選挙制度に関する政党間取引は邪道だ 小林節氏

http://www.nnn.co.jp/rondan/ryoudan/index.htmlより、
一刀両断 -小林 節-
選挙制度に関する政党間取引は邪道だ
日本海新聞 2013/4/2の紙面より

 国会議員の選挙制度は、国民主権国家・日本における、主権者を直接代表する最高機関を構成する具体的な顔触れを選出する制度である。その故に、それは、わが国における最も重要な権力装置のひとつであると言える。

 ところが、それが人口の自然変動と立法府の怠慢の結果、選挙区間の定数の不均衡が、憲法が保障している法の下の平等の限度を超えてしまい、「違憲」状態にある…と司法府から糾弾されるようになって久しい。

 ところが、憲法上、選挙制度については、それが、「平等であるべし」(14条、44条)という条件の他は、具体的には「国会で定める」(43条、47条)ことになっているためか、改正は遅々として進んでいない。というのも、それがいかに歪(ゆが)んだ選挙制度になるに至っていても、それによって選出された現職の議員にとっては、それが最も居心地の良い制度であることは、想像に難くない。

 しかし、ついに、最高裁に睨(にら)まれて、今、国会では、あたかもアリバイ工作のように、選挙制度の改正に向けた政党間交渉が活発化しているように見える。ところが、それも、何が最も公平・公正な国民代表の選出方法か?という観点よりも、何が既存政党にとって受け入れやすい(つまり「有利」な?)制度か?という配慮が前面に出てしまったのではおしまいである。それでは、既存政党(つまり、今の違憲な制度の下で不当に有利になっているグループ)同士により議席(つまり利権)の談合に等しい。例えば、この制度は少数党に有利だから与党内少数派にとって受け入れやすい…などと説明されている。

 しかし、選挙制度にとって、唯一、大切な点は、それは「公平・公正」な代表選出の仕組みであることである。加えて大切なことは、その制度・手続きが、誰にとっても分かりやすい、単純・明快なものであることであろう。

 何か複雑な操作(計算)を加えた上で当選者が決まる制度では、有権者はなにか騙(だま)されたような気分になってしまい、それでは、新しく構成された国会の正統性(信用)が立たなくなってしまう。

 「少数派に有利」とは、一見、聞こえは良いが、それは、「多数派に不利」な今の違憲状態と同じ事である。

 どうしてもまとまらないのであれば、現行の定数のままで、全国区1区の制度にすればよい。これ以上の公平性はない。その上で、少数派の尊重は、議論の質で達成すればよい。
(慶大教授・弁護士)

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