教育再生「提言」 道徳教育は必要だが
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013022802000125.htmlより、
東京新聞【社説】いじめと道徳 心に成績をつけるのか
2013年2月28日
いじめ対策として政府の教育再生実行会議がまとめた提言は、冒頭に道徳の教科化を掲げた。「良い子」でいることを競わせ、成績をつけるのか。いじめの現実に立ち向かう手だてこそ考えたい。
安倍晋三首相に出された提言には多岐にわたる方策が盛り込まれた。例えば、いじめに対応するための法律を作る。学校は相談体制を整え、家庭や地域、警察と連携する。重大ないじめは第三者的組織が解決する。そんな具合だ。
どれも目新しくはないが、地に足の着いた中身だ。すでに先取りしている自治体さえある。絶えず実効性を確かめつつ仕組みを向上させてほしい。
とはいえ、筆頭に出てくる道徳を教科に格上げするという方策は、いじめの問題とどう結びつくのかよくわからない。いじめ自殺のあった大津市の中学校は道徳教育のモデル校だったではないか。
小中学校では週一回程度の「道徳の時間」が設けられ、副読本の「心のノート」を使って授業が行われている。教科ではないから成績評価はなされていない。
提言によれば、充実した道徳教育が行われるかどうかは学校や先生によって左右される。だから教材を見直して教科として位置づけ、指導方法を打ち出すという。
もちろん、子どもが成長に応じて思いやりの気持ちや規範意識を身につけることは大切だ。社会の構成員として高い徳性を培うための教育そのものに異論はない。
しかし、道徳が教科になれば検定教科書が用いられ、心のありようがテストされて順位づけされないか。国の価値観や考え方が押しつけられないか。心配になる。
国語や社会、算数とは違い、道徳とは体系立てられた知識や技術を習得するものではない。子どもが学校や家庭、地域で褒められたり、叱られたりして考え、感じ取っていくものだろう。学校の道徳教育はその一助にすぎない。
東日本大震災の光景を思い出してみよう。被災地では大きな暴動や略奪は見られず、人々は譲り合い、助け合って修羅場をくぐり抜けてきた。その姿は世界中に感動を与えた。日本の人々は道徳心をたっぷりと備えている。
いじめる子の心は根っから荒(すさ)んでいるのか。家族崩壊や虐待、貧困、勉強疲れからストレスを抱え込んでいるかもしれない。背景事情に考えを巡らせる必要がある。
大人の世界にもひどいいじめがある。道徳とは世代を超えて日々共に学び合うべきものだろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52231760Y3A220C1EA1000/より、
日経新聞 社説 疑問ぬぐえぬ道徳の教科化
2013/2/28付
安倍晋三首相の肝煎りで発足した教育再生実行会議が、いじめ問題について提言をまとめた。新たな法律の制定や、学校・家庭・地域が一丸となった「責任のある体制」づくりなどを求めている。
疑問をぬぐえないのは、道徳教育の「教科」化だ。第1次安倍内閣の教育再生会議も打ち出した提言だが、国が子どもの心の内面に踏み込むことに異論が出て実現は見送られた。それがいじめ対策の一環として再浮上したわけだ。
学校での道徳教育は国語や算数などの教科とは別の位置づけで展開されてきた。成績をつけず、検定教科書も使わない。そのかわり「道徳の時間」だけでなく学校教育全体のなかで公徳心をはぐくむのが道徳教育にはふさわしい、というのが基本的な考え方である。
こうしたかたちで定着している道徳教育を、いま、あえて教科化する意味はあるのか。
提言は、現行のままでは学校や教員によって充実度に差があると指摘したうえで、「新たな枠組みによって教科化し、人間の強さ・弱さを見つめながら、理性によって自らをコントロールし、より良く生きるための基盤となる力を育てる」べきだと述べている。
よくわからない説明である。かつて果たせなかった教科化を、こんどこそ実現させたいという思いが先走っていないだろうか。
下村博文文部科学相は「成績評価にはなじまない」としながら「国として、どこでも使える教材をつくる」とも述べている。全国統一の教材で授業を行い、それに基づいた尺度で規範意識を測る。そんな展開が予想される。
これでは道徳教育は窮屈な型にはまり、かえって矮小(わいしょう)化する。人間の心のひだに触れる道徳というものを上から押しつけたとしても、本当の効果は得られないだろう。教科化は弊害のほうが大きいのではないか。
この問題は文科省での検討を経て、中央教育審議会でさらに議論を進めることになっている。よくよく慎重な取り扱いが必要だ。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130227/edc13022703310002-n1.htmより、
産経新聞【主張】教育再生 「熱血先生」の手足縛るな
2013.2.27 03:30 (1/2ページ)
政府の「教育再生実行会議」が、いじめと体罰問題に関する提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。道徳を正式な教科にすることや、いじめ生徒への懲戒にも踏み込んだ内容を評価したい。
一方、体罰問題については、やる気のある教員の手足まで縛ることのないよう、慎重に検討を重ねてほしい。
提言はまず、学校や教員によって充実度にばらつきがあった「道徳」について、「他者への思いやりや規範意識を育むよう」新たな枠組みで教科化することを求めた。実現を急いでもらいたい。道徳が正式の教科ではない現状こそ、異常なのだといえる。
いじめに向き合うため、学校や教育委員会には警察などとの連携協力態勢の整備を求め、重大な事案には第三者的機関が解決を図るとした。学校を「悪(あ)しき聖域」としないため、重要な提言だ。
深刻ないじめの被害者を守るため、加害児童・生徒を出席停止にする措置の活用など、毅然(きぜん)とした対応も求めている。おざなりな対応は許されないということだ。
体罰問題について提言は、国が部活動指導のガイドラインを策定することを求めた。懲戒として認められる対応と体罰の区別を明確に示すことも求めている。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130227/edc13022703310002-n2.htmより、
2013.2.27 03:30 (2/2ページ)
気になるのは、自民党がまとめた「いじめ防止対策基本法案」の原案で、いじめを「児童・生徒に対して一定の人的関係にある者が行う心理的、物理的攻撃で、児童らが心身の苦痛を感じているもの」と定義したことだ。
これでは、教員による懲戒、叱責も「いじめ」と解釈される。
大阪市立桜宮高校バスケットボール部の「体罰」は、明確な暴力であり、言語道断だ。では、大声での叱責は体罰なのか。罰としてグラウンドを走らせることは、いじめなのか。拡大解釈を際限なく許しては、学校や教員に毅然とした対応を求めた提言の趣旨とも矛盾することになる。
産経新聞とフジニュースネットワークが先週末に行った世論調査では、教員やスポーツ指導者の体罰について、「一切認めるべきではない」の40・3%に対し、「場合によっては仕方がない」が57・9%と、大きく上回った。
荒れる学校現場や陰湿ないじめ問題に対処するため、「厳しい先生」の存在は必要であると、多くの人は敏感に感じ取っている。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130227k0000m070106000c.htmlより、
社説:いじめ体罰提言 今すぐできることから
毎日新聞 2013年02月27日 02時30分
教育改革論議を進めている政府の教育再生実行会議が学校のいじめや体罰対策をまとめ、安倍晋三首相に第1次提言をした。
学校が解決できないいじめの通報を受け、解決する第三者的な組織。道徳の教科化。対策法の制定。加害生徒への毅然(きぜん)とした対応や懲戒、警察との連携。体罰のない部活動に向けガイドライン策定−−。こうしたことなどを挙げる。
政府がこの問題に強い懸念と危機意識を持ち、対応しようとするのは当然だろう。だが、今回を見る限りその提言は漠然として具体性に乏しく、実効性が見えてこない。
例えば、いじめ対策と道徳の教科化の結びつきはわかりにくい。道徳教育は道徳の時間だけではなく、学校教育のすべてを通じて行われるものとされてきた。いじめの発生と、道徳が教科でないということの関連づけに飛躍はないだろうか。
また教科となれば、評価や成績づけはどうするのか、そうしたことが道徳になじむのか、検定教科書は……とさまざまな課題が出てくる。
肝心なのは、今すぐできることから速やかに、かつ着実に対策を進めることではないか。
今回のいじめ対策論議の大きなきっかけになった大津市の中学生自殺問題で、詳細な検証をした第三者調査委員会の報告書は、問題の背景に教員の多忙を指摘した。
校内での仕事に優先順位をつけて「選択と集中」で仕分けすることや行事の精選を挙げ、教育委員会には学校現場への依頼文書や事項の整理を行うよう求めている。これはただちに進められることではないか。
書類づくりに追われ子供とじっくり向き合う時間がとれないということならば、本末転倒である。この「忙しすぎる先生」の問題は以前から指摘されてきた。また、教員のほかに専門スタッフを充実させることも有用だ。
加害生徒の出席停止や必要に応じての警察との連携は、これまでも可能だった。
それが必ずしも行われてこなかったのは、消極性や怠慢ゆえというだけでなく、その難しさや、ちゅうちょもある現場の苦悩にも目を向けるべきだろう。
いじめは発生認知件数の統計はあるが、未然に、あるいは初めに芽を摘んだという、机上論ではない実践例はなかなか表に出ない。
そうした体験や教訓を共有できる仕組みは作れないものか。
教育再生実行会議は早速次のテーマ、教育委員会制度改革の論議に入った。これは「自治」という戦後学校教育制度の基本理念ともかかわってくるテーマでもある。
熟議を望みたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013022201001298.htmlより、
いじめ対応に第三者組織を提言 教育会議の原案判明
2013年2月22日 11時12分
政府の「教育再生実行会議」(座長・鎌田薫早稲田大総長)が取りまとめるいじめと体罰対策の提言原案が22日、分かった。いじめの通報を受けて対応の窓口となる第三者組織の設置が盛り込まれた。26日の次回会合で安倍晋三首相に提出する。
原案では、いじめの早期発見を目的に、学校以外の第三者組織を設けて通報窓口とし、解決の役割を担わせることを要請した。規範意識を醸成するため、成績の点数評価が困難な道徳も教科に格上げできるよう「新たな枠組みの教科」にすることを求めた。
また、いじめを定義づけて関係機関の連携を明確にする法律の制定を提言。(共同)
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年2月22日(金)付
いじめ対策―学校支える人を増やせ
「しっかりしろ」と学校や先生の尻をたたくだけでは、いじめは減らない。学校を外から支える仕組みを築くべきだ。
教師らは、いじめを知りながら対策をとらなかった。大津のいじめ自殺事件の第三者委員会は、報告書でそう指摘した。
そして、教師の負担を軽くする改革を提言している。
「忙しい教員は、無意識のうちに問題を小さく見積もろうとする心理になる」のだ、と。
日本の学校は英米に比べ、教師以外のスタッフが少ない。中教審でもそんな議論があった。
教師が生徒指導や部活動、校務までを背負い、生徒にじっくり向きあう余裕に欠ける。
では、どうするか。
教員増もさることながら、外から学校を支えるサポーターを増やす政策を進めてほしい。
先生とは違う目で子どもを見守る大人を入れる。視点を多様にすることで、問題を見過ごすリスクを小さくできる。
たとえば、大津の報告書や教育再生実行会議の議論では、スクールソーシャルワーカーが取り上げられている。
学校と家庭を橋渡しし、問題の解決に取りくむ。ケースによっては児童相談所など、校外の機関ともつなぐ。
今はおもに不登校や虐待などの分野で活動しているが、いじめ問題では十分活用されていないし、全国でまだ千人ほどしかいない。増員が必要だ。
ワーカーの有志らは「修復的対話」という手法を学校に広めるべく、今年、そのためのNPOを立ち上げようとしている。
加害と被害の双方の生徒とその親、担任や校長らの話し合いを取りもち、早いうちに人間関係を改善する試みだ。
東京都世田谷区は7月、いじめなどの通報と相談を受ける第三者機関をつくる。ここでも、調査員が当事者の間に入って双方の代弁者となり、話し合いを橋渡しする役割がうたわれているのは注目される。
山口県下関市の「ガイダンスアドバイザー」も、外から学校を支える試みだ。数人の元教員や元警察官が学校を回り、目についたことを管理職や生徒指導の主任に伝えている。
大津の報告書は、事件のあった中学校は道徳教育のモデル校だったとして、「道徳教育の限界も認識すべきだ」と記した。
心の教育は大切だが、いま現場が求めているのは精神論より具体策だろう。
いじめに気づき、早めに手を打てる確率を高める。そのために必要なマンパワーを手当てする。そこに力を注ぐべきだ。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130204k0000m070113000c.htmlより、
社説:教育再生 じっくり熟した論議を
毎日新聞 2013年02月04日 02時30分
安倍晋三首相肝いりの「教育再生実行会議」が始動した。まず今月中に、喫緊のいじめ、体罰問題について論議し、対策基本法案に反映させるという。
中途半端だった第1次安倍政権の「教育再生会議」の復活といえるだろう。いじめ、体罰の後は教育委員会、大学のあり方、6・3・3・4制の見直し、大学入試改革……と重量級のテーマが予定されている。
それらの課題が建設的に論議されること自体有意義だろう。気になるのは、論議の場が分かれ、内容が重複しはしないかということだ。
自民党は昨年、総裁直属の「教育再生実行本部」を設け、総選挙の政権公約である教育政策をまとめた。そして文部科学相の諮問機関・中央教育審議会(中教審)もある。
実行本部が先行的な提起をし、実行会議はそれも踏まえながら政府方針を固め、具体化は中教審、という分担とされているが、論議分散の懸念はないのか。論ずべき内容もはっきり分けた方が合理的ではないか。
また、並ぶテーマも順次手際よくスピーディーにという類いのものではない。例えば、基本的に単線構造である現行学校体系、6・3・3・4制の見直しは、戦後の学制を問い直すもので、「平成の学制大改革」をうたうほどのものにするにはよほど腹を据えてかかる必要がある。
いずれのテーマも、過去論議され、関連する答申や報告も重ねられてきた。今回は当然それを踏まえたうえで行われようが、あれもこれもは難しい。論議を散漫にしかねない。
例えば、私たちは教育改革の大きなテコとして、早く大学入試の抜本的改革を進めようと主張してきた。その改革は高校、中学校、小学校とさかのぼって授業内容を変えることになり、大学教育の質向上や多様化にもつながろう。
教育、経済、文化など各分野から識者を集めた再生実行会議が、断片的な意見を寄せるだけでなく、練り上げ熟した論議をするためには、テーマはできるだけ絞った方がよい。
古くは「第3の教育改革」をうたい、従来の学校体系の多様化などを提言した71年の中教審答申をはじめ、これまでに多くの審議会や会議などから改革提言がなされてきた。
立ち消えになったり、消化不良に終わったりしたものも少なくない。振り返れば累々たるものがある。
既存制度に立つ守旧的な反対が壁になったことも指摘されているが、何より国民の理解と協力を得ることが足りなかったのではないか。
短兵急ではなく、影響力の大きなテーマについて、できることから着実に議論を進める。同時にそれを国民に発信することが肝要だ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013011500796より、
教育再生会議担当室が発足=首相「日本に誇り持てるように」
政府の「教育再生実行会議」の事務局となる担当室が15日発足し、安倍晋三首相と下村博文文部科学相が、文科省と同じ建物内にある執務室前で看板掛けを行った。首相は記者団に対し「教育は安倍政権というよりも日本国の最重要課題だ。子どもたちが将来に夢や希望を持て、日本に生まれたことに誇りを持てる教育をしっかりと行いたい」と意欲を語った。
会議は、15日の閣議で首相官邸への設置が正式決定。首相がトップで、下村文科相や菅義偉官房長官ら政府関係者のほか、座長を務める鎌田薫早稲田大総長や作家の曽野綾子氏ら有識者15人で構成される。来週中に初会合を開き、月2回程度開催。いじめ対策や教育委員会制度改革などについて議論する。
担当室は、文科省や法務、厚生労働、経済産業、警察の各省庁からの出向者ら16人体制でスタートした。(2013/01/15-18:43)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130115/k10014813851000.htmlより、
首相 教育再生会議の看板かけ
1月15日 18時30分
安倍総理大臣は、小学校から大学までの「6・3・3・4制」の見直しなどについて議論する「教育再生実行会議」の担当室に、看板をかけました。
政府は、自民党が政権公約で掲げた「教育の再生」に向けた具体策を検討するため、早稲田大学総長の鎌田薫氏ら有識者を委員に教育再生実行会議を設置し、来週初会合を開くことにしています。
これを前に、文部科学省には15日、およそ20人の職員で作る担当室が設けられ、安倍総理大臣と下村文部科学大臣が看板をかけました。
安倍総理大臣は記者団に対し、「教育は、安倍政権というよりも、日本国の最重要課題だ。子どもたちが将来に夢や希望を持ち、日本に生まれたことに誇りを持てるような教育をしっかりと行っていくための会議にしていきたい」と述べました。
教育再生実行会議では、現在の小学校から大学までの「6・3・3・4制」の見直しや教育委員会の抜本的な見直し、それにいじめを巡る問題などについて議論することにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130115/k10014804551000.htmlより、
政府 教育再生実行会議設置へ
1月15日 14時11分
政府は15日の閣議で、現在の小学校から大学までの「6・3・3・4制」の見直しなどについて検討する「教育再生実行会議」を設置することを決め、安倍総理大臣は、内閣の重要課題として、全力で取り組む考えを示しました。
「教育再生実行会議」は、自民党が政権公約で掲げた「教育の再生」に向けた具体策を検討するために設けられ、安倍総理大臣をトップに、下村文部科学大臣ら関係閣僚のほか、早稲田大学総長の鎌田薫氏ら有識者が委員に内定しています。
安倍総理大臣は15日の閣議で、「内閣の最重要課題の1つとして、わが国の教育の立て直しに全力を挙げて取り組みたい」と述べました。
また、下村大臣は、「会議では、わが国の教育を取り巻く重要課題について精力的に議論をしてもらい、そのうえで、頂いた提言については速やかに実現するよう、全力を挙げて取り組みたい」と述べました。
「教育再生実行会議」では、現在の小学校から大学までの「6・3・3・4制」の見直しや教育委員会の抜本的な見直し、いじめを巡る問題などについて、議論することにしています。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013011500420より、
教育再生会議、来週初会合=設置を閣議決定-政府
政府は15日の閣議で、首相官邸に「教育再生実行会議」を設置することを正式決定した。来週中に初会合を開き、いじめ対策や教育委員会制度の見直し、小学校6年、中学校3年などと定めた「6・3・3・4制」の学制改革などを議論する。安倍晋三首相は閣議で「内閣の最重要課題の一つとして、教育の立て直しに全力を挙げて取り組みたい」と表明した。
同会議は首相をトップに下村博文文部科学相や菅義偉官房長官らが出席。有識者メンバーは座長を務める鎌田薫早稲田大総長のほか、佃和夫三菱重工業会長、作家の曽野綾子氏ら15人が就任する。月2回程度会合を開き、まず、いじめ対策について2月中にも提言をまとめる方針だ。(2013/01/15-12:50)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013011502000092.htmlより、
首相がこだわる教育、安全保障… 有識者会議次々に設立
東京新聞 2013年1月15日 朝刊
安倍晋三首相は教育改革や集団的自衛権の行使、歴史認識の見直しなどの課題に関する有識者会議を続々と立ち上げる。思い入れのある政策について議論を繰り広げることで、実現に向け世論を盛り上げる狙いがある。ただ、安倍カラーが強い政策に対し、連立相手の公明党は慎重意見が根強い。首相は公明党との連携を優先し、結論は夏の参院選後に先送りする考えだ。(大杉はるか)
有識者会議の中でも早々に始動するのが教育再生実行会議だ。十五日には事務局が設置される。
第一次安倍政権の教育再生会議の名前を変え、メンバーも刷新した。「新しい歴史教科書をつくる会」の会長を務めた八木秀次高崎経済大教授や作家の曽野綾子氏ら保守色の強い人選が目立つ。
首相が「政権の大きな方針の一つ」と明言している集団的自衛権については、新たな有識者会議を置く。第一次安倍政権で設置された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は安倍首相退陣後、後継の福田内閣に行使を容認する提言を報告した。安倍首相は自ら報告を受け直し、提言内容を新会議であらためて検討したい意向だ。
過去のアジア諸国に対する植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」に代わる「安倍談話」についても、歴史学者などを集めた有識者会議を設けて検討する方針だ。
いずれの会議も有識者は首相の意向に沿った人選になる見通し。会議が始まれば「安倍カラー」に沿った議論になりそうだ。
安倍政権の保守化を警戒する公明党は、首相の動きをけん制している。山口那津男代表は集団的自衛権の行使容認について「領土、領空、領海の外で武力行使を認めることにつながる」と懸念を示した。
首相は、政権を安定させるため、今夏の参院選で勝利し、ねじれを解消することを重視している。選挙協力する公明党との良好な関係は欠かせないため、会議の運営で公明党に配慮せざるを得ない。
首相の慎重姿勢の背景には、世論への配慮もある。首相は「『この政権はちょっと問題がある』と思われるだけで参院選は大敗する危険がある。薄氷を踏む思いで臨まなければいけない」と話す。
首相周辺は「本当にやりたいことは参院選に勝ってから」と、参院選までは有識者による議論で世論の動向をうかがう構えだ。