中小企業支援 「延命から再生へ舵を切れ」

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130401/plc13040103290011-n1.htmより、
産経新聞【主張】中小企業支援 延命から再生へ舵を切れ
2013.4.1 03:29

 資金繰りに苦しむ中小企業の借金返済を猶予する中小企業金融円滑化法が3月末で失効した。倒産急増も懸念されるが、同法廃止を契機に、従来の「延命」から「再生」中心へと中小企業支援の舵(かじ)を切るべきだ。
 金融円滑化法は平成21年、前年のリーマン・ショックを受けて成立した。当初、23年3月末に設定された期限が延長され、適用企業は30万~40万社とみられる。
 同法が、「100年に1度の不況」といわれた厳しい経済状況下で、中小企業の大量倒産回避に役割を果たしたのは確かだ。一方で再建の見込みの立たない企業を延命させたとの批判も根強い。安倍晋三政権の「アベノミクス」で景気回復期待が高まっており、緊急避難的要素が強かった円滑法を打ち切るタイミングといえよう。
 ここで重要なのは、ひとくくりに経営状態が厳しいといっても、倒産しか道がないのか、再生は可能かなど事情は個々の企業で異なることだ。期限切れと同時に銀行など金融機関の「貸しはがし」が横行し、融資先の実態とは関係なく倒産が続出する事態は、何としても避けねばならない。
 金融庁は、金融機関にいきなり態度を強硬にしないよう要請し、チェックも強化する方針だ。
 日本航空の再生などを行った企業再生支援機構も、地域経済活性化支援機構に改組した。同機構は地域金融機関などと基金を作り、再生計画の作成や債権の買い取りなどを行う。
 これらは政府の対応として適切だ。だが、最も重要な役割を担うのは、銀行をはじめ金融機関であることを忘れてはならない。
 バブル崩壊後の不良債権処理に苦しんだ金融機関の融資姿勢は近年、手堅さばかりが目立つ。それが中小・零細企業に対する貸し渋り、貸しはがしにつながり、融資審査能力の低下まで招いているとの指摘は根強い。
 金融機関は、融資先企業の財務内容や潜在能力を含めた実力を詳細に把握しているはずである。日本経済を長年支えてきた中小企業が危機に陥っている現在、高度な技術を持っているか、将来性があるかといった金融機関の「目利き能力」こそが必要となる。
 産業育成と企業再生は金融機関の重要機能の一つだ。「円滑化法後」の中小企業支援では、その重みは一段と増すと強調したい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013040102000131.htmlより、
東京新聞【社説】円滑化法終了 中小企業再生に軸足を
2013年4月1日

 経営が苦しい中小企業に借金の返済猶予を認めた金融円滑化法が三月末で終了した。これで倒産が急増するようなことがあってはならない。政府は「保護」から「体質強化」へと軸足を移すべきだ。
 円滑化法はリーマン・ショックで金融不安が高まる中、二〇〇九年十二月に施行した。金融機関に対し、中小企業から借金返済の先延ばしや金利減免などの申し込みがあった場合、要望に応じるよう求めた。一一年三月までの予定だったが、東日本大震災の影響などで二度延長した。
 中小企業は大企業に比べて資金調達の手段が限られ、金融機関からの借り入れが圧倒的に多い。円滑化法によって救済された企業は全国で三十万~四十万社に上るとみられており、経済が混乱した非常時に、緊急措置として大きな役割を果たしたのは間違いない。
 半面、企業を一律に救済したため、本来であれば再建の見込みがなく廃業を余儀なくされたはずの企業も含まれ、問題の先送りや経営努力を怠るモラルハザード(倫理観の欠如)を招いたことも確かである。
 忘れてならないのは、モラルハザードは中小企業側だけでなく、貸し手側の金融機関にも生まれたことだ。企業が存続するか転廃業するかの「判断」を実質的に下すのは金融機関である。だが、同法によって、その「判断」が三年以上も封印されるうちに、肝心の企業経営をチェックするという金融機関本来の責務が希薄化した。企業を育てるといった視点もいま一度、自覚すべきである。
 金融庁は円滑化法終了後も金融機関には引き続き返済猶予に応じるよう要請するとともに、同法に代わる支援措置も強化した。独力で経営改善計画をつくるのがむずかしい町工場や中小・零細企業向けには、全国の中小企業再生支援協議会で税理士や弁護士が助言する仕組みを整えた。
 中堅の企業に対しては、日本航空の再建にあたった企業再生支援機構を改組した「地域経済活性化支援機構」が一兆円の公的資金枠で財務体質の改善などを支援するといった具合だ。
 今後、転廃業などが必要な中小企業は六万社に上るとの厳しい見方もある。幸いに円高是正と株高が進み、景気は持ち直しつつある。この機を逃さず、中小企業は経営改善に努めてほしい。力強い日本経済のためには、雇用の七割を支える中小企業の再生が欠かせないからである。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53450570R00C13A4PE8000/より、
日経新聞 社説 経済再生の兆しをかたちにしよう
2013/4/1付

 日本経済が長らく続いた低迷から、やっと抜け出せるかもしれない。そんな予感が漂うなかで新年度が始まった。
 今はまだ目に見えて変わったり、良くなったりしたことは少ない。けれども可能性の窓は開きつつある。この機会を逃すことなく、経済のよどんだ空気を入れかえ、再生の兆しを具体的なかたちにしていきたい。

企業は成長へ投資を
 変化を最も予感させるのは、経済の体温計である株価だ。日経平均株価は2012年度に20%上昇した。デフレ脱却を掲げる安倍晋三首相の登場をきっかけにして、主に外国の投資家が日本企業に再びお金を投じ始めたからだ。
 株価の上昇は将来への悲観を和らげ、個人の財布のひもを緩める。百貨店で高級品の売れ行きが良いことの背景の一つには株高がある。賃上げや雇用の拡大に積極的になる企業も増え始めた。
 株価の上昇が実体経済に良い影響をもたらす筋道は見え始めている。これをさらに太く、確かなものにしたい。
 何よりもまず、企業のなすべきことは多い。
 株価上昇の直接の理由は、金融緩和の期待で円高が是正されたことだ。1ドル=95円前後を前提にすると13年度の企業収益は50%程度の増益になるとの試算がある。現状の株価はこうした収益の大幅改善を反映している。
 企業は市場の予想に見合う実績を示さなければならない。そのためには人件費や経費を減らすだけのリストラではなく、事業構造の大転換が必要だ。三菱重工業と日立製作所は火力発電設備事業を統合する。海外との競争にうち勝つための国内事業の再編に、もはや聖域はない。
 金融危機後にため込んだ60兆円の手元資金を活用するなどして、成長戦略を加速させることも課題となる。オリックスがオランダの資産運用会社の買収を決めたように、手薄な分野の事業を一気に強くするためにM&A(合併・買収)を検討する企業は多い。
 成長投資を検討してもなお資金に余裕があるなら、増配や自社株買いで投資家に現金を還元することも、市場の期待に応える有効な財務戦略だ。
 国の責務も引き続き重い。
 大胆な金融緩和と機動的な財政政策の組み合わせにより、経済好転の期待を形成する政策は今のところ、うまく進んでいる。ただし金融と財政の合わせ技は対症療法にすぎない。経済を自律回復の軌道に乗せるには、規制改革や法人税の引き下げなどが必要だ。それは外資の対日投資を促すためにも有効となる。
 規制改革の照準は雇用、医療、農業など既得権益団体の反対が根強い岩盤規制だ。3年ぶりに復活させた規制改革会議を機能させるには、規制官庁の逃げを許さないよう首相官邸が強固な後ろ盾になる必要がある。
 日本への信頼を保つためには、財政への目配りも不可欠だ。15年に消費税を10%に上げても歳出を絞り込まない限り、20年度に財政の基礎収支を黒字化するという国際公約の達成は難しい。年金や医療、介護などに切り込み、経済政策の力点を財政から構造改革に移すべきだ。
 企業の成長戦略を支援するという意味では、エネルギー政策を確立することのほか、交渉参加を決めた環太平洋経済連携協定(TPP)を核に輸出と投資を伸ばす通商政策を描く必要がある。

個人をもっと磨くとき
 資源の乏しい日本の最後のよりどころは人材である。個人が自らの力を底上げしない限り、企業も国も競争力が高まらない。
 変化の速いグローバル経済のなかでは、問題をすばやく分析し、解決策を導き出す能力がますます求められる。中小企業に至るまで海外勢との競争を強いられる現実を考えれば、英語などの語学力は欠かせない。財務や会計、法務といった専門分野の知識もできるだけ深めておきたい。
 そのためには、年齢にかかわらず自分を磨きつづけることが大切だ。経済協力開発機構(OECD)の加盟国は、平均して大学生の2割超を25歳以上が占める。社会に出た後に学び直すことが少ない日本では、この比率が2%程度と極端に低い。
 社会人になって初めて学びの大切さが分かったという経験は、多くの人に共通する。企業が従業員の研さんのために有給休暇などを使いやすくするといった手立てをとることも、経済再生の担い手を増やすための一歩となる。

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