1票の格差で相次ぐ違憲判決 佐々木一峰氏

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_0318.htmlより、
1票の格差で相次ぐ違憲判決
3月18日 19時35分
 
去年12月に行われた衆議院選挙のいわゆる「1票の格差」が最大で2.43倍あったことについて、各地の裁判所で「憲法に違反する」という判決が相次いで言い渡されています。
18日、金沢の裁判所でも「憲法違反」の判決が出て、これまでに判決が言い渡された6つの裁判所のうち4件で「憲法違反」という判断になりました。
国会議員を選ぶ選挙が憲法に違反するという判決がなぜこれほど続くのでしょうか。社会部最高裁判所担当の佐々木一峰記者が解説します。

異例の判決が続く
選挙無効の訴えは高等裁判所が1審になります。弁護士などでつくる2つのグループは、去年12月に行われた衆議院選挙の小選挙区について、全国の高裁と高裁支部に16の裁判を起こしました。
今月に入ってから、東京、札幌、仙台、名古屋、福岡、金沢の6つの裁判所で判決が言い渡され、4件が「憲法違反」、2件が「憲法違反の状態」と判断されました。
前回・4年前の衆議院選挙に対しては、4つの高裁で憲法違反という判決が出ましたが、違憲判決はすでに前回と同じ件数となりました。
どうして、司法の国会に対する厳しい判断が相次ぐのでしょうか。それは前回・4年前の選挙に対する最高裁の判断が深く関係しています。
前回の衆議院選挙に対して最高裁は、おととし、「格差は憲法が求める平等に反しているが、一定の期間の間に是正が行われなかったとまでは言えない」と指摘して、違憲状態だと判断しました。憲法違反の一歩手前の「警告」と言える判決でした。
しかし、その後、国会が小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法改正を行ったのは、選挙直前の去年11月で、区割りを見直す作業は間に合いませんでした。
このため、去年の選挙は、最高裁が「違憲状態」とした区割りのままで行われました。この結果、各地の高裁は「違憲状態」という最高裁の判断を前提として、今回の選挙を検討しているのです。
そして、各地の高裁は、最高裁判決から選挙までの間に1年9か月の時間があったことなどから是正するだけの期間はあったはずだと判断して、より踏み込んだ「憲法違反」の判決を導き出しているのです。

「0増5減」に厳しい評価も
では、もっと早く「0増5減」の法改正を行い、区割りを見直していれば、問題はなかったのでしょうか。
裁判所の中には、この見直しも抜本的な格差の是正になっていないと指摘する判決もあります。
最高裁は、おととしの判決で、各都道府県にまず1議席を配分する「1人別枠方式」が格差の主な原因だとして廃止を含めた見直しを強く求めました。
法律の改正で「1人別枠方式」も削除されましたが、札幌高裁は、今月7日、現在の見直しについて、「『1人別枠方式』による配分を基本的に維持したまま必要最小限の改定にとどめようとしたものだ。最高裁の指摘に沿った改正とは質的に異なる」として、より抜本的な見直しの必要性を指摘しています。
裁判を起こした弁護士のグループも「1人別枠方式」の廃止を徹底し、人口に比例した格差の見直しを行うとすると、小選挙区が300議席の場合の試算では、「21増21減」という大幅な区割りの見直しが必要なはずだと主張しています。

1票の格差とは
そもそも1票の格差はなぜ、問題になるのでしょうか。
それは、国民の意思が選挙を通じて公正に反映されることが民主主義の基本だからです。例えば2つの選挙区の1票の価値に1対2、つまり2倍の格差があった場合、1の選挙区の有権者の1票に比べて、2の選挙区の有権者の1票は半分の価値しかないということになります。
こうした格差のある選挙で、国民の意思が公正に反映されていると言えるのかが問われているのです。

なぜ無効にはならない
一方で、いずれの裁判所も、原告のグループが求めた「選挙無効」の訴えは退けました。
背景には過去の最高裁の判例があります。
衆議院選挙について、最高裁はこれまで、1票の価値に4倍を超える格差があった2度の選挙で「憲法違反」だとする判決を言い渡しました。
しかし、選挙の無効は「無効になった選挙区の議員が不在の状態で、区割り見直しのための法改正を行う必要があるなど、憲法の予定しない不都合が生まれる」などとしていずれも認めませんでした。
今回も、各地の裁判所は、同じような事情を考慮して「憲法違反」という指摘までにとどまっています。

今後も国会に厳しい判決?
これまで6つの裁判所で判決が出ました。残る10件の判決は今月27日までに言い渡されることになっています。
今後の判決についても多くの専門家が「国会に対して厳しい判断となる可能性が高い」と指摘しています。
最高裁の元判事の泉徳治さんは「今後も『憲法違反』の判決が各地で予想されるだけに、『0増5減』にとどまらず、都道府県別の定数を人口に比例するよう速やかに法律を改正して、抜本的な見直しを行うことが必要だ」と指摘しています。
さらに今後、「憲法違反」の判断からさらに踏み込んで、「選挙無効」を言い渡す裁判所があるかどうかも注目されます。
仮に「選挙無効」となれば、国政選挙では、戦後、初めてのことになります。ただし、その場合も判決が確定するまでは選挙が無効になるわけではありません。いずれの判決でも、司法の最終的な判断は改めて最高裁で示される見通しです。
最高裁では、各地の裁判に対して統一的な判断が示されることになるため、判決がいつ言い渡されるかは今の段階では分かりません。
しかし、今回、国会議員が選ばれた選挙を「合憲」だと判断した裁判所は1つもなく、各地で「憲法違反」や「違憲状態」と指摘されるのは、やはり異例と言わざるをえません。国会は、司法からの強い警告をしっかりと受け止め、抜本的な是正に取り組むことが求められています。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中