ボストンテロ 「市民参加」を狙った悪意

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130423/amr13042303130000-n1.htmより、
産経新聞【主張】ボストンのテロ 総力戦の決着に学びたい
2013.4.23 03:12 (1/2ページ)

 米東部のボストンで3人が死亡した連続爆弾テロ事件が発生から5日目に急転決着した。
 実行犯のロシア・チェチェン系の兄弟のうち、兄は逃走中に警官に射殺され、弟も見つかって身柄を拘束された。
 追跡の過程で、警官1人が銃撃で死亡したのは極めて残念だ。実行犯によるさらなるテロを防いだ米政府と捜査当局の対応を米国民とともに評価したい。
 多数の観衆が集まるボストン・マラソンを標的にした今回のテロは、実行犯に対し、民主主義社会がいかに立ち向かうべきかという観点で、多くの教訓を残した。
 オバマ大統領は「米国は悪に対処する」と国民に捜査への協力と情報提供を呼びかけた。米連邦捜査局(FBI)が事件発生の3日後、容疑者の男2人の写真と監視カメラのビデオ映像の公開に踏み切った対応が容疑者の特定につながったのは明らかだ。
 追い詰められた兄弟はテロ現場近くで強盗事件を起こし、逃走してからは身柄確保も時間の問題となった。ボストン市当局は地下鉄や鉄道、バスなどすべての公共交通機関の運行を停止した。住民の安全を守るためには必要な強制措置である。
 さらに警察当局は、銃撃戦を逃れた弟容疑者が潜伏した人口約40万の街全域を封鎖し、住民に外出を禁じる一方、重武装警官を大量動員し捜索にあたった。一方で、赤外線センサーで弟容疑者の居場所を突き止め、捜査ロボットや特殊閃光(せんこう)弾などハイテク武器を駆使して身柄を拘束した。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130423/amr13042303130000-n2.htmより、
2013.4.23 03:12 (2/2ページ)
 犠牲者を最小限にとどめるためには銃撃戦もためらわない。住民の自由を一時的にせよ束縛する。「非常事態令」も躊躇(ちゅうちょ)しない果断さが状況打開につながった。
 また、米メディアによれば、FBIは弟容疑者に黙秘権の告知をしなかった。「公共の安全に差し迫った危険のある例外的事例」とする姿勢にも注目したい。
 テロは日本でも起こりうる。日本国民にその心構えができているだろうか。捜査のためには、交通機関ストップによる不便も受け入れなければならない。
 国民保護法では、緊急事態における私権の制限などに必要な「国民の協力」は「自発的意思に委ねられる」と極めてあいまいだ。
 ボストンを教訓に学ぶべき課題は多い。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013042302000135.htmlより、
東京新聞【社説】ボストン爆破 「隣人のテロ」解明を
2013年4月23日

 ボストン・マラソンを狙った連続爆破テロは、隣人が突然テロ犯に変身しかねない「ホームグロウン・テロ」の恐ろしさを示したといえる。有効な対策のためにも早期の全容解明を待ちたい。
 地元大学に通学しながら、昨年米市民権を取得、友人も少なくなかったという弟。周囲から孤立気味だったとはいえ、アマチュア・ボクシングの選手として全国レベルまでいった兄。現地メディアが伝える犯行前の容疑者ツァルナエフ兄弟の生活ぶりからは、凶悪なテロリストの素顔をかいま見ることは難しい。
 二人の出身地だったチェチェンの民族紛争が大きな国際問題となったのは一九九〇年代だ。ロシア連邦に属するチェチェン共和国が位置するコーカサス地方は、ロシア、トルコ、欧州に挟まれた地政学的な条件から、周辺国の緩衝地帯とされてきた。
 ロシアとの民族対立は、冷戦終結後に噴出した旧共産諸国からの民族独立の動きに影響され九〇年代以降に激化。百五十人以上が死亡した二〇〇二年のモスクワでの劇場占拠事件や、三百五十人以上が犠牲になった〇四年の北オセチア・ベスランでの学校占拠事件はまだ記憶に新しい。
 紛争に明け暮れる祖国を逃れたツァルナエフ一家が〇二年に移住したボストンは、米国史の原点を刻む象徴的な都市だ。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)など、国の支配層を輩出する名門大学がある半面、階層意識も強く、憧れを抱いて外部から移住する者には溶け込みにくい土地柄ともされる。
 米中枢同時テロやロンドン地下鉄連続爆破などには、欧米社会に憎悪を募らすイスラム系の第二世代の移民が関わっていた。死亡した兄のタメルラン容疑者は数年前からイスラム過激派思想に傾倒し、昨年には親戚が住むロシア南部に一時帰国していたともされる。今後の捜査の焦点となろう。
 重傷を負いながら身柄を確保された弟のジョハル容疑者に対する聴取はようやく始まったばかりだ。
 ホームグロウン・テロは歴史、宗教、民族が錯綜(さくそう)し根が深い。ビンラディン殺害で示したように、オバマ大統領はテロに対して断固たる措置で臨む一方、イスラム社会そのものとは、対話姿勢を掲げている。
 外交、内政が密接に関連する新たなテロの脅威の深層解明に、単独主義的手法に戻ることなく柔軟な手法で臨んでほしい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54275740T20C13A4EA1000/より、
日経新聞 社説 テロの教訓を日本も生かせ
2013/4/23付

 米国のボストンで起きた爆破テロ事件の捜査が急展開し、ロシア南部・チェチェン系の兄弟2人が容疑者と判明した。テロの抑止に役立てるためにも、米当局は捜査を徹底し、犯行の動機や背景を解明しなければならない。
 日本もこうしたテロと無縁ではない。ボストンの事件を教訓にして、テロの抑止や警備のあり方を点検していく必要がある。
 容疑者の兄は警察との銃撃戦で死亡し、弟は身柄を拘束されたが、重傷を負った。本格的な聴取には時間がかかるようだ。
 兄弟は10年ほど前から米国で生活していたという。死亡した兄はジハード(聖戦)に関する動画をインターネットに投稿するなど、イスラム過激派に傾倒していたとの見方が強まっている。
 テロ組織に所属していない自国内の移民や若者が、過激な思想に感化されてテロを実行する「ホームグロウン(国産)テロリスト」が、近年欧米で大きな脅威になっている。これまでに判明した事実をみると、ボストンのテロもこうした可能性が高いようだ。
 過激な思想を持った個人が、手製の爆弾を製造したり、政党の事務所に侵入したりする事件は日本でも起きている。幸い大きな被害が出なかったため、あまり注目されていないが、国産テロの脅威は国内にもつねに存在すると考えるべきであろう。
 米国の事件を受け、警察は大勢の人が集まるイベント会場や重要施設での警備態勢の見直しを進めている。ただ個人レベルのテロは行動が把握しにくいため、警察の対応だけでは限界がある。
 緊急時のマニュアルを作り、警備員の増員や不審物のチェック体制を強化するなど、主催者や施設側の取り組みも求められる。市民の協力も当然、重要となる。
 国産テロリストに変容する背景として、迫害や差別体験、社会からの疎外感などが指摘されている。遠回りのようでも、だれもがこうした思いにとらわれずに生きていける社会をつくっていきたい。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130420ddm003030074000c.htmlより、
クローズアップ2013:ボストンテロ捜査 画像公開で包囲網 2容疑者、在米数年のイスラム教徒
毎日新聞 2013年04月20日 東京朝刊

 ◇動機、背景は不明
 ボストン・マラソン連続爆破テロ事件で米連邦捜査局(FBI)はビデオ映像の公開に踏み切り、公開から10時間余りで2容疑者を追い詰めた。公開捜査に踏み切った捜査当局の狙いと容疑者像を探った。
 米国やロシアのメディアによると、2人はタメルラン・ツァルナエフ容疑者(26)=死亡、ジョハル・ツァルナエフ容疑者(19)=逃走中=の兄弟で、ともにロシア南部に住んでいたチェチェン人。渡米して数年たつという。チェチェン共和国などロシア南部の北カフカス地方を拠点とするイスラム武装勢力によるテロはロシアで何度も起きているが、米国でもこうした組織がテロを起こしたとすれば初めてとなる。
 インタファクス通信は19日、ツァルナエフ兄弟が2001年に、チェチェン共和国と隣接するロシア南部ダゲスタン共和国の首都マハチカラにある旧第1学校(現・中等学校)で学んでいたと報じた。校長によると、妹2人も同じ学校に通っていた。一家は中央アジア・キルギスの避難先からマハチカラに来たが、同校で学んでいたのは4カ月だけで、02年に米国へ移住したという。一方、チェチェン共和国の首長報道官によると、一家はかなり前にチェチェンからロシア国内の他地域に移り、その後カザフスタンに長期間住んだあと、米国に移住したという。
 容疑者2人のおじは米メリーランド州で米メディアの取材に応じ、「2人は米国に対して憎しみは持っておらず、大変驚いている」と述べた。また、一家は中央アジアのキルギスから03年に移民としてケンブリッジに移住してきたと語った。
 またロシアのメディアは、ジョハル容疑者がロシア版交流サイト「フコンタクチェ」に開設していたとみられる個人ページについて報道。独身で、英語、ロシア語、チェチェン語で会話ができると自己紹介し、信仰は「イスラム教」、「主な関心事項」は「キャリアとお金」などと記載している。11年に米マサチューセッツ州ケンブリッジの公立高校を卒業。交流サイト上ではチェチェン関連のグループに所属し、「興味を持つ動画」としてシリア問題の映像を投稿していた。同容疑者とみられる男性が最後にページにアクセスしたのは、銃撃事件直前の18日午後9時(日本時間19日午前10時)ごろだった。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130420ddm003030074000c2.htmlより、
 一方、米誌スレート(電子版)によると、兄のタメルラン容疑者は、かつて米ソルトレークシティーで開催されたボクシング大会に出場したとみられ、この大会を取材した写真家のフォト・エッセーに取り上げられた。05年ごろから米国で暮らし、「米国人の友人は一人もいない。彼らのことは理解できない」と話したり、イスラム教徒として酒やたばこは一切たしなまなかったことが紹介されているという。
 だが犯行の動機は不明で、FBIは、思想的背景があるかを捜査している。ただ今回の連続爆破テロでは国際テロ組織アルカイダなどとの関連を示す手がかりは出ていないという。【モスクワ大前仁、金子淳、真野森作】

 ◇身元つかめず「賭け」
 実行犯の人定ができない状態が続いていた捜査当局が大きな決断をしたのは前日の18日午後5時過ぎだった。FBIは、容疑者2人の写真とビデオ映像の公開に踏み切った。
 これは「賭け」でもあった。写真の公開は、市民から犯人特定につながる情報が寄せられるだけでなく、犯人を動揺させてスピード解決につながる可能性がある。一方で、犯人が写真公開時と見た目を変えたり、潜伏してしまえば、事件が長期化する恐れがある。
 捜査が大きく動き始めたのは、写真公開から約5時間後の18日午後10時過ぎ。ボストンに隣接するケンブリッジのマサチューセッツ工科大(MIT)構内で銃撃事件が発生。テロ事件の容疑者2人による犯行で、その後の捜査当局との追跡劇で1人が死亡した。容疑者らが写真公開に焦って動きだしたのであれば、捜査当局の狙いが当たったことになる。
 今回の捜査にはオバマ政権の威信がかかっていた。FBIをはじめ連邦政府、州、市の30以上の機関が参加する国家を挙げてのチーム「ボストン合同テロ特別捜査班」が捜査を担当。米メディアによると、容疑者の映像や写真公開の決断にはモラーFBI長官とホルダー司法長官がかかわっていたという。
 約3000人が犠牲になった01年の米同時多発テロ以来、米本土で民間人が犠牲になった本格的なテロは今回が初めて。狙われたのは歴史と知名度を誇るボストン・マラソン。警戒が難しいとかねて懸念があったスポーツイベントがテロの対象になったこともあり、オバマ政権は一刻も早く事件を解決し、テロリストは容赦しないという厳しい姿勢を国内外に示す必要に迫られていた。【ニューヨーク草野和彦、坂口裕彦】

 ■ことば
 ◇チェチェン
http://mainichi.jp/opinion/news/20130420ddm003030074000c3.htmlより、
 ソ連崩壊後、ロシアからの独立を求めるチェチェン人の動きが活発化し、ロシア軍と2回にわたる戦争があった。独立派武装勢力によるテロ事件もロシア各地で発生。2002年のモスクワ劇場占拠事件では人質120人以上が死亡し、04年のロシア南部・北オセチア共和国の学校占拠事件では人質約330人が死亡した。その後チェチェン共和国ではロシア政府と協力する政権が武装勢力の撲滅を進めたが、一方で近隣のダゲスタン共和国など北カフカス地方へイスラム過激派勢力が拡散し、テロ事件を起こした。一部は国際テロ組織アルカイダとのつながりが指摘されたこともある。

 ◇最近の米国のおもなテロと容疑者
1993年 2月26日 ニューヨークの世界貿易センター地下駐車場で車爆弾が爆発。6人死亡、1000人以上けが。イスラム過激派の犯行。
  95年 4月19日 オクラホマシティーの連邦政府ビルで車爆弾が爆発。168人死亡、500人以上けが。白人退役軍人の犯行。
  96年 7月27日 アトランタ五輪中に市内の公園で爆発。2人死亡、100人以上けが。白人反中絶主義者の犯行。
  98年 1月29日 バーミングハムの婦人科クリニックで爆発。1人死亡、1人けが。白人反中絶主義者の犯行。
2001年 9月11日 ニューヨーク、ワシントン米同時多発テロ。約3000人死亡。イスラム過激派国際テロ組織アルカイダの犯行。
  09年12月25日 オランダからデトロイトに向かっていたデルタ航空機内で爆破未遂。23歳ナイジェリア人を逮捕。アルカイダの指示と供述。
  10年 5月 1日 ニューヨークのタイムズスクエアで爆破未遂。パキスタン出身の米国人を逮捕。
  13年 4月15日 ボストン・マラソンのゴール付近で2発の爆弾が爆発。19日、警察との銃撃戦で容疑者1人死亡、1人逃走。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 20 日(土)付
米国のテロ―市民の連帯で備える

 米国では大リーグの観戦に、かばんは持ちこめない。化粧ポーチなどを除き、球場は手ぶらが原則だ。場外の預かり所は試合後ごったがえすが、野球ファンは神妙にルールを守る。
 多くのテロ事件をくぐった米国は長い年月をかけ、公共の場での保安対策を強めてきた。空港や政府機関の検査場の長い列も、日常の見なれた光景だ。
 自由を何より尊ぶ国でありながら、生活の利便を少しずつ削ってでも安全の向上をめざす。そんな国民意識は、9・11同時多発テロ以降、いっそう強く米国社会に根づいてきた。
 あれから12年。それでもなお惨劇を防げなかった衝撃は大きい。3人が死亡し、170人以上が負傷したボストン・マラソンの爆弾テロは、警戒の網の目をくぐる無差別暴力の脅威を改めて世界に知らしめた。
 この事件は重苦しい難題を突きつけている。圧力鍋を使った簡素なつくりの爆弾は、インターネットで得られる知識でだれにでも作れる。
 しかもマラソンのような広い市街地で行われる行事では、沿道すべてで持ち物の検査をすることはむずかしい。
 自由に立ち入れる場所を限ったり、多くの人々が楽しむ催しを縮小したりすれば、それだけ社会が安全と引きかえに払う代償を高めることを意味する。テロリストの思惑通りだろう。
 米国も世界も、市民の自由をできるだけ狭めずに、少数の人間が犯す暴力を防ぐ工夫を尽くさねばならない。
 これまでインターネットはテロ組織のネットワーク強化に利用されたとの指摘もあったが、今回はその逆を印象づけた。
 事件後、多くの現場映像が捜査当局にもたらされ、有力な情報になっている。だれもが記録の目と情報発信能力を持つ携帯ネット社会の効能だ。
 米国のような多文化社会であれ、日本のような比較的均質な社会であれ、無差別暴力を防ぐためのカギは、市民一人一人の意識にある。
 日々の暮らしの中で不審な物や異常に気づけば声を上げる。いったん混乱がおきれば助けあう。自然災害への取りくみと同じように、テロ対策を高めるうえでも、市民と市民の連帯感が果たす役割は大きい。
 オバマ大統領は追悼集会で、「来年もボストン・マラソンのために、世界はこのすばらしい都市に戻り、より強く走り、より大きな声援を送るだろう」と語り、不屈を誓った。
 街の安全をめざす米国市民の模索を日本もともにしたい。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130417/crm13041703070002-n1.htmより、
産経新聞【主張】ボストンの惨事 無差別テロを断固許すな
2013.4.17 03:07 (1/2ページ)

 無防備なランナーや観衆を狙ったテロ行為を断固として許すべきではない。ボストン・マラソンを標的にした爆弾テロには、こみ上がる怒りを禁じ得ない。テロを封じ込めるため日本も国際連携に協力し、摘発に向けた態勢強化も急ぎたい。
 2回の爆発は優勝ランナーがゴールした約2時間後、そのゴール付近で起きた。まだ多くの市民ランナーが走っており、地元の病院によると負傷者は170人以上で、17人が重体という。犠牲者のなかには、8歳の男児もいた。
 米連邦捜査局(FBI)は計画的な爆弾テロ事件とみており、オバマ米大統領は「犯人を突き止め裁きにかける」と述べた。
 ボストン・マラソンは現在も続く世界最古のマラソン大会として知られ、日本との縁も深い。君原健二選手ら7人が優勝し、瀬古利彦選手は2度制した。約2万3千人が走った今大会にも200人以上の日本人が参加し、車いすの部では山本浩之選手が優勝した。
 世界のマラソンシーズンはいまが佳境だ。21日にはロンドン・マラソンがある。ロンドン警視庁は警備態勢の見直しを始めた。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130417/crm13041703070002-n2.htmより、
2013.4.17 03:07 (2/2ページ)
 毎月のように各地でマラソン大会が開かれ、東京都が2020年の夏季五輪を招致している日本にとってもひとごとではない。警察庁も国内の警備を強化するよう全国の警察に指示した。
 警備に万全を期すことは当然だが、広範囲の公道を多くのランナーが走り、沿道を観衆が埋めるマラソン大会を完全に守りきることなど、現実には極めて難しい。
 まずできることは何か。
 テロを憎み、摘発に全力を傾けることだ。海外の関係機関と情報を共有し、テロリストの生息を許さない社会を広げることだ。
 法相の諮問機関、法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」は、一部の犯罪に限っている「通信傍受」の範囲拡大や、犯罪拠点に機器を設置する「会話傍受」、捜査に協力した場合に刑を軽くするなどの「司法取引」の導入を検討している。
 卑劣な無差別テロを未然に防ぐためには、捜査側にも新たな手段が必要だ。
 それで十分というわけではないが、ないよりは、ずっといい。考え得るあらゆる手段で、テロから社会を守りたい。ボストンの悲劇を繰り返してはならない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013041702000124.htmlより、
東京新聞【社説】ボストン爆破 オバマ政権新たな試練
2013年4月17日

 オバマ政権二期目の立ち上がりを狙ったようなボストンの爆弾事件だった。卑劣な犯行の真相解明を最優先に、新たなテロ対策をどう構築するか、緊密な国際協調を視野に入れた対応を期待したい。
 「誰が、どのような理由で行った犯行であろうとも、必ず厳しい法の裁きが下る」。オバマ大統領の言葉を待つまでもなく、捜査当局には徹底した早期の全容解明を求めたい。
 連続爆発が起きたのは、選手たちが疲労から解放されるゴール直前だった。スタートから約五時間というタイミングは、選手が最も多く完走する時間帯でもあった。
 八歳の少年を含む三人が死亡、百四十人以上が負傷した犯行はこうした場所とタイミングを狙い定めたように起こされている。卑劣極まる蛮行に背筋が凍る思いだ。
 二〇〇一年の米中枢同時テロを想起させた今回の事件は、十二年後の今も、グローバル化したテロの脅威は米国の内外を問わず一向に収まっていない現実をあらためて示した。
 この間、テロをめぐる国際情勢は大きく変化した。一つはアフガニスタンとイラクの二つの戦争終息後も続く中東、アフリカなどへのテロ組織の拡散。いま一つが、この間に欧米諸国で増大する自国民によるテロ、いわゆるホームグロウン・テロの脅威だ。
 新たなテロ拡散は、リビア崩壊後に明らかになったマリでのイスラム過激派の伸長やシリア情勢の混乱などで顕在化した。破綻国家に巣くう過激派テロ組織の活動は一向に収まっていない。
 また、イスラム過激派の影響を受けたとされる米兵による〇九年の軍基地内乱射事件で見られたように、国内に培われたテロの温床も無視できない。厚いアラブ系移民層を持つ欧州諸国でも大きな潜在的脅威だ。
 今回の事件は、二十年前の武装カルト団体によるウェーコ事件や、オクラホマ連邦ビル爆破事件の犯行日にも関連しており、国内犯である可能性も残されている。
 米国はブッシュ政権下創設された国土安全保障省に治安権限を集中、度重なるテロ計画を未然に防いできただけに、今回の事件が与えた衝撃は大きい。
 共和党内には、早くもオバマ大統領の慎重な初期対応を批判する動きも出ているが、テロの狙いは、敵対者に恐怖心と混乱を与えることにある。まずは超党派での徹底した捜査を望みたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54064530X10C13A4EA1000/より、
日経新聞 社説 国際的なイベント狙う卑劣なテロ許すな
2013/4/17付

 日本でもよく知られているスポーツのイベントが、市民や観光客を無差別に狙う卑劣なテロの標的にされた。米国のボストンで開かれていたボストン・マラソンのゴール付近で2度の大きな爆発があり、8歳の男の子を含む多くの観客らが死傷した。
 米政府高官は「明らかなテロ行為」と言明している。現時点で犯人像などは不明だが、背景にどのような政治的、思想的理由があろうとも、テロ行為は決して許されない。米当局は捜査を徹底して犯人を突き止め、法にもとづいて処罰する必要がある。
 国際的に著名な都市や観光地は近年、繰り返しテロの標的になってきた。2001年の米同時テロをはじめ、インドネシア・バリ島のディスコやスペイン・マドリードの鉄道、インド・ムンバイの高級ホテルなどで、多くの市民が巻き添えになっている。
 「劇場型」とも言われるこうした場所でのテロでは、多くの人が密集しているため被害が拡大しやすい。一方で、絶え間なく行き交う不特定多数の人を対象にした持ち物検査などは物理的に難しく、警備や抑止の面で大きな課題となっているのが現状だ。
 今回のテロでは、注目度の高い国際的なイベントが狙われた。ボストンは歴史的に欧州とのつながりが深く、外国からの移民や留学生が多い。米国の中でも国際色が豊かな都市だといえる。
 米同時テロでハイジャックされた旅客機の1機は、ボストン発の便だった。かつてアイルランド統合を目指して武装闘争を繰り広げたアイルランド共和軍(IRA)と、ボストンの移民社会との資金的つながりも指摘されていた。
 マラソンには外国選手が参加するほか、海外からの観光客も多く訪れる。外国からの来訪者に慣れ、国際的な行事が頻繁に開かれる土地柄が、治安維持の難しさにつながった面があるのではないか。
 ボストンのテロは、日本にとっても対岸の火事ではない。日本の地方都市を含め、アジアの各都市が世界中から人を招き入れ、国際会議やイベントの開催で競争力を競い合う現実がある。
 相次ぐテロは、こうしたグローバル化した社会の弱点を突いているともいえる。もはや一国によるテロ対策はあり得ない。各国の政府や治安機関がこれまで以上に緊密に連携し、国際的な視野でテロを封じ込めていく必要がある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130417k0000m070132000c.htmlより、
社説:ボストンテロ 「市民参加」を狙った悪意
毎日新聞 2013年04月17日 02時31分

 12年前の9・11(米同時多発テロ)を、嫌でも思い出させる事件である。米マサチューセッツ州で開かれたボストン・マラソンのゴール付近で2発の爆弾が爆発、8歳の男児を含めて3人が死亡した。大音響とともに炎と白煙が上がる中、多数のランナーが転倒し、逃げ惑う。世界有数のスポーツイベントは暗転した。市民を狙った計画的な無差別テロだろう。速やかな容疑者逮捕と事件の全容解明を望みたい。
 同マラソンには約2万3000人が参加、爆発が起きた時はうち約1万8000人がゴールしていた。約240人の日本人参加者に被害はなかったが、誰が巻き込まれていても不思議ではない。死亡した子供は父親の応援をするうちに爆発に遭遇したらしい。多くの市民ランナーが足を負傷した点にも犯人の悪意を感じる。何とも痛ましい事件であり、許しがたい殺傷行為だ。
 だが、予兆がなかったとは言えない。ニューヨークの世界貿易センタービルとワシントン郊外の国防総省が狙われた01年の9・11テロ後、米国では航空機爆破未遂や自動車爆破未遂などが起きた。コースが長くて警備がしにくいマラソン大会が狙われる恐れは、以前から指摘されていた。東京マラソンなど大規模なマラソンが行われる日本にとっても「対岸の火事」とはいえず、警備計画の再検討を迫られるのは必至だ。
 犯人像はまだ定かではない。3000人近い犠牲者を出した9・11がイスラム過激派のテロ組織「アルカイダ」の犯行だった半面、160人以上が死亡したオクラホマシティー連邦ビル爆破(95年)は米国の白人男性の犯行だった。今回、9・11後では初の犠牲者が出たとはいえ、直ちにイスラム過激派の関与を連想するのは早計というものだ。
 だが、今回の事件は米国が安全でないことを改めて見せつけ、オバマ政権のテロ対策を揺さぶったことは確かだ。攻撃こそ最大の防御として、外国でも「テロとの戦争」を積極的に展開したブッシュ前政権に対し、オバマ政権はイラクやアフガニスタンでの軍事行動の幕引きに動き、中東やアフリカなどでの軍事介入は近年、欧州諸国が中心になっている。
 こうしたオバマ政権の「ロー・プロファイル」(米国を目立たせない)路線に、国内保守派などは強い不満を持っている。仮にボストンでの爆発が外国勢力のしわざと判明すれば、9・11に続く大事件として米国のテロ対策、安全保障策が厳しく問い直されることになろう。
 だが、まずは事実関係の解明である。オバマ大統領は「必ず真相を突き止める」と強い決意をのぞかせた。米国の捜査を見守りたい。

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