保育所不足 「切実な声を受け止めよ」

 

http://mainichi.jp/opinion/news/20130308k0000m070122000c.htmlより、
社説:待機児童対策 多様なニーズに応えよ
毎日新聞 2013年03月08日 02時32分

 

 保育所の待機児童が相変わらず問題になっている。東京都足立区や杉並区などでは認可保育所に子どもを預けられない母親たちが行政不服審査法に基づく異議申し立てを行った。地価や家賃の高い都市部では保育所の増設は難しいと思われがちだが、横浜市のように成果を上げている自治体もある。事業所内保育に意欲を持つ企業も多い。財源不足はもちろんだが、硬直した国の規制と自治体の工夫の足りなさも待機児童問題の大きな原因だ。
 待機児童とは0〜3歳児を中心とした主に都市部の問題であり、母親の働き方や家族の事情によって保育ニーズは異なる。全国一律の画一的な施策よりも、自治体や企業が現場の声を取り入れて柔軟に取り組むことが必要だ。
 横浜市では保育所不足が深刻な地域を特定して整備費や家賃補助を増額し、子育て相談に乗る「保育コンシェルジュ」を各区役所に配置して個々のニーズに合った保育の提供に努めている。定員割れが目立つ幼稚園を有効活用するため、夕方以降に預かり保育を行う幼稚園に市が補助金を出すなど、保育園と幼稚園の連携に力を入れている。この10年で2万人分の保育所定員を確保し待機児ゼロを達成しつつある。
 事業所内保育所の運営を検討している企業や団体も多い。子育てをしながら働く女性も勤務の事情によって夜間や休日の保育を利用しなければならないことがある。個別性が高く不規則な勤務に適応できる保育所があれば、出産後も働き続けられる女性はもっと増えるはずだ。
 ところが、事業所内保育所はなかなか増えない。大企業は定員の6割以上の子どもを預かり、かつその半数以上が自社従業員の子とするなど規制が厳しく、運営費の補助も5年間に限定されていることが壁となっている。雇用保険を原資に運営される企業の福利厚生の一つと位置づけられてきたことが、限定的な財源しか確保できない原因とされる。
 ただ、子育てしながら働きたい女性従業員のニーズに応え、企業の遊休施設の有効活用にもつながるのが事業所内保育所だ。待機児童から優先的に入所を認める一般の認可保育所は、これから出産したいという「潜在的待機者」の解消には即効性がないことも考えないといけない。
 税と社会保障の一体改革に盛り込まれた子育て施策では、消費税を財源として事業所内保育も含めた多様な保育サービスを整備することになっているが、実施は消費増税を待たないといけない。雇用と少子化対策は最重要課題ではないか。できるところからすぐに着手すべきだ。子どもの育ちは待ってはくれない。

 

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年3月1日(金)付
保育所不足―切実な声を受け止めよ

 

 働きたい、働かざるをえない。なのに、子どもを預ける先がない――。
 そんな事態に、母親たちが怒りの行動に出始めた。その声を子育て環境を改善するエネルギーにしたい。
 東京都杉並区では、認可保育園への4月からの入所に向け、区が用意した1200弱の枠に3千人近い希望が殺到した。選考に漏れた母親ら60人が行政不服審査法に基づき、区に異議を申し立てた。この動きは足立区などにも波及している。
 共働き世帯は今や1千万近くとなり、「働く夫と専業主婦」世帯より200万以上多い。女性の社会進出は望ましいが、共働きでないとまともに暮らせないケースが少なくない。
 これまで国は、一人当たりの面積や園庭の有無などの基準に合致した認可保育所に、公費を集中的に投入してきた。
 しかし、整備のスピードが希望者の増加に追いつかない。
 「保育園を考える親の会」が70の市と区から回答を得た昨年4月時点の調査で、希望した認可保育所に入れなかった子どもは5万5千人。「入園決定率」は7割弱だった。
 このため、独自の財源で認可に準じた保育施設を整備してきた自治体もある。
 ただ、こうした施設や「保育ママ」を除いても、待機児童は全国で約2万5千人にのぼる。公的な支援がなく、貧弱な施設で過ごす子どもたちも多い。
 親たちは認可保育所に入れない可能性を見越して、施設探しに奔走し、疲弊する。
 この「保活」は最近、米ニューヨーク・タイムズ紙にも紹介された。欧米メディアには、それだけ奇異に映るのだろう。
 量の拡大と質の底上げが急務である。
 社会保障と税の一体改革で、消費税による税収増のうち7千億円は子育て支援に回る予定だ。自治体は住民のニーズを把握し、多様なサービスを整備する責務が明確化される。
 ところが、自民党は先の総選挙の政策集で「ゼロ歳児に親が寄り添って育てることのできる環境の整備」を掲げた。
 ゼロ歳児のうちに4月から保育所に預けておかないと、1歳児になれば、ますます狭き門になる現実をどこまで知っているのだろうか。
 親の多くは、小さい子どもに寄り添って育てたいと思っている。自民党は「環境整備」を言うなら、育休中でも所得が保障され、いつ復職しても良質な保育所にすんなり入れるよう、尽力してもらいたい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130308k0000m070122000c.htmlより、
社説:待機児童対策 多様なニーズに応えよ
毎日新聞 2013年03月08日 02時32分

 保育所の待機児童が相変わらず問題になっている。東京都足立区や杉並区などでは認可保育所に子どもを預けられない母親たちが行政不服審査法に基づく異議申し立てを行った。地価や家賃の高い都市部では保育所の増設は難しいと思われがちだが、横浜市のように成果を上げている自治体もある。事業所内保育に意欲を持つ企業も多い。財源不足はもちろんだが、硬直した国の規制と自治体の工夫の足りなさも待機児童問題の大きな原因だ。
 待機児童とは0〜3歳児を中心とした主に都市部の問題であり、母親の働き方や家族の事情によって保育ニーズは異なる。全国一律の画一的な施策よりも、自治体や企業が現場の声を取り入れて柔軟に取り組むことが必要だ。
 横浜市では保育所不足が深刻な地域を特定して整備費や家賃補助を増額し、子育て相談に乗る「保育コンシェルジュ」を各区役所に配置して個々のニーズに合った保育の提供に努めている。定員割れが目立つ幼稚園を有効活用するため、夕方以降に預かり保育を行う幼稚園に市が補助金を出すなど、保育園と幼稚園の連携に力を入れている。この10年で2万人分の保育所定員を確保し待機児ゼロを達成しつつある。
 事業所内保育所の運営を検討している企業や団体も多い。子育てをしながら働く女性も勤務の事情によって夜間や休日の保育を利用しなければならないことがある。個別性が高く不規則な勤務に適応できる保育所があれば、出産後も働き続けられる女性はもっと増えるはずだ。
 ところが、事業所内保育所はなかなか増えない。大企業は定員の6割以上の子どもを預かり、かつその半数以上が自社従業員の子とするなど規制が厳しく、運営費の補助も5年間に限定されていることが壁となっている。雇用保険を原資に運営される企業の福利厚生の一つと位置づけられてきたことが、限定的な財源しか確保できない原因とされる。
 ただ、子育てしながら働きたい女性従業員のニーズに応え、企業の遊休施設の有効活用にもつながるのが事業所内保育所だ。待機児童から優先的に入所を認める一般の認可保育所は、これから出産したいという「潜在的待機者」の解消には即効性がないことも考えないといけない。
 税と社会保障の一体改革に盛り込まれた子育て施策では、消費税を財源として事業所内保育も含めた多様な保育サービスを整備することになっているが、実施は消費増税を待たないといけない。雇用と少子化対策は最重要課題ではないか。できるところからすぐに着手すべきだ。子どもの育ちは待ってはくれない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年3月1日(金)付
保育所不足―切実な声を受け止めよ

 働きたい、働かざるをえない。なのに、子どもを預ける先がない――。
 そんな事態に、母親たちが怒りの行動に出始めた。その声を子育て環境を改善するエネルギーにしたい。
 東京都杉並区では、認可保育園への4月からの入所に向け、区が用意した1200弱の枠に3千人近い希望が殺到した。選考に漏れた母親ら60人が行政不服審査法に基づき、区に異議を申し立てた。この動きは足立区などにも波及している。
 共働き世帯は今や1千万近くとなり、「働く夫と専業主婦」世帯より200万以上多い。女性の社会進出は望ましいが、共働きでないとまともに暮らせないケースが少なくない。
 これまで国は、一人当たりの面積や園庭の有無などの基準に合致した認可保育所に、公費を集中的に投入してきた。
 しかし、整備のスピードが希望者の増加に追いつかない。
 「保育園を考える親の会」が70の市と区から回答を得た昨年4月時点の調査で、希望した認可保育所に入れなかった子どもは5万5千人。「入園決定率」は7割弱だった。
 このため、独自の財源で認可に準じた保育施設を整備してきた自治体もある。
 ただ、こうした施設や「保育ママ」を除いても、待機児童は全国で約2万5千人にのぼる。公的な支援がなく、貧弱な施設で過ごす子どもたちも多い。
 親たちは認可保育所に入れない可能性を見越して、施設探しに奔走し、疲弊する。
 この「保活」は最近、米ニューヨーク・タイムズ紙にも紹介された。欧米メディアには、それだけ奇異に映るのだろう。
 量の拡大と質の底上げが急務である。
 社会保障と税の一体改革で、消費税による税収増のうち7千億円は子育て支援に回る予定だ。自治体は住民のニーズを把握し、多様なサービスを整備する責務が明確化される。
 ところが、自民党は先の総選挙の政策集で「ゼロ歳児に親が寄り添って育てることのできる環境の整備」を掲げた。
 ゼロ歳児のうちに4月から保育所に預けておかないと、1歳児になれば、ますます狭き門になる現実をどこまで知っているのだろうか。
 親の多くは、小さい子どもに寄り添って育てたいと思っている。自民党は「環境整備」を言うなら、育休中でも所得が保障され、いつ復職しても良質な保育所にすんなり入れるよう、尽力してもらいたい。

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