破綻している憲法9条と現実 小林節氏

http://www.nnn.co.jp/rondan/ryoudan/index.htmlより、
一刀両断 -小林 節-
破綻している憲法9条と現実
日本海新聞 2013/3/5の紙面より

 毎年、5月3日の憲法記念日が近づくと、メディアや各種団体が特集や行事を予定して、私にも取材や相談に来る。

 その都度、私も、憲法をめぐる状況についてあらためて考察してみる機会を得るのだが、やはり、9条をめぐるわが国の現状はすでに破綻しているとしか言いようがない。

 まず、「戦争」を放棄して「戦力」の不保持を誓っている9条の下で、自衛「戦争」を予定している自衛隊という名の「戦力」を保持している現実について、防衛省等の官僚は別にして、明確に説明できる者はいない。

 また、同盟国との「集団的自衛」関係に入ったことを世界に対して表明することにより他国からの不当な侵略を受ける危険を未然に防止することは、国際政治の常套(じょうとう)手段である。わが国も、世界最強のアメリカと日米安保条約を結んで、自らの存続を確保しようとしている。しかし、「戦争放棄」「戦力不保持」の憲法の故に、わが国が襲われた場合にはアメリカが助けに来てくれるが、アメリカが襲われた場合にはわが国は助けに行けない。これを、集団的自衛権を「持ってはいるが行使できない」とする説明については、ほとんど誰も、理解しようとしても理解できないようである。

 そして、これが、冷戦後の新しい世界秩序の確立に向けてさまざまな試みと混乱が続いている世界史の現実の中で、わが国の独立と安全を支えるための最高法の命令だ…とすることには、大変な危険が伴うことも明らかである。

 まず、わが国は自ら武力攻撃されない限り反撃しない…と宣言してしまっているために、中国公船は、武力攻撃をせずにわが国の領海侵犯を恒常化させている。しかし、それ自体が国際基準に照らせばすでに侵略である。

 また、海外では武力行使はしない…と宣言してしまっているために、日本国外でアメリカが不当な攻撃を受けても助けに行けないことになっている。しかし、それで、どうして、日本が襲われた時には助けてくれとアメリカに期待できるのか?疑問である。

 今、安倍自民党が改憲論議に挑もうとしている。もはや遅きに失した嫌いはあるが、それでも、このまま放置するよりははるかに良い。

 ここで一番重要な事は、伝統的な護憲派が論争から逃げずに対峙(たいじ)して、主権者国民に正しい判断材料を提供することである。
(慶大教授・弁護士)

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