鳥取発、世界のブランド 小林節氏

http://www.nnn.co.jp/rondan/ryoudan/index.htmlより、
一刀両断 -小林 節-
鳥取発、世界のブランド
日本海新聞 2013/3/26の紙面より

 3月18日の大手紙を繰っていたら、「鳥取バッグ、プラダと勝負」「旺盛な開発力に注目」「伊勢丹デビュー」という見出しに目が止まった。

 倉吉市にある小さなハンドバッグメーカー「バルコス」が、日本の小売りの中心地・東京の伊勢丹新宿本店で海外の有名ブランドが並ぶ売り場で存在感を発揮しているとのことである。

 日本人イラストレーター(大谷リュウジ氏)がデザインし、国内トップクラスのかばん職人や彫金職人に生産を委託したとのことである。加えて、中国、バングラデシュ、ベトナムの協力工場も利用してコストダウンを図ったとのことである。

 私は、20年以上も停滞したままの日本経済の中で暮らしながら、仕事で国際的な活動をしながら、何か今の日本は、本領を発揮していないと言うか、日本らしさが失われていることへのもどかしさを感じ続けてきた。

 私の専門は法律学であるが、米国のハーバード大学で研究生活をしていた時に、ある重大な事実に気付いた。それは、言葉という壁さえ取り払ってしまえば、わが国の法律学は、アメリカのそれと比較して引けを取らないと言うか、むしろ、日本人のほうがよほど精緻な議論を展開しているという事実である。同じことは、招聘(しょうへい)教授として中国の北京大学に滞在した時にも実感した。

 今月、1年ぶりに伊勢神宮の徴古館(宝物殿)を見学する機会を得たが、改めて、わが国伝統の美術工芸品の素晴らしさを実感させられた。その特徴は、落ち着いた色調、バランスの取れた構図、優美な線、繊細で緻密な技術…である。それは、かつて大英博物館やルーブル美術館を訪れた時に感じた違和感とは異なった、居心地の良さであった。

 2度訪ねたことのある倉吉は、静かで清潔な、いかにも日本らしい小都市であった。そこから世界にブランドが発信されたことが素晴らしい。

 バブル経済が弾けて久しく、県庁所在地駅前シャッター街が点在し元気のなくなった日本であるが、改めて、この倉吉の自信に触発されて、日本の地方都市発の世界のブランドがたくさん出てほしい。

 仕事で海外出張した際に、日本人の私が身に付けている小物に現地の人の関心が向くことも多い。日本人が誇るべきは、日本製品のデザイン性と技術力の高さであろう。
(慶大教授・弁護士)

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