一票の格差 「異様な政治を裁け」

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130329/elc13032903110000-n1.htmより、
産経新聞【主張】衆院新区割り 「0増5減」は最低条件だ
2013.3.29 03:10 (1/2ページ)

 衆院選挙区画定審議会が、小選挙区の「0増5減」や「一票の格差」を2倍未満に抑えるよう求めた新区割り案を、安倍晋三首相に勧告した。
 あくまで応急処置的な内容である。だが、立法府はそれすら怠り、一票の格差をめぐる一連の高裁判決で「違憲」や初の「選挙無効」という厳しい判断を招いてきた。
 自らの怠慢に警告を突き付けられてきた与野党には、この新区割りの公職選挙法改正案を最優先で成立させる責務がある。
 選挙制度改革をめぐってなお存在する意見の隔たりを、成立遅れの口実にしてはならない。6日の東京高裁判決などが先の衆院選を「違憲」としつつ選挙無効の請求は退けた一因も、緊急是正策に一定の評価を与えたことにある。
 昨年11月の衆院解散直前に関連法が成立した緊急是正策は、都道府県にまず定数1を割り振る「1人別枠方式」の廃止といった、平成23年の最高裁判決の要請も基本的には踏まえている。
 ただ、この方式を関連法から削除したものの、人口が最も少ない鳥取県で定数2を維持したことから、「弥縫(びほう)策だ」などと指摘した別の高裁判断もあった。これを受け、民主党などは「0増5減では不十分」などと批判している。区割り作業をやり直す時間的余裕があると考えているのだろうか。
 一方、自民党が抜本的な選挙制度改革として、第2党以下のために60議席の「優先枠」を比例代表に設けるという案で、公明党と合意したのは大いに問題だ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130329/elc13032903110000-n2.htmより、
2013.3.29 03:10 (2/2ページ)
 一票の平等の価値を崩し複雑で分かりにくい。加えて、民主党、日本維新の会、みんなの党の3党を反対姿勢で結束させ、緊急是正策の実現も難しくしている。
 選挙制度改革は、中小政党への配慮、中選挙区制復活論、定数削減など多くの課題が錯綜(さくそう)して合意のめどが立っていない。政治家が決断できないなら、選挙制度審議会に委ねる必要があろう。
 その際にも、現行の小選挙区比例代表並立制の何が問題なのかを明確にしておくべきだ。
 選挙区で敗れても比例代表で復活できる重複立候補の是非は論点となろう。政党交付金の減額や政治資金規正法の強化など政治家が自らを律する議論も不可欠だ。
 第三者機関への諮問が、司法の警告を軽視した政治に時間稼ぎを許すものであってはならない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013032902000144.htmlより、
東京新聞【社説】一票の不平等 急ぐべきは抜本是正だ
2013年3月29日

 衆院選挙区画定審議会が勧告した小選挙区の区割り改定案。衆院解散と引き換えに昨年成立した「〇増五減」に基づくものだが、弥縫(びほう)策にすぎない。「一票の不平等」の抜本是正こそ急ぐべきだ。
 勧告は、最も少ない鳥取新2区の人口を下限、その二倍未満を上限とし、十七都県の四十二選挙区で区割りを見直す。政府は「〇増五減」実現のための改正法案を四月上旬にも国会提出し、早期成立を目指すという。
 問題はこの「〇増五減」が実現しても、司法の要請に応えたことにはならないことだ。
 各高裁・高裁支部が一連の違憲・無効判決で判断基準としたのは二〇〇九年衆院選を「違憲状態」とした一一年三月の最高裁判決。各都道府県にまず一議席を配分する「一人別枠方式」が格差を生む要因だとして廃止を求めている。
 「〇増五減」は一人別枠規定を削除したが、全都道府県で人口の最も少ない鳥取県にも二議席を配分するなど事実上維持しており、一票の格差も依然、二倍近い。
 「法の下の平等」を実現するには「一人一票」を目指すべきだ。それが最高裁判決の趣旨と解すのが妥当だ。〇増五減にとどまれば違憲判決が続く可能性もある。
 どうすればよいか。小選挙区を限りなく「一人一票」に近づけるよう区割りをするか、それが難しいなら、小選挙区制をやめて比例代表制に移行してはどうか。国会議員が全国民の代表である限り、小選挙区に固執する必要はない。
 自民、公明両党は〇増五減を実現した上で、衆院比例代表定数を三十削減し、残り百五十議席のうち六十議席を得票数二位以下の政党に割り振る案で合意した。
 より踏み込んだ抜本改革までの「当面の措置」と位置付けてはいるが、複雑な上に、小選挙区の不平等を放置する限り、改革の名に値しない。野党の反対も当然だ。
 国民の代表である国会議員の定数も安易に削減すべきではない。身を切る必要があるというのなら、約三百二十億円に上る政党交付金をまず減らしてはどうか。
 選挙の「土俵づくり」は、国会議員自身が合意形成に努めるのが望ましい。与野党は抜本改革に向けた協議を加速させるべきだ。
 党利党略が絡んで結論が出せないのなら、かつての選挙制度審議会のような第三者機関に議論を委ねる方法もある。「決められない国会」が続くなら、失われつつある政治への信頼は、地に落ちる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130329k0000m070146000c.htmlより、
社説:区割り案勧告 まず「0増5減」の実現を
毎日新聞 2013年03月29日 02時32分

 昨年12月の衆院選をめぐる「1票の格差」訴訟で違憲判決が全国の高裁で相次ぎ、一部では選挙は無効とする判決まで出る中、衆院の小選挙区を五つ減らす区割り改定案がまとまった。
 この「0増5減」策は既に一部の高裁が判決で不十分な改正だと指摘しており、野党の中にも反対論が出ている。だが、最悪なのは与野党でもめているうちに結局、何も是正されない事態である。違憲判決を突きつけられた立法府の最低限の責務として、まずこの改定案を今国会で即座に成立させるべきである。
 衆院選挙区画定審議会が安倍晋三首相に勧告した案は、福井、山梨、徳島、高知、佐賀5県の小選挙区の定数を3から2に減らすと同時に、多数の選挙区の区割りを変更する内容だ。これにより「1票の格差」は当面、2倍未満に抑えられる。自民、公明両党はこの区割りに基づく公職選挙法改正案を優先させて今国会で成立させたい考えだ。
 一方、最高裁は11年の判決で、全都道府県にあらかじめ1議席を配分する「1人別枠方式」が格差の要因だとして廃止を求めた。昨年11月大あわてで成立させた選挙制度改革関連法でも条文上は廃止された。ただし、高裁によって判断は分かれてはいるものの、札幌高裁などは実態は「別枠」が維持されていると批判している。このため民主党は小選挙区で30、比例代表で50の定数を削減し、小選挙区は「1人別枠」を完全に廃して厳密に人口比例で配分するとの新たな案を国会に提出するという。
 小選挙区の定数をさらに減らすのは一つの案だろう。しかし、早期の総選挙を嫌がって格差是正を怠ってきた最大の責任は当時、政権与党だった民主党にある。新たな案が他党と合意できるようにも思えない。
 自民党は小選挙区の「0増5減」を実現させる一方、比例定数を180から150に減らし、一部は中小政党に優先配分する案をまとめ、公明党も合意した。だが、この案はあまりに複雑で、これまた与野党合意のめどはまったく立っていない。
 政界は格差是正と定数削減、選挙制度改革がごちゃ混ぜになって収拾がつかなくなっている状況にある。
 どんな選挙制度にするかは、国の政治形態をどうするかという根本的な問題につながる。そしてかねて提起しているように、衆参一体で改革を検討すべきテーマでもある。利害がからむ各党に任せておくのはやはり無理ではなかろうか。
 ここは緊急的な対応として即座に「0増5減」を実現させたうえで、民主党の海江田万里代表がやっと言及し始めたように、その後の抜本改革は第三者機関に委ねた方がいい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 3月 28 日(木)付
一票の格差―異様な政治が裁かれた

 あらためて、この国の政治の異様をおもう。
 違憲の選挙で議席をえた国会議員が法律や予算をつくり、違憲の議会が選んだ内閣とともに国のあゆむ方向を決める。これを異様といわず何といおう。
 一票の格差をめぐる高裁判決がそろった。最高裁から「いまの議員定数配分は法の下の平等に反する状態にある」と指摘されながら、1年9カ月後に同じ配分のまま行われた昨年の衆院選に関する一連の裁判だ。
 この期間では国会が対応できなかったのもやむを得ないとして、なお「違憲状態」にとどまるとした判決が2件あった。
 いかにも手ぬるい。立法府の明らかなサボタージュを、司法が追認してどうするのか。
 残る14件は、是正のための時間はあったと述べ、一歩進んで「違憲」の結論を導いた。うち2件は、論理の積み上げがやや乱暴なのは気になるが、はじめて「違憲・無効」に踏みこみ、選挙のやり直しを求めた。
 決着は今秋にも予想される最高裁判決を待つことになる。
 憲法がかかげる「正当に選挙された国会における代表者」とは何か。国民主権とは、民主主義とは、法の支配とは。
 裁判をとおして根源的な問いが突きつけられているというのに、政治の側の認識の浅さ、危機感の薄さは驚くばかりだ。
 あいもかわらず、どんな仕組みにすれば自党に有利か、政局の主導権をにぎれるかといった観点からの発言がなされ、「裁判所はやりすぎだ」と見当違いの批判をくり出す。
 「国権の最高機関」であるためには、民意をただしく反映した選挙が実施されなければならない。この当たり前のことが、なぜわからないのか。
 0増5減に基づく新区割り法を、まず成立させる。そのうえで、これは緊急避難策でしかないとの認識にたち、最高裁が違憲の源とした「1人別枠制」を完全に排する抜本改正をする。
 それが政治の当然の務めなのに、自分らに都合のいい制度を続けるために、憲法を変えてしまおうという動きがある。
 自民党の憲法改正草案には、「各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定める」とある。
 考慮する要素を増やすことで国会の裁量の幅をひろげ、司法によるチェックが働きにくいようにしよう――。そんな思惑がすけて見える条文だ。
 政治は、選挙制度は、だれのためにあるか。もちろん国民・有権者のためにある。この原点をとり違えてはならない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013032802000140.htmlより、
東京新聞【社説】一票の格差訴訟 最高裁は果断であれ
2013年3月28日

 昨年の衆院選は「無効」とした二つの判決は衝撃だった。一票の格差訴訟で“違憲ラッシュ”が続く異常事態だ。最高裁は果断な判断を早く出すべきだ。
 警告が発せられていたのに、それでもルールを無視したら、アウトになる。そんな常識が国会には通用しないらしい。
 あたかも警告に従順であるように見せかけ、わずかにルールをいじって、セーフだと言っても、審判には通用しない。昨年十二月に実施された衆院選と、その後の「一票の格差」訴訟を眺めると、そんな印象を持つ。

◆吹き荒れた「違憲」の嵐
 全国十四の高裁・高裁支部で二つの弁護士グループが起こした裁判は計十六件。広島と岡山で「違憲・無効」判決が出て、東京や札幌、金沢など十二件が「違憲」だった。「違憲状態」としたのは、名古屋と福岡だけだ。列島の中を「衆院選は憲法違反」という春の嵐が吹き荒れたかのようだ。
 違憲論理は明瞭だ。(1)投票価値が不平等かどうか(2)是正するために合理的な期間を過ぎているかどうか(3)選挙無効とするかどうか-。この三点で判断された。もともと有権者一人が持つ一票の価値に、最大二・四三倍もの格差があった。ある人は「一票」なのに、ある人は「〇・四一票」しかない。不平等であるのは明白だ。
 その“病根”を二〇一一年に最高裁は「一人別枠方式」にあると明示した。あらかじめ四十七都道府県に一議席ずつ配分する方式の廃止を求めたのだ。これが警告だ。
 だが、国会は昨年の解散間際に、法律の規定を削除したものの、事実上、同方式を温存したまま、「〇増五減」を決めた。ルールをわずかにいじった目くらましの手にすぎない。札幌高裁などは「最高裁判決の指摘に沿った改正とは質的に異なる」と断じた。審判の目からは逃れられない。

◆事情判決に安住するな
 しかも、最高裁判決から一年八カ月もの時間があった。同時に従来の区割りで選挙をした。「違憲」は自明の結論といえよう。
 広島と岡山では、違憲でも選挙は有効とする、いわゆる「事情判決の法理」が通用しなかった。選挙無効とした場合、大きな政治的混乱が予想され、それを回避するため、一九七六年に最高裁が“発明”した法理論である。
 ただし、無理があるとも指摘されていた。元最高裁判事の藤田宙靖氏は「最高裁回想録」(有斐閣)で記している。
 <「事情判決の法理」とは、ただ、“公共の福祉に著しい影響を及ぼす場合には、憲法違反の国家行為も無効ではない”という余りにも乱暴な理屈を無造作に展開するものに過(す)ぎないことになるのであって、私には到底賛同することができない>
 広島が八カ月の猶予期間を付けた“未来の無効”であったのに対し、岡山は猶予を付けなかった。「投票価値の平等に反する状態を容認する弊害に比べて、政治的混乱が大きいとはいえない」と踏み込んだ判断をしたのだ。
 もちろん、最高裁で「違憲」が確定するだけでも、現行の小選挙区が中心の制度が実施されてから、初となり意味は極めて重い。
 確定判決の趣旨に従って、国会に法改正の義務が発生するからである。「一人別枠」を実質廃止し、小選挙区を人口比例配分することになろう。金沢判決などが「区割りは、実務上可能な限り人口に比例してされねばならず、許容される格差はさほど大きくない」と明言している。
 だが、実際に国会は機敏に動くだろうか。無効を宣言しない限り、政治は鈍感であり続けはしないか。自民党の制度改革案でも、比例選の定数を三十減にし、中小政党への配慮策など盛り込んだ内容にすぎない。比例選こそ、平等選挙の世界であり、その定数を減らすことなど、「一票の格差」問題とは無関係である。
 議員自身が利害当事者だから、抜本改革が期待できないのだ。身を切るなら、莫大(ばくだい)な政党交付金を大幅に削った方が国民にわかりやすい。司法は政治になめられている。こんな国会を許すなら、最高裁は憲法の番人たりえない。
 「四増四減」の弥縫(びほう)策で行われる夏の参院選後には、全都道府県で、選挙無効訴訟が起きると聞く。またも、選挙無効や“違憲ラッシュ”の嵐が予想されよう。

◆腹くくる覚悟で臨め
 四五年三月、戦時下でありながら、当時の大審院は、東条英機政権下の翼賛選挙に「衆議院議員ノ選挙ハ之ヲ無効トス」と宣言した。再選挙を行わせるほど、腹をくくったのだ。
 憲法が要請するのは、実際上、可能な限りの一票の平等であることは、疑いがない。試されるのは最高裁の覚悟である。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53306390Y3A320C1EA1000/より、
日経新聞 社説 無効判決まで出た1票の格差是正を急げ
2013/3/28付

 「1票の格差」の是正に動かない国会に対して、司法がこれまでになく厳しい指弾を繰り返し、強く改革を求める結果となった。
 昨年12月の衆院選をめぐり、全国の高裁・支部で審理されていた計16件の1票の格差訴訟の判決が出そろった。14件が違憲判決で、うち広島高裁と同高裁岡山支部は選挙の無効も言い渡した。同高裁は「最高裁の違憲審査権が軽視されている」と指摘した。
 政治的な混乱を避けるため、広島高裁は猶予期間を経た後に効力が発生する判決を出したが、岡山支部は混乱より投票価値の平等を重視し、即時無効とした。
 岡山の判決には再選挙のあり方をどう考えるかなど丁寧な説明がほしいところだ。しかし、違憲と判断しても無効とはしないこれまでの「事情判決」から踏み込んだ判決が2件出たことは、司法からの最後通告と受け止めるべきだ。
 国会はまさに崖っぷちに立たされた。16件すべてが上告され、最終的には最高裁が統一判断を示す見通しだが、まず小選挙区の「0増5減」をただちに実現させ、違憲の状態を解消すべきである。
 そのうえで、抜本改革を早急に進める必要がある。ここでまた小手先の数合わせに終始し、選挙のたびに最高裁の判断を待つような対応が続けば、立法府としての信頼を完全に失ってしまう。
 最高裁は1票の格差が最大2.30倍あった2009年の衆院選を「違憲状態」と判断した。昨年11月に小選挙区で「0増5減」する法律が成立したが、新たな区割りが間に合わず、翌月の衆院選では格差が2.43倍にまで拡大した。
 格差是正をめぐる与野党協議が難航するのは、多くの課題を一緒に論議するからだ。各党の利害調整が最も難しい比例代表の定数削減の幅などで合意が得られない限り、他のすべての選挙制度改革が実現しないという現在の進め方では、今国会も成果なしで終わる公算が大きい。
 1票の格差の是正には都道府県に配分する小選挙区の数や区割りの見直しが不可避であり、これを先行させるべきである。
 最高裁の判決は早ければ夏にも出る見通しだ。仮に選挙無効とするのであれば、その後の混乱をどう抑えるのか。無効にしないのであれば、高裁の2件の無効判決にどう反論するのか。どちらにしても、違憲審査権のあり方にかかわる、極めて重要な判断となる。

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