法曹養成 「司法制度改革の理念は捨てるな」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 3月 31 日(日)付
法律家の養成―「利用者のため」を貫け

 法律家のため、ではない。あくまでも市民、利用者の視点から考える。その姿勢を見失うことなく、いまの厳しい局面を乗りこえたい。
 政府の法曹養成制度検討会議が中間提言案を公表した。
 法科大学院を出たのに司法試験に受からない。合格して弁護士になっても仕事がない。法律家をめざす若者は年々減る。
 こんな悪循環を何とかしようと議論してきた。提言案には、教育体制が十分でない法科大学院の統廃合を進める、司法試験の合格者数を「年3千人程度」としている政府の目標を取りさげる、などが盛りこまれた。
 「3千人」は一連の司法改革の旗印だが、私たちは社説で、こだわる必要はないと書いてきた。合格者数はこのところ約2千人で推移していて、事実上、意味を失っている。
 ただし、今回の提言が改革の理念の放棄や後退につながるようなことがあってはならない。
 身近で頼りがいのある司法を築くには、質量ともに豊かな法律家が必要だ。そして、そんな人材を世に送りだすために、一発勝負の司法試験という「点」による選抜ではなく、教育の過程を大切にする。この考えはいまも色あせていない。
 法律家が力をふるう場は法廷だけでない。国際ビジネス、福祉、地方自治、犯罪者の社会復帰支援といった新しい分野で、能力とやる気のある弁護士が活躍する例が増えている。
 問題は、こうした潜在的な需要をすくいあげ、うまく目に見える形にできていないことだ。
 費用が心配で弁護士を頼めない人が出ないよう、政府は十分な予算をつける。条例づくりや政策の立案、コンプライアンス体制の確立などに法律家をもっと活用する。弁護士もまた、意識と仕事のやり方を見直し、さまざまな現場に積極的に飛び込んでいく必要がある。
 法律家という仕事の魅力を人びとに再認識してもらうためにも、活動領域の拡大は全力でとり組まねばならない課題だ。
 一方で、能力に欠け、あるいは倫理にもとる行いをした者に退場を迫ることも必要だ。
 最近、大幅にふえた若手弁護士の質が問題にされる。だが問われるべきは若手だけか。
 弁護士に関する詳しい情報を開示したり、第三者による評価制度をとり入れたりして、市民が弁護士を適切に選べるようにする。かねて提案されながら、話が進まないのはなぜか。
 互いに競い合い、多くのたくましい法曹を育てる。その土壌の上に、司法改革は実を結ぶ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53392110Q3A330C1EA1000/より、
日経新聞 社説 法曹養成は改革の理念貫け
2013/3/30付

 法曹界を担う人材を養成する制度について、見直しを議論していた政府の検討会議が中間提言案をまとめた。司法試験の合格者数を年間3千人程度まで増やす政府目標を「現実性を欠く」として撤廃することや、法科大学院の統廃合を促すことが主な内容だ。
 合格者数が3千人に至らない今でさえ、数が急増したために弁護士が就職難に陥り、法曹の質の低下が懸念されている。当初の政府目標の数値が現実とかけ離れてしまったのは事実であろう。
 だからといって、現状を追認するような見直しを進めるのではなく、司法改革の理念であった「身近で使いやすい司法」を実現するための打開策を、さらに検討していくべきだ。
 政府は2002年、年間千人程度だった合格者数を「10年ごろに3千人に増やす」と決めた。だが一定のレベルを維持する観点から実際の合格者数は頭打ちとなり、2千人程度で推移している。
 その大きな原因は、人材育成を担う法科大学院にある。一部で統廃合があったものの、約70校が乱立する状況は変わっていない。単年度での合格率は平均で2割台に低迷し、法科大学院離れが進んでいる。改善の見込めない大学院は退場させ、全体の教育水準を高める必要がある。
 合格した後の問題も大きい。2千人台の合格でも、弁護士の数は10年間で1.7倍に増えた。一方で法律にかかわる仕事の需要は当初見込んだほど広がらず、就職できない弁護士が増えている。
 法曹の世界を志して法科大学院に入ったのに、司法試験に通らない。合格して弁護士になっても就職先がない。改革のはずが、悪循環に陥って、法曹が魅力のない世界になりかけてしまっている。
 提言案からは現状への危機感がにじむが、法科大学院の再生や弁護士の活動領域拡大に向けた対策について、十分な議論がなされたように思えない。最終提言をまとめる今夏までに、踏み込んだ具体策を提示していくべきだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130329/plc13032903100001-n1.htmより、
産経新聞【主張】法曹検討会議 弁護士過剰は本当なのか
2013.3.29 03:09 (1/2ページ)

 政府の法曹養成制度検討会議が中間提言案で、司法試験の年間合格者数を3千人とした政府目標の撤回や、成果の上がらない法科大学院の統廃合を求めた。
 目標数値が現実性を欠き、教育機能を発揮できない学校がある以上、現行の在り方を見直すのは当然だ。ただ、これを安易に、司法制度改革の柱であった法曹人口の拡大という大目標の放棄につなげるべきではない。
 提言案も「全体としての法曹人口を引き続き増加させる必要があることに変わりはない」とクギを刺している。
 昨年の司法試験では過去最多の2102人が合格したが、政府目標の3千人にはほど遠い。
 合格率は25・1%で、法科大学院が開設された平成16年当時に想定された「7、8割」からもかけ離れている。経済的事情で進学できない人などのために始まった予備試験の合格率が、全体の平均を大きく上回る68・2%となる皮肉な結果も出ている。
 責任の多くは、乱立した法科大学院にある。昨年実績では全74校中20校で合格率が1割に満たず、ゼロの大学院もあった。
 改善の見込めない大学院を存続させる意味はない。
 弁護士になっても就職できない現実もあるという。事務所に入ることができず、携帯電話1本で独立する新人弁護士もいる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130329/plc13032903100001-n2.htmより、
2013.3.29 03:09 (2/2ページ)
 日弁連によれば、12年からの10年間で弁護士数は約1万8千人から3万人に増え、平均的な年間所得は1300万円から959万円に減少した。日弁連などは、数を増やすことは質の低下につながると訴えてきた。
 実際に、着服や詐取など耳を疑うような弁護士による事件も頻発している。だが、それを数の増加のせいだけにするのはどうか。
 日弁連などには弁護士増を背景に、若手を中心に地方に派遣する取り組みを進め、全国253カ所の地裁・地裁支部管内で弁護士が0か1人だけの「ゼロワン地域」をほぼ解消させた実績もある。
 法曹人口増はそもそも、国民の権利擁護を目的としたものだ。弁護士数だけを急増させた経緯に問題はあるが、大きな方向性に誤りはない。併せて裁判官・検察官の充実も進め、企業での雇用や、福祉、教育分野への関与など、社会を挙げて、法曹有資格者の活用を図ることを検討すべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130328k0000m070146000c.htmlより、
社説:司法制度 改革の理念は捨てるな
毎日新聞 2013年03月28日 02時33分

 司法制度の見直しを議論している政府の法曹養成制度検討会議が中間とりまとめ案を公表した。
 司法試験の合格者数を「年間3000人程度に増やす」とした02年の閣議決定の目標を「現実性を欠く」として撤回することや、法科大学院の統廃合促進などが盛り込まれた。
 現在の司法制度の骨格を作ったのは、01年にまとめられた司法制度改革審議会の意見書だ。
 「法の支配」に基づく開かれた司法の実現を理念として掲げた。その上で、国民が利用しやすい制度面での基盤作り▽それを支える法律家の育成・拡充など人的体制作り▽裁判員制度創設に象徴される国民の司法参加−−が三つの柱だった。
 年間3000人の合格目標は、二つ目の柱の中核であり、それを支えるのが法科大学院のはずだった。今回の見直しは、司法改革の行き詰まりを端的に象徴する。
 司法試験の合格率は近年、20%台に低迷し、70校に及ぶ法科大学院間の実績のばらつきも大きくなった。「5年で3回以内」と限られている試験に合格できず、社会に放り出される学生が数千人規模で生まれた。
 それでも07年以降は毎年2000人を超える合格者が誕生し、多くの法律家が世に出た。だが、その大半の受け皿となる弁護士を取り巻く環境は厳しい。
 事務所に就職できず、いきなり独立を余儀なくされる新人が増えている。一方、ベテランも新人急増による競争環境の変化に音を上げる。
 訴訟の数などが当初の想定より増えていない。公務員や企業などへの進出も限られ、弁護士の活動領域も拡大していない−−。そんな声がある。確かにそういった側面は否定できない。だが、国民は以前より弁護士にアクセスしやすくなり、選択も可能になったのは確かだ。裁判以外で紛争を解決する手段も増えた。
 中間とりまとめ案も「法曹人口を引き続き増加させる必要がある」と結論づけた。弁護士が活動できる未開拓分野がまだまだあるということだ。さまざまな貿易交渉が国家間で進む中、経済取引など海外業務での対応もその一つだ。国内に目を向ければ、成年後見人など福祉の分野での役割を期待する声は強い。
 開拓努力は、弁護士だけが負うものではない。司法改革の三本柱の一つである国民が利用しやすい制度作りは政府の役割だ。地方都市での弁護士活動を活性化させるためには、地裁支部や簡裁にもっと人の手当てをすべきだろう。経済的理由で国民が法的な問題解決をあきらめることがないよう、弁護費用立て替えなど法律扶助の予算も拡充すべきだ。そういった取り組みを進めてほしい。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中