外国人看護師 「結果が出る養成策を」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013040302000163.htmlより、
東京新聞【社説】外国人介護士 若い意欲を受け止めよ
2013年4月3日

 経済連携協定(EPA)でインドネシアとフィリピンから来日中の若者たちが介護福祉士や看護師として働く道は険しいままだ。高齢化を生きる社会の支え手として、その意欲を無駄にできない。
 日本の介護・医療施設で働きながら、介護福祉士や看護師を目指す候補者の二〇一二年度の国家試験合格者が発表された。
 介護福祉士には百二十八人が合格した。受験者増で合格者も増えたが、合格率の39・8%は前回とほぼ同じだ。日本人を含む全体の合格率64・4%より低い。
 さらに厳しかったのは看護師だ。合格率は9・6%で前回より下がった。全体の合格率88・8%に比べ低すぎる。
 候補者の若者たちは母国では看護師や現場で活躍する人材だ。知識や技量というよりやはり日本語が壁になっている。
 政府は試験問題文のすべての漢字へのルビ振り、試験時間の延長などで対応してきた。それでも思うように合格できない若者たちの苦境は改善されていない。
 介護福祉士候補は四年の滞在期間中、三年の実務経験を終えて一回、看護師候補は三年の滞在期間中三回受験できる。
 不合格者は一年の滞在延長が認められるが、合格者からは「滞在の延長より、短期間に集中して勉強する環境の方が意欲も持ち続けられありがたい」との声も聞く。
 候補者は来日後に就労と専門分野の学習に加え日本語学習がのしかかり大きな負担になっている。日本語による試験が必要なら、来日前に集中して語学を習得してもらう方が現実的だろう。
 政府は訪日前の日本語研修を三カ月から六カ月に延長した。六カ月研修を経た候補者の受験はまだ先だが、この程度の研修で十分なのか見極める必要がある。
 厚生労働省は、EPAでの受け入れは経済協力であり人手不足対策ではないとの立場を崩さない。
 だが、施設が負担していた候補者の人件費を四月から、条件付きで正規職員と認め介護保険から出るように改善した。つまり貴重な戦力だということだ。
 厚労省の研究所の推計だと、七十五歳以上人口は、一〇年に比べ三十年後には神奈川、埼玉両県で二倍を超える。愛知県は八割、東京都と滋賀県は七割増える。
 高齢化を迎え人材登用の門戸を閉ざしたままでいいのか。日本に向けられた若者たちの熱い視線をしっかり受け止めるべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 3月 30 日(土)付
外国人看護師―結果が出る養成策を

 高齢化社会を迎え、看護現場に多くの手が必要だ。外国からの人材にも、大いに力になってもらいたい。
 ところが政府間の協力事業であるインドネシア、フィリピンからの看護師受け入れがうまく進んでいない。育成の仕方の大幅な見直しが要る。
 両国との経済連携協定(EPA)によって5年前から候補者の受け入れが始まった。しかし日本の国家試験のハードルは高く、今年度の合格者はわずか30人、合格率9・6%といずれも前年を下回った。
 試験時間の延長などの優遇策も効果が出なかった。制度の存続が問われる事態だ。
 実は、民間ルートでの人材供給は着実に増えている。母国で看護師の免許を持ち、日本語能力も高くて厚生労働省から受験資格を認められた人々だ。大半は中国からで、今年の合格者は100人を上回ると見られる。
 政府主導のEPAは、いわば「働きながら学ぶ」というモデルだ。来日後、看護師候補者として病人の世話をしながら日本語や看護学を勉強する。医療行為や患者宅への訪問は許されない。本来は3年以内に国家試験を通らなければ帰国してもらうが、最近は1年の滞在延長を認めてきた。
 民間主導の中国人看護師は、いわば「学んだ後に働く」というモデルだ。
 母国の専門学校で看護学と日本語を学び、来日後も日本語学校で1、2年さらに勉強してもらう。中国人は漢字での苦労が少ないため、国家試験の合格率は高いようだ。
 EPAの仕組みは複雑で、わかりにくくなっている。国家試験に通る前に准看護師免許をとって就労の道を探ったり、滞在延長を断って帰国したりする候補者が出ている。
 こうした混乱を避けるためにも研修と就労の時期を切り離して、養成モデルの転換を図らなければならない。
 柱は事前研修の充実だ。現地の看護大学に日本語科を設けてもらい、奨学金を支給する。国内で集中的に日本語を勉強して国家試験に挑んでもらう。
 労働市場の需給が反映するよう、民間の役割が徐々に高まっていくような工夫も大切だ。
 将来は、相手国の看護資格やコミュニケーション能力を総合的に勘案して、就労を幅広く認める道も開いてはどうだろう。
 看護師不足が一層深刻化してから手を打っても遅すぎる。ケア人材についての移民政策をうち立て、「人の開国」に弾みをつけるべき時だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53345580Z20C13A3EA1000/より、
日経新聞 社説 外国人介護士を支える制度に
2013/3/29付

 経済連携協定(EPA)に基づき来日した外国人の介護福祉士候補128人が国家試験に合格した。合格率は39.8%と前年より1.9ポイント上がったが、日本人を含む全体の合格率64.4%には遠く及ばなかった。
 高齢化で日本の介護現場は深刻な人手不足状態だ。外国人候補者の多くは母国で看護師などの資格を持ち、経験を積んでいる。そうした人材を追い返すような試験を繰り返しては国際社会からも信頼を失う。意欲ある人材を受け入れ、支える制度に早く見直すべきだ。
 EPAに基づきインドネシアやフィリピンから来日した候補者は1500人に上る。日本で働き続けるには介護福祉士なら原則4年以内、看護師は3年以内に国家試験に合格しなければならない。不合格でも一定以上の成績をとれば滞在延長などが認められるが、早々と帰国する例も出ている。
 厚生労働省は今回の試験から外国人候補者の時間を延長し、問題文の漢字すべてに振り仮名を付ける特例措置を導入した。だが外国人候補の合格率を見る限り、介護福祉士は微増、看護師は前年より下がっており、効果があまりなかったと言わざるを得ない。
 制度を定着させるにはこうした小手先の対応でなく、試験そのもののあり方を見直すべきだ。母国で看護師などの資格を持つ人に介護や看護の基礎知識を日本語の筆記試験で問う必要はあるのか。むしろ母国で取得した資格を相互承認する道を検討してはどうか。
 厚労省は2025年に介護職が90万人以上不足すると試算する。これを日本人だけで担うのは難しい。中国や韓国などでも高齢化が進んできており、優秀な介護・看護人材の国際的な争奪戦はすでに始まっている。
 来日した外国人候補者が将来、日本で得たノウハウを母国に持ち帰り、次世代の人材を育てる立場になることも期待できる。ノウハウを受け継いだ若い人材が日本で働く意欲を持つような流れを今のうちに築いておくことも重要だ。

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