原発事故賠償 「新たな枠組みづくりを」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 7 日(日)付
原発事故賠償―新たな枠組みづくりを

 福島第一原発の事故で損害を受けた住民の不動産や家財について、賠償手続きが始まった。
 精神的苦痛や仕事を続けられなくなったことへの賠償はすでに支払いが進んでおり、主な賠償項目がそろう。
 不動産の賠償は、原発に近い11市町村で警戒区域と計画的避難区域に指定された地域に土地や建物を持つ住民が対象だ。
 両区域は「帰還困難」「居住制限」「避難指示解除準備」の3区域への再編作業が進んでいる。まもなく11市町村すべてで見直しが終わる予定だ。
 どれくらいの賠償金が支払われるのか。そもそも自宅へ戻れる時期はいつごろか。
 いずれも、被害者が生活を立て直し、再出発する際の大前提となる。
 事故から2年あまりが過ぎた今も、そのスタート地点が見えつつあるかどうかという段階にある。原発事故の重大さを改めて感じる。
 被害者の間では、まとまった金額になりうる不動産賠償への関心は高い。東京電力は昨夏、賠償額を算定する際の考え方や計算式を公表し、地元自治体などと調整を続けてきた。その結果、建物への賠償は昨夏の基準より増額された。
 しかし、被害者を支援する弁護士らによると、住宅の広さや築年数の違いで金額差が大きいという。数百万円程度にとどまる人も珍しくないようだ。
 損害賠償を原則とする限り、基本的には所有する財産や事故前に得ていた所得が上限にならざるをえない。
 東電による賠償が生活再建に十分かどうか、被害者の状況に目を凝らしていくのは、国の役割である。
 賠償や除染について、国が資金を立て替えつつ東電からすべて回収するという現在の仕組みは、その額の大きさを考えれば、いずれ破綻(はたん)する。
 賠償とは別に、国が直接、税金で生活再建を支援することを含め、新たな枠組みづくりを急ぐ必要がある。
 避難住民へのアンケートによると、自宅に戻るかどうか「判断できない」という人が3~4割を占める市町村が目立つ。今後の判断材料では、放射線量や社会基盤の復旧見通しとともに、「賠償額の確定」があげられている。
 自宅に戻りたい人も、新たな場所での再出発をめざす人も、できるだけ経済面での不安を抱えずに判断できる環境を整えなければならない。
 それが、原発事故に直面した私たち国民全体の務めだろう。

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