視点 核軍縮外相会合 佐藤千矢子氏

http://mainichi.jp/opinion/news/20130408k0000m070112000c.htmlより、
社説:視点 核軍縮外相会合=論説委員 佐藤千矢子
毎日新聞 2013年04月08日 02時30分

 ◇現実論だけでは足りぬ
 核兵器を持たない日本、オーストラリア、ドイツなど10カ国が9日、オランダ・ハーグで、「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合を開く。

 日本は唯一の被爆国として核廃絶を目指しながら、米国の「核の傘」に依存してきた。そのジレンマから、現実的、段階的な核軍縮路線をとってきた。NPDIの特徴の一つも、現実的なアプローチにある。

 現在、世界には約2万発の核兵器がある。核拡散防止条約(NPT)は、米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国だけを「核兵器国」と認め、それ以外の国への核兵器の拡散を防ぐ目的で1970年に発効し、約190カ国が締約している。不平等条約だが、その代わり、核兵器国は核軍縮を義務づけられている。しかし、NPT体制は、期限を切った核廃絶などを求める非同盟諸国会議(NAM)と、核兵器国との溝が深い。

 そこでNPDIは、両勢力の調整役としてNPT体制を強化する目的で、2010年9月に日豪両国が主導して発足した。年2回の外相会合を重ね、来春は広島開催が決まっている。

 ハーグの外相会合では、核実験全面禁止条約(CTBT)の早期発効や、非戦略核の削減、核兵器の役割を減らす方法などについて六つの作業文書をまとめ、15年のNPT再検討会議につなげる狙いだ。

 こうした現実的アプローチには「生ぬるい」という批判もつきまとう。しかし、核軍縮が核兵器国とNAMとの対立などから行き詰まる中で、核兵器の透明性確保を目指した厳しい要求を具体的提案として突きつけるNPDIの取り組みは評価されていい。

 一方、日本政府の核軍縮外交には気がかりな点もある。昨年10月、国連総会第1委員会(軍縮)でノルウェー、スイスなど34カ国が共同で出した「核兵器の非合法化」への努力を求める声明に日本は署名しなかった。「米国の核抑止力に依存しているのに、核兵器を違法とは言えない」というのが拒否の理由だが、果たしてそうだろうか。

 北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射実験や核実験を強行し、中国が核軍拡を図っているとみられるなど、東アジアの安全保障環境は厳しさを増している。だが、期限も明示せず「努力」を求めたこの種の声明にまで賛同できないというのは、あまりに腰が引けた態度ではないか。

 現実路線を取りながらも理想の旗を降ろさず、その先頭に立つ。そんな理想と現実を両輪にした、したたかな核軍縮外交を展開してほしい。(論説委員・佐藤千矢子)

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