G20会議 「世界の認識は甘くない」

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 23 日(火)付
財政再建―健全化法から始めては

 G20財務相・中央銀行総裁会議が日本の名をあげて「信頼にたる中期的な財政計画を作るべきだ」と注文をつけた。ひどい財政難のためだ。麻生財務相は今年なかばに計画をまとめると表明した。
 問われているのは、約束ではない。中身がある再建を実行することである。
 目標はすでにある。国と地方の基礎的な財政収支の赤字の解消だ。赤字額が30兆円を超え、国内総生産(GDP)に対する比率が6%台半ばだった10年度とくらべて15年度に赤字比率を半減させ、20年度までに黒字化する。政府が決め、国際的に公約している。
 来年度から2段階で予定する消費増税をおこなえば、15年度の半減は見えてきそうだ。
 しかし、20年度までの黒字化は、名目3%と高めの経済成長を続けてもおよばない。内閣府は、そう試算する。
 成長戦略の具体化でGDPと税収を増やそうと力を入れる安倍政権も、予算面での対策が避けて通れない。消費増税が1年後に控えることを考えれば、当面の焦点は歳出の抑制・削減策である。
 第一歩として、実現してもらいたいことがある。
 自民党が野党だった10~11年に法案を出した「財政健全化責任法」を成立させるのだ。
 国と自治体に財政を立て直す責任を課す。政府は基礎的財政収支を指標とする中期計画を作り、国会の承認を得る。新たに予算を伴う政策を始めるときは財源を事前に確保する――。そんな内容である。
 立法で再建を目ざした例としては、橋本内閣による97年の財政構造改革法がある。
 社会保障や公共事業など、分野ごとに歳出の上限を決め、具体的な数値をふくむ計画を法律に書いた。ところが銀行や証券の破綻(はたん)が続く金融危機のため、翌年に小渕内閣が凍結した。
 この経験から、予算を法律でしばる考え方に対し、政官界には抵抗が強い。
 しかしわが国の財政は、90年代後半とくらべても、はるかに深刻だ。再建への政府と国会の姿勢を、立法という形で示すことが必要ではないか。
 自民党の法案は、経済環境が急変したときは政府の判断で計画を変えることができ、後で国会に出し直す仕組みだ。財政構造改革法とくらべて、機動的である半面、拘束力は弱い。これぐらい決められずに再建などおよそ無理という内容である。
 政府・与党は、まず健全化法から一歩を踏み出すときだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 21 日(日)付
G20会議―世界の認識は甘くない

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が打ち出した「異次元」の金融緩和とこれに絡む円安ドル高の加速が焦点となったワシントンでのG20財務相・中央銀行総裁会議は、共同声明で黒田緩和について「脱デフレと内需支援のため」と一定の理解を示した。
 「通貨安競争は避ける」とも言及したが、露骨な日本批判はなく、「G20が円安容認」と受け止めた市場で円が売られ、一時1ドル=100円に迫った。
 元財務官の黒田氏は、国際舞台での対話力も買われて総裁に起用された。突っ込みどころに先回りして追及を封じる周到な弁舌で、まずは順当にデビュー戦を飾ったようだ。「アベノミクスは日本復活のため」という日本の公式見解に対する各国の「期待」もつないだ。
 ただ、これはあくまで当面の話だ。金融緩和が実体経済の地力回復までの「時間稼ぎ」であるのと同じように、それがアベノミクスの他の政策、とりわけ財政規律の回復と構造改革による成長回復までの時間稼ぎにすぎないことも、浮き彫りになったといえる。
 米国景気の回復や新興国経済の変調により、「通貨安競争」の懸念は一時より和らいだ。それでも日本の円安や財政悪化に対する各国の警戒感は根深い。
 2月のモスクワ声明と同様とはいえ、国際常識ともいえる「金融政策の対象は国内経済」「国際競争のため為替相場を使わない」などの文言が日本を念頭にあえて繰り返されたこと自体が異例だ。くわえて今回は、財政規律の問題で「日本は信頼できる中期的な計画を定めるべきだ」と名指しされた。
 もともとG20は9月にロシアで開く首脳会合(サミット)に向け先進国の財政健全化で新合意を目指す予定だが、「突出した政府債務を抱える日本の異次元緩和が、財政規律を緩ませないか」という、ごく自然な疑問がG20の財政論議を強く促したのは間違いない。
 日本は3年前のトロントG20サミットで、あまりに借金が多い半面、増税による歳入拡大の余地も大きいことを理由に、1国だけ例外的な緩い健全化目標を認められた。消費税率を10%に上げることになっているが、それでも国際通貨基金(IMF)は「財政再建には不十分」と警告している。
 より確かな財政再建の裏づけを求める世界の圧力は、今後さらに強まろう。財政規律と構造改革に先手先手を打つ覚悟が日本になければ、黒田緩和は単なる「円安誘導への方便」と世界が見なす日がいずれ来よう。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130421/fnc13042103070001-n1.htmより、
産経新聞【主張】G20声明 脱デフレは日本の責務だ
2013.4.21 03:07

 日本の金融政策に注目が集まった20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、日銀の新たな量的・質的金融緩和などの政策を「脱デフレ目的」と明記した共同声明を発表した。
 心配されていた円安誘導批判は盛り込まれなかった。政策の目的と手法が理解を得て評価されたといえ、歓迎したい。
 同時に、日本のデフレ脱却がG20はじめ世界経済に対する責務であることもはっきりした。政府、日銀、民間が一体となり、目的達成に邁進(まいしん)しなければならない。
 昨秋以降の急速な円安を受けてG20は、2月の会議で共同声明に「通貨の競争的切り下げの回避」を盛り込んでいた。しかし、その後、黒田東彦新日銀総裁が打ち出した「異次元の金融緩和」で円安が加速した。今回、円を標的にした通貨安誘導批判が再燃するかどうかが一つの焦点だった。
 会議では麻生太郎財務相と黒田総裁が「金融緩和は脱デフレ策だ」「2%の物価上昇目標達成の手段であり、通貨安を意図していない」と説明し、反論は出なかったという。この結果、前回声明とほぼ同じ文言で、通貨安競争の回避を再確認するにとどまった。
 これはG20各国が、日本の最優先課題がデフレ脱却であるとの認識を共有したことを意味している。もはや新興国など一部にある円安批判に、現時点で過度に神経質になる必要はあるまい。
 一方で、声明が日本を名指しして「信頼に足る中期財政政策の策定」を求めたことは見過ごせない。異次元緩和では、購入する国債の種類を限定せず、購入額も毎月の新規発行分の7割に及ぶ。
 財政規律への懸念がメンバー国や市場関係者に生じても不思議ではない。国内だけでなく、国際的に理解が得られる財政健全化計画を早急に策定する必要がある。
 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクスの三本の矢」のうち、1本目の金融政策に続き、2本目の財政出動も平成25年度予算成立のめどをつけることで歩を進めた。世界の目は「3本目の矢」の成長戦略に向いている。
 安倍首相は第1弾として雇用、女性の活用、再生医療振興を打ち出した。引き続き、規制改革などで脱デフレと日本経済再生への道筋を示さねばならない。それが、財政規律の確保とともに、G20が日本に与えた宿題である。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54214700R20C13A4PE8000/より、
日経新聞 社説 日本に財政健全化の道筋求めたG20
2013/4/21付

 ワシントンで開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、為替相場の問題は大きな議題にならず、日本政府が懸念していた円安批判は起きなかった。ただ、共同声明は日本に「信頼に足る中期財政計画」の策定を求めた。日本は財政出動や金融緩和頼みにとどまらない経済再生の姿を示していく必要がある。
 G20の共同声明は世界経済について「成長は引き続き弱すぎる」と指摘、世界全体としては成長を促す政策が必要だとの認識を示した。日本批判が起きなかった背景には、大胆な金融緩和が内需刺激を通じて世界経済にもプラスになると受けとめられたことがある。
 「金融緩和は国内経済を良くすることが目的で、円安誘導を狙ったものではない」という日本の説明がある程度、国際社会に浸透したともいえる。
 むしろ批判の矢面にたったのはドイツだった。欧州経済が依然として低迷する中で、「ゆとりがあるドイツが経済刺激策を取らないのはおかしい」という不満が米国などから出た。
 日本の財政政策については、一時的な財政出動で景気を底支えする点は理解されたといえるだろう。ただ、同時に中期的な財政健全化へ向けて具体的な道筋をつけることを強く求められた形だ。
 日本政府は2015年度までに基礎的財政収支の赤字を半減し、20年度に黒字化するとの目標を掲げている。これを信頼に足る内容にするには社会保障費を中心に具体的にどう歳出を削減するのか、消費税増税後の増収策はどうするのかを示していく必要がある。
 G20会議で言われるまでもなく、中期的な財政健全化の展望をはっきり示すことは日本にとって大事である。日銀が国債を大量に購入する「異次元の金融緩和」は、財政規律の維持が大前提になるからだ。日銀が膨らむ財政赤字の穴埋めをしていると思われれば、国債金利が急上昇しかねない。
 今後はすでに実施している金融緩和、財政出動に続く「第3の矢」である成長戦略をどう進めるかに国際的な関心が集まるだろう。この点がおざなりになれば株高を支える外国人投資家の日本株投資が勢いを失ってもおかしくない。
 民間の活力を引き出す大胆な規制緩和を実行するのか、それとも官主導で資金をつけるような従来型の施策にとどまるのかが大きな分かれ目になる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130421k0000m070047000c.htmlより、
社説:G20金融会議 「異例」に慣れゆく危険
毎日新聞 2013年04月21日 02時32分

 経済成長のため、雇用創出のため、デフレ脱却のため−−。こうした目的のもと、あらゆる政策を総動員するのは一見、もっともらしい。ワシントンで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明も、「世界経済の回復力はまだ弱過ぎ」とし、「成長促進の追加策が必要だ」と指摘した。
 問題は、政策が適切かどうかだ。
 G20の枠組みが存在感を表した08年のリーマン・ショック後から、主要各国は、異例の金融緩和と異例の規模の財政出動を重ねた。それでも今なお、先進国は成長の本格回復を見ずにいる。そこで、異例の措置だったはずの政策を、長期間継続させたり、日本のように格段と異例度を高めたりしようとの動きになった。
 異例を極めたのが金融緩和策だ。開始からすでに数年がたち、ゼロ近辺の金利も違和感がなくなった。さらに安倍政権・黒田日銀が進める「異次元の金融緩和」は、これまで異例さが足りなかったと言わんばかりに、かつてない勢いでマネーの供給量を増やす試みだ。
 G20会議後、黒田東彦総裁は、日本の金融緩和に対して理解が得られたとし、「一層自信を持って、金融政策を運営できる」と胸を張ったが、声明に盛り込まれた「長期の金融緩和による意図しない副作用に注意を払う」という文言を、謙虚に、重く受け止めるべきだろう。
 今月初めの日銀による緩和策発表後、日本だけでなく海外の債券市場でも金利がたちまち急落した。より高い利回りを求めるマネーが日本から流出するとの予測によるものだ。
 市場はすでに米英など他の先進国が供給する巨額の資金であふれている。日本のマネーが一段と加わることで今後、リスクを過小評価した運用が世界的に過熱したりしないか、十分な警戒が必要だ。国内の物価にだけ目を奪われていると、金融危機のもとになる資産バブルの膨張を再び見落とすことになりかねない。
 異常さにマヒしてしまったのは、財政出動などで積み上がった各国の借金も同じだ。日本はその筆頭格である。その借金を減らすための新たな目標づくりは、今回も目立った進展がなく、決着を先送りした。
 異例の金融緩和と財政出動は本来、それぞれの国が構造改革に取り組むための時間的余裕を与えたものだった。ところが、国内政治上、困難な改革は棚上げされる中で、中央銀行への依存がますます進んだ。
 危機から再生し、危機の再発を防ぐのがG20の目指すべきものであり、一体となって、新たな危機の芽を育てるようではいけない。「次」が起きたとき、もはや同じ「異例の手段」は取れないのである。

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