日本とTPP 米中を結ぶ役割担えるのか?

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52701790S3A310C1EA1000/より、
日経新聞 社説 気になるTPP日米自動車合意の副作用
2013/3/12付

 環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる日米両政府の事前協議は、米国が日本からの自動車の輸入にかけている関税の削減を先送りする方向で大筋合意した。日本が農産物で貿易自由化の「聖域」を求めたため、その見返りとして米国の自動車も事実上の「聖域」の扱いとした印象が強い。
 経済大国である日米両国には、世界の自由貿易を主導する責任がある。両国が露骨に例外を設ける動きを見せれば、新興国を中心にそれぞれの聖域を主張する空気が広がりかねない。
 2月の日米首脳会談では、安倍晋三首相とオバマ大統領が自由化の過程で「配慮すべき分野」が双方にあると確認した。これにより安倍首相は国内の反対派を説得しやすくなった。交渉の入り口で右往左往していた不毛な政治状況を打破する工夫として、日米首脳の合意は評価できる。
 ただ、その副作用には細心の注意を払わなければならない。TPP交渉の中で、ベトナムやマレーシアなどアジアの新興国は、自動車分野を中心に、自国の産業をできるだけ関税で保護して、育てようとしている。日米の聖域の論議は、新興国が市場開放や改革を先送りする格好の口実として使われる懸念がある。
 米国の自動車業界は、もともと日本の交渉参加に反対していた。今回の日米合意に意を強くして、今後は堂々と関税による保護を求め続けるかもしれない。
 タイやフィリピン、台湾もTPPに関心を示している。これから新規で交渉に加わろうとする国・地域も、それぞれ自由化が難しい市場分野を抱えている。例外がありうるとの見方が広がれば、高水準の自由化で貿易と投資の拡大を目指しているTPPの意義が損なわれてしまう。
 日本国内で保護主義勢力の動きが強まっているのも心配だ。自民党は、党内にTPP交渉21分野を網羅する5つの専門組織を設け、政府の挙動を細かく監視する体制を整えた。どの品目が聖域に相当するかという議論や、細目に注文をつけて交渉を遅らせようとする「守り」の動きばかり目立つのが残念だ。
 自由化の例外とは、あらかじめ想定するのではなく、あくまでも交渉の結果として生じるものである。自由貿易を目指す安倍政権の意志が本物かどうか、世界が見ていることを忘れてはならない。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013030890070504.htmlより、
極秘条件 6月には把握 TPP 政府公表せず
2013年3月8日 07時05分

 環太平洋連携協定(TPP)交渉参加をめぐり、先に交渉を始めた米国など九カ国が遅れて交渉参加したカナダとメキシコに交渉権を著しく制限した条件を課した事実に関し、民主党政権時代に日本政府が把握しながら公表しなかったことが新たに分かった。安倍晋三首相は、近く日本の交渉参加を正式表明する方針だが、国民生活に重大な影響が及ぶ可能性が高いTPP問題で、現政権が説明責任を求められるのは確実だ。
 一連の事実は、複数の日本政府関係者や外交関係筋への取材で明らかになった。
 TPPをめぐっては、九カ国は二〇一〇年までに交渉入り。九カ国は、一一年十一月に参加の意向を表明したカナダとメキシコ両国に対し、すでに合意した条文は後発の参加国は原則として受け入れ、交渉を打ち切る終結権もなく、再協議も要求できないなどの不利な条件を提示。両国は受け入れ、念書(レター)も交わしたが、極秘扱いにしている。
 当時の野田政権は、この事実をカナダとメキシコの参加意向表明後に把握。著しく不利なため、両国政府に水面下で「こんな条件を受け入れるのか」と問い合わせたが、両国は受け入れを決めた。両国の交渉参加が決まったのは昨年六月、実際の参加は同十月で、野田政権は昨年六月までには念書の存在を把握していた。
 野田政権は両国の参加国入り後も、新たな後発国が九カ国の決めたルールを守る義務があるのかを探った。両国と同様、後発国は再協議できないとの情報を得たが、事実関係を詰める前に十二月の衆院選で下野した。
 先発組と後発組を分けるルールの有無に関し、安倍首相は七日の衆院予算委員会で「判然としない部分もある。参加表明していないから十分に情報が取れていない」と否定しなかった。
 菅義偉官房長官は記者会見で「わが国としてメキシコ、カナダのTPP交渉国とのやりとりの内容は掌握していない」と述べたが、政府関係者は本紙の取材に「九カ国が合意したものは再協議できないとの話は聞いたことがある」と認めた。
 カナダとメキシコの事例では、秘密の念書は交渉参加の正式表明後に届く。安倍首相はオバマ米大統領との会談を受け「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」と強調しているが、野田政権の政務三役経験者は「カナダとメキシコが条件をのんだことで、日本も約束させられる危険性がある」と指摘する。
 オバマ氏は先月の一般教書演説で、TPP交渉妥結を目指す考えを明言し、米政府は年内決着を目標に掲げた。九カ国が交渉終結権を握れば、年内という限られた期間に、日本はなし崩しに農業など各分野で譲歩を迫られる可能性もある。(東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013030790135117.htmlより、
TPP参加に極秘条件 後発国、再交渉できず
2013年3月7日 13時55分

 環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加問題で、二〇一一年十一月に後れて交渉参加を表明したカナダとメキシコが、米国など既に交渉を始めていた九カ国から「交渉を打ち切る権利は九カ国のみにある」「既に現在の参加国間で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できない」などと、極めて不利な追加条件を承諾した上で参加を認められていた。複数の外交関係筋への取材で七日分かった。
 各国は今年中の交渉妥結を目指しており、日本が後れて参加した場合もカナダなどと同様に交渉権を著しく制限されるのは必至だ。
 関係筋によると、カナダ、メキシコ両政府は交渉条件をのんだ念書(レター)を極秘扱いしている。交渉全体を遅らせないために、後から参加する国には不利な条件を要求する内容だ。後から入る国は参加表明した後に、先発の国とレターを取り交わす。
 カナダなどは交渉終結権を手放したことによって、新たなルールづくりの協議で先発九カ国が交渉をまとめようとした際に、拒否権を持てなくなる。
 交渉参加に前向きな安倍晋三首相は、「『聖域なき関税撤廃』が前提ではないことが明確になった」と繰り返しているが、政府はカナダとメキシコが突きつけられた厳しい条件を明らかにしていない。日本がこうした条件をのんで参加した場合、「聖域」の確保が保証されない懸念が生じる。
 カナダ、メキシコも一部の農産品を関税で守りたい立場で、日本と置かれた状況は似ている。国内農家の反対を押し切り、対等な交渉権を手放してまでTPPの交渉参加に踏み切ったのは、貿易相手国として魅力的な日本の参加とアジア市場の開拓を見据えているからとみられる。
 先にTPPに参加した米国など九カ国は交渉を期限どおり有利に進めるため、カナダなど後発の参加国を「最恵国待遇」が受けられない、不利な立場の扱いにしたとみられる。

<TPP交渉参加国> 2006年、「P4」と呼ばれたシンガポールとニュージーランド、チリ、ブルネイによる4カ国の経済連携協定(EPA)が発効。これに米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが10年に加わり、9カ国に拡大した。その後、カナダとメキシコも参加を表明し、12年10月の協議から11カ国で交渉している。(東京新聞)

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 3月 5 日(火)付
TPP―交渉を引っぱる気概で

 安倍首相は近く、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉への参加を表明する見通しだ。
 日本と欧州連合(EU)、日中韓3カ国、東アジア全体の各通商交渉も順次始まる。世界貿易機関(WTO)交渉が停滞するなか、日本の経済連携政策は大きな節目を迎える。
 首相は施政方針演説で「我が国は受け身であってはいけない。ルールを『待つ』のではなく、『創る』国でありたい」と強調した。
 その言やよし。世界第3位の経済大国として、通商自由化を引っ張るぐらいの気概でのぞんでほしい。
 一連の交渉で中心となるのは、目標とする自由化度が格段に高いTPPだ。
 2月の日米首脳会談で「TPPでは全ての関税を撤廃するとあらかじめ約束するわけではない」と確認したのを受け、与野党の議論は「どれだけ聖域を確保できるか」に傾きがちだ。
 だが、聖域確保にとらわれてばかりいては、他の分野で思わぬ譲歩を迫られるなど、国全体の利益を損ないかねない。
 特定の産業や業界に引きずられず、利害得失を冷静に判断すべきだ。
 その関税交渉で、日本は世界の潮流から取り残されつつあることを忘れてはならない。
 これまで13の国・地域と経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を結んだが、自由化度の目安となる「10年以内の関税撤廃を約束した品目」の比率は、最も高い日比EPAで88%どまり。米国や韓国、中国がここ数年結んだ主なFTAでは95%を超える。
 関税上の約9千品目のうち、日本が手をつけてこなかった「聖域」は940品目に及ぶ。「コメ」だけでその加工品まで含め58あるのをはじめ、農林水産分野が約850。鉱工業品も100近くある。
 TPP交渉ですべてを守ることは不可能だ。どの品目を「聖域」にするかという内向きの姿勢に陥らず、自由化を迫られる分野や品目については、効果的な支援策を並行して打ち出すことも必要だろう。
 そのためにも、交渉に当たっては省庁の縦割りを徹底的に排さねばならない。
 民主党政権では、TPPを巡って農林水産省が関税撤廃時の1次産業の生産減少額を、経済産業省はFTA戦略で韓国に後れを取った際の国内総生産の目減り額を、それぞれ試算した。
 こんな混乱を二度と繰り返さないよう、首相官邸がリーダーシップを発揮してほしい。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013022700971より、
自民、TPP交渉参加を早くも容認=安倍首相は正式表明先送り

 自民党の外交・経済連携調査会は27日、環太平洋連携協定(TPP)に関する決議を採択し、交渉参加を早くも容認した。決議は反対派の主張を踏まえ「守るべき国益」を列挙したが、あくまで言い値。「聖域は農産物」との本音も漏れる。一方、交渉参加を急ぐ安倍晋三首相は、正式表明を当初想定より遅らせ、反対派に配慮を示した。
 「守るべき国益を列記した。政府は重く受け止めていただきたい」。同調査会の会合終了後、衛藤征士郎会長は記者団にこう強調した。
 決議はコメ、麦、牛肉などの農産物のほか、国民皆保険制度の維持、混合診療全面解禁の阻止など6項目を列挙。反対派の牙城である「TPP参加の即時撤回を求める会」(森山裕会長)の21日の決議をそのまま引き写したものだ。調査会の会合では、推進派から「交渉の手足を縛ってはいけない」(川口順子元外相)と異論も出たが、多数を占める反対派の声にかき消された。
 執行部が反対派の主張を丸ごと決議に取り入れたのは、党所属議員が参加表明後に地元で支持者を説得する材料をあらかじめ用意する必要があると判断したためだ。石破茂幹事長は調査会で「全ての議員が選挙区で説明がつかないような事態には絶対にしない」と強調した。
 もっとも、決議に関わった党幹部は「交渉事だからハードルは高めにした。絶対守らなければならないのは農産物だ」と本音を明かす。TPP交渉で最後まで関税撤廃の例外扱いを求めるのは、決議に明記したコメ、麦、牛肉、乳製品、砂糖の5品目が中心になるとみられる。
 一方、首相は27日、決議の報告に首相官邸を訪れた衛藤氏に「時間を取ってゆっくり話をしましょう。相当な人数でも構いませんよ」と、反対派の主張にじっくりと耳を傾ける姿勢を示した。
 首相は交渉参加に前のめりだったが、ここにきて正式表明のタイミングを慎重に計り始めた。政府関係者は「帰国後すぐ表明するか、施政方針演説で表明するシナリオもあったが、反対派の立場を考えてスローダウンした」と明かす。首相としては「何を聖域とするか冷静に議論したい」(周辺)として、党側と協議しながら対象品目を絞り込みたい考えだ。(2013/02/27-20:55)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130227/k10015830731000.htmlより、
首相 TPPで党内の意見聴取へ
2月27日 18時55分

安倍総理大臣は、自民党の外交経済連携調査会の会長を務める衛藤前衆議院副議長と会談し、TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡る自民党内の意見を聞きたいとして、近く、調査会の幹部らと意見交換する場を設ける考えを示しました。
自民党の外交経済連携調査会などの合同会議は、27日、TPPの交渉に参加するのであれば、米、麦、牛肉などを関税撤廃の例外品目とすることなど、国益をどう守っていくのか、明確な方針を示すよう求める決議をまとめました。
これを受けて、調査会の会長を務める衛藤前衆議院副議長は、27日夕方、総理大臣官邸で安倍総理大臣と会談し、決議の内容を説明したうえで、「決議をしっかりと踏まえて判断してもらいたい。合同会議では『安倍総理大臣が何を重視して交渉参加を判断するのか、直接話を聞きたい』という意見が出ていた」と述べました。
これに対して、安倍総理大臣は「日を改めて、調査会のメンバーなどとゆっくり話す時間を持ち、先の日米首脳会談の内容などについて話したい」と述べ、近く、調査会の幹部らと意見交換する場を設ける考えを示しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130227/k10015830721000.htmlより、
首相 条件は聖域なき関税撤廃かどうかだ
2月27日 18時55分

安倍総理大臣は、27日の参議院予算委員会の集中審議で、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、「交渉参加の条件は、聖域なき関税撤廃かどうかだ」と述べたうえで、自民党が掲げている国民皆保険制度を守ることなどは、交渉の中で実現させていく考えを示しました。
この中で安倍総理大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、「参加した場合にどういう影響が出るのか、農業団体などは心配している。影響について、菅官房長官の下で試算しているので、試算を示したうえで判断していきたい」と述べ、TPPに参加した場合に産業全体や農業に与える影響をまとめた政府の試算を示したうえで、最終的に決断したいという考えを示しました。
そのうえで安倍総理大臣は、「自民党の選挙公約を正確に言うと、『聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉には参加しない』ということだ。それ以外の5つの項目は、自民党の目指すべき方向を書いてある『Jーファイル』に書かれている。交渉参加の条件は、聖域なき関税撤廃かどうかであり、残りの項目は、最終的に条約として批准するなかにおいて実現していく立てつけになっている」と述べ、国民皆保険制度を守ることなど、自民党が掲げている残りの5つの項目は、交渉の中で実現させていく考えを示しました。
また、安倍総理大臣は、日米首脳会談で発表した共同声明に関連し、「『例外品目を認める』とはひと言も書かれていない」という指摘に対し、「交渉によって、例外品目を勝ち取ることができるという認識だ」と述べました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130227/k10015815701000.htmlより、
自民 例外品目など明確な方針求める
2月27日 12時10分

自民党は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に関する合同会議を開き、交渉に参加するのであれば、米、麦、牛肉などを関税撤廃の例外品目とするなど、国益をどう守っていくか明確な方針を示すよう求める決議をまとめました。
自民党の「外交・経済連携調査会」などの合同会議には、およそ100人の議員が出席しました。
会議では、安倍総理大臣のアメリカ訪問に同行した加藤官房副長官が、日米首脳会談の内容を報告し、TPPについて「交渉参加に際し、一方的にすべての関税撤廃の約束を求められないことを確認した」と述べました。
これに対し、出席者からは「安倍総理大臣が何を重視して交渉参加を判断するのか、党所属の議員に説明すべきだ」という意見や、「交渉に参加した場合は、国民に説明責任を果たせるよう、十分に交渉の内容を公開してもらいたい」といった要望が出されました。
そして、会議では、交渉に参加するのであれば、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖などを関税撤廃の例外品目とすることなど、国益をどう守っていくか明確な方針を示すよう求める決議をまとめました。
調査会の会長を務める衛藤前衆議院副議長は、近く安倍総理大臣と会談して、決議の内容を申し入れたいとしています。

官房長官「首相の判断の支障にならず」
菅官房長官は、午前の記者会見で、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への交渉参加に対して、自民党内に反対論があることについて、「党の役員会で安倍総理大臣の判断に委ねられた。党内には農業などさまざまな問題に精通している議員がたくさんいるので、そうした皆さんの意見にもしっかりと耳を傾けながら、安倍総理大臣が最終的に判断する。安倍総理大臣の判断の支障には全くならない。ただ、真摯(しんし)に意見を聞きながら対応したい」と述べました。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年2月26日(火)付
農業の強化策―規制改革を、忘れるな

 高い関税で守ってきたのに、高齢化と後継ぎ不足、耕作放棄地の増加が深刻な農業を、どう立て直すか。
 日本も、環太平洋経済連携協定(TPP)に加わる方向となり、対策をいよいよ急がなくてはならない。
 「経営所得安定対策」と名前を変えて自民党政権が温存した戸別所得補償制度の見直しや、農地をめぐる優遇税制のあり方などに関心が集まりそうだ。
 忘れてもらっては困る課題がある。
 規制・制度改革だ。
 安倍首相は、民間人らが中心となる政府の規制改革会議に対し「健康・医療」「エネルギー・環境」「雇用」の三つを重点分野とするよう指示し、歴代政権で焦点となってきた「農業」をはずした。
 一方、同じく民間人が主体の産業競争力会議では「農業を成長分野と位置づけ、構造改革を加速させる」と強調した。
 ならば、規制改革でも農業を重点分野とするべきだ。
 おいしく、安全な作物をより安く提供できるように競争力を高め、国内の市場を広げて、輸出も伸ばす。若い人たちを農業に呼びこみ、過疎化が進む農村の活性化につなげる。
 政権が強調する「攻めの農業政策」を展開するには、農地の集約化を進めるとともに、ビジネスの発想をもっと取り入れることが必要だ。
 たとえば、農地や法人をめぐる規制・制度である。
 農地の売買や賃貸借、転用で大きな権限や影響力を持つ各地の農業委員会は、地元の農業関係者が中心で、運営が不透明だと指摘されてきた。
 維持すべき農地の転用を防ぎつつ、集約化を進めるには、農業委員会のあり方から見直すことが不可欠だ。
 法人については、農地の所有が認められる「農業生産法人」が急増している。4年前の法改正で、農業者以外からの出資に関する規制が緩和されたことがきっかけだ。
 残る規制をさらに緩和し、弾みをつけるべきだ。現在は農地を借りることしかできない一般企業に農地の所有を解禁することも検討課題だ。
 TPP交渉への参加方針に対し、農協などがさっそく反発を強めている。規制改革に及び腰な政府の姿勢には、夏の参院選もにらみ、農業者の反発を避けたいとの思惑もあるのだろう。
 日本経済を立て直すには、金融、財政政策に続く「3本目の矢」である経済連携と規制・制度改革は、避けて通れない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013022602000158.htmlより、
東京新聞【社説】日本とTPP 米中を結ぶ役割担え
2013年2月26日

 日本も環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する見通しとなった。安倍晋三首相が日米首脳会談を受け「関税撤廃は交渉の前提ではない」と総括したためだ。米中を結ぶ役割を担う好機でもある。
 コメなどの関税が撤廃されると日本農業は死活的状況にさらされかねない。安倍首相は「聖域なき関税撤廃が前提ならばTPPには参加しない」と国民に約束しており、例外扱いは首脳会談での重い課題だった。
 とはいっても米主導の交渉は関税の原則撤廃をはじめ、高水準のルールを目標にシンガポールやペルー、豪州など十一カ国で既に始まっている。オバマ大統領としては交渉国の意向を度外視して日本の求めに応じることは難しい。
 その日米の隔たりを巧みに埋めたのがTPPに関する共同声明だった。声明は「すべての物品が交渉対象になる」と米国の面子(めんつ)を立てる一方で、「最終的な結果は交渉で決まる」と日本が求める例外扱いの可能性もにじませた。
 米国には豪州との自由貿易協定(FTA)で砂糖などを例外にした過去がある。利害得失をぶつけ合いながら折り合うのが貿易交渉だ。首相に攻めの交渉を貫くよう求めたい。農家の不安を払拭(ふっしょく)するため、農業を成長産業に育てる誘導策も着実に具体化してほしい。
 ルールづくりでは世界経済の覇権をいかに牛耳るかという主要国の思惑も見据えるべきだろう。米国と欧州連合(EU)が交渉入りで合意したFTAからその狙いが見えてくる。国内総生産が世界の半分を占める米とEUは、合意したルールを米欧にとどめず、世界共通の基準として広く定着させることに重きを置いている。
 新興国、とりわけ台頭著しい中国にルールづくりの主導権を奪われないよう、連携して中国を同じ土俵に引き入れる戦略だ。
 米国のTPP推進にも「先進国対新興国」の力学が潜む。その表れが環太平洋諸国を米国の傘下に収める多数派工作であり、オバマ氏の日本に対する参加期待だ。日本は参加すれば、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓、インドなどの六カ国を加えた経済連携交渉と同時並行的に進めることになる。
 二つの交渉は牽制(けんせい)しあう米中の間を日本が取り持つ場にもなる。成長が続く中国は重要な市場であり、もはや無視できない。日本は尖閣問題などで冷静さを失うことなく、新ルールづくりの潤滑油役も積極的に引き受けるべきだ。

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