福島第1原発 汚染水貯蔵「1月には破綻していた」

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013042590070658.htmlより、
福島第一 汚染水 破綻明かさず
2013年4月25日 07時06分

 東京電力福島第一原発の汚染水量が一月にはすでに、地上タンクの容量を超え、貯蔵計画が破綻していたことが分かった。危機的状況にもかかわらず、東電はタンクには余裕があると発表。その裏で、水漏れ事故が起きた地下貯水池に汚染水を投入していた。この時点で危機を公表し、真剣にタンク増設に取り組んでいれば、四月五日に発覚した汚染水漏れ事故は防げていた可能性が高い。
 東電の計画は、セシウム以外の放射性物質も除去できる新たな除染装置が昨年九月に稼働することを大前提とし、新装置でさらに浄化された水を池に入れる予定だった。しかし、新装置の安全面の問題により、昨年九月と十二月の二度にわたり稼働を延期した。
 計画は新装置が予定通り動かない場合の備えをせず、汚染水量がタンク容量をぎりぎり超えない程度の甘い内容だった。慌ててタンクを増設したが、年明けには水量がタンク容量を超えてしまうことが確実になった。
 このため東電は一月八日、3番池に一万一千トンの汚染水を入れ始めた。続いて二月一日には、2番池にも一万三千トンを入れ始めた。
 だが東電はその事実を説明せず、毎週公表している汚染水処理状況の資料で、厳しいながらもタンク容量は順調に増えていることを記載していた。
 一月九日の記者会見で、本紙記者がタンクの残り容量が一週間分の処理量(約二千八百トン)を下回った点をただすと、尾野昌之原子力・立地本部長代理は「タンクは約三万トンの余裕があり、足りなくなることはない」と強調し、池に汚染水を投入したことには触れなかった。
 一月十五日付以降の処理状況を示す公表資料では、実際にはタンク増設は全く進んでいないのに、池に投入した汚染水の量をタンク容量が増えた形にして公表していた。タンクが増設されたのは、二回の池への投入が終わった後の三月になってからだった。
 東電広報部は「タンクの増設はすべて計画通り進めており、問題はなかった。地下貯水池に(新装置で浄化していない)汚染水を入れることも想定していた。漏れたら別の池に移し替えるつもりだったが、全ての池が使えなくなる状況は考えていなかった」とコメントした。(東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013041090070855.htmlより、
福島第一 汚染水計画破綻 貯水池構造上の欠陥
2013年4月10日 07時08分

 東京電力福島第一原発の地下貯水池で相次いでいる汚染水漏れ事故で九日、三件目の水漏れが起きた。池に構造的な欠陥があるのは明らかで、東電の汚染水貯蔵計画は破綻した。東電は池の汚染水を数少ない地上の空きタンクに移す検討をし始めたが、しのげるのはわずかな期間で、毎日発生する汚染水の処理にも影響が出てくるのは必至だ。
 同日昼、すでに水漏れが確認されている貯水池(2番)から、放射性ストロンチウムなどが残る塩水を移送していた池(1番)の遮水シートの中で濃い塩分を検出。2、3番の池に続き、水漏れしていることが確定的となった。
 東電はこれまで、満水近くなった貯水池の上部から水漏れが起きたと推測。水位を八割ほどに抑えれば、貯水池は問題なく使用できると説明してきた。しかし、今回の水漏れは水位が半分ほどの場所で起きており、貯水池の水漏れは構造上の欠陥である可能性が高まった。
 福島第一には貯水池が七つあり、容量は計五万八千トン。小学校の二十五メートルプールにすると、ざっと百十六杯分にもなる。地上の金属製タンクより貯水量がかせげるため、汚染水貯蔵の重要な柱になっている。
 貯水池にはすでに約二万七千トンの汚染水が貯蔵されており、地下水汚染を防ぐには地上タンクに移す必要がある。だが、地上タンクの空き容量は約二万二千トンしかない。
 東電は原子炉冷却用の水をためる予備のタンクなどを動員し、貯水池の汚染水の移送先にすることを検討。それでも用意できそうなのは計七千三百トン程度しかない。
 容量を使い切る前に次の移送先を確保しないと、一日約四百トンずつ増える高濃度汚染水を処理した後に残る水の行き先がなくなり、処理ができなくなる。東電は早急な汚染水処理の計画練り直しを迫られている。
 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は「貯水池の信頼性が損なわれていることにまったく反論はない」と認める一方、貯蔵先をほかに確保できないとして、まだ問題が見つかっていない貯水池は引き続き使う方針も示し、矛盾した説明に終始した。(東京新聞)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130409/k10013793521000.htmlより、
汚染水1万トン 綱渡りの対応
4月9日 18時22分

東京電力福島第一原子力発電所で、水漏れが確認された地下の貯水槽から汚染水を移送していた先の貯水槽でも水漏れが起きていることが分かり、東京電力は、2つの貯水槽にあるおよそ1万トンの汚染水を別のタンクに移す検討を始めました。
しかし、タンクの容量に余裕はなく綱渡りの対応が続いており、抜本的な解決策を見いだせない厳しい状況となっています。
新たに水漏れが見つかったのは、最初に水漏れが確認された2号貯水槽から汚染水を移送していた先の西隣にある1号貯水槽です。
東京電力によりますと、9日午前、1号貯水槽の水漏れを検知するための穴の中から、前の日よりも200倍以上高い塩素濃度が検出され、その後の調べで1cc当たり1万ベクレルの放射性物質が検出されました。
この場所は、3重の遮水シートの内側から2番目と3番目の間で、今のところシートの外側の地盤付近では塩素濃度に変化はありませんが、東京電力は水漏れが起きていると断定しました。
相次ぐ水漏れについて東京電力は、構造上の問題などから貯水槽の上の方から漏れている可能性を挙げて、上部に水が達しないよう水位を80%以下に管理しながら使うと説明していました。
しかし、今回の水漏れは貯水槽の水位が55%の段階で見つかっており、東京電力は、「別の原因が考えられる」として、2つの貯水槽にあるおよそ1万トンの汚染水を別のタンクに移す検討を始めました。
東京電力によりますと、貯水槽以外に汚染水を保管できる可能性のあるタンクは、合わせて2万9000トン分あるとしていますが、このうちの多くは、毎日発生する汚染水を処理したあとの水をためるタンクなどで、東京電力は「できるだけ使いたくない」としており、保管場所は余裕のない状況となっています。
貯水槽の信頼性は大きく揺らいでいますが、東京電力は、ほかに有効な手だてがないとして、1号と2号の貯水槽からの移送を優先し、ほかの5つの貯水槽については、監視をしながら当面、使わざるをえないとしています。
ただ、東京電力が可能性を挙げたタンクについても、貯水槽からの距離の問題などで必ず使えるとは限らず、原因を特定できないなか綱渡りの対応が続いており、抜本的な解決策を見いだせない厳しい状況となっています。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1より、
朝日新聞 社説 2013年 4月 9 日(火)付
汚染水漏れ―福島原発の態勢見直せ

 福島第一原発で、放射能汚染水が地下貯水槽から漏れていたことがわかった。
 同原発では、急造の設備で原子炉に水を注ぎ、冷やし続けている。汚染された水は海に流せず保管するしかない。その汚染水の一部が漏れた。
 先月起きた長時間の停電を含め、原発事故がなお継続していることを物語る。
 核燃料を取り出すまで、抜本的な解決策は見あたらない。電源確保や汚染水タンクの増設など、リスクに先手を打つしかないが、後手に回っている。
 今回も3月中旬から水漏れをうかがわせるデータがありながら、対応が遅れた。
 現状は、東京電力の管理能力を超えているのではないか。
 汚染水について、そもそもの誤算は冷却水をループ状に使い回して原子炉を冷やす「循環冷却」ができなかったことだ。
 地震や水素爆発で原子炉建屋にひび割れができたらしく、1~4号機の建屋内には1日400トンもの地下水が流れ込む。炉心を冷やした水は一部を再び冷却用に循環させるものの、流入分だけ汚染水が増える。
 福島第一は、いわば原子炉冷却を通じた「汚染水生産工場」と化している。
 地下水をくみ上げて流入量を減らしたり、放射性物質をできるだけ除去した汚染水を海に流したりする計画はあるが、実効性や早期の実現性は疑問だ。
 東電は当面、大量の漏れが見つかった2号地下貯水槽からだけ汚染水を移し、ほかは水位を少し下げて使い続ける。不足する分は、地上タンクの増設を前倒しし乗り切る考えだ。
 しかし、地上タンクも盤石ではない。接合部が経年劣化して水漏れを起こす危険が指摘されているうえ、原発敷地内にはタンクを設置する場所もなくなりつつある。
 遅まきながら東電は「福島第一信頼度向上緊急対策本部」を設けた。汚染水、機械設備、電気設備、土木・建築設備の四つの対策チームをつくり、リスクを洗い出す。外部に助言を求める方針も明記した。
 国はもっと積極的に関わる必要がある。海外を含め、様々な分野から知恵や人材を集めるため、原子力規制委員会とともに指導力を発揮すべきだ。
 茂木敏充経済産業相は東電の社長に「会社一丸となって取り組んでほしい」と求めたが、汚染水タンクの設置場所がなくなった場合の対応ひとつとっても、東電任せでは限界がある。政府と東電が一丸となった態勢をつくらなければならない。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130409/dst13040903080005-n1.htmより、
産経新聞【主張】汚染水漏れ 「現場の疲弊」を解消せよ
2013.4.9 03:08 (1/2ページ)

 廃炉まで続く「水との戦い」に向けて、汚染水処理対策を立て直す必要がある。
 東京電力福島第1原発の地下貯水槽から、放射性物質を含む汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会は東電に対し、原因究明と対策の徹底などを指導した。
 第1原発の敷地内には7つの地下貯水槽があり、ほぼ満杯状態の2号貯水槽と3号貯水槽で汚染水漏れが確認された。流出した汚染水は2号から最大120トン、3号からはごく少量(0・3~3リットル)と推定される。
 ただちに、敷地外への拡散が懸念される事態ではない。規制委の更田豊志委員は、今後も地下貯水槽を使用せざるを得ないとの見方を示した。
 今回の汚染水漏れで7つの地下貯水槽(容量計5万8千トン)の信頼性は大きく揺らいだ。地下水の流入などで、汚染水は1日に400トンずつ増える。東電は、広瀬直己社長をトップとする緊急対策本部を設置した。原因究明と再発防止策の確立により、住民の不安払拭に努めなければならない。
 ただ、東電だけで汚染水処理計画をはじめとする廃炉への工程を安定的に進めることは不可能だ。政府が積極的に関わって廃炉工程を支えていく必要がある。
 福島第1原発は先月から、トラブル続きである。3月の大規模停電では、燃料貯蔵プールの冷却が約29時間停止した。原因は配電盤に侵入したネズミだった。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130409/dst13040903080005-n2.htmより、
2013.4.9 03:08 (2/2ページ)
 今月5日、今度は、その小動物侵入を防ぐ対策を配電盤に施している間に、作業ミスで3号機燃料貯蔵プールの冷却が止まった。汚染水を浄化するために試運転を始めたばかりの「多核種除去設備(ALPS)」が作業員の誤作動で一時停止する事態も起きた。
 こうしたトラブルの背景には、「現場の疲弊」があるとみるべきだろう。東電の負担が限界を超え、作業員らの士気が低下すると、大きな事故にもつながりかねない。
 40年かかるとされる廃炉への道のりは、始まったばかりだ。その工程を持続可能なものとするためには、「現場の疲弊」を解消するしかない。
 例えば、長期的な電源確保や汚染水処理計画などでは、あらゆる技術を結集する「オール・ジャパン体制」を築くことで、現場の負担は軽減できるのではないか。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013040902000140.htmlより、
東京新聞【社説】福島・汚染水 事故はまだ続いている
2013年4月9日

 停電の次は放射能のある汚染水漏れ。東京電力福島第一原発で深刻な事故が続いている。ところが事故の当事者たちから危機感が伝わらない。東電は被害者の視点に立って現実を見直すべきである。
 穴を掘り、遮水シートを敷いて、浸出水を防ぐという構造は、普通のごみを埋め立てる最終処分場の構造と基本的には同じである。遮水シートが破れやすいのも、継ぎ目部分が弱いのも、ごみ処理の世界では基本知識と言っていい。
 一九九〇年代、東京・日の出処分場など、全国で有害物質を含んだ浸出水が問題になった。だから家庭ごみの処分場でも、漏水には細心の注意を払う。
 のり面を鋼矢板で遮水したり、漏水を検知すると自動的に修復されるシステムを備える施設も、今や珍しくはないという。
 相手は放射能である。家庭ごみ並み、あるいはそれ以下の扱いとは、あまりに危機感が見えなさ過ぎる。
 東電はすでに先月半ばには、遮水シートの近くで微量の放射能を検知するなど、汚染水漏れの兆候をつかんでいたという。それなのに対策は講じられなかった。
 今回の汚染水漏れも「事故」とは言わず「事象」と呼んだ。専門用語はともあれ、普通の人が聞いたらどう感じるか。
 前政権が「冷温停止状態」と言ってから約一年四カ月。原子炉を冷やすため、現場では毎日約三百七十トンの水を注いでいる。その上一日四百トンもの地下水が流れ込む。一部を循環させたり、汚染される前の地下水をポンプでくみ上げたりしても、汚染水は増えていく。このままでは、タンクをいくら増設してもきりがないだろう。
 つまり、「事故」はまだ終わっていない。
 東電には被害者の視点に立って、事故処理や情報発信のあり方を考え直してもらいたい。
 地中に簡易なプールを掘って汚染水をためるというのは、あくまでも一時しのぎ、事業者本位の応急措置にほかならない。
 放射能汚染水の漏出が、住民にどれだけ不安を与えるか、事実を知らされないことが、どれほどの不信を呼ぶか。海の汚染を漁民がどんなに恐れ、苦しんでいることか。
 これを機に、あらためて「事故」の現実を直視して、住民の気持ちになって対策を練り直すべきではないか。対策を明確に語り、その中身が専門家らの検証に耐えなければならない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53760430Z00C13A4EA1000/より、
日経新聞 社説 原発の汚染水対策に内外の知恵集めよ
2013/4/9付

 その場しのぎの対策を続けてきたツケとしか言いようがない。長期戦と腹をくくって抜本的な手立てを考えるべきときだ。
 東京電力・福島第1原子力発電所で大量の汚染水が貯水槽から地中に漏れた。5日時点で推計約120トン。東電は汚染水中の放射性物質の総量が約7100億ベクレルに達すると発表したが、これは小さめに見積もった数字だ。それでも2年前の事故で海に意図的に放出した低レベルの汚染水(総量約1500億ベクレル)を大きく上回る。
 貯水槽から海まで800メートルほどあり、放射性物質が海に流れ込んでいるわけではない。しかし仮にこれほどの量の放射性物質が原発敷地外に出たら、それだけで大事故と呼ばねばならないほど事態は深刻だ。
 貯水槽は地面を掘って3層の遮水シートを敷き、水が漏れない構造にしてあったという。しかし放射線を出す汚染水に対し耐久性がどれほどなのかは定かでない。完成後わずか数カ月は早すぎるが、いずれ漏水はありえた。あくまで一時保管の設備と考えるべきだ。
 今後も漏水を厳しく監視し続け、早期の発見と対応に努めるのは当然として、再発防止には汚染水の貯蔵をより耐久性の高い設備に切り替えていく必要がある。
 さらに根本的には汚染水の増加を止める方策が要る。壊れた原発には地下水が流入しており、注入した冷却水より多い汚染水が出てくる。東電は原発建屋の周囲に井戸を掘って地下水をくみ上げ、地下水流入を抑える計画を進めている。ただこれがうまくいったとしても流入量を4割程度減らすにとどまるとされる。
 多種類の放射性物質をいっぺんに取り除ける新型の処理装置で汚染水を浄化し、海に流すことも検討された。しかし現在の技術では取り切れない物質が残るため、漁業者などから海への放出には強い反対がある。処理装置の導入は汚染水の汚染度を下げ保管などをしやすくするだろうが、現状では問題解決の切り札にはならない。
 当面、汚染水は安全に管理しながらためるしかなく、その間に浄化技術のさらなる改善や炉心冷却のやり方の工夫などあらゆる手立てを尽くす必要がある。時間はあまり残されていない。原子力規制庁や関連学会の専門家はもっと知恵を出すべきだし、東電は内向きにならず海外にも積極的にアイデアを求める姿勢が必要だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130409k0000m070126000c.htmlより、
社説:原発汚染水漏れ 場当たり対応は限界だ
毎日新聞 2013年04月09日 02時30分

 放射性汚染水が東京電力福島第1原発の地下貯水槽から漏れ出た。放射能の漏えい量は、政府が11年12月に「冷温停止状態」を宣言して以来最多になるという。原発事故はいまだ収束していないことが、改めて浮き彫りになった。
 この間、東電は漏れの兆候を見逃し、情報の公開も遅れるなど、その対応はお粗末な限りだ。第1原発の廃炉作業を東電任せにしておいて良いのか、疑問を持たざるを得ない。原子力規制委員会や原子力規制庁の監視体制も改めて問われよう。
 地下貯水槽は7カ所あり、計5万8000トンの容量がある。いずれも地面を掘り下げ、その上を3層の防水シートで覆った仮設の設備で、タンクに比べコストがかからない。このうち2カ所で漏えいが判明した。
 約800メートル離れた海へ流出する可能性はないと東電は言うが、原因究明と再発防止対策は急務だ。漁業など風評被害への対応も欠かせない。
 貯水槽の水位は3月中旬から下がり始め、その後、シートの外側で放射性物質も検出したのに、東電は漏えいと判断せず、速やかな公表もしなかった。先月起きた使用済み核燃料プールの冷却停止で情報公開の遅れが批判されたにもかかわらず、その危機管理意識の低さ、相変わらずの隠蔽(いんぺい)体質にはあきれるほかない。
 第1原発では、増え続ける放射性汚染水の保管対策が喫緊の課題となっている。地下水の流入で汚染水は毎日約400トンも増える。東電は貯水槽やタンクの増設で対処する計画だが、貯水槽の漏れが他にも見つかれば、ほころびかねない。汚染水を蒸発させて容量を減らす減容化なども検討する必要が出てくるだろう。
 廃炉作業は40年間も続く。仮設の設備でしのぐ場当たり的対応は限界に近い。国会事故調査委員会の委員を務めた野村修也弁護士は8日の衆院原子力問題調査特別委員会で、汚染水処理などについて「国民の代表が専門的知見をもって、国民目線で関与すべきだ」と指摘した。国や東電は、実施体制を含め廃炉計画の抜本的な見直しに取り組むべきだ。
 今回のトラブルでは、規制委の監視機能もうまく働かなかった。規制委は昨年11月、第1原発を改正原子炉等規制法に基づく特定原子力施設に指定し、廃炉完了まで作業を監視する体制を整えた。問題の貯水槽については、法的な使用前検査などはせず、東電が作成した建設計画を事実上追認していたという。
 規制委の出先機関である第1原発原子力規制事務所の職員は8人しかいない。事故の収束にはほど遠い、不安定な現場に対応するには、不十分ではないか。実践能力の高いスタッフを拡充すべきである。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130407ddm003040151000c.htmlより、
クローズアップ2013:福島第1、汚染水漏れ 場当たり仮設の弊害
毎日新聞 2013年04月07日 東京朝刊

 東京電力福島第1原発で判明した、地下貯水槽からの放射性汚染水漏れトラブル。専門家は、汚染水に含まれる高濃度塩分が、貯水槽の遮水シートの機能低下につながったと指摘する。事故から2年、東電は増え続ける汚染水の処理に追われ、こうした仮設の設備でしのぐ「自転車操業」を続けてきたが、そのほかにもトラブルやミスが頻発。綱渡りにもほころびが目立つ。

 ◇濃塩分で機能低下か
 地下貯水槽は地面を掘り下げて、その上を3層の防水シートで覆った構造。産業廃棄物処分場やため池も同じ工法が使われている。3層の構成は、内側から1、2枚目がポリエチレン製のシート(厚さ1・5ミリ)。3枚目は粘土鉱物を主成分とする「ベントナイト」(同6・4ミリ)といわれるもので、水に触れると内部の成分が膨らんで水の通り道が狭まり、遮水する機能がある。
 東電は、本来は汚染水が入り込むことがあり得ない2、3枚目の間に放射性汚染水があるのを発見。1立方センチ当たり6000ベクレルの放射性物質を検出した。これにより、内側から1、2枚目がともに破れている可能性があると推定した。
 さらに3枚目と、土壌との間からも汚染水が見つかったが、東電は3枚目については「シートの継ぎ目から漏れている可能性がある」とみる。東電は三つのシートについて、使用前に実際に水を入れた漏えい試験を実施したが、これまで異常はなかった。
 一方、土木工事に詳しい専門家は、貯水槽にあった汚染水が濃縮塩水だったことに注目している。
 茨城大の小峯秀雄教授(土木・地盤工学)は、(1)汚染水に含まれる高濃度塩分によってベントナイトが膨らまず、防水機能が発揮されなかった(2)汚染水などの重みでシートの継ぎ目に負荷がかかり、隙間(すきま)が生じた−−とし、複合要因が重なったとの見方を示す。
 小峯教授は「3枚目のベントナイトに、想定外の塩水が浸入したことが原因ではないか」と言及。ベントナイトは厚いほど防水性が増すため、シートの厚さ不足も背景にあるとの見解を示した。
 岡山大の西垣誠教授(地盤環境学)も「真水であれば十分耐えられたが、濃縮塩水では1、2枚目が破れると外部へ漏れる可能性が高い」と語った。
 こうした指摘に、東電広報部は「塩分の影響があることは一般論として把握しているが、それでもある程度の遮水性はあると期待している」としている。1、2枚目の破損原因について、事前の点検漏れの可能性もあり、東電は汚染水を別の地下貯水槽に移し替える作業を終了次第、本格的な原因調査をする方針。【鳥井真平】

 ◇規制委、依然「東電頼み」
http://mainichi.jp/opinion/news/20130407ddm003040151000c2.htmlより、
 「仮設設備を使い続けた弊害が出た」と、第1原発所長を務めた二見(ふたみ)常夫・東京工業大特任教授は指摘する。
 今回の地下貯水槽は2月に運用が始まり、容量の1万3000立方メートルはほぼ満杯だった。汚染水は地下水などの流入で1日約400立方メートルずつ増えており、約1カ月分ためる能力があった。タンクに比べてコストがかからないことから、東電は汚染水を仮設保管する「切り札」と考えていた。
 地下貯水槽は漏れがあったものを含めて計7基(全容量5万8000立方メートル)あり、約5カ月分に相当する。だが、いずれも同じ素材のシートを使用。同様のトラブルが起こる可能性を抱えており、東電の汚染水保管計画全体に影響しかねない。尾野昌之原子力・立地本部長代理は6日、「汚染水の保管状況は非常にタイトになっている。今回の結果、貯蔵プランの見直しが必要になる」と述べた。
 第1原発で、貯水槽やタンクに保管されている汚染水は2日現在、約27万6000立方メートル。これに対し、保管容量は約33万立方メートルで、容量の8割強。東電は今後もタンクを増設して急場をしのぐ方針だが、事故から2年経過しても「自転車操業」は変わっていない。
 一方、原子力規制委員会は水漏れがあった貯水槽について法的な「使用前検査」などを実施せず、東電が作成した建設計画を事実上「追認」しただけだった。「貯水槽の建設計画を提出した段階で、規制委の承認を受けたと認識している」。尾野氏はこう述べた。
 規制委は昨年11月、第1原発を改正原子炉等規制法に基づく「特定原子力施設」に指定。廃炉が完了するまで、規制委が収束作業を監視する態勢を法的に整えた。しかしトラブルが絶えない。規制委は今回、漏水発覚後に汚染水を他の貯水槽に移すよう東電に指示したが、計画段階では規制組織としての役割を発揮できなかった。第1原発の出先機関に当たる「原子力規制事務所」の職員はたった8人。一方、第1原発では1日当たり約3000人が収束作業に当たっており、規制組織の「マンパワー不足」も課題だ。【中西拓司】

 ◇地元の声 県、「早く究明を」/漁連、風評被害懸念
 汚染水漏れを受け、福島県庁では6日午前、関係課長会議が開かれた。水産や避難地域復興など各課から7人が参加。渡辺仁・原子力安全対策課長が「一刻も早い原因究明は当然だが、海へしみ出していないか詳しい調査も東電に求めている」と報告した。参加者からは「イメージダウンにつながりかねない」などの意見が相次いだ。
 東電は「海に流出する可能性は低い」としているが、地元では海の再汚染を懸念する声が出ている。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130407ddm003040151000c3.htmlより、
 福島沖では今年3月、事故以来自粛していた沿岸漁業のコウナゴ(イカナゴ)の試験操業が始まったばかり。福島県漁連の新妻芳弘専務理事は「風評被害につながりかねない。海への流出を食い止めるよう、東電にはあらゆる努力をしてもらいたい」と話す。【神保圭作】

 ◇「冷温停止宣言」後の福島第1原発の主なトラブル
11年12月 野田佳彦前首相が「冷温停止状態」を宣言
  〃    1号機の使用済み核燃料プールの冷却が一時停止
12年 2月 2号機の圧力容器底部の温度が急上昇。ホウ酸水を原子炉内に投入したが、後に温度計の故障と判明
    3月 塩分除去装置の配管から高濃度の汚染水が海に流出
    4月 1〜3号機の圧力容器内に水素爆発防止のため窒素を注入していた装置が停止
13年 3月 1、3、4号機の使用済み核燃料プールの循環冷却装置などが停電で停止。2日後に全て復旧した。ネズミが配電盤に接触してショートしたのが原因と発表
    4月 正門付近にある、放射性物質が設定値を超えたことを知らせる警報が誤作動。過去4回誤作動していたが、県や周辺自治体に公表していなかった
  〃    試験運転中の汚染水処理設備「多核種除去設備(アルプス)」が一時停止。作業員の操作ボタン押し間違いが原因
  〃    3号機の使用済み核燃料プールの冷却装置が約3時間止まる。小動物侵入防止用の金網設置工事中に、針金が端子に触れて漏電したのが原因

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