衆院選無効判決 国会の「怠慢」への断罪だ

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130326/plc13032603140006-n1.htmより、
産経新聞【主張】衆院選無効判決 国会の「怠慢」への断罪だ
2013.3.26 03:14 (1/2ページ)

 司法がついに衆院選の「無効」に踏み込んだ。動かぬ国会に、司法の怒りが一線を越えさせたといえる。国会は速やかに「違憲」の状態を解消しなくてはならない。
 最大2・43倍の「一票の格差」が生じた昨年12月の衆院選を広島高裁は「違憲」と判断し、広島1、2区の選挙を無効とした。衆参両院を通じて選挙無効の判決は戦後初めてだ。
 判決は、昨年の衆院選で一票の格差が是正されなかったことについて、「最高裁の違憲審査権が軽視されている。もはや憲法上許されるべきではない」と、厳しく国会の対応を批判した。
 平成21年の衆院選について最高裁大法廷は23年3月、各都道府県にあらかじめ1議席を配分する「1人別枠方式」による最大格差2・30倍の区割りを「違憲状態」と判断していた。
 23年の判決後も国会では、衆院の定数是正と定数削減、選挙制度改革の議論が各党の利害も絡んで錯綜(さくそう)した。昨年11月の解散直前に、格差を2倍未満とする「0増5減」の緊急是正措置がとられたが、区割り作業は間に合わぬまま12月の衆院選が実施された。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130326/plc13032603140006-n2.htmより、
2013.3.26 03:14 (2/2ページ)
 昨年の衆院選をめぐる一連の訴訟で小選挙区の判決は8件目だ。これまで東京高裁など5件の違憲判断が出ていたが、選挙無効の請求は退けられていた。選挙無効とすれば「議員がいない状態で選挙区割りを是正することになる」という理由からだった。国民の主権行使という現実も重かった。
 国会の側に「違憲状態」や「違憲」判決が出ても、選挙無効にはなるまいという、甘えや司法軽視はなかったか。
 広島高裁判決は、無効の効力は「今年11月26日の経過後に発生する」と猶予期間を与えた。選管側が上告すれば直ちに無効とはならず、判断は最高裁大法廷に託される。だが、戦後初の無効判決という異例の事態を、国会は重く受け止めるべきだ。
 今月28日に衆院選挙区画定審議会から安倍晋三首相に新しい区割り案が勧告され、それに基づく公職選挙法改正を経て、ようやく新区割りが適用される。
 与野党の協議では自民党が比例代表に中小政党向けの優先枠を設ける案を出しているが、新たに投票価値の平等を崩す問題があるとして強い異論がある。これ以上の遅滞は、醜態というべきだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013032602000163.htmlより、
東京新聞【社説】衆院選は「無効」 初の決断を評価する
2013年3月26日

 昨年の衆院選をめぐる「一票の格差」訴訟で、広島高裁は「違憲・無効」と断じた。選挙無効の判決が出るのは戦後初だ。明白な不平等を放置した国会に突きつけた、司法の決断を大いに評価する。
 「憲法が要求する投票価値の平等に反する状態が悪化している」「基本的権利である選挙権や、民主的政治のゆがみは重大」と、広島高裁は違憲理由を述べた。
 ただし、無効は「今年十一月二十六日の経過後に発生する」という“未来の無効”だ。国会に是正の猶予期間を与えたわけだ。
 昨年末の総選挙は、一票の価値に最大二・四三倍もの格差があった。言い換えれば、ある人は「一票」なのに、ある人は「〇・四一票」しか持たない状態だ。明らかに不平等といえる。
 しかも、二〇一一年に「違憲状態」とした最高裁判決で、「一人別枠方式」を廃止するよう促されていた。あらかじめ四十七都道府県に一議席ずつ配分する、地方配慮の方法である。だが、国会は事実上、同方式を温存したまま、「〇増五減」の是正策を行った。同時に従来の区割りで行われた総選挙は、最高裁判決から一年九カ月もたっていた。制度の抜本改革には十分な時間があったと考えられよう。つまり、国会は最高裁の指摘を無視したに等しいのだ。
 この状況を踏まえ、既に東京、札幌、仙台、金沢、高松の五つの高裁と高裁支部は「違憲」と判断しており、広島高裁も同じ論理で「違憲」と導いたといえる。
 異なるのは、各高裁がためらった「選挙無効」まで踏み込んだことに尽きる。そもそも違憲なのに無効を認めない判断は、一九七六年の最高裁の「事情判決の法理」と呼ばれる理論による。行政処分が違法でも、取り消すと、公の利益に著しい障害が生じる場合は請求を棄却できる-。行政事件訴訟法の規定を援用したのだ。
 ただし、選挙無効訴訟で事情判決を行うことは、そもそも条文に定めがない。公職選挙法は、選挙無効訴訟には行政事件訴訟法の規定を準用しないと明記しているほどだ。裁判所は政治的混乱を回避するため、これまで無理に無理を重ねてきた。司法は国民の方を向いてこなかったわけだ。
 どんな有権者も等しく一票を持つ「一人一票」の考え方を尊重してほしい。国会は十一月まで八カ月間の猶予をもらった。判決に異を唱えるよりも、根本的な選挙改革に踏み出すべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130326k0000m070082000c.htmlより、
社説:衆院選無効判決 警告を超えた重い判断
毎日新聞 2013年03月26日 02時32分

 わが国の議会政治史上、異例の事態といっても過言ではあるまい。
 「違憲状態」だった小選挙区の1票の格差是正がないまま実施された昨年12月の衆院選広島1、2区について、広島高裁が「違憲・選挙無効」の判決を言い渡したのだ。
 選挙無効の判断は、過去の国政選挙の1票の格差をめぐる裁判で高裁・最高裁を通じて初めてだ。
 憲法が要請する投票価値の平等に基づいて実施されなかった選挙で選ばれた衆院議員に正当性はない。判決はそう言っているのに等しい。
 裁判所はこれまで「違憲」の判断をした場合でも、混乱を回避するため「事情判決の法理」を適用し、選挙を有効としてきた。
 広島高裁が過去の例にならわなかったのはなぜか。最高裁は11年3月の大法廷判決で「選挙区間の人口の最大格差は2倍未満が基本」とした法律の区割り基準について合理的との見解を示し、1票の格差が最大2・30倍だった09年選挙は「違憲状態」との結論を導いた。だが、昨年12月の選挙時点で格差は2・43倍に拡大。格差2倍以上の選挙区も09年選挙の45選挙区から昨年は72選挙区に激増していた。
 高裁判決は、こうした状態を招いた国会の対応はもはや許されないと判断したのだ。最高裁判決から1年半が経過した昨年9月が是正のタイムリミットだったと結論づけ、「民主的政治過程のゆがみの程度は重大で、最高裁の違憲立法審査権も軽視されている」と強く警告した。国会は率直に批判を受け止めるべきだ。
 最高裁で無効判決が確定すれば、訴訟対象の衆院議員は失職する。失職議員が関与して成立した法律は有効なのか。そんな疑問も湧く。
 さらに根本的な問いかけもある。他の議員も「違憲状態」で選出された点は同じだ。ならば再投票は失職議員の欠員補充だけで足りるのか。解散して全議員を選び直すのが筋だとの意見も出てこよう。
 広島高裁判決は、混乱を避けるため、無効の効果は今年11月26日を経過して発生するとした。最高裁が85年に「違憲」判断をした際、当時の寺田治郎裁判長らが補足意見で示した見解を援用したもので、定数是正に一定の猶予期間を与えたものだ。
 「0増5減」を前提に第三者機関の審議会が近く、区割り案を安倍晋三首相に勧告する。最低限、その是正を今国会で済まさねばならない。
 ただし、「0増5減」の定数是正は不十分だと札幌高裁が指摘したように、小手先改正への批判もある。投票価値の平等を実現するような定数是正と削減、さらには衆参両院一体の選挙制度改革に本気で取り組む時がきた。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130326ddm003010175000c.htmlより、
クローズアップ2013:衆院選、無効判決(その1) 政治の放置、限界
毎日新聞 2013年03月26日 東京朝刊

 12年衆院選を巡る25日の広島高裁判決は、「将来の選挙無効」を突きつける内容となった。「最高裁の違憲審査権も軽視されている」と述べ、「1票の格差」是正に向き合わない国会に対する不信が限界を超えたことの表れと言える。各地の高裁、高裁支部に提訴された計16件の訴訟のうち、今回の無効判決を含め8件が言い渡され、1票の最大格差2・43倍で行われた衆院選を「合憲」とした判断はまだない。広島高裁判決の「衝撃」が、永田町を揺さぶった。

 ◇是正期間を厳格化 最高裁判断に影響も
 昨年衆院選の「1票の格差」を巡っては、二つの弁護士グループが全国8高裁、6高裁支部に提訴していたが、「選挙無効」が出るか否かが最も注目されていた。政府関係者は「可能性はあると思っていたが、まさか本当に出してくるとは」とため息をついた。無効判断以外にも5件の「違憲」と2件の「違憲状態」判決が出ており、最高裁の統一判断に一定の影響を与える可能性が高い。
 「一定期間が経過した後に無効の効力が発生する判決も検討の対象」。計16件の訴訟で最初の判決となった6日の東京高裁判決も「将来の無効判決」の可能性に言及したが、「今後、投票価値の平等にかなう区割りに是正される」などとして、無効判断を回避した。
 選挙無効訴訟は(1)格差が憲法の求める選挙権の平等に反するか(2)是正のための合理的期間を過ぎたか−−の2段階で違憲性を判断する。格差が平等に反しても、まだ是正期間内と判断すれば「違憲状態」、期間を過ぎていれば「違憲」となる。
 最高裁が中選挙区制度下の衆院選で示した2度の違憲と2度の違憲状態判断は、いずれも最大格差3倍以上だった。ところが、小選挙区制に移行して初めての違憲状態判断(11年3月)は、09年衆院選の最大格差2・30倍を問題視した。厳格化の背景には、国会の遅い対応に従って、合憲ラインが次第に低くなっているとの見方が強い。
 こうした中、先の衆院選は、09年衆院選と同じ区割りで実施されたため、今回の16件の訴訟では(1)は主な争点ではなく、(2)を判断した上で、無効とすべきかどうかが焦点となっている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130326ddm003010175000c2.htmlより、
 札幌高裁の違憲判決(7日)は(2)について「11年3月の最高裁判決から選挙まで1年9カ月もありながら、この間に国会が実現したことは必要最小限の(制度)改定にとどめようとするものに過ぎない」と批判。一方で名古屋高裁の違憲状態判決(14日)は「最高裁判決後、各党間の協議や法案審議がなされていた。ねじれ国会だったことを考慮すると、一概に国会の怠慢と非難することは相当でない」と、ある程度肯定的にとらえた。高裁の裁判官の間でも温度差が生じていると言えそうだ。
 今後、最高裁で無効判決が出るとどうなるのか。
 現実に国政選挙の無効が確定したケースはなく、失職対象や、失職議員の当選後の議員活動の扱いなどの法解釈はあいまいだ。広島高裁判決は2選挙区を対象とし、2議員だけが影響を受けるが、最高裁が統一判断するのは16件31選挙区。無効判決が確定すれば、失職議員が拡大する事態につながる。議決などの議員活動については失職前のものは有効とする学説が主流と言われるが、明確な法規定はない。【石川淳一】

 ■ことば
 ◇1票の格差
 議員1人当たりの有権者数を選挙区ごとに計算し比較した倍率。選挙区の区割りによって、人口が集中する都市部より、地方の方が1票の価値は重くなる。昨年12月の衆院選では、有権者が最も多い千葉4区と最も少ない高知3区との格差は2.43倍だった。高知3区の有権者1人が1票を持つのに対し、千葉4区の有権者は2.43人で1票を持つ計算になる。

 ◆訴訟対象の小選挙区と当選議員
 ◇札幌高裁
北海道3区  高木宏寿 [自]

 ◇仙台高裁
宮城2区   秋葉賢也 [自]

 ◇仙台高裁秋田支部
秋田1区   冨樫博之 [自]

 ◇東京高裁
東京1区   山田美樹 [自]
  2区   辻清人  [自]
  5区   若宮健嗣 [自]
  6区   越智隆雄 [自]
  8区   石原伸晃 [自]
  9区   菅原一秀 [自]
  18区  土屋正忠 [自]
神奈川15区 河野太郎 [自]

 ◇名古屋高裁
愛知1区   熊田裕通 [自]
  8区   伊藤忠彦 [自]
  9区   長坂康正 [自]
  10区  江崎鉄磨 [自]

 ◇名古屋高裁金沢支部
福井3区   高木毅  [自]

 ◇大阪高裁
滋賀1区   大岡敏孝 [自]
京都6区   山井和則 [民]
大阪4区   村上政俊 [維]
兵庫6区   大串正樹 [自]
奈良3区   奥野信亮 [自]

 ◇広島高裁
広島1区   岸田文雄 [自]
  2区   平口洋  [自]
  3区   河井克行 [自]
 ◇広島高裁岡山支部
http://mainichi.jp/opinion/news/20130326ddm003010175000c3.htmlより、
岡山2区   山下貴司 [自]

 ◇広島高裁松江支部
島根1区   細田博之 [自]

 ◇高松高裁
香川1区   平井卓也 [自]

 ◇福岡高裁
福岡1区   井上貴博 [自]
  2区   鬼木誠  [自]

 ◇福岡高裁宮崎支部
宮崎1区   武井俊輔 [自]

 ◇福岡高裁那覇支部
沖縄1区   国場幸之助[自]
※25日の広島高裁判決は広島1、2区。[自]=自民、[民]=民主、[維]=維新

http://mainichi.jp/opinion/news/20130326ddm002010155000c.htmlより、
クローズアップ2013:衆院選、無効判決(その2止) 抜本改革見えず
毎日新聞 2013年03月26日 東京朝刊

 ◇「0増5減」止まり 1人別枠方式、事実上残る
 昨年12月の衆院選(広島1区、同2区)を「無効」と断じた25日の広島高裁判決は、国会に期限を切って「1票の格差」是正を迫った。政府・与党は「0増5減」の区割り法案を今国会中に成立させ、最高裁での「無効」確定を回避したい考え。判決は0増5減の評価に直接踏み込まなかったものの、格差是正に向けた政治の取り組みは最低限にとどまっており、抜本的な是正論議は深まっていない。
 「厳粛に受け止めなければならない」
 広島1区選出の岸田文雄外相は25日、外務省内で記者団に対し、選挙無効判決について「判決内容を精査した上で、適切に判断していく」と語った。実際に無効になるかは今後の最高裁の判決次第。しかし、広島2区選出の自民党の平口洋衆院議員は格差是正について「どうするかという議論をやり続けていかなければならない」と危機感を示した。
 広島高裁判決は、格差是正を巡る政治の対応を厳しく追及している。「この期に及んで、なお紛糾が生じて区割り規定の改正が遅れるということは、憲法上予定されていない事態」と批判。「今年11月26日の経過をもって発生する」として無効に8カ月の猶予期間を認めたとはいえ、司法が国会の審議に注文をつけたともとれる内容となった。
 11年の最高裁判決を踏まえ、47都道府県にまず1議席ずつ割り振る「1人別枠方式」は法的に廃止された。しかし、人口比に忠実な「21増21減」の抜本改正を見送り、「0増5減」にとどめたことで、1人別枠方式の考え方は事実上残っている。先の札幌高裁は0増5減案について「最高裁判決に沿った改正ではない」と断じた。
 しかし、与党はさらなる格差是正に慎重姿勢だ。自民党の細田博之幹事長代行は25日、記者団に対し「区割りを改正する法案を一日も早く審理し、成立させるべきだ」と表明。安倍晋三首相は同日、首相官邸で記者団に「判決をよく精査していきたい。適切に対処していく」と述べるにとどめた。

 ◇「比例に中小政党枠」の自民案、新たな違憲生む恐れ
 衆院選挙制度改革の焦点は、格差是正から定数削減に移っている。消費増税を控え、身を切る改革への取り組みを強調しようと、自民、公明、民主各党は昨年11月の衆院解散の際、比例代表定数の削減などで合意。自民党は比例定数を30減らし150とした上で、うち60を「中小政党枠」として得票数2位以下の政党に割り振る改革案をまとめた。
 中小政党枠の導入は、比例削減に慎重な公明党などに配慮し、理解を得るのが狙いだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130326ddm002010155000c2.htmlより、
 しかし、制度の分かりにくさに加え、得票数第1党と第2党との「1票の価値」が異なりかねず、「さらなる憲法違反を招く恐れがある」(民主党幹部)。格差是正を求める司法に対し、定数削減に力点を置く立法府の動きは、かみ合っていないのが現状だ。
 民主党の細野豪志幹事長は25日の記者会見で、「(0増5減では)また同じような話になる可能性がある。一刻も早くそういう状態を脱することが必要だ」と述べ、区割りの抜本見直しを主張した。
 これに対し、公明党幹部は「できることからやらないと、民主党も苦しくなる」とけん制しており、与野党間の綱引きが続いている。【中島和哉、福岡静哉】

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