党首討論 「経済政策の追及が甘い」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130418/plc13041803230004-n1.htmより、
産経新聞【主張】党首討論 なぜ憲法を論じないのか
2013.4.18 03:22 (1/2ページ)
第2次安倍晋三内閣の発足後、初の党首討論が開かれ、安倍首相と日本維新の会の石原慎太郎共同代表は、日本を取り巻く安全保障環境の悪化に応じて、防衛費を増額することが必要だとの考えで一致した。
石原氏が尖閣諸島への攻勢を強める中国や北朝鮮のミサイルの脅威などに対応する必要性を指摘したことに対し、首相も「日米同盟強化と同時に、日本の防衛強化も進める必要がある」との見解を示したものだ。
政権与党と第三極勢力である維新が安全保障で基本的な認識を共有していることは、領土・主権を守り抜くという日本の危機克服にとっても大きな意義がある。
残念なのは、野党第一党である民主党の海江田万里代表が、7月の参院選の争点に浮上している憲法改正問題についてまったく触れなかったことだ。
自民党が憲法96条が定める改正の発議要件の緩和を先行させる方針を打ち出しているのに対し、民主党の細野豪志幹事長が反対を唱え、すでにその他の党も巻き込んで論争が始まっている。
だが、海江田氏は45分のうち最長の25分の割り当て時間を持ちながら、安倍政権の経済政策の副作用の議論に終始した。通常の予算案審議と同じではないか。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130418/plc13041803230004-n2.htmより、
2013.4.18 03:22 (2/2ページ)
背景には、民主党が平成17年に「憲法提言」をまとめて以降、憲法論議は停滞したままで、論点ごとの具体的な見解を持っていないという問題があるのだろう。
96条改正についても、党内で賛否が分かれている。憲法改正への積極派と慎重派が存在し、結論を出そうとして分裂を招くのを避けてきたように見える。
民主党は、改正手続きより「憲法の何を変えるかが重要だ」と自民党などを批判しているが、自らが憲法の中身の議論を急がなければ論争には耐えられまい。
石原氏は「この問題を乗り越えない限りこの国は再生しないし、自民党も再生しない」と憲法改正を提起した。連立与党の公明党が憲法改正に慎重な点も指摘したが、安倍首相がこれに答えなかったのは物足りない。
党首討論は国家の基本政策を政党のトップ同士が語り合うものだ。毎週開催を原則に11年から始まったのに、実際には年に数回開かれる程度だ。衆参両院にとって運営の改善が大きな課題だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013041802000138.htmlより、
東京新聞【社説】初の党首討論 経済政策の追及が甘い
2013年4月18日
第二次安倍内閣初の党首討論。安倍晋三首相が進める経済政策が中心議題だが、「負の側面」の追及には甘さが目立つ。論点を際立たせ、政権に迫る力を養うことが、今の野党には必要ではないか。
攻守所を変えた党首討論は、第一次内閣で経験済みの安倍首相に一日の長ありと言ったところか。首相の安定感に比べ、初登壇で攻めきれぬ海江田万里民主党代表にもどかしさを感じた国民も多かったに違いない。
右肩上がりの内閣支持率は日銀の金融緩和策で円安と株高が進み、景気に回復の兆しが見えてきたことが大きな理由だろう。憲法改正などの「タカ派」的主張を極力抑え、経済政策を優先させる「安全運転」も奏功しているようだ。
ただ、この経済政策は懸念も指摘される。円安で輸入品価格が上がれば生活が苦しくならないか、企業収益の好転が所得の増加につながるのか、インフレが暴走することはないのか、などだ。
もし政府・与党の政策に死角があるのなら、国会の場で徹底的に議論し、必要なら軌道修正させなければならない。それこそが野党の役目であり、存在意義である。
かつて経済評論家だった海江田氏が、議論の中心に経済政策を据えたのは当然だろうが、追及に決定打を欠いたことは否めない。
海江田氏は冒頭「アベノミクス、中でも金融緩和の副作用にはどういうものがあるか」とただした。党首討論の時間は限られている。追及するなら具体的な事例、数値を挙げるべきではなかったか。
また、首相が夏の参院選後、日本をどこに導こうとしているのかも見過ごせない。経済優先の「安全運転」をやめて憲法改正に突き進むのか否か、首相の政治姿勢を真正面からただしてもよかった。
日本維新の会の石原慎太郎共同代表にも初の党首討論だった。占領下に制定された現行憲法は破棄すべしとの主張には与(くみ)しないが、憲法に明記された会計検査が形骸化し、予算の無駄遣いを許しているとの指摘は、重要な問題提起と受け止めたい。
日本維新の会にとって中央官僚が牛耳る統治機構の改革が「一丁目一番地」のはずだ。首相も第一次内閣で、この日登壇した渡辺喜美みんなの党代表(当時自民)を公務員制度改革担当相に据え、天下り規制を目指した経緯もある。
官僚機構の壁は高く、厚い。既得権の打破や予算の無駄遣い根絶にこそ、与野党党首が力を合わせて、指導力を発揮すべきである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54104190Y3A410C1EA1000/より、
日経新聞 社説 課題解決に役立つ国会論戦を期待する
2013/4/18付
国会はよりよい国づくりのために衆知を集める場だ。与野党がアイデアを持ち寄り、接点を探るのが仕事であり、批判の応酬で終わっては時間の無駄だ。政権交代後の初の党首討論はそのことの大事さを改めて浮き彫りにした。
民主党の海江田万里代表は何を訴えたいのかが曖昧だった。安倍政権の経済政策で食品など物価が上がり始めたと指摘し、「アベノミクスには副作用、落とし穴がある」と批判した。
ただ、民主党政権がそれなりの金融緩和を進めたことが現在の株高・円安につながったと手柄を争うような発言もあった。「閉塞感の中で悩んでいた状況を変えることができた」と成果を誇示する安倍晋三首相を、上回る説得力を示せなかった。
金融緩和は是なのか非なのかなど、民主党の経済政策はわかりにくい。夏の参院選へ党の針路を定めねばならない。
日本維新の会の石原慎太郎共同代表とみんなの党の渡辺喜美代表は立ち位置が明確だった。
「(沖縄県の)尖閣諸島に人を置くとか、国が守るということをはっきりとした形で国民に示してもらいたい」
「会計制度に非常に問題がある。(会計検査院の)役人が(省庁の)役人を調べてもざるで水をすくうようなものだ」
これらが石原氏の主張だった。渡辺氏は自民党が野党時代には賛同していた幹部公務員の任期制導入を取り上げて「どうして採用いただけないのか」と迫った。
首相は尖閣の実効支配は海上保安庁による警備強化などで対応するとしつつも、丁寧に答弁。渡辺氏には「御党と協力して公務員制度改革を進めていきたい」と笑顔をみせた。
憲法改正を視野に入れた連携への誘い水という面もあろうが、提案型の投げかけがあって双方の論戦がかみ合った。
この日の国会は「1票の格差」を是正する衆院小選挙区0増5減法案の先行処理を求める与党と、定数削減など選挙制度の抜本改革との一体処理を訴える野党の対立の結果、党首討論以外の委員会審議が空転した。
司法に違憲判決を突き付けられた「1票の格差」是正は待ったなしの課題だ。0増5減を処理し、さらに定数削減に取り組む。順番は明らかだ。野党は時代遅れの審議拒否はやめてもらいたい。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130418k0000m070156000c.htmlより、
社説:党首討論 民主は議論を避けるな
毎日新聞 2013年04月18日 02時32分
拍子抜けもいいところである。安倍晋三首相と野党党首による初の党首討論が行われた。民主党の海江田万里代表との討論は経済政策をめぐる平板な議論に大半が費やされ、首相に余裕が目立った。
与野党が対立する衆院「1票の格差」問題や憲法観などで民主党が議論を挑まず、いわば無難な討論で済まそうとするようでは与党から足元をみられる。これで参院選を戦えるのか。海江田氏の気迫を疑う。
各種世論調査で安倍内閣や自民党の支持率が高い水準にあり、13年度予算案も衆院を通過した。一方で民主党は離党の動きが収まらず、参院第1党から転落しかねない。海江田氏の発信力が問われる局面だ。
ところが、論戦は単調に過ぎた。黒田東彦日銀総裁の下での異例の金融緩和に海江田氏は「劇薬を飲んだ。副作用がある」と懸念を示し、首相は「何もしなければリスクはないというのは大間違いだ。どんよりした空気が変わった」と反論した。だが「アベノミクス」路線を問う基本的な組み立ては1月の代表質問を繰り返した印象で、雇用の規制緩和の是非など、的を絞るべき論点の取り上げも中途半端に終わった。
「1票の格差」は最後に首相の方から提起し、野田佳彦前首相の前言をタテにとり、海江田氏に小選挙区定数「0増5減」の先行処理への協力の確約を迫った。海江田氏は定数削減との抱き合わせであることや、その後の各種高裁判決で事情は変わったと反論したが、受け身の対応は旗色の悪さを認めるようなものだ。
首相が96条の改正先行に意欲を示し、次期参院選の争点化をうかがう憲法問題も海江田氏はとりあげなかった。民主党は日本維新の会が現憲法を「日本を孤立と軽蔑の対象におとしめた」と断じた憲法観を細野豪志幹事長が強く批判、輿石東参院議員会長は「憲法」が参院選の争点になるとの見通しも示している。
だとすれば討論は首相にも憲法観をただす格好の場だった。民主党内で意見が割れているからといって議論を避ける状況ではあるまい。
日本維新の会の石原慎太郎共同代表は首相との討論で現憲法批判などを述べたがやはり憲法観を首相にただすことはなく、多くの時間はいくつかの持論の主張に費やされた。96条改正で自民と共同歩調が目立つ維新の会だが、前提となる憲法への認識こそ議論すべきではないか。
一方で首相もこの日の討論は長時間の発言が目立ち、金融緩和の「副作用」への懸念などにまともに答えたとは言い難い。次期参院選からネット選挙も解禁されるだけに、こうした討論への注目度は高まろう。論戦の質向上をこころがけるべきだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130417/plc13041703090002-n1.htmより、
産経新聞【主張】予算案衆院通過 次は社会保障の抑制策だ
2013.4.17 03:08 (1/2ページ)
平成25年度予算案が衆院を通過した。5月半ばまでの成立を確実にした安倍晋三首相が次になすべきは、医療、年金などを持続可能とする社会保障制度改革だ。
社会保障費の抑制は、国民に新たな負担を求める苦い薬である。だからといって、結論を参院選後に先送りする姿勢では、国民が抱く将来への不安を解消することはできない。
重要なことは、経済成長を実現し、諸制度の改革を通じて「強い日本」への道筋をつけることだ。そのことが、結局は財政への信認回復にもつながる。
消費税増税を含む社会保障と税の一体改革を進めた自民、公明、民主の3党間ですら、具体的な制度改革の議論は進んでいない。社会保障費の抑制は消費税増税の前提だったはずだ。
3党合意で設けられた社会保障制度改革国民会議は、財界や労組、自治体などからの意見聴取を重ねている。だが、作業は遅れ気味だ。設置期限とされる8月21日までに明確な結論を出せるのかどうかは疑問である。
政権与党として参院選前に具体案を示し、有権者の判断を問う責任ある態度が求められる。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130417/plc13041703090002-n2.htmより、
2013.4.17 03:08 (2/2ページ)
高齢の有権者の反発を恐れ、特例措置を続けているのだろうが、医療費も支払い能力に応じた負担を求めるのは当然だ。年金も給付額の見直しや支給開始年齢の引き上げなどに切り込まなければ制度は破綻する。若い世代に負担増を求める現状はバランスを欠く。
70~74歳の医療費窓口負担を1割に抑えている特例措置を早急にやめるべきだ。首相は16日の衆院予算委員会で「基本的には原則の方向(2割負担)に向けて実施していきたい」と答弁したが、時期などを明確に示す必要がある。
予算の効率的執行にも引き続き目配りが必要だ。先の補正予算を合わせれば10兆円規模となる公共事業費も、景気浮揚効果は限定的なものとならざるを得ない。
金融緩和と財政出動に続く「3本目の矢」となる成長戦略は、安定した経済成長の実現に欠かせない。民間企業の創意工夫を引き出す大胆な規制改革が安倍政権には求められている。
農業や福祉・医療などの規制緩和は新規参入を促し、新市場の創造、雇用拡大につながる。政府の産業競争力会議や規制改革会議などと具体的に詰めてほしい。