婚外子の相続 「違憲の判断をするとき」

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52426880V00C13A3EA1000/より、
日経新聞 社説 ついになくなるか婚外子差別
2013/3/5付

 古くから日本の法律に残る差別がついになくなる。そう期待していいだろう。「婚外子(非嫡出子)の相続分は嫡出子の2分の1とする」という民法900条の規定が法の下の平等を定めた憲法に違反するかどうか、最高裁が大法廷で審理することになった。
 15人の裁判官全員が審理に加わる大法廷は、最高裁が一度出した結論を再検討する必要があるときに開かれる。大法廷は1995年に民法のこの規定を「合憲」とする判断を示した。今回は「違憲」の結論が出る可能性が高い。
 Aさんに子が2人いて、1人は法的な配偶者との子B、もう1人は結婚していない相手との子Cだとする。Aさんが死んだとき、遺産の相続分はCがBの半分になる、というのが民法の規定だ。
 家族はそれぞれである。遺産配分にもそれぞれの事情があろう。それは遺言で指示すればいい。生まれたときの親の立場だけで法が人を差別していいはずはない。
 この規定は、男性が正妻でない女性との間にも子をつくった場合、その子にも相応の相続の権利を認める、という趣旨で明治時代につくられた。
 しかし、当時と今とでは家族や結婚をめぐる環境は大きく変わった。事実婚や国際結婚が増え、戦前の「家」を基本にした家族制度は法的には姿を消している。そうした中で残っているのが婚外子の相続差別なのである。
 この規定をなくすと、家族の結びつきを弱め不倫も助長するという反対意見がある。だが、そもそも「お妾(めかけ)さんの子」を想定してできた規定なのだから説得力はない。むしろ、社会の婚外子に対する有形無形の差別につながる弊害を問題にすべきだろう。
 規定にはかねて批判が多く、最高裁が合憲判決を出した翌年の96年、法制審議会はこの規定をなくす法改正を求める答申を出した。しかし、政府や国会は今まで差別を放置してきた。動かぬ政治の尻を司法がたたくというのは、決して望ましい姿ではない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年3月3日(日)付
婚外子の相続―違憲の判断をするとき

 最高裁もついに腹を固めた。そんなふうに見て間違いないのではないか。
 夫以外の男性、または妻以外の女性との間にうまれた子(婚外子)が相続できる財産は、正式な結婚をしている男女の間の子の半分とする――。
 この民法の定めが、法の下の平等を保障する憲法に反するか否かが争われている裁判の審理が、大法廷に回付された。
 すべての裁判官が参加し、判例を変更するときに必要な手続きだ。これまでの合憲判断が見直される可能性が高い。
 「半分」の取りきめは、法律婚を尊重し保護する合理的な措置として認められてきた。
 だが夫婦や家族のあり方も、人びとの意識も多様になり、ひとつの「あるべき姿」を唱えていればすむ時代ではない。
 本人には何の責任もない出生の経緯を理由に、婚外子を差別し続けることが許されるのか。
 憲法違反の結論が導きだされて当然といえよう。
 一方で、判例変更が新たな問題を引きおこす可能性もある。
 今回の裁判の対象は2001年の相続だ。「遅くともその時点では違憲だった」とされた場合、ではいつから違憲だったのか。それ以降の婚外子が絡んだ相続の扱いはどうなるのか。やり直しを求める動きが各地で起きる事態にもなりかねない。
 もちろん、混乱が予想されるからといって違憲判断から逃げるのは本末転倒だ。平等原則をしっかり踏まえ、かつ世の中のトラブルを少しでも抑えられるような考えを示せるか、審理のゆくえに注目したい。
 あらためて思うのは、政治の側の問題意識の低さである。
 法制審議会は96年、「相続は同等とする」という答申を出した。しかしその中に、夫婦が望めばそれぞれの姓を名のれる別姓制度の創設が盛りこまれたこともあって保守層が反発し、歴代政権は改正法案を国会に提出することすらしなかった。
 法律であれば、いつから「同等」とするのか基準を明示し、経過規定を設けるなどして、さまざまな不都合を避ける工夫が可能だった。この問題をめぐって最高裁が出した合憲の判決や決定の中で、立法による解決をうながす意見を表明した裁判官もたくさんいた。なのに、国会は動かなかった。
 この大法廷回付は、国連の勧告も無視し続けた、先見性を欠く立法府に対し、司法が「もはや放っておけない」と判断したと位置づけることができる。
 民法の問題にとどまらない、深い病根を見る思いがする。

http://mainichi.jp/select/news/20130228k0000m040073000c.htmlより、
非嫡出子相続差別:最高裁「合憲」見直しか 大法廷に回付
毎日新聞 2013年(最終更新 02月27日 23時18分)

 結婚していない男女の間に生まれた「非嫡出子」の遺産相続分を「嫡出子」の2分の1と定めた民法の規定が、法の下の平等を保障する憲法に反するか否かが争われた2件の家事審判で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は27日、審理を大法廷(裁判長・竹崎博允長官)に回付した。最高裁は新たな憲法判断や判例変更の必要がある場合などに審理を回付するため、相続差別を合憲と判断した95年の大法廷判例が見直される可能性がある。
 相続差別を巡っては法制審議会(法相の諮問機関)が96年、選択的夫婦別姓などと併せて差別を解消する民法改正を答申。政府は改正法案の提出を模索したが、当時与党だった自民党内に「婚姻制度が乱れる」などとする反発が根強く法案提出は頓挫した。民主党政権下でも再び提出の動きが出たが、閣内不一致で見送られた。
 2件の審判は共に、父親が01年に死亡した和歌山県と東京都の嫡出子側が遺産分割を申し立てた。それぞれ▽和歌山家裁、大阪高裁▽東京家裁、東京高裁−−と審判が進んだが、全て相続差別を合憲と判断し、非嫡出子の相続分は2分の1とした。これに対し、非嫡出子側が最高裁に特別抗告していた。
 最高裁の95年の大法廷決定は合憲判断だったが、15人の裁判官のうち5人が違憲との反対意見を述べた。その後、小法廷は5回、合憲判断を示してきたが、いずれも違憲の反対意見を述べる裁判官がおり、賛否は拮抗(きっこう)している。
 近年では10年7月に審理が大法廷に回付され、判例変更の可能性が浮上したが、その後当事者間で和解が成立し、憲法判断に至らなかった。
 法務省に勤務経験のある寺田逸郎裁判官(裁判官出身)は審理を回避した。【石川淳一】

 ◇解説 国民の家族観の変化が大きな判断要素に
 非嫡出子(婚外子)の相続差別を定めた民法の規定について、最高裁大法廷が95年の合憲判断から18年ぶりに憲法判断を示す見通しとなった。この間の国民の家族観の変化が大きな判断要素となりそうだ。
 11年の人口動態統計によると、非嫡出子の出生数は2万3354人。全体の出生数が減る中、非嫡出子の出生は増えており、その割合は00年の1.6%から11年には2.2%に増加した。若い層に多く、20代前半の母親では5%、20歳未満では27.7%に上る。もし最高裁が違憲判断を示せば、こうした多くの家族の相続にも影響を与える可能性が高い。

http://mainichi.jp/select/news/20130228k0000m040073000c2.htmlより、
 既に下級審では違憲判断も出ている。大阪高裁は11年8月、「我が国の婚姻、家族生活、親子関係の実態の変化や国民意識の多様化など、平等化を促す事情が多く生じている」と違憲判断を示し、同高裁で確定している。最高裁判断は法改正論議に直結するだけに、より大きな注目を集めるのは確実だ。【石川淳一】

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130227/k10015835251000.htmlより、
最高裁 相続格差を大法廷で憲法判断へ
2月27日 21時46分

両親が結婚しているかどうかで子どもが相続できる遺産の配分に差が設けられた民法の規定が、法の下の平等を定めた憲法に違反するかどうかについて、最高裁判所は、大法廷で審理することを決めました。「憲法に違反しない」としたこれまでの判例が見直される可能性もあり、最高裁の判断が注目されます。
民法では、結婚していない男女の子どもは、結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されています。
これについて、東京と和歌山で「規定は法の下の平等を定めた憲法に違反する」と主張する裁判が起きていましたが、最高裁判所は、竹崎博允長官が裁判長を務める大法廷で審理を行うことを決めました。
民法の規定に対しては、平成7年に最高裁大法廷が「法律上の結婚を保護するためで不当な差別とはいえない」と指摘して、憲法に違反しないという判断を示しています。
しかし、反対意見を述べる裁判官も多く、3年前には別の裁判で大法廷で審理されることが決まったものの和解が成立し、このケースでは判断が示されないまま終わっていました。
最高裁大法廷は、憲法違反かどうかや判例を変更するかどうかなどを検討する場合に開かれるため、「憲法に違反しない」というこれまでの判例が見直される可能性もあり、最高裁の判断が注目されます。

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