福島県の甲状腺検査 「精度に疑問がある」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130422ddm003040127000c.htmlより、
クローズアップ2013:福島、子供の甲状腺検査 高まる県民の不信
毎日新聞 2013年04月22日 東京朝刊

 東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質から子供の健康を守るとして、福島県が実施している甲状腺検査が揺れている。これまでに3人のがん患者が確認され、7人にがんの疑いがあるとされたが、県側は「被ばくとの因果関係は考えにくい」と強調する。「県民の不安解消」を検査の目的に掲げる県だが、情報公開に消極的な姿勢も相まって、保護者の不安と不信はやむ気配がない。【日野行介】

 ◇4観察項目省略、公表せず
 福島県二本松市の主婦、鈴木麻記子さん(39)は昨秋、長男(6)の検査に付き添った。検査技師はモニターを見つめて何かを測っている様子だったが、結果について何も話さず、2分ほどで終了した。
 不安になった鈴木さんは、一般の病院で改めて検査を受けさせた。10分ほどかかった検査で、7ミリの結節(しこり)が見つかった。県の判定基準では2次検査が必要な「B」に当たる。だが、約1カ月後に県から届いた通知は、経過観察にとどまる「A2」だった。
 鈴木さんは検査画像とリポートの情報公開を請求した。約3週間後に開示されたリポートには1・6ミリののう胞(液体がたまった袋のようなもの)があると記されていたが、結節は「なし」だった。「県の検査は一人一人の子供を真剣に見ていない。本当に親の気持ちを大事にしているとは思えない」と鈴木さんは憤る。
 実は県の検査では、甲状腺検査で一般的に実施される12の観察項目のうち4項目を省いている。だが、県はこのことは公表していなかった。識者からは「精度に疑問がある」との指摘も出ている。
 日本乳腺甲状腺超音波診断会議などが編集する「甲状腺超音波診断ガイドブック」は、観察項目として「甲状腺の形状」「大きさ」など12項目を挙げる。検査を委託される県立医科大は住民説明会でこのガイドブックを引用し「高い精度の検査だ」と強調してきた。しかし、実際には「甲状腺の内部変化」「血流の状態」など4項目を実施していない。検査責任者の鈴木真一教授は「短時間の1次検査では見る必要はないと考えた。(内部変化や血流の状態は)一律には見ていないが、必要な場合は見ている」と説明する。検査対象となる事故当時18歳以下の子供は約36万人に上り、検査のスピードアップのために省略したという。
 県の検査方法に関し北海道がんセンターの西尾正道名誉院長は「血流の状態の確認をしないと、小さなのう胞と血管の区別はできにくく、精度が高いとはいえない。大きな病気がないかどうか簡単に見るだけの内容だ」と指摘している。

 ◇独自検査の動きも
 保護者の根強い不信と不安の背景には、情報公開に消極的な県側の姿勢がある。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130422ddm003040127000c2.htmlより、
 県立医大が開いている住民説明会では、確認されたがん患者の居住地や、被ばく線量の推計値の説明を求める声が上がった。だが、鈴木教授は「個人情報だ」として明かさず、「被ばく線量は低い」「見つかったがん患者と被ばくの因果関係は考えにくい」と繰り返した。
 こうした姿勢に、参加者からは「『被ばくの影響なし』という結論ありきだ」との批判も出ている。会津若松市で3月に開かれた説明会では、ある母親が立ち上がり、「『親の不安を解消する』と言うが、私たちは不安を解消してほしいのではなく事実を知りたい。私たち自身が判断する」と訴えた。
 今回開示された「自治体別データ」は、今年1月の開示に合わせて市町村に伝達されたが、それも自らの自治体分だけで「比較できない」と不満も出ていた。そんな中、自治体や市民団体が独自に検査に乗り出す動きも広がる。既に本宮市、浪江町などが開始。NPO法人「いわき放射能市民測定室たらちね」は3月17日、最新機器の寄付を受けて検査を始め、印刷した画像もその場で手渡している。

 ■ことば
 ◇福島県の甲状腺検査
 原発事故当時18歳以下の約36万人が対象で、2年半で一回りし、20歳までは2年ごと、以後5年ごとに受ける。1次検査は超音波でしこりなどの有無と大きさを検査し、A1〜Cに分類。B、Cは2次検査の対象。2011年度にB判定となり、2次検査を受けた子供から、3人のがん患者と7人の疑い例が見つかった。

http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130422ddm001040054000c.htmlより、
東日本大震災:福島第1原発事故 市町村別、甲状腺検査結果を開示 福島県、請求拒めず
毎日新聞 2013年04月22日 東京朝刊

 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県が実施している子供の甲状腺検査で、市町村別の判定結果一覧表が、情報公開請求していたNPO法人に開示された。県側は「プライバシー保護」を理由に公表を拒み続けていたが、県の情報公開条例上は非開示にする理由がなく、開示を余儀なくされた。識者からは「一覧表で個人が特定される恐れはなく、情報を出そうとしない県の姿勢は疑問だ」と批判が出ている。
 県の甲状腺検査(1次検査)では、しこりの有無などを超音波で調べ、4段階で判定している。開示されたのは、2011年度に検査した子供3万8114人の判定結果を市町村ごとにまとめた一覧表。検査を委託されている県立医大が昨年4月に作成した。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京都)の三木由希子理事長が同12月に請求し、今年1月下旬に開示された。
 2次検査が必要な「B」と判定された人の割合は0〜1・7%、5ミリ以下のしこりなどがある「A2」は25・2〜41・6%と、自治体間でややばらつきがあった。公害調査に詳しい津田敏秀・岡山大学教授(疫学)は「1回の数値だけで明確なことは言えないが、放射性物質(ヨウ素131)の拡散状況と甲状腺がんの因果関係を調べるのに重要な情報。変化の動向を見るためにも定期的な公表が不可欠だ」と指摘する。

http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130422ddm001040054000c2.htmlより、
 開示決定について、県の県民健康管理課は「条例の規定を踏まえて判断した」と説明した。条例は個人情報や県民に誤解や混乱を与える情報などが記載された公文書は開示しないと定めているが、一覧表はこれらに該当しない。しかし、検査責任者の鈴木真一・県立医大教授は開示後の2月13日の記者会見でも「地域が特定されて本人に迷惑がかかる」と述べ、市町村別の判定結果を明らかにしなかった。【日野行介】

 ◇福島県が開示した甲状腺検査の自治体別判定結果(2011年度)
市町村    検査人数     A1            A2           B
田村市   6180人  3928人(63.6%)  2224人(36.0%)  28人(0.5%)
南相馬市  9636人  6197人(64.3%)  3391人(35.2%)  48人(0.5%)
伊達市  10274人  6537人(63.6%)  3688人(35.9%)  49人(0.5%)
川俣町   2188人  1506人(68.8%)   674人(30.8%)   8人(0.4%)
広野町    691人   447人(64.7%)   242人(35.0%)   2人(0.3%)
楢葉町    939人   544人(57.9%)   391人(41.6%)   4人(0.4%)
富岡町   1696人  1034人(61.0%)   656人(38.7%)   6人(0.4%)
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130422ddm001040054000c3.htmlより、
川内村    230人   134人(58.3%)    92人(40.0%)   4人(1.7%)
大熊町   1542人   906人(58.8%)   628人(40.7%)   8人(0.5%)
双葉町    716人   459人(64.1%)   257人(35.9%)   0人(0.0%)
浪江町   2922人  1979人(67.7%)   921人(31.5%)  22人(0.8%)
葛尾村    147人    99人(67.3%)    47人(32.0%)   1人(0.7%)
飯舘村    917人   680人(74.2%)   231人(25.2%)   6人(0.7%)
その他     36人    18人(50.0%)    18人(50.0%)   0人(0.0%)
合計   38114人 24468人(64.2%) 13460人(35.3%) 186人(0.5%)

http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130422ddm001040054000c4.htmlより、
 ※判定結果は、A1=しこりなどがない▽A2=5ミリ以下のしこりなどがある▽B=5.1ミリ以上のしこりなどがある▽C=すぐに2次検査が必要。A以外が2次検査の対象になる。11年度はC判定はなかった。「その他」は他の自治体に居住しているが、検査対象の13市町村の学校に当時通学していたことなどを理由に検査を受けた子供の数

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