選挙制度改革 「第三者機関にゆだねよ」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130321k0000m070114000c.htmlより、
社説:選挙制度改革 自民案は問題多すぎる
毎日新聞 2013年03月21日 02時31分

 「今国会終了までに結論を」という約束を破るつもりはない……ということなのだろう。自民党が定数削減を含む衆院の選挙制度改革案をまとめた。同じ与党の公明党も同調する方向になっているという。
 議論がようやく具体的になり始めた点は評価する。だが、自民党案はあまりにも問題点が多い。しかも、野党は早くも批判しており、実現が可能なようにも思えない。
 自民党案は次のような内容だ。
 今の小選挙区比例代表並立制は維持し、小選挙区の定数(作業が進行中の「0増5減」が実現した場合は295)は減らさない。一方、現在11ある比例ブロックを8に再編し、比例定数は180から150に減らす。このうち60は比例代表の得票数で2位以下となった政党に優先配分する「中小政党枠」に充てる。
 まず何より、これでは複雑すぎる。大半の有権者は比例代表で投じた自分の1票が一体、どうなるのか、戸惑うに違いない。
 優先枠設置は少数意見を反映させるためという。ただし、ブロックによっては得票数の少ない政党が得票数の多い政党の議席を上回る逆転現象も出てくる。自民党案はこれを防ぐ措置も講じることにしているが、仕組みは複雑になるばかりだ。
 そもそも優先枠は「1票の価値の平等」をゆがめ、憲法違反の恐れがあるとの指摘がある。昨年、民主党が同様に中小政党に有利になる「連用制」を提案した際、「違憲の恐れがある」と批判したのは自民党だ。それを承知で枠を設け、当初方針よりさらに枠を拡大したのは公明党への配慮といわれても仕方あるまい。
 今、最も深刻な課題は「1票の格差」の解消だ。小選挙区は人口の増減により、絶えず区割り変更が必要となる制度であり、「0増5減」は小手先の改善策でしかない。一方で実際の得票率とかけ離れた地滑り的な結果になりやすい今の制度に疑問を感じている人は多いと思われる。当面は制度の抜本改革より、定数の削減が国民との約束だというのなら比例だけでなく小選挙区も減らすことを検討すべきではないか。
 参院の「1票の格差」問題も解消されていない。結果的に衆参が似かよった選挙制度となっている現状でいいのか。本来、衆参一体で改革を考えていくべきである。
 自民党はこの案で強引に押し通す考えでもないという。逆に言えば本気ではないということだ。他党も大きなことは言えない。「どうせまとまるはずがない」という空気が広がっている。だとすれば、かねて私たちが提案してきたように、もはや第三者の手に委ね、衆参両院一体の選挙制度改革を検討した方が近道だ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130318/elc13031803150000-n1.htmより、
産経新聞【主張】衆院選改革 比例の優先枠は再考せよ
2013.3.18 03:14 (1/2ページ)

 自民党がまとめた衆院比例代表に中小政党向けの「優先枠」を設ける選挙制度改革案は、あらかじめ一票の価値の平等を崩す内容であり、極めて問題が多い。
 何より有権者には、仕組みが分かりにくい。連立を組む公明党への強い配慮も露骨だ。党利党略の改革案との批判は免れない。自公両党は法案提出を再考すべきだ。
 自民党案は、比例代表定数を30削減して150とし、このうち90は従来通り得票数に応じて議席を配分するが、残り60は第2党以下で分け合うという内容だ。優先枠がある分だけ、第1党に投じられた票の価値が軽く扱われ、憲法違反にあたるとの指摘もある。
 衆院の定数削減と選挙制度改革をめぐっては、民主党も政権与党時代に小選挙区比例代表連用制を一部導入し、比例代表で中小政党に優先配分する案を出した。
 解せないのは、これを「憲法違反」などと厳しく批判してきた自民党が、民主党案と同様、複雑で投票価値の平等を崩しかねない制度の導入を打ち出したことだ。
 優先枠を導入すると、第1党と第2党の得票率が近い場合、獲得議席数が逆転することも考えられる。自民党は逆転しないよう規定を設けるというが、さらに分かりにくくするだけだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130318/elc13031803150000-n2.htmより、
2013.3.18 03:14 (2/2ページ)
 昨年12月の衆院選比例代表での得票数に基づく産経新聞の試算によれば、優先枠の新設に伴って自民党の比例代表の獲得議席は57議席から33議席に減る。公明党は22議席で変わらないが、定数30削減を考えれば恩恵を受ける。
 優先枠が当初案の30から60へと倍増したのも、公明党への配慮と受け止められても仕方がない。公明党以外の中小政党からは「優先枠は分かりにくく、自党に有利になるとしても反対」といった批判が出ている。
 日本維新の会の橋下徹共同代表は「二大政党制を前提とするなら中小政党への配慮はいらない」と語った。自民党案は、小選挙区制の下で政権交代可能な二大政党制を構築するという政治改革の理念を否定しているといえる。
 自民党大会で安倍晋三首相(総裁)ら幹部は「党に完全に信頼が戻ったわけではない」と謙虚さを強調した。今回の「優先枠」の提示は、国民の政治離れを加速するだけでなく、自民党への信頼も損なうことを認識すべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 3月 16 日(土)付
選挙制度改革―自民党案は本末転倒だ

 自公連立与党のご都合主義が目にあまる。とても有権者を第一に考えたとは思えない。自公党首会談で大筋一致した衆院選挙制度改革案のことである。
 自民党がまとめた案によると、比例区の定数を30削減する。そのうえで、少数政党向けに60の優遇枠を設ける。そこでは、得票数が2位以下の党にだけ議席を配分する。
 確かに少数意見を国政に反映させる工夫は必要である。だが、少数政党の賛同をとりつけようとして制度をゆがめてしまうのでは、本末転倒だ。
 連立を組む公明党への配慮は、あからさまである。
 昨年の衆院選の得票を自民党案にあてはめた朝日新聞の試算によると、公明党は現有議席を維持する。優遇枠は同党の要求で、もとの自民案の30から60に倍増された。
 与党の足並みだけを重視し、制度全体への目配りや有権者の理解を二の次にしたとの印象はぬぐえない。
 そもそも、何のための選挙制度改革なのか。
 根本には、小選挙区の「一票の格差」をただす定数是正の問題があったはずだ。国会は「0増5減」を決めたが、それは小手先の改革でしかない。
 もうひとつ、昨年の衆院解散時の自公民3党の定数削減の合意がある。小選挙区には手を付けず、比例区だけで定数を減らそうとしているため、つじつま合わせの矛盾が深まる結果になっている。
 優遇枠によって、得票数の少ない政党の議席が、得票数の多い政党を上回る「逆転現象」も生じうる。自民党案はそれを防ぐ措置をとるとしているが、制度が複雑になるばかりだ。これでは結局、比例区の一票の価値までゆがめかねない。憲法違反の恐れもあるのではないか。
 民主党の案も、ほめられたものではない。比例区の一部を連用制にする複雑な内容だが、ひずみを生じる点では自民党案と同類である。
 選挙制度改革は、理念が明確で筋の通ったものでなければならない。
 この期に及んで、こうした案しか出ないのであれば、もはや政党間協議では結論が出せないと思わざるをえない。
 繰り返し主張してきたことだが、ここは第三者機関に議論をゆだねるべきではないか。
 参院の「一票の格差」も、依然として大きいままである。首相の諮問機関である選挙制度審議会をただちに立ち上げ、衆参両院の選挙制度をセットで見直すべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130222k0000m070115000c.htmlより、
社説:衆院定数削減 ウソつきとならぬよう
毎日新聞 2013年02月22日 02時32分

 衆院の定数削減に関する自民、公明、民主3党の協議がようやく始まる。3党が「通常国会終了までに結論を得たうえで法改正を行う」と合意してから既に3カ月。やっと重い腰を上げた形だが、「合意は困難」という声が早々と出る始末だ。
 経過を改めて振り返っておこう。定数の大幅削減は昨年11月、当時の野田佳彦首相(民主党代表)が安倍晋三自民党総裁との党首討論で提起し、「これを約束してくれたら衆院を解散してもいい」と持ちかけたのがきっかけだ。自民党も消費増税で国民に負担増を求める以上、国会議員自ら身を切る姿勢が必要と判断して合意したはずだ。衆院解散に直結した重い約束だったということだ。
 ところが衆院選を経て政権が再交代して以降、この問題は事実上放置されてきた。自民党をはじめ、国会の怠慢というほかない。しかも今後の見通しもまるで立っていない。22日には3党の幹事長がこの問題について初めて意見交換するが、今後、どんな形で協議を進めるか、その手続きも定かでない。
 定数削減と選挙制度改革は確かに各党の存亡にかかわる問題だ。小選挙区の定数を減らすのか。比例代表を減らすのか。小選挙区比例代表並立制という仕組み自体を抜本的に見直すのか。その場合、自分の政党は有利になるのか、不利なのか−−。実際、自民党と民主党は比例代表の削減に軸足を置いているが、公明党はこれに反対し、「新しい中選挙区制」などを提案している。3党以外の他党も考え方はばらばらだ。
 小選挙区の「1票の格差」を是正するための「0増5減」という最低限の措置でさえ国会の対応が遅れに遅れ、先の衆院選は最高裁が「違憲状態」と判断する中で行われたことを忘れてはいけない。この「0増5減」のための区割り変更も、まだ衆院選挙区画定審議会で作業が進行中というのが現実である。
 それを踏まえれば、国会議員自らに定数削減や制度変更を任せておくのはやはり難しいのではないかという結論になる。
 身を削る約束を守らず、「ウソつき」と呼ばれないようにするためには、かねて私たちが提案してきたように、例えば首相の諮問機関である選挙制度審議会など、まず第三者機関に議論を委ねるのが、むしろ近道ではないか。国会議員の定数はどの程度が適正で、どんな選挙制度がふさわしいかは、日本の政党政治はどうあるべきかという根幹にかかわるテーマである。同時に参院のあり方も考え直す必要があろう。
 各党が協議をしているふりをして、いたずらに時間が経過するのが一番いけない。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年2月14日(木)付
選挙制度改革―第三者機関にゆだねよ

 自民党の腰の重さは目にあまる。昨年の衆院解散にあたって民主、公明両党と合意した、衆院の選挙制度改革をめぐる消極姿勢のことである。
 「定数削減については、選挙制度の抜本的な見直しについて検討し、通常国会終了までに結論を得た上で法改正を行う」
 解散のまさにその日、自公民3党が交わした合意である。
 国民に消費増税を求める前提として、国会議員みずからも「身を切る」覚悟を示すとした定数削減。民意を的確に反映する選挙制度への改革。
 このふたつは、公党間の約束であると同時に、国民への公約でもあったはずだ。
 それなのに、議論を引っ張るべき政権党が逃げ腰とはあきれるほかはない。
 党幹部からは「限られた時間でできるかと言えば極めて困難」(石破幹事長)といった消極論が相次いでいる。
 そんな言い訳は通らない。
 3党合意からすでに3カ月。時間がない、のではない。時間はあるのにやりたくない。そういうことではないのか。
 一因は、各党の主張が食い違うことだ。大政党は小選挙区を重視し、中小政党は比例代表を大事にする。自分が有利な制度は変えたくない。そんな議員心理が歩み寄りを妨げている。
 09年総選挙を違憲状態とした最高裁判決からまもなく2年。
 この間、与野党が実現したのは、解散まぎわに成立した「0増5減」法だけだ。かろうじて一票の格差を2倍未満におさえるための、最低限の緊急避難的な手直しにすぎない。
 このまま政党間の話し合いに任せても、時間を空費するばかりだ。今国会中はおろか、いつまでたっても結論が出るとは思えない。
 だとすれば、国会議員以外の第三者に議論をゆだねるほかにない。
 安倍首相に求める。首相の諮問機関である選挙制度審議会をただちに立ち上げるべきだ。
 参院の一票の格差もやはり最高裁に違憲状態と指摘されている。見方を変えれば、衆参の役割分担をふまえ、両院の選挙制度のあり方を同時に見直すチャンスである。
 一方、定数削減はむしろ慎重に扱うべきだ。いたずらに議員を減らすだけでは、民意をくむ力を弱めかねないからだ。
 「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」する――。
 憲法前文の精神が軽んじられる異常事態を、これ以上、放置してはならない。

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