中ロ首脳会談 「太平洋望んだ同床異夢」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130324/k10013418351000.htmlより、
習主席 訪ロは予想以上の成果
3月24日 19時54分
就任後初めての外遊でロシアを公式訪問した中国の習近平国家主席は、「予想していた以上の成果があった」と強調し、続いてアフリカ歴訪を開始しました。
22日からロシアを公式訪問した習近平国家主席は、プーチン大統領と首脳会談を行い、中ロの戦略的な協力関係をさらに深めていくことで合意しました。
そして、共同声明を発表し、主権や領土などの「核心的利益」に関する問題で、互いを固く支持しあうことや、ミサイル防衛計画の一方的かつ無制限な強化に反対することなどを明記して、沖縄県の尖閣諸島を巡って対立する日本と同盟国のアメリカをけん制しました。
習主席はこのほか、モスクワの大学で講演したり、ロシア国防省の作戦管理センターを外国の元首としては初めて参観したりするなど、3日間の滞在中に、およそ20の日程をこなして、中ロの親密な関係をアピールし、メドベージェフ首相と会談した際には、「今回のロシア訪問は、予想していた以上の成果があった」と強調しました。
習主席は24日、次の訪問国のタンザニアに向かい、アフリカ歴訪を開始しました。
中国政府は、資源の確保や将来の大市場としての観点からアフリカを重視しており、習主席の今回の歴訪で、一層の関係強化を目指します。さらに、習主席は、南アフリカでブラジルやインドもメンバーになっているBRICS=新興5か国の首脳会議に出席し、新興国どうしの結束も図ることにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130324/k10013411271000.htmlより、
習主席 米ミサイル計画は中ロ共通懸念
3月24日 4時15分
ロシアを公式訪問している中国の習近平国家主席は、アメリカが進めているミサイル防衛計画にロシアと共通の懸念を持っていることを確認するなど、中ロ両国の協調ぶりをアピールしてアメリカを強くけん制しました。
習近平国家主席はロシア滞在2日目の23日、ショイグ国防相と会談しました。
ロシア側によりますと、双方は「国際安全保障の問題で完全に意見が一致し、特にアメリカが進めているミサイル防衛計画について共通の懸念を持っていることを確認して、今後も協議を続けていくことになった」ということです。
アメリカのミサイル防衛計画については、習主席とプーチン大統領の首脳会談後に発表された共同声明にも、「ミサイル防衛の一方的かつ無制限な強化によって、戦略的な安定と国際社会の安全が損なわれることには反対する」と明記されました。
また、この日、習主席はショイグ国防相との会談に先立ち、ロシア国防省の作戦管理センターを参観しました。このセンターを外国の元首が訪れるのは初めてだということで、習主席の就任早々のロシア訪問は、中ロ両国の協調ぶりをアピールしてアメリカを強くけん制するものとなりました。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 3月 24 日(日)付
中ロ首脳会談―太平洋望んだ同床異夢
協力のかけ声と裏腹に、太平洋を望んだ中国とロシアの「同床異夢」は広がる。実情を冷静に見すえ、国益と地域安定につなげる対応が日本に必要だ。
中国の習近平(シーチンピン)国家主席が就任後初の外遊でロシアを訪れてプーチン大統領と会談し、両国間の「戦略的協力」関係の発展に関する共同声明を出した。
声明は、これまで通り主権や領土保全などの「核心的利益」で互いの国を支持することをうたっている。会談に際し、ロシアから中国への年間の石油供給量を倍増するなど、多くの経済協力案件も合意された。
だが、習氏が尖閣諸島問題でロシアの支持を会談の課題としたのに、プーチン氏は共同会見で領土問題に触れなかった。
中国漁船衝突事件の直後に胡錦濤(フーチンタオ)前主席とメドベージェフ前大統領が出した2年半前の共同声明には、尖閣での中国寄りを意味する「第2次大戦の成果と国際秩序を守る」との表現があった。これも、プーチン氏が大統領に復帰した後の昨年同様、声明に含まれていない。
習氏が率いる中国は尖閣のほか、台湾問題、南シナ海での領土・領海争い、米国の「アジア回帰」への対抗など、太平洋方面での課題が目白押しだ。
他方でプーチン氏は、極東とシベリアの開発で、日本などのアジア・太平洋諸国からの投資や技術の引き入れを重視する。米国のシェールガス革命で輸出が減少した天然ガスを、この方面に売り込む必要もある。
さらに、中国の国内総生産がロシアの約4倍、軍事費が約2倍と、国力差が一段と目立ってきている。一本調子で協力を続け、中国が抱える係争案件へ過度に関与することは、明らかにロシアの利益にならない。
プーチン氏が日本との北方領土問題の解決に前向きで、エネルギー協力を呼びかける背景にはこうした事情がある。
ただし、中ロは米国への対抗などで、なお協力を必要としている。米国が同盟国と進めるミサイル防衛には、両国は引き続き反対を表明している。
それでも日本は、中ロ関係の変わらぬ部分に目を奪われ、変化を軽んじたりしては、外交上の好機を見逃しかねない。
領土問題の議論と並行して、まずロシアとの協力をさぐる。日ロ接近をテコに、東アジアでのエネルギー事情の改善や北東アジアの安定へと、中国を誘い入れていく。
安倍首相は大型連休中に予定されるロシア公式訪問で、プーチン氏と新たな協力のあり方を率直に語り合ってほしい。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130324/chn13032403280001-n1.htmより、
産経新聞【主張】中露首脳会談 日本牽制の「共闘」に楔を
2013.3.24 03:27 (1/2ページ)
中国の習近平氏が国家主席就任後、ロシアに初外遊してプーチン大統領と会談した。両首脳は、主権や領土保全、安全保障を「核心的利益」と位置付けて、「互いを断固として支持する」との共同声明を発表した。
沖縄・尖閣諸島や北方領土をめぐり対立が続く日本を牽制(けんせい)しようと、中露が結束を図っていると読める。声明の「核心的利益」とは、北方領土の実効支配も念頭に置いたものか、尖閣問題で「ロシアはどちらかの側に立つことはしない」(プーチン氏側近)との立場を変えたのか。4月下旬にも訪露する安倍晋三首相はロシア側に問いたださなければならない。
一方で、会談での「中露蜜月」は演出されたもので、両国間にはすきま風も吹きだしているとの見方もある。安倍首相は、中露関係の動向を見極め、日本の国益を守るため、両国間に楔(くさび)を打ち込む外交を展開してもらいたい。
尖閣諸島は、日本が他国の支配の形跡がないと確認して領土に編入した。中国が70年以上もたってから領有権を主張し始めたのは、言いがかりにも等しい。北方領土は、先の大戦終了後の混乱に乗じてソ連が武力で占拠している。
国際法を踏みにじり無視する行為を互いに支持し合うことなど、到底許されるものではない。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130324/chn13032403280001-n2.htmより、
2013.3.24 03:27 (2/2ページ)
習氏の前任の胡錦濤氏が、国家主席就任後初めて外国の地を踏んだのも、ロシアだった。任期中、40年余に及んだ中露国境の画定にこぎつけ、先の大戦結果について「歴史の歪曲(わいきょく)」は許さないとする中露共同声明を出し、対日歴史観で共闘する姿勢も示した。
今回の声明は当時とは違い、日本を名指しで非難してはいない。ロシア側には、台頭する中国のエネルギー調達地に成り下がるという不安や、過疎の極東・シベリア地域に流入する中国人急増への懸念が強まっている。両国の関係には確実に陰りがみえる。
共同声明では、米国のミサイル防衛(MD)計画に対しても、「一方的で際限のない配備は認められない」とし、中露の共闘姿勢を打ち出している。
だが、米ミサイル防衛網の拡充は、北朝鮮やイランの核・ミサイル開発の脅威に備えた当然の措置である。日本は同盟国として拡充に協力する責務がある。
中露には、日米同盟の立場から対応することが肝要である。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130323/k10013408101000.htmlより、
習主席「核心的利益」では支持し合う
3月23日 19時9分
ロシアを公式訪問している中国の習近平国家主席は23日、モスクワの大学で講演し、中ロ両国は互いの主権や領土などの「核心的利益」に関する問題では固く支持し合うと述べるとともに、日本政府による沖縄県の尖閣諸島の国有化は第2次世界大戦後の国際秩序を覆そうとするものだという主張を暗に展開しました。
習近平国家主席はロシア滞在2日目の23日、モスクワ国際関係大学を訪れ、800人余りの学生や教員らを前に講演しました。
この中で、習主席は「中国は平和的な発展の道を揺るぎなく歩む。中国の国防政策は一貫して防御的なものだ」と述べ、ロシアでも聞かれるいわゆる中国脅威論を打ち消しました。
そして、「中国とロシアはよきパートナー、よき友人、よき隣人だ」としたうえで、互いの主権や領土などの「核心的利益」に関する問題では固く支持し合うと述べました。
さらに、習主席は日中戦争で中国軍が旧ソビエトからの援軍とともに日本と戦ったというエピソードを持ち出し、「中国の大地で命を落とした英雄のことを中国国民は忘れない」と述べました。
これは、中ロ両国がともに第2次世界大戦の「戦勝国」であり、日本は「敗戦国」だという立場を強調したもので、日本政府による沖縄県の尖閣諸島の国有化は第2次世界大戦後の国際秩序を覆そうとするものだという主張を暗に展開した形になりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130322/k10013394441000.htmlより、
習近平主席 ロシア訪問始まる
3月22日 21時5分
中国の習近平国家主席は、日本時間の22日夕方、公式訪問のためロシアのモスクワに到着し、就任後、初めてとなる外国への訪問をスタートさせました。
中国の習近平国家主席の外国への訪問は、就任後初めてで、現地時間の22日(日本時間の22日午後5時ごろ)、専用機でモスクワに到着しました。
習主席は、軍に所属し中国の人気歌手でもある彭麗媛夫人と共に飛行機から姿を見せ、共に手を振ったあと、腕を組んでタラップを降りてロシア側の出迎えを受けました。
習主席は歓迎式典に出席したあと、プーチン大統領との首脳会談を行い、両首脳はその後、共同で記者会見に臨む予定です。
ロシア滞在は24日までの予定で、この間、ロシア国防省を訪問したり、中国語を学んでいるロシアの学生たちと交流したりするということです。
また、同行している彭麗媛夫人は、ロシア軍の音楽隊と交流するなど、中国のファーストレディとしての外交をスタートさせるということです。
習主席はロシア訪問を終えたあと、30日までの日程で、タンザニア、南アフリカ、コンゴ共和国を歴訪し、このうち南アフリカでは、ブラジルやインドもメンバーに入っているBRICSと呼ばれる新興5か国の首脳会議に出席します。
なぜロシアとアフリカか
就任後初めての外遊先にロシアとアフリカ諸国を選んだ習近平国家主席のねらいは、大国アメリカと渡り合っていく足場を固めるため、まずは、重要な隣国であるロシアや、新興国などとの関係を強化することにあります。
このうち、ロシアは、中国にとって安全保障やエネルギーなどさまざまな分野で戦略的なパートナーで、前任の胡錦涛氏も、就任後、初めての外遊先はロシアでした。
習主席は、今回の外遊を前に、「ロシアとは国際的・地域的な問題で、密接に協調し、歩調を合わせる」と述べ、それぞれが結び付きの深い北朝鮮やシリア、それにイランを巡る問題への対応で、アメリカなどとは一線を画していく考えを示しています。
一方、南アフリカでは、ブラジル、ロシア、インド、それに南アフリカと共にBRICSと呼ばれる新興5か国の首脳会議に出席し、新興国の国際社会での発言力の強化を目指し結束を強めたいとしています。
また、アフリカのタンザニアとコンゴ共和国への訪問では、経済成長に欠かせない資源を確保するための働きかけを強めるとともに、経済協力の強化を表明して、中国のアフリカでの影響力をさらに高めたい考えです。
アメリカがアジア太平洋地域を重視する戦略を打ち出し、日本をはじめ同盟国との連携強化を図るなか、世界第2位の経済力を背景に国際社会で台頭する中国は、今後、安全保障や経済的な利害を巡ってアメリカとの摩擦が増えることも予想されます。
今回の、習近平国家主席の初めての外遊は、こうしたアメリカと渡り合っていくことを強く意識しているとみられます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130322/k10013370981000.htmlより、
中国の習近平主席が初外遊へ
3月22日 4時53分
中国の習近平国家主席は、就任後初めての外遊として、22日からロシアとアフリカ諸国を歴訪することにしており、これらの国々との友好ムードを演出しながら、新政権の外交の基盤固めを図るものとみられます。
習近平国家主席は22日午前、北京を出発し、最初の訪問国のロシアに向かいます。
ロシアではプーチン大統領と首脳会談を行ったあと、共同記者会見に臨むほか、24日までの滞在中、ロシア国防省の視察や中国語を学ぶ学生たちとの交流などを予定しています。
その後、習主席は30日までの日程で、タンザニア、南アフリカ、コンゴ共和国を歴訪し、このうち南アフリカでは、ブラジルやインドもメンバーに入っているBRICS=新興5か国の首脳会議に出席します。
今回の習主席の外遊には、元駐日大使の王毅外相や彭麗媛夫人も同行する予定です。
彭氏は軍に所属する人気歌手で、ファーストレディーとしてのふるまいにも注目が集まっています。習主席は出発を前に、訪問国などのメディアのインタビューに応じて、「戦略的な協力関係をさらに強めていきたい」と話しており、新興国やアフリカ諸国との友好ムードを演出しながら、新政権の外交の基盤固めを図るものとみられます。