高校教科書検定 「問題を考える扉を多く」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 2 日(火)付
近隣諸国条項―成熟した国の姿を示す

 近現代史や領土の問題をどう教えるべきか。教科書検定の結果が公表されるこの季節、毎年のように議論がくり返される。
 とりわけ今回は、自民党が総選挙で「近隣諸国条項の見直し」を掲げて政権についてから初めて出される検定だった。この機会に改めて考えたい。
 この条項は検定基準の一項目であり、アジア諸国との近現代史の扱いに「国際理解と国際協調の見地から必要な配慮」をすると定めている。
 これが外国からの教科書への口出しをしやすくし、教科書を「自虐的で偏向した」内容にしているとの批判がある。
 たしかに教科書の書きぶりを他国からあれこれ言われるのは気持ちのよいものではない。
 しかし、そもそも子どもたちに歴史の光と影の両面を教え、アジアに限らず世界の国々を尊重する態度を養うことが大切なのは当然である。
 わが国は国際協調を重んじ、独善に陥ることなく、客観的に歴史を教える。この条項は実際の検定基準としてより、内外にその姿勢を示す宣言として働いてきた。もちろん、そこには戦前の教育への反省が込められている。
 条項を削れば、近隣諸国にわざわざ「配慮をやめる」とメッセージを送る意味を帯びる。
 また、条項があるゆえに日本の教科書が外国の言いなりに書かれているとは言いがたい。
 たとえば、今回は尖閣諸島が日本の領土とわかるようにとの意見がつき、「沖縄県に所属する」と加筆された例がある。
 領土の記述には近年、中韓から抗議が繰り返されているが、文部科学省はそれを受けて書きかえを指示してはいない。
 文科省によると、条項に基づいて検定意見がついたのは確認できるかぎり91年度が最後で、今回もなかった。
 この条項は81年度検定で「華北を侵略」が「華北に進出」に書きかえられたと朝日新聞を含む多くのメディアが報じ、中国などから抗議を受けてできた。実際は書きかえはなく、事実誤認から生まれた条項だという見方が見直し論の背景にはある。
 誤報は反省しなければならない。ただ、「侵略」を「侵入」「進出」などに変えた事例はこの年や過去の検定で他にあったと文科省は説明している。条項を作った当時の判断までが誤りだったとはいえない。
 的外れな抗議があったときはきちんと学説をふまえて説明すればよい。冷静で成熟した国の姿を示せば、子どもたちの誇りはおのずと育まれる。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130327/edc13032703450002-n1.htmより、
産経新聞【主張】教科書検定 領土と歴史正しく教えよ
2013.3.27 03:44 (1/2ページ)

 来春から使われる高校教科書の検定結果が発表された。尖閣諸島や竹島について、「日本固有の領土」と明記した記述がほとんどなく、文部科学省の検定で十分に正されたとはいえない。
 領土への生徒の正しい理解をはぐくむための教育の充実が急務だ。
 尖閣諸島については、申請した政治・経済7冊中6冊が扱った。
 このうち、1冊に「日本の領土と明確に読み取れない」と検定意見がつき、「沖縄県に所属する尖閣諸島」と修正された。「日本の実効支配下にあって、領土問題は存在しない」としている政府の見解を無視した記述もみられたが、検定で修正された。
 しかし、日本の主張の正しさをきちんと書いた記述は少ない。
 竹島も政治・経済7冊のうち、6冊が触れた。しかし、竹島をめぐって韓国との間に主張の相違があることは指摘しても、「竹島が韓国に不法占拠されている」と明記した教科書はなかった。
 領土については、欄外や2、3行の簡潔な記述で済ませている場合がほとんどだ。取り扱い自体は増えたものの、将来を担う生徒が、領土や国境に対する正しい問題意識を培ううえで十分な記述とは到底言えない。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130327/edc13032703450002-n2.htmより、
2013.3.27 03:44 (2/2ページ)
 一昨年、日本青年会議所が全国の高校生約400人に竹島、尖閣、北方領土の地図を見せ、国境を描かせる調査を行ったところ、全問正解者は2%にも満たないという結果が出た。領土について、学校教育などで大人がきちんと教えてこなかった責任は大きい。
 歴史でも、不適切記述が相次いだ。沖縄戦の集団自決について、日本史教科書9冊中8冊が書いた。「日本兵による命令によっても集団自決をとげた」などと、現行版の教科書よりも集団自決での軍の強制性を強くにじませた記述が検定をパスした。
 だが、集団自決の軍命令がなかったことははっきりしている。
 朝鮮半島の慰安婦についても「日本軍に連行され、『軍』慰安婦にされる者もいた」と書いた教科書が検定を通った。「軍慰安婦」という言葉自体がなく、軍に連行された事実もない。
 中国や韓国などの反発を恐れ、検定意見を控えたとすれば、大きな問題だ。自虐的な記述が容認され、ゆがめられた歴史が、伝えられていくことは許されない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130327k0000m070135000c.htmlより、
社説:高校教科書 問題を考える扉を多く
毎日新聞 2013年03月27日 02時30分

 受験のための暗記学習ではなく、考え方や表現を発展させ、課題解決の目と力を養う。高校教科書はそのようにあってほしい。
 今回の検定教科書で、東日本大震災や福島原発事故にまつわる記述が増え、腐心の跡もみられた。「考えさせる教科書」への流れが強まるステップと期待したい。
 当然、教科書によって切り口や記述量は異なり、取り上げるに当たっての戸惑いもうかがわせる。しかし本来、ひとくくりにとらえられない現実の社会問題や生き方を考え、判断する力を養うところに学校教育の真価はあるはずだ。
 今回の教科書で見ると、例えば、代替エネルギーの開発、省エネ社会構築を求める「脱原発」派と、日本社会発展のために原発は必要と主張する「推進」派の意見と論拠を読んで考えさせるものがある。
 あるいは、使用済み核燃料問題の未来世代への責任を指摘し、原発の「安全神話」の崩壊、政府の不手際などについても踏み込む。
 また防災について、身の回りのさまざまなリスクを考え、話し合うことや、地域の人間関係や協力関係、住民と自治体の協同システムを育てておく重要性も説く。
 確かに進行する現実の問題を扱うのは容易ではない。授業には日々のメディアの報道なども活用してほしい。大震災、原発だけではなく、社会の重大問題は、多くの教科にまたがるテーマで、それ自体が総合的な学習になる。
 文部科学省は原発事故発生7カ月後の11年10月、放射線についての副読本を小、中、高校生それぞれに向けて発行し、都道府県教委を通じて全国に配布した。しかし、実際の事故や被害実態についてはほとんど触れておらず、被災地などからは不満や批判の声も上がった。このため文科省はその点も踏まえ、改訂版を出す方針という。
 教科書は検定周期がほぼ4年だが、その間も訂正で新事象や変化、統計などについて積極的に記述するよう文科省も促してはどうか。
 大学進学率が5割を超える今、高校教育と大学の教育をスムーズにつなぐ「高大接続」が教育改革論の重要なテーマになっている。
 従来の、入試が終わればそれまでの受験用の学習はおしまい、大学では無関係に新しい教育を受け、動機付けもなかなかできない。こんな状況を改めようというのだ。
 考えさせ、課題解決を追求する高校教育への転換は、進学の動機付け、ひいては入試の根本的な変革にもつながろう。考えさせる教科書、討論する授業などはその多様な「扉」になるに違いない。

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