など第三極勢力との共闘も望めないだろう。巨大与党に対峙(たいじ)し、必要な政策には協力できる責任野党に生まれ変わるには、なお課題が多い。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52097870V20C13A2PE8000/より、
日経新聞 社説 危機感に欠けた民主党大会
2013/2/25付

 これから何を目指すのか。誰に支持を求めるのか。民主党が衆院選敗北後の初めての党大会を開いたが、肝心な疑問に答えたとは言い難い。夏の参院選の結果次第では野党第1党の座すら失いかねないにもかかわらず、熱気も危機感も乏しい集まりだった。
 党大会の目玉は綱領の制定だった。執行部が衆院選後に実施した落選候補からの意見聴取で一番多かった「党がばらばら」という声を踏まえ、党の針路を明確にする必要があると判断したからだ。
 打ち出したのは社会的な弱者への支援を強調する「共生社会」との概念だ。ただ、制定過程で党内がまとまらず、「中道」との単語を盛り込むことは見送った。
 自民党が保守寄りに傾きつつあるとみられている中で、対立軸をはっきりさせる絶好の機会だったが、ものごとを決めきれない体質をまたも露呈した格好だ。支持基盤の一つに「働く者」という表現を入れたことは労組依存の印象を強めた。
 衆院選の敗因を総括した党改革創生本部の報告も「立ち位置は正しかった」など自己弁護のような表現が並んだ。本気で反省しているのかどうかが疑われる。これでは反攻の糸口はつかめまい。
 「きょうから靴底減らし運動を始めたい」。登壇した海江田万里代表は党勢回復に向け、国会議員や地方議員に地道に選挙区を回るよう促した。
 口の達者な目立ちたがり屋が多いが、それを実行する手腕はからっきし。そんなイメージを払拭するところから始めたいという意図はわかる。
 だが、参院選での野党の選挙協力をどう構築するのか、など具体的な反攻戦略を記者会見で聞かれると「時間をかけるつもりはない」などと曖昧だった。
 与党を脅かす健全な野党の存在なしに民主主義は成り立たない。それが民主党なのかどうかという局面に追い込まれていることをよく意識して党再生に取り組まなければ、民主党の先行きは暗い。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130225k0000m070091000c.htmlより、
社説:民主党大会 危機感裏づける行動を
毎日新聞 2013年02月25日 02時31分

 野党に転落し約2カ月を経た民主党の党大会が行われた。海江田万里代表はあいさつで次期参院選と東京都議選を「党の存亡をかけた戦い」と強調、党の結束と地域での活動強化を訴えた。
 反転攻勢を目指す同党だが、2参院議員の離党届提出で気勢をそがれるなど、再起の足がかりがつかめない厳しい状況に置かれている。有権者の信頼を取り戻す近道などはない。党の理念を確認したうえで地方組織の立て直しなど、腰を据えた出直しを求めたい。
 大会では衆院選惨敗の総括が了承された。野田佳彦前首相や小沢一郎氏らへの実名批判を見送るなど当初案に比べれば穏やかになったが、党内統治の欠如などを列挙し、それなりに辛辣(しんらつ)な内容だ。政権交代実現で党の目標がぼやけ、与党としての目的を議員が共有できず、政権の迷走を招いたといえよう。
 その意味で、新綱領の決定は当然の対応だ。綱領は現憲法の基本精神を評価したうえで象徴天皇制のもとで「未来志向の憲法を構想」するとした。改憲、護憲派を抱える党内事情を反映した表現とはいえ、いわゆる自主憲法論と一線を画した論憲の立場を示したことは評価できる。
 「中道」「リベラル」などの盛り込みは見送られたが、そもそもこうした言葉の定義自体があいまいだ。「改革政党」「共生社会」「新しい公共」などの指針をどう政策に反映していくかが問われよう。
 表向きは再起を期した大会となったが、同党が本当に苦境から抜け出せるか、こころもとない。海江田氏の言葉や党の総括文書と裏腹に、危機感を裏づける行動が不十分と言わざるを得ないためだ。
 衆院選の責任者だった輿石東前幹事長が参院議員会長として依然として参院の仕切り役であること自体、一般の感覚では理解し難いのではないか。綱領に掲げた「既得権と闘う改革政党」どころか、閉鎖的な労組依存に陥る懸念も指摘されている。
 野田前政権を支えた旧主流派も含めた挙党体制の構築に海江田氏が真剣に取り組んでいるとも言い難い。衆院で60議席すら割り込んだのに、総力を挙げずにどうするのか。
 自民党が野党に転落した際は地方議員らの強固な岩盤に支えられた。民主党はこうした基盤に乏しいだけに、NPOや市民団体も加えた広範な支持層を形成できるかどうかがカギを握る。労組依存を強めるとすれば、こうした方向に逆行する。
 参院選で同党は他野党との選挙協力を探っているが、現状では足元をみられよう。党首の海江田氏が党再建の覚悟を思い切った行動で証明することが何よりも先決である。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年2月23日(土)付
民主党大会―反省を糧に、前へ

 逆風の中の再出発である。
 民主党があす、東京都内で党大会を開き、新たな党の綱領と改革案を示す。
 壊滅的な大敗を喫した総選挙から2カ月あまり。文字どおり党の再生をかける。
 民主党への国民の不信感は根強い。夏の参院選では苦戦が予想され、きのうも2人の参院議員が離党届を出した。
 国会では存在感を示せず、他の野党との選挙協力でも蚊帳(かや)の外に置かれている。
 八方ふさがりである。
 それでも、政権与党の経験を持ち、全国に根を張る野党は民主党以外にない。
 再び内紛と分裂を繰り返していては、日本の政治に進歩はない。
 党の理念を再確認し、組織や運営方法のどこに問題があったかを見つめ直す。それが出発点となる。
 新しい綱領は「生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立つ」「個人として尊重され、多様性を認める共生社会」をめざす、などとしている。
 政権復帰を果たし、支持基盤とのパイプを再び強めている自民党との対立軸を意識したものだろう。
 目を引くのは、党運営の反省点や総選挙敗北の総括を盛り込んだ報告書である。
 ▽09年総選挙のマニフェストは、財源の裏付けが不十分で実現性を欠いた。
 ▽政治家と官僚の仕事の仕分けができず、官僚との意思疎通を欠いた。
 ▽適材適所の人材配置ができず、閣僚の交代も頻繁だった。
 そのうえで「民主党が政権担当能力を身につけ再生するのは容易ではない」と、自らの統治能力のなさを、あけすけに認めている。
 嘆息せざるをえないが、これが民主党の実情だろう。
 だが、言葉だけではもはや有権者の心に響かない。
 こうした反省を、党運営や政策づくりにどう生かすのか。要はその実行力である。
 たとえば、生活者の中にも利害の対立があり、働く者の立場も様々だ。それをいかに調整するかが統治能力であり、民主党が問われたものである。
 一方、民主党政権下では、外交密約をふくむ情報公開や、将来のエネルギー政策をめぐる「国民的議論」など、国民の視点に立った取り組みもあった。
 いずれも自民党政権下では考えられなかったものだ。
 「民主党らしさ」を全否定することはない。そこにも党再生の手がかりがあるはずだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013022202000148.htmlより、
東京新聞【社説】民主党大会へ 政策実現力を鍛えねば
2013年2月22日

 政党は国民が求める政策実現のために存在する。民主党は政権担当当時、その役割を十分果たしたといえるのか。真摯(しんし)な反省の上に立ち、政権を再び委ねることができる政党へと再生すべきである。
 二〇〇九年の歴史的な政権交代から、三年三カ月の政権担当期を経て、民主党に対する国民の目は期待から落胆へと変わった。
 共同通信の一月下旬の世論調査では、民主党の政党支持率は9・5%と、自民党(40・7%)に大きく引き離されたばかりか、日本維新の会(9・6%)をも下回った。
 一度失った国民の信頼を取り戻すのは並大抵ではない。二十四日に開く党大会を、衆院選惨敗を深く反省し、政権復帰に向けた決意を新たにする機会にすべきだ。
 党大会では、これまでの「私たちの基本理念」(旧綱領)に代わる「民主党綱領」が決定される。
 自民党などからは「綱領がない」などと批判されていたが、問題は綱領と名の付くものがなかったことではなく、綱領に該当する基本理念があったにもかかわらず、それが所属国会議員らに共有されていなかったことだろう。
 旧綱領は民主党が生活者、納税者、消費者の立場を代表すると明記していた。野田佳彦前首相らがこの理念を共有していたら、国民との契約である〇九年衆院選マニフェストに背く消費税増税決定は強行できなかったのではないか。
 昨年の衆院選惨敗を総括した党改革創生本部の第一次報告案に、マニフェスト破りに対する直接の反省がどこにも見当たらないのはどうしたことか。説明不足で片付けてしまうのか。
 官僚丸投げから政治家主導の政治へ、中央集権から地域主権へ、税金の無駄遣いと天下りの根絶、緊密で対等な日米関係など、政権交代時に掲げていた政策は、自民党政治による停滞からの転換を図るには的を射たものだった。
 ただ、民主党自身が「政権運営戦略が稚拙、未熟」と振り返るように、政権を実際に運営し、政策を実現する能力に欠けていた。それを補うひた向きさや、国民と向き合う謙虚さもなかった。
 民主党が政権を再び担うにふさわしい政党に生まれ変わるには、理念を磨くと同時に、具体的な政策をつくり上げ、それを実現する力を鍛えることも欠かせない。
 容易ではないが、つらくてもやり遂げ、多様な政権選択肢の一角を占め続けるべきである。日本の将来には、それが必要だ。

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