メタンハイドレート 「眠る未来を掘り出そう」

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53431920R30C13A3PE8000/より、
日経新聞 社説 海洋資源をいかす開発技術の育成を
2013/3/31付

 政府は愛知・三重県沖の海底地層に広がるメタンハイドレートから、世界で初めて天然ガスを取り出すことに成功した。南鳥島沖の海底の泥には、携帯電話やハイブリッド車の生産に欠かせないレアアース(希土類)が高い濃度で含まれていることもわかった。
 商業生産には割高なコストなど課題が多く、輸入に頼る日本の資源自給率がすぐに改善するわけではない。だが、日本を取り巻く広大な海洋には豊かな資源が眠る。国産資源の利用に向けて開発技術を育てていくことが重要だ。
 メタンハイドレートは天然ガスの成分が地中深くで水と結びついた氷状の物質だ。日本周辺の海域には日本の天然ガス消費量の100年分が存在するという。
 ハイブリッド車のモーターに使うジスプロシウムも、海洋研究開発機構などの調査で日本近海に国内消費量の230年分を超える量が存在する可能性が出てきた。
 海底から噴き出した熱水に含まれる銅や亜鉛、金などの金属成分が積もってできる熱水鉱床も伊豆諸島や小笠原諸島などの周辺に分布することがわかっている。
 夢は膨らむが、過大な期待は禁物だ。現状ではどれも採算の確保が難しい。メタンハイドレートは日本が輸入する液化天然ガス(LNG)の価格に比べて何倍も高い。中国に輸入の大半を依存するレアアースでは代替技術の開発や調達先の分散が先行する。
 それでも海洋資源を効率良く探したり、掘り出したりする技術の確立に取り組む意義は大きい。
 原子力発電所を代替する火力発電用のLNGや原油の輸入が急増し、年間3兆円規模で国富が流出する要因となっている。国産資源という選択肢を持つことが、資源国に足元を見られずに、調達交渉を進める材料になる。
 メタンハイドレートはカナダの永久凍土層などでも埋蔵が確認されている。海外では海底の金属資源を掘り出す民間プロジェクトが動き出している。世界各地で本格化する競争に日本企業が加わるには技術が不可欠だ。
 メタンハイドレートでは地中から取り出す際に水とガスに効率的に分け、安定して生産する方法を確立しなければならない。そのためには当面、資金面などで国の支援が必要だ。政府は近く、新たな海洋政策の柱となる「海洋基本計画」を策定する。豊かな資源をいかす長期戦略が欠かせない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013031402000145.htmlより、
東京新聞【社説】海底メタン 眠る未来を掘り出そう
2013年3月14日

 「燃える氷」と呼ばれ、海底に埋まる次世代資源メタンハイドレートから、国が天然ガスの取り出しに初めて成功した。高いコストが課題となるが、国産エネルギー資源の早期活用を実現したい。
 メタンハイドレートは、天然ガスの主成分のメタンと水が低温高圧の環境で結合した氷状の物質。今回、試験採取が行われている愛知県・三重県沖には、国内の天然ガス消費量の十年分以上が埋蔵され、これを含め日本近海の海底には百年分に当たる量が埋まっているとの推計もある。
 日本が、メタンハイドレートの開発に成功すれば、将来の経済発展やエネルギーの安全保障につながる大きなチャンスとなる。
 国がこれまで、原発の使用済み燃料を再処理して使う核燃料サイクルにこだわってきたのも、国産のエネルギー資源を確保したいという悲願があったからだ。
 核燃料サイクルが行き詰まり、原発事故を転換点に、新たなエネルギー政策を模索する今、再生可能エネルギーとともに、メタンハイドレートの存在は重みを増している。
 ただ、国は二〇一八年度までに採取の技術の確立を目指す方針だが、商業化はまだその先。実現に向けては高いコストが最大の課題となる。
 試験採取では、深さ千メートルの海底にパイプラインを通して、さらに三百メートルの井戸を掘って水をくみ上げ、メタンハイドレート層の圧力を下げて水に分解して取り出す技術を用いた。生産コストは、日本が輸入している割高な液化天然ガス(LNG)の少なくとも二~三倍とされる。商業化は困難を伴うことが予想されるが、せっかく有望な資源が目の前の海に眠っているのだから、挑戦する価値は十分ある。
 鍵を握るのは技術革新だ。
 米国ではかつては採掘が困難とされた天然ガス「シェールガス」が、技術の進歩で採掘できるようになり、国内での天然ガスの生産量が大幅に増え、安価になった。その結果、経済を活気づかせ、中東へのエネルギー依存度も低下させる変化をもたらし「シェールガス革命」と呼ばれている。
 メタンハイドレート開発も、もちろん同様の可能性がある。新しい技術の挑戦はレアアース(希土類)など他の海洋資源開発にもつながるだろう。産官学の協力で一つ一つ課題を克服し、一日でも早く、眠れる海洋資源を日本の未来に生かしたい。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013031201001452.htmlより、
次世代ガス産出に成功、世界初 愛知沖海底、メタンハイドレート
2013年3月12日 12時21分

 経済産業省資源エネルギー庁は12日、次世代エネルギーのメタンハイドレートが埋まる愛知県沖の東部南海トラフ海域の地層からメタンガスを分離して取り出す試験に成功したと発表した。海洋でガス産出は世界初となる。資源の少ない日本にとって、貴重な国産エネルギー資源となる可能性がある。
 作業は経産省の委託を受けた独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)や産業技術総合研究所が実施している。
 昨年、地球深部探査船「ちきゅう」の特殊なドリルで水深約千メートルの海底を約300メートル掘り進めてガス産出の井戸を構築した。(共同)

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